JP3387259B2 - 半導体レーザ駆動回路 - Google Patents

半導体レーザ駆動回路

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JP3387259B2 JP05210495A JP5210495A JP3387259B2 JP 3387259 B2 JP3387259 B2 JP 3387259B2 JP 05210495 A JP05210495 A JP 05210495A JP 5210495 A JP5210495 A JP 5210495A JP 3387259 B2 JP3387259 B2 JP 3387259B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は半導体レーザ駆動回路
に関し、特に画像のハイライト部での階調の不連続を抑
制し、階調再現を良好にした画像記録装置を実現できる
ようにした半導体レーザ駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、レーザ光学装置を用いた画像記録
装置によって中間調画像を形成する方法として、アナロ
グのビデオ信号をパルス幅変調信号に変換し、レーザ光
をオン/オフ制御するものが知られている。これは、1
画素あるいは複数画素を1単位として、画像濃度により
レーザ光の点灯デューティを変化させるものである。こ
の時の露光パターンは、走査されるレーザビームスポッ
トが有限の大きさをもつため、パルス幅変調信号に対応
する2値パターンとはならず、パルス幅変調信号パター
ンとレーザビームスポットの光量分布パターンの畳込み
積分の形をとる。
【0003】一般に、レーザビームスポットの光量分布
パターンはガウス分布に近い形をとるため、露光パター
ンはピーク値と露光幅のそれぞれが変化する立上がり、
立ち下がりのなまったパターンとなる。しかし、実験的
には、形成される画像の濃度は、露光量つまり光強度×
発光時間とよく対応する。したがって、階調再現の良好
な画像記録装置を実現するためには、パルス幅変調信号
に対してレーザ露光量が連続的に変化するようにする必
要がある。
【0004】しかし、特開昭62−39972号公報に
記されているように、レーザ変調回路は、用いるトラン
ジスタの動作速度等から一定以上短いオンパルス、オフ
パルスを再現することが困難である。このため、この公
報に開示された発明では、パルス幅変調信号をレーザ光
点灯直前のパルス幅からレーザ光を全点灯するパルス幅
間で使用するとしている。しかし、実際には、レーザ光
点灯直後のパルスは発光強度が大きく露光量が不連続に
ジャンプし、画像の低濃度部いわゆるハイライト部で階
調の不連続を生じる。
【0005】これに対して、特開平4−189561号
公報では、コンデンサCと抵抗Rとによるスナバ回路を
半導体レーザと並列に設け、変調パルス電流のオーバシ
ュートを吸収し、変調特性を改善する方法が提案されて
いる。また、特開昭55−107282号公報は、発光
素子駆動回路に前記と同構成の回路を設けることによ
り、光出力波形の立上がりと立ち下がり時間を改善する
方法が提案されている。しかし、C・Rによるスナバ回
路では、変調パルス電流のオーバシュートとリンギング
を抑制する効果は期待できるが、変調特性の改善は不十
分である。
【0006】また、従来の半導体レーザ駆動回路とし
て、図8に示されているようなものがある。図におい
て、11、12はC・R回路、21はレーザダイオード
(以下、LDと呼ぶ)、31はレーザ変調(点灯)信号
が入力する変調回路、41はバイアス電流回路である。
該バイアス電流回路41は、演算増幅器42、その出力
に接続された抵抗43、NPNトランジスタ44、その
エミッタとアース間に接続された抵抗45および前記N
PNトランジスタ44のベースとアース間に接続された
コンデンサ47とから構成されている。また、図中のi
1 は補正電流、i2は変調電流、i3 はバイアス電流で
ある。このバイアス電流i3 は変調回路31から出力さ
れる変調電圧の振幅が小さくてもレーザダイオード21
がオンオフするように、LD21がオンするより少し小
さい大きさに設定されている。
【0007】図9は前記変調回路の出力端子31aに印
加される変調電圧の一例を示し、LD21を点灯する時
にはLレベル、消灯する時にはHレベルとなる。この時
前記補正電流i1 は同図の(b) のようになり、LD21
の点灯、消灯の切り替わりが円滑に行われるようにな
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図10の曲線xは前記
図8の半導体レーザ駆動回路においてC・R回路を付け
ない時の変調特性を示す図である。横軸には変調信号の
デューティが取られ、縦軸には平均光量が取られてい
る。理想的な変調特性は、原点を通る直線であるが、変
調信号のデューティがa%以下になるとLD21の光量
は急激に0となる。このため、画像の低濃度部いわゆる
ハイライト部で階調の不連続を生じる。
【0009】次に、図11は図8のように、半導体レー
ザ駆動回路にC・R回路を付けた時の変調特性を示す図
である。図から明らかなように、前記デューティa%以
下におけるLD21の発光量の直線性は改善される。し
かしながら、変調信号のデューティがa%〜100%の
範囲の直線性が損なわれるという問題があった。
【0010】この発明の目的は、前記した従来技術の問
題点を除去し、画像のハイライト部での階調の不連続を
改善すると共に、それ以外の部分での直線性も改善し、
階調再現の良好な半導体レーザ駆動回路を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、半導体レーザ光源に変調信号に
応じた変調電流を供給する変調回路と、該半導体レーザ
光源に前記変調電流によらずに一定の電流を供給するN
PNトランジスタを有するバイアス電流回路とを備えた
半導体レーザ駆動回路において、前記バイアス電流回路
のNPNトランジスタのコレクターベース間に設けられ
た積分回路と、前記NPNトランジスタのベースー接地
間に設けられた微分回路とを具備した点に特徴がある。
【0012】また、請求項2の発明は、変調回路とPN
Pトランジスタを有するバイアス電流回路とを備え、前
記バイアス電流回路のPNPトランジスタのコレクター
ベース間に設けられた積分回路と、前記PNPトランジ
スタのベースー電源間に設けられた微分回路とを具備し
た点に特徴ある。さらに、請求項3の発明は、前記積分
回路を、前記変調回路の出力インピーダンスと前記NP
NまたはPNPトランジスタの寄生容量から構成した点
に特徴がある。
【0013】
【作用】請求項1、2の発明によれば、変調回路の出力
点の電圧は前記積分回路で積分され、その出力は前記微
分回路で微分されて、前記バイアス電流回路のNPNあ
るいはPNPトランジスタのベースに印加される。その
結果、該トランジスタには、点灯パルス幅tによらない
ほぼ一定の補正電流が流れる。
【0014】また、請求項3の発明によれば、前記積分
回路は、前記変調回路の出力インピーダンスと前記NP
NまたはPNPトランジスタの寄生容量から構成するこ
とができ、回路構成を簡素化することができる。
【0015】
【実施例】以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説
明する。図1は本発明の半導体レーザ駆動回路の一実施
例を示す回路図である。図において、1は変調回路31
の出力端子とNPNトランジスタ44のベースとの間に
設けられた積分回路であり、抵抗器2とコンデンサ3と
から構成されている。5はバイアス電流回路41内に設
けられた微分回路であり、直列に接続されたコンデンサ
3、7および抵抗器6とから構成されている。なお、前
記以外の符号は、図8と同一または同等物を示す。
【0016】次に、本実施例の動作を説明する。バイア
ス電流回路41は演算増幅器42の非反転入力端子電圧
と、負荷抵抗45の両端電圧が等しくなるように動作す
る。該演算増幅器42の非反転入力端子にバイアス電流
指示信号が印加されると、LD21の非点灯時には、L
D21の発振開始電流以下の電流、すなわち該LD21
がオンするより少し小さい大きさの電流がバイアス電流
として流れる。このバイアス電流は固定値でもよいが、
LDの電流−光出力特性が環境温度により変化するのに
応じて変化するように設定すると、変調電流の環境温度
による変化を抑えることができる。
【0017】さて、変調回路31にレーザ変調信号が印
加されると、該変調信号による変調電流の変化により、
その出力端子31aの電圧はほぼ矩形で変化する。該出
力端子31aの電圧が例えば図3(A) に示されているよ
うな波形になったとすると、該端子電圧がLレベルにな
った時点で、変調回路31は半導体レーザ駆動電流を吸
い込む。この結果、前記バイアス電流に吸い込み電流が
重畳され、LD21にはこれをオンにする大きさの電流
が流れ、点灯する。一方、前記出力端子31aの電圧が
Hレベルになると、前記吸い込み電流はなくなり、LD
21は消灯する。
【0018】図3(A) に示されているように、前記出力
端子31aの電圧が矩形波形で変化したとすると、前記
積分回路1はこれに対して積分の動作を行う。このた
め、該積分回路1を構成する抵抗器2とコンデンサ3の
接続部に、同図(B) に示されているような積分波形が発
生する。この積分波形信号は、前記微分回路5の入力信
号となる。
【0019】微分回路5に前記積分波形信号が入力する
と、該積分波形信号の微分波形が、コンデンサ7と抵抗
器6との接続部に発生する。この微分波形は、そのま
ま、コンデンサ3と7の接続部、すなわちNPNトラン
ジスタ44のベース入力電圧に重畳される。この結果、
バイアス電流回路41に流れるバイアス電流の補正電流
の波形は、図3(C) に示されているようなエクスポーネ
ンシャル・カーブを有する形となる。換言すれば、バイ
アス電流回路41に流れるバイアス電流の波形も、図3
(C) に示されているようなエクスポーネンシャル・カー
ブを有する形となる。 図1の積分、微分回路1、5に
より、図3(A) 〜(C) の波形が得られる理由を、定量的
に説明する。図4(a) の回路について考える。電圧V1
が同図(b)に示されているような矩形波であるとする
と、同図(a) の回路の電圧V2 は次式で表される。 V2 =V1 ・(1−e-t/R1C) また、同図(a) の回路の電圧V3 は次式で表される。 V3 =R2 ・CdV2 /dt ここに、dV2 /dt=V1 /R1 ・Ce-t/R1Cである
から、これを上式に代入すると、前記電圧V3 は次式の
ようになる。 V3 =R2 /R1 ・V1 e-t/R1C これらの式をグラフに表すと、図4(b) 図のようにな
る。なお、t=0の時のV3 の値は、R2 /R1 ・V1
となる。R1 は実際には変調回路31の出力インピーダ
ンスが主であるため自由な値を取ることができないが、
R2 は任意の値を選ぶことができるので、V3 を任意の
値に設定することができる。また、矩形波V1 の幅(パ
ルス幅)が大きくなっても、換言すれば、LD21の点
灯パルス幅tが変化しても、V3 の波形はこれに影響を
受けず、ほぼ同じエクスポーネンシャルの形を保つこと
ができる。
【0020】次に、このエクスポーネンシャル・カーブ
を有するバイアス電流がバイアス電流回路41に流れる
と、本実施例による積分回路1と微分回路5とが存在し
ないときの従来の半導体レーザ駆動回路の変調特性(図
5(a) の曲線x)が、同図の曲線yのような変調特性に
なる理由を以下に説明する。
【0021】前記曲線yの変調特性が得られるようにす
るには、光量補正特性zは、図5(b) に示されているよ
うに、点灯パルス幅tによらずに一定の補正値cであれ
ばよい。この光量補正特性zを得るためには、同図(c)
に示されている波形の補正電流特性が必要になる。とこ
ろで、図1の本実施例の回路では、前述の説明から明ら
かなように、図5(d) に示されているようなエクスポー
ネンシャル・カーブを有する波形の補正電流が、ほぼ点
灯パルス幅tとは無関係に得られる。この場合には、前
記光量補正特性zは、図5(b) に点線で示されているよ
うな特性z´になる。目標の特性zとは少しのずれはあ
るが、本実施例により得られる光量補正特性z´は該目
標の特性zにかなり近似していることがわかる。
【0022】この光量補正特性z´をもつ補正電流をバ
イアス電流回路41に重畳したときの半導体レーザ駆動
回路の変調特性は、図6の曲線pのようになる。図から
明らかなように、この変調特性には、小さなうねりがあ
るが、理想の直線qに極めて近い特性を示していること
がわかる。この結果、画像のハイライト部での階調の不
連続を改善すると共に、それ以外の部分での直線性も改
善することができるようになる。
【0023】図1において、前記出力端子31aの電圧
変動を1V、抵抗器2の抵抗値を1KΩ、抵抗器6およ
び43の抵抗値を50Ωとすると、補正電流のピーク
は、下式から−1mAとなる。 −(1V×50Ω/1KΩ)/50Ω=−1mA 半導体レーザ特性の発振開始電流=バイアス電流が20
mA、1mW光出力時の駆動電流を30mAとすると、
図6の原点を通る理想の変調特性のグラフが下に10%
平行移動することになる。これにより、1ドットが10
0n秒のビデオ信号を使用する時、10n秒以下のパル
スが再現できなくても、リニアな変調特性を得ることが
できる。
【0024】次に、本発明の第2実施例を、図2に示
す。図において、8はバイアス電流回路のインピーダン
スを下げて、バイアス電流を安定させるために設けられ
ている比較的大容量のコンデンサであり、1μF〜30
μFの大きさである。これは、図8のコンデンサ47に
相当する。10はNPNトランジスタ44のコレクタ−
ベース間の寄生容量である。これら以外の符号は、図1
と同一または同等物を示す。
【0025】この実施例が第1実施例と異なる点は、図
1の回路から積分器1の抵抗器2とコンデンサ3が省か
れている点である。本実施例では、変調回路31の出力
インピーダンス、NPNトランジスタ44のコレクタ−
ベース間の寄生容量10等により、等価回路的に積分回
路の機能が実現されるので、第1実施例と同等の補正効
果を得ることができる。
【0026】次に、本発明の第3実施例を、図7に示
す。図において、11は微分回路であり、抵抗器12、
コンデンサ13、14および寄生容量15から構成され
ている。この寄生容量15はPNPトランジスタ46の
コレクタ−ベース間の寄生容量である。該寄生容量15
は変調回路31の出力インピーダンスと共に、等価回路
的に積分回路の機能を実現している。
【0027】この実施例は、前記第1実施例とは異な
り、LD12に電流を流し込む回路構成を取っている。
回路動作は、電流および電圧の極性が異なるのみで、第
1実施例と同様であるので、説明を省略する。本実施例
においても、前記第1、第2実施例と同等の効果を得る
ことができる。
【0028】
【発明の効果】請求項1、2の発明によれば、従来の半
導体レーザ駆動回路のバイアス電流に、点灯パルス幅t
によらないほぼ一定の補正電流を重畳することができる
ので、画像のハイライト部での階調の不連続を改善する
と共に、それ以外の部分での直線性も改善し、階調再現
の良好な半導体レーザ駆動回路を提供することができ
る。また、感光体の感度の変化等により発光光量を変化
した時においても、変調特性が変化することのない安定
した半導体レーザ駆動回路を提供することができる。
また、請求項3の発明は、前記請求項1、2が有する効
果に加えて、積分回路の構成を簡素化できるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図2】 本発明の第2実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図3】 前記第1実施例の要部の信号の波形図であ
る。
【図4】 図1の積分回路と微分回路の動作波形を説明
するための波形図である。
【図5】 前記第1実施例により、点灯パルス幅によら
ないほぼ一定の補正電流が得られる理由を説明するため
の図である。
【図6】 本発明により得られる変調特性を示す特性図
である。
【図7】 本発明の第3実施例の構成を示す回路図であ
る。
【図8】 従来例の構成を示す回路図である。
【図9】 従来の補正電流の波形を示す図である。
【図10】 スナバ回路を有しない半導体レーザ駆動回
路の変調特性を示す図である。
【図11】 スナバ回路を付けた半導体レーザ駆動回路
の変調特性を示す図である。
【符号の説明】
1…積分回路、2…抵抗器、3…コンデンサ、5…微分
回路、6…抵抗器、7…コンデンサ、10、15…寄生
容量、21…レーザダイオード、31…変調回路、41
…バイアス電流回路、42…演算増幅器、44…NPN
トランジスタ、46…PNPトランジスタ。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50 H04N 1/113 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体レーザ光源に変調信号に応じた変
    調電流を供給する変調回路と、該半導体レーザ光源に前
    記変調電流によらずに一定の電流を供給するNPNトラ
    ンジスタを有するバイアス電流回路とを備えた半導体レ
    ーザ駆動回路において、 前記バイアス電流回路のNPNトランジスタのコレクタ
    ーベース間に設けられた積分回路と、 前記NPNトランジスタのベースー接地間に設けられた
    微分回路とを具備したことを特徴とする半導体レーザ駆
    動回路。
  2. 【請求項2】 半導体レーザ光源に変調信号に応じた変
    調電流を供給する変調回路と、該半導体レーザ光源に前
    記変調電流によらずに一定の電流を供給するPNPトラ
    ンジスタを有するバイアス電流回路とを備えた半導体レ
    ーザ駆動回路において、 前記バイアス電流回路のPNPトランジスタのコレクタ
    ーベース間に設けられた積分回路と、 前記PNPトランジスタのベースー電源間に設けられた
    微分回路とを具備したことを特徴とする半導体レーザ駆
    動回路。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の半導体レーザ駆動回
    路において、 前記積分回路は、前記変調回路の出力インピーダンスと
    前記NPNまたはPNPトランジスタの寄生容量から構
    成されることを特徴とする半導体レーザ駆動回路。
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