JP3386543B2 - 熱圧成形体用製紙内添物の製法 - Google Patents

熱圧成形体用製紙内添物の製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、意匠原紙に熱硬化性樹
脂を含浸した後、一体積層し加熱加圧して得る、御影石
調の熱硬化性樹脂化粧板、ソリッド材等の成形体(以
下、熱圧成形体と称す)に御影石調の斑点状の色彩及び
模様を付与する製紙内添物に関する。
【0002】
【従来の技術】御影石調の色彩及び模様を付与する製紙
内添物について、本出願人が出願した特開平5−254
071号公報がある。上記公報には、熱硬化性樹脂によ
り耐水化処理した着色紙を、カット又は粉砕した熱圧成
形体用製紙内添物が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5−254071号に開示される製紙内添物は、最後に
粉砕工程を行うため、特定色相の製紙内添物を作る場
合、必要量以上の量を見込んでに大量に製造する必要が
あった。つまり、ロス量が大きく、ロス量分は使用する
まで保管又は廃棄しなければならない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解
決する為に検討した結果、あらかじめ粉砕工程を行った
後に着色工程を行うことで、着色工程には必要量の鱗片
状物を用意すればよいから、ロス量を小さくすることが
できることを見いだし、本発明を完成するに至った。即
ち、本発明は、紙をカット又は粉砕し任意の粒度に選別
した鱗片状物を、着色するとともに、耐水化樹脂で被覆
することを特徴とする、御影石調模様を付与する熱圧成
形体用製紙内添物の製法である(紙1→粉砕工程2→着
色工程3→耐水化工程4→製紙内添物5の工程)。ま
た、上記製法において、鱗片状物の代りに、一度作られ
た熱圧成形体用製紙内添物を用いることも本発明の一つ
である(製紙内添物5’→着色工程3→耐水化工程4→
製紙内添物5”の工程)。この方法では、特定色相の製
紙内添物を再度着色工程を行うことで、別の色相に変え
ることが可能となり、ロス量を極めて小さくすることが
できる。そして上記紙1を用いる製法と組合わせること
が好ましい。
【0005】以下、前記の各工程について説明する。上
記紙1は、セルロースパルプ、無機質充填材、紙力増強
剤等の製紙用薬剤を成分とし、湿式抄紙法又はそれに準
じた方法により製造される。このような紙1としては、
従来より熱硬化性樹脂化粧板(例えばメラミン樹脂化粧
板、ポリエステル樹脂化粧板、ジアクリルフタレート樹
脂化粧板など)に使用されている化粧板用原紙(通常パ
ターン紙と呼ばれる)が好適である。紙1の厚さとして
は0.15mm以下、好ましくは0.08mm以下が良
く、厚さ0.15mmを超える場合、熱圧成形体原紙
(模様紙)に内添したものは、嵩高くなり表面に凹凸が
出来てしまい熱圧成形性の点で好ましくない。紙1は、
粉砕工程2、着色工程3を経るため、耐水化工程4で用
いる耐水化樹脂により含浸硬化されていることが好まし
い。耐水化樹脂は、紙1に対し20〜80重量%になる
よう含浸する。
【0006】上記粉砕工程2は、紙1をカット又は粉砕
して鱗片状物とする。鱗片状物は、粒度の分布により色
相が異なるので、任意の御影石調模様に適する粒度にふ
るい分けて、粒度を統一する。ふるい分けは10〜50
00μmの範囲内で行う。
【0007】上記着色工程3は、鱗片状物を着色剤で任
意色相に着色する。着色方法は、鱗片状物の表層全体に
着色剤を均一に付着させる方法であればよく、鱗片状物
を攪拌しながら着色剤を噴霧状に吹き付けて行う方法が
好ましい。着色剤としては、着色顔料としてモリブデン
レッド、ベンガラ、群青等の無機系顔料、あるいは不溶
性アゾ系、アゾレーキ系、フタロシアニン系、トリフェ
ニルメタン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオ
キサジン系、ペリノンペリレン系、イソインドリノン
系、フルオルビン系、アントラキノン系、カップリング
型アゾ系、縮合型アゾ系、金属錯塩系等の有機顔料の少
くとも1種以上を使用する。また、黒色の場合には染料
でも良いものもある。御影石調の斑点模様としては、主
として白色と黒色の併用で表現できるが、前記着色顔料
によって任意の色を選択する事も可能である。
【0008】上記耐水化工程4は、着色された鱗片状物
を耐水化樹脂で被覆する。被覆方法も、着色方法と同様
に、鱗片状物の表層全体に均一に付着させる方法であれ
ばよく、鱗片状物を攪拌しながら耐水化樹脂バインダー
を噴霧状に吹き付けて行う方法が好ましい。前記着色方
法と連続して行う方法がさらに好ましい。そして、耐水
化樹脂バインダーにより被覆された鱗片状物は流動層乾
燥機等により乾燥させ、さらに耐水固化するため加熱し
て、製紙内添物5を得る。好ましくは、着色工程3、耐
水化工程4(被覆・乾燥・加熱)を連続して行う。さら
に好ましくは、耐水化工程4を2回以上に分けて行う。
この場合、着色工程3と耐水化工程4(1回目)を同時
に行ったのち、2回目以降を行う。耐水化工程4の目的
は、主に製紙内添物5の強度付与と着色剤の定着である
が、鱗片状物が粉砕されないように、また鱗片状物相互
が固まらないように注意しなければならない。耐水化樹
脂としては、乾燥・加熱後耐水性を示す樹脂を用いる。
具体的にはアクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹
脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキッド樹脂、ポリイ
ミド樹脂等の1種以上を使用する。また、耐水化樹脂バ
インダーは、水溶性型、水分散型、有機溶剤溶液型のい
ずれを用いてもよい。
【0009】製紙内添物5は、意匠原紙抄造において、
パルプ等とともに水分散される。この水分散時に、製紙
内添物5の耐水性が不足していれば、着色剤の欠落や、
形状の変形(ほつれ)が起こるのである程度の耐水性が
必要である。製紙内添物5の耐水性は、耐水化工程4に
おける、耐水化樹脂を鱗片状物の表層全体に均一に付着
させる方法と共に、耐水化樹脂の被覆量によりほぼ決定
される。かかる耐水化樹脂の被覆量は、着色工程3の着
色剤の付着状態やその付着量により異なるが、通常、鱗
片状物に対し3〜100重量%、好ましくは10〜30
重量%である。被覆量は少ないほどよく、少なすぎる場
合、鱗片状物を充分に被覆することが出来ず、着色剤の
欠落や、熱圧成形体に利用するさい、模様がぼけたり、
ブリスターが発生する等の問題が生じる。多すぎると、
鱗片状物相互が固まりやすくなり、形状、粒径の不均一
を生じる。製紙内添物5の耐水性の目安としては、次の
耐水性試験を行い判断する。製紙内添物5をTappi
離解機中でパルプと共に固形分濃度5重量%水分散液と
し、1800回転/分で3時間攪拌したのち、濾過して
製紙内添物を取り出し、形状、着色剤の付着状態を観察
する。着色剤の欠落が確認されず、形状が鱗片状を維持
していれば良い。
【0010】製紙内添物5’→着色工程3→耐水化工程
4→製紙内添物5”の工程における製紙内添物5’は、
上記粉砕工程2より得られる鱗片状物と同様に、任意の
御影石調模様に適する粒度にふるい分けて使用し、粒度
の分布により色相が異なるので、粒度を統一する。ふる
い分けは10〜5000μmの範囲内で行う。また、製
紙内添物5’は、本発明により得られる製紙内添物5で
もよいが、特開平5−254071号に開示される、着
色紙を抄造しそして耐水化処理工程、粉砕工程を行って
得られる製紙内添物も適用できる。
【0011】このように得られた製紙内添物5、5”
は、意匠原紙に抄き込まれ、そして熱圧成形体に利用さ
れる。
【0012】
【実施例】
実施例1 化粧板用原紙に耐水化樹脂を含浸し、140℃で4分乾
燥した(樹脂含浸量は、乾燥後の原紙中の樹脂成分が2
0重量%)。次に、簡易粉砕器により粉砕した後、フル
イにかけ、粒度500μmの鱗片状物を得た。鱗片状物
を、140℃の釜に入れ攪拌しながら、青色着色剤を噴
霧状に吹き付け着色した。そして着色しながら耐水化樹
脂を噴霧状に吹き付けた。着色終了後耐水化樹脂の吹き
付けを一旦終了し、乾燥、固化させた。固化後さらに、
耐水化樹脂を噴霧状に吹き付け、乾燥、固化を行い、製
紙内添物を得た。この着色から耐水化樹脂固化までの
間、連続して攪拌した。得られた製紙内添物は、耐水性
試験を行ったところ、着色剤の欠落は確認できず、形状
は鱗片状を維持していた。また、製紙内添物を内添した
意匠原紙を抄造した。次に、意匠原紙にメラミン樹脂を
含浸したものを32枚積層し、130℃、80kg/c
2 、30分間の条件で熱圧成形し、厚み6mmの御影
石調ソリッド材を得た。得られた御影石調ソリッド材
に、ブリスターは見られなかった。
【0013】実施例2 実施例1において、鱗片状物の代わりに実施例1より得
られた製紙内添物を用い、青色着色剤の代わりに黒色着
色剤を用い、実施例1と同様にして製紙内添物を得た。
得られた製紙内添物は、耐水性試験を行ったところ、耐
水性は良好であった。また、実施例1と同様に御影石調
ソリッド材を得たところ、ブリスターは見られなかっ
た。
【0014】
【発明の効果】本発明の製法は、特定色相の設定に対
し、必要量の鱗片状物を用意すればよいから、ロス量を
小さくすることができる。また、鱗片状物の代りに、一
度作られた熱圧成形体用製紙内添物を用いることも可能
であり、別の色相に変えるも可能であるから、ロス量を
極めて小さくすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B32B 27/18 B32B 27/18 Z D21H 21/28 D21H 21/28 27/02 27/02 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29B 11/00 - 11/16 B29B 15/00 - 15/14 B32B 5/28 B32B 23/06 B32B 27/04 B32B 27/18 D21H 21/28 D21H 27/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙をカット又は粉砕し任意の粒度に選別
    した鱗片状物を、着色するとともに、耐水化樹脂で被覆
    することを特徴とする御影石調模様を付与する熱圧成形
    体用製紙内添物の製法。
  2. 【請求項2】 任意の粒度に選別した熱圧成形体用製紙
    内添物を、着色するとともに、耐水化樹脂で被覆するこ
    とを特徴とする、御影石調模様を付与する熱圧成形体用
    製紙内添物の製法。
JP34892793A 1993-12-28 1993-12-28 熱圧成形体用製紙内添物の製法 Expired - Fee Related JP3386543B2 (ja)

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