JP3385229B2 - 防汚性便器、便器用貼着フィルムおよび便器用コーティング組成物 - Google Patents

防汚性便器、便器用貼着フィルムおよび便器用コーティング組成物

Info

Publication number
JP3385229B2
JP3385229B2 JP06111699A JP6111699A JP3385229B2 JP 3385229 B2 JP3385229 B2 JP 3385229B2 JP 06111699 A JP06111699 A JP 06111699A JP 6111699 A JP6111699 A JP 6111699A JP 3385229 B2 JP3385229 B2 JP 3385229B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toilet bowl
silicone resin
siloxane
resin film
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP06111699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000143372A (ja
Inventor
町田  光義
浩一 林
正美 安藤
Original Assignee
東陶機器株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 東陶機器株式会社 filed Critical 東陶機器株式会社
Priority to JP06111699A priority Critical patent/JP3385229B2/ja
Publication of JP2000143372A publication Critical patent/JP2000143372A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3385229B2 publication Critical patent/JP3385229B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に尿石、水垢
等の水性汚れが付着しにくい便器、便器の表面に貼着す
るだけで尿石、水垢等の水性汚れが付着しにくくなる便
用貼着フィルム、及び便器に塗布し必要に応じて加熱
して硬化被膜を形成させるだけで尿石、水垢等の水性汚
れが付着しにくくなる便器用コーティング組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】施釉製品の表面を防汚加工することは、
施釉製品を清浄に保ち、衛生性や美観を高く保つために
役立つ。そのための方法として、従来より、例えば特開
平4ー240171号に示すような、施釉製品表面にフ
ッ素を含む化学吸着単分子膜を、シロキサン系単分子膜
を介して形成する方法が提案されている。かかる構造に
することにより、施釉製品表面が撥水性になり、便器汚
物や茶渋等の水性汚れが生じにくくなることも開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、施釉製
品はアルカリ環境で使用されるものが実に多い。例え
ば、便器は人の放尿に基づく尿素と、便器に付着してい
る一般細菌が保有する酵素ウレアーゼとの反応により常
にアンモニア塩基環境に曝されている。一方で、シロキ
サン結合はアルカリに侵される性質を有するので、特開
平4ー240171号に示す防汚加工では使用条件下で
の耐久性に問題が残ることになる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、表面に釉薬層が形成された便器の表面に、
或いは便器釉薬層の表面に貼着して使用するフィルム基
材の表面に、シロキサン架橋とシロキサン以外の架橋に
より重合されたシリコーン樹脂膜が形成されていること
を特徴とする防汚性便器、或いは便器用貼着フィルム
提出する。また、必要に応じて加水分解した後、重合さ
せることによりシロキサン架橋とシロキサン以外の架橋
により重合されたシリコーン樹脂膜を形成可能な前駆体
からなることを特徴とする便器用コーティング組成物を
提供する。基材上に形成するシリコーン樹脂膜が、シロ
キサン架橋のみでなく、シロキサン以外の架橋を有する
ことにより、上記アルカリ環境で使用される場合にも使
用条件下で充分な耐久性を有しながら、尿石、水垢等の
水性汚れが付着しにくくなる。さらに、シロキサンのみ
から成る膜は元来硬い膜であるが、シロキサンよりも柔
らかい成分が入ることにより、シリコーン樹脂膜に可撓
性が付与され、膜が柔軟になる。尿石、水垢等の水性汚
れはCa化合物、Si化合物等の硬質かつ脆性な無機物
からなるので、その下部にある材料が柔軟であれば、汚
れ被膜の温度変化や流水等の要因でクラックが汚れ被膜
生じやすくなり容易に汚れ被膜が剥離される効果も期
待できる。
【0005】
【発明の実施の形態】図1に本発明の樹脂の構造に関す
る一実施例をしめす。図1では、Si系モノマー単位が
シロキサン結合1及び/又はシロキサン以外の結合2
(図では、メタクリル基の縮合架橋を例示)を介して他
のSi系モノマー単位に結合している。シロキサン以外
の結合としては、上記メタクリル基の縮合架橋の他、ビ
ニル基、エポキシ基、アミド基等が好適に利用できる。
【0006】本発明において基材上に形成するシリコー
ン樹脂膜は撥水性であるのが好ましい。水垢等の水性汚
れが固着しにくくなるからである。ここで、撥水性の度
合いは、接触角測定器による水との接触角が90度以上
がよく、好ましくは110度以上であり、より好ましく
は140度以上である。シリコーン樹脂膜にフルオロ基
を含有するシリコーン樹脂膜を使用すると、優れた撥水
性が生じやすく好ましい。
【0007】本発明における便器用コーティング組成物
とは、シリコーン中のケイ素原子に1つ以上の有機基が
結合されているシリコーン、すなわち、平均組成式Rp
SiXqO(4−p−q)/2(式中、Rは、炭素数1
〜18の一価の有機基、Xは炭素数1〜4のアルコキシ
基であり、p及びqは、0<p<2、0<q<4、0<
p+q<4を満足する数である)で表されるシリコーン
を硬化させて得た被膜を形成しうるコーティング組成物
であり、Si−O−Si結合以外に、少なくとも一部に
R同士の架橋を形成しうるものである。
【0008】上記組成物は、例えば、縮合架橋可能な有
機基を有する2官能シラン誘導体モノマー(分子当り2
個の加水分解性基を有し、各ケイ素原子に2つの酸素原
子が結合した2官能シロキサン結合を形成するモノマ
ー)及び/又は3官能シラン誘導体モノマー(分子当り
3個の加水分解性基を有し、各ケイ素原子に3つの酸素
原子が結合した3官能シロキサン結合を形成するモノマ
ー)を必須成分とし、必要に応じて任意の有機基を有す
る2官能シラン誘導体モノマー及び/又は3官能シラン
誘導体モノマーや、4官能シラン誘導体モノマー(分子
当り4個の加水分解性基を有し、各ケイ素原子に4つの
酸素原子が結合した4官能シロキサン結合を形成するモ
ノマー)を配合させた組成物を、(部分的に)加水分
解、縮重合させることにより得られる。
【0009】ここで、縮合架橋可能な有機基を有する2
官能シラン誘導体モノマー単位としては、例えば、γー
グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γーグ
リシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γー(メ
タ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
ー(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジ
エトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルジイソプロポキシシラン、γーアミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γーアミノプロピルメチル
ジエトキシシラン等が好適に利用できる。
【0010】縮合架橋可能な有機基を有する3官能シラ
ン誘導体モノマー単位としては、例えば、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
イソプロポキシシラン、ビニルトリtーブトキシシラ
ン、γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
ーグリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γーグリ
シドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γーグリ
シドキシプロピルトリtーブトキシシラン、β−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリtーブトキシシ
ラン、γー(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、γー(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキ
シシラン、γー(メタ)アクリロキシプロピルトリイソ
プロポキシシラン、γー(メタ)アクリロキシプロピル
トリtーブトキシシラン、γーアミノプロピルトリメト
キシシラン、γーアミノプロピルトリエトキシシラン、
γーアミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γーア
ミノプロピルトリtーブトキシシラン、γーメルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γーメルカプトプロピル
トリエトキシシラン、γーメルカプトプロピルトリイソ
プロポキシシラン、γーメルカプトプロピルトリtーブ
トキシシラン等が好適に利用できる。
【0011】その他に、任意の2官能シラン誘導体モノ
マー単位として、例えば、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジメ
トキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ヘプ
タデカフルオロオクチルメチルジメトキシシラン、ヘプ
タデカフルオロオクチルメチルジエトキシシラン等を好
適に利用できる。
【0012】その他に、任意の有機基を有する3官能シ
ラン誘導体モノマー単位として、例えば、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ
イソプロポキシシラン、メチルトリtーブトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt
ーブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、
n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイ
ソプロポキシシラン、n−プロピルトリtーブトキシシ
ラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシル
トリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシ
シラン、n−ヘキシルトリtーブトキシシラン、n−デ
シルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラ
ン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシル
トリtーブトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキ
シシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−
オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデ
シルトリtーブトキシシラン、フェニルトリメトキシシ
ラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソ
プロポキシシラン、フェニルトリtーブトキシシラン、
トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオ
ロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピル
トリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリ
tーブトキシシラン、ヘプタデカフルオロオクチルトリ
メトキシシラン、ヘプタデカフルオロオクチルトリエト
キシシラン、ヘプタデカフルオロオクチルトリイソプロ
ポキシシラン、ヘプタデカフルオロオクチルトリtーブ
トキシシラン等を好適に利用できる。
【0013】4官能シラン誘導体としては、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポ
キシシラン、テトラtーブトキシシラン、ジメトキシジ
エトキシシラン等が好適に利用できる。
【0014】また、常温硬化性を高めるために、硬化剤
を添加してもよい。硬化剤としては、例えば、水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウ
ムメチラート、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸
カリウム、ギ酸カリウム、プロピオン酸カリウム、テト
ラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモ
ニウムヒドロキシド等の塩基性化合物類;n−ヘキシル
アミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセ
ン、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレン
トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレン
ベンタミン、エタノールアミン類、γーアミノプロピル
トリメトキシシラン、γーアミノプロピルメチルジメト
キシシラン、γー(2ーアミノメチル)ーアミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γー(2ーアミノメチル)ーア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミン化合
物;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタ
ネート等のチタン化合物;アルミニウムトリイソブトキ
シド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウ
ムアセチルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、塩化
アルミニウム等のアルミニウム化合物;錫アセチルアセ
トナート、ジブチル錫オクチレート等の錫化合物;コバ
ルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、鉄
アセチルアセトナート等の含金属化合物類;リン酸、硝
酸、フタル酸、pートルエンスルホン酸、トリクロル酢
酸等の酸性化合物類などが好適に利用できる。
【0015】更に、硬化被膜の硬度、耐擦傷性を向上さ
せるために、或いは、高屈折率化させて光沢性を向上さ
せるために、金属酸化物微粒子を添加してもよい。金属
酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化セリウム、酸
化錫、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アンチ
モン、酸化鉄、酸化チタン、希土類酸化物等が利用でき
る。
【0016】上記コーティング組成物は、コーティング
組成物の保存安定性を向上させるために非水系の溶媒に
分散されているのが望ましい。非水系の溶媒としては、
アルコール、ケトン、エステル、トルエン、キシレン、
ヘキサン等が好適に利用できる。
【0017】本発明では、シリコーン樹脂膜又はコーテ
ィング組成物に、撥水性向上のために、フッ素樹脂やフ
ッ素化合物が含有されるようにしてもよい。ここでフッ
素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ
化ビニリデン、ポリ塩化三フッ化エチレン、ポリ四フッ
化エチレン、ポリ四フッ化エチレンー六フッ化プロピレ
ンコポリマー、エチレンーポリ四フッ化エチレンコポリ
マー、エチレンーポリ塩化三フッ化エチレンコポリマ
ー、四フッ化エチレンーパーフルオロアルキルビニルエ
ーテルコポリマー、パーフルオロシクロポリマー、ビニ
ルエーテルーフルオロオレフィンコポリマー、ビニルエ
ステルーフルオロオレフィンコポリマー等が好適に利用
できる。また、フッ素化合物としては、例えば、フッ化
リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フ
ッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化スカンジ
ウム、フッ化イットリウム、フッ化ジルコニウム、フッ
化ハフニウム、フッ化マンガン、フッ化鉄、フッ化コバ
ルト、フッ化ニッケル、フッ化銅、フッ化アルミニウ
ム、フッ化ガリウム、フッ化インジウム、フッ化ビスマ
ス、フッ化ランタン、フッ化セリウム、フッ化プラセオ
ジウム、フッ化ネオジウム、フッ化サマリウム、フッ化
ユーロピウム、フッ化テルビウム、フッ化ジスプロシウ
ム、フッ化ホルミウム、フッ化エルビウム、フッ化ツリ
ウム、フッ化イッテルビウム、フッ化ルテチウム等が好
適に利用できる。
【0018】本発明のシリコーン樹脂膜又は便器用コー
ティング組成物には、さらに抗菌剤が添加されていても
よい。ここで、抗菌剤には、銀、銅、亜鉛等の抗菌性金
属及びその化合物微粒子またはシリカゲルやゼオライト
などの担体へ担持物、第四級アンモニウム塩、ニトリ
ル誘導体、イミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導
体、イソチアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ト
リアジン誘導体、スルホン誘導体、フェノール誘導体、
フェノールエーテル誘導体、ピロール誘導体等が好適に
利用できる。
【0019】上記抗菌剤は、その一部が外気に接するよ
うに露出固定させてもよい。そうすることで、使用初期
における抗菌性が向上する。
【0020】(実施例) 比較例1(衛生陶器サナ:コートなしの汚れ方) サンプルとして、東陶機器製小便器用サナ(型番:U3
07CST)、色:パステルアイボリー(#SC1)を
使用した。このサンプルを用いて、尿石付着試験、耐ア
ルカリ溶液浸漬試験、水及びタール溶液の接触角測定を
行った。尿石付着試験は、上記サナを尿中に室温で一週
間浸漬して放置した後、引き揚げて流水で軽く洗浄し、
サナ側面への尿石の付着量を目視で評価した。その結
果、サナの側面には多量の尿石が付着していた。また、
流水をかけても落ちることはなかった。耐アルカリ溶液
浸漬試験は、5%NaOH水溶液中に上記サナを室温で
一週間浸漬して放置した後、サナ側面の表面状態を光沢
度測定により評価した。なお、光沢度は鏡面光沢度測定
法(JIS−Z8741)に従い、60度鏡面光沢度G
s(60°)を測定した。その結果、初期値に対する浸
漬後の光沢度(光沢残存率)は、90%であった。サン
プル表面と水及びタール溶液との接触角は、接触角測定
器(協和界面科学製、CA−X150)を用い、マイク
ロシリンジからサンプル表面に水ないしタール溶液の液
滴を滴下した後30秒後に測定した。その結果、水の接
触角は30゜、タール溶液の接触角は20゜であった。
【0021】比較例2(シロキサン架橋以外の架橋のな
いコートをした場合の汚れ方と耐アルカリ試験) メチルトリエトキシシラン100重量部に、水5重量部
及び硝酸1重量部を添加し、室温で2時間攪拌して反応
させて得られた溶液を、前記比較例1と同一形状の小便
器用サナ(U307CST、#SC1)表面にスプレー
コーティングした。室温で30分間乾燥させた後、20
0℃で30分間かけて加熱硬化させ、サナ表面上にシリ
コーンコーティング膜を形成させた。得られたサンプル
について、比較例1と同様に評価したところ、尿石付着
量は少なく、流水で洗い落とすことが可能であった。ま
た、耐アルカリ試験後のサンプルは、コーティング膜が
剥がれ落ち、基材のグレーズ表面が露出していた。光沢
残存率は、92%であった。さらに、水の接触角は90
゜、タール溶液の接触角は20゜であった。
【0022】実施例1(アクリルシリコーンコートの場
合の汚れ方と耐アルカリ試験) 比較例1及び2と同一形状の小便器用サナ(U307C
ST、#SC1)表面に、JSR製グラスカB603を
スプレーコーティングした。室温で30分間乾燥させた
後、200℃で30分間かけて加熱硬化させ、サナ表面
上にシリコーンとアクリルから成る無機・有機ハイブリ
ッド膜を形成させた。得られたサンプルについて、比較
例1及び2と同様に評価したところ、尿石付着量は比較
例2よりもさらに少なく、流水でほぼ完全に洗い流すこ
とができた。また、耐アルカリ試験後も膜の剥離や脱落
は無く、光沢残存率は98%であった。さらに、水の接
触角は95゜、タール溶液の接触角は30゜であった。
【0023】評価結果をまとめて図2に示す。図2か
ら、現行の衛生陶器のグレーズ表面には多量の尿石が付
着し、流水程度では洗い落とすことができない。一方、
シリコーン膜をコーティングすることによって、尿石の
付着を抑えることができたが、シロキサン架橋のみから
成る膜では、アルカリ環境下で使用することができな
い。ここで、シロキサン/アクリルの無機・有機ハイブ
リッド膜とすることにより、アルカリ環境下で使用され
る場合にも充分な耐久性を有し、尿石の付着を抑えるこ
とができる。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、上記アルカリ環境で使
用される場合にも使用条件下で充分な耐久性を有しなが
ら、尿石、水垢等の水性汚れが付着しにくくなる防汚性
便器便器用貼着フィルムおよび便器用コーティング組
成物を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂の構造に関する一実施例を示す
図。
【図2】比較例1、2及び実施例の評価結果を示す表。
【符号の説明】
1…シロキサン結合 2…シロキサン以外の結合
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09K 3/18 104 C09K 3/18 104 (72)発明者 安藤 正美 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番 1号 東陶機器株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−287515(JP,A) 特開 昭63−252982(JP,A) 特開 昭62−260882(JP,A) 特開 平4−164883(JP,A) 特開 昭50−23412(JP,A) 特開 昭56−133371(JP,A)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に釉薬層が形成された基材の表面
    に、シロキサン架橋とシロキサン以外の架橋により重合
    されたシリコーン樹脂膜が形成されていることを特徴と
    する防汚性便器。
  2. 【請求項2】前記シロキサン以外の架橋は、アクリル基
    の縮重合に基づく架橋であることを特徴とする請求項1
    に記載の防汚性便器。
  3. 【請求項3】前記シリコーン樹脂膜には、さらに抗菌剤
    が含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の防汚性便器。
  4. 【請求項4】前記抗菌剤は、その一部が露出固定されて
    いることを特徴とする請求項3に記載の防汚性便器。
  5. 【請求項5】前記シリコーン樹脂膜はフルオロ基を含有
    するシリコーン樹脂膜であることを特徴とする請求項1
    乃至4に記載の防汚性便器。
  6. 【請求項6】基材表面にシロキサン架橋とシロキサン以
    外の架橋により重合されたシリコーン樹脂膜が形成され
    ており、基材の裏面には接着剤層が形成されてなるフィ
    ルムであって、便器釉薬層の表面に貼着して使用するこ
    とにより、便器表面の水性汚れの付着を防止するように
    なることを特徴とする便器用貼着フィルム。
  7. 【請求項7】前記シロキサン以外の架橋は、アクリル基
    の縮重合に基づく架橋であることを特徴とする請求項6
    に記載の便器用貼着フィルム。
  8. 【請求項8】前記シリコーン樹脂膜及び/又は基材には
    抗菌剤が含有されていることを特徴とする請求項6又は
    7に記載の便器貼着フィルム。
  9. 【請求項9】前記抗菌剤は、その一部が露出固定されて
    いることを特徴とする請求項8に記載の便器用貼着フィ
    ルム。
  10. 【請求項10】前記シリコーン樹脂膜はフルオロ基を含
    有するシリコーン樹脂膜であることを特徴とする請求項
    6乃至9に記載の便器用貼着フィルム。
  11. 【請求項11】必要に応じて加水分解した後、重合させ
    ることによりシロキサン架橋とシロキサン以外の架橋に
    より重合されたシリコーン樹脂膜を形成可能な前駆体か
    らなり、前記前駆体は、縮合架橋可能な有機基を有する
    2官能シラン誘導体モノマー及び/又は3官能シラン誘
    導体モノマーを必須成分とした組成物であ って、便器釉
    薬層の表面に重合被膜を形成することにより、施釉製品
    表面の水性汚れの付着を防止するようになることを特徴
    とする便器用コーティング組成物。
  12. 【請求項12】前記シロキサン以外の架橋は、アクリル
    基の縮重合に基づく架橋であることを特徴とする請求項
    11に記載の便器用コーティング組成物。
  13. 【請求項13】前記コーティング組成物には、抗菌剤が
    含有されていることを特徴とする請求項11又は12に
    記載の便器用コーティング組成物。
  14. 【請求項14】前記シリコーン樹脂膜はフルオロ基を含
    有するシリコーン樹脂膜であることを特徴とする請求項
    11乃至13に記載の便器用コーティング組成物。
JP06111699A 1998-09-04 1999-03-09 防汚性便器、便器用貼着フィルムおよび便器用コーティング組成物 Expired - Fee Related JP3385229B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06111699A JP3385229B2 (ja) 1998-09-04 1999-03-09 防汚性便器、便器用貼着フィルムおよび便器用コーティング組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-267458 1998-09-04
JP26745898 1998-09-04
JP06111699A JP3385229B2 (ja) 1998-09-04 1999-03-09 防汚性便器、便器用貼着フィルムおよび便器用コーティング組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000143372A JP2000143372A (ja) 2000-05-23
JP3385229B2 true JP3385229B2 (ja) 2003-03-10

Family

ID=26402152

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06111699A Expired - Fee Related JP3385229B2 (ja) 1998-09-04 1999-03-09 防汚性便器、便器用貼着フィルムおよび便器用コーティング組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3385229B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3360653B2 (ja) * 1999-06-17 2002-12-24 東陶機器株式会社 防汚性水洗式便器及び防汚性水洗式便器用貼着フィルム
JP2002088313A (ja) * 2000-07-14 2002-03-27 Earth Chem Corp Ltd トイレ用固形コーティング剤および撥水コーティング方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000143372A (ja) 2000-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001122679A (ja) 防汚性タイル
JP3385229B2 (ja) 防汚性便器、便器用貼着フィルムおよび便器用コーティング組成物
JP2007161824A (ja) シリコーン系樹脂組成物及び塗装品
JP2006305367A (ja) 防汚性を備えた便座およびその製造方法
JP2000302581A (ja) 防汚性施釉製品
JP3890842B2 (ja) 樹脂成形体及びその製造方法
JP2005113029A (ja) 光触媒含有塗膜の下塗り用コーティング組成物および構造体
JP3360642B2 (ja) 水洗式便器
JP2000143373A (ja) 防汚性施釉製品、施釉製品用貼着フィルムおよび施釉製品用コ―ティング組成物
JP2001288788A (ja) 放水機器の残水垂れ防止方法、残水垂れ防止性放水機器、並びに残水垂れ防止性放水機器用コーティング組成物
JP2001161575A (ja) カウンター天板
JP2000192529A (ja) 水洗式便器表面への水垢付着防止方法、水垢付着防止性水洗式便器、並びに水垢付着防止性水洗式便器用コ―ティング組成物
JP2002146886A (ja) 水洗式便器用コーティング組成物及び水洗式便器
TWI550043B (zh) Silane coating composition
JP3360660B2 (ja) 防汚性水洗式大便器及び防汚性水洗式大便器用貼着フィルム
JP3360659B2 (ja) 防汚性水洗式小便器及び防汚性水洗式小便器用貼着フィルム
JP2001295334A (ja) 防汚性を有する水栓及びその製造方法並びに水栓用防汚性コーティング組成物
JP2001049716A (ja) 水洗式便器
JP2000273934A (ja) 水回り製品
JP3360661B2 (ja) 防汚性水洗式大便器及び防汚性水洗式大便器用貼着フィルム
JP2001275866A (ja) 洗面設備の防汚方法、防汚性洗面設備、並びに防汚性洗面設備用コーティング組成物
JP2001212013A (ja) 洗面設備における洗面器表面への水垢付着防止方法、水垢付着防止性洗面設備、並びに水垢付着防止性洗面設備用コーティング組成物
JP2001059073A (ja) 鉛溶出防止接水部材及びその製造方法並びに接水部材の鉛溶出防止方法、鉛溶出防止接水部材用コーティング組成物
JP2002129631A (ja) 防汚性水洗式大便器
JP2002161373A (ja) 接水部材及びその製造方法並びに鉛溶出防止接水部材用コーティング組成物

Legal Events

Date Code Title Description
R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3385229

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071227

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091227

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091227

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101227

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101227

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111227

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111227

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121227

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121227

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131227

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees