JP3384472B2 - 導電性樹脂ペースト - Google Patents

導電性樹脂ペースト

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JP3384472B2 JP32201994A JP32201994A JP3384472B2 JP 3384472 B2 JP3384472 B2 JP 3384472B2 JP 32201994 A JP32201994 A JP 32201994A JP 32201994 A JP32201994 A JP 32201994A JP 3384472 B2 JP3384472 B2 JP 3384472B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はIC、LSI等の半導体
素子を金属フレーム等に接着する導電性樹脂ペーストに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のエレクトロニクス産業の著しい発
展に伴い、トランジスタ,IC、LSI、超LSIと半
導体素子における回路の集積度は急激に増大している。
このため、半導体素子の大きさも、従来長辺が数mm程
度だったものが10数mmと飛躍的に増大している。又
リードフレームも従来の42合金から熱伝導性も良く安
価である銅材が主流となりつつあり、一方、半導体製品
の実装方法は表面実装法にしかも高密度実装化のため、
半導体素子は大型化しているにもかかわらずパッケージ
の封止サイズは小さくなってきている。このような半導
体製品の動向に伴い、半導体製品の構成材料に対する要
求性能も変化してきており、半導体素子と金属フレーム
を接合するダイボンディング用樹脂ペーストに対して
も、従来求められていた接合の信頼性のみならず、大型
チップと銅フレームの熱膨張率の差に基づく、熱応力を
吸収緩和する応力緩和特性、更には薄型パッケージでの
表面実装に基づく、耐半田クラック特性が要求されてき
ている。
【0003】応力緩和特性は半導体素子の材料であるシ
リコン等の線熱膨張係数が、3×10-6/℃であるのに
対し、銅フレームの線熱膨張係数は20×10-6/℃と
一桁大きいため、ダイボンディング用樹脂ペーストを加
熱硬化した後の冷却過程において、銅フレームの方がシ
リコンチップより大きな割合で収縮することに基づき、
チップの反りひいてはチップクラックあるいはダイボン
ディング用樹脂ペーストの剥離等を引き起こし,IC、
LSI等の半導体製品の特性不良の一因となり得る可能
性がある。このような熱応力を吸収緩和するためにダイ
ボンディング用樹脂ペーストを低弾性率にする必要があ
るが、従来のエポキシ系ダイボンディング用樹脂ペース
トは、熱硬化性樹脂であるため三次元架橋し弾性率が高
くなり、大型チップと銅フレームとの熱膨張率の差に基
づく、歪を吸収するに至らなかった。一方線状高分子タ
イプのポリイミド系ダイボンディング用樹脂ペースト
は、エポキシ系ダイボンディング用樹脂ペーストに比べ
硬化物の弾性率は小さく、チップの反りは改良される。
しかし、ポリイミド樹脂をダイボンディング用樹脂ペー
ストとして用いる場合、塗布作業性の点からN−メチル
−2−ピロリドン,N,Nージメチルホルムアミド等の
多量の極性溶剤に溶解して粘度を調整しなければならな
い。このときの溶剤量はダイボンディング用樹脂ペース
トの30重量%にもなり、半導体素子と金属フレームの
接着に用いた場合、硬化加熱時の溶剤の抜け後として硬
化物中にボイドが発生し、接着強度、熱伝導性及び導電
性の低下の原因となり信頼性の面から好ましくない。
【0004】又、表面実装あるいは高密度実装を目的と
したパッケージサイズの小型化、薄型化に基づく、実装
時の熱ストレスの急激な増加により半導体封止材だけで
なく、ダイボンディング用樹脂ペーストにも耐リフロー
クラック性が要求されてきている。ダイボンディング用
樹脂ペーストの耐リフロークラック性は、半田リフロー
時のストレスを緩和吸収するために、リフロー温度付近
で低弾性率であると共に、半田リフローの前処理段階で
の吸水率が小さく、かつ吸水後でも十分な接合強度、特
に加熱状態で十分な引き剥し方向での強度を示すことが
必要であるが、エポキシ系及びポリイミド系樹脂ペース
トを含めてこれらの特性を満足するものはなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、IC等の大
型チップと銅フレームとの組み合わせでもチップクラッ
クやチップの反りによるIC等の特性不良が生じず、か
つ薄型パッケージでの半田リフロークラックが発生しな
い高信頼性の導電性樹脂ペーストを提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)銀粉、
(B)常温で液状のエポキシ樹脂、(C)1分子内に少
なくとも1個のアルケニル基及び少なくとも2個のフェ
ノール性水酸基を有する化合物と式(1)で示されるシ
リコーン化合物をハイドロシリル化反応し得られる反応
生成物を必須成分とする導電性樹脂ペーストであって、
かつ全導電性樹脂ペースト中に(A)成分を60〜85
重量%、(C)成分を1〜20重量%含む導電性樹脂ペ
ーストであり、
【0007】
【化2】
【0008】成分(C)の硬化剤を用いることにより、
従来から用いられているエポキシ樹脂の硬化剤であるフ
ェノールノボラック樹脂と比べて、硬化物の架橋密度が
大幅に低下し、低弾性率となるためIC、LSI等の大
型チップと銅フレームの組み合わせでも熱膨張率の差に
基づく歪を十分吸収する応力緩和特性に優れるものであ
る。又(C)成分中に、非常に柔軟なシロキサン結合を
主鎖に導入することで硬化物の凝集力をそれほど低下さ
せることなく、硬化物自体を柔軟にできるので、耐熱性
を犠牲にすることなく、従来より問題となっていたエポ
キシ系樹脂ペーストの欠点である引き剥し方向の接着力
を大幅に向上させることができるため、半田リフロー時
の熱ストレスによる導電性樹脂ペースト層の剥離が生じ
にくい、耐リフロークラック性に優れるものである。
【0009】本発明に用いる銀粉は用いる分野が電子電
気分野のためハロゲンイオン、アルカリ金属イオン等の
イオン性不純物量が10ppm以下であることが望まし
い。又形状としてはフレーク状、樹枝状あるいは球状の
ものを単独あるいは混合して用いることができる。更に
粒径に関しては通常平均粒径が2〜10μm、最大粒径
は50μm程度のものが好ましく、比較的細かい銀粉と
粗い銀粉を混合して用いてもよい。全樹脂ペースト中の
銀粉量が60重量%未満だと、硬化物の電気伝導性が低
下し、85重量%を越えると樹脂ペーストの粘度が高く
なり過ぎ塗布作業性の低下の原因となるので好ましくな
い。又本発明に用いるエポキシ樹脂は常温で液状のもの
に限定しているが、常温で液状のものでないと銀粉との
混練において溶剤を必要とする。溶剤は気泡の原因とな
り硬化物の接着強度、熱伝導率を低下させてしまうので
好ましくない。ここで常温で液状のエポキシ樹脂とは、
例えば常温で固形のものでも常温で液状のエポキシ樹脂
と混合することにより常温で安定して液状を示すものも
含む。
【0010】本発明に用いるエポキシ樹脂としてはビス
フェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラッ
ク樹脂、クレゾールノボラック樹脂類とエピクロルヒド
リンとの反応により得られるポリグリシジルエーテル、
ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグ
リコールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ、ジ
グリシジルヒダントイン等の複素環式エポキシ、ビニル
シクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジ
オキサイド、アリサイクリックジエポキシーアジペイト
のような脂環式エポキシ、更ににはn−ブチルグリシジ
ルエーテル、バーサティック酸グリシジルエステル、ス
チレンオキサイド、エチルヘキシルグリシジルエーテ
ル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジル
エーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル等の通常
のエポキシ樹脂の希釈剤として用いられるものがあり、
これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
【0011】本発明で用いる硬化剤は、1分子内に少な
くとも1個のアルケニル基及び少なくとも2個のフェノ
ール性水酸基を有する化合物と式(1)で示されるシリ
コーン化合物とをハイドロシリル化反応により反応させ
た反応生成物であり、全導電性樹脂ペースト中に1〜2
0重量%含まれる。従来より用いられてきた硬化剤であ
るフェノールノボラック樹脂では、硬化物の架橋密度が
高くなるため、弾性率が高くなり応力緩和特性が低下す
ると共に、特に引き剥し方向の接着力が小さいため大型
チップと銅フレームの組み合わせで使用した場合には、
半田リフロー時の応力に耐えられず、銀ペースト層の剥
離ひいてはパッケージクラックを引き起こしてしまう。
1分子内に少なくとも1個のアルケニル基及び少なくと
も2個のフェノール性水酸基を有する化合物のアルケニ
ル基の数が1個以上の場合には、2:1〜1.5:1が
好ましい。モル比が2:1を越えると1分子内に少なく
とも1個のアルケニル基及び少なくとも2個のフェノー
ル性水酸基を有する化合物が未反応成分として残存し、
又1.5:1未満だと式(1)のシリコーン化合物が未
反応成分として残存するため好ましくない。
【0012】本発明の1分子内に少なくとも1個のアル
ケニル基及び少なくとも2個のフェノール性水酸基を有
する化合物と式(1)で示されるシリコーン化合物とを
ハイドロシリル化反応により反応させた反応生成物は、
全導電性樹脂ペースト中に1〜20重量%含むが、1重
量%未満だと、要求される低応力性・高密着性が望めな
く、20重量%を越えると硬化剤量が多くなり過ぎ硬化
後、過剰のフェノール性水酸基が未反応の状態で残存す
るため硬化物の吸水率が大きくなったり、あるいは硬化
後も十分な架橋構造となりえず熱時の接着強度が極端に
低くなるため好ましくない。1分子内に少なくとも1個
のアルケニル基及び少なくとも2個のフェノール性水酸
基を有する化合物と式(1)で示されるシリコーン化合
物とをハイドロシリル化反応により反応させた化合物
は、単独あるいは混合して用いてもよく、また他のフェ
ノールノボラック系樹脂と併用しても差し支えない。1
分子内に少なくとも1個のアルケニル基及び少なくとも
2個のフェノール性水酸基を有する化合物としては、ジ
アリルビスフェノールA、トリス(O−アリルヒドロキ
シフェニル)メタン、ジ(O−アリルヒドロキシフェニ
ル)ヒドロキシフェニルメタン等があり、好ましいの
は、ジアリルビスフェノールAである。又式(1)中の
1は、CH3、又はOCH3で、少なくとも2個はCH3
であり、好ましいのは、全てのR1がCH3のジシロキサ
ンである。
【0013】また必要に応じ、潜在性アミン硬化剤等の
他の硬化剤と併用してもよく、第3級アミン、イミダゾ
ール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホス
フィン・テトラフェニルボレート等の一般にエポキシ樹
脂とフェノール系硬化剤との硬化促進剤として知られて
いる化合物を添加することもできる。本発明において
は、必要に応じ可撓性付与剤、消泡剤、カップリング剤
等を用いることもできる。本発明の製造方法は、例えば
各成分を予備混合した後、3本ロールを用いて混練し、
混練後真空下脱泡し樹脂ペーストを得るなどがある。
【0014】以下実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。配合割合は重量部で示す。実施例,比較例で用い
る1分子内に少なくとも1個のアルケニル基及び少なく
とも2個のフェノール性水酸基を有する化合物と式
(1)で示されるシリコーン化合物とをハイドロシリル
化反応により反応させた反応生成物の製造方法を製造例
として示す。 製造例1 リフラックスコンデンサー、温度計、撹拌機を具備した
内容積1リットルの4つ口フラスコに、1,1,3,3
−テトラメチルジシロキサン67g、ジアリルビスフェ
ノールA(三井東圧化学(株)・製,以下BPA−C
A)300g、ヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物(和
光純薬工業(株)・製)のイソプロピルアルコール溶液
(5重量%)0.1g、リンスタークトラップを使用
し、予め共沸脱水したトルエン500gを入れ、4時間
撹拌環流反応した。得られた内容物からトルエンを減圧
下で留去し、シリコーン化合物Aを得た。 製造例2 製造例1と全く同様な装置を用い,1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサン70g、BPA−CA250
g、ヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物(和光純薬工業
(株)・製)のイソプロピルアルコール溶液(5重量
%)0.1g、リンスタークトラップを使用し、予め共
沸脱水したトルエン500gを入れ、4時間撹拌環流反
応した。得られた内容物からトルエンを減圧下で留去
し、シリコーン化合物Bを得た。 製造例3 製造例1と全く同様な装置を用い,1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサン70g、O−アリルフェノール
140g、ヘキサクロロ白金(IV)酸6水和物(和光純
薬工業(株)・製)のイソプロピルアルコール溶液(5
重量%)0.1g、リンスタークトラップを使用し、予
め共沸脱水したトルエン500gを入れ、4時間撹拌環
流反応した。得られた内容物からトルエンを減圧下で留
去し、シリコーン化合物Cを得た。
【0015】実施例1〜5 粒径1〜30μmで平均粒径3μmのフレーク状銀粉と
ビスフェノールFエポキシ(エポキシ当量170、常温
で液状、以下ビスFエポキシ)、クレジルグリシジルエ
ーテル(エポキシ当量185)、シリコーン化合物A
(水酸基当量189)、シリコーン化合物B(水酸基当
量197)、ビスフェノールF(水酸基当量100)、
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量104)、ジシ
アンジアミド、1,8−ジアザビシクロウンデセンを表
1に示す割合で配合し、3本ロールで混練して導電性樹
脂ペーストを得た。
【0016】この導電性樹脂ペーストを真空チャンバー
にて、2mmHgで30分間脱泡した後以下の方法によ
り各種性能を評価した。 粘度 :E型粘度計(3°コーン)を用い25
℃、2.5rpmでの値を測定。 体積抵抗率 :スライドガラス上にペーストを幅4m
m、厚さ30μmに塗布し、200℃のオーブン中で6
0分間硬化した後、硬化物の体積抵抗率を測定。 弾性率 :テフロンシート上にペーストを幅10m
m、長さ約150mm厚さ100μmに塗布し、200
℃のオーブン中で60分間硬化した後、引張り試験機で
試験長100mm、引張り速度1mm/分にて測定し、
得られた応力ーひずみ曲線の初期勾配より弾性率を算
出。 接着強度 :9×9mmのシリコンチップをペースト
を用いて銅フレームにマウントし、200℃で60秒間
熱板上で硬化した。硬化後マウント強度測定装置を用
い、240℃での熱時ダイシェア強度を測定。
【0017】チップの反り:6×15×0.3mmのシ
リコンチップを銅フレーム(200μm厚さ)にペース
トでマウントし、200℃で60秒間硬化した後、チッ
プの反りを表面粗さ計(測定長13mm)で測定。 耐パッケージクラック性:シリカフィラーを約78%含
有するビフェノール型エポキシ/フェノールノボラック
樹脂系の封止材料を用い下記の条件で成形したパッケー
ジを85℃、85%、120時間吸水処理した後,IR
リフロ ー(240℃、10秒)処理をし、
断面観察により内部クラックの数を測定し耐パッ
ケージクラッ ク性の指標とした。 パッケージ : 80pQFP (14×20×2.0mm厚さ) チップサイズ : 9×9mm(アルミ配線の
み) リードフレーム : 銅材 成形 : 175℃、2分 ポストモールドキュア: 175℃、8時間 比較例1〜7 表2に示す配合割合で実施例と全く同様にして導電性樹
脂ペーストを作製した。評価結果を表2に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】本発明の導電性樹脂ペーストは、硬化物
の弾性率が低く銅、42合金等の金属フレーム、セラミ
ック基板、ガラスエポキシ等の有機基板へのIC,LS
I等の半導体素子の接着に用いることができる。特に銅
フレームへの大型チップの接着に適しており、銅フレー
ムとシリコンチップの熱膨張率の差に基づくIC、LS
I等の特性不良を防ぐことができ、薄型パッケージに用
いても半田処理時にクラックの発生がなく、従来になか
った高信頼性の半導体素子接着用の導電性樹脂ペースト
である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−153768(JP,A) 特開 平1−153766(JP,A) 特開 昭63−199220(JP,A) 特開 平5−43659(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 63/00 - 63/10 C08G 59/62 C08K 3/08 H01B 1/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)銀粉、(B)常温で液状のエポキ
    シ樹脂、(C)1分子内に少なくとも1個のアルケニル
    基及び少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する化
    合物と式(1)で示されるシリコーン化合物をハイドロ
    シリル化反応し得られる反応生成物を必須成分とする導
    電性樹脂ペーストであって、かつ全導電性樹脂ペースト
    中に(A)成分を60〜85重量%、(C)成分を1〜
    20重量%含むことを特徴とする導電性樹脂ペースト。 【化1】
  2. 【請求項2】 ジアリルビスフェノールAと式(1)で
    示されるシリコーン化合物との反応モル比が2:1〜
    1.5:1で得られる反応生成物(C)である請求項1
    記載の導電性樹脂ペースト。
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