JP3384433B2 - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、アコース
ティック・ピアノを模倣した電子ピアノのような電子楽
器に関し、特に、上蓋が開閉自在に取り付けられた電子
楽器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、ピアノと呼ばれる楽器は、アコ
ースティック・ピアノと、エレクトリック・ピアノ、エ
レクトロニック・ピアノの3つに大別することができ、
通常、単にピアノと言えばアコースティック・ピアノを
指す。アコースティック・ピアノは、さらに図3に示す
ような平型のグランド・ピアノ300や、図4に示すよ
うな縦型のアップライト・ピアノ400等に分類され
る。そして、グランド・ピアノ300やアップライト・
ピアノ400等には、上蓋301,401が開閉自在に
取り付けられており、上蓋301,401を開閉するこ
とにより、発音される楽音の音色が制御されるようにな
されている。
【0003】一方、エレクトリック・ピアノは、弦や鉄
の棒、リード状の鉄片を叩いたときの振動をピックアッ
プで拾い、増幅して発音するピアノであり、電気ピアノ
とも呼ばれ、また、エレクトロニック・ピアノは、電子
回路の発振器を音源にしたピアノであり、電子ピアノと
も呼ばれる。
【0004】そこで、例えば、上述のようなアコーステ
ィック・ピアノと外観形状が同じで、中身の構造に関し
ては、音源を電子音としてスピーカから出力するように
なされた電子ピアノがある。このような電子ピアノで
は、発音する楽音としてアコースティック・ピアノの楽
音をサンプリングしたものが用いられているため、音質
がアコースティック・ピアノと非常に似た楽音を発音す
ることができるようになされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アコー
スティック・ピアノでは上蓋を開閉することにより音色
が制御されるのに対して、上述したようなアコースティ
ック・ピアノを模倣した従来の電子ピアノでは、上蓋を
開閉しても、アコースティック・ピアノと同様の効果を
得ることができなかった。例えば、上記図4に示したア
ップライト・ピアノ400を模倣した電子ピアノでは、
スピーカが上蓋401に対して下部Aに設けられている
ため、上蓋を開閉しても、スピーカから出力される楽音
を最適な音色に変えることができなかった。また、上述
したような電子ピアノでは、ヘッドフォンを使用して発
音される楽音を聴く場合があるが、この場合は特に、ヘ
ッドフォンから出力される楽音と、上蓋の開閉による音
色制御とは全く関係がなくなるため、上蓋を開閉して
も、ヘッドフォンから出力される楽音の音色を全く変え
ることができなかった。上述のように、従来の電子ピア
ノは、アコースティック・ピアノと同様にして、上蓋の
開閉に応じて楽音の音色を制御することができなかった
ため、外観形状はアコースティック・ピアノと同じであ
るにも係わらず、その発音される楽音は、自然な感じが
損なわれていた。
【0006】そこで、本発明は、上記の欠点を除去する
ために成されたもので、上蓋が開閉自在に取り付けられ
た電子楽器において、その上蓋の開閉に応じて音色を制
御することにより、電気的性質を軽減し、より自然楽器
に近づけた電子楽器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電子楽器
は、開閉自在に取り付けられた上蓋を有する電子楽器で
あって、上記上蓋の開閉状態を検出する検出手段と、鍵
盤の操作に対応した楽音信号を音色パラメータを含む情
報に基づいて形成する音源手段と、上記音源手段で得ら
れた楽音信号の音響特性を上記検出手段により検出され
た上蓋の開閉状態に応じて制御するとともに、上記音源
手段に供給する音色パラメータを含む情報を変更する制
御手段とを備えることを特徴とする。また、上記制御手
段は、上記検出手段の検出結果に応じて上記音色パラメ
ータを変更することを特徴とする。また、上記制御手段
は、上記検出手段の検出結果に応じて、上記音源手段で
得られた楽音信号の周波数特性を変更することを特徴と
する。また、上記制御手段は、上記検出手段の検出結果
に応じて、上記音源手段で得られた楽音信号の残響特性
を変更することを特徴とする。また、上記検出手段は、
上記上蓋の開閉度を検出することを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明によれば、制御手段により、検出手段で
検出された上蓋の開閉状態に応じて、音源手段から出力
される楽音信号の音響特性が制御される。これにより、
上記上蓋の開閉状態に応じて、発音される楽音の音響特
性が制御される。また、上記上蓋の開閉状態に応じて、
発音される楽音の音色が変更される。また、上記上蓋の
開閉状態に応じて、発音される楽音の周波数特性が変更
される。また、上記上蓋の開閉状態に応じて、発音され
る楽音の残響特性が変更される。また、上記検出手段
は、上記上蓋の開閉状態を開閉度として検出する。これ
により、上記開閉度に応じて、発音される楽音の音響特
性が制御される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を用いて説明する。
【0010】本発明に係る電子楽器は、例えば、図1に
示すような、アップライト・ピアノを模倣した電子ピア
ノ100に適用され、この電子ピアノ100は、上蓋1
10が図中の矢印に示すように開閉自在に取り付けられ
ている。
【0011】また、電子ピアノ100は、図2に示すよ
うに、鍵盤部101と、上蓋110の開閉の検出回路1
02と、鍵盤部101及び検出回路102の各出力が供
給されるCPU(Central Processing Unit )103
と、CPU103の出力が供給される楽音発生回路10
4と、楽音発生回路104の出力が供給される効果回路
105と、効果回路105の出力が供給されるディジタ
ル/アナログコンバータ(DAC)106と、DAC1
06の出力が供給される増幅器(AMP)107と、A
MP107の出力が供給されるスピーカ108とを内部
に備えた構成としている。
【0012】上述のような電子ピアノ100では、ま
ず、鍵盤部101は、図示していないが、複数の鍵とそ
の鍵の各々に対応して設けられた鍵スイッチを含む1つ
又は複数の鍵盤から成っている。上記鍵スイッチは、押
鍵及び離鍵を検出すると共に、鍵の動作スピードも検出
するようになされている。
【0013】そこで、上述のような鍵盤で演奏される
と、CPU103は、鍵盤部101の各鍵スイッチのス
キャン処理を行って、鍵盤部101の各鍵の操作状態、
すなわち押鍵、離鍵、操作された鍵のキーナンバ、及び
鍵の動作スピードに関するベロシティ等の操作状態を検
出する。また、CPU103は、図示していない操作パ
ネル部の各操作子のスキャン処理も行って、上記操作パ
ネル部の操作状態を検出する。尚、上記操作パネル部
は、リズム、音色、音量、及び効果等を設定する操作子
の他、プリセットされている自動演奏データに基づく自
動演奏を指示するためのデモスイッチ等の操作子が配列
されたものである。そして、CPU103は、検出した
鍵盤部101や上記操作パネル部の操作状態に基づい
て、装置全体の動作制御を行うと共に、音程、音色及び
音量等のパラメータを生成して、楽音発生回路104に
供給する。
【0014】楽音発生回路104は、図示していない波
形メモリを有しており、この波形メモリには、PCM
(Pulse Code Modulation )方式等によりアコースティ
ック・ピアノの楽音をサンプリングして得られた音源波
形が記憶されている。楽音発生回路104は、CPU1
03からのパラメータに基づいて、上記波形メモリに記
憶された音源波形から、ディジタルデータ形式の楽音デ
ータ(ディジタル楽音データ)を形成し、そのディジタ
ル楽音データを効果回路105に供給する。
【0015】効果回路105は、DSP(Digital Sign
al Processor)を含み、楽音発生回路104からのディ
ジタル楽音データに対して演算処理を行うことにより、
フィルタ効果、残響(リバーブ)効果、ディレイ効果、
及びコーラス効果等、各種音響効果を付加する。
【0016】ここで、CPU103から効果回路105
には、フィルタ特性や残響特性の制御を行うための制御
パラメータが供給されており、したがって、効果回路1
05は、この制御パラメータに基づいて、上述したよう
な各種音響効果を付加するための処理を行う。
【0017】効果回路105で各種音響効果が付加され
たディジタル楽音データは、DAC106によりアナロ
グ化され、楽音信号としてAMP107に供給される。
【0018】AMP107は、スピーカ108を駆動す
る電力が得られるように、DAC106からの楽音信号
を増幅し、増幅した楽音信号をスピーカ108に供給す
る。
【0019】したがって、スピーカ106からは、AM
P107で増幅された楽音信号に基づいた楽音が出力さ
れる。
【0020】一方、上記図1に示すように、電子ピアノ
100本体の上部Bには、例えば、上蓋110が閉じら
れた時に押圧されてOFFとなるメカスイッチ111が
設けられており、検出回路102は、このメカスイッチ
111の状態を検出する。
【0021】CPU103は、検出回路102の検出結
果により、上蓋110の開閉状態を認識し、その開閉状
態に応じて、発音される楽音の音色が変わるように、装
置全体の動作制御を行う。
【0022】すなわち、CPU103は、上蓋110の
開閉状態に応じて、上述のようにして楽音発生回路10
4に供給する音程、音色及び音量等のパラメータ、すな
わち回路内のフィルタ係数、エンベローブ係数、上述し
た波形メモリのアドレス等、音色に係わる各種パラメー
タを変更する。また、CPU103は、上蓋110の開
閉状態に応じて、上述のようにして効果回路105に供
給する制御パラメータ、すなわちフィルタ係数や残響特
性等を制御するためのパラメータを変更する。
【0023】したがって、楽音発生回路104は、CP
U103により変更されたパラメータに基づいて、ディ
ジタル楽音データを形成し、効果回路105は、CPU
103により変更されたパラメータに基づいて、楽音発
生回路104からのディジタル楽音データに各種音響効
果を付加することとなる。これにより、スピーカ108
から出力される楽音の音色は、上蓋110の開閉状態に
応じて制御されたものとなる。
【0024】上述のように、電子ピアノ100は、上蓋
110の開閉状態を検出し、その検出結果に応じて、発
音される楽音の音色を変えるようになされているため、
アップライト・ピアノのようなアコースティック・ピア
ノにおいて、上蓋を開けた時と閉めた時の音響特性を模
倣することができる。これにより、電子ピアノ100
は、上蓋110を開閉することにより、アコースティッ
ク・ピアノと同様な、より自然な感じの楽音を発音する
ことができる。また、図示していないが、ヘッドフォン
を使用する場合にも、上蓋110を開閉することによ
り、上記ヘッドフォンから出力される楽音の音色を変え
ることができるため、臨場感を増すことができ、アコー
スティック・ピアノと同様な、より自然な感じの楽音を
聴くことができる。
【0025】尚、上述した電子ピアノ100では、上蓋
110の開閉状態をメカスイッチ111により検出する
こととしたが、例えば、メカスイッチ111の代わりに
ボリュームや光センサを設けることにより、上蓋110
の開閉状態を開閉度としてアナログ的に検出するように
してもよい。これにより、メカスイッチ111を設けた
場合のON/OFF状態検出のみならず、その中間値の
検出も行うことができるため、発音される楽音の音色を
微妙に変えることもできる。
【0026】また、上述した電子ピアノ100におい
て、例えば、DAC106の後段にイコライザ(EQ)
や残響回路を設け、CPU103は、上蓋110の開閉
状態に応じて、上記コライザ(EQ)や残響回路の特性
を変更するようにしてもよい。また、CPU103は、
上蓋110の開閉状態に応じて、DAC106から出力
される楽音信号が上記コライザ(EQ)や残響回路に供
給されるように、又は供給されないように、その出力系
列を切り換えるようにしてもよい。
【0027】また、本発明に係る電子楽器は、上述した
ようなアップライト・ピアノを模倣した電子ピアノ10
0に限らず、上蓋が開閉自在に取り付けられたものであ
れば、ハープシコードやリードオルガン等の電子楽器全
てに適用することができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、上
蓋の開閉状態に応じて、発音される楽音の音色、周波数
特性、残響効果等の音響特性を制御するように構成した
ことにより、より自然な感じを再現することができる。
例えば、アコースティック・ピアノにおいて上蓋の開閉
状態に応じて音色が制御されるのと同様の効果を得るこ
とができるため、よりアコースティック・ピアノに近い
音色を発音することができる。したがって、電子楽器の
電気的性質を軽減することができ、より自然楽器に近づ
くことができる。特に、例えば、ヘッドフォンを使用す
る場合にも、上蓋の開閉状態に応じて、上記ヘッドフォ
ンから出力される楽音の音響特性を制御することができ
るため、その効果は顕著である。また、上記上蓋の開閉
状態を開閉度として検出するように構成したことによ
り、音響特性の微妙な制御も行うことができる。例え
ば、ボリュームや光センサを用いて、上記上蓋の開閉状
態をON/OFFの状態だけではなく、アナログ的に中
間値を検出することにより、ON/OFFの状態に対応
した制御だけではなく、その中間値に対応した制御も行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子楽器を適用した電子ピアノの
外観の一例を示す平面図である。
【図2】上記電子ピアノの内部構成を示すブロック図で
ある。
【図3】グランド・ピアノの外観を示す平面図である。
【図4】アップライト・ピアノの外観を示す平面図であ
る。
【符号の説明】
100 電子ピアノ 101 鍵盤部 102 検出回路 103 CPU 104 楽音発生回路 105 効果回路 106 DAC 107 AMP 108 スピーカ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10H 1/00 G10H 1/32 - 1/34

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開閉自在に取り付けられた上蓋を有する
    電子楽器であって、 上記上蓋の開閉状態を検出する検出手段と、 鍵盤の操作に対応した楽音信号を音色パラメータを含む
    情報に基づいて形成する音源手段と、 上記音源手段で得られた楽音信号の音響特性を上記検出
    手段により検出された上蓋の開閉状態に応じて制御する
    とともに、上記音源手段に供給する音色パラメータを含
    む情報を変更する制御手段とを備えることを特徴とする
    電子楽器。
  2. 【請求項2】 上記制御手段は、上記検出手段の検出結
    果に応じて上記音色パラメータを変更することを特徴と
    する請求項1記載の電子楽器。
  3. 【請求項3】 上記制御手段は、上記検出手段の検出結
    果に応じて、上記音源手段で得られた楽音信号の周波数
    特性を変更することを特徴とする請求項1記載の電子楽
    器。
  4. 【請求項4】 上記制御手段は、上記検出手段の検出結
    果に応じて、上記音源手段で得られた楽音信号の残響特
    性を変更することを特徴とする請求項1記載の電子楽
    器。
  5. 【請求項5】 上記検出手段は、上記上蓋の開閉度を検
    出することを特徴とする請求項1記載の電子楽器。
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