JP3384152B2 - 含フッ素共重合体の製造方法 - Google Patents

含フッ素共重合体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フルオロオレフィン単
量体単位、カルボン酸ビニルエステル単量体単位および
アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体単位を主
体に構成され、有機溶剤に可溶で、耐候性塗料用樹脂お
よびフィルム等として有用な含フッ素共重合体の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機溶剤に可溶で水酸基を含有す
る含フッ素共重合体が開発され、耐久性が極めて高い塗
料基材として多様な産業分野で用いられている。この種
の含フッ素共重合体としては、フルオロオレフィン単量
体単位、水酸基含有単量体単位およびその他のラジカル
重合性単量体単位から構成されるものが従来から提案
(特開昭57−34107 号公報、特開昭61−57609 号公報、
特開平3−231906号公報)されており、含フッ素共重合
体中の水酸基含有単量体単位はイソシアネート化合物や
メラミン等の硬化剤と架橋して強靱な塗膜を与えるため
の成分となる。
【0003】従来技術による含フッ素共重合体の合成
は、フルオロオレフィン単量体、水酸基含有単量体およ
びその他のラジカル重合性単量体の混合物を一括して反
応器に仕込み、重合媒体中でラジカル重合開始剤の存在
下に共重合させる方法によっており、水酸基含有単量体
としてはヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキ
シアルキルアリルエーテルまたはクロトン酸ヒドロキシ
アルキルエステルなどが用いられている。ところが、従
来、アクリルウレタン塗料基材等に適用されているアク
リル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体やメタクリル
酸ヒドロキシアルキルエステル単量体等の水酸基含有単
量体を用いて上記の方法により含フッ素共重合体を合成
すると、前記の水酸基含有単量体がフルオロオレフィン
単量体との共重合性に劣るために重合反応液や得られた
樹脂の有機溶剤の溶液が白濁したり不均一となって、形
成する塗膜の光沢が著しく低下するといった問題があっ
た。
【0004】一般に、単量体1と単量体2をラジカル共
重合させる際の共重合性は、共重合反応性比r1 、r2
により表される。r1 は、単量体1と単量体2の共重合
速度定数(k12)に対する単量体1の単独重合速度定数
(k11)の比をいい、r2 は単量体2と単量体1の共重
合速度定数(k21)に対する単量体2の単独重合速度定
数(k22)の比をいう。ここで、単量体1をフルオロオ
レフィン単量体とし、単量体2をアクリル酸ヒドロキシ
アルキルエステル単量体あるいはメタクリル酸ヒドロキ
シアルキルエステル単量体とした場合、r2 はr1 に対
して著しく大きくなることが知られている(里川孝臣
著、「機能性含ふっ素高分子」、p.12、日刊工業新聞社
発行)。このため、もっぱら単量体2同士の重合反応が
発生する結果を与えることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来技術
に従ってフルオロオレフィン単量体とアクリル酸ヒドロ
キシアルキルエステルあるいはメタクリル酸ヒドロキシ
アルキルエステル単量体などの水酸基含有単量体を一括
して反応器に仕込み、共重合反応を行った場合、これら
水酸基含有単量体の単独重合体が形成されるといった問
題が避けられなかった。
【0006】本発明者らは、含フッ素共重合体中の水酸
基含有単量体単位として、アクリル酸ヒドロキシアルキ
ルエステルあるいはメタクリル酸ヒドロキシアルキルエ
ステルを含有する均一な重合反応液を得るべく鋭意検討
した結果、フルオロオレフィン単量体に予めカルボン酸
ビニルエステル単量体および所望によりその他の共重合
性単量体を一定範囲で配合した混合物に所定量のアクリ
ル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体を連続的または
間欠的に添加し、有機溶媒中でラジカル重合開始剤の存
在下に共重合すると、重合反応液が白濁化せず、かつ不
均一になることなく含フッ素共重合体が得られることを
見い出した。更に、驚くべきことにアクリル酸ヒドロキ
シアルキルエステル単量体がメタクリル酸ヒドロキシア
ルキルエステル単量体に比べて極めて良好な結果を与え
ることを確認して、本発明を完成するに至った。
【0007】したがって、本発明の目的は、フルオロオ
レフィン単量体単位、カルボン酸ビニルエステル単量体
単位およびアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量
体単位を主体に構成され、重合反応液や得られた樹脂の
有機溶剤の溶液が無色透明で、均一な含フッ素共重合体
の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による含フッ素共重合体の製造方法は、(a)
フルオロオレフィン、 (b)カルボン酸ビニルエステル、
(c)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルおよび所望
により (d)その他の共重合性単量体を共重合させるに当
たり、 (c)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを重
合器に連続的または間欠的に逐次添加し、有機溶媒中で
ラジカル共重合させることを構成上の特徴とする。
【0009】本発明に使用される (a)フルオロオレフィ
ン単量体としては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、
トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロ
ロトリフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレ
ン等を挙げることができ、これらは単独もしくは2種類
以上を併用することができる。このうち、重合反応性の
点からテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエ
チレンおよびヘキサフルオロプロピレンが好ましく用い
られ、とくにクロロトリフルオロエチレンの使用が最適
である。
【0010】ラジカル共重合に供する (a)フルオロオレ
フィン単量体の量は、全単量体の合計量を基準にして4
0〜80モル%の範囲に設定する。この量が40モル%
未満であると、得られる共重合体中のフルオロオレフィ
ン単量体単位の割合が30モル%に達し難くなって、耐
候性を減退させる結果を招く。一方、80モル%を越え
ると共重合体の重合媒体に対する溶解性が劣り、重合が
不安定になる。
【0011】(b)カルボン酸ビニルエステル単量体とし
ては、直鎖および分岐状の脂肪族カルボン酸ビニルエス
テルならびに脂環式カルボン酸ビニルエステルが好まし
く、具体的には酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸
ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリ
ン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、
バーサチック酸ビニル,シクロヘキサンカルボン酸ビニ
ル等が挙げられ、1種または2種以上を併せて使用に供
する。安息香酸ビニル等の芳香族のカルボン酸ビニルエ
ステルでは、得られる含フッ素共重合体の耐候性がやや
劣る。
【0012】ラジカル共重合に供する (b)カルボン酸ビ
ニルエステル単量体の量は、全単量体の合計量を基準に
して15〜50モル%の範囲に設定する。この量が15
モル%未満であると、 (c)アクリル酸ヒドロキシアルキ
ルエステル単量体との共重合率が低下し、50モル%を
越えると得られる重合体の耐候性が劣化する。
【0013】(c)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステ
ル単量体としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒ
ドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ア
クリル酸4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルおよびア
クリル酸ヒドロキシエチルのカプロラクトン変成物等が
挙げられる。該アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル
単量体は、全単量体の合計量を基準にして3〜20モル
%の量比でラジカル共重合に供する。この量が3モル%
未満であると、イソシアネート化合物およびメラミン等
の硬化剤との反応が不足して塗料とした際に強靱な塗膜
が得られなくなる。一方、20モル%を越えると、アク
リル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体の単独重合体
が形成し易くなって、重合反応液が白濁したり、不均一
になる。
【0014】本発明においては、所望により上記単量体
以外に (d)その他の共重合性単量体を共重合に供するこ
とができる。 (d)その他の共重合性単量体として特に好
適な単量体は、得られる含フッ素共重合体が硬化塗膜の
形成の際に併用される多価イソシアネートとの相溶性に
優れる点で、クロトン酸ヒドロキシアルキルエステルま
たはヒドロキシアルキルビニルエーテルである。このう
ち、クロトン酸ヒドロキシアルキルエステル単量体単位
としては、2−ヒドロキシエチルクロトネート、4−ヒ
ドロキシブチルクロトネート、2−ヒドロキシプロピル
クロトネート等が挙げられが、耐候性や基材との密着性
の点から2−ヒドロキシエチルクロトネートが好まし
い。ヒドロキシアルキルビニルエーテル単量体として
は、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロ
キシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビ
ニルエーテル等が挙げられる。
【0015】クロトン酸ヒドロキシアルキルエステルま
たはヒドロキシアルキルビニルエーテル以外では、エチ
レン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィン、
塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素化オレフィン、酢
酸アリル、酪酸アリル等のアリル化合物、エチルビニル
エーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエ
ーテル類、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル等の
クロトン酸エステル類、クロトン酸、(メタ)アクリル
酸、ビニル酢酸等のα,β−不飽和カルボン酸などが使
用できる。しかし、その使用量は重合の安定性の点から
20モル%未満に留めることが望ましい。
【0016】本発明における各単量体の好ましい仕込み
割合は、全単量体の合計量を基準として、 (a)フルオロ
オレフィン30〜80モル%、 (b)カルボン酸ビニルエ
ステル15〜50モル%、 (c)アクリル酸ヒドロキシア
ルキルエステル1.5〜20モル%および所望により添
加される (d)クロトン酸ヒドロキシアルキルエステルま
たはヒドロキシアルキルビニルエーテル1.5〜20モ
ル%である。かかる仕込み割合で上記単量体を共重合し
て得られる含フッ素共重合体は、多価イソシアネートと
の相溶性が良好で、溶液型塗料用として適している。
(c)アクリル酸ヒドロキシアルキルの共重合割合が、
1.5モル%未満であると塗膜の光沢が不足し易いう
え、前記 (b)単量体および/または (d)単量体の重合転
換率が低下し、20モル%を越えると得られる共重合体
と多価イソシアネートとの相溶性が不足し易くなる。
(d) クロトン酸ヒドロキシアルキルエステルまたはヒド
ロキシアルキルビニルエーテルの共重合割合が、1.5
モル%未満であると得られる共重合体と多価イソシアネ
ートの相溶性が減退し、20モル%を越えると得られる
共重合体の耐候性が低下する。
【0017】(a)フルオロオレフィン、 (b)カルボン酸
ビニルエステル、および (d)クロトン酸ヒドロキシアル
キルエステルまたはヒドロキシアルキルビニルエーテル
の各単量体とともに、 (c)アクリル酸ヒドロキシアルキ
ルエステル単量体と共重合させると、未反応単量体の量
が極めて少なく、重合反応液をそのまま塗料用として使
用することが可能となる。これに対し、 (a)フルオロオ
レフィン、 (b)カルボン酸ビニルエステルおよび (d)ク
ロトン酸ヒドロキシアルキルエステルまたはヒドロキシ
アルキルビニルエーテルの共重合では、カルボン酸ビニ
ルエステルおよびクロトン酸ヒドロキシアルキルエステ
ル等の一部が未反応単量体として重合反応液中に残り易
くなる。
【0018】本発明の含フッ素共重合体の製造方法は、
上記のモル比範囲で混合した (a)フルオロオレフィン単
量体と (b)カルボン酸ビニルエステル単量体および所望
により配合される (d)その他の共重合性単量体からなる
単量体混合物を、まず反応器に仕込み、所定の重合温度
に昇温した後に (c)アクリル酸ヒドロキシアルキルエス
テル単量体を高圧定流量ポンプにより連続的または間欠
的に逐次添加するプロセスで行われる。この際、 (c)ア
クリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体を単独で反
応器の導入管に流入すると管内で重合が発生するため、
予め有機溶媒で希釈した溶液として重合系に添加するこ
とが好ましい。 (c)アクリル酸ヒドロキシアルキルエス
テル単量体を重合系に連続添加する時期は、重合反応の
全期間に亘っても、その一部であってもよい。しかし、
瞬間的に全量を添加することは、単独重合体の形成を招
くため不適切である。本発明においては、所定量の (c)
アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル単量体の全量を
連続して、またはこれを任意の割合に分割して間欠的
に、重合系に転化することができる。このようにして逐
次添加することによって、反応器内のアクリル酸ヒドロ
キシアルキルエステル単量体の存在量は、可及的に少な
い量としておくことが可能となり、本発明の目的が達成
される。
【0019】重合方法としては、有機溶媒およびラジカ
ル発生型重合開始剤を使用する溶液重合を適用すること
が好適である。水性媒体を用いる重合では、アクリル酸
ヒドロキシアルキルエステル単量体の水に対する溶解度
が高いため、他の単量体が形成する油滴側への分配比が
低くなって、均一な重合液が得られ難くなる。
【0020】溶液重合に用いる重合溶媒としては、トル
エン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、酢酸
エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロヘキサノン、エタノール、n−ブ
タノールおよびターシャリーブタノール等が挙げられ
る。また、重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオ
キシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシピ
バレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイド等の過酸化物、ならびにアゾイソブチロニト
リル、アゾイソブチルバレロニトリル等のアゾ化合物等
が挙げられる。さらに、重合中にフルオロオレフィン単
量体から生じる酸を捕捉して、重合を安定化するために
塩基性化合物、陰イオン交換樹脂、ハイドロタルサイト
類およびエポキシ化合物を重合溶液中に適量加えてもよ
い。
【0021】重合条件としては、重合温度は0℃〜80
℃、圧力については3〜20kg/cm2 が適当である
が、より好ましくは重合温度を30〜60℃、圧力を5
〜15kg/cm2 の範囲に設定することである。
【0022】本発明によって得られる含フッ素共重合体
は、適宜な硬化剤を併用することにより、常温硬化型塗
料または加熱硬化型塗料として使用される。硬化剤とし
ては、多価イソシアネート化合物またはアミノプラスト
樹脂等の水酸基との反応性基を1分子中に複数個有する
化合物である。多価イソアシネート化合物としては、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネートおよびブロックイソシアネート等が挙げられ、ア
ミノプラスト樹脂としては、メチレン化メラミン、ブチ
ル化メラミン等のメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂
および尿素樹脂等が挙げられる。多価イソシアネート化
合物の好ましい量は、該イソシアネート化合物に由来す
るイソシアネート基が含フッ素共重合体に由来する水酸
基とほぼ等モルとなる量であり、またアミノプラスト樹
脂を使用する場合には、含フッ素共重合体100重量部
あたり10〜30重量部程度が好ましい。また、これら
硬化剤とともに、ジブチル錫ジラウレートまたはp−ト
ルエンスルホン酸等の硬化反応を促進させる化合物を用
いてもよい。
【0023】塗料の調製にあたっては、含フッ素共重合
体の溶液中に顔料、流動調節剤、紫外線吸収剤、分散安
定剤および酸化防止剤等の各種添加剤、ならびに必要に
応じて他の樹脂等を加えてもよい。なお、含フッ素共重
合体をワニスとして用いる場合には、固形分濃度を40
〜60重量%にすることが好ましい。
【0024】
【作用】本発明によれば、前述した特有の成分比率およ
び仕込み方法で共重合することにより、フルオロオレフ
ィン単量体単位30〜60モル%、カルボン酸ビニルエ
ステル単量体単位25〜50モル%、アクリル酸ヒドロ
キシアルキルエステル単量体単位5〜30モル%、その
他のラジカル重合性単量体単位0〜10モル%の組成を
有し、重合反応液や得られた樹脂の有機溶媒の溶液が白
濁することがなく、均一で塗料とした際に耐候性に優れ
る含フッ素共重合体を得することが可能となる。したが
って、耐候性塗料用基材として有用な高品位の含フッ素
共重合体が工業的に製造される。
【0025】
【実施例】以下に、実施例、比較例を示して本発明をさ
らに具体的に説明する。
【0026】実施例1 (1)含フッ素共重合体の調製 撹拌機を備えた1.5リットルのオートクレーブに、キ
シレン200g、プロピオン酸ビニル80g、バーサチ
ック酸ビニル〔シェル石油化学(株)製“ベオバ−
9”〕48gを仕込み、窒素ガスで空間部を置換した
後、クロロトリフルオロエチレン280gを加え、オー
トクレーブを40℃に加熱した。ついで、キシレン10
0gとアクリル酸4−ヒドロキシブチル37gの混合液
およびキシレン30gとジ−2−エトキシエチルパーオ
キシジカーボネート〔日本油脂(株)製“パーロイルE
EP”〕6gの混合液をそれぞれ高圧定流量マイクロポ
ンプで6時間かけて仕込んだ。その後、6時間撹拌しな
がら40℃の温度に保持した。未反応のクロロトリフル
オロエチレンをパージし、オートクレーブを開放して6
30gの無色透明で均一な重合反応液を得た。
【0027】(2)含フッ素共重合体の物性評価 上記重合反応液の一部を採り、共重合体の数平均分子量
(ゲルパーミエーション法)、フッ素含有量(フッ素定
量分析法)および水酸基価の測定、核磁気共鳴分析を行
った。その結果、数平均分子量は12000(ポリスチ
レン換算値)、フッ素含有量は23.5重量%、水酸基
価は46(mg−KOH/g−レジン)であった。さら
に、 1H−NMRおよび13C−NMRの測定結果とも併
せて重合体の組成解析を行ったところ、共重合体の組成
はクロロトリフルオロエチレン50モル%、プロピオン
酸ビニル28モル%、バーサチック酸ビニル12モル
%、アクリル酸4−ヒドロキシブチル10モル%である
ことが確認された。
【0028】(3)塗料塗膜の評価 上記の重合反応液50gにキシレン25g、メチルイソ
ブチルケトン75gおよび酸化チタン25gを加えてペ
イントコンディショナーで1時間混合した。この溶液に
ジブチル錫ジラウレート0.26mgおよびコロネート
HX〔日本ポリウレタン工業(株)製)4g[NCO/
OH=1/1(当量比)]を添加して塗料を形成した。
得られた塗料を、クロメート処理した0.6mmのアル
ミ板にバーコーターで塗布し、常温で1週間自然乾燥
し、厚さ20μmの塗膜を得た。塗膜の評価をJIS−
K5400ならびに常用の各種方法で行い、表1の結果
を得た。なお、光沢保持試験は蛍光紫外線耐候性試験機
(Qパネル社製)を用いて光線を連続照射し、8時間を
1サイクルとして1サイクルのうち4時間塗面裏側から
イオン交換水をスプレーし、4000時間試験後の60
度光沢度の初期光沢度に対する保持率(%)として示し
た。
【0029】実施例2 (1) 含フッ素共重合体の調製 撹拌機を備えた1.5リットルのオートクレーブに、キ
シレン200g、カプロン酸ビニル150gを仕込み、
窒素ガスで空間部を置換した後、クロロトリフルオロエ
チレン280gを加え、オートクレーブを40℃に加熱
した。ついで、キシレン100gとアクリル酸2−ヒド
ロキシエチル30gの混合液およびキシレン30gとジ
−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート6gの
混合液をそれぞれ高圧定流量マイクロポンプで6時間か
けて仕込んだ。その後、5時間撹拌しながら40℃の温
度に保持した。未反応のクロロトリフルオロエチレンを
パージし、オートクレーブを開放して660gの無色透
明で均一な重合反応液を得た。
【0030】(2)含フッ素共重合体の物性評価 上記重合反応液の一部を採って実施例1と同様にして物
性評価をおこなった結果、数平均分子量は15000、
フッ素含有量は23.1重量%、水酸基価は43であっ
た。共重合体の組成は、クロロトリフルオロエチレン5
1モル%、カプロン酸ビニル39モル%、アクリル酸2
−ヒドロキシエチル10モル%であることが確認され
た。
【0031】(3)塗料塗膜の評価 次に実施例1に示した方法と同様の方法で塗膜を作製
し、実施例1と同様にして形成した塗膜の評価を行っ
た。その結果を、表1に併載した。
【0032】実施例3 (1)含フッ素共重合体の調製 撹拌機を備えた1.5リットルのオートクレーブに、酢
酸ブチル200g、シクロヘキサンカルボン酸ビニル1
63gを仕込み、窒素ガスで空間部を置換した後、クロ
ロトリフルオロエチレン300gを加え、オートクレー
ブを50℃に加熱した。ついで、酢酸ブチル100gと
アクリル酸2−ヒドロキシエチルのラクトン変性物〔ダ
イセル化学工業(株)製“FA−1”〕60gの混合液
および酢酸ブチル30gとターシャリーブチルパーオキ
シジカーボネート〔日本油脂(株)製“パーブチルP
V”〕3.5gの混合液をそれぞれ高圧定流量マイクロ
ポンプで5時間かけて仕込んだ。その後、4時間撹拌し
ながら50℃の温度に保持した。未反応のクロロトリフ
ルオロエチレンをパージし、オートクレーブを開放して
710gの無色透明で均一な重合反応液を得た。
【0033】(2)含フッ素共重合体の物性評価 上記重合反応液の一部を採って実施例1と同様にして物
性評価をおこなった結果、数平均分子量は18000、
フッ素含有量は21.2重量%、水酸基価は37であっ
た。共重合体の組成は、クロロトリフルオロエチレン5
3モル%、シクロヘキサンカルボン酸ビニル38モル
%、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのラクトン変性物
9モル%であることが確認された。
【0034】(3)塗料塗膜の評価 次に実施例1に示した方法と同様の方法で塗膜を作製
し、実施例1と同様にして形成した塗膜の評価を行っ
た。その結果を表1に併載した。
【0035】比較例1 撹拌機を備えた1.5リットルのオートクレーブに、キ
シレン300g、プロピオン酸ビニル106g、アクリ
ル酸4−ヒドロキシブチル37gを仕込み、窒素ガスで
空間部を置換した後、クロロトリフルオロエチレン28
0gを加え、オートクレーブを40℃に加熱した。つい
で、キシレン30gとジ−2−エトキシエチルパーオキ
シジカーボネート6gの混合液をそれぞれ高圧定流量マ
イクロポンプで6時間かけて仕込んだ。その後、6時間
撹拌しながら40℃の温度に保った。未反応のクロロト
リフルオロエチレンをパージし、オートクレーブを開放
したところ、590gの重合反応液が得られたが、この
溶液は白濁しており不均一であった。得られた含フッ素
共重合体を用い、実施例1と同様にして形成した塗膜の
評価を行い、結果を表1に併載した。
【0036】比較例2 撹拌機を備えた1.5リットルのオートクレーブに、キ
シレン200g、カプロン酸ビニル150gを仕込み、
窒素ガスで空間部を置換した後、クロロトリフルオロエ
チレン280gを加え、オートクレーブを40℃に加熱
した。ついで、キシレン100gとメタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル34gの混合液およびキシレン30gと
ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート6g
の混合液をそれぞれ高圧定流量マイクロポンプで6時間
かけて仕込んだ。その後、5時間撹拌しながら40℃の
温度に保った。未反応のクロロトリフルオロエチレンを
パージし、オートクレーブを開放したところ、630g
の重合反応液が得られたが、この溶液は白濁しており不
均一であった。得られた含フッ素共重合体を用い、実施
例1と同様にして形成した塗膜の評価を行い、結果を表
1に併載した。
【0037】
【表1】
【0038】表1の結果から、本発明による含フッ素共
重合体を用いて形成した塗料塗膜は比較例品による塗膜
に比べて優れた性能を備えていることが認められた。
【0039】実施例4 (1)含フッ素共重合体の調製 撹拌機を備えた1.5リットルのオートクレーブに、キ
シレン200g、プロピオン酸ビニル80g、バーサチ
ック酸ビニル〔シェル石油化学(株)製“ベオバ−
9”〕48g、クロトン酸2−ヒドロキシエチル20g
を仕込み、窒素ガスで空間部を置換した後、クロロトリ
フルオロエチレン280gを加え、オートクレーブを4
0℃に加熱した。ついで、キシレン100gとアクリル
酸4−ヒドロキシブチル25gの混合液およびキシレン
30gとジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネ
ート〔日本油脂(株)製“パーロイルEEP”〕6gの
混合液をそれぞれ高圧定流量マイクロポンプで6時間か
けて仕込んだ。その後、3時間撹拌しながら40℃の温
度に保持した。未反応のクロロトリフルオロエチレンを
パージし、オートクレーブを開放して630gの無色透
明で均一な重合反応液を得た。
【0040】(2)含フッ素共重合体の物性評価 上記重合反応液の一部を採って実施例1と同様にして物
性評価をおこなった結果、数平均分子量は13000
(ポリスチレン換算値)、フッ素含有量は23.9重量
%、水酸基価は50(mg−KOH/g−レジン)であ
った。共重合体の組成は、クロロトリフルオロエチレン
50モル%、プロピオン酸ビニル28モル%、バーサチ
ック酸ビニル11モル%、アクリル酸4−ヒドロキシブ
チル5モル%、クロトン酸2−ヒドロキシエチル6モル
%であることが確認された。
【0041】(3)塗料塗膜の評価 上記の重合反応液50gにキシレン25g、メチルイソ
ブチルケトン37gおよび酸化チタン〔石原産業(株)
製、“タイペークCR−90”〕12g、ガラスビーズ
75gを加えた溶液をペイントコンディショナーで1時
間混合した。ついで、濾布によりガラスビーズを除いた
後、硬化剤として多価イソシアネート化合物〔日本ポリ
ウレタン工業(株)製、“コロネートHX”〕4.0g
〔NCO/OH=1/1(当量比)〕、ジブチル錫ジラ
ウレート(硬化促進剤)の0.1重量%のキシレン溶液
1gを添加して塗料を形成した。得られた塗料を、エポ
キシ樹脂系下塗り塗料を5μmの膜厚で塗布した0.6
mmのクロメート処理電気メッキ鋼板上に、乾燥膜厚が
40μmになるように塗布し、常温で1週間乾燥した。
得られた塗膜につき、JIS−K5400に準じて光沢
保持試験および鉛筆硬度の測定を行い、その結果を表2
に示した。
【0042】実施例5 (1)含フッ素共重合体の調製 撹拌機を備えた1.5リットルのオートクレーブに、キ
シレン200g、カプロン酸ビニル150g、4−ヒド
ロキシブチルビニルエーテル20gを仕込み、窒素ガス
で空間部を置換した後、クロロトリフルオロエチレン2
80gを加え、オートクレーブを40℃に加熱した。つ
いで、キシレン100gとアクリル酸2−ヒドロキシエ
チル20gの混合液およびキシレン30gとジ−2−エ
トキシエチルパーオキシジカーボネート〔日本油脂
(株)製“パーロイルEEP”〕6gの混合液をそれぞ
れ高圧定流量マイクロポンプで5時間かけて仕込んだ。
その後、3時間撹拌しながら40℃の温度に保持した。
未反応のクロロトリフルオロエチレンをパージし、オー
トクレーブを開放して660gの無色透明で均一な重合
反応液を得た。
【0043】(2)含フッ素共重合体の物性評価 上記重合反応液の一部を採って実施例1と同様にして物
性評価をおこなった結果、数平均分子量は15000、
フッ素含有量は23.5重量%、水酸基価は49であっ
た。共重合体の組成は、クロロトリフルオロエチレン5
1モル%、カプロン酸ビニル39モル%、アクリル酸2
−ヒドロキシエチル5モル%、4−ヒドロキシブチルビ
ニルエーテル5モル%であることが確認された。
【0044】(3)塗料塗膜の評価 実施例4と同一の方法で塗料塗膜を形成し、得られた塗
膜につきJIS−K5400に準じて光沢保持試験およ
び鉛筆硬度を測定した結果を表2に併載した。
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に従えば重合反応
液や得られた樹脂の有機溶剤の溶液が白濁したり、不均
一となることなく、耐候性塗料用基材として有用なフル
オロオレフィン単量体単位、カルボン酸ビニルエステル
単量体単位およびアクリル酸ヒドロキシアルキルエステ
ル単量体単位を主体に構成される含フッ素共重合体を工
業的に製造することができる。
【0047】さらに、本発明の製造法によって得られる
フルオロオレフィン単量体単位、カルボン酸ビニルエス
テル単量体単位、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステ
ル単量体単位、およびクロトン酸ヒドロキシアルキルエ
ステル単量体単位またはヒドロキシアルキルビニルエー
テル単量体単位からなる含フッ素共重合体は、多価イソ
シアネートと相溶性がよく、常温硬化型塗料用成分とし
て好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 犬飼 宏 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東亞合成株式会社名古屋総合研究所内 (56)参考文献 特開 平5−86134(JP,A) 特開 平5−1119(JP,A) 特開 平4−258613(JP,A) 特開 平6−345823(JP,A) 特開 平6−122730(JP,A) 特開 平7−228635(JP,A) 特開 平5−247140(JP,A) 特開 昭63−314202(JP,A) 特開 平7−247324(JP,A) 特開 平6−57196(JP,A) 特開 平3−231906(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 214/18 - 214/28 C08F 2/00 - 2/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)フルオロオレフィン、 (b)カルボン
    酸ビニルエステル、(c)アクリル酸ヒドロキシアルキル
    エステルおよび所望により (d)その他の共重合性単量体
    を共重合させるに当たり、 (c)アクリル酸ヒドロキシア
    ルキルエステルを重合器に連続的または間欠的に逐次添
    加し、有機溶媒中でラジカル共重合させることを特徴と
    する含フッ素共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 (d)その他の共重合性単量体として、ク
    ロトン酸ヒドロキシアルキルエステルまたはヒドロキシ
    アルキルビニルエーテルを用いる請求項1記載の含フッ
    素共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 全単量体の合計量を基準にして、 (a)フ
    ルオロオレフィン単量体40〜80モル%および (b)カ
    ルボン酸ビニルエステル単量体15〜50モル%からな
    る単量体混合物に、 (c)アクリル酸ヒドロキシアルキル
    エステル単量体3〜20モル%を連続添加し、有機溶媒
    中でラジカル重合開始剤の存在下に共重合することを特
    徴とする含フッ素共重合体の製造方法。
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