JP3384062B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその製造法 - Google Patents
ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその製造法Info
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Description
水)と接触する用途に好適に使用される水溶性有機物が
極めて少なく、また金属イオンなどの水溶出性成分も極
めて少ないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物および
その製造法に関するものである。
PS樹脂と略す)は優れた耐熱性、難燃性、剛性、耐薬
品性などエンジニアリングプラスチックとしては好適な
性質を有しており、各種電気部品、機械部品および自動
車部品などの射出成形用途に広く使用されている。更に
最近になってPPS樹脂のとりわけ優れた耐薬品性、耐
水性、低溶出性を生かして、たとえば半導体製造におい
て素子の洗浄に使用される超純水用配管などの特殊用途
への適用が活発に検討されるようになった。
の輸送配管材を使用する場合も、他の熱可塑性樹脂から
なる輸送配管材よりはるかに微量ではあるが、樹脂中に
含まれる少量の金属イオンのようなイオン性物質や水溶
性有機物質が超純水中に溶出し、超純水の純度が低下す
るという問題が完全には解決されていないのが現状であ
る。
素子表面を洗浄すると、表面に付着した極わずかの金属
イオンが半導体素子の機能を阻害し、製品の歩留りが低
下したり、その性能が低下したりする。特に、ナトリウ
ムイオン等のアルカリ金属イオンが最も悪影響を及ぼす
ことが知られている。また、溶出した有機物質により超
純水に微生物が繁殖してさらに水の純度が低下する。
67号公報でPPS樹脂にエポキシ基含有オレフィン系
共重合体およびエチレン−プロピレン共重合体を配合す
ることにより、溶融流動性および衝撃特性に優れた組成
物が得られることが記載されている。
物については、一般に過酸化水素水を配管に通して洗浄
殺菌する方法や、80〜100℃近くまで加熱された超
純水を配管に通して加熱殺菌する方法が行われている。
ところが、溶出したイオン性物質による汚染は防止でき
ず、半導体素子の集積度が高度化するに伴って、イオン
性物質の溶出が極めて少ない超純水輸送配管材料が要求
されている。また、超純水の品質管理上、微生物繁殖の
原因となる有機物溶出の低減が同時に要求されているこ
とは勿論である。
開平1−306467号公報記載の組成物をそのまま適
用してもイオン性物質の溶出および有機物溶出の点で不
十分な場合があることがわかった。
あり、本発明の目的とするところは、耐熱性および耐熱
水性に優れ、有機物の溶出が極めて少ないPPS樹脂組
成物およびその製造法に関するものである。
(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂97〜70重量
%、(B)エチレンおよびメタクリル酸グリシジルまた
はアクリル酸グリシジルを主たる構成成分とする共重合
ポリオレフィン3〜30重量%および(C)エチレン/
プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチ
レン/メタクリル酸誘導体共重合体、エチレン/アクリ
ル酸誘導体共重合体の中から選ばれる少なくとも一種の
ポリオレフィンエラストマー0〜27重量%からなる樹
脂組成物で、かつ、全有機物炭素量が40μg/lの超純
水を用いて樹脂組成物を浴比1:1(重量比)、80℃
/7日間の条件下で溶出試験をした後の溶出全有機物炭
素量が4mg/ l以下であるポリフェニレンスルフィド樹
脂組成物および(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂9
7〜70重量%、(B)エチレンおよびメタクリル酸グ
リシジルまたはアクリル酸グリシジルを主たる構成成分
とする共重合ポリオレフィン3〜30重量%および
(C)エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテ
ン共重合体、エチレン/メタクリル酸誘導体共重合体、
エチレン/アクリル酸誘導体共重合体の中から選ばれる
少なくとも一種のポリオレフィンエラストマー0〜27
重量%からなる混合物を溶融混練して得られる樹脂組成
物を真空または不活性雰囲気下120〜270℃の温度
範囲で加熱処理することを特徴とする水溶出性成分の少
ないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造法を提
供するものである。
ド樹脂とは、構造式(I)で示される繰り返し単位を
重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%未満で
は、耐熱性が損なわれるので好ましくない。またPPS
樹脂はその繰り返し単位の30モル%未満を、下記の構
造式を有する繰り返し単位などで構成することが可能で
ある。
が可能であれば特に制限はないが、通常200〜20,
000ポアズ(320℃、剪断速度10 sec-1)のもの
が使用される。
特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量
の小さな重合体を得る方法。或は、特公昭52−122
40号公報や特開昭61−7332号公報に記載される
比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製
造できる。本発明において上記の様に得られたPPS樹
脂を空気中加熱による架橋/高分子量化、有機溶媒、熱
水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、イソシアネ−
トなどの官能基含有化合物による活性化など種々の処理
を施した上で使用することももちろん可能である。特に
本発明においてはたとえば特開平1−26670号公報
に開示されている有機溶媒洗浄、たとえば特開昭62−
153344号公報に開示されている熱水洗浄、たとえ
ば特開昭62−153343号公報に開示されている酸
水溶液洗浄などの洗浄処理したPPSを用いることが特
に好ましい。
レンおよびメタクリル酸グリシジルまたはアクリル酸グ
リシジルを主たる構成成分とする共重合ポリオレフィン
としてはエチレン98〜70重量%およびメタクリル酸
グリシジルまたはアクリル酸グリシジル2〜30重量%
の混合物を通常公知の方法で共重合して得られるものが
挙げられ、その共重合の形式に制限はない。共重合体に
おけるメタクリル酸グリシジルまたはアクリル酸グリシ
ジルの共重合量は上記の範囲にあることが好ましく、共
重合量が少なすぎるとPPS樹脂組成物の耐衝撃性が損
なわれる傾向にあり、一方共重合量が多すぎるとPPS
樹脂組成物がゲル化傾向を示す傾向がある。かかる共重
合オレフィンには本発明の樹脂組成物の特性を損なわな
い範囲で他のオレフィン系モノマ、たとえばアクリル酸
メチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチ
レンなどを単体または混合物の形でランダム、ブロッ
ク、グラフト共重合せしめて導入することも可能であ
る。共重合ポリオレフィンの重合度については特に制限
なく、JISK6760に定められた方法で測定した1
90℃/2160gの条件におけるMFRが0. 1〜1
00g/10分の範囲のものを用いることができる。共
重合ポリオレフィンのPPS樹脂組成物中に占める割合
は3〜30重量%であり、5〜20重量%であることが
好ましい。共重合ポリオレフィンの配合量が3重量%に
満たないとPPS樹脂組成物の耐衝撃性が不足するので
好ましくなく、逆に配合量が30重量%を越えるとPP
S樹脂組成物の耐熱性低下が顕在化するので好ましくな
い。
いられるポリオレフィンエラストマーとは、エチレン/
プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチ
レン/メタクリル酸誘導体共重合体、エチレン/アクリ
ル酸誘導体共重合体の中から選ばれた少なくとも一種で
あり、これらポリオレフィンエラストマーの重合度につ
いては特に制限なく、JISK6760に定められた方
法で測定した190℃/2160gの条件におけるMF
Rが0. 1〜100g/10分の範囲のものを用いるこ
とができる。(C)成分のポリオレフィンエラストマー
のPPS樹脂組成物中に占める割合は0〜27重量%で
あり、0〜15重量%であることが好ましい。ポリオレ
フィンエラストマーの配合量が27重量%を越えるとP
PS樹脂組成物の耐熱性低下が顕在化するので好ましく
ない。
特徴を損なわない範囲で、安定剤、滑剤、可塑剤、成形
加工助剤、着色剤、補強剤、他の重合体などを添加する
こともできる。
の溶出成分が少なく、全有機物炭素量が40μg/lの超
純水を用いて樹脂組成物(通常ペレットを用いる)を浴
比1:1(重量比)、80℃/7日間の条件下で溶出試
験をした後の溶出全有機物炭素量が4mg/ l以下となる
ことが必要であり、好ましくは3mg/ l以下、特に2mg
/ l以下であることが好ましい。溶出全有機物炭素量
は、溶出試験後の超純水をサンプルとして東レ(株)製
超微量有機炭素分析計(モデル1800改)を用いて測
定した。
に溶出される有機物量が上記範囲を満足する限り特に制
限はないが、例えば(A)PPS樹脂、(B)共重合ポ
リオレフィンおよび(C)ポリオレフィンエラストマー
を溶融混練して組成物を製造後、加熱処理する方法が好
ましく用いられる。この方法においては、組成物を加熱
処理する点が重要であり、上記組成物を製造する方法と
しては特に制限はなく(A)PPS樹脂、(B)共重合
ポリオレフィンおよび(C)ポリオレフィンエラストマ
ーの粉末、ペレット、細片をリボンブレンダー、ヘンシ
ェルミキサー、Vブレンダーなどを用いてドライブレン
ドしたのち、バンバリーミキサー、ミキシングロール、
単軸または2軸の押出機、ニーダーなどを用いて溶融混
練して組成物とする方法などが挙げられる。中でも十分
な混練力を有する単軸または2軸の押出機を用いて溶融
混練する方法が代表的である。
定の条件下、即ち真空または不活性雰囲気下、120〜
270℃の温度範囲で加熱処理することが重要である。
なぜならこの加熱処理を施すことによって初めて本発明
の水浸漬処理時の溶出分の少ない、超純水用途に適用可
能なPPS樹脂組成物が得られるからである。加熱処理
は真空下、窒素、アルゴン、ヘリウム雰囲気などの不活
性雰囲気下で行う必要があり、なかでも溶出成分低減効
果および経済性の点から真空下または窒素雰囲気下で加
熱処理することが好ましい。加熱処理時の温度は120
〜270℃の温度範囲である場合に溶出分低減効果が大
きく、PPS樹脂組成物の劣化が少ない。好ましくは1
50〜220℃の温度範囲である。加熱処理時間は加熱
温度に応じて通常、1〜30時間の中から適宜選択され
る。つまり高温の加熱処理温度を選択した場合には比較
的短時間で所期の目的の効果が得られるし、低温の加熱
処理温度を選択した場合には比較的長時間が必要にな
る。しかし上記の温度範囲内で加熱処理をする限り30
時間を越える加熱処理はそれ以上の溶出成分低減効果が
期待できず、経済性の点が劣るものとなる。
成物は、水接触下での溶出成分が少なく、全有機物炭素
量が40μg/lの超純水を用いて樹脂組成物を浴比1:
1(重量比)、80℃/7日間の条件下で溶出試験をし
た後の全有機物炭素量が4mg/ l以下となる程度のもの
を得ることができる。
説明する。
成法) PPS−1:オートクレーブに硫化ナトリウム3. 26
kg(25モル、結晶水40%を含む)、水酸化ナトリ
ウム4g、酢酸ナトリウム三水和物1. 19kg(約
8. 8モル)およびNMP7. 9kgを仕込み、撹拌し
ながら徐々に205℃まで昇温し、水1. 36kgを含
む留出水約1. 5リットルを除去した。残留混合物に
1, 4−ジクロロベンゼン3. 75kg(25. 5モ
ル)およびNMP2kgを加え、265℃で5時間加熱
した。反応生成物を70℃の温水で5回洗浄し、次いで
90℃に加熱されたpH4の酢酸溶液中で30分間撹拌
洗浄し、再び70℃の温水で2回洗浄した後80℃で2
4時間減圧乾燥して、溶融粘度約1200ポアズ(31
0℃、剪断速度1000sec -1)の粉末状ポリフェニレ
ンスルフィド(PPS−1)約2kgを得た。
は東レ(株)製PPS樹脂、M2088およびE188
0を使用した。
でドライブレンドした後、280〜320℃の温度条件
に設定した単軸押出機により溶融混練後ペレタイズし
た。得られたペレットをイオン交換水および超純水の順
で洗浄し、真空下および窒素雰囲気下で各々120〜2
20℃、3〜25時間加熱処理した。
り有機物質の溶出性及び金属Naイオンなどのイオン性
物質の溶出性を評価した。その結果を表1に示す。
純水に上記ペレット(100g)を浸漬して密閉し、こ
れを80℃のギヤーオーブンに入れて7日間放置する。
その後、" テフロン" 製容器内の超純水の全有機物炭素
量(TOC)を測定することにより、有機物質の溶出性
を評価する。
炭素量は、40μg/lであった。また、" テフロン" 製
容器からの有機物質の溶出量を知るために、上記のペレ
ットを浸漬しない場合について、超純水の全有機物炭素
量を測定した(ブランク測定値)。この全有機物炭素量
は、120μg/lであった。
純水に上記ペレット(100g)を浸漬して密閉し、こ
れを80℃のギヤーオーブンに入れて7日間放置する。
その後、" テフロン" 製容器内の超純水の金属Naイオ
ンを測定することにより、金属イオン性物質の溶出性を
評価する。
イオン量は、ppbオーダー以下であった。また、" テ
フロン" 製容器からの金属Naイオンの溶出量を知るた
めに、上記のペレットを浸漬しない場合について、超純
水の金属Naイオン量を測定した(ブランク測定値)。
この金属Naイオン量は、1ppb以下であった。
20℃の温度条件に設定した単軸押出機により溶融混練
後ペレタイズした。得られたペレットをイオン交換水お
よび超純水の順で洗浄し、空気存在下常圧150℃、1
5時間加熱処理した。
炭素溶出量、金属Naイオン溶出量を表1に示す。
脂組成物を真空または窒素雰囲気下で加熱処理する本発
明の実施例が、未処理または空気存在下で加熱処理する
比較例に較べ、全有機炭素、金属Naイオンなどの溶出
が極めて少ないことがわかる。
組成物は、有機物質および金属イオン性物質の溶出が極
めて少ないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であ
り、高純度の水を必要とする電気・電子部品の超純水輸
送配管材などに適する。
Claims (3)
- 【請求項1】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂97
〜70重量%、(B)エチレンおよびメタクリル酸グリ
シジルまたはアクリル酸グリシジルを主たる構成成分と
する共重合ポリオレフィン3〜30重量%および(C)
エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重
合体、エチレン/メタクリル酸誘導体共重合体、エチレ
ン/アクリル酸誘導体共重合体の中から選ばれる少なく
とも一種のポリオレフィンエラストマー0〜27重量%
からなる樹脂組成物で、かつ、全有機物炭素量が40μ
g/lの超純水を用いて樹脂組成物を浴比1:1(重量
比)、80℃/7日間の条件下で溶出試験をした後の溶
出全有機物炭素量が4mg/ l以下であるポリフェニレン
スルフィド樹脂組成物。 - 【請求項2】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂97
〜70重量%、(B)エチレンおよびメタクリル酸グリ
シジルまたはアクリル酸グリシジルを主たる構成成分と
する共重合ポリオレフィン3〜30重量%および(C)
エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重
合体、エチレン/メタクリル酸誘導体共重合体、エチレ
ン/アクリル酸誘導体共重合体の中から選ばれる少なく
とも一種のポリオレフィンエラストマー0〜27重量%
からなる混合物を溶融混練して得られる樹脂組成物を真
空または不活性雰囲気下120〜270℃の温度範囲で
加熱処理することを特徴とするポリフェニレンスルフィ
ド樹脂組成物の製造法。 - 【請求項3】加熱処理を1〜30時間行なうことを特徴
とする請求項2記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組
成物の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30433693A JP3384062B2 (ja) | 1993-12-03 | 1993-12-03 | ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30433693A JP3384062B2 (ja) | 1993-12-03 | 1993-12-03 | ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH07157660A JPH07157660A (ja) | 1995-06-20 |
JP3384062B2 true JP3384062B2 (ja) | 2003-03-10 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP30433693A Expired - Fee Related JP3384062B2 (ja) | 1993-12-03 | 1993-12-03 | ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその製造法 |
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---|---|---|---|---|
JP4527196B2 (ja) * | 2009-12-24 | 2010-08-18 | 東ソー株式会社 | 複合体およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-12-03 JP JP30433693A patent/JP3384062B2/ja not_active Expired - Fee Related
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