JP3380594B2 - 薬液の送液ポンプとこれを用いる薬液の充填用送液装置 - Google Patents

薬液の送液ポンプとこれを用いる薬液の充填用送液装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばアンプルの薬液
の充填装置などに用いられる送液ポンプとこれを用いた
薬液の充填用送液装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】薬液の充填ポンプは主に金属及びガラス
製のピストン方式が用いられている。簡易的な充填装置
としては樹脂製のダイヤフラムポンプも一部では用いら
れている。又、ピストン方式によるCIP、SIP万能
なポンプも市販されている。ピストン方式の場合、接液
同士の摺動によりパーティクルが発生し易いという欠点
がある。ポンプ洗浄においても摺動部があるため、ポン
プ接液部の表面状態が悪くなり、ポンプを分解して超音
波洗浄等を行わないと十分な洗浄効果が得られないとい
う欠点がある。そこで摺動部のないダイヤフラムポンプ
を用いることが考えられる。ダイヤフラムポンプとして
は、ポンプ室に設けた金属ダイヤフラムの往復動により
ポンプ室の容量を変化させて、吸液口からポンプ室内に
吸い込んだ液体を吐液口に吐き出して送液するポンプが
公知である。例えば、ソレノイドコイルの励磁作用によ
り鉄芯に吸引された金属ダイヤフラムが鉄芯の上端に固
定された0リングに当接するように構成された微少流量
比例制御用ポンプ装置が知られている。(特開昭54−
108003号)。金属ダイヤフラムは一定のストロー
クで往復動し、電気信号周波数を変化させて金属ダイヤ
フラムの往復動回数を変化させることにより流量を変化
させている。また、積層圧電素子によりダイヤフラムを
変化させることにより流体を吸入、吐出するようにした
圧電ポンプが知られている(特開昭63−176679
号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の金属ダ
イヤフラムを使用したポンプは何れもダイヤフラムのス
トロークが小さいので、少ない流量でしか送液できない
といった問題があった。例えば、上記微少流量比例制御
用ポンプ装置では、ソレノイドコイルの励磁作用によっ
て金属ダイヤフラムを吸引するが、金属ダイヤフラムの
剛性が強く、励磁作用によって大きなストロークを得る
ことは現実的にはできないので、ストロークは小さくな
る。また、圧電ポンプでは積層圧電素子に電圧をかけて
積層圧電素子の伸び縮みによりストロークを得ているの
でストロークが極めて小さくなる。また、微少流量比例
制御ポンプ装置のように金属ダイヤフラムが0リングに
当接する構成としたものは、0リングが合成樹脂、ゴム
等の弾性体からなっているので、ストロークが安定せ
ず、一定の送液量を確保し難いといった欠点がある。一
般にピストンポンプは分解しないと洗浄、滅菌ができな
いので洗浄、滅菌しても問題のない金属ダイヤフランが
望ましいが、以上のような公知の金属ダイヤフラムでは
一定の送液量を確保し難いのでや薬液の充填用送液装置
としては好ましくない。又ダイヤフラム送液ポンプだけ
ではアンプル、バイアル等に正確に薬液を充填すること
はできない。それは薬液を充填する針から充填前後に薬
液がたれるためである。そこで本発明では送液量が一定
で洗浄、滅菌に耐える薬液の送液ポンプをうることがで
きると共に液だれのない薬液の充填装置をうることを目
的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は以上のような目
的を達成するため、次のような薬液の送液ポンプと薬液
の充填用送液装置を提供するものである。すなわち、ダ
イヤフラムの往復動により、ポンプ室の容量を変化させ
て薬液を送液するポンプにおいて、上記ダイヤフラムを
金属で形成するとともに、ダイヤフラムに空気の導入切
替によって往復動を与えるステムに対し、そのストロー
クを規制する一対のストッパーの位置を、外部よりの回
転にて互いに等しくして、相反する方向の移動量で調節
する装置を設けてなる薬液の送液ポンプであり、この送
液ポンプの前後にストップ弁を連結した送液装置に、そ
の充填側にサックバックポンプを連結してなる薬液の充
填用送液装置である。
【0005】
【作用】本発明の送液ポンプは金属で形成したダイヤフ
ラムの往復動により、一定の送液量で正確な薬液の充填
をする。送液量は、ストッパーの位置を互いに等しく移
動させ、ダイヤフラムに往復動を与えるステムのストロ
ークを変えて調節するため、ダイヤフラムへ一方向に偏
った力がかからないので、ストロークを大きくすること
ができ、金属で形成したダイヤフラムが金属疲労を起こ
すことなく長期間の使用が可能となる。しかも送液ポン
プの前後にストップ弁を連結し、これにサックバックポ
ンプを連結することにより、薬液の充填用送液装置とし
て液だれがなく、洗浄、滅菌することができる。しかも
ポンプ方式同様の高い充填精度を確保できる送液装置と
することができる。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明す
る。先ず送液ポンプから説明する。図1、図2は送液ポ
ンプの縦断面図と平面図である。容器1とボンネット2
の間にダイヤフラム3が挟持してあり、このダイヤフラ
ム3の下面で仕切られた空間がポンプ室4になってい
る。ポンプ室4の吸液口5と吐液口6には吸液路5’と
吐液路6’接続してある。吸液口5と吐液口6はポンプ
室4から遠ざかるにしたがって下に向かうように傾斜し
て設けられている。
【0007】ダイヤフラム3は、例えばインコネル
(「INCONEL」はINCOの登録商標)などのバ
ネ鋼で形成してある。図3に示すようにダイヤフラム3
の中央に円孔10が穿設してあり、この円孔10の周り
とダイヤフラム3の外周に沿ってフランジ11、12が
それぞれ延設してある。これらフランジ11、12の間
は上方に湾曲したコーン部13になっている。容器1と
ボンネット2は、例えばステンレスなどの防錆性があ
り、薬液で容易に腐食しない材料が使用される。また、
ポンプ室4を構成する容器1の表面とダイヤフラム3の
下面は洗浄等がしやすいように充分に研磨が施してあ
る。
【0008】図1に示すように、容器1とボンネット2
の間でフランジ12を挟持することによって支持されて
いるダイヤフラム3の中心には、フランジ11を挟持し
ているディスク14を介してステム15が取り付けてあ
る。ステム15の中央にはピストン16が装着してあ
る。ピストン16はボンネット2の内部に形成されたシ
リンダー室17に位置しており、このシリンダー室17
に連通する空気導入通路18、19から圧縮空気が交互
に導入されて、ピストン16が昇降を繰り返すことによ
り、ステム15下端のダイヤフラム3が上下に往復振動
するようになっている。ステム15の上端にはプレート
20が取り付けてあり、このプレート20の上下に一対
のストッパー21とストッパー22が設けてある。これ
らストッパー21、22はボンネット2に植設されたロ
ッド23に沿って昇降はできるが、回転はできないよう
になっている。また、ストッパー21に螺入させたネジ
24の下端でボール24aを介してストッパー22の上
面を押圧できる構成となっている。図2に示すように、
ロッド23とネジ24はそれぞれ3本ずつ設けてある。
【0009】そして、ストッパー21とストッパー22
の外周にはネジ部25とネジ部26がそれぞれ刻設して
ある。これらネジ部25とネジ部26はピッチは同じだ
が互いに逆向きのネジになっていて、例えば、ネジ部2
5が右ネジであればネジ部26は左ネジであり、ネジ部
25が左ネジであればネジ部26は右ネジである。これ
らストッパー21とストッパー22の周りを覆うように
してリング27が装着してある。図4に示すようにリン
グ27はリング本体28に補助リング29を固定した構
成になっている。これらリング本体28と補助リング2
9は図示しないピンによって連動回転する構成になって
いる。リング本体28と補助リング29の内面には、互
いに逆向きのネジ部30とネジ部31がそれぞれ刻設し
てあって、図1に示すように、これらネジ部30、31
が、先に説明したストッパー21とストッパー22のネ
ジ部25、26にそれぞれ螺合している。
【0010】次に以上のような送液ポンプを用いた送液
装置について説明すると、図5はその送液装置を示すも
のである。2基の送液ポンプ40、41の吐液口6と吸
液口5とガスケット42を介して直列に接続し、送液ポ
ンプ40の吸液口5にはガスケット43を介してストッ
プ弁44を接続する。ストップ弁44の上流側からは図
示しないがタンクからの薬液が供給されるようになって
いる。また、送液ポンプ41の吐液口6にはガスケット
45を介してストップ弁46を接続し、更に、ストップ
弁46の下流側にガスケット47を介してサックバック
ポンプ48を接続する。サックバックポンプ48の下流
側には、図示はしないが、フィルターやアンプル等に薬
液を充填するための充填ノズルが接続してある。なお、
サックバックポンプ48も送液ポンプ40、41と同様
の構成としてもよい。
【0011】以上のように構成された送液システムにお
いて、先ず、上流側のストップ弁44を開け、下流側の
ストップ弁46を閉じた状態にして、送液ポンプ40、
41のそれぞれにおいてシリンダー室17の下側の空気
導入通路19から圧縮空気を導入し、ステム15を上昇
させてポンプ室4の容量を増やし、吸液口5から薬液を
導入する。次に、上流側のストップ弁44を閉じ、下流
側のストップ弁46を開けた状態にして、送液ポンプ4
0、41のそれぞれにおいてシリンダー室17の上側の
空気導入通路18から圧縮空気を導入し、ステム15を
下降させて、ポンプ室4の容量を減らし、吐液口6から
薬液を吐き出す。吐き出された薬液はサックバックポン
プ48をそのまま通過し、下流側に装着された充填ノズ
ルからアンプル等に充填される。こうして、充填を終了
したら下流側のストップ弁46を閉じ、サックバックポ
ンプ48で吸引することにより充填ノズルからの液垂れ
を防止し、一工程が終了する。以下、同様の工程を繰り
返し、薬液を充填する。サックバックポンプは充填時
(薬液吐出時)はダイヤフラムポンプの容量を減らした
状態で薬液の通路になっており、充填終了時はポンプ室
の容量を増やすように働き、針先の薬液を少量吸い込み
薬液のタレを防ぐようになっている。
【0012】以上において、送液量(充填量)は送液ポ
ンプの接続台数と、各送液ポンプにおいてストッパー2
1、22で規制されるステム15のストロークによって
決定される。例えば、送液ポンプを2基、もしくは3基
直列に接続すれば、送液量は2倍、もしくは3倍にな
る。 また、各送液ポンプにおいてリング27を回して
ストッパー21、22の間隔を変えることにより、ステ
ム15のストロークを変更して送液量を微妙に調整する
ことも可能である。即ち、先に説明したように、リング
本体28と補助リング29の内面にそれぞれ刻設したネ
ジ部30とネジ部31に対してストッパー21、22の
ネジ部25とネジ部26が互いに逆ネジの関係で螺合し
ているので、リング27を回転操作すると、ストッパー
21とストッパー22がロッド23に沿って昇降して互
いに近付いたり、遠ざかるように移動する。そして、各
ネジ部はピッチは同じであるので、ストッパー21とス
トッパー22の移動量は常に同じとなる。 しかして、
リング27を回転操作することによって、上下のストッ
パー21とストッパー22をステム15上端のプレート
20から互いに等しく離れた位置に設定してステム15
のストロークを決定し、送液量を調整する。また、こう
してステム15のストロークを決定したら、ストッパー
21のネジ24を螺入させて、その下端でボール24a
を介してストッパー22の上面を押圧し、上下のストッ
パー21とストッパー22の間に突っ張る力を加えて両
者のガタを取り、ストロークを安定させると共に、リン
グ本体28のネジ部30とストッパー21のネジ部25
同士、及び、補助リング29のネジ部31とストッパー
22のネジ部26同士をしっかりと圧着させることによ
ってリング27の回転を止め、ステム15のストローク
を安定させることができる。なお、図5で説明したサッ
クバックポンプ48を送液ポンプと同様の構成とすれ
ば、サックバック量も同様に調節できるようになる。
【0013】しかして、実施例のポンプのように薬液と
触れるポンプ室4のすべての接液表面部分を電解研磨し
ておけば、分解することなく洗浄がしやすく、CIP
(Clean in place)、SIP(Ster
ile in place)が可能となる。また、吸液
口5と吐液口6をポンプ室4から遠ざかるにしたがって
下に向かうように傾斜させて接続しておけば、工程の終
了後、ポンプ室に薬液が残ることがなく、便利である。
なお、ダイヤフラムは押し出す力が強く、吸引する力が
弱いといった性質があるので、図5のような送液システ
ムを構成した場合は、薬液のタンクを高い位置に配置し
たり、送液ポンプに薬液を加圧供給するようにするとダ
イヤフラムに加わる負担を減らすことができ、ポンプの
寿命を長めることができる。 また、送液ポンプやスト
ップ弁などを縦型に配置した送液システムとするとポン
プや弁内部の空気抜きが容易であるといった利点があ
る。
【0014】
【発明の効果】本発明の送液ポンプによれば、以下の効
果を奏することができる。ゴム、樹脂製のダイヤフラム
に比べて金属製のダイヤフラムは圧力、温度の変化に対
して安定しており、従って、正確で、安定した送液がで
きる。また、薬液が通るポンプ室内に摺動部分が無いの
で、摩耗がなく、薬液に異物が混入しない。 そして、
ダイヤフラムに空気の導入切替によって往復動を与える
ステムに対し、そのストロークを規制する一対のストッ
パーの位置を、外部よりの回転にて互いに等しくして、
相反する方向の移動量で調節する装置を設けているの
で、ダイヤフラムの往復動が一方に偏ることがなく、ダ
イヤフラムに係る負担が少なくて済み、長寿命が期待で
きる。特に本発明の送液ポンプによれば、従来のものよ
りもかなり多い送液を行うことができ、また、緩衝材を
使用していないので吐出量が正確であるといった特徴が
ある。又、本発明の送液ポンプは液部に摺動部がなく、
接液表面を電解研磨したダイヤフラムを使用しているの
で、ポンプを分解することなく十分な洗浄及び滅菌効果
が得られる。更に従来のダイヤフラム充填装置の欠点で
ある液だれをサックバックバルブの設置により解消し、
ポンプ方式同様、高い充填精度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】送液ポンプの縦断面図
【図2】送液ポンプの平面図
【図3】ダイヤフラムの断面図
【図4】リングの縦断面図
【図5】送液装置を示す説明図
【符号の説明】
3 ダイヤフラム 4 ポンプ室 15 ステム 21、22 ストッパー 40 送液ポンプ 41 送液ポンプ 44 ストップ弁 46 ストップ弁 48 サックバックポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 久佳 大阪市西区立売堀2丁目3番2号株式会 社フジキン内 (56)参考文献 特開 平3−286195(JP,A) 特開 平3−114565(JP,A) 特開 昭61−61990(JP,A) 実開 平4−44550(JP,U) 実開 昭62−179378(JP,U) 独国特許出願公開2741803(DE,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04B 9/00 - 15/08 F04B 43/00 - 47/14 F04B 53/00 - 53/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤフラムの往復動によりポンプ室の
    容量を変化させて薬液を送液するポンプにおいて、上記
    ダイヤフラムを金属で形成するとともに、ダイヤフラム
    に往復動を与えるステムに対し、そのストロークを規制
    する一対のストッパーの位置を、外部よりの回転にて
    いに等しい移動量で調節する装置を設けてなる薬液の送
    液ポンプ
  2. 【請求項2】 請求項1の送液ポンプの前後にストップ
    弁を連結した送液装置に、その充填側にサックバックポ
    ンプを連結してなる薬液の充填用送液装置。
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