JP3380066B2 - 内視鏡の流体管路切換操作弁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】この発明は、送気送水操作や吸引
操作などを行うための内視鏡の流体管路切換操作弁に関
する。 【０００２】 【従来の技術】内視鏡の送気送水操作弁や吸引操作弁
は、一般に、操作部の前面側において開口するように操
作部内に配置されたシリンダ体内に、前方に突出するピ
ストン体を軸方向にスライド自在に嵌挿して、そのピス
トン体をスライド操作することによって、シリンダ体の
側面に接続された送気管路、送水管路又は吸引管路など
の接続関係が切り換わるようになっている。 【０００３】しかし、内視鏡を介しての患者から患者へ
の感染事故を防ぐために、内視鏡は一回の使用毎に洗浄
及び消毒を行う必要があり、送気送水操作弁や吸引操作
弁は、シリンダ体の内部をブラッシングして掃除しなけ
ればならない。 【０００４】そこで従来は、シリンダ体内からピストン
体を前方に抜去し、空になったシリンダ体内に前方から
掃除用ブラシを挿入して、シリンダ体の内面壁をブラッ
シング掃除していた。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】しかし、細長いシリン
ダ体内に前方の口元から掃除用ブラシを入れてシリンダ
体の内部をブラッシングしても、シリンダ体の底部付近
は、ブラシが強く当たりにくいので、きれいにすること
が非常に難しい。 【０００６】これは、瓶の内部を洗う際に、瓶の口元か
らブラシを入れて内部をくまなくブラッシングしようと
しても、瓶の底部付近、特に底部の隅の部分をきれいに
するのがなかなか難しいのと同様である。 【０００７】そのため、シリンダ体内の底部付近に汚物
が徐々にこびりついて細菌等が繁殖し、患者間感染の原
因になることがあった。そこで本発明は、シリンダ体内
を全長にわたって容易かつ完全にブラッシング掃除する
ことができる衛生的な内視鏡の流体管路切換操作弁を提
供することを目的とする。 【０００８】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の内視鏡の流体管路切換操作弁は、操作部の
前面側において開口するように配置されたシリンダ体内
に前方に突出するピストン体を軸方向にスライド自在に
嵌挿して、上記ピストン体をスライド操作することによ
って、上記シリンダ体の側面に接続された複数の流体管
路の接続関係を切り換えるようにした内視鏡の流体管路
切換操作弁において、上記シリンダ体の底部を上記操作
部の後面側に開口配置すると共に、上記ピストン体を上
記シリンダ体から抜去自在に構成したことを特徴とす
る。 【０００９】 【実施例】図面を参照して実施例を説明する。図３は内
視鏡を示しており、可撓管からなる挿入部１の基端側に
操作部２が連結されていて、その上端部には接眼部３が
突設されている。 【００１０】操作部２の前面側の上半部には、送気送水
操作弁４と吸引操作弁５とが前方に向けて突設されてお
り、それらを操作することによって、挿入部１の先端１
ａから外部に対しての送気、送水又は吸引を行うことが
できる。６は、生検鉗子等を鉗子チャンネル内に挿入す
るための鉗子挿入口である。 【００１１】図１は送気送水操作弁４を示しており、操
作部２の前壁２ａと後壁２ｂとの間にまたがって、操作
部２内にシリンダ体１１が配置されていて、第１の押さ
えナット１２によって前壁２ａに固定され、第２の押さ
えナット１３によって後壁２ｂに固定されている。 【００１２】シリンダ体１１は、全体に均一な内径を有
していて、その内径のまま前後両端に開口している。但
し、操作部２の前壁２ａから前方に突出する部分は少し
太く形成されていて、その内外周にネジが形成されてい
る。 【００１３】シリンダ体１１の側壁には空気が供給され
る給気管１４と、水が供給される給水管１５と、空気又
は水を送り出すための送気送水管１６とが、互いの間隔
をあけて接続されている。 【００１４】シリンダ体１１内には、ピストン体１８が
シリンダ体１１の軸方向にスライド自在に嵌挿されてい
て、そのピストン体１８の外周面には、幅の広い二つの
円周溝１９，２０が形成されている。２１…はシール用
のＯリングである。 【００１５】したがって、ピストン体１８をシリンダ体
１１内で軸方向にスライドさせることにより、図１に示
されるように給気管１４が第１の円周溝１９を介して送
気送水管１６に接続される状態と、給水管１５が第２の
円周溝２０を介して送気送水管１６に接続される状態と
が切り換わる。 【００１６】ピストン体１８の中心軸部には、前方に開
口する通気孔２３が形成されていて、その通気孔２３
は、連通孔２４を介して第１の円周溝１９と連通してい
る。ピストン体１８の後端側は閉塞されている。 【００１７】ピストン体１８の前端は前方に突出してい
て、その突端には指当て２５が螺合連結されている。そ
して、シリンダ体１１の前端開口部内周に螺合された止
め環２６と指当て２５との間に圧縮して装着されたコイ
ルスプリング２７によって、ピストン体１８が前方に向
けて常時付勢されている。 【００１８】止め環２６は、ピストン体１８がシリンダ
体１１内から抜け出すのを阻止するストッパの役割を果
たしており、止め環２６をシリンダ体１１の口元から外
せば、ピストン体１８及び指当て２５等がそれと一体と
なってシリンダ体１１から取り外される。２８は、シリ
ンダ体１１の前端開口部外周に螺合されたカバー環であ
り、止め環２６と一体化してもよい。 【００１９】このように構成された送気送水操作弁４
は、図１に示されている待機状態においては、給水管１
５がピストン体１８で閉塞されていて、給気管１４から
送られてくる空気が、管路抵抗の小さな通気孔２３を通
って大気に放出される。内径が細くしかも長くて管路抵
抗が大きい送気送水管１６へは送気されない。 【００２０】そこで、指当て２５の表面に指先を押しつ
けて、通気孔２３の出口を塞ぐと、給気管１４から送ら
れてくる空気の出口が送気送水管１６以外になくなっ
て、送気送水管１６に空気が送り込まれ、いわゆる送気
状態になる。 【００２１】そして、さらに指当て２５を指先で押し
て、ピストン体１８をシリンダ体１１内に押し込むと、
送気送水管１６が第２の円周溝２０を介して給水管１５
と連通して、送気送水管１６に水が送り込まれ、いわゆ
る送水状態になる。 【００２２】このような送気送水操作を繰り返したと
き、この実施例のようにシリンダ体１１の底部が開放さ
れていると、シリンダ体１１の底部周辺は、汚物が溜ま
り難くて汚染され難い。 【００２３】内視鏡使用後には、止め環２６とシリンダ
体１１の螺合を解除して止め環２６をシリンダ体１１の
口元から取り外せば、それと共にピストン体１８がシリ
ンダ体１１内から抜けて、シリンダ体１１の内周面が操
作部２を貫通する状態に露出される。 【００２４】したがって、底のない完全な筒状のシリン
ダ体１１内に掃除用ブラシを差し込んで、シリンダ体１
１の内周面を全長にわたって容易にブラッシングするこ
とができ、シリンダ体１１の内周面を完全に掃除するこ
とができる。 【００２５】図２は吸引操作弁５を示しており、送気送
水操作弁４と比較して主に配管が相違するだけであり、
基本的な構成は送気送水操作弁４と大差がない。なお、
鉗子挿入口６にはゴム製の鉗子栓６１が取り付けられて
いて、鉗子等が挿入される時以外は閉塞されている。 【００２６】操作部２の前壁２ａと後壁２ｂとの間にま
たがって操作部２内に配置されたシリンダ体３１は、全
体に均一な内径を有していて、第１の押さえナット３２
によって前壁２ａに固定され、第２の押さえナット３３
によって後壁２ｂに固定されている。 【００２７】シリンダ体３１の側壁には、外部の吸引器
に接続される吸引管３４と鉗子チャンネル３６とが接続
されていて、鉗子チャンネル３６が挿入部１の先端１ａ
に至る吸引管を兼用している。 【００２８】シリンダ体３１内に軸方向にスライド自在
に嵌挿されたピストン体３８の外周面には、円周溝４０
が形成されていて、ピストン体３８を軸方向にスライド
させることにより、図２に示されるように吸引管３４と
鉗子チャンネル３６との間がピストン体３８で閉塞され
た待機状態と、吸引管３４が円周溝４０を介して鉗子チ
ャンネル３６と連通する吸引状態とが切り換わる。 【００２９】ピストン体３８の中心軸部には、前方に開
口する通気孔４３が形成されていて、その通気孔４３
は、連通孔４４を介して円周溝４０と連通している。ピ
ストン体３８の後端は閉塞されている。 【００３０】ピストン体３８の前端は前方に突出してい
て、その突端には指当て４５が螺合連結され、シリンダ
体３１の前端に螺合された止め環４６と指当て４５との
間に圧縮して装着されたコイルスプリング４７によっ
て、ピストン体３８が前方に向けて常時付勢されてい
る。 【００３１】止め環４６は、ピストン体３８がシリンダ
体３１内から抜け出すのを阻止するストッパの役割を果
たしており、止め環４６をシリンダ体３１の口元から外
せば、ピストン体３８及び指当て４５等がそれと一体と
なってシリンダ体３１から取り外される。４８は、止め
環４６と一体化されたカバー環である。 【００３２】このように構成された吸引操作弁５は、図
２に示される待機状態においては、通気孔４３を通じて
大気が吸引管３４に吸引されており、指当て４５を指先
で塞いでピストン体３８をシリンダ体３１内に押し込む
と、円周溝４０と連通孔４４を介して吸引管３４と鉗子
チャンネル３６が連通して、鉗子チャンネル３６内から
吸引される。 【００３３】このような吸引操作を繰り返したとき、こ
の実施例のようにシリンダ体３１の底部が開放されてい
ると、シリンダ体３１の底部周辺は、汚物が溜まり難く
て汚染され難い。 【００３４】内視鏡使用後には、止め環４６とシリンダ
体３１の螺合を解除して止め環４６をシリンダ体３１の
口元から取り外せば、それと共にピストン体３８がシリ
ンダ体３１内から抜けて、シリンダ体３１の内周面が操
作部２を貫通する状態に露出される。 【００３５】したがって、底のない完全な筒状のシリン
ダ体３１内に掃除用ブラシを差し込んで、シリンダ体３
１の内周面を全長にわたって容易にブラッシングするこ
とができ、シリンダ体３１の内周面を完全に掃除するこ
とができる。 【００３６】 【発明の効果】本発明によれば、操作部の前面側におい
て開口するシリンダ体の底部を操作部の後面側に開口配
置したので、シリンダ体の底部付近に汚物等が溜まりに
くい。そして、ピストン体をシリンダ体から抜去すれ
ば、シリンダ体の内周面が操作部を貫通する状態に露出
されるので、底のない完全な筒状のシリンダ体内に掃除
用ブラシを差し込んで、シリンダ体の内周面を全長にわ
たって容易かつ完全に掃除することができ、シリンダ体
内部の掃除不良による患者間感染の発生を防止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】 【図１】実施例の送気送水操作弁の側面断面図である。 【図２】実施例の吸引操作弁の側面断面図である。 【図３】実施例の内視鏡の側面図である。 【符号の説明】 ２ 操作部 ４ 送気送水操作弁 １１ シリンダ体 １４ 給気管 １５ 給水管 １６ 送気送水管 １８ ピストン体

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】操作部の前面側において開口するように配
   置されたシリンダ体内に前方に突出するピストン体を軸
   方向にスライド自在に嵌挿して、上記ピストン体をスラ
   イド操作することによって、上記シリンダ体の側面に接
   続された複数の流体管路の接続関係を切り換えるように
   した内視鏡の流体管路切換操作弁において、 上記シリンダ体を、全体に均一な内径に形成してその内
   径のまま前後両端において上記操作部の外面に開口する
   ように配置して、上記ピストン体を上記シリンダ体から
   抜去自在に構成したことを特徴とする内視鏡の流体管路
   切換操作弁。