JP3379921B2 - 静電荷現像用トナー - Google Patents

静電荷現像用トナー

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友弘 藤沢
和夫 夏目
武史 望月
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エフ・ディ−・ケイ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラッシュ定着方
式の電子写真式画像形成装置に用いる静電荷現像用のト
ナーに関し、更に詳しく述べると、トナー組成物に光触
媒を含有させることにより、定着臭の発生を低減した静
電荷現像用トナーに関するものである。この技術は、例
えば静電式複写機あるいはレーザビームプリンタ等に有
用である。
【0002】
【従来の技術】電子写真法を利用した複写機やレーザビ
ームプリンタ等の画像形成装置において、画像形成物質
であるトナーを記録媒体に定着させる手段としては、加
圧法、加熱法、光照射法など、種々の方法が知られてい
る。それらの中で光照射法の代表的な方法であるフラッ
シュ定着方式は、記録媒体(紙)に転写したトナーにフ
ラッシュ光を照射することで、その輻射エネルギーによ
って溶融定着させる方式である。
【0003】このフラッシュ定着方式は、 非接触定着であるため、現像時の画像解像度を劣化さ
せない。 電源投入後の待ち時間が無く、クイックスタートが可
能である。 記録媒体(紙)の材質、厚さに関係なく定着が可能で
ある。 などの利点を有しており、特に高速機に有利な方式であ
るとされている。
【0004】しかし、このようなフラッシュ定着方式
は、フラッシュ光の照射によって記録媒体(紙)表面が
高温になるため、トナーが溶融、定着する際に、トナー
組成物の一部が分解、ガス化して悪臭を発生し易いとい
う問題がある。
【0005】現状では、この問題を解決するために、ト
ナー組成物(結着樹脂成分、添加物など)として、定着
臭を少なくできる材料を選択して使用している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、定着臭
軽減対策として結着樹脂成分や添加物などを微調整する
と、トナー特性(熱特性や帯電性等)も変化し、画像品
質に悪影響を及ぼす虞れがある。そのため、総合的な特
性バランスをとることが難しく、使用可能な結着樹脂や
添加物の選択範囲が狭まる欠点がある。
【0007】本発明の目的は、フラッシュ定着方式の電
子写真式画像形成装置で用いるトナーにおいて、良好な
画像品質を保ちながら、不快臭気の発生を低減でき、し
かもトナー組成物の材料選択範囲が狭まらないような静
電荷現像用トナーを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、フラッシュ定
着方式の電子写真式画像形成装置に用いるトナーにおい
て、少なくとも結着樹脂と着色剤を有するトナー組成物
に、光触媒の性質を有する物質を含有させ、定着時にフ
ラッシュ光で活性化した光触媒反応によって不快臭気の
元となるガスを酸化させ定着臭を低減するようにした静
電荷現像用トナーである。
【0009】この静電荷現像用トナーは、結着樹脂、着
色剤、及びその他の添加物(帯電制御剤、離型剤、流動
性向上剤など)の混練物であり、それに上記光触媒の性
質を有する物質を含有させる。光触媒の性質を有する物
質は、トナー組成物中に溶融混練することで、内部に均
一に含有させることができる。光触媒の性質を有する物
質としては、アナタース型酸化チタンが最適である。
【0010】画像形成物質であるトナーを記録媒体
(紙)にフラッシュ定着する時、輻射エネルギーによっ
てトナー組成物中の結着樹脂が分解し、種々のガス状物
質が生じる。そのうちのある種のものが不快臭の元とな
る。本発明では、トナー組成中に含有されている光触媒
の性質を有する物質が、フラッシュ光を吸収することに
よって光触媒活性を呈し、この光触媒反応によって、不
快臭気の元となるガスを酸化させ、あるものは分解し、
定着臭を軽減する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において使用できる光触媒
の性質を有する物質としては、Al,Ti,Cr,F
e,Cu,Sr,Cd,In,Sn,W,Zn,Nb,
Zr等を含んだ酸化物、CdS,ZnS等の金属硫化
物、CdSe,GaP,CdTe,MoSe2 ,WSe
2 等の金属カルコゲナイド、あるいはSi,GaAs等
がある。それらの中で、特に限定されるものではない
が、化学的安定性が良好なこと、毒性が無いこと、光触
媒活性に優れていること、などの観点から、酸化チタン
が好ましい。酸化チタンには結晶構造の違いによってル
チル型とアナタース型などがあるが、光触媒活性の点か
らアナタース型が最適である。
【0012】アナタース型酸化チタンを用いる場合、そ
の添加量は、結着樹脂100重量部に対して5〜30重
量部とする。添加量が5重量部未満であると、十分な消
臭効果が生じないし、逆に30重量部を超えると、帯電
量が阻害され、印字品質に悪影響を及ぼすためである。
【0013】本発明で用いる結着樹脂は、通常の乾式ト
ナーに使用されているものと同じものであってよい。例
えば、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、スチレン
系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、フェノール系樹
脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。なかでもフラ
ッシュ定着時の臭気を低減するためには、ポリエステル
系樹脂あるいはエポキシ系樹脂が好ましい。
【0014】本発明で用いる着色剤は、従来公知のもの
が使用できるが、黒色系のものが好ましい。カラートナ
ーへの本発明の適用は、光触媒の作用により定着後の僅
かな色調の変化を引き起こす場合があるため、好ましく
ないからである。
【0015】前述したように、トナー中には、上記結着
樹脂、着色剤、光触媒の性質を有する物質の他、必要に
応じて、帯電制御剤、離型剤、流動性向上剤などを適量
添加してもよいことは無論である。
【0016】
【実施例】(実施例1)トナー原料として、次の材料を
用意した。 結着樹脂(不飽和ポリエステル樹脂) 100重量部 帯電制御剤(ニグロシン染料) 3重量部 着色剤(カーボンブラック) 5重量部 離型剤(低分子量ポリプロピレン) 2重量部 光触媒の性質を有する物質(アナタース型酸化チタン) 30重量部 これらの材料をヘンシェルミキサにより配合した後、2
軸押出し機で溶融混合した。冷却後、ロートプレックス
で粗粉砕し、次いでエアジェットミル粉砕機で微粉砕
し、分級して平均粒径8μmの粉体を得た。この粉体に
シリカ微粒子を0.5重量部加えて乾式混合により外添
処理し、実施例1のトナーとした。なお、ここで外添し
たシリカ微粒子は、トナーの流動性を向上させる機能を
果たす。
【0017】(実施例2)光触媒の性質を有する物質
(アナタース型酸化チタン)の添加量を15重量部とす
る以外は実施例1と同様の製法により、実施例2のトナ
ーを得た。 (実施例3)光触媒の性質を有する物質(アナタース型
酸化チタン)の添加量を5重量部とする以外は実施例1
と同様の製法により、実施例3のトナーを得た。
【0018】(比較例1)光触媒の性質を有する物質
(アナタース型酸化チタン)の添加量を50重量部とす
る以外は実施例1と同様の製法により、比較例1のトナ
ーを得た。 (比較例2)光触媒の性質を有する物質(アナタース型
酸化チタン)の添加量を3重量部とする以外は実施例1
と同様の製法により、比較例2のトナーを得た。 (比較例3)光触媒の性質を有する物質(アナタース型
酸化チタン)をヘンシェルミキサ配合時には添加せず、
外添時にシリカと一緒に3重量部添加し、それ以外は実
施例1と同様の製法により、比較例3のトナーを得た。 (比較例4)光触媒の性質を有する物質(アナタース型
酸化チタン)を添加せず、それ以外は実施例1と同様の
製法により、比較例4のトナーを得た。 (比較例5)光触媒の性質を有する物質として、アナタ
ース型酸化チタンの代わりにルチル型酸化チタンを用い
る以外は実施例1と同様の製法により、比較例5のトナ
ーを得た。
【0019】上記実施例1〜3及び比較例1〜5の各ト
ナーをキャリアと混合して2成分系現像剤を調整した
後、市販のフラッシュ定着型プリンタによって、脱臭フ
ィルタを除いた状態で1000枚の連続印刷を行った。
【0020】印刷した画像は、実施例1〜3及び比較例
2〜5については差は無かったが、比較例1のトナーは
著しい帯電量低下のため印字評価が不能であった。
【0021】定着臭については、発生する臭気を公知の
官能試験法で判定した。臭気官能試験法(嗅覚測定法)
は、人間の嗅覚を利用して、ある臭気の強さを数量的に
把握しようとするものであり、様々な方法があるが、こ
の実施例の評価では三点比較式臭袋法を採用した。
【0022】まず三点比較式臭袋法の概略について簡単
に説明する。6人のパネル(臭いを嗅ぐ人)に、ポリエ
ステル樹脂製などの容量3Lの袋を3個与える。そのう
ちの2個の袋には無臭の空気が、残りの1個の袋には原
臭をある濃度で希釈したものが入っており、各パネルに
これら3個の袋の中から原臭の入った袋を選び出させ
る。そして、徐々に原臭を希釈していき、最後にパネル
が原臭を入れた袋を選び出すことが困難になったときの
希釈倍率を求め、この希釈倍率をもって原臭の臭気濃度
とするものである。
【0023】臭気測定は、実施例1〜3及び比較例2〜
5毎に、前記のように1000枚印刷後の状態で発生し
た臭気を採取し、上記の三点比較式臭袋法に基づき判定
試験を行った。判定試験の結果から、臭気指数の算出
は、以下のように行った。
【0024】まず、以下のように各パネルの閾値を常用
対数として求めた。パネルiを例にすると、 Xi=(logM1i+logM0i)/2 但し、Xi:パネルiの閾値 M1i:パネルiの回答が「正解」である最大の希釈倍
数 M0i:パネルiの回答が「不正解」である希釈倍数 で求める。このようにして求めた各パネル(6名)の閾
値の最大値1つと最小値1つを除き、その他の中間の値
を平均したものを、パネル全体の閾値Xとする。
【0025】次に、パネル全体の閾値Xを、次式により
変換し、臭気指数Yを求める。 Y=10X このようにして、実施例1〜3及び比較例2〜5のトナ
ーについて算出した臭気指数Yの値を、表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】表1に示す結果から、トナー組成物に、光
触媒の性質を有する物質(アナタース型酸化チタン)を
適量含有させる(実施例1〜3)ことによって、含有さ
せない場合(比較例4)に比べて30〜45%程度も臭
気指数を低減できることが分かる。また、光触媒の性質
を有する物質(アナタース型酸化チタン)の添加量が少
ない場合に比べても、ほぼ同程度臭気指数を低減できる
ことが分かる。
【0028】
【発明の効果】本発明は上記のように、トナー組成物
に、光触媒の性質を有する物質を適量含有させたフラッ
シュ定着方式の静電荷現像用トナーであるから、結着樹
脂や添加物等の材料選択に制約をうけることが無く、良
好な画像品質を保ちながら、不快臭気の発生を低減でき
る効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−106094(JP,A) 特開 平8−87128(JP,A) 特開 平11−137660(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラッシュ定着方式の電子写真式画像形
    成装置で用いるトナーであって、 少なくとも結着樹脂と着色剤を有するトナー組成物に、
    光触媒の性質を有する物質を含有させ、定着時にフラッ
    シュ光で活性化した光触媒反応によって不快臭気の元と
    なるガスを酸化させ定着臭を低減することを特徴とする
    静電荷現像用トナー。
  2. 【請求項2】 光触媒の性質を有する物質を、トナー組
    成物中に溶融混練することでほぼ均一に含有させた請求
    項1記載の静電荷現像用トナー。
  3. 【請求項3】 光触媒の性質を有する物質が、アナター
    ス型酸化チタンであり、結着樹脂100重量部に対して
    5〜30重量部の割合で含有させた請求項1又は2記載
    の静電荷現像用トナー。
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