JP3379560B2 - 展開構造物 - Google Patents

展開構造物

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明宏 宮坂
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基礎構造体から所定量
だけ離れた位置に機器を保持する構造物であって、折り
畳むことによってコンパクトに収納され、展開すれば大
きな構造物となる展開構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の展開構造物としては、例えば図
7及び図8に示すものが知られている(第36回宇宙科
学技術連合講演会、pp575,1992)。図7において、1は
衛星構体(基礎構造体)であり、この衛星構体1には、
フィーダ2及びこのフィーダ2から送り出される展開タ
ワー(展開トラス)3が設けられている。展開タワー3
には、その頂上部に機器取付部4が設けられており、こ
の機器取付部4に副反射鏡5が取り付けられている。な
お、図において6は衛星構体1に設けられた主反射鏡で
ある。
【0003】上記展開タワー3は、図8に示すように、
伸展部材3aが伸展することにより、一次元的に展開す
るようになっている。またフィーダ2は、展開タワー3
を駆動制御装置7により所定量だけガイドレール8に沿
って送り出すようになっている。また、フィーダ2に
は、送り出した展開タワー3を展開した状態に固定する
ロックガイド9が設けられている。
【0004】上記のように構成された展開構造物は、ロ
ケットの打ち上げ時には展開タワー3や副反射鏡5等を
ロケットフェアリングないに収納しておき、軌道上で一
次元的に展開して、副反射鏡5を所定の位置に配置する
ようになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た展開構造物では、副反射鏡5の位置がフィーダ2から
送り出される展開タワー3の展開状態によって一義的に
決まることになる。このため、製造誤差等により、副反
射鏡5の位置や傾きがずれた場合には副反射鏡5の位置
や傾きの修正ができないという問題がある。
【0006】この発明はこのような事情にもとづきなさ
れたもので、その目的は、展開完了時において、機器の
位置や傾きを調整することのできる展開構造物を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1記載の発明は、展開トラス(13)に反射鏡等の機
器(15)を設けることによって、所定の位置に前記機
器(15)を配置するように構成した展開構造物であっ
て、位置と角度とが変更可能な姿勢制御機構(11)を
介して、前記展開トラス(13)を基礎構造体(1)に
設置して構成され、前記姿勢制御機構(11)は、6つ
の伸展部材(31)と、この各伸展部材(31)の両端
部をV字状に連続して連結する球面ジョイント(32)
と、この各球面ジョイント(32)を介して三角形状に
配置された連結部材(33)とを有し、この各連結部材
(33)によって形成される一方及び他方の面(33
a)(33b)は、それらの間隔や傾きを、各伸展部材
(31)の伸展に応じて変更可能に構成したことを特徴
としている。
【0008】請求項2記載の発明において、前記展開構
造物は、展開トラス(13)に反射鏡等の機器(15)
を設けることによって、所定の位置に前記機器(15)
を配置するように構成した展開構造物であって、位置と
角度とが変更可能な姿勢制御機構(11)を、前記展開
トラス(13)と前記機器(15)との間に介在させて
構成され、前記姿勢制御機構(11)は、6つの伸展部
材(31)と、この各伸展部材(31)の両端部をV字
状に連続して連結する球面ジョイント(32)と、この
各球面ジョイント(32)を介して三角形状に配置され
た連結部材(33)とを有し、この各連結部材(33)
によって形成される一方及び他方の面(33a)(33
b)は、それらの間隔や傾きを、各伸展部材(31)の
伸展に応じて変更可能に構成したことを特徴としてい
る。
【0009】請求項3記載の発明において、前記展開構
造物は、基本展開トラス(21)を組み合わせて構成し
た展開トラス(13)に反射鏡等の機器(15)を設け
ることによって、所定の位置に前記機器を配置するよう
に構成した展開構造物であって、位置と角度とが変更可
能な姿勢制御機構(11)を、基本展開トラス(21)
間に介在させて構成され、前記姿勢制御機構(11)
は、6つの伸展部材(31)と、この各伸展部材(3
1)の両端部をV字状に連続して連結する球面ジョイン
ト(32)と、この各球面ジョイント(32)を介して
三角形状に配置された連結部材(33)とを有し、この
各連結部材(33)によって形成される一方及び他方の
面(33a)(33b)は、それらの間隔や傾きを、各
伸展部材(31)の伸展に応じて変更可能に構成したこ
とを特徴としている。
【0010】請求項4記載の発明において、前記展開構
造物は、機器(15)の数に相当する数の姿勢制御機構
(11)を設けたことを特徴としている。
【0011】
【作用】本発明の展開構造物においては、姿勢制御機構
を介して、展開トラスを基礎構造体に設けているから、
展開トラス全体の位置や傾きを変更することにより、機
器の姿勢を修正することができる。また、姿勢制御機構
を、展開トラスと機器との間に介在させものにあって
は、展開トラスを動かすことなく、機器のみの位置や角
度を調整することができる。さらに、展開トラスを基本
展開トラスによって構成し、この基本展開トラス間に姿
勢制御機構を介在させたものにあっては、展開トラスの
中間位置に配した機器についても、その位置や角度を調
整することができる。また、機器の数に相当する数の姿
勢制御機構を設けたものにあっては、各機器についてそ
れぞれ独立に、位置や角度を調整することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図1〜図6
を参照して説明する。まず、図1〜図5を参照して本発
明の第1実施例を説明する。
【0013】図1において、1は衛星構体(基礎構造
体)であり、この衛星構体1には姿勢制御機構11が設
置され、この姿勢制御機構11上に、展開制御機構12
を介して展開トラス13が設けられている。そして、展
開トラス13の頂上部には機器取付部14が設けられ、
この機器取付部14に副反射鏡(機器)15が設けられ
ている。
【0014】展開トラス13は、ユニット化された基本
展開トラス21を複数個結合して構成したものであり、
各基本展開トラス21は図2及び図3に示すようになっ
ている。すなわち、基本展開トラス21は、上面構成部
材22と、側面構成部材23と、下面構成部材24と、
斜部材25と、ジョイント26と、伸展バネ27と、ス
ライダ28と、横部材29とを備えている。なお、図3
は、図2におけるXYZ軸座標を基準とした場合の、X
軸方向から見た側面図である。
【0015】上記上面構成部材22、側面構成部材23
及び下面構成部材24は、図3の紙面に垂直な方向の軸
回り、すなわちX軸回りに回転するジョイント26によ
って連結されており、伸展バネ27の伸展力により、ジ
ョイント26の部分で回転することにより、展開するよ
うになっている。この際、斜部材25は、一方の端部が
ジョイント26を介して、上面構成部材22又は下面構
成部材24に連結され、他方の端部がスライダ28に連
結されている。この他方の端部とスライダ28との連結
も、ジョイント26と同一の軸回りに回転するジョイン
ト(図示せず)により行われている。
【0016】スライダ28は、展開するに連れて、横部
材29に沿って矢印Aの方向に移動するようになってお
り、この移動にともない、上面構成部材22及び下面構
成部材24が互いに離れるように移動し、最も離れた状
態において展開完了状態になる。
【0017】このように各基本展開トラス21は、各々
が展開力をもっており、展開制御機構12により拘束力
が開放されることにより、1ユニットずつ展開するよう
になっている。すなわち、図1において、21aは完全
に展開した状態の基本展開トラスであり、21bは展開
途中の状態の基本展開トラスであり、21cは折り畳ま
れた状態の基本展開トラスを示している。
【0018】また、姿勢制御機構11は、図4及び図5
に示すように、6つの伸展部材31と、各伸展部材31
の両端部をV字状に連続して連結する球面ジョイント3
2と、各球面ジョイント32を介して三角形状に配置さ
れた連結部材33とを備えている。そして、連結部材3
3によって形成される一方及び他方の面33a、33b
は、それらの間隔や傾きが各伸展部材31の伸展に応じ
て変化するようになっている。すなわち、一方及び他方
の面33a、33bの位置や傾きは各伸展部材31の長
さにより一意に決定されることから、6つの伸展部材3
1の長さを独立に制御することにより、一方及び他方の
面33a、33bに対する位置と傾きについて6自由度
の制御が可能になる。
【0019】伸展部材31は、図5に示すように、モー
タ41と、ギヤ42と、ボールねじ43と、球面ジョイ
ント44と、エンコーダ45とを備えている。そして、
モータ41の回転運動をギヤ42を介してボールねじ4
3に伝えることによって、回転運動を伸縮運動に変換す
るようになっている。球面ジョイント44は、伸展部材
31を自由な方向へ回転することを可能にしている。ま
た、モータ41の回転量をエンコーダ45で計測するこ
とにより、伸縮量を算出することができ、モータ41の
回転量を制御することにより、上記一方及び他方の面3
3a、33bの6自由度方向の制御を行うように構成さ
れている。
【0020】また、伸展部材31を連結する連結部材3
3には、基本展開トラス21に連結可能なような接続部
材(図示せず)が設けられており、基本展開トラス21
の上面構成部材22又は下面構成部材24にそのまま連
結することが可能になっている。さらに、機器取付部1
4についても、基本展開トラス21に接続する部分は、
基本展開トラス21の上面構成部材22又は下面構成部
材24にそのまま連結することが可能なように構成され
ている。
【0021】上記のように構成された展開構造物におい
ては、姿勢制御機構11を介して、展開トラス13を設
けているから、展開トラス13全体の位置や傾きを変更
することができ、この展開トラス13に設けた副反射鏡
15の姿勢を6自由度の範囲で調整することができる。
【0022】次ぎに、この発明の第2実施例を図6を参
照して説明する。ただし、図1〜図5に示す第1実施例
の構成要素を共通する要素には同一の符号を付し、その
説明を簡略化する。
【0023】この実施例においては、衛星構体1上にま
ず第1の姿勢制御機構11を介して、基本展開トラス2
1及び機器取付部14が設けられ、この機器取付部14
に第1の副反射鏡15が設けられている。また、機器取
付部14の上には、第2の姿勢制御機構11を介して、
基本展開トラス21及び機器取付部14が設けられ、こ
の機器取付部14に第2の副反射鏡15が設けられてい
る。
【0024】このように構成された展開構造物において
は、第1の副反射鏡15に対しては第1の姿勢制御機構
11が設けられ、第2の副反射鏡15に対しては第2の
姿勢制御機構11が設けられているから、第1及び第2
の各副反射鏡15の位置及び傾きについて、それぞれ独
立に調整することができる。
【0025】なお、上記第2実施例においては、姿勢制
御機構11を基本展開トラス21の下側に配した例を示
したが、この姿勢制御機構11は、機器取付部14と基
本展開トラス21との間に配してもよく、また副反射鏡
15と機器取付部14との間に配するようにしてもよ
い。そして、複数の副反射鏡15を独立に調整すること
ができるようにするためには、副反射鏡15の数に等し
い数の姿勢制御機構11を設けることが好ましい。
【0026】また、上記各実施例においては、展開構造
物を人工衛星に設けた例を示したが、地上における例え
ば放送用の車両等に設けてもよい。この場合には、展開
トラスの伸展によって高位置に達した機器等について、
その位置や傾きを容易に調整することができる利点があ
る。
【0027】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、姿勢制御
機構(11)を介して、展開トラス(13)を基礎構造
体(1)に設けているから、展開トラス(13)全体の
位置や傾きを変更することにより、機器(15)の姿勢
を修正することができる。特に、この発明において姿勢
制御機構(11)は、6つの伸展部材(31)と、この
各伸展部材(31)の両端部をV字状に連続して連結す
る球面ジョイント(32)と、この各球面ジョイント
(32)を介して三角形状に配置された連結部材(3
3)とを有し、この各連結部材(33)によって形成さ
れる一方及び他方の面(33a)(33b)は、それら
の間隔や傾きを、各伸展部材(31)の伸展に応じて変
更可能に構成したので、一方及び他方の面(33a)
(33b)の位置や傾きは、各伸展部材(31)の長さ
により一意に決定されることから、6つの伸展部材(3
1)の長さを独立に制御することにより、一方及び他方
の面(33a)(33b)に対する位置と傾きについて
6自由度の制御を行うことができる。従って、展開トラ
ス(13)の形状を変化させることなく基礎構造体
(1)、展開トラス(13)及び機器(15)の位置や
傾きについて6自由度の制御を容易に行うことができ
る。また、請求項2記載の発明によれば、姿勢制御機構
(11)を、展開トラス(13)と機器(15)との間
に介在させものにあっては、展開トラス(13)を動か
すことなく、機器(15)のみの位置や角度を調整する
ことができる。さらに、請求項3記載の発明によれば、
展開トラス(13)を基本展開トラス(21)によって
構成し、この基本展開トラス(21)間に姿勢制御機構
(11)を介在させたものにあっては、展開トラス(1
3)の中間位置に配した機器(15)についても、その
位置や角度について6自由度の制御を容易に行うことが
できる。また、請求項4記載の発明によれば、機器(1
5)の数に相当する数の姿勢制御機構(11)を設けた
ものにあっては、各機器(15)についてそれぞれ独立
に、位置や角度について6自由度の制御を容易に行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例として示した展開構造物
の斜視図。
【図2】同展開構造物における基本展開トラスを示す斜
視図。
【図3】同展開構造物における基本展開トラスを示す側
面図。
【図4】同展開構造物における姿勢制御機構を示す斜視
図。
【図5】同展開構造物における姿勢制御機構の伸展部材
を示す正面図。
【図6】この発明の第2実施例として示した展開構造物
の斜視図。
【図7】従来例として示した展開構造物の斜視図。
【図8】同展開構造物の展開トラスを示す斜視図。
【符号の説明】
1 基礎構造体(衛星構体) 11 姿勢制御機構 13 展開トラス 15 機器(副反射鏡) 21 基本展開トラス
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−215697(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B64G 1/22 E04B 1/344 H01Q 1/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 展開トラス(13)に反射鏡等の機器
    (15)を設けることによって、所定の位置に前記機器
    (15)を配置するように構成した展開構造物であっ
    て、位置と角度とが変更可能な姿勢制御機構(11)を
    介して、前記展開トラス(13)を基礎構造体(1)に
    設置して構成され、前記姿勢制御機構(11)は、6つ
    の伸展部材(31)と、この各伸展部材(31)の両端
    部をV字状に連続して連結する球面ジョイント(32)
    と、この各球面ジョイント(32)を介して三角形状に
    配置された連結部材(33)とを有し、この各連結部材
    (33)によって形成される一方及び他方の面(33
    a)(33b)は、それらの間隔や傾きを、各伸展部材
    (31)の伸展に応じて変更可能に構成したことを特徴
    とする展開構造物。
  2. 【請求項2】 展開トラス(13)に反射鏡等の機器
    (15)を設けることによって、所定の位置に前記機器
    (15)を配置するように構成した展開構造物であっ
    て、位置と角度とが変更可能な姿勢制御機構(11)
    を、前記展開トラス(13)と前記機器(15)との間
    に介在させて構成され、前記姿勢制御機構(11)は、
    6つの伸展部材(31)と、この各伸展部材(31)の
    両端部をV字状に連続して連結する球面ジョイント(3
    2)と、この各球面ジョイント(32)を介して三角形
    状に配置された連結部材(33)とを有し、この各連結
    部材(33)によって形成される一方及び他方の面(3
    3a)(33b)は、それらの間隔や傾きを、各伸展部
    材(31)の伸展に応じて変更可能に構成したことを特
    徴とする展開構造物。
  3. 【請求項3】 基本展開トラス(21)を組み合わせて
    構成した展開トラス(13)に反射鏡等の機器(15)
    を設けることによって、所定の位置に前記機器を配置す
    るように構成した展開構造物であって、位置と角度とが
    変更可能な姿勢制御機構(11)を、基本展開トラス
    (21)間に介在させて構成され、前記姿勢制御機構
    (11)は、6つの伸展部材(31)と、この各伸展部
    材(31)の両端部をV字状に連続して連結する球面ジ
    ョイント(32)と、この各球面ジョイント(32)を
    介して三角形状に配置された連結部材(33)とを有
    し、この各連結部材(33)によって形成される一方及
    び他方の面(33a)(33b)は、それらの間隔や傾
    きを、各伸展部材(31)の伸展に応じて変更可能に構
    成したことを特徴とする展開構造物。
  4. 【請求項4】 機器(15)の数に相当する数の姿勢制
    御機構(11)を設けたことを特徴とする請求項1、請
    求項2又は請求項3記載の展開構造物。
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