JP3377897B2 - 自動車用フロアパネルの配管取付け構体 - Google Patents

自動車用フロアパネルの配管取付け構体

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のフロアパ
ネルの下面側でブレーキチューブやフューエルチューブ
等の配管を支持する構造に関する。 【0002】 【従来の技術】大小様々な凹凸をもってプレス成形され
た自動車のフロアパネルの下面には、この下面の凸部分
を避けてブレーキチューブやフューエルチューブ等の複
数本の配管が取付けられる。例えば図2及び図3にフロ
アパネル1の一例を示すと、これは下面に突設させたセ
ンタートンネル部1aと足溜まり部1bを有し、この下
面にセンタートンネル部1aと足溜まり部1bの突設部
分を避けるように蛇行させて複数本の配管2と、この配
管2を部分的に保護するプロテクタ4が取付けられる。 【0003】センタートンネル部1aは、フロアパネル
1の下面中央部を車体前後方向に沿って上方に突設させ
た部分で、フロアパネル1の全体の剛性を高める。足溜
まり部1bは、フロアパネル1の下面のセンタートンネ
ル部1aの側方において下方に突設させたもので、図2
には後部座席用のものが示される。この足溜まり部1b
の上面の空間スペースが、後部座席に座った人の足の置
き場所となる。 【0004】配管2は、管径様々な複数本が横一列に整
列されてフロアパネル1の下面近傍に配置される。この
配管2は、フロアパネル1の下面の突設部であるセンタ
ートンネル部1aの横近傍から車体後方へと延び、足溜
まり部1bの前方近傍で車体幅方向に蛇行してから、足
溜まり部1bの横近傍から車体後方へと延びる。この配
管2の車体幅方向に蛇行する部分2’に、この部分を自
動車の前輪3からの跳び石より保護するプロテクタ4が
取付けられる。 【0005】配管2の車体幅方向に蛇行する部分2’
は、自動車の前輪3の後方に位置して、前輪3からの跳
び石の直線経路である石跳ね経路nの中に在り、この部
分2’を露呈させておくと前輪3からの跳び石が衝突し
て破損することがある。そこで、配管2の車体幅方向に
蛇行する部分2’に下からプロテクタ4を被せ、前輪3
からの跳び石をプロテクタ4で跳ね返して配管2を保護
している。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上記プロテクタ4は、
横一列に並ぶ複数本の配管2に被せられる幅広で、か
つ、配管2の車体幅方向に蛇行する部分2’のほぼ全長
の長さの大形でコスト高な特定製品が必要であって、フ
ロアパネル下での配管取付け構体を複雑でコスト高なも
のにしている。そこで、かかるプロテクタ4を省略した
配管取付け構体として、本発明者は図4及び図5に示す
ようなフロアパネル1を試作した。 【0007】このフロアパネル1は、足溜まり部1bの
前方近傍にフロアパネル1の下面側に突設させたビード
部1c' と、ビード部1c' と足溜まり部1bの間にフ
ロアパネル1の上面側に突設させた配管収納凹部1d'
を有する。ビード部1c' と配管収納凹部1d' は、車
体幅方向に延在し、この配管収納凹部1d' の略水平な
天板1e' の下面近傍に複数本並列の配管2が部分的に
クリップ5で支持されて配置される。クリップ5は、横
一列の複数本の配管2に直交する細長い樹脂成形品で、
配管2に下からワンタッチで嵌挿されて、配管収納凹部
1d' の天板1e' にネジ等で固定される。クリップ5
で車体前後方向の横一列に支持された複数本の配管2
は、配管収納凹部1d' の天板1e' に平行に近接対向
する。 【0008】ビード部1c' は、前輪3からの跳び石の
経路から配管収納凹部1d' の配管2を隠すためのもの
で、配管2のいわゆるプロテクタとして機能する。フロ
アパネル1の下面からのビード部1c' のビード深さH
3 で、前輪3から配管収納凹部1d' への石跳び経路
m' の最大傾斜角度が決められる。この石跳び経路m'
から配管2を隠すようにビード深さH3 と、ビード部1
c' の下面から配管収納凹部1d' の天板1e' までの
高さH4 が設定される。つまり、石跳び経路m'を直進
する跳び石がビード部1c' 下端に当たって、配管収納
凹部1d' の配管2の最後方の配管2bまで到達しない
ように、ビード深さH3 と高さH4 が設定されて、ビー
ド部1c' で配管2を跳び石から保護している。 【0009】以上のようなビード部1c' と配管収納凹
部1d' から成る配管取付け構体によれば、特別な配管
保護用プロテクタが不要となってコスト的に有利なもの
が実現されるが、次なる不具合があった。 【0010】即ち、ビード部1c' で配管収納凹部1
d' の配管2を石跳び経路m' から確実に隠すために
は、フロアパネル1下でのビード部1c' のビード深さ
3 、及び、ビード部1c' 下面から配管収納凹部1
d' の天板1e' までの高さH4 を十分に大きくする必
要がある。一方、ビード部1c' や配管収納凹部1d'
は、隣接する足溜まり部1b等と同時に板金をプレス成
形して形成することが、フロアパネル製造上から望まれ
る。しかし、上記のようにビード深さH3 が大きくなる
と、ビード部1c' と配管収納凹部1d' の間の段差の
大きな部所でのプレス成形が困難となり、仮にプレス成
形できても成形性が悪くなり、剛性に劣る問題が発生す
る。 【0011】また、フロアパネル1の種類によっては、
足溜まり部1bの前方でのビード部1c' の形成位置が
他の要件で規制されて、ビード部1c' と足溜まり部1
bの間が狭くなり、この狭い部所に配管収納凹部1d'
を形成しなければならなくなる場合がある。このような
場合、配管収納凹部1d' の幅W2 は、複数本の配管2
を横一列で収納できるだけの大きさが必要で、その縮小
化が難しく、そのため、足溜まり部1bの車体前後方向
の長さを短か目に設定して、配管収納凹部1d' の幅W
2 を所定幅以上に確保する必要があった。しかし、この
ように足溜まり部1bの前後方向の長さを短くすると、
後部座席の人が足置きスペースに窮屈さを感じる。 【0012】本発明の目的は、フロアパネル下面に配管
保護用ビード部と配管収納凹部を形成した配管取付け構
体におけるビード深さ、配管収納凹部幅の縮小化を実現
することにある。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明は、フロアパネル
における自動車の前輪と後輪の間の部所に、車体の左右
方向に略平行にしてフロアパネル下面側に突設させたビ
ード部と、このビード部から車体後方に延在してフロア
パネル上面側に突設させた配管収納凹部を形成し、配管
収納凹部の天板の下面近傍で車体左右方向に略平行なブ
レーキチューブ等の配管を支持し、ビード部で自動車の
前輪から後方への石跳ね経路から配管収納凹部の配管を
隠すようにした配管取付け構体であって、配管収納凹部
の天板を自動車前輪による上記石跳ね経路の傾斜角に対
応させて車体前方側に下がる前傾斜とし、この前傾天板
の下面近傍で複数本の配管を横一列に前傾天板と平行に
前傾させて支持した構造にすることで、上記目的を達成
するものである。 【0014】ここで、配管収納凹部の前傾天板の傾斜角
は、石跳ね経路の傾斜角に近付ければ近付ける程、ビー
ド深さと配管収納凹部幅の縮小化に寄与する。前傾天板
の下面近傍に配置される配管が複数本の場合は、この複
数本が前傾天板に合わせて前傾する横一列の配列で配置
される。この場合、配管収納凹部の複数本の配管の各々
が石跳び経路から同程度の距離で横一列に並んで、ビー
ド部によって石跳び経路から隠される。また、ビード部
のビード深さは、配管収納凹部の前傾天板の前傾角度に
応じて小さく設定される。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明実施例を図1を参照
して説明する。尚、図1実施例は、図4及び図5のフロ
アパネル1による配管取付け構体に適用したもので、図
5と同一、又は、相当部分には同一符号が付してある。 【0016】図1の実施例は、ビード部1cと足溜まり
部1bの間に形成される配管収納凹部1dの天板1e
を、車体前方側に傾斜角αで下がる前傾天板とし、この
前傾天板1eの下面近傍に配管2を配置したことを特徴
とする。前傾天板1eの傾斜角αは、前輪3からの石跳
び経路mの最大傾斜角βと同程度に設定される。配管2
が複数本の場合は、その複数本を横一列にクリップ5で
支持して、前傾天板1eと平行な前傾する角度で前傾天
板1e下に取付ける。 【0017】配管収納凹部1dの天板1eを前傾させ、
この下面近傍に複数本の配管2を横一列に前傾させて取
付けることにより、複数本の配管2の各々が石跳び経路
mから同程度の距離に並び、ビード部1cのビード深さ
1 を小さくして石跳び経路mの最大傾斜角度βを大き
くしても、この石跳び経路mから各配管2を隠すことが
できる。 【0018】仮に、図1実施例における最後方の配管2
bが図5の最後方配管2bと同一高さに在るとすると、
図1実施例におけるビード部1cのビード深さH1 は、
図5のビード深さH3 よりも前傾配列にある最後方配管
2bと最前方配管2aの段差程度だけ小さく設定され
る。また、図1実施例においては、配管収納凹部1dの
天板1eを前傾させた結果、天板1eの後端と前端の段
差分だけ、ビード部1cの下面から天板1eの前端まで
の高さH2 が低く設定される。従って、ビード部1cと
配管収納凹部1dの間の部所の段差が小さくなって、ビ
ード部1cと配管収納凹部1dのプレスの成形性が良く
なる。実際、ビード部1cのプレス成形による延び率は
30%以下に抑制できて、剛性と成形性共に良好に製造
できることが分かっている。 【0019】また、全配管2の配管収納凹部1dの天板
1eを前傾させ、この天板1eの下に同程度の角度で複
数本の配管2を横一列に前傾させて取付けることによ
り、天板1eの幅W1 が図5の場合よりも小さく設定さ
れる。即ち、図5の場合の天板1eの幅W2 に対して、
図1の天板1eの幅W1 は、cosα≒W1 /W2 の関
係から少なくともW2 (1−cosα)だけ小さくでき
る。このような幅W1 の縮小分だけ配管収納凹部1dの
全体幅が縮小され、ビード部1cと足溜まり部1bの間
の狭い部所での配管収納凹部1dの形成が容易となる。
また、配管収納凹部1dの全体幅の縮小分だけ、足溜ま
り部1bの車体前後方向の長さが増大できて、後部座席
の人の足置きスペースに余裕が生まれる。 【0020】以上、本発明の一実施形態について述べた
が、本発明は配管収納凹部の天板の傾斜角αを、自動車
前輪による石跳ね経路の最大傾斜角βに対応させること
を特徴とするもので、このことは必ずしも天板の傾斜角
αを石跳ね経路の最大傾斜角βに一致させることを必須
とするものではない。傾斜角αを最大傾斜角βに近付け
るべく前傾とするだけで相応の効果を生み出すことがで
きるのである。従って傾斜角αの程度は、フロアパネル
1の種々の具体的事情をも勘案して、最大傾斜角βに可
及的に近付けるべく決定される。 【0021】 【発明の効果】本発明によれば、フロアパネルの配管収
納凹部の天板の前傾角度に対応させて前輪からの石跳び
経路より配管を隠すビード部の深さが小さくできるの
で、ビード部と配管収納凹部の凹凸のプレス成形が剛
性、成形性良くできて、強度的に安定した配管取付け構
体が提供できる。また、配管収納凹部の天板の前傾角度
に対応させて配管収納凹部の車体前後方向の幅が小さく
できるので、配管収納凹部の後方に形成される後部座席
用の足溜まり部の車体前後方向の長さの設計上の自由度
を増大できて、後部座席の足置きスペースに余裕を出せ
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例を示すフロアパネルの部分断
面図。 【図2】従来の自動車用フロアパネルの配管取付け構体
を説明するためのフロアパネルを上方から透視的に見た
部分平面図。 【図3】図2A−A線に沿う拡大断面図。 【図4】本発明の前提となる配管取付け構体を説明する
ためのフロアパネルを上方から透視的に見た部分平面
図。 【図5】図4B−B線に沿う拡大断面図。 【符号の説明】 1 フロアパネル 1c ビード部 1d 配管収納凹部 1e 前傾天板 2 配管 3 前輪 m 石跳ね経路
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−194166(JP,A) 特開 平5−77768(JP,A) 特開 昭57−201722(JP,A) 特開 昭63−46979(JP,A) 実開 昭55−117365(JP,U) 実開 平2−32461(JP,U) 実開 昭63−26486(JP,U) 実開 昭56−152746(JP,U) 実開 昭61−16978(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 25/20

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 フロアパネルにおける自動車の前輪と後
    輪の間の部所に、車体の左右方向に略平行にしてフロア
    パネル下面側に突設させたビード部と、このビード部か
    ら車体後方に延在してフロアパネル上面側に突設させた
    配管収納凹部を形成し、配管収納凹部の天板の下面近傍
    で車体左右方向に略平行なブレーキチューブ等の配管を
    支持し、ビード部で自動車の前輪から後方への石跳ね経
    路から配管収納凹部の配管を隠すようにした配管取付け
    構体であって、 配管収納凹部の天板を自動車前輪による上記石跳ね経路
    の傾斜角に対応させて車体前方側に下がる前傾斜とし、
    この前傾天板の下面近傍で複数本の配管を横一列に前傾
    天板と平行に前傾させて支持したことを特徴とする自動
    車用フロアパネルの配管取付け構体。
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