JP3372930B2 - 柔軟剤組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、繊維製品の柔軟剤
組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、柔軟剤には長鎖アルキル基を有す
る４級アンモニウム塩や３級アミンの酸塩が用いられて
いる。また、繊維製品の衛生や消臭の点から抗菌剤を柔
軟剤組成物に配合する試みがなされている。特開平１０
−５１２０１５号公報には、柔軟剤として水不溶性の４
級アンモニウム塩及び抗菌剤として水溶性４級アンモニ
ウム塩を配合した柔軟剤組成物が開示されている。しか
しながら、このような組成物は、洗浄後、室内で乾燥さ
せたときの異臭や着用時の汗に由来する臭いなどの衣料
から発生する悪臭を抑制する効果が満足できるレベルで
はない。さらに、悪臭の抑制効果を高めるために抗菌剤
の配合量を増加させると、柔軟効果が失われるという問
題がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、汗に
由来する臭いなどの衣料から発生する臭いを抑制する効
果が高く、且つ柔軟効果に優れる柔軟剤組成物を提供す
ることにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、（ａ）１個以
上の炭素数１６〜３６の炭化水素基を有する４級アンモ
ニウム塩、３級アミン及びその酸塩から選ばれる少なく
とも一種、（ｂ）下記一般式（１）の化合物、並びに
（ｃ）下記一般式（２）の化合物及び／又は一般式
（３）の化合物を含有する柔軟剤組成物を提供するもの
である。

【０００５】

【化４】

【０００６】[式中、Ｒ¹、Ｒ²、Ｒ³、Ｒ⁴の２又は３個
が炭素数８〜１２のアルキル基であり、残りが炭素数１
〜３のアルキル基、炭素数１〜３のヒドロキシアルキル
基又は総炭素数７〜１３のアリールアルキル基であり、
Ｚ^-は陰イオン基である]

【０００７】

【化５】

【０００８】[式中、Ｒ⁵は炭素数８〜１４のアルキル基
又はアルケニル基であり、Ｒ¹⁰は炭素数８〜１６のアル
キル基又はアルケニル基である。Ｒ⁷、Ｒ⁸は炭素数１〜
３のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。Ｘは
−ＣＯＯ−、−ＯＣＯ−、−ＣＯＮＨ−、−ＮＨＣＯ
−、

【０００９】

【化６】

【００１０】であり、ｎは０又は１の数である。Ｒ⁶は
炭素数１〜６のアルキレン基又は−（Ｏ−Ｒ¹¹）_m−で
ある。ここでＲ¹¹はエチレン基又はプロピレン基であ
り、ｍは１〜１０の数であり、Ｒ⁹は炭素数１〜３のア
ルキレン基である。Ｙ^-は陰イオン基である。]

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明の（ａ）成分は、分子中に
エステル基及び／又はアミド基を１個以上有するものが
好ましく、一般式（４）の化合物及び／又は一般式
（５）の化合物が特に好ましい。

【００１２】

【化７】

【００１３】[式中、Ｒ¹²、Ｒ¹⁴は炭素数１６〜３６、
好ましくは１６〜２４、より好ましくは１６〜２０のア
ルキル基又はアルケニル基であり、Ｒ¹⁶は炭素数１〜３
のアルキル基、炭素数１〜３のヒドロキシアルキル基又
はＲ¹²−Ｖ−Ｒ¹³−である。また、Ｒ¹⁷は炭素数１〜３
のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。Ｖ及び
Ｗは同一又は異なっていてもよい−ＣＯＯ−、−ＯＣＯ
−、−ＣＯＮＲ¹⁸−、−ＮＲ¹⁸ＣＯ−から選ばれる基で
あり、Ｒ¹³、Ｒ¹⁵は炭素数１〜５、好ましくは１〜３の
アルキレン基である。Ｒ¹⁸は水素原子、炭素数１〜３の
アルキル基又は炭素数１〜３のヒドロキシアルキル基で
あり、好ましくは水素原子である。I^-は無機又は有機の
陰イオン、好ましくはハロゲンイオン、硫酸イオン、リ
ン酸イオン、炭素数１〜３のアルキル硫酸エステルイオ
ン、炭素数１〜１２の脂肪酸イオンであり、より好まし
くはハロゲンイオン、硫酸イオン、炭素数１〜３のアル
キル硫酸エステルイオンである。] 本発明では、上記一般式（４）及び／又は一般式（５）
の化合物と共に、下記一般式（６）又は一般式（７）の
化合物を併用することが柔軟効果を高める点から望まし
い。

【００１４】

【化８】

【００１５】[式中、Ｒ¹⁹は炭素数１６〜３６、好まし
くは１６〜２０のアルキル基又はアルケニル基を示し、
Ｗは上記と同一の意味である。また、Ｒ²⁰、Ｒ²¹は炭素
数１〜５のアルキレン基であり、Ｒ²²、Ｒ²³は炭素数１
〜３のアルキル基又はヒドロキシアルキレン基である。
Ｉ^-は上記と同一の意味である。]本発明では、一般式
（４）の化合物及び／又は一般式（５）の化合物に対す
る一般式（６）の化合物及び／又は一般式（７）の化合
物の配合割合が、重量比で１／１〜１／５０、好ましく
は１／２〜１／３０、より好ましくは１／３〜１／２０
とすることが柔軟効果を高める点から望ましい。

【００１６】本発明では、（ａ）成分として一般式
（５）の化合物及び／又は一般式（７）の化合物などの
３級アミン化合物を使用する場合は、無機又は有機の酸
で中和した酸塩の形態で使用することが柔軟効果を高め
る点から好ましく、酸としては硫酸、塩酸、リン酸、炭
素数１〜１２の脂肪酸、炭素数１〜３のアルキル硫酸か
ら選ばれる１種以上が好ましい。また中和は、（ａ）成
分を組成物に配合する前に予め中和してもよく、（ａ）
成分を配合してから中和しても差し支えない。

【００１７】本発明では、（ｂ）成分として上記一般式
（１）の化合物を含有する。一般式（１）中、Ｚ^-で示
される陰イオン基は、硫酸イオン、ハロゲンイオン、炭
素数１〜１２の脂肪酸イオン又は炭素数１〜３のアルキ
ル硫酸イオンが好ましい。

【００１８】本発明では、（ｃ）成分は上記一般式
（２）の化合物及び／又は一般式（３）の化合物である
が、一般式（２）の化合物が好ましく、ｎ＝０の化合物
が臭いの抑制効果の点でより好ましい。

【００１９】本発明の柔軟剤組成物は、（ａ）成分の含
有量が３〜５０重量％、好ましくは３〜４０重量％、よ
り好ましくは５〜３５重量％であり、（ｂ）成分を好ま
しくは０．１〜１５重量％、より好ましくは０．５〜１
０重量％、（ｃ）成分を好ましくは０．１〜１５重量
％、より好ましくは０．５〜１０重量％配合する。ま
た、臭いの抑制効果の点から、（ｂ）成分／（ｃ）成分
の配合割合が重量比で１／１０〜１０／１、好ましくは
１／５〜５／１であり、且つ（ａ）成分／[(ｂ)成分＋
（ｃ）成分]の配合割合が重量比で５０／１〜２／１、
好ましくは２５／１〜２／１であることが望ましい。

【００２０】本発明では、（ａ）〜（ｃ）成分を水に溶
解又は分散させた水性組成物の形態が好ましい。使用す
る水は蒸留水や、イオン交換水などの水に含まれるイオ
ン成分を除去したものが好ましい。また、水は組成物中
に４０〜９０重量％、特に６０〜８５重量％配合するこ
とが貯蔵安定性の点で望ましい。さらに、本発明の組成
物は悪臭抑制効果及び貯蔵安定性の点から、組成物の２
０℃におけるｐＨを１〜６、好ましくは２〜５に調整す
ることが好ましい。

【００２１】本発明では、貯蔵安定性の点から上記
（ａ）〜（ｃ）成分に加えてさらに非イオン性界面活性
剤又は陰イオン性界面活性剤を配合することが好まし
い。

【００２２】非イオン性界面活性剤としては炭素数８〜
２０のアルキル基又はアルケニル基を１つ以上有するポ
リオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、特に一
般式（８）の非イオン性界面活性剤が良好である。

【００２３】 Ｒ²⁴−Ｔ−[（Ｒ²⁵Ｏ）_p−Ｈ]_q （８） [式中、Ｒ²⁴は炭素数１０〜１８、好ましくは１２〜１
８のアルキル基又はアルケニル基であり、Ｒ²⁵は炭素数
２又は３のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基
である。また、pは２〜１００、好ましくは５〜８０、
より好ましくは１０〜８０の数を示す。さらにＴは−Ｏ
−又は−ＣＯＮ−、−Ｎ−でありＴが−Ｏ−の場合はq
は１であり、Ｔが−ＣＯＮ−又は−Ｎ−の場合はqは２
の数である。]一般式（８）の化合物のより好ましい例
としては下記一般式の化合物を挙げることができる。

【００２４】Ｒ²⁴−Ｏ−（Ｃ₂Ｈ₄Ｏ）_r−Ｈ [式中、Ｒ²⁴は上記の意味を示す。ｒは５〜１００、好
ましくは１０〜８０の数である。〕 Ｒ²⁴−Ｏ−（Ｃ₂Ｈ₄Ｏ）_s（Ｃ₃Ｈ₆Ｏ）_t−Ｈ [式中、Ｒ²⁴は上記の意味を示す。s及びtはそれぞれ独
立に２〜４０、好ましくは５〜４０の数であり、ｓ＋ｔ
は１０〜８０の数であり、エチレンオキシドとプロピレ
ンオキシドはランダム又はブロック付加体であってもよ
い。]

【００２５】

【化９】

【００２６】[式中、Ｒ²⁴は上記の意味を示す。ｕ＋ｖ
は１０〜８０の数である。] 上記非イオン性界面活性剤の配合量は、貯蔵安定性の点
から、組成物中０．５〜１０重量％、特に１〜８重量％
が好ましい。

【００２７】繊維製品の風合いを向上させる目的で陰イ
オン性界面活性剤を配合することが好ましく、中でも脂
肪酸又はその塩類を配合することが好ましい。具体的に
はカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸又はこれ
らの混合物であり、特にラウリン酸、ステアリン酸、オ
レイン酸から選ばれる１種以上が良好である。また、ヤ
シ油、パーム油、パーム核油、牛脂から誘導されるアル
キル組成を有する脂肪酸も好ましい。塩として用いる場
合は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カ
ルシウム塩が好ましく、特にナトリウム塩が良好であ
る。上記陰イオン性界面活性剤の配合量は、０．０１〜
５重量％、特に０．５〜３重量％が好ましい。

【００２８】本発明では、貯蔵安定性の点から、炭素数
８〜２２の飽和又は不飽和脂肪酸と多価アルコールとの
エステル化合物を、組成物中０．１〜１０重量％、特に
０．５〜５重量％配合することが好ましい。エステル化
合物としては、トリグリセライド、ジグリセライド、モ
ノグリセライド、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、ト
リエステル、ソルビタンエステルが好ましい。

【００２９】本発明では、貯蔵安定性の点から、無機
塩、例えば塩化カルシウムを、組成物中１〜１０００ｐ
ｐｍ、特に１０〜５００ｐｐｍ配合することが好まし
い。但し、脂肪酸塩類などの陰イオン性界面活性剤には
ナトリウム塩やカリウム塩が含まれているが、このよう
な陰イオン性界面活性剤の使用によって組成物に混入す
る無機塩は上記制限を受けるものではない。

【００３０】さらに本発明では、貯蔵安定性の点から、
エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール及びポリオキシエチレン
フェニルエーテルから選ばれる溶媒成分を配合すること
が好ましい。これらの溶媒成分は、組成物中０．１〜２
０重量％、特に０．５〜１０重量％配合することが好ま
しい。なお、エタノールを使用する場合は、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル硫酸塩変性エタノールや８−
アセチル化蔗糖変性エタノールを使用することが望まし
い。

【００３１】本発明では、通常繊維処理剤に配合される
シリコーン、香料（特に好ましくは特開平８−１１３８
７号公報記載の成分（ｃ）及び（ｄ）にて示された香気
成分の組み合わせ）又は色素などの成分を配合しても差
し支えない。

【００３２】

【実施例】（ａ−１）

【００３３】

【化１０】

【００３４】Ｒ;炭素数１７及び１５が混合した飽和ア
ルキル基（炭素数１７：炭素数１５＝６０／４０） （ａ−２）

【００３５】

【化１１】

【００３６】Ｒ;炭素数１７及び１５が混合した飽和ア
ルキル基（炭素数１７：炭素数１５＝６０／４０） （ａ−３）

【００３７】

【化１２】

【００３８】Ｒ;炭素数１７及び１５が混合した飽和ア
ルキル基（炭素数１７：炭素数１５＝６０／４０） （ａ−４） ジオレイルジメチルアンモニウムクロリド （ｂ−１） ジデシルジメチルアンモニウムクロリド （ｃ−１）

【００３９】

【化１３】

【００４０】（ｃ−２）

【００４１】

【化１４】

【００４２】（ｃ−３）

【００４３】

【化１５】

【００４４】（ｄ−１） 炭素数１２の飽和アルコール
にエチレンオキサイドを平均２１モル付加させたもの （ｄ−２） ラウリン酸のジエタノールアミドにエチレ
ンオキシドを平均２０モル付加させたもの （ｄ−３） ルナックＳ−５０（ステアリン酸、花王
（株）製） （ｅ−１） 塩化カルシウム （ｅ−１） 色素（アシッドブルー９） （ｅ−２） 香料[ヘキシルシンナミックアルデヒド
（１８）、ネロリンヤラヤラ（４）、トリシクロデセニ
ルアセテート（４）、ベンジルアセテート（１０）、ム
スクケトン（５）、アニシルアセトン（２）、サンダル
マイソールコア（２）、アルデヒドＣ１４ピーチ
（１）、リナロール（１８）、ジヒドロキシミルセノー
ル（８）、ボルネオール（４）、セドロール（４）、ム
ゴール（５）、ベンジルアルコール（５）、ジプロピレ
ングリコール（１０）の混合物：カッコ内は香料中の重
量％]柔軟剤組成物及び処理方法 上記化合物を用いて表１に示す柔軟剤組成物を調製し
た。ワイシャツ（木綿１００％）５枚及びタオル（木綿
１００％）５枚（全部で１．５ｋｇ）を市販の弱アルカ
リ性洗剤（花王製アタック）を用いて洗濯機で洗浄した
（東芝製２槽式洗濯機ＶＨ−３６０Ｓ１、洗剤濃度０．
０６６７重量％、水道水３０Ｌ使用、水温２０℃、１０
分間）。その後、洗浄液を排出し、１分間脱水後、３０
Ｌの水道水を注水して５分間すすぎを行い、排水後１分
間脱水を行った。その後、再度３０Ｌの水道水を注水し
た後、表１の組成物７ｍｌを添加し５分間攪拌した。そ
の後、脱水し自然乾燥した。消臭効果の評価 上記の処理をしたワイシャツを２０代男性５人に１２時
間着用してもらい、着用後のワイシャツから発生する汗
由来の臭いを１０人のパネラー（３０代男性１０人）に
より下記の基準で判定し、平均点を求めた。平均点が１
未満を○、１以上１．５未満を△、１．５以上を×とし
て評価し表１に示した。

【００４５】 ほとんど臭いを感じない……０ かすかに臭いを感じるが気にならない程度である……１ 臭いがする……２ 顕著に臭いがする……３柔軟性評価 上記の処理をしたタオルと表１の組成物を用いずに同様
の処理を行ったタオル（対照）を１０人のパネラー（３
０代男性１０人）により下記の基準で判定し、平均点を
求めた。平均点が２以上を○、１以上１．５未満を□、
０．５以上１未満を△、０．５未満を×として評価し表
１に示した。

【００４６】 ＋３：対照より非常に柔らかい ＋２；対照より柔らかい ＋１；対照よりやや柔らかい ０；対照と同などである

【００４７】

【表１】

【００４８】* ｐＨ調製は、１／１０Ｎ塩酸水溶液及
び１／１０Ｎ水酸化ナトリウム水溶液で行った。なお、
このｐＨ領域では（ａ−１）成分及び（ａ−３）成分は
ほぼ完全に塩酸で中和されている。

【００４９】

【発明の効果】本発明によれば、柔軟効果に優れ、着用
後の汗に由来する臭いなど、衣料から発生する臭いを抑
制する効果が高い柔軟剤組成物を提供することができ
る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田方 秀次 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社 研究所内 (56)参考文献 特開 昭54−46998（ＪＰ，Ａ) 特表 平10−512015（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) D06M 13/322 - 13/493

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （ａ）１個以上の炭素数１６〜３６の炭
   化水素基を有する４級アンモニウム塩、３級アミン及び
   その酸塩から選ばれる少なくとも一種、（ｂ）下記一般
   式（１）の化合物、並びに（ｃ）下記一般式（２）の化
   合物及び／又は一般式（３）の化合物を含有する柔軟剤
   組成物。 【化１】 〔式中、Ｒ¹、Ｒ²、Ｒ³、Ｒ⁴の２又は３個が炭素数８〜
   １２のアルキル基であり、残りが炭素数１〜３のアルキ
   ル基、炭素数１〜３のヒドロキシアルキル基又は総炭素
   数７〜１３のアリールアルキル基であり、Ｚ^-は陰イオ
   ン基である。〕 【化２】 〔式中、Ｒ⁵は炭素数８〜１４のアルキル基又はアルケ
   ニル基であり、Ｒ¹⁰は炭素数８〜１６のアルキル基又は
   アルケニル基である。Ｒ⁷、Ｒ⁸は炭素数１〜３のアルキ
   ル基又はヒドロキシアルキル基である。Ｘは−ＣＯＯ
   −、−ＯＣＯ−、−ＣＯＮＨ−、−ＮＨＣＯ−、 【化３】 であり、ｎは０又は１である。Ｒ⁶は炭素数１〜６のア
   ルキレン基又は−（Ｏ−Ｒ¹¹）_m−であり、Ｒ⁹は炭素数
   １〜３のアルキレン基である。ここでＲ¹¹はエチレン基
   又はプロピレン基であり、ｍは１〜１０の数である。Ｙ
   ^-は陰イオン基である。]
2. 【請求項２】 （ｂ）成分／（ｃ）成分の配合割合が重
   量比で１／１０〜１０／１であり、且つ（ａ）成分／
   [(ｂ)成分＋（ｃ）成分]の配合割合が重量比で５０／１
   〜２／１である請求項１記載の柔軟剤組成物