JP3371888B2 - 静電チャック及び静電チャックにおける被吸着物離脱方法 - Google Patents

静電チャック及び静電チャックにおける被吸着物離脱方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウエハ等の被吸着
物を静電吸着する静電チャックと、該静電チャックから
被吸着物を離脱させる被吸着物離脱方法とに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の製造において、半導体ウエ
ハに対してエッチング,CVD等のプロセスを施す場
合、前記半導体ウエハ(以下、ウエハとする)を固定保
持するために一般に静電チャックが使用されている。こ
の種の静電チャックについて、図7及び図8を参照しな
がら以下に説明を行う。なお、これらの図において、符
号2は被吸着物であるウエハであり、符号1はウエハ2
を静電吸着する電極であり、符号3は静電吸着用の電圧
供給を行う静電吸着用電源であり、符号4は静電吸着用
電源3からの電圧を電極1に供給する配線であり、符号
5はこの電圧の供給を許可または遮断するスイッチであ
り、符号6は前記プロセスを施した後のウエハ2を電極
1より持ち上げるリフトピンである。
【0003】この静電チャックでは、前記プロセス後の
ウエハ2は、リフトピン6により、図8に示すように、
電極1から持ち上げられるようになっている。このと
き、電極1への電圧供給は既に遮断されているが、電極
1には残留吸着力が残っているので、ウエハ2を吸着し
た状態を維持しようとしている。このような残留吸着力
が有る状態では、これを無視してリフトピン6でウエハ
2を電極1から上昇させようとすると、ウエハ2の飛び
跳ねや片上がりなどの現象を起こして搬送トラブルを起
こす恐れがあり、ウエハ2の安定した搬送が行えないと
いう問題を有していた。
【0004】この問題を解決すべく考えられたものの一
例が、図9に示す静電チャックであり、電極1の表面周
辺部の少なくとも一部に、吸着力の弱い高抵抗型静電吸
着体7(高抵抗型ESC)を設けたものである。なお、
この図9において、図7と同一構成要素には同一符号を
付し、その説明を省略する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この図9の
静電チャックにおいては、高抵抗型静電吸着体7を設け
たことにより、所望の吸着力が得られない等の制約を受
ける新たな問題を引き起こすこととなっていた。
【0006】本発明の静電チャックは、上記事情を鑑み
てなされたものであって、下記をその目的としている。
すなわち、ウエハ等の被吸着物の吸着保持に必要な吸着
力を損なうことがない上に、被吸着物の離脱時における
被吸着物の跳ねや片上がり等の不具合もなく、被吸着物
の安定した搬送を可能とする、静電チャック及び静電チ
ャックにおける被吸着物離脱方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の静電チャック及
び静電チャックにおける被吸着物離脱方法は、上記課題
を解決するために以下の手段採用した。すなわち、請求
項1記載の静電チャックは、静電力によりウエハ等の被
吸着物を吸着保持する静電チャックにおいて、前記被吸
着物が載置されるとともに同心円状に複数分割された静
電吸着電極と、これら静電吸着電極の中の少なくとも1
つを昇降させる電極昇降駆動機構とを備えたことを特徴
とする。上記請求項1記載の静電チャックによれば、各
静電吸着電極への静電吸着用電圧の供給を停止させた
後、これら各静電吸着電極の中の少なくとも1つを上昇
させることで、この上面に載置されている被吸着体が他
の静電吸着電極上から一旦持ち上げられる。この時、被
吸着体の持ち上げを行う静電吸着電極にも残留吸着力が
残っているため、この残留吸着力により、被吸着体は、
これを持ち上げる静電吸着電極上に静電吸着しており、
跳ねや片上がりを起こさない。しかも、持ち上げられた
後の被吸着体は、他の静電吸着電極より離間した状態と
なっているので、この被吸着体に加わる残留吸着力が、
持ち上げられる前に比較して弱められている。
【0008】請求項2記載の静電チャックは、請求項1
記載の静電チャックにおいて、前記電極昇降駆動機構に
より上昇された前記静電吸着電極上の前記被吸着物を支
持または更に持ち上げるリフト機構を備えたことを特徴
とする。上記請求項2記載の静電チャックによれば、少
なくとも1つの静電吸着電極で持ち上げられた被吸着物
をリフト機構でさらに持ち上げることで、全静電吸着電
極の残留吸着力から被吸着物を確実に離脱させることが
できる。この時においても、被吸着物は、他の静電吸着
電極より離間するように一旦持ち上げられた状態にある
ので、これに加わる残留吸着力が弱められており、跳ね
や片上がりを起こすことがない。
【0009】請求項3記載の静電チャックは、請求項1
または2記載の静電チャックにおいて、前記各静電吸着
電極とグランドとの間を接続する除電配線と、該除電配
線中に設けられてその通電を許可または遮断する切換ス
イッチとを有する除電回路を備えたことを特徴とする。
上記請求項3記載の静電チャックによれば、切換スイッ
チを閉じることにより、各静電吸着電極に残っていた残
留電荷がグランドに逃げて除電される。この除電によ
り、被吸着物の持ち上げを行う際の残留吸着力が極めて
低減される。
【0010】請求項4記載の静電チャックは、請求項1
〜3のいずれかに記載の静電チャックにおいて、前記各
静電吸着電極が、自らへの静電吸着用の給電を許可また
は遮断する給電スイッチをそれぞれ個別に備えているこ
とを特徴とする。上記請求項4記載の静電チャックによ
れば、上昇させる静電吸着電極には給電して、吸着力を
維持し、その他の静電吸着電極への給電は遮断して(さ
らには除電しておくことも可)、静電吸着電極を上昇さ
せることにより、跳ねや片上がりをより確実に防止でき
る。
【0011】請求項5記載の静電チャックにおける被吸
着物離脱方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の静電
チャックに静電吸着保持された前記被吸着物を離脱させ
る方法において、前記各静電吸着電極の中の少なくとも
1つを上昇させて前記被吸着物を一旦持ち上げる第1の
被吸着物上昇工程を、少なくとも1回以上行い、該被吸
着物上昇工程の後、残りの前記静電吸着電極または前記
リフト機構で前記被吸着物をさらに持ち上げる第2の被
吸着物上昇工程を行うことを特徴とする。
【0012】請求項6記載の静電チャックにおける被吸
着物離脱方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の静電
チャックに静電吸着保持された前記被吸着物を離脱させ
る方法において、前記各静電吸着電極の中の少なくとも
1つを上昇させて前記被吸着物を一旦持ち上げる第3の
被吸着物上昇工程と、該第3の被吸着物上昇工程の後、
他の前記静電吸着電極の中の少なくとも1つを上昇させ
て前記被吸着物をさらに上昇させる第4の被吸着物上昇
工程と、該第4の被吸着物上昇工程の後、前記第3の被
吸着物上昇工程で前記被吸着物を上昇させた前記静電吸
着電極を下降させて前記被吸着物との接触を断つ電極下
降工程とを有し、これら第3及び第4の被吸着物上昇工
程と前記電極下降工程を少なくとも1回以上行った後、
残りの前記静電吸着電極または前記リフト機構で前記被
吸着物を支持する被吸着物支持工程を行うことを特徴と
する。
【0013】上記請求項5または6記載の静電チャック
における被吸着物離脱方法によれば、上記請求項1と同
様の作用を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る静電チャック及び静
電チャックにおける被吸着物離脱方法の第1及び第2の
実施の形態を、図面を参照しながら以下に説明するが、
本発明がこれらに限定解釈されるものでないことは、勿
論である。まず、第1の実施の形態についての説明を行
う。図1に示すように、本実施の形態の静電チャック
は、静電力によりウエハ10(被吸着物)を吸着保持す
るものであり、ウエハ10が載置されるとともに同心円
状に2分割された静電吸着電極11a,11bと、これ
ら静電吸着電極11a,11bの中の静電吸着電極11
aを昇降させる電極昇降駆動機構12と、該電極昇降駆
動機構12により上昇された静電吸着電極11a上のウ
エハ10を更に持ち上げるリフトピン13(リフト機
構)とを備えている。なお、静電吸着電極11a,11
bの少なくとも上面は、図示されない絶縁膜で被覆され
ている。
【0015】さらに、本実施の形態の静電チャックに
は、静電吸着用の電圧供給を行う静電吸着用電源14
と、該静電吸着用電源14と各静電吸着電極11a及び
静電吸着電極11bの両方との間を配線15a及び配線
15bにより通電可能に接続し、前記電力が各静電吸着
電極11a,11bに行くのを許可または遮断するスイ
ッチ15cを備えた電圧供給回路15とが備えられてい
る。なお、静電吸着電極11aへの電圧供給は、電極昇
降駆動機構12を介してなされるように、該電極昇降駆
動機構12と配線15aとの間が配線15bにより結線
されている。
【0016】上記構成を有する静電チャックにおけるウ
エハ10の吸着固定は、まず図1に示すように、ウエハ
10を各静電吸着電極11a,11b上の略中央に載置
する。そしてスイッチ15cを閉じて静電吸着用電源1
4から各静電吸着電極11a,11bへの通電を開始す
ることで、これら静電吸着電極11a,11bに静電力
が発生し、ウエハ10を静電吸着する。すなわち、静電
吸着電極11bには、配線15aを介して静電吸着のた
めの電力が供給され、静電吸着電極11aには、配線1
5bと静電吸着電極駆動機構12とを介して静電吸着の
ための電力が供給される。この時のウエハ10は、その
下面の全てを吸着面として、静電吸着電極11aと静電
吸着電極11bとの両方から静電吸着力を受けて吸着さ
れている。
【0017】この固定保持状態でエッチング,CVD等
のプロセスがウエハ10に施された後には、図2に示す
ように、スイッチ15cを開とすることにより、静電吸
着用電源14から各静電吸着電極11a,11bへの電
圧供給が遮断される。この時点での各静電吸着電極11
a,11bは電圧供給を受けていないが、残留電荷によ
る残留吸着力により、ウエハ10が、静電吸着電極11
aと静電吸着電極11bとの両方に吸着されたままの状
態となっている。そして引き続きこの静電チャックがウ
エハ10を離脱させる方法は、各静電吸着電極11a,
11bの中の1つである静電吸着電極11aを上昇させ
てウエハ10を一旦持ち上げる第1の被吸着物上昇工程
と、該被吸着物上昇工程の後、リフトピン13でウエハ
10をさらに持ち上げる第2の被吸着物上昇工程とによ
って行われる。この時、静電吸着電極11aを、静電吸
着電極駆動機構12の押し上げにより上昇させること
で、ウエハ10が静電吸着電極11bから一旦持ち上げ
られるが、静電吸着電極11aにも残留吸着力が残って
いるため、この残留吸着力によりってウエハ10が、静
電吸着電極11aに吸着しており、跳ねや片上がりを起
こさない。
【0018】次に、図3に示すように、静電吸着電極1
1aで持ち上げられたウエハ10を、リフトピン13で
さらに持ち上げる。このとき、静電吸着電極11aの残
留吸着力をV、静電チャック全体の残留吸着力を2Vと
した場合、静電吸着電極11aの上昇により、残留吸着
力2Vから残留吸着力Vを差し引いた残留吸着力差V
(=2V−V)が僅かであるため、ウエハ10の横ずれ
や、片上がりなどが無いまま、容易にウエハ10を持ち
上げることが出来る。
【0019】本実施の形態の静電チャックによれば、各
静電吸着電極11a,11bへの静電吸着用電圧の供給
を停止させた後、静電吸着電極11aを上昇させること
で、この上面に載置されているウエハ10が静電吸着電
極11b上から一旦持ち上げられる。この時、ウエハ1
0の持ち上げを行う静電吸着電極11aにも残留吸着力
が残っているため、この残留吸着力により、ウエハ10
は静電吸着電極11a上に静電吸着したままとなってお
り、跳ねや片上がりを起こさない。しかも、持ち上げら
れた後のウエハ10は、静電吸着電極11bから離間し
た状態となっているので、このウエハ10に加わる残留
吸着力が、持ち上げられる前に比較して弱められてい
る。したがって、ウエハ10の吸着保持に必要な吸着力
を損なうことがない上に、ウエハ10の離脱時における
ウエハ10の跳ねや片上がり等の不具合もなく、安定し
た搬送が可能となる。
【0020】また、本実施の形態の静電チャックによれ
ば、静電吸着電極11aで持ち上げられたウエハ10を
リフトピン13でさらに持ち上げることで、静電吸着電
極11a,11b両方の残留吸着力からウエハ10を確
実に離脱させることが可能となる。この時においても、
ウエハ10は、静電吸着電極11bより離間するように
一旦持ち上げられた状態にあるので、これに加わる残留
吸着力が弱められており、跳ねや片上がりを起こすこと
がない。
【0021】次に、本発明の第2の実施の形態について
の説明を以下に行う。なお、上記第1の実施の形態の図
1で説明したものと同一構成要素には、同一符号を付
し、その説明を省略する。図4に示すように、本実施の
形態の静電チャックには、各静電吸着電極11a及び静
電吸着電極11bとグランド16との間を接続する除電
配線17aと、該除電配線17a中に設けられてその通
電を許可または遮断する切換スイッチ17bとを有する
除電回路17が追加装備されている。なお、静電吸着電
極11a,11bの少なくとも上面は、図示されない絶
縁膜で被覆されている。
【0022】この実施の形態によれば、図5に示すよう
に、スイッチ15cを開いて静電吸着用電源14から各
静電吸着用電極11a,11bへの静電吸着用電圧の供
給を停止させた後、切換スイッチ17bを閉じることに
より、各静電吸着電極11a,11bに残っていた残留
電荷が除電配線17aを通ってグランド16に逃げて除
電される。この除電により、ウエハ10の持ち上げを行
う際の各静電吸着電極11a,11bの残留吸着力は、
極めて低減される。
【0023】しかし、この状態でも、各静電吸着電極1
1a,11bの個体抵抗により除電しきれなかった残留
電荷の影響による残留吸着力が残っているので、ウエハ
10は、各静電吸着電極11a,11bに吸着されたま
まとなっている。この後のウエハ10は、静電吸着電極
駆動機構12の駆動によって静電吸着電極11a上に吸
着したまま持ち上げられ、更に、リフトピン13により
静電吸着電極11a上から離れるように持ち上げられて
図6のようになるが、静電吸着電極11aに残っている
残留吸着力に加えて、予め行われた除電によって、更に
跳ねや片上がり等の不具合が起きにくくなっている。
【0024】したがって、上記実施の形態の静電チャッ
クによれば、除電回路17を備えたことで、ウエハ10
の持ち上げを行う前に各静電吸着電極11a及び静電吸
着電極11bの残留電荷をグランド16に逃がして除電
できるので、各静電吸着電極11a及び静電吸着電極1
1bの残留吸着力を極めて低減させることができ、ウエ
ハ10の跳ねや片上がりをより起こしにくい静電チャッ
クとすることが可能となる。
【0025】なお、上記第1及び第2の実施の形態の静
電チャックは、静電吸着電極11a及び静電吸着電極1
1bの2分割構成のものを示したが、これに限らず、3
分割以上の構成(図示せず)を採用しても良い。このよ
うに多数分割した場合には、前記第1の被吸着物上昇工
程を、上記第1及び第2の実施の形態のように静電吸着
電極11aによって1回だけ持ち上げるのではなく、例
えば前記多数の静電吸着電極を順々に上昇させること
で、これらに支持される被吸着物に加わる静電吸着力を
徐々に低減させていく構成を採用しても良い。
【0026】また、上記第1及び第2の実施の形態の静
電チャックにおける、ウエハ10に対する静電吸着力の
低減は、一方の静電吸着電極11bに対して他方の静電
吸着電極11aを持ち上げることで行うものとしたが、
これに限らず、一方の静電吸着電極11bに対して他方
の静電吸着電極11aを下げることで行うものとしても
良い。
【0027】また、上述したように静電吸着電極を3つ
以上に分割した場合には、これらの上げ下げの組み合わ
せによって静電チャックから被吸着物(ウエハ)の離脱
を行うものとしても良い。すなわち、各静電吸着電極の
中の少なくとも1つを上昇させて前記被吸着物を一旦持
ち上げる第3の被吸着物上昇工程と、該第3の被吸着物
上昇工程の後、他の静電吸着電極の中の少なくとも1つ
を上昇させて前記被吸着物をさらに上昇させる第4の被
吸着物上昇工程と、該第4の被吸着物上昇工程の後、前
記第3の被吸着物上昇工程で前記被吸着物を上昇させた
静電吸着電極を下降させて前記被吸着物との接触を断つ
電極下降工程とを有し、これら第3及び第4の被吸着物
上昇工程と前記電極下降工程を少なくとも1回以上行っ
た後、残りの前記静電吸着電極または前記リフトピン1
3(リフト機構)で前記被吸着物を支持する被吸着物支
持工程を行うものとしても良い。
【0028】この場合、前記第3の被吸着物上昇工程で
は、各静電吸着電極の中の少なくとも1つ(例えば電極
aと称する)を上昇させることで、他の全ての静電吸着
電極(例えば電極b,c,d,・・・と称する)から離脱
する。続く第4の被吸着物上昇工程では、前記電極bを
上昇させることで被吸着物をさらに持ち上げて前記電極
c,・・・から離脱させる。続く電極下降工程では、電極
aを下降させることにより被吸着物を電極aより離脱さ
せる。そしてこれら各工程を少なくとも1回以上行った
後、残りの静電吸着電極(例えば電極d)か、もしくは
リフトピン13で最後に被吸着物を支持して上昇させる
ことで、離脱が完了する。
【0029】なお、第3及び第4の被吸着物上昇工程に
おける「第3」及び「第4」は、これらの間の区別を行
うために付したものであり、上記第1の実施の形態で説
明した前記第1の被吸着物上昇工程や前記第2の被吸着
物上昇工程に続くという意味ではない。
【0030】また、上記第1及び第2の実施の形態の静
電チャックは、ウエハ10を吸着固定する用途に用いる
ものとしたが、これに限らず、静電力で吸着可能なその
他のものの吸着固定に適用しても良い。
【0031】また、上記第1及び第2の実施の形態の静
電チャックは、単一のスイッチ15cによって静電吸着
用の電圧を各静電吸着電極11a,11bに供給する構
成としたが、これに限らず、各静電吸着電極11a,1
1bが、自らへの静電吸着用の給電を許可または遮断す
る給電スイッチをそれぞれ個別に備える構成を採用して
も良い(図示せず)。この場合には、上昇させる静電吸
着電極には給電して、吸着力を維持し、その他の静電吸
着電極への給電は遮断して(さらには除電しておくこと
も可)、静電吸着電極を上昇させることにより、跳ねや
片上がりをより確実に防止できる。
【0032】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の静電チャックに
よれば、各静電吸着電極への静電吸着用電圧の供給を停
止させた後、これら各静電吸着電極の中の少なくとも1
つを上昇させることで、この上面に載置されている被吸
着体が他の静電吸着電極上から一旦持ち上げられる。こ
の時、被吸着体の持ち上げを行う静電吸着電極にも残留
吸着力が残っているため、この残留吸着力により、被吸
着体は、これを持ち上げる静電吸着電極上に静電吸着し
ており、跳ねや片上がりを起こさない。しかも、持ち上
げられた後の被吸着体は、他の静電吸着電極より離間し
た状態となっているので、この被吸着体に加わる残留吸
着力が、持ち上げられる前に比較して弱められている。
したがって、被吸着物の吸着保持に必要な吸着力を損な
うことがない上に、被吸着物の離脱時における被吸着物
の跳ねや片上がり等の不具合もなく、被吸着物の安定し
た搬送が可能となる。
【0033】上記請求項2記載の静電チャックによれ
ば、静電吸着電極で持ち上げられた被吸着物をリフト機
構でさらに持ち上げることで、全静電吸着電極からの残
留吸着力より被吸着物を確実に離脱させることが可能と
なる。この時においても、被吸着物は、他の静電吸着電
極より離間するように一旦持ち上げられた状態にあるの
で、これに加わる残留吸着力が弱められており、跳ねや
片上がりを起こすことがない。
【0034】また、請求項3記載の静電チャックは、除
電回路を備えることで、被吸着物の持ち上げを行う前に
各静電吸着電極の残留電荷をグランドに逃がして除電で
きるので、各静電吸着電極の残留吸着力を極めて低減さ
せることができ、被吸着物の跳ねや片上がりをより起こ
しにくい静電チャックとすることが可能となる。
【0035】また、請求項4記載の静電チャックによれ
ば、上昇させる静電吸着電極には給電して、吸着力を維
持し、その他の静電吸着電極への給電は遮断して(さら
には除電しておくことも可)、静電吸着電極を上昇させ
ることにより、跳ねや片上がりをより確実に防止可能と
なる。また、請求項5または6記載の静電チャックにお
ける被吸着物離脱方法によれば、上記請求項1と同様の
効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の静電チャックの第1の実施の形態を
示す図であって、要部の概略構成図である。
【図2】 同実施の形態の静電チャックを示す図であっ
て、要部の概略構成図である。
【図3】 同実施の形態の静電チャックを示す図であっ
て、要部の概略構成図である。
【図4】 本発明の静電チャックの第2の実施の形態を
示す図であって、要部の概略構成図である。
【図5】 同実施の形態の静電チャックを示す図であっ
て、要部の概略構成図である。
【図6】 同実施の形態の静電チャックを示す図であっ
て、要部の概略構成図である。
【図7】 従来の静電チャックを示す図であって、要部
の概略構成図である。
【図8】 同静電チャックを示す図であって、要部の概
略構成図である。
【図9】 従来の他の静電チャックを示す図であって、
要部の概略構成図である。
【符号の説明】
10・・・ウエハ(被吸着物) 11a,11b・・・静電吸着電極 12・・・電極昇降駆動機構 13・・・リフトピン(リフト機構) 15c・・・給電スイッチ 16・・・グランド 17・・・除電回路 17a・・・除電配線 17b・・・切換スイッチ

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静電力によりウエハ等の被吸着物を吸
    着保持する静電チャックにおいて、 前記被吸着物が載置されるとともに同心円状に複数分割
    された静電吸着電極と、これら静電吸着電極の中の少な
    くとも1つを昇降させる電極昇降駆動機構とを備えたこ
    とを特徴とする静電チャック。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の静電チャックにおい
    て、 前記電極昇降駆動機構により持ち上げられた前記静電吸
    着電極上の前記被吸着物を更に持ち上げるリフト機構を
    備えたことを特徴とする静電チャック。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の静電チャック
    において、 前記各静電吸着電極とグランドとの間を接続する除電配
    線と、該除電配線中に設けられてその通電を許可または
    遮断する切換スイッチとを有する除電回路を備えたこと
    を特徴とする静電チャック。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の静電
    チャックにおいて、 前記各静電吸着電極は、自らへの静電吸着用の給電を許
    可または遮断する給電スイッチをそれぞれ個別に備えて
    いることを特徴とする静電チャック。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の静電
    チャックに静電吸着保持された前記被吸着物を離脱させ
    る方法において、 前記各静電吸着電極の中の少なくとも1つを上昇させて
    前記被吸着物を一旦持ち上げる第1の被吸着物上昇工程
    を、少なくとも1回以上行い、 該被吸着物上昇工程の後、残りの前記静電吸着電極また
    は前記リフト機構で前記被吸着物をさらに持ち上げる第
    2の被吸着物上昇工程を行うことを特徴とする静電チャ
    ックにおける被吸着物離脱方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の静電
    チャックに静電吸着保持された前記被吸着物を離脱させ
    る方法において、 前記各静電吸着電極の中の少なくとも1つを上昇させて
    前記被吸着物を一旦持ち上げる第3の被吸着物上昇工程
    と、 該第3の被吸着物上昇工程の後、他の前記静電吸着電極
    の中の少なくとも1つを上昇させて前記被吸着物をさら
    に上昇させる第4の被吸着物上昇工程と、 該第4の被吸着物上昇工程の後、前記第3の被吸着物上
    昇工程で前記被吸着物を上昇させた前記静電吸着電極を
    下降させて前記被吸着物との接触を断つ電極下降工程と
    を有し、 これら第3及び第4の被吸着物上昇工程と前記電極下降
    工程を少なくとも1回以上行った後、残りの前記静電吸
    着電極または前記リフト機構で前記被吸着物を支持する
    被吸着物支持工程を行うことを特徴とする静電チャック
    における被吸着物離脱方法。
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