JP3370380B2 - 有機アミノカルボン酸類を含有する廃液の処理方法 - Google Patents

有機アミノカルボン酸類を含有する廃液の処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種工業などで多量に
使用されている有機アミノカルボン酸類(例えば、エチ
レンジアミン四酢酸(以下、EDTAという。))を含
む廃水の無害化処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】EDTAなどの有機アミノカルボン酸類
は、主に紙(漂白)、繊維(染色助剤)、石鹸合成洗剤
等の洗剤、ボイラーや機械金属表面及びガラス表面等を
洗浄する洗浄剤、メッキ、写真及びその処理液、化粧
品、食品(安定剤)、薬品(安定剤)、合成ゴム(重合
剤)、塩化ビニル樹脂(熱安定剤)などの多岐に渡る分
野で使用されており、これらの工場廃水、廃液等はその
ままでは自然界に放流できないため、何らかの廃液の無
害化処理が施されている。廃液の無害化処理としては、
例えば活性汚泥法等の微生物を利用した生物学的方法や
濾過、凝集、沈降、浮上泡沫、フローテーション等によ
る固形分除去、曝気、冷却、冷凍、蒸留、吸着、イオン
交換、電気透析、逆浸透、中和、酸化還元、沈澱生成等
による溶解分の除去等の物理化学的処理が知られてい
る。廃液処理の設備費、運転費を考慮した場合、上記の
方法の中では生物学的方法が最も有利である。しかしな
がら、一般にEDTA等の有機アミノカルボン酸類は、
生物的に難分解であり、これらを含む廃液を通常の活性
汚泥法のみで完全に無害化することはできなかった。
【0003】EDTAを生分解する技術としては、特開
昭58−43782号に記載のシュードモナス属やアル
カリゲネス属を用いた方法、Applid And Environmental
Microbiology vol.56,p.3346-3353(1990)に記載のアグ
ロバクテリウム属の菌種等を用いた方法、Applid And E
nvironmental Microbiology vol.58,No.2,Feb.1992,p.6
71-676に記載のGram-negative isolate を用いた方法が
提案されている。しかしながら、これらに記載の方法で
は、安定に、かつ高い分解効率で行なうことはできなか
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、環境にやさ
しく、安価で、安定に、かつ、効率のよい廃液処理方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機アミノカ
ルボン酸類の分解特性を有する細菌を固定化又は限外濾
過膜による固液分離により、その分解効率が大幅に向上
するとの知見に基づいてなされたのである。すなわち、
上記目的は、下記の方法により達成された。 (1)有機アミノカルボン酸類を含有する廃液を処理す
る方法において、有機アミノカルボン酸類を分解する能
力を有するバチルス族に属する細菌を、固定した状態
で、有機アミノカルボン酸類を含有する廃液に接触させ
て生分解処理することを特徴とする有機アミノカルボン
酸類を含有する廃液の処理方法。 (2)有機アミノカルボン酸類を含有する廃液を処理す
る方法において、有機アミノカルボン酸類を分解する能
力を有するバチルス族に属する細菌を、懸濁した状態
で、有機アミノカルボン酸類を含有する廃液に混合させ
て生分解処理し、その後に限外濾過膜を用いて固液分離
することを特徴とする有機アミノカルボン酸類を含有す
る廃液の処理方法。 (3)生分解に有利な前処理を施してから、生分解処理
することを特徴とする(1)又は(2)に記載の有機ア
ミノカルボン酸類を含有する廃液の処理方法。
【0006】本発明の方法によって、EDTAなどの有
機アミノカルボン酸類を含有する廃水を無害化すること
ができる。これら有機アミノカルボン酸類は、主に紙
(漂白)、繊維(染色)、洗剤、メッキ、食品、写真、
化粧品、医薬、農薬、合成ゴム(重合剤)、塩化ビニル
樹脂(熱安定剤)などの分野で使用されており、これら
の工場廃水、廃液にEDTA等が含有されている。ま
た、写真処理液中には、EDTAなどの有機アミノカル
ボン酸もしくはその塩がキレート剤として、EDTAの
第二鉄錯塩や、1,3−プロピレンジアミン四酢酸第二
鉄錯塩が漂白剤や減力剤として用いられている。また、
感光性平版処理液中にも、EDTAなどの有機アミノカ
ルボン酸もしくはその塩が硬水軟化剤として含有される
ことがある。
【0007】本発明で用いる有機アミノカルボン酸類を
分解する能力を有する細菌としては、バチルス属に属す
る細菌が挙げられ、バチルス エディタビダス(Bacillu
s editabidus) 、バチルス サブチリス(Bacillus subt
ilis) 、バチルス メガテリウム(Bacillus megateriu
m) 、バチルス スファエリカス(Bacillus sphaericus)
、Bacillus なっとうなどがあげられる。これらは、
例えば、Bacillus edtabidus-1(微工研菌寄 第134
49号)、Bacillus subtilis NRIC 0068 、B. megater
ium NRIC 1009 、B. sphaericus NRIC 1013 などとして
容易に入手することができる。
【0008】また、上述の特開昭58−43782号に
記載のシュードモナス属のシュードモナス(Pseudomona
s)No.51-Y(6103号) 、アルカリゲネス属の菌種のアルカ
リゲネス(Alcaligenes)No.51-Z(6104 号) 、更には、Ap
plid And Environmental Microbiology vol.56,p.3346-
3353(1990)に記載のアグロバクテリウム属のアグロバク
テリウム(Agrobacteriumu sp. strain ATCC 55002)、Ap
plid And Environmental Microbiology vol.58,No.2,Fe
b.1992,p.671-676に記載のGram-negative isolate BNC1
等も挙げることができる。
【0009】このうち、有機アミノカルボン酸分解菌バ
チルス エディタビダス(Bacilluseditabidus) は新種
であり、Bacillus editabidus-1 (微工研菌寄 第13
449号)の菌学的性質は次の通りである。 I.形態学的性質 (1) 菌形:桿菌 (2) 大きさ:0.8〜0.9μm ×2.3〜2.7μm(普通
ブイヨンで27℃、24時間培養) (3) 芽胞の形:楕円体 (4) 芽胞の位置:中心性 (5) グラム染色:グラム陽性 II. 培養性状 (1) 普通寒天培地:生育良好 本菌は正円形の淡褐色のコロニーを形成し、周辺部は波
状で、隆起度は中心凸状である。
【0010】III.生理的性質 (1) 色素の産生:− (2) メラニンの産生:+ (3) カタラーゼ試験:+ (4) ウレアの加水分解:+ (5) スターチの加水分解:+ (6) カゼインの加水分解:+ (7) エスクリンの加水分解:+ (8) キチンの加水分解:+ (9) トリブチリンの加水分解:−
【0011】(10) オキシダーゼ試験:+ (11) パラニトロフェニルホスフェイトの加水分解:+ (12)アルギン酸の加水分解:− (13) 硫化水素の産生:− (14) 生育pH:pH6−7 (15) 生育温度:10.5−39.0℃ (16) 生育食塩濃度:1.5−6.0% (17) 酸素要求性:好気的 (18) スキムミルクの凝集:− (19) スキムミルクのペプトン化:+ (20) 酸およびガスの生成:D−グルコース、L−アラ
ビノース、D−キシロースおよびD−マンニトールの酸
の生成について検討した結果、D−グルコースのみ酸を
生成した。しかし、ガスの生成はなし。
【0012】これらのバチルス属に属する菌株の培養法
について以下に述べる。本菌株の培養に使用する培地の
組成は、使用する菌株が良好に生育し、EDTAなどの
有機アミノカルボン酸を順調に分解するために適当な炭
素源、窒素源あるいは有機栄養源無機塩などからなる。
炭素源としては有機アミノカルボン酸金属錯体(例えば
EDTA−Fe やEDTA−Na 等)が使用できる。ま
た、窒素源あるいは有機栄養源としては、例えば、ポリ
ペプトン、酵母エキス、肉エキス等が挙げられる。有機
栄養源は0.1〜1%程度用いるのが好ましい。また、無
機塩としては各種リン酸塩、硫酸マグネシウムなどが使
用できる。さらに微量の重金属類が使用されるが、天然
物を含む培地では必ずしも添加を必要としない。好まし
い培地としては、フジNo.1培地(ポリペプトン0.5
%、酵母エキス0.1%、EDTA鉄アンモニウム塩0.0
1%、寒天2.0%、リン酸バッファー(pH5.8))があ
げられる。
【0013】培養は培地を加熱等により殺菌後、菌を接
種し、25〜39℃で3〜10日静置、振とう又は通気
攪拌すれば良い。pHは6〜8程度が望ましい。EDTA
の分解の確認はイオンクロマト法によって行なうことが
できる。すなわち、培養後の液を0.45μm のミリポア
フィルターによりろ過した液を適当に希釈し、イオンク
ロマトグラフィーにかけて残存率を見ることができる。
【0014】本発明は、有機アミノカルボン酸類を分解
する能力を有する細菌(以下、EDTA分解菌とい
う。)を用いて生分解させるが、その際の生分解処理
は、前述の(1)又は(2)に記載された生分解処理で
ある。
【0015】本発明の(1)においては、EDTA分解
菌を固定化した状態にして、廃液と接触させる。微生物
固定化方法としては、処理槽内から有機アミノカルボン
酸分解菌が流出しないように固定される方法ならばその
種類を問わない。具体的な固定化法としては、例えば、
微生物が付着して生物膜を形成するような担体を用いる
付着生物膜法、微生物をゲル内部に閉じ込めた包括固定
化法などを用いることができる。付着微生物膜法の特徴
は、微生物を高濃度化することができ、処理効率を向上
させることができる。また、懸濁法では系外に洗い出さ
れてしまうような増殖速度が遅い菌を系内に留めること
ができる。また、維持管理が容易であり、汚泥の発生量
が少ないことも特徴としてあげられる。
【0016】付着生物膜法での担体としては、例えば多
孔性セラミクス、活性炭、スポンジ、キトサン(粒
状)、ひも状担体、プラスチック、ハニカム状担体、波
状担体、、網状担体、アンスラサイト、砂利、砂、軽石
等の1種または2種以上を用いることができる。付着生
物膜法で使われる上記の担体は、製造元により、多種多
様であり、微生物が付着して、生物膜を形成するもので
あれば、種類を問わない。多孔性セラミクスとしては、
例えば、発泡煉石、各種濾材(例えば、東名実業(株)
CB濾材)、ショットクラスウエルケ製シュポラクス、
ゼオライト等が挙げられる。活性炭としては、粒状活性
炭でも粉末活性炭でもよく、東洋カルゴン(株)F40
0、クラレケミカル(株)クラレコールKW、クレハ化
学工業(株)BAC等が挙げられる。ひも状担体として
は、東洋テルミー(株)バイオモール、TBR(株)バ
イオコード等が挙げられる。
【0017】包括固定化法の特徴は、菌体を高濃度に保
持できるため、処理効率を向上させることができ、増殖
の遅い菌を固定化できる。また、pH、温度等の条件変
化に対する耐性が広く、高負荷運転に耐えることができ
る。また、汚泥の発生量が少ないことも特徴をして挙げ
られる。包括固定化法としては、アクリルアミド法、寒
天−アクリルアミド法、PVA−ホウ酸法、PVA−冷
凍法、光硬化性樹脂法、アクリル系合成高分子樹脂法、
ポリアクリル酸ソーダ法、アルギン酸ナトリウム法、K
−カラギーナン法等、微生物を閉じ込めることができ、
処理槽の中で微生物の活性を維持しつつ、物理的強度が
大きく長時間の使用に耐え得るものならば種類を問わな
い。
【0018】包括固定化法の代表例としてアクリルアミ
ド法の場合の微生物固定化ゲルの調製法について説明す
る。固定化ゲルは、架橋剤(例えば、N,N’−メチレ
ンビスアクリルアミド)を含有したアクリルアミドモノ
マー溶液と活性汚泥(MLSS 20,000ppm程
度の濃縮汚泥)とを懸濁し、重合促進剤(例えば、N,
N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)、重
合開始剤(例えば、過硫酸カリウム)を添加し、3mm径
の塩化ビニル製チューブ等の成型形に入れ、20℃で重
合し、重合終了後、成型形から押し出し、一定の長さに
切断して得られる。固定化ゲルの表面の細孔は、細菌よ
り小さいため、包括固定化した細菌はリークしにくく、
内部で増殖し、自己分解する。廃水中の溶解成分のみが
細孔よりゲル内部に入り込み、内部の細菌により処理さ
れる。
【0019】これらの固定化法のより具体的な方法につ
いては「微生物固定化法による排水処理」須藤隆一編著
(産業用水調査会)、稲森悠平の「生物膜法による排水
処理の高度・効率化の動向」,水質汚濁研究,vol.13,N
o.9,1990,p.563-574、稲森悠平らの「高度水処理技術開
発の動向・課題・展望」,用水と廃水,vol.34,No.10,1
992,P.829-835 などに記載されている。有機アミノカル
ボン酸分解菌を用いた処理には、上記したような担体、
固定化ゲル等を処理槽内に浮遊流動させてもよいし、生
物ろ過法、浸漬ろ床法、流動床法、回転円板法、散水濾
床法などの担体として用いてもよい。
【0020】本発明の(2)においては、EDTA分解
菌を懸濁した状態で、有機アミノカルボン酸類を含有す
る廃液に混合させ生物処理する。具体的には、大量に培
養した菌体を懸濁した状態で廃液と混合する方法が挙げ
られる。本発明の(2)においては、その後、限外濾過
膜を用いて固液分離する。この方法により、通常の沈降
槽による固液分離法よりも、処理槽内の汚泥濃度(ML
SS)を高く(数千から3万ppm程度)維持できる特
徴がある。限外濾過膜は、処理施設がコンパクトにで
き、バルキングが起こらない等の特徴がある。限外濾過
膜の材質には、ポリアクリロニトリル系、ポリスルホン
系、酢酸セルロース系、ポリエーテルスルホン系、ポリ
オレフィン系、ポリイミド系、フッ素系等がある。
【0021】限外濾過膜としては、ポリスルホン系の膜
素材のものが、旭化成(株)、クラレ(株)、三菱レイ
ヨン(株)、日東電工(株)、住友ベークライト
(株)、ロミコン、アミコン、ミリポア等から、フッ素
系の膜素材のものが、ローヌ・プーラン、ミリポアなど
から、ポリオレフィン系の膜素材のものが、日東電工
(株)から、ポリイミド系のものが日東電工(株)か
ら、PAN系の膜素材のものが、旭化成(株)、ダイセ
ル化学(株)、三菱レイヨン(株)、ローヌ・プーラン
などから販売されている。限外濾過膜による処理水の分
離法については、「第27回衛生工学研究討論会論文
集」(1991年)183〜193頁、「第3回水総合
再生利用システム研究開発成果発表会予稿集」(199
1年)1〜19頁等に詳しく記載されている。
【0022】本発明の(1)又は(2)における生物処
理を、活性炭の存在下に行なうことは、その分解活性が
あがることから、好ましい態様である。活性炭を用いる
ことで微生物による分解活性を向上させることについて
は、西嶋 渉らの「生物活性炭による低濃度有機化合物
の分解除去」,水環境学会誌,vol.15,No.10,1992,P.68
3-689 を参照することができる。
【0023】本発明の(1)又は(2)における生物処
理におけるEDTA分解菌との接触時間及び処理温度は
任意とすることができるが、EDTA分解菌の好適な処
理温度で所望とする分解率が得られる程度の時間接触さ
せるのがよい。通常は、有機アミノカルボン酸類を0.0
1〜1%含有する25〜39℃の水溶液をEDTA分解
菌と12〜240時間程度接触させるのがよい。この時
のpHは5〜9が好ましく、6〜8がより好ましい。
【0024】廃液にはEDTA類以外に種々の物質が含
有されている。本発明においては、EDTA含有廃水
は、EDTA分解菌を用いた処理の前に、これのEDT
A類以外の成分を除去する前処理を施すことが好まし
い。前処理としては、廃液の含有する物質により異な
り、その廃液に適した処理が施されることが好ましい。
これらの前処理としては、通常の生物処理により分解可
能な成分を分解する処理や物理化学的処理等が挙げられ
る。通常の生物処理により分解可能な成分を分解する処
理としては、例えば活性汚泥法、嫌気性硝化法もしくは
スポンジ担体法等の微生物浮遊懸濁法、生物ろ過法、浸
漬ろ床法、流動床法、回転円板法もしくは散水ろ床法等
の生物膜法または自己造粒法等を用いることができる。
これらの処理は連続式であっても回分式であってもよ
い。また好気性、嫌気性のどちらでもよくまたはそれら
の組み合せでもよい。活性汚泥法については、特公昭5
5−49559号、同51−12943号等にも開示さ
れている。
【0025】硝化、脱窒について、説明する。廃水中に
アンモニア、亜硝酸、硝酸などの無機窒素化合物を含む
場合には、生物学的に窒素除去を行なうことができる。
亜硝酸、硝酸は、嫌気性条件下で脱窒菌により窒素とな
って除去される。アンモニアの場合は、まず硝化が必要
で、硝化は亜硝酸化と硝酸化に分けられる。亜硝酸化
は、亜硝酸菌(Nitrosomonas) によりなされ、硝酸化は
硝酸菌(Nitrobactor) によりなされる。亜硝酸菌と硝酸
菌は総称して硝化菌と呼ばれる。硝化菌は、増殖速度が
小さいので処理槽内の菌体濃度を高めるためには、硝化
菌の流出が起こらないようにする必要がある。そのため
には、例えば、活性汚泥法におけるSRT(汚泥滞留時
間)を長く保持したり、付着担体に硝化菌を付着させて
固定化したり、硝化菌を包括固定化させたペレットを使
用して処理槽内の硝化菌濃度を高めたりする方法が挙げ
られる。硝化菌を増殖させるための条件としては、水
温、pH、溶存酸素、BOD負荷、アルカリ度、窒素負
荷などがあるが、特に重要な因子はpHであり、pH
6.5〜8.5が好ましい。
【0026】硝酸、亜硝酸を嫌気条件で脱窒菌により脱
窒するためには、水素供与体としての有機化合物(有機
炭素源)が必要である。有機炭素源として原水中の有機
物の利用が可能であるが、不足する場合にはメタノー
ル,酢酸等を添加する方法がとられている。メタノール
の場合には、実用的には硝酸性窒素(NO3-N )1kg
に対して、BOD換算で約3倍量のメタノールの添加が
必要である。これらの生物処理のより具体的な方法につ
いては「生物学的水処理技術と装置」化学工学協会編
(培風館)、「環境浄化のための微生物学」須藤隆一編
(講談社サイエンティフィク)、「廃水処理プロセス、
設計理論と実験法」W.W.エッケンフェルダー、D.
L.フォード著(技報堂)などに記載されている。尚、
EDTA以外に生物処理により分解される成分を含まな
い場合はこれらの前生物処理の必要はない。
【0027】物理化学的処理としては、濾過、凝集、沈
降、浮上泡沫もしくはフローテーション等による固形分
除去や曝気、冷却、冷凍、蒸留、吸着、イオン交換、電
気透析、逆浸透、中和、酸化(オゾン、塩素、空気、電
解等)、還元もしくは沈澱生成等による溶解分の除去等
が挙げられる。電解酸化法については、特開昭48−8
4462号、同49−119458号、特公昭53−4
3478号、特開昭49−119457号、イオン交換
法としては、特公昭51−37704号、同53−38
3号、同53−43271号、逆浸透法としては、特開
昭50−22463号が挙げられる。
【0028】EDTA分解菌の種類によっては、有機ア
ミノカルボン酸類の分解能に優劣がある。分解能の低い
種類、例えば、バチルス・サブチルスやバチルス・なっ
とうでも他の廃液処理方法と組み合わせることで使用に
供しうる。即ち、過酸化水素を酸化剤として用いるフェ
ントン酸化法等の化学処理法や電気分解法を前処理に用
いることで廃液中の被分解成分が、ある程度分解された
状態になったところで、先に示した生物処理、更にED
TA分解菌による処理を行なうことで目的が達成され
る。化学酸化法及び電気分解法については、各々特開平
4-16289 号、同4-18986 号、同4-197489号、同4-235787
号等にも詳述されている。
【0029】一方、廃液の成分内容によっては、EDT
A等をEDTA分解菌で処理してから他の手段で難分解
な成分を分解させてもよく、まずEDTA分解菌による
処理を行なった後、先に示した生物処理又は化学酸化
法、電気分解法、吸着(活性炭等による)、イオン交換
法等による処理を行なう方法が挙げられる。尚、以上の
処理工程の後には、必要に応じて鉄成分の除去、窒素、
リンの除去工程を行なうことが好ましい。鉄除去につい
ては、処理液をアルカリ性にして鉄イオンを不溶化し除
去したり、pH4〜7.5で鉄イオンをリン酸塩及び/
又は他の無機塩・酸との複合塩として沈澱除去する方法
などが挙げられ、これらについては、特開平4-235787号
等に詳述されている。窒素、リン除去については、「新
しい活性汚泥法」(産業用水調査会)に詳しく記載され
ている。
【0030】本発明の廃液処理の代表的なフローを以下
に示す。尚、本発明の(1)及び(2)の処理を併せて
EDTA分解菌処理として示している。写真処理廃液の
場合には、下記の5,6,7,10〜13が好ましい。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】本発明によれば、各種有機アミノカルボン
酸類を分解することができる。分解の対照となる有機ア
ミノカルボン酸類としては、有機アミノカルボン酸の遊
離酸若しくはその塩(例えば、ナトリウム、カリウム等
のアルカリ金属やアンモニウム、アルカノールアミンと
の塩)やその金属錯体が挙げられる。有機アミノカルボ
ン酸(遊離酸)若しくはその塩としては次のものが、代
表例としてあげられる。 B−1 エチレンジアミン四酢酸(EDTA) B−2 ジエチレントリアミン五酢酸 B−3 1,2−ジアミノプロパン四酢酸 B−4 1,3−ジアミノプロパン四酢酸 B−5 ブチレンジアミン四酢酸 B−6 エチルエーテルジアミン四酢酸 B−7 グリコールエーテルジアミン四酢酸 B−8 エチレンジアミン四プロピオン酸 B−9 エチレンジアミン二酢酸二プロピオン酸 B−10 エチレンジアミン二酢酸 B−11 エチレンジアミン二プロピオン酸 B−12 エチレンジアミン−N−(β−ヒドロキシエチ
ル)−N,N′,N′−三酢酸
【0035】B−13 エチレンジアミンジオルトヒドロ
キシフェニル酢酸 B−14 ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸 B−15 1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸 B−16 メタフェニレンジアミン四酢酸 B−17 メタキシリ−レンジアミン四酢酸 B−18 トリエチレンテトラミン六酢酸 B−19 ニトリロ三酢酸 B−20 ニトリロ三プロピオン酸 B−21 ニトリロジ酢酸モノプロピオン酸 B−22 ニトリロジ酢酸モノヒドロキシプロピオン酸 B−23 ニトリロモノ酢酸2プロピオン酸 B−24 ニトリロモノ酢酸ジヒドロキシプロピオン酸 B−25 イミノジ酢酸
【0036】B−26 ジヒドロキシエチルグリシン B−27 N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシ
ン B−28 アニシジンブルー B−29 クロマズロールS B−30 フルオキシン B−31 メチルチモールブルー B−32 メチルキシレノールブルー B−33 サーコシンクレゾールレッド B−34 スチルベンフルオブルーS
【0037】
【化1】
【0038】
【化2】
【0039】
【化3】
【0040】
【化4】
【0041】
【化5】
【0042】有機アミノカルボン酸類のなかでは、ED
TAが最も難分解である。本発明では、上記有機アミノ
カルボン酸の遊離酸又はその塩の各種金属錯体、例え
ば、鉄、カルシウム、マグネシウム、コバルト、マンガ
ン、金などとの金属錯体なども分解の対象としてあげら
れる。本発明のEDTA分解菌による生物処理方法は、
好ましくは可溶性鉄の存在下で行うのが好ましく、特に
可溶性鉄10〜3000ppm の存在下で行うのがよい。
可溶性鉄としては、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、硝酸第二
鉄等があげられる。次に実施例により本発明を詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
実施例1(担体に付着固定したEDTA分解菌によるE
DTAの分解) 300ml三角フラスコ中に入れたEDTA−塩類を含
む下記培養液100mlと多孔性セラミクス(東名実業
(株)CB濾材)50ml(容器容量17vol/vol%に相当
する)を120°で20分間オートクレーブにて殺菌
後、この培地に下記菌株を接種し、37℃で7日間振盪
培養を行った。特に遮光しなかった。 菌株の種類 次の2種類を用いた。 Bacillus editabidus-1 (微工研菌寄 第13449
号) Bacillus megaterium NRIC 1009 菌は神奈川県西湘地区の田畑及び河口付近の混合土壌
中から分離した。分離源の土壌からの本菌株の分離は、
EDTAを含む培地を試験管に分注し滅菌後、土壌を添
加し、27℃で振とう培養した。その後寒天培地を用い
て単胞子を分離し本菌体を得た。尚、本菌以外のバチル
ス属の細菌の培養も上記と同様に行うことができる。上
記の細菌は、いずれも東京農業大学保存株である。振
盪培養後、EDTA−Fe の残存度及び分解率をイオン
クロマト法により求めた。結果を担体がない場合も含め
て表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】このように、本発明の方法によれば、ED
TAを優れた分解率で生分解することができる。
【0046】実施例2 写真処理廃液(銀回収系廃液と現像液系廃液の混合10
倍希釈液)中のEDTAの処理 銀回収系廃液(カラー写真処理CN−16の定着液、C
N−16Qの漂白液と定着液の混合液、CP−20の漂
白定着液、CP−23の漂白定着液、および黒白写真処
理定着液、富士F、GR−F1の廃液および水を各々
4、1、3、2、7、3、2の比で混合した後銀回収処
理を施したもの)と現像液系廃液(カラー写真処理CN
−16、CN−16Q、CP−20、CP−23各々の
現像液および黒白写真処理現像液RD3、GR−D1の
廃液および水を各々4、1、3、2,7、3、2の比で
混合したもの)とを体積比で1対1で混合した。この溶
液は無機塩濃度が12%と高く、生物処理に適しないた
め水道水にて10倍に希釈した。この溶液にリンをリン
酸一水素二カリウムの形でCOD値(約4700ppm)の
約2%に相当する量を添加した。更にカルシウムイオン
とマグネシウムイオンを各々10ppm 、2ppm 添加し
た。このように調製された廃液のpHは8.5であっ
た。
【0047】上記した各液についてアンダーラインを付
した記号のものはいずれも富士写真フイルム(株)の処
理液の商品名であって、以下に各液の主要成分だけの組
成を示す。
【0048】銀回収系 CN−16 亜硫酸ナトリウム13g/リットル、チオ
硫酸アンモニウム120g/リットル、EDTA鉄アン
モニウム5g/リットル CN−16Q 亜硫酸ナトリウム12g/リットル、チオ
硫酸アンモニウム130g/リットル、EDTA鉄アン
モニウム100g/リットル CP−20 亜硫酸ナトリウム2g/リットル、チオ硫
酸アンモニウム48g/リットル、EDTA鉄アンモニ
ウム20g/リットル CP−23 亜硫酸ナトリウム3g/リットル、チオ硫
酸アンモニウム50g/リットル、EDTA鉄アンモニ
ウム25g/リットル 富士F 亜硫酸ナトリウム6g/リットル、チオ硫
酸アンモニウム100g/リットル GR−F1 亜硫酸ナトリウム7g/リットル、チオ硫
酸アンモニウム135g/リットル
【0049】現像液系 CN−16 現像主薬5g/リットル、亜硫酸ナトリウ
ム3g/リットル CN−16Q 現像主薬7g/リットル、亜硫酸ナトリウ
ム4g/リットル CP−20 現像主薬4g/リットル、亜硫酸ナトリウ
ム1g/リットル CP−23 現像主薬5g/リットル、亜硫酸ナトリウ
ム1.5g/リットル、ベンジルアルコール13g/リ
ットル RD3 亜硫酸ナトリウム22g/リットル、ハイ
ドロキノン12g/リットル GR−D1 亜硫酸ナトリウム32g/リットル、ハイ
ドロキノン9g/リットル
【0050】先に調製した廃液を以下に示す工程により
生物処理を施した。 活性汚泥処理:まず初めにこの廃液をイオウ酸化菌を含
む活性汚泥(MLSS4500ppm)にて連続処理を行な
った。イオウ酸化菌を含む活性汚泥としては、銀回収系
廃液10倍希釈液(COD約4500ppm)を連続的に滞
留時間2日で1ケ月与えることにより馴養したものを用
いた。滞留時間は2日であった。生成する硫酸を10%
水酸化ナトリウム水溶液で中和し、ばっ気槽内の液がp
H6.6以下にならないように保った。pH調節にはp
Hコントローラ(東京理化製FC−10型)を用いた。
【0051】この処理によりCOD830ppm の液が得
られた。処理温度は室温であり、以下の実施例において
も同様である。 硝化:上述の工程を経た廃液中のアンモニウムイオン
(約1000ppm)を、ひも状担体(TBR(株)バイオ
コード)を硝化菌の固定床とした硝化槽を用いて硝酸イ
オンに変換した。硝化は、硝化槽のpHを約7.5に調
節しながら、1サイクル2日の回分式処理で行なった。
処理槽からの処理液の1サイクル毎の放流量は全量の7
割とした。 嫌気処理:上述の工程で得られた硝化液を、粒状活性炭
(東洋カルゴン(株)活性炭F400)を担体とした嫌
気性の流動床を用い1サイクル4日の回分式処理で処理
した。処理槽からの処理液の1サイクル毎の放流量は全
量の8割とした。処理液のCODは約200ppm であ
り、イオンクロマトグラフィーによる分析の結果、含ま
れる有機成分のほとんどがEDTAであった。
【0052】EDTA分解菌処理:このようにして得ら
れた、EDTAを主成分とする溶液を、EDTA分解菌
(Bacillus edtabidus-1) を付着固定させた多孔性セラ
ミクス担体(東名実業(株)CB濾材)を処理塔容積の
60vol/vol %充填した処理塔に循環させて1サイクル
3日の回分式処理で処理した。処理塔底部に設けた散気
管から常時空気を送り込み処理塔内を好気的に保った。
処理槽からの処理液の1サイクル毎の放流量は全部の8
割とした。EDTA分解菌を用いた処理により液中のE
DTAはほとんど分解され、処理後のCODは18ppm
であった。
【0053】脱窒:以上の処理により得られた液中の硝
酸イオン(約3400ppm)を、アンスラサイトを担体と
して充填した固定床式生物脱窒塔に通液することによ
り、脱窒を行なった。脱窒に必要な有機物としてメタノ
ールをTOCとして1850ppm(TOC/NO3-N ≒2.4/1)に
なるように添加した。脱窒処理後の液を好気的に保った
生物濾過塔に通液させることにより、残存する有機物を
除去した。滞留時間は脱窒塔、好気生物濾過の各々にお
いて12時間、4時間であった。得られた液のCODは
15ppm であった。
【0054】鉄除去:以上の工程で得られた液に水酸化
ナトリウム10%水溶液を加えてpH8にした後15分
間攪拌した。凝集剤(大日本インキ(株)リューフロッ
クA−500)を加えて30分間攪拌した後、生じた赤
色沈澱を濾過で除いた。得られた液のCODは14ppm
であった。
【0055】実施例3 銀回収系廃液中のEDTAの処理(懸濁液限外濾過法) 実施例2で用いた銀回収系廃液を水で10倍に希釈し
た。この溶液(COD4600ppm)に実施例2と同様な
割合でリン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンを
添加した後、実施例2と同様にイオウ酸化菌を含む活性
汚泥を用いて生物処理を行なった。処理後のCODは7
50ppm であった。液中に残存する有機成分のほとんど
がEDTAとPDTAであった。
【0056】EDTA分解菌処理:上記処理で得られた
溶液をEDTA分解菌(Bacillus edtabidus-1)を液中に
懸濁した状態で処理を行なった。EDTA分解菌と処理
液との固定分離は、限外濾過膜(日東電工(株)NTU
−3520型)を用いて行なった。曝気槽と限外濾過膜
ユニットの間にポンプを用いて懸濁液を循環させた。曝
気槽に流入する手前の流路下にアスピレーターを接続し
てアスピレーターで発生した微細な気泡により曝気を行
なった。懸濁液のMLSS(活性汚泥浮遊物)は約60
00ppm であった。HRT(水理学的滞留時間)3日の
連続式処理の結果、液中のEDTAとPDTAのかなり
の部分が分解されて処理後のCODは70ppm であっ
た。
【0057】懸濁液からの固液分離に沈降槽を用いた場
合、MLSSは約3000ppm であった。その他の条件
を限外濾過膜と同様にして処理した結果、処理後のCO
Dは110ppm であった。以上の結果を表5にまとめ
た。
【0058】硝化:限外濾過膜を用いた処理により得ら
れた処理液を水で2倍に希釈した。この液中に含まれる
アンモニウムイオン(約1000ppm)を、実施例2の硝
化工程と同様な処理により硝酸イオン(約3400ppm)
に変換した。更に、脱窒と鉄除去を実施例2と同様に行
なった結果、各々の処理後のCODは各々65ppm 、6
2ppm であった。
【0059】
【表5】 表5 懸濁状態のEDTA分解菌(B.edtabidus-1)による
処理 室温、3日間
【0060】実施例4 EDTA分解菌(Bacillus edtabidus-1)を包括固定化し
て用いた実施例2の処理 実施例2のEDTA分解菌処理工程においてEDTA分
解菌を固定化した担体として多孔性セラミクスの代わり
にEDTA分解菌(Bacillus edtabidus-1)を包括固定化
したアクリルアミドゲルペレットを用いた。該アクリル
アミドゲルは「微生物固定化法による排水処理」須藤隆
一編著(産業用水調査会)196〜199頁に記載の方
法で調製した。1片約3mmの立方体に成形した該アクリ
ルアミドゲルを曝気槽容量の約10%添加し曝気槽内に
浮遊流動させて用いた。処理方式は1サイクル2.5日
の回分式処理で、処理槽からの処理液の1サイクル毎の
放流量は全量の8割とした。
【0061】この処理により液中のEDTAはほとんど
分解され処理後のCODは15ppmであった。後続の脱
窒、鉄除去を実施例2と同様に行なった結果、各々の処
理後のCODは各々12ppm 、12ppm であった。
【0062】実施例5 EDTA分解菌(Bacillus edtabidus-1)が付着する担体
として活性炭を用いた実施例2の処理 実施例2のEDTA分解菌処理工程においてEDTA分
解菌(Bacillus edtabidus-1)を付着固定化した担体とし
て多孔性セラミクスの代わりに粒状活性炭(東洋カルゴ
ン(株)活性炭F400)を処理塔容積60vol/vol %
用いて処理時間を変えた以外は同様の条件で処理を行な
った。回分式処理を1サイクル1.5日で行なった結
果、液中のEDTAはほとんど分解され処理後のCOD
は9ppm であった。後続の脱窒、鉄除去を実施例2と同
様に行なった結果、各々の処理後のCODは各々8ppm
、7ppm であった。
【0063】実施例6 EDTA分解菌としてBacillusなっとうを用い、付着担
体として活性炭を用いた 実施例2の処理 実施例2のEDTA分解菌処理工程において、EDTA
分解菌としてBacillusedtabidus-1 の代わりにBacillus
なっとうを用い、EDTA分解菌を付着固定化した担体
として多孔性セラミクスの代わりに粒状活性炭(東洋カ
ルゴン(株)活性炭F400)を用いて、同様の条件で
処理を行なった。回分式処理を1サイクル4日で行なっ
た結果、液中のかなりの部分のEDTAが分解され処理
後のCODは80ppm であった。後続の脱窒、鉄除去を
実施例2と同様に行なった結果、各々の処理後のCOD
は各々73ppm 、70ppm であった。実施例2〜6の結
果をまとめて表6に示した。
【0064】
【表6】
【0065】実施例7 ボイラの酸洗浄廃液(モデル液)中のEDTAの処理 ボイラの酸洗浄廃液がボイラ廃水に混入することを想定
してボイラ廃水モデル液を調製した。このモデル液中に
はEDTA−Fe 1g/リットル、クエン酸アンモニ
ウム0.35g/リットルを含み、COD850ppm で
あった。 前処理(生物処理):モデル液をアンスラサイトを充填
し、好気的に維持した生物濾過塔を通過させることによ
り、クエン酸を処理した。HRT5時間で処理後のCO
Dは700ppm であった。
【0066】EDTA分解菌処理:上記の処理で得られ
た液を、EDTA分解菌(Bacillusedtabidus-1)を付着
固定させた粒状活性炭(東洋カルゴン(株)活性炭F4
00)を充填した処理塔に循環させて1サイクル3日の
回分式処理を行なった。処理塔内部は散気管からの曝気
により好気的に保たれており、1サイクル毎の放流量は
処理槽内液の8割とした。処理後液中のEDTAはかな
りの部分が分解されCODは38ppm であった。
【0067】実施例1と表4に示す結果からわかるよう
に、EDTA分解菌を担体に付着固定させた方がEDT
Aの分解能が向上する。実施例3と表5に示す結果から
わかるようにEDTA分解菌を懸濁状態で用いた場合、
限外濾過膜で固液分離することにより、懸濁液の菌体濃
度が増加し、かつ処理能が向上する。本発明による方法
により、写真処理により排出される銀回収系廃液を生物
処理した後、その中のEDTAの分解を短時間でなしと
げることができる。実施例2、4、5、6と表6に示す
結果からわかるように、EDTA分解菌の固定担体、固
定法として色々な種類を用いることが可能であり、用い
る菌種は限定されない。本発明による方法により、写真
処理廃液を生物処理した後その中のEDTAの分解を短
時間でなしとげることができる。実施例7、に示す結果
からわかるように、本発明による方法により種々の廃液
中のEDTAの分解をEDTA以外の成分を除くための
前処理と組み合わせることによりなしとげることができ
る。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば従来困難であった有機ア
ミノカルボン酸類を含む廃液を安定にかつ高処理率で生
物処理することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−8592(JP,A) 特開 昭58−43782(JP,A) 特開 平5−23696(JP,A) 特公 昭48−25514(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機アミノカルボン酸類を含有する廃液
    を処理する方法において、有機アミノカルボン酸類を分
    解する能力を有するバチルス族に属する細菌を、固定し
    た状態で、有機アミノカルボン酸類を含有する廃液に接
    触させて生分解処理することを特徴とする有機アミノカ
    ルボン酸類を含有する廃液の処理方法。
  2. 【請求項2】 有機アミノカルボン酸類を含有する廃液
    を処理する方法において、有機アミノカルボン酸類を分
    解する能力を有するバチルス族に属する細菌を、懸濁し
    た状態で、有機アミノカルボン酸類を含有する廃液に混
    合させて生分解処理し、その後に限外濾過膜を用いて固
    液分離することを特徴とする有機アミノカルボン酸類を
    含有する廃液の処理方法。
  3. 【請求項3】 生分解に有利な前処理を施してから、生
    分解処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の
    有機アミノカルボン酸類を含有する廃液の処理方法。
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