JP3369173B2 - 低電圧の制限アパーチャ付きメインレンズを有する電子銃 - Google Patents

低電圧の制限アパーチャ付きメインレンズを有する電子銃

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    • H01J29/48Electron guns
    • H01J29/488Schematic arrangements of the electrodes for beam forming; Place and form of the elecrodes

Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、一般に、陰極線管(CRT)の場合のように
電子ビームを形成し、加速しそして収束するための電子
銃に係り、より詳細には、CRTにおける電子収束レンズ
のビーム加速及び収束領域と、良好に定められた小さな
スポットサイズの電子ビームを発生する構成体とに関す
る。
先行技術 テレビのCRTに使用される電子銃は、一般に、2つの
基本的な部分に分割することができる。即ち、それは
(1)ビーム成形領域(BFR)と、(2)電子ビームをC
RTの蛍光体保持スクリーンに収束する電子ビーム収束レ
ンズとである。ほとんどの電子ビーム収束レンズ構成体
は静電式のものであって、通常は、個別の導電性の管状
エレメントが同軸的に配列されたものを備え、各エレメ
ントに指定の電圧が印加されて収束静電界を確立するよ
うになっている。白黒CRTは、1つの電子銃を使用して
1本の電子ビームを発生し収束する。カラーCRTは、一
般に、3つの電子銃を使用し、各電子銃が各々の収束さ
れた電子ビームをCRT燐光フェイスプレートに指向し
て、赤、緑及び青の3原色を形成する。これらの電子銃
はインライン配列又は平面配列されることが多いが、デ
ルタ型の銃配列もかなり一般的になってきている。本発
明は、白黒CRT及び多電子ビームカラーCRTの両方に適用
できる。スポットサイズの小さい先鋭に収束した電子ビ
ームは、解像度の高い映像を形成する。ビームのスポッ
トサイズを減少するために、小さなサイズの制限アパー
チャが電子銃に組み込まれている。これらの公知の制限
アパーチャ解決策は、性能を制約する原因が3つあるた
めに限定された状態でしか好結果を生じない。
従来の設計では、制限アパーチャが典型的に収束電圧
グリッドに配置される。この領域では、電子が典型的に
数キロボルト(KV)程度の運動エネルギーを有し、収束
グリッドに二次電子放出を生じさせる。二次電子は一般
にCRTスクリーンに到達してコントラストの損失及び/
又はカラー純度の損失を引き起こし、これは一般に映像
のまわりのボケとして見える。電子ビームは通常ビーム
収束領域において大きな断面をもつので、収束グリッド
の制限アパーチャも比較的大きくなる。これは、二次電
子がスクリーンに入射する確率を高める。通常は、二次
電子がスクリーンに到達して解像度のロスを生じさせる
前に二次電子を吸収するために、制限アパーチャより高
くアノードより低い電圧をもつグリッドはない。制限ア
パーチャによって遮られた電子が抵抗チェーンを経てCR
Tのアノードに向かって流れることから第2の問題が生
じる。この電子の流れは収束電圧にシフトを生じ、それ
により電子ビームの焦点ずれを招く。又、エネルギーを
もつ電子が制限アパーチャのまわりの収束電圧グリッド
に入射することにより第3の問題が生じる。電子銃のこ
の高電圧領域で遮られる電子は、高い運動エネルギーを
有するので(CRTの銃は典型的に収束電圧が数千ボルト
である)、その遮られた高エネルギーの電子はその運動
エネルギーをアパーチャ領域に放出し、収束電圧グリッ
ドの温度を相当に上昇させ、ある場合には、このエネル
ギーを消散させる前にグリッドの蒸発を引き起こす。こ
れら3つの問題は、電子銃の小さなアパーチャによって
電子ビームのスポットサイズを減少しようとする公知の
試みの制約となっている。
発明の要旨 本発明は、電子銃のメイン収束レンズの無電界ゾーン
に置かれる比較的低電圧の制限アパーチャを設け、これ
により、電子ビームの収差を回避し、二次電子放出を最
小にし、電子ビームの収束に悪影響を及ぼさないように
し、そして比較的低エネルギーの周囲電子を遮ってグリ
ッドの放熱を最小にすることにより、公知技術の上記制
約を解消するものである。
従って、本発明の目的は、映像の質を向上するため
に、小さくて良好に定められたスポットサイズを有する
電子ビームをCRTに形成することである。
本発明の別の目的は、電子銃の高電圧ビーム収束領域
に、熱の形態でのエネルギー消散を最小とする小さなビ
ームスポットサイズを形成すると共にディスプレイスク
リーンに入射する二次電子及びそれに関連した映像の質
低下を最小にする構成体を設けることである。
本発明の更に別の目的は、小さなアパーチャをもつ電
子レンズの高電圧ビーム収束領域に本質的に静電界のな
い領域を設けて、電子ビーム束の周囲電子線に対してバ
リアを形成し、ビームスポットサイズを制限して、映像
の鮮明さ及び収束度を向上することである。
本発明の更に別の目的は、球面収差を生じることなく
電子収束レンズにおける電子ビームのスポットサイズを
制限するためのエネルギー効率の良い小アパーチャ構成
体を提供することである。
本発明の更に別の目的は、電子銃のメインレンズ部分
に小さなアパーチャを有する比較的低電圧の領域を設け
てこれを通して電子ビームを指向し、外側の電子ビーム
線を遮ると共に、ビームから周囲電子を除去して、CRT
ディスプレイスクリーンに小さなビームスポットサイズ
を形成することである。
本発明の更に別の目的は、ディスプレイスクリーン上
のビームスポットサイズを制限するために電子ビームの
外側の電子を遮る収束電極を、電子銃のメインの加速及
び収束電源とは個別の独立した電源によって荷電して、
収束電圧のシフト及びそれにより生じるビームの焦点ず
れを最小にすることである。
本発明によれば、電子ビーム源により放射されたエネ
ルギー電子より成る電子ビームを軸に沿ってディスプレ
イスクリーンに向って収束するレンズにおいて;上記軸
上で上記電子ビーム源に対して接近して配置された第1
の低電圧収束構成体であって、第1の低電圧収束静電界
を上記エネルギー電子に印加してこれらのエネルギー電
子をビームへと形成するための第1の低電圧収束構成体
と;上記軸上で上記第1の低電圧収束構成体とディスプ
レイスクリーンとの中間に配置されていて、高いアノー
ド電圧VA及び大きな静電界を電子ビームに印加して、電
子をディスプレイスクリーンに向けて各々加速すると共
に電子ビームをディスプレイスクリーンに収束するため
の第2の高電圧収束構成体であって、上記軸上に相対的
に静電界のない領域を形成するように電圧VGに維持され
た荷電グリッドを備えた(但し、VG≦0.12VA)第2の高
電圧収束構成体と;上記相対的に静電界のない領域にお
いて上記軸上で上記荷電グリッドに配置された制限アパ
ーチャであって、電子ビームの周囲部分における電子を
遮って除去し、ディスプレイスクリーンにおける電子ビ
ームスポットサイズと、ディスプレイスクリーンに入射
する二次電子の数とを減少するための制限アパーチャと
を具備するレンズを提供することによって、本発明の上
記目的が達成されると共に、公知技術の欠点が解消され
る。
図面の簡単な説明 本発明を特徴付ける上記の新規特徴は請求の範囲に指
摘する。しかしながら、本発明それ自体、並びに本発明
の更に別の目的及び効果は、種々の図面を通じて同じ部
分を同じ参照文字で示した添付図面に基づく好ましい実
施例の以下の詳細な説明より理解されよう。
図1は、ビーム角(θ)に伴う電子ビームスポットサ
イズ(DS)の変化を、倍率(dM)、球面収差(dS)及び
空間電荷作用(dSP)の3つの関連ファクタに対して示
している。
図2は、ビーム軸A−A'に対して電子ビームの角度
(θ)を示した簡単な図である。
図3a及び3bは、本発明の一実施例に基づきビーム収束
領域に制限アパーチャを組み込んだ電子銃の収束レンズ
を示す簡単な軸方向断面図で、図3a及び3bは、各々、電
子ビーム線及び静電界線と、本発明のこの実施例により
高電圧ビーム収束領域において電子に加えられる力の位
置及び状態を示す図である。
図4は、電子ビームにおける電子のガウス分布と、本
発明の制限アパーチャが電子ビームから外側の電子を除
去して小さな電子ビームスポットサイズを形成する仕方
とを示したグラフである。
図5a及び5bは、本発明の別の実施例に基づきビーム収
束領域に制限アパーチャを組み込んだ電子銃の収束レン
ズを示す簡単な軸方向断面図で、図5a及び5bは、各々、
電子ビーム線及び静電界線と、本発明のこの実施例によ
り高電圧ビーム収束領域において電子に加えられる力の
位置及び状態を示す図である。
図6a及び6bは、本発明の更に別の実施例に基づきビー
ム収束領域に制限アパーチャを組み込んだ電子銃の収束
レンズを示す簡単な軸方向断面図で、図6a及び6bは、各
々、電子ビーム線及び静電界線と、本発明のこの実施例
により高電圧ビーム収束領域において電子に加えられる
力との位置及び状態を示す図である。
図7a及び7bは、本発明の更に別の実施例に基づきビー
ム収束領域に制限アパーチャを組み込んだ電子銃の収束
レンズを示す簡単な軸方向断面図で、図7a及び7bは、各
々、電子ビーム線及び静電界線と、本発明のこの実施例
により高電圧ビーム収束領域において電子に加えられる
力との位置及び状態を示す図である。
好ましい実施例の詳細な説明 静電収束レンズには、CRTの燐光ディスプレイスクリ
ーンに入射する電子ビームの直径、即ちスポットサイズ
を決定する特性が主として3つある。目標とするところ
は、当然、鮮明に画成され正確に収束された電子ビーム
がディスプレイスクリーンに入射するようにすることで
ある。静電収束レンズのこれら3つの主たる特性は、倍
率と、球面収差と、空間電荷作用である。
倍率は、次の式で表される。
但し、q=メインレンズの中心からディスプレイスクリ
ーンまでの距離; p=対物平面からメインレンズの中心までの距
離; VO=メインレンズの物体側の電圧; VA=メインレンズの像側の電圧;及び dO=物体のサイズ。
球面収差特性は、次の式で表される。
dS=CSθ (2) 但し、CS=球面収差の係数;及び θ=電子ビームの発散角。
レンズにより収束される点源を再び点に収束すること
はできないために、電子ビームのスポットサイズが成長
する。電子線が収束レンズの光学軸から離れるほど、電
子線が再び点源に収束されるのを防止するレンズの収束
力が大きくなる。
電子ビームのスポットサイズに対する空間電荷作用
は、次の式で表される。
dSPαθ-1 (3) 電子ビームスポットサイズのこの成長係数は、同一荷
電された電子間の反発力によって生じる。
図1は、ビーム角(θ)に伴う電子ビームスポットサ
イズ(DS)の変化を、倍率(dM)、球面収差(dS)及び
空間電荷作用(dSP)の3つの上記係数に対して示して
いる。これら3つの全ての係数を含んで電子ビームのス
ポットサイズをdtotalで表すと、このdtotalは、θopt
及びDoptにおいて最小となることが明らかである。電子
レンズの軸A−A'に沿ったビーム角θが図2に示されて
いる。
電子ビームは、典型的に、電子銃のいわゆるビーム成
形領域(BFR)において発生される。このBFRは、電子銃
のメインレンズとは別個の電子光学系統として考えるこ
とができ、電子銃のその特定のメインレンズに一致する
ように調整された電子ビーム束を発生する。
図3a及び3bには、本発明の一実施例により高電圧「GP
F式」ビーム収束レンズ40に制限アパーチャ44を組み込
んだ電子銃30の簡単な軸方向断面図が示されている。図
3a及び3b並びに以下に説明する他の図面においては、本
発明の種々の実施例の説明を簡単且つ容易にするために
共通のエレメントが同じ識別番号で示されている。図3a
は、電子銃30内における電子ビーム線の分布及び位置を
示しており、一方、図3bは、等電位線(破線形態で示
す)の形状及び形態と、制限アパーチャ44の付近で電子
銃30内のビームの電子に加えられる静電界及び静電気
力とを示している。電子銃30は、設計及び動作が従来
型の電子ビーム源16を備え、これは典型的にカソードK
を備えている。このカソードKは、スリーブ、ヒータコ
イル及び放射層を含むが、これらは全て簡単化のため図
から省いてある。電子は、カーソドKの放射層から放射
され、低電圧のビーム成形領域(BFR)38へ送られ、そ
してG2スクリーングリッドと一般に称するグリッドの作
用によりビームの軸A−A'に沿って第1のクロスオーバ
ーに収束される。G2スクリーングリッドは、VG2電源50
に接続され、それにより荷電される。カソードKとG2
クリーングリッドとの間に配置されたG1制御グリッドと
して知られているグリッドは、カソードに対して負の電
位で動作され、該グリッド又はカソードKへの映像信号
の印加に応じて電子ビーム強度を制御するように働く。
G1グリッドの電源は、簡単化のため図から省いてある。
電子ビームの第1のクロスオーバーは、電子が軸A−A'
を通過する点であり、典型的に、G2スクリーングリッド
及びG3グリッドの一般的近傍である。以下の説明では、
「電圧」と「電位」、そして「グリッド」と「電極」の
用語が交換可能に使用される。
G1制御グリッドは、一般に、カソードKから放射され
る電子を制御し、それらを一般的にディスプレイスクリ
ーン42の方向に指向するように働く。G2スクリーングリ
ッドは、電子ビームの第1のクロスオーバーを形成しそ
して電子ビームの強度を制御するように働く。
G3グリッドに加えて、電子銃30は更にG5グリッドも備
え、これらのグリッドは、図3a及び3bに示す実施例では
収束電圧(VF)源32に接続されてそれにより荷電され
る。更に、電子銃30は、G3グリッドとG5グリッドとの中
間に配置されたG4グリッドも備えており、これは、VG2
電圧源50に接続されてそれにより荷電される。更に、電
子銃30は、G6グリッドも備え、これは電子加速アノード
電圧(VA)源34に接続される。この加速電圧VAは、収束
電圧VFよりも実質的に高く、内面に蛍光被膜46をもつデ
ィスプレイスクリーン42に向けて電子を加速するように
働く。収束電圧VFは、典型的に、アノード電圧VAの20な
いし40%であり、VAは一般に25KV程度でありそしてVF
一般に7KV程度である。
各グリッドは、電子ビームの軸A−A'に整列され、該
軸に対して同軸的に配置される。グリッドG1、G2及びG3
には各々軸A−A'に沿って整列された各アパーチャが設
けられており、これらを通してエネルギー電子が送られ
てディスプレイスクリーン42に向けられる。
本発明によれば、G4グリッドには制限アパーチャ44が
設けられ、該グリッドはビーム軸A−A'に沿って厚み即
ち長さが増加されている。制限アパーチャ44は一般に円
形であり、直径dG4'を有する。G4グリッドの厚みは、t
G4で与えられる。
本発明のG4グリッドは、更に、その対向面に配置され
て軸A−A'に沿って整列された第1及び第2の外方くぼ
み52及び54を備えている。これらの第1及び第2の外方
くぼみ52、54は各々直径がdG4であり、ここでtG4≧1.8d
G4である。好ましい実施例では、tG4≧5.4−10.8mmでそ
してdG4=3−6mmである。第1及び第2の外方のくぼみ
52、54の中間に配置されているのは、制限アパーチャ44
を画成する内方の仕切り56である。好ましい実施例で
は、制限アパーチャ44の直径dG4'は、G4グリッドの第1
及び第2の外方くぼみ52、54の直径dG4の10ないし50%
である。第1及び第2の外方くぼみ52、54は、G4グリッ
ドの各対向するくぼみ部分を画成し、これらの部分は、
静電界を軸A−A'に沿ってグリッド内で制限アパーチャ
44の付近において本質的にゼロに減少させる。制限アパ
ーチャ44は、以下で述べるように電子ビームのスポット
サイズを制限する。前記したように、G2スクリーングリ
ッド及び制限アパーチャG4グリッドは、VG2電圧源50に
接続されてそれにより荷電され、好ましい実施例では、
500V≦VG2≦0.12VAである。
図3bには電子銃30の断面図が示されており、本発明に
よる高電圧ビーム収束レンズ40における等電位線の位置
及び形状と、電子に加えられる静電界及び静電気力とが
示されている。等電位線は、G4グリッドの付近、より詳
細には、G4グリッドの制限アパーチャ44の付近において
破線形態で示されている。この図から明らかなように、
制限アパーチャ44に隣接する第1及び第2の外方のくぼ
み52、54によって形成されたG4グリッドのくぼんだ部分
は、制限アパーチャに向かって内方に曲がった等電位線
を形成する。G4グリッドの厚みtG4は、tG4≧1.8dG4であ
るから、制限アパーチャ44のすぐ近くでは等電位線が本
質的にゼロである。電界ベクトルによって表された静
電界は、力ベクトルによって表された力を電子に加え
る。ここで、=−eである。2つの荷電された電極
間に静電界が形成され、ここで、電子銃の軸A−A'に沿
ってG4グリッドの両側に配置されたG3及びG5は、好まし
い実施例ではVG2の少なくとも10倍である収束電圧VF
動作する。
図3bに示すように、静電界は、静電気力と同様
に、等電位線に対して横に整列され、電子は負電荷であ
るので静電気力の方向と静電界線の方向は互いに逆であ
る。電子ビームがG3グリッドとG4グリッドとの間のスペ
ースを横切るときには、力ベクトルの方向により示さ
れた発散する力を受ける。電子ビームの外周の部分は、
制限アパーチャ44を画成するG4グリッドの内方部分に当
たり、電子ビームの外周がカットオフされる。これは、
電子ビームがG4グリッドを通過してG5グリッドに向かっ
て進むときに、ビームスポットサイズを制限する。G4
リッドとG5グリッドの中間では、静電界ベクトルが低
電圧の電極即ちG4グリッドに再び向けられ、一方、力ベ
クトルは、電子が負電荷であるために、より高い電位
に維持された電極に向けられる。従って、電子がG4グリ
ッドとG5グリッドの間のスペースを進行するときには、
収束電圧VFで作用される収斂する力を受け、電子ビーム
線を小さなスポットの形態でディスプレイスクリーンの
蛍光被膜46に収斂させる。
本発明によれば、G4グリッドには厚みtG4が与えられ
る。軸A−A'に沿った厚みtG4と、G4グリッドの対向面
に延びる第1及び第2の外方くぼみ52、54トが組み合わ
されることにより、制限アパーチャ44においてG4グリッ
ドの中心に実質的に静電界のない領域が形成される。G4
の内方仕切り56の付近で静電界が本質的にゼロである状
態では、エネルギー電子が入射した結果としてG4の内方
仕切りから放射される二次電子がディスプレイスクリー
ン42に指向されない。静電界の影響がない状態では、こ
れらの二次電子は、G4又はG5グリッドによって吸収され
るまで制限アパーチャ44の付近に留まる傾向となる。従
って、二次電子は、ディスプレイスクリーン42に入射す
る電子ビームから本質的に排除される。コントラストの
ロス及び/又は色純度のロスを生じるこれら二次電子を
排除することにより、映像の質が向上する。制限アパー
チャ44の小さな直径dG4'は、G4グリッドからの二次電子
がディスプレイスクリーン42に到達するのを更に減少す
る。公知の解決策では、電子銃のこの部分においてビー
ムの断面が増大するためにメイン収束レンズに大きなア
パーチャが必要とされた。この大きなアパーチャは、ビ
ームスポットサイズを減少する作用を限定するだけでな
く、相当数の二次電子がディスプレイスクリーンに到達
して映像の質を悪化するのを許してしまう。
図4には、電子ビームにおける電子のガウス分布を示
すと共に、小さな電子ビームスポットサイズを形成する
ために本発明の制限アパーチャ44によって外側の電子線
をカットオフすることを示すグラフである。G4グリッド
の制限アパーチャ44は電界のない領域に配置されるの
で、この制限アパーチャは電子ビームに対してレンズ作
用をもたず、不所望な球面収差を生じない。制限アパー
チャが静電界領域に配置された場合には、静電界の勾配
によって電子が影響を受け、ディスプレイスクリーンの
内面において電子ビームスポットに球面収差を引き起こ
す。制限アパーチャ44は本質的に電界のない領域にある
から、制限アパーチャを画成するG4グリッドの部分、即
ちG4の内方仕切り56は、電子と静電気的に相互作用せ
ず、電子ビームの外周における電子線に対して単に物理
的なバリアを与えるだけである。図4に示すように、直
径dG4の制限アパーチャを越えたところ、即ちその外側
に配置される電子線は、電子ビームから取り去られる。
図5a及び5bには、本発明の別の実施例による電子銃78
の軸方向断面図が示されている。図5aは電子ビーム線を
示し、一方、図5bは電子銃78内の等電位線を示してい
る。この電子銃78は、G2スクリーングリッドがVG2電圧
源74に接続されるが、G4グリッドが個別のVG4電圧源76
に接続されてそれにより荷電されるという点で、図3a及
び3bの電子銃とは異なる。従って、図5a及び5bの実施例
では、G2グリッドとG4グリッドが個別の独立した電圧源
即ち電源によって荷電される。VG4電圧源76がVG2電圧源
74と独立している状態では、制限アパーチャ44を画成す
るG4内方仕切り56によって遮られる電子は、抵抗チェー
ンを通して流れて低電圧BFR38のビームカットオフ特性
に影響を及ぼさないよう防止される。この実施例では、
300V≦VG4≦0.12VAである。
図6a及び6bには、本発明の更に別の実施例によるアイ
ンゼル(Einzel)型の電子銃80が示されている。前記の
実施例の場合と同様に、G4グリッドは一般的に円筒形で
あり、その長手軸は電子銃80の軸A−A'に整列されてい
る。軸A−A'に沿ったG4グリッドの厚みは、tG4であ
る。図6a及び6bの実施例のG4グリッドも、制限アパーチ
ャ44を画成する内方の仕切り56を含んでいる。この実施
例では、G2スクリーングリッドは、個別のVG2電圧源74
に接続されてそれにより荷電される。同様に、G4グリッ
ドは、個別の収束電圧VF源32に接続されてそれにより荷
電される。ある電子銃では、2つ以上の収束電圧VF源が
あり、VFは100Vから10,000V又はそれ以上である。より
高いアノード電圧VAは、VA電圧源34がG3及びG5グリッド
に接続されることによりこれらグリッドを荷電する。前
記した実施例に場合と同様に、300V≦VG4≦0.12VAであ
ることと、G4グリッドの対向面における第1及び第2の
くぼんだスロット52、54の深さとにより、制限アパーチ
ャ44の付近に本質的に静電界のない領域が形成される。
この電界のない領域は、電子ビームに対する制限アパー
チャ44のレンズ作用と、それに関連した不所望な球面収
差とを排除する。制限アパーチャ44は本質的に静電界の
ない領域にあるから、内方の仕切り56は電子と静電気的
に相互作用せず、電子ビームの周囲の電子線に対して単
に物理的なバリアを構成して、その周囲の電子を遮って
電子ビームから除去し、電子ビームのスポットサイズを
減少させる。
図7a及び7bは、本発明の原理による電子銃82の更に別
の実施例の軸方向断面図である。図7a及び7bの実施例で
は、電子銃82のG4グリッドは、電子銃の軸A−A'に沿っ
て制限アパーチャ66を定める内方仕切り72を含む。収束
電圧VF源32は、G6グリッド及びG4グリッドに接続され
る。より高いアノード電圧VAは、VA電圧源34の接続によ
りG3、G5及びG7グリッドに印加される。個別のVG2電圧
源74がG2スクリーングリッドに接続されてこれを荷電す
る。図7aは、電子銃82内の電子ビーム線の位置及び形状
を示しており、制限アパーチャ66に隣接するG4グリッド
の内方仕切り76によって外側の電子ビーム線が遮られ
る。内方仕切り76は、G4グリッドの対向する外側のくぼ
み部分68、70を分離する。図7bは、G4グリッドの制限ア
パーチャ66の付近の等電位線を破線形態で示している。
G4グリッドの付近で電子に作用する静電界と、静電気
力とが示されている。前記実施例の場合と同様に、G4
グリッドに接近する電子は、軸A−A'から離れる発散力
を受け、ビーム内の空間電荷作用を減少させる。これ
は、電子ビーム内の多数の周囲電子線を、制限アパーチ
ャ66を画成する内方仕切り72によって遮ることができる
ようにする。電子ビームが制限アパーチャ66を通過した
後に、電子がディスプレイスクリーン42上の蛍光被膜46
に収束されるときには、収斂する静電気力が電子に作
用し、電子ビームスポットサイズを最小にする。
以上、高電圧メイン収束レンズ部分の比較的静電界の
ない領域に制限アパーチャが配置されて組み込まれた電
子銃の種々の実施例を説明した。一般的に円形の制限ア
パーチャが、電子銃の軸上で、メイン収束レンズの荷電
電極即ちグリッド内に配置された。この制限アパーチャ
は、荷電電極の対向面における一対の一般的に円形のく
ぼみ部分の中間に配置され、この荷電電極は電子銃の軸
に沿って増加した厚みtGを有し、円形のくぼみ部分の直
径をdGとすると、tG≧1.8dGである。制限アパーチャを
保持するグリッドは、電圧VGに維持され、この電圧は電
子銃の加速アノード電圧VAよりも相当に低く、VG≦0.12
VAである。円筒状の細長い荷電電極内に制限アパーチャ
を凹設した状態では、静電界が制限アパーチャにおいて
本質的にゼロであり、電子ビームの外側の周囲電子がこ
こで遮られ、電子ビームのスポットサイズを制限する。
制限アパーチャグリッドが低い電圧であり、制限アパー
チャが小さいサイズであることにより、二次電子がディ
スプレイスクリーンに到達する可能性が著しく減少され
ると共に、それに関連したディスプレイスクリーン上の
映像の「ぼけ」が実質上排除される。
本発明の特定の実施例を図示して説明したが、本発明
の広い観点から逸脱せずに種々の変更及び修正がなされ
得ることが当業者に明らかであろう。例えば、制限アパ
ーチャを保持する低電圧グリッドは、G4又はG6グリッド
として説明したが、これらの特定のグリッドに限定され
るものではなく、電子銃のメイン収束レンズ部分のいず
れのグリッドであってもよい。それ故、請求の範囲は、
本発明の真の精神及び範囲内に包含されるこれら全ての
変更や修正を網羅するものとする。上記の説明及び添付
図面は、単に本発明を解説するものに過ぎず、本発明を
それに限定するものではない。本発明の実際の範囲は、
公知技術に基づく適当な観点で見ると、以下の請求の範
囲に規定する通りである。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子源により放射されたエネルギー電子よ
    り成る電子ビームを軸に沿ってディスプレイスクリーン
    に向かって収束するレンズにおいて、 上記軸上で上記電子源に対して接近して配置された第1
    の低電圧収束手段であって、第1の低電圧収束静電界を
    上記エネルギー電子に加えてこれらのエネルギー電子を
    ビームへと成形するための第1の低電圧収束手段を具備
    し、 上記軸上で上記第1の低電圧収束手段とディスプレイス
    クリーンとの中間に配置されていて、高いアノード電圧
    VA及び大きな静電界を電子ビームに加えて、電子をディ
    スプレイスクリーンに向けて各々加速すると共に電子ビ
    ームをディスプレイスクリーンに収束するための第2の
    高電圧収束手段を備え、 上記第2の高電圧収束手段は、荷電グリッド手段を備
    え、上記荷電グリッド手段は、荷電グリッド手段内の上
    記軸上に、荷電グリッド手段外の上記軸上の静電界に比
    べて相対的に静電界のない領域を形成するように電圧VG
    (VG≦0.12VAである)に維持され、 上記相対的に静電界のない領域において上記軸上で上記
    荷電グリッド手段に配置される制限アパーチャであっ
    て、電子ビームの周囲部分における電子を遮って除去
    し、ディスプレイスクリーン上の電子ビームスポットサ
    イズを減少すると共に、ディスプレイスクリーンに入射
    する二次電子の数を減少するための制限アパーチャを画
    成する手段を具備し、 上記荷電グリッド手段は上記軸に沿って厚みtGを有し、
    そして上記制限アパーチャは直径dG'の円形であって、t
    G>dG'であり、上記荷電グリッド手段は、その両対向面
    から内方に延び且つ上記軸に沿って整列された第1及び
    第2のくぼんだ部分を備え、そして上記制限アパーチャ
    を画成すると共に上記第1及び第2のくぼんだ部分を分
    離する内方の仕切りを備え、 上記第1及び第2のくぼんだ部分の各々は、直径dGの円
    形であって、tG≧1.8dGであることを特徴とするレン
    ズ。
  2. 【請求項2】tG≧5.4−10.8mmでそしてdG=3−6mmであ
    る請求項1に記載のレンズ。
  3. 【請求項3】dG'=10−50%dGである請求項1に記載の
    レンズ。
  4. 【請求項4】VG≧300Vである請求項1に記載のレンズ。
  5. 【請求項5】陰極線管用の電子銃において、 エネルギー電子を発生するためのカソード手段を具備
    し、 上記カソード手段の付近に配置されて、上記エネルギー
    電子を受け取りそしてディスプレイスクリーンに向かう
    電子銃の長手軸上にビームクロスオーバーをもつ電子ビ
    ームを形成するための低電圧ビーム成形手段を具備し、 上記軸上で上記低電圧ビーム成形手段とディスプレイス
    クリーンとの中間に配置されていて、上記ビームクロス
    オーバーにおいて上記電子ビームを受け取り、そして高
    いアノード電圧VA及び大きな静電界を電子ビームに加え
    て、電子をディスプレイスクリーンに向けて各々加速す
    ると共に電子ビームをディスプレイスクリーンに収束す
    るための高電圧収束手段を具備し、 上記高電圧収束手段は、上記軸に沿って厚みtGを有する
    荷電グリッド手段を備え、上記荷電グリッド手段は、荷
    電グリッド手段内の上記軸上に、荷電グリッド手段外の
    上記軸上の静電界に比べて相対的に静電界のない領域を
    形成するように電圧VG(VG≦0.12VAである)に維持さ
    れ、 上記荷電グリッド手段の上記相対的に電界のない領域に
    おいて電子銃の長手軸上に配置されて、電子ビームの周
    囲に位置する電子を除去し、電子ビームの断面を減少す
    ると共に、ディスプレイスクリーン上の電子ビームスポ
    ットサイズを減少するための、直径dG'(tG>dG'であ
    る)の円形の制限アパーチャを画成する手段を具備し、 上記荷電グリッド手段は、該荷電グリッド手段の両対向
    面から上記軸に沿って内方に延びる第1及び第2のくぼ
    んだ部分を含み、そして上記荷電グリッド手段は、更
    に、これら第1及び第2のくぼんだ部分を分離する薄壁
    であって、上記制限アパーチャを画成する手段を含む薄
    壁を備え、 上記第1及び第2のくぼんだ部分の各々は、直径dGの円
    形であって、tG≧1.8dGである、 ことを特徴とする電子銃。
  6. 【請求項6】tG≧5.4−10.8mmでそしてdG=3−6mmであ
    る請求項5に記載の電子銃。
  7. 【請求項7】dG'=10−50%dGである請求項5に記載の
    電子銃。
  8. 【請求項8】上記荷電されたグリッド手段は、G4グリッ
    ドである請求項5に記載の電子銃。
  9. 【請求項9】上記荷電されたグリッド手段は、G6グリッ
    ドである請求項5に記載の電子銃。
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