JP3368581B2 - 麺の裁断方法、およびそれ用の製麺用裁断装置 - Google Patents

麺の裁断方法、およびそれ用の製麺用裁断装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】この発明は、麺打ちした後、麺掛け棒に
吊り下げ状とされて所定性状にまで乾燥させた長尺な麺
の裁断に関するものであって、特に、裁断工程に要する
空間占有率と裁断後の麺の移動手段とに特徴のある新規
な麺の裁断方法、および、その麺の裁断方法の実施に利
する新規な構造からなる製麺用裁断装置を提供しようと
するものである。
【0002】
【従来の技術】小麦は、米のように粒状のまま炊飯する
と、粘弾性が強すぎて消化吸収の困難な食品となってし
まうという欠点をもつ一方、小麦粉に加工して水を加
え、練り合わせることによってグルテンが発生し、消化
吸収率を高めると共に、食味も向上するという特性をも
つため、古くからパン、菓子、麺等に加工することに適
した食品として広く食され、特に、麺は、洋の東西を問
わず、各国の食文化に応じた多彩な料理として普及し、
現在では、家庭での保管や調理を容易にする乾麺として
大量に工場生産され、多種多様のものが市場に提供され
ている。
【0003】乾麺製造工場では、一般に、原料の計量、
混合、および練り合わせの工程を自動的に行う装置を導
入することにより、殆ど人手を必要とせずに効率的に麺
生地を製造してしまい、該麺生地を混練機械や複合ロー
ル等の麺打ち装置によって麺帯に形成した後、熟成室を
通過させ、連続圧延、切り出しして所定幅の麺を造り出
し、更に麺掛け棒に掛けてゆっくり所定性状にまで乾燥
させ、その後、裁断、計量および包装の工程を経て出荷
するものとなっており、麺の裁断工程に際しては、乾燥
された麺を作業台等の上に横置きし、裁断作業者が、麺
の長さを測りながら、専用の包丁もしくは裁断具を用い
て切断するか、または、自動裁断機を用いて、殆ど人手
を掛けずに麺を裁断するようにしている。
【0004】これら従前から裁断方法は、何れも乾麺を
横置し、裁断する作業工程を基本とするものであり、麺
を横置きするための広い作業スペースを必要とする上、
前者の手作業によるものでは、作業台に麺を横置したま
ま滑らせるように移動したり、麺を持ち上げる動作等を
繰り返し行わなければならないといった多大な労力を必
要とするばかりでなく、作業員が係わることから麺の汚
損や異物の混入等といった品質管理上の問題が懸念さ
れ、検査項目を増さなければならない等、作業効率を高
める点でも支障を来すことから、大量の麺を連続製造す
る大工場では、当然それらの不都合を解消するために早
い時期から自動裁断機による製造に切り替えてしまって
いるものの、地方に分散して特色ある麺造りに勤しむ小
規模工場の場合であっても、条件さえ整えば自動裁断機
を導入した製造を希望しているのが実情である。
【0005】しかしながら、この従前からの自動裁断機
による方法も、その作業形態は殆ど手作業のものと変わ
らず、麺を水平状に供給する手段、それを移動する手
段、所定タイミングで裁断する手段等が単に機械装置に
置き換えられ、自動化されたに過ぎないものであり、そ
の結果、裁断機は横型構造でどうしても大型のものとな
ってしまっていて、その設備費用も高価に付くものが多
く、小規模経営の製麺工場では、設備費用が高額になる
という理由だけではなく、機械装置を導入すべき実質的
なスペース確保が殆ど困難なことから、裁断機の導入を
断念せざるを得ないという事態に甘んじたままの状態が
続き、未だ経営改善の機会を失ってしまっている。
【0006】この発明は、上記のとおり、スペース確保
できず、大型の裁断機の導入が困難なため、未だ裁断工
程が作業者への労働負担を大きくすると共に、経営基盤
の安定化に支障を来しているといった事情に鑑み、それ
らの問題を解消すべく、逸速くその開発、研究に着手
し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返
してきた結果、今回、これまでに試みられたことのない
極めて独創的な発想から、遂に一切手作業に頼ることも
なく、狭いスペースであっても設置可能であり、裁断作
業の効率化を図ることができる新規な麺の裁断方法、お
よびその裁断方法に使用する新規な構造の製麺用裁断装
置を実現化することに成功したものであり、以下では、
図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成
を詳述することとする。
【0007】
【発明の構成】図面に示すこの発明を代表する幾つかの
実施例からも明確に理解されるように、この発明に包含
される麺の裁断方法は、基本的に次のような構成から成
り立っている。即ち、麺掛け棒に多数本の麺を垂直状ま
たはやや傾斜状に吊り下げたまま、最初に下端側の不揃
い麺部分を切断、分離した後、当該麺掛け棒を間歇的に
所定間隔を降下させ、その間歇的降下毎の停止段階に、
吊り下げ位置下方の所定箇所に配した裁断機構部によっ
て吊り下げ状の麺を所定長さに切断し、切り放した麺
が、その自重で自然落下し、そのまま受取部内に収容さ
れるようにした構成を要旨とする麺の裁断方法である。
【0008】この発明の麺の裁断方法に至る多数本の麺
を吊り下げ状とした麺掛け棒は、従前どおり、あるいは
今後開発されるであろう新規な麺打ち装置を経て適宜麺
打ちされ、麺の種類や好みに応じて決められた所定太さ
で、かなり長く形成した麺の略中央を折り返し状に吊り
下げており、そのまま所定高さ位置に用意されているレ
ールに両端を載置状として乾燥工程に移行し、多数本の
麺掛け棒が平行に懸下された麺が、さながら簾状に吊り
下げ状となって所定の含水率にまで乾燥された後、その
状態から引き続いて適宜供給手段、例えば乾燥工程のレ
ールの末端側を傾斜状として滑落移動するものとした
り、レール自体に無端ベルトが組み込まれ、該無端ベル
トの転動により、それに懸下状とされて強制的に麺掛け
棒を所定位置まで移動するようにして供給する外、後述
する実施例のように、適宜手段で所定箇所まで移動、懸
下状としてある麺掛け棒溜まりに、最前のものから1本
ずつ、または適宜本数ごと迎えに行くような手段によっ
て供給する等、適宜手段で麺を吊り下げ状とした麺掛け
棒が供給されるようにする。
【0009】裁断工程は、上記のようにして供給され、
麺掛け棒に中間部分が折り返し状となって吊り下げられ
ている所定乾燥状の麺を、吊り下げ下端側から所定長さ
ごと、切断機構部によって吊り下げ全長部分を数回に渡
って切断してしまうものであり、後述する実施例に取り
上げたこの発明の装置のように、切断機構部を、麺掛け
棒吊り下げ高さ位置から所定距離下方位置に固定したま
ま、麺掛け棒を間歇的に降下するようにし、その降下に
際して停止させた段階に切断してしまうようにする外、
逆に吊り下げ状のままで麺掛け棒側がその位置を固定さ
れ、切断機構部を間歇的に所定距離ずつ上昇移動できる
ようにし、その上昇に際して停止させた段階に切断して
しまうようにすることもでき、何れの手段によるものと
するかは適宜選択、採用可能としているが、機構上、例
えば刃部とその受け部との組合せ位置を連動させる構造
とか、重量のある刃部を正確に間歇移動するための構造
等といった種々の機構上の関係からして前者の方法によ
るものの方が比較的簡素化し易く、望ましい裁断方法と
いえる。
【0010】なお、この裁断工程には、麺掛け棒に吊り
下げ状にして供給される麺が、全てその下端を揃えた状
態になるとは限らないことを考慮し、所定長さごとの切
断に先んじ、下端側所定範囲部分を切断、分離してしま
う工程を併用した裁断方法とすべきであり、また、この
裁断方法を連続して繰り返すためには、定長切断を終え
た時点で麺掛け棒にU字状に連なって残る麺を、麺掛け
棒ごと受取部以外の適所に回収するようにした工程が一
連となる麺の裁断方法とすべきである。
【0011】さらに、裁断工程における麺の切断に際し
ては、麺掛け棒に吊り下げ状とした麺の振れや逃げを阻
止するようにした適宜揺れ止め手段、例えば、鉛直に吊
り下げられて間歇的に降下してくる麺が、降下を停止状
とする段階だけ、裁断機構部による切断に支障のない箇
所の麺に適宜な当て棒を接触させたり、刃受け板部に押
圧して挟み込み状にする等して固定し、裁断を終え、次
の裁断のために麺が降下を開始する直前までに接触状態
や固定状態を解放するようにした手段を併用したり、あ
るいは、麺掛け棒に吊り下げ状とした麺自体が、その背
後を最初の段階から傾斜板(下端側が刃部側に近付く状
態とした傾斜板)で受けるようにし、該傾斜板の傾斜面
に沿わせて麺を間歇的に降下させるような手段によるも
のとすれば、より確実な裁断作業が保証されたものとな
る。
【0012】上記のとおりの構成を基本とするこの発明
の麺の裁断方法では、不揃い部分の切断、分離の場合も
含め、切断した部分の麺の移動は、基本的にその自重に
よる自然落下によって実現されるようにしてあり、この
手段による限り、その方向は直下方向だけに限る訳では
なく、何れかの方向に傾斜して直線状あるいは曲線状に
滑落、誘導されるようにしたものとすることも勿論可能
であり、また、その結果、切断された麺は、そのままの
姿勢でか、あるいは姿勢制御用の適宜手段が組み合わさ
れるかして受取部内に収容する。
【0013】なお、所定長さに切断した麺を、自然落下
によって受取部内に収容した後の工程として、適宜整列
工程、例えば受取部内の定長切断麺を、ベルトコンベア
等の適宜搬送機上に送り、その過程で区画板や区画溝、
孔等を通過させたり、それらに振動を加える等した適宜
手段で各麺の姿勢を概略的に整えてしまうような工程を
一連のものとして組み合わせた麺の裁断方法にすると極
めて好都合のものとすることができる。
【0014】
【関連する発明】この発明には、上記のとおりの構成か
らなる麺の裁断方法を実現するための、以下のとおりの
構成を要旨とする製麺用裁断装置が関連して包含されて
いる。即ち、所定高さ位置に水平状に支持された麺掛け
棒に、その長手方向に沿って多数本の長い麺をU字状に
吊り下げ、当該麺掛け棒の一本または複数本の少なくと
も両端部を離脱自在に保持可能とし、下方向間歇移動可
能な上下動、および所定位置での前後進退移動を可能と
する移動機構を備えてなる水平保持腕部を有すると共
に、刃装着部、作動機構部、および刃装着部に対峙する
刃受け板部からなる裁断機構部を水平保持腕部の下方所
定位置に設けた上、同裁断機構部の下側に、裁断されて
自重で自然落下する麺を収容する受取部を配してなる製
麺用裁断装置である。
【0015】そして、上記のとおりの構成を基本とする
この発明の製麺用裁断装置には、より望ましい構成のも
のとして、所定高さ位置に水平状に支持する麺掛け棒
に、その長手方向に沿って多数本の長い麺をU字状に吊
り下げ、当該麺掛け棒の一本または複数本の少なくとも
両端部を離脱自在に保持可能とし、下方向間歇移動可能
な上下動、および所定位置での前後進退移動を可能とす
る移動機構を備えてなる水平保持腕部を有すると共に、
刃装着部、作動機構部、および刃装着部に対峙する刃受
け板部からなる裁断機構部を該水平保持腕部の下方所定
位置に設ける一方、同裁断機構部の下側には、裁断さ
れ、自重によって自然落下する麺を収容する受取部を設
け、当該受取部とは別体であり、吊り下げ状の麺の移動
に支障のない箇所に、U字状に連なった弾き麺を麺掛け
棒ごと収容可能とする弾き麺回収部を配してなる構成を
要旨とする製麺用裁断装置が包含される。
【0016】また、同様に、所定高さ位置に水平状に支
持された麺掛け棒に、その長手方向に沿って多数本の長
い麺をU字状に吊り下げ、当該麺掛け棒の一本または複
数本の少なくとも両端部を離脱自在に保持可能とし、下
方向間歇移動可能な上下動、および所定位置での前後進
退移動を可能とする移動機構を有してなる水平保持腕部
を設けると共に、該水平保持腕部の下方には、刃装着
部、作動機構部、および刃装着部に対峙する刃受け板部
からなる裁断機構部を設け、更に、同裁断機構部の下側
には、裁断されて自重によって自然落下する麺を収容す
る受取部と、該受取部の下方に位置し、裁断後の定長麺
を所定箇所にまで移動させる搬送部とを設けてなる構成
を要旨とする製麺用裁断装置も包含している。
【0017】水平保持腕部は、麺掛け棒を水平状に保持
すると共に、同麺掛け棒の水平姿勢を維持させたまま、
下方向間歇移動可能な上下動、および所定位置での前後
進退移動を可能とするような、麺が吊り下げ状とされた
ままの麺掛け棒を工程に従って移動させる機能を果たす
ものであって、一本または複数本の麺掛け棒の少なくと
も両端部を離脱可能に支持するよう構成しなければなら
ず、必要に応じて両端部および中途部の一箇所または複
数箇所の夫々を支持するように構成することも可能であ
り、より具体的には、1〜3本程度の麺掛け棒の両端を
水平状に支持するものとする外、麺掛け棒の両端部およ
び略中央の一箇所の夫々を保持するように構成したもの
とすることも可能であり、また、無端状の幅狭ベルトコ
ンベアを左右に配し、このベルトコンベア上に麺掛け棒
の左右端を保持したまま、左右のベルトコンベアを同期
するよう駆動させ、麺掛け棒の前後進退移動を実現する
よう構成したものとすることも可能である。更に、麺掛
け棒を保持する保持部分に対し、麺掛け棒の不用意な脱
落を防止する把持機構もしくは挟持機構を併設したもの
や、電磁石またはエア吸引等による吸着機構を設け、麺
掛け棒を着脱自在に吸着、保持するよう構成したものと
してもよい。
【0018】また、水平保持腕部の移動機構は、麺掛け
棒を水平状に保持した水平保持腕部を、その水平保持状
態を保持したまま所定高さ位置での前後移動、および所
定範囲に渡る上下移動を実現する機能を果たすものであ
って、下方向に間歇移動し、麺の降下が停止したときに
裁断機構部を駆動すれば、麺を所望する長さに裁断でき
るよう構成されていなければならず、例えば、駆動源か
らの出力を歯車、ベルトあるいは無端状ワイヤー等を介
して伝動することにより、水平保持腕部を所望の方向に
移動可能とするようにしたものとする外、水平保持腕部
の前後および上下の夫々の移動を安定させるよう案内す
るガイドレールを添設することも可能であり、更に、マ
イコンあるいはパソコン等を通じて移動を自動制御でき
るように構成することもできる。
【0019】裁断機構部は、平板状刃部とその刃装着
部、および刃受け板部から基本的に構成され、垂直また
はやや傾斜状に吊り下げられた麺を上方から間歇的に降
下させ、その停止段階毎に麺の切断を繰り返し、麺を所
望する長さ寸法に裁断する機能を果たすものであって、
例えば、吊り下げ状の麺を挟んで対峙する刃受け板部、
および、これに対して作動機構部を有して進退移動する
刃装着部を設け、刃物を麺に対して交差方向に往復動さ
せて裁断するよう構成したものとしたり、あるいは、吊
り下げ状の麺を挟んで平行且つ水平状に対峙された回転
軸を設け、同回転軸の双方に、互いに同期して回転する
刃先部間に麺を挟み込み裁断する一枚または複数枚の刃
装着部を固着してなるものとし、麺の降下移動の停止段
階毎に双方の刃装着部間に麺を挟み込み、切断するよう
構成したものとすることも可能である。
【0020】なお、この裁断機構部は、刃形状を各種変
更可能となるようにしたものとなし、麺の切断面形状を
直線状の外、波形状その他とすることができるようにし
たり、あるいは刻印部や印刷部等転写機構が組み合わさ
れたものとなし、切断と同時に麺の表面に所望する刻印
や形状、模様を転写、打ち抜き、または長手方向縁部の
一部を直線以外の形状に成形してしまうようにする等、
麺を定長に切断する機能以外の構成が付加されてなるも
のとすることも可能である。その他、この裁断機構部の
刃部としては、一般的な直線棒状となる乾麺用としての
平板状刃部の外、乾燥されていない柔らかな線状の生麺
や幅広の平麺、パイプ状その他の空洞形状の麺、詰め物
をした麺等、各種麺専用の刃部が適宜選択、採用できる
ことは勿論いうまでもないことである。
【0021】裁断機構部には、裁断される麺の動きを止
める振れ止め材部,例えば、麺の表裏何れかの側から麺
に接触、離反可能とする当て棒や、麺の表裏に一対の横
渡し棒、または弾性変形可能な横渡し材部等を、麺切断
に支障のない箇所に回動自在または進退自在に設たもの
とし、間歇的に降下してくる麺が停止し、刃部が作動す
る前後に渡り、麺に接触するか、麺を挟み込み状に保持
したり、刃受け板部に押圧状となすようにし、麺が降下
を開始する前に麺から離脱、解放されるようにした構成
が併設されるようにする外、吊り下げ状とされた麺の真
下部に、その面が麺側に向けてやや上向き傾斜するよう
にして後述の刃受け板部を配し、該刃受け板部表面に吊
り下げ状の麺が常に添設状になって揺れが阻止されるよ
うにしたもの等に構成すると極めて好都合のものとな
る。
【0022】刃受け板部は、裁断される麺を刃装着部の
反対側で支え、確実な切断を達成する機能と共に、麺を
切断した直後の刃物先端部を傷付けぬよう受け止める刃
先保護機能を果たすものであり、例えば、吊り下げ、降
下移動される麺に沿って配置、固定した平板状部、およ
び、この平板状部の上下中途部に麺切断用の刃物を受け
止める溝状、または刃物の押圧によって変形自在な軟質
合成樹脂またはゴム等の弾性部材からなる刃受け部を設
けたものとする外、刃受け部の上下夫々に吊り下げ降下
移動される麺に沿って配置し、麺の水平保持腕部による
降下速度と略同じ速度で駆動するベルトコンベアを設け
た、麺をやや傾斜した状態に保持するよう構成するもの
とすることも可能である。
【0023】受取部は、所望する長さ寸法に切断され、
自然落下してくる麺を受け止め、飛散状になってしまう
ことを阻止する機能を果たすものであって、例えば底の
ない枠状のものとしたり、あるいは箱状のものとするこ
ともでき、それらには、必要に応じ、麺の姿勢をある程
度揃えるための姿勢制御構造、例えば、区画板で複数の
升状に区画したり、複数の角型漏斗枠を連接、組み合わ
せた構造の併設されたもの等とする外、上側面を開口し
た筐体状の受取部全体を傾斜状配置となし、自然落下し
てくる定長裁断麺が傾斜面に従って滑落し、その下端が
受取箱内側面に当たり、麺の端部が自動的に揃えられる
ようにした構成を付加する等して、収容した定長切断麺
の交錯による折れの防止や、受取部からの麺の取り出
し、受取部の下方に配した搬送部への定長切断麺の送り
出しに都合の良い構造のものとすることができる。
【0024】また、定長に裁断された麺と、切除した麺
下端側の不揃い部分とを分離するための受け取り方向切
り替え機構、例えば、揺動可能な受け止め板部が、上記
した受取部の入り口辺りに併設されたものとし、吊り下
げられた麺の下端の不揃い部分を切断する場合には、一
方に傾けて定長裁断麺収容部分とは区画された受取部側
に収容されてしまうようにし、麺の定長切断が開始され
る段階には他方側に傾け操作が可能となるようにし、自
動的に不揃い麺端部と定長切断麺とが振り分け、分離さ
れてしまうような構成のものにすると極めて好都合のも
のとすることができる。
【0025】搬送部は、自然落下によって受取部に収容
した定長切断麺を、当該受取部から自動的あるいは強制
的に所望する方向に送出する機能を果たすものであり、
ベルトコンベアや間歇作動するローラコンベアに搬送箱
を組み合わせたもの、あるいはターンテーブル等といっ
た各種公知の搬送装置の外、受取部に所定量の定長切断
麺が収容される毎に該受取部を横転させたり、その底部
を開放する等して定量の麺を放出するようにし、それら
の麺を受け取るためのバケット付きアームを間歇的に伸
縮あるいは回転させ、受取り、移動、放出の工程を繰り
返すように設計した搬送ロボット等といった、この発明
の搬送部として特別に用意したもの等の採用も可能であ
る。
【0026】そして、この搬送部には、必要に応じて麺
を一定量毎に束ねたり、端部を揃える等して、計量、包
装、梱包等の後工程に備える態勢を整える姿勢整列機能
を付加してなるものとすることもできるものであり、例
えば、水平状に設置されたベルトコンベア上に、移送方
向に向けて開口が縮小する一対の案内板を搬送面に摺動
状に接するか、または、麺が通過しない程度の僅かな隙
間を形成して非接触の状態に固定配置し、移送する麺が
次第にコンベア中央に収束されるように構成した姿勢整
列機構としたり、コンベアベルトを網状に形成し、移送
中に混入してしまった麺の不揃い端部や、誤って落下し
た麺の破片部分等を下方に落下させてしまい、定長麺だ
けを送出するように構成したベルトコンベアとすること
もできる外、滑り台状に形成して麺の自重によって滑落
するものとした上、その末端側に上部が開口された箱体
を横転自在に配置し、該箱体内に一定量の定長麺が蓄積
する毎に横転駆動し、隣接配置された梱包箱または包装
装置に所定量の定長麺を間歇的に供給するよう構成した
ものとすることも可能である。
【0027】上記のとおりの構成からなるこの発明の製
麺用裁断装置には、麺を吊り下げ状とした麺掛け棒を次
々に連続して裁断するため、定長裁断を繰り返した後の
麺掛け棒に残るU字状に連なった弾き麺を、手作業で取
り除く手段に替え、麺掛け棒ごと受取部外に機械的に回
収できるようにする弾き麺回収部が併設されたものにす
ると極めて好都合のものになる。
【0028】この弾き麺回収部は、例えば裁断機構部を
挟んで水平保持腕部の反対側で、前記した裁断機構部よ
りもやや上方に配されるようにし、U字状の麺を残した
麺掛け棒両端を掛止した状態の水平保持腕部から、同じ
く麺掛け棒両端部(但し、水平保持腕部の掛止している
箇所に重複しない部分)を受け止めることができる構成
を備え、その下方にそれらを麺掛け棒ごと収容してしま
うようにした弾き麺受器が配されてなるものとする外、
左右何れかに傾斜させて樋状に形成し、受け取った麺掛
け棒および麺のU字状部分や破片等諸共、製麺用裁断装
置本体の適宜側方に立て掛け状に送出できる機構を備え
た弾き麺受器となし、麺掛け棒から弾き麺を外れ易く
し、使用済みの麺掛け棒を速やかに麺打ち工程の方に戻
すため、傾斜状の樋状部分を滑落、移動してしまうよう
な構成のもの、あるいはU字状の弾き麺部分やその破片
部分も、麺掛け棒とは別途に回収できる構成も付加され
てなるものとする等、麺の製造、裁断に都合の良い適宜
機構を併せて組み込んでなるものとすることもできる。
以下、図面に示すこの発明を代表する幾つかの実施例と
共に、その構造について詳述することとする。
【0029】
【実施例1】図1の製麺用裁断装置の斜視図、図2の製
麺用裁断装置の側面図、図3の裁断工程を説明する製麺
用裁断装置の側面図、図4の受取部の動きを説明する製
麺用裁断装置の側面図、および、図5の弾き麺の回収工
程を説明する製麺用裁断装置の側面図に示される事例
は、上下移動する移動機構として垂直状に設けられた送
りネジ機構を採用すると共に、麺掛け棒の両端部を保持
するよう構成した水平保持腕部を有してなる基本的構成
に形成された、この発明が包含する製麺用裁断装置にお
ける代表的な一実施例を示すものである。
【0030】当該製麺用裁断装置1は、矩形状骨格枠体
11の下側所定高さ位置から上端部にかけて、垂直状に
掛け渡し設置された中央の送りネジ21、および左右の
案内軸22,22を備えた移動機構23を有してなる水
平保持腕部2を設け、移動機構23の下側には、ベルト
コンベアからなる搬送部6が配置され、矩形状骨格枠体
11前側の水平保持腕部2下側に位置する部分には裁断
機構部3を設置し、さらに、裁断機構部3の背部側に
は、弾き麺回収部5を設け、前記裁断機構部3と搬送部
6との間に受取部4を設置することによって構成されて
いる。
【0031】移動機構23は、垂直状に軸支した送りネ
ジ21の下端部に矩形状骨格枠体11側に固定した駆動
用モーター24の、図示しない駆動軸に連結してなる減
速機構部25の出力側を接続し、当該駆動用モーター2
4の正逆転駆動によって上昇、降下駆動するよう構成
し、駆動用モーター24を間歇的に降下方向に回転駆動
することにより、水平保持腕部2を所望する寸法分毎に
一時停止しながら降下するよう構成されている。
【0032】水平保持腕部2は、水平に掛け渡しされた
骨格杆部の両端に平行状に位置する一対のエアシリンダ
ー28,28からなる左右腕部を結合し、当該エアシリ
ンダー28,28の夫々からは、先端部に麺掛け棒8を
保持する掛け鉤部27,27を設けた水平保持杆26,
26が突没自在に設けられ、左右腕部のエアシリンダー
28,28内に圧縮空気を供給することによって前方に
向けて水平状に突出し、圧縮空気を排出することによ
り、エアシリンダー28,28に内蔵した、図示してい
ないコイルバネの復元力を受けて没するように構成され
ており、送りネジ21を回転駆動して上下動、および間
歇的な降下移動を可能とする上、エアシリンダー28,
28の作動によって前後に進退駆動するよう構成してい
る。
【0033】水平保持腕部2の下側に位置する矩形状骨
格枠体11の前側部には、水平状の刃受け溝部32を形
成した刃受け板部31、および、同刃受け板部31に対
峙して平板状刃部34を水平状装着し、背部に図示しな
いエアシリンダーを内蔵してなる作動機構部35を備え
た刃装着部33を有する裁断機構部3を設け、刃受け溝
部32と平板状刃部34とによって麺を挟み込み、切断
するように構成されている。
【0034】裁断機構部3の直下には、刃装着部33の
左右幅を越える範囲に渡り、平板状に形成した上、表裏
双方の左右縁部に、麺散乱防止用の案内縁部42が立設
されてなる振り分け用受取板41の下端部を前後揺動自
在に軸着した受取部4が設けられており、揺動駆動源4
3によってエアシリンダーを作動することにより、振り
分け用受取板41を前後に切り替え揺動可能となし、定
長麺が落下するときには当該振り分け用受取板41を前
傾駆動するようにし、また寸法の揃わない麺の端部が落
下してくるときには、同振り分け用受取板41を後方に
傾斜するよう駆動制御できるように構成してある。
【0035】受取部4の振り分け用受取板41を前傾制
御した場合、定長切断麺が落下する位置に相当する矩形
状骨格枠体11の後側下部には、予め同矩形状骨格枠体
11の後方外側所定箇所にまで延伸、配置してあるベル
トコンベア(搬送部)6により、受取部4からの定長切
断麺を所定速度で連続的もしくは間歇的に後方に送出す
るよう構成する一方、当該振り分け用受取板41を後方
側に傾斜制御した場合、予め矩形状骨格枠体11の前側
下部には、上端側を僅かに後方に傾斜した案内板71、
および該案内板71から滑落してくる麺端部を受け止め
る回収用容器7が用意されており、裁断当初に切断した
不揃いの麺端部を回収し、その後、同回収用容器7を製
麺用裁断装置1から取り外し、麺の回収、処理をなし得
るようにしてある。
【0036】裁断機構部3の作動機構部35の上部およ
び背部であって、矩形状骨格枠体11の前方下部に位置
する部位には、麺掛け棒8の両端側を支持すると共に、
矩形状骨格枠体1の前方に滑落するよう案内する左右の
傾斜案内部51,51が設けられる上、傾斜案内部5
1,51に沿って滑落する麺掛け棒8が落下する位置に
は、凹形状をなし、複数本の麺掛け棒8,8,……の左
右端を受け止める麺掛け棒回収部52,52を設け、該
麺掛け棒回収部52,52の下側には、麺掛け棒8の麺
が、U字状に掛けられた範囲を含む左右範囲に渡って形
成され、その下端側が、前記回収用容器7の上部開口上
に位置するように傾斜した滑走板53を設けることによ
り、弾き麺回収部5を構成するようにしてある。
【0037】製麺用裁断装置1の水平保持腕部2を上方
に移動したときの、水平保持腕部2に対峙する位置に
は、裁断工程に備えて待機する複数本の麺掛け棒8,
8,……の両端を水平状に保持するようにした左右一対
の待機用支持腕部9が設置されており、この待機用支持
腕部9は、製麺用裁断装置1側に向けて僅かな下がり勾
配となるように配されていて、麺掛け棒8,8,……
が、その自重によって自動的に滑落、移動して製麺用裁
断装置1側に供給するよう構成してある。但し、この待
機用支持腕部9に替え、左右平行に設置された一対のベ
ルトコンベアまたは無端状のチェーン等とし、麺掛け棒
8,8,……を自動的に搬送するように構成したものと
することもできる。
【0038】
【実施例2】図6の他の製麺用裁断装置の斜視図、およ
び図7の他の製麺用裁断装置の側面図に示される事例
は、この発明の製麺用裁断装置に包含する一実施例を示
すものであり、麺掛け棒に吊り下げられた麺を僅かに傾
斜させた姿勢で裁断可能とするように構成した実施例で
ある。製麺用裁断装置1は、その本体を形成する骨格枠
体11の上側に、移動機構23を有する水平保持腕部2
を設け、同骨格枠体11の前側上部に、上端側が後方に
向けて僅かに傾斜された刃受け板部31を有する裁断機
構部3が設けられ、裁断機構部3の下側には、振り分け
用受け板部41を備えた受取部4を設けると共に、同受
取部4の下方後側には、ベルトコンベアからなる搬送部
6が設けられ、同じく前側には、上面を開口した筐体か
らなる回収用容器7を着脱自在に設置している上、裁断
機構部3の上部から背部にかけての範囲に弾き麺回収部
5が配置されている。
【0039】骨格枠体11は、背丈の低い矩形枠状部
分、および本体右側に立設した門型枠部を有するよう構
成し、矩形枠状部分上部と門型枠部上部との間に、水平
保持腕部2の移動機構23を構成する送りネジ21およ
び案内軸22が、共に垂直状に掛け渡して立設され、当
該送りネジ21の下端には、図示しない駆動用モーター
が減速機構部を介して接続され、正逆転駆動するよう構
成している。
【0040】水平保持腕部2は、送りネジ21の中途部
に螺着すると共に、案内軸22に摺動自在に装着され、
駆動用モーター24を正逆転駆動することによって上下
に昇降移動するよう構成した上、間歇降下移動も可能と
なっており、左右側には、麺掛け棒8の長さ寸法と略同
じ定間隔を隔てて、平行状に配置したエアシリンダー2
8,28を設け、夫々のエアシリンダー28,28から
突没する水平保持杆26,26の先端部には、夫々一本
または複数本の麺掛け棒8の両端部を保持可能とする掛
け鉤部27,27が形成されている。
【0041】骨格枠体11の矩形枠状部分の前方上部に
は、上下中途部に水平状の刃受け溝部32を形成すると
共に、上端側を僅かに後側に傾斜した刃受け板部31が
左右に渡って設置され、該刃受け溝部32に対峙する位
置には、作動機構部35によって進退駆動するようにし
た刃装着部33、およびこれに装着した平板状刃部34
を設置するようにして、間歇降下、供給されてくる麺
を、その停止段階の都度裁断機能する裁断機構部3を形
成している。
【0042】裁断機構部3の左右に渡る下側には、平板
形状に形成され、左右両端に案内縁部42を有する振り
分け用受取板41が、その下端部を骨格枠体11に対し
て前後揺動自在となるよう枢着されると共に、図示しな
いエアシリンダーからなる揺動駆動源を接続して前後揺
動するようにした受取部4を形成し、裁断機構部3によ
って裁断され、落下してくる定長麺と切断した不揃いな
麺下端部とを選別し、前後に振り分け可能な構造として
おり、さらに、受取部4の下方後側には、骨格枠体11
の後方まで延伸し、定長切断麺を所定の方向に送出する
ベルトコンベアからなる搬送部6を設置し、同下方前側
には、上面が開口する矩形箱状をなし、切断された不揃
いの麺下端部を回収するための麺回収用容器7を着脱自
在に設置してある。
【0043】また、裁断機構部3の作動機構部35上部
には、裁断工程を終えた麺掛け棒8の両端部を滑落さ
せ、回収し得るようにした傾斜案内部51,51が設け
られると共に、該傾斜案内部51,51に連続して凹形
状をなし、複数の麺掛け棒8,8,……の両端部を保持
可能とする麺掛け棒回収部52,52の設けられた弾き
麺回収部5を形成し、前記回収用容器7を弾き麺回収部
5の下部まで延長して設けたものとしている。
【0044】
【実施例3】図8の他の受取部および搬送部の斜視図に
示される事例は、この発明の製麺用裁断装置に包含する
受取部4ならびに搬送部6の構造を変更した一例を示す
ものであり、図示しない製麺用裁断装置の骨格枠体右側
に設ける供給用コンベア44と、裁断機構部3下部の左
右に渡って配置され、その一端側部を供給用コンベア4
4の前方端側に配置してなる左右送り用コンベア45と
を備えた受取部4、および、該左右送り用コンベア45
の送出側端に接続状に配置され、骨格枠体左側に添って
後方に送出するよう設置することにより、搬送部を形成
する送出用コンベア6を設け、合計3本のベルトコンベ
アによって図示していない製麺用裁断装置を取り囲むよ
うに構成している。
【0045】供給用コンベア44、左右送り用コンベア
45および送出用コンベア6の上部に、上面を開口した
矩形箱状をなし、裁断機構部3を僅かに越える横幅寸法
に設定して裁断され、落下する定長麺の全てを立て掛け
状に受け止めることができるよう形成した複数の有底筒
状容器46,46,……を乗せ、自動的に移送するよう
構成し、左右送り用コンベア45および送出用コンベア
6夫々の左右縁部必要箇所には、有底筒状容器46,4
6,……の転落を防ぐ案内板47,47,61を立設し
た上、供給用コンベア44の端部に対峙する左右送り用
コンベア45の端部側、および、同左右送り用コンベア
45の裁断機構部3下側に位置する中途部の夫々には、
固定されたエアシリンダーから係止用突子を突出させ、
左右送り用コンベア45の移送に抗して、正確な位置で
一つの有底筒状容器46を一時的に係止可能とする係止
機構部48,48を設けている。
【0046】
【実施例4】図9の他の構成からなる受取部および送出
部の斜視図は、裁断された麺を滑落状に送出する傾斜樋
状に形成してなる受取部4、および、麺の姿勢整列機構
を有する送出部6の一例を示すものである。裁断機構部
3の下方に位置し、左右の一方側に向けて傾斜されてな
る樋状滑落路49を、図示しない製麺用裁断装置の骨格
枠体に固着すると共に、同樋状滑落路49の麺の送出端
下方に、上面および樋状滑落路49側に面する側面を開
口し、滑落して来る麺を受け止める麺受け筐体62を設
けた上、同麺受け筐体62を横転駆動する歯車、および
駆動モーターからなる横転駆動機構63を有し、樋状滑
落路38に面した開口部には、エアシリンダーを有して
突没自在に突出するよう形成され、麺の端部を揃える姿
勢整列機構部64を設けている。
【0047】
【作 用】以上のとおりの構成からなるこの発明の製麺
用裁断装置1は、図1に示されるような構造の場合に
は、麺掛け棒8にU字状に掛けられた複数の麺を裁断す
る際に、次のような工程を実行するものとなる。製麺用
裁断装置1は、送りネジ21を駆動用モーター24によ
って回転駆動することにより、水平保持腕部2を上昇さ
せると共に、エアシリンダー28,28を作動して水平
保持杆26,26を前進させ、待機用支持腕部9,9に
掛け渡し状態で待機する麺掛け棒8の両端を、図2の製
麺用裁断装置の側面図に示すように、掛け鉤部27,2
7によって保持し、僅かに上昇して待機用支持腕部9,
9から持ち上げた後、水平保持杆26,26を後退し、
保持した麺掛け棒8を裁断機構部3の刃受け溝部32と
平板状刃部34との間に配置させる。
【0048】受取部4は、振り分け用受取板41を、図
3の裁断装置の側面図のように、揺動駆動源43によっ
て上端側を後方に向けて傾斜させた上、水平保持腕部2
を僅かに降下し、不揃いな麺下端部を裁断機構部3内に
供給し、裁断機構部3を駆動することによって麺下端部
を切断し、落下する麺下端部は、振り分け用受取板41
に添って滑落し、回収用容器7に回収される。
【0049】全ての麺下端部が落下し終えた後、振り分
け板部31の上端側を前方に向けて傾斜させ、水平保持
腕部2を、所望する定長麺の長さ寸法分だけ降下移動
し、麺下端部を切断し終えて後退している平板状刃部3
4と刃受け溝部32との間に麺を降下させた上、図4の
製麺用裁断装置の側面図に示すように、裁断機構部3を
駆動して定長麺を切り出し、該切り出した定長麺は、振
り分け用受取板41によって案内されて受取部4を通過
した後、送出用コンベア6上に落下し、製麺用裁断装置
1の後方に所定速度で送出される。
【0050】水平保持腕部2は、定長麺の切り出した後
に後退した平板状刃部34と刃受け溝部32との間に、
定長麺の長さ寸法分だけ麺を降下させ、再度裁断機構部
3を駆動して裁断し、落下した定長切断麺は、前述と同
様の経過を経て送出用コンベア6上に落下、送出され、
このような裁断を連続的に繰り返し、麺掛け棒8に掛け
られた麺を定長に切り出すことができなくなるまで切り
詰めたところで裁断工程を終える。
【0051】裁断工程を終えた麺掛け棒8は、水平保持
腕部2が前進し、弾き麺回収部5の傾斜案内部51,5
1上まで移動した後、降下することによって傾斜案内部
51,51上に移され、自重によって麺掛け棒回収部5
2,52に落下し、次々に供給する麺掛け棒8と共に回
収、保持され、滑落や落下の衝撃を受けて麺掛け棒8か
ら脱落する麺のU字状部分は、当該弾き麺回収部5の下
方に位置する滑走板53によって案内し、回収用容器7
内に回収することとなる。
【0052】麺掛け棒8を受け渡しした水平保持腕部2
は、待機用支持腕部9,9側へ上昇し、新たな麺掛け棒
8を保持して裁断機構部3上まで移動し、麺下端部を切
断した後、定長麺の切り出しを行い、間歇的に裁断工程
を繰り返すものである。また、図6に示されるよう構成
した製麺用裁断装置1は、待機用支持腕部9,9から麺
掛け棒8を受け取った水平保持腕部2が、裁断機構部3
上に位置した後、降下して麺を傾斜して設置された刃受
け板部31に対し、図7の製麺用裁断装置の側面図に示
すように添わせ、上方を後側に傾けた姿勢に支持して刃
受け溝部32と平板状刃部34との間に挟み込み、切断
される。
【0053】麺は、前述と同様に、始めに下端の不揃い
部分を切除し、該切除した下端部を受取部4によって選
択的に回収用容器7に回収し、続いて定長麺の寸法分降
下した後、裁断機構部3によって定長麺に裁断すると共
に、受取部4を介して送出用コンベア6上に落下させ、
製麺用裁断装置1の後方に送出して一回の裁断工程を終
え、再度、水平保持腕部2によって定長麺の長さ分移動
させた後、裁断して同様の定長麺を切り出し、これを複
数回繰り返して定長麺を切り出すことのできない程度に
まで切り詰められた麺を、水平保持腕部2によって麺掛
け棒8ごと、弾き回収部5側に移動し、傾斜案内部51
を通じて麺掛け棒回収部52に回収されることとなる。
【0054】図8中に示す受取部4および搬送部6を有
する製麺用裁断装置1は、供給用コンベア44および左
右送り用コンベア45上を、各案内板47,47によっ
て案内されながら順次移動する複数の有底筒状容器4
6,46,……を、左右送り用コンベア45の入口、お
よび、裁断機構部3の直下位置の夫々の係止機構部4
8,48によって係止し、裁断機構部3に切り落とされ
た定長麺を、係止している有底筒状容器46内に落下、
収容した後、係止機構部48,48の係止を解除し、次
の有底筒状容器46,46を所定の各位置に送り出すよ
うに構成され、裁断する定長麺の間歇的な落下、供給に
合わせて駆動し、定長麺を収容した有底筒状容器46
は、送出用コンベア6に移送される。
【0055】また、図9に示す受取部4および送出部6
は、裁断機構部3で裁断した定長麺が、樋状滑落路49
に落下、滑落することによって麺受け筐体62に供給さ
れ、ある程度の量の定長麺を当該麺受け筐体62内に収
容したとき、姿勢整列機構部64が麺の端部を押して端
部を揃え、麺の姿勢整列を行った後、横転駆動機構部6
3が麺受け筐体62を横転し、隣接して配置されている
出荷用の箱または一時的な保管用容器に定長麺を落下、
収容する。
【0056】
【効 果】以上のとおり、この発明の麺の裁断方法によ
れば、裁断のために麺を横置きにする作業が不要とな
り、麺掛け棒に掛けられて乾燥した麺をそのまま裁断装
置に供給することができるので、麺の運搬や上げ下ろし
作業を不要として作業効率を大きく向上させることがで
きる上、作業者が麺を作業台上に横倒ししたり、移動さ
せるために持ち上げ、押し引きする等、麺を傷める虞れ
のある作業を全く不要とするものであって、裁断された
定長麺の汚損や異物の混入等を確実に防止することがで
きることから、品質管理のための作業工数や、検査項目
の削減を可能にするという秀れた特徴が得られるもので
ある。
【0057】また、この発明の製麺用裁断装置は、麺掛
け棒に吊したままの麺を上方から下方に供給しながら、
順次間歇的に裁断するよう構成した縦型となっているこ
とから、従前までの横倒しした麺を水平方向に供給する
横型の裁断装置に比較し、装置を大幅に小型化できるこ
と、さらに裁断機構部を所定位置に固定し、麺掛け棒に
吊したままの麺側を間歇的に所定距離ずつ降下させる機
構の方を採用したものとして全体の構成をできるだけ簡
潔なものとすることができるので、これまでであれば設
置を断念せざるを得なかったような狭いスペースにも十
分に設置可能となって効率的なスペース活用ができ、し
かも従前までのこの種装置に比較して遥かに少ない設備
投資で済ますこともできるため、中小規模の製麺工場に
とって極めて都合の良い装置として提供可能となり、経
営基盤の改善に大いに役立つものになるという利点も得
られることになる。
【0058】特に、図1に示す実施例に説明した製麺用
裁断装置1は、麺掛け棒8の左右を保持する水平保持腕
部2を下方に移動することにより、吊り下げられた麺を
鉛直状に垂下したまま裁断機構部3に供給するよう構成
されているので、極めて高い省スペース化の実現を可能
とする上、装置前方を麺の供給側とし、装置後方を裁断
した定長麺の送出側とすることにより、乾燥工程と定長
麺の計量および包装工程等の次工程との間に生産ライン
を構成するよう設置することが容易なものとなっている
ことから、導入の際しても、工場に既に設置されている
麺打ち機械等といった周辺の設備に大きく手を加える必
要もなくなり、装置自体の低価格化に加え、設置費用の
節減にも繋がり、極めて実用価値の高いものとすること
ができる。
【0059】また、裁断機構部3から落下してくる麺の
通過部分に、定長切断麺の供給先と不揃いの麺端部との
行き先を変更する受取部4を併設してなる製麺用裁断装
置1では、自動的に後工程への麺の不揃い端部の混入を
防ぐことが可能となって手作業による除去作業を不要と
し、作業の効率化と作業工数の削減とを実現できる利点
がある上、鉛直姿勢のまま落下してくる定長切断麺の姿
勢を斜め方向に変更した誘導として衝撃を極力緩和する
効果も得られ、定長切断麺の破損を防ぎ、不良率を低減
させて歩留まりを良くするというする特徴を有し、さら
に、裁断を終えた麺のU字状部分を残した麺掛け棒8を
弾き麺回収部5に回収するよう構成することにより、水
平保持腕部2への連続的な麺掛け棒8の供給を可能と
し、裁断待機時間を短縮すると共に、使用済み麺掛け棒
8の回収作業も簡略化され、しかも、U字状に残された
麺だけを別途回収してしまい、それらの定長切断麺への
混入も防ぐことができる結果、定長切断後の後処理工程
を大幅に改善することができるという利点も得られるこ
とになる。
【0060】裁断機構部3の刃受け板部31を、図6に
示すよう傾斜状に設置した製麺用裁断装置1では、水平
保持腕部2が鉛直状に降下しても、麺掛け棒8に吊り下
げられた麺が傾斜状態に支持され、自然に揺動が阻止さ
れて停止状になると共に、自重できれいに整列状となる
ことから、裁断精度を高めることができる上、間歇的な
降下の際にも、滑り台を滑走するような状態となって円
滑に滑動し、麺同士が互いに干渉し合うこともなくな
り、麺の破損を防止することができるという効果が併せ
て得られるという特徴を有するものとなる。
【0061】さらに、受取部4を図8に示すようにベル
トコンベア44,45上を移動する複数の有底筒状容器
46としたり、図9中に示すように麺受け筐体62を設
けた製麺用裁断装置1では、姿勢整列機構を備えた装置
となって自然落下、収容される定長麺が、その自重によ
って端部を自動的に揃えられ、整列されたものとするこ
とができることから、より以上に製品管理が容易になる
という効果が得られるだけではなく、後に続く包装工程
についもその作業効率が大幅に高められるものとなり、
最終包装製品までのコスト改善に大いに威力を発揮する
装置とすることができる。
【0062】叙述の如く、この発明の麺の裁断方法、お
よびそれを使用した製麺用裁断装置は、その新規な構成
によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、
従前からの麺を横置きする裁断装置に比較し、大幅な省
スペース化と作業効率の改善とを実現し得るものとなる
ことから、裁断装置の設置スペースの問題や、その導入
費用に悩む小規模製麺業者にとってはもとよりのこと、
今後に導入を予定している大規模製麺業者からも高い評
価がなされるものとなって、製面業界全体に渡って広く
採用、普及していくものと予想される。
【図面の簡単な説明】図面は、この発明の麺の裁断方
法、およびそれ用の製麺用裁断装置の技術的思想を具現
化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】製麺用裁断装置の構造を示す斜視図である。
【図2】水平保持腕部が麺掛け棒を持ち上げる状態を示
す側面図である。
【図3】不揃いな麺の下端部を切断する状態を示す側面
図である。
【図4】定長麺を裁断する状態を示す側面図である。
【図5】弾き麺回収部に麺掛け棒を移動する状態を示す
側面図である。
【図6】刃受け板部を傾斜してなる製麺用裁断装置を示
す斜視図である。
【図7】傾斜状に保持された麺を裁断する状態を示す側
面図である。
【図8】有底筒状容器を利用して構成した受取部を示す
斜視図である。
【図9】受取部を樋状滑落路とした構造を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 製麺用裁断装置 11 同 矩形状骨格枠体 2 水平保持腕部 21 同 送りネジ 22 同 案内軸 23 同 移動機構 24 同 駆動用モーター 25 同 減速機構部 26 同 水平保持杆 27 同 掛け鉤部 28 同 エアシリンダー 3 裁断機構部 31 同 刃受け板部 32 同 刃受け溝部 33 同 刃装着部 34 同 平板状刃部 35 同 作動機構部 4 受 取 部 41 同 振り分け用受取板 42 同 案内縁部 43 同 揺動駆動源 44 同 供給用コンベア 45 同 左右送り用コンベア 46 同 有底筒状容器 47 同 案内板 48 同 係止機構部 49 同 樋状滑落路 5 弾き麺回収部 51 同 傾斜案内部 52 同 麺掛け棒回収部 53 同 滑走板 6 搬送部(送出用コンベア) 62 同 麺受け筐体 63 同 横転駆動機構 64 同 姿勢整列機構部 7 回収用容器 71 同 案内板 8 麺掛け棒 9 待機用支持腕部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 田 好 輔 山形市鈴川町一丁目1番7号 (56)参考文献 特開 昭54−160765(JP,A) 特開 平3−254622(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A21C 11/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 麺掛け棒に多数本の麺を垂直状またはや
    や傾斜状に吊り下げたまま、最初に下端側の不揃い麺部
    分を切断、分離してから、麺掛け棒ごと所定間隔で間歇
    的に降下させ、その間歇的な降下に際した停止段階に、
    吊り下げ位置下方の所定箇所に配した裁断機構部によっ
    て吊り下げ状の麺を所定長さに切断し、切り放された麺
    が、その自重による自然落下によってそのまま受取部内
    に収容されるようにしたことを特徴とする麺の切断方
    法。
  2. 【請求項2】 所定長さに切断された麺が、自然落下に
    よって受取部内に収容された後、適宜整列工程が組み合
    わされて各麺の姿勢を整えてしまうようにした、請求項
    1記載の麺の切断方法。
  3. 【請求項3】 所定高さ位置に水平状に支持され、その
    長手方向に沿って多数本の長い麺をU字状に吊り下げて
    なる一本または複数本の麺掛け棒の少なくとも両端部を
    離脱自在に保持可能とし、移動機構によって下方向間歇
    移動可能な上下動、および所定位置での前後進退移動を
    可能とするようにした水平保持腕部を有すると共に、該
    水平保持腕部の下方所定位置には、刃装着部と作動機構
    部、および刃装着部に対峙する刃受け板部からなる裁断
    機構部を設けた上、同裁断機構部の下側に、裁断されて
    自重で自然落下する麺を収容する受取部を配したものと
    なし、麺掛け棒両端を保持したままの水平保持腕部の下
    方向間歇移動に伴う停止時に連動して裁断機構部が作動
    し、垂直またはやや傾斜させて吊り下げ状のままとした
    麺を所望する長さ寸法に切断し、自然落下する麺を受取
    部に収容するようにしたことを特徴とする、請求項1ま
    たは2何れか記載の麺の切断方法に使用する製麺用裁断
    装置。
  4. 【請求項4】 所定高さ位置に水平状に支持され、その
    長手方向に沿って多数本の長い麺をU字状に吊り下げて
    なる一本または複数本の麺掛け棒の少なくとも両端部を
    離脱自在に保持可能とし、移動機構によって下方向間歇
    移動可能な上下動、および所定位置での前後進退移動を
    可能とするようにした水平保持腕部を有すると共に、該
    水平保持腕部の下方所定位置には、刃装着部と作動機構
    部、および刃装着部に対峙する刃受け板部からなる裁断
    機構部を設けたものとする一方、同裁断機構部の下側に
    は、裁断されて自重で自然落下する麺を収容する受取部
    と、該受取部とは別体で、且つ吊り下げ状とした麺の移
    動に支障のない箇所に、U字状に連なった弾き麺を麺掛
    け棒ごと収容可能とする弾き麺回収部とを配したものと
    なし、麺掛け棒両端を保持したままの水平保持腕部の下
    方向間歇移動に伴う停止時に連動して裁断機構部が作動
    し、垂直またはやや傾斜させて吊り下げ状としたままの
    麺を所望する長さ寸法に切断し、自然落下する麺を受取
    部に収容すると共に、弾き麺回収部に対応する位置にお
    いての水平保持腕部の前後進退移動で、弾き麺を麺掛け
    棒ごと弾き麺回収部に収容してしまうようにしたことを
    特徴とする、請求項1または2何れか記載の麺の切断方
    法に使用する製麺用裁断装置。
  5. 【請求項5】 所定高さ位置に水平状に支持され、その
    長手方向に沿って多数本の長い麺をU字状に吊り下げて
    なる一本または複数本の麺掛け棒の少なくとも両端部を
    離脱自在に保持可能とし、移動機構によって下方向間歇
    移動可能な上下動、および所定位置での前後進退移動を
    可能とするようにした水平保持腕部を有すると共に、該
    水平保持腕部の下方所定位置には、刃装着部と作動機構
    部、および刃装着部に対峙する刃受け板部からなる裁断
    機構部を設けたものとする一方、同裁断機構部の下側に
    は、裁断されて自重で自然落下する麺を収容する受取部
    と、該受取部の下方にあって、切断された定長麺を所定
    箇所にまで移動させる搬送部とを配したものとなし、麺
    掛け棒両端を保持したままの水平保持腕部の下方向間歇
    移動に伴う停止時に連動して裁断機構部が作動し、垂直
    またはやや傾斜させて吊り下げ状としたままの麺を所望
    する長さ寸法に切断し、自然落下する麺を受取部に収容
    すると共に、収容後の定長麺を所定箇所にまで強制移動
    してしまうようにしたことを特徴とする、請求項1また
    は2何れか記載の麺の切断方法に使用する製麺用裁断装
    置。
  6. 【請求項6】 裁断機構部における刃受け板部が、同水
    平保持腕部によって吊り下げ状とされた麺の下方所定位
    置において、刃装着部側にやや上向き傾斜となるように
    配され、少なくとも刃装着部前方に位置することとなる
    吊り下げ状の麺が、該刃受け板部面に添接状となるよう
    にした、請求項3または4何れか記載の麺の切断方法に
    使用する製麺用裁断装置。
  7. 【請求項7】 受取部が、受取方向切換機構の組み込ま
    れたものに形成され、水平保持腕部によって吊り下げ状
    とされた麺の下端側の不揃い麺部分の切断、分離の際
    と、定長切断の際とに該受取方向切換機構を作動させ、
    切断されて自然落下する麺の中、不揃い麺部分を定長麺
    から分離できるようにした、請求項3ないし5何れか記
    載の麺の切断方法に使用する製麺用裁断装置。
  8. 【請求項8】 搬送部が、姿勢整列機構の組み込まれた
    ものに形成され、受取部に収容されて姿勢を乱した定長
    麺の姿勢を、所定箇所への強制移動中に極力整列させて
    しまうようにした請求項3ないし7何れか記載の麺の切
    断方法に使用する製麺用裁断装置。
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