JP3367796B2 - 摺動素材およびその製造方法 - Google Patents

摺動素材およびその製造方法

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JP3367796B2
JP3367796B2 JP22213395A JP22213395A JP3367796B2 JP 3367796 B2 JP3367796 B2 JP 3367796B2 JP 22213395 A JP22213395 A JP 22213395A JP 22213395 A JP22213395 A JP 22213395A JP 3367796 B2 JP3367796 B2 JP 3367796B2
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忠一 柳川
栄五郎 塚越
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柳川精工株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動素材およびそ
の製造方法に係り、特に、ゴム、熱可塑性エラストマ
ー、金属等の異種素材と接着することにより複合化され
てシール、弾性軸受、スラストワッシャ等の摺動面を形
成することができるふっ素樹脂により形成された摺動素
材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、シール、弾性軸受、スラストワ
ッシャ等においては、ゴム、熱可塑性エラストマー、金
属等から選択された異種素材としてのベース素材に、摩
擦係数の低いふっ素樹脂からなる摺動素材を接着し、こ
の摺動素材により摺動面を形成したものが知られてい
る。
【0003】ところで、ふっ素樹脂は、その分子構造
上、特異な非粘着性を有しており、そのままではゴム、
熱可塑性エラストマー、金属等の他の素材に対して化学
的に接着させることは不可能である。
【0004】そこで、ふっ素樹脂からなる摺動素材を他
の素材に対して接着させるためには、一般的に、ふっ素
樹脂からなる摺動素材の表面に、ナトリウム・ナフタリ
ン法と称される処理液を用いた化学的なエッチング処理
を施すことにより、ふっ素樹脂からなる摺動素材の表面
を、炭素原子に富んだ処理層からなる処理面に改質する
ことが行われている。
【0005】しかしながら、改質されたふっ素樹脂から
なる摺動素材の処理面(処理層に覆われた表面)は、も
はやふっ素樹脂の分子構造を成しておらず、ふっ素樹脂
本来の摩擦係数が低く粘着性がないという摺動面に好適
な特性を発揮することができないという問題点があり、
シール、弾性軸受、スラストワッシャ等の摺動面として
用いるには不適切であった。
【0006】そこで、このような問題点に対処するため
に、従来のベース素材にふっ素樹脂からなる摺動素材を
接着し、この摺動素材により摺動面を形成したシール、
軸受、スラストワッシャ等においては、次ぎに説明する
3種類の方法が用いられている。
【0007】第1の従来の方法は、ふっ素樹脂を圧縮成
型することによりパイプ状のビレットを形成し、このビ
レットをスライス加工することにより環状の摺動素材を
得、この摺動素材にナトリウム・ナフタリン法と称され
る処理液を用いた化学的なエッチング処理を施すことに
より摺動素材の全表面を処理し、この全面処理された摺
動素材をゴム、熱可塑性エラストマー、金属等と接着す
ることにより複合化し、その後、摺動素材の摺動面とな
る部位の処理層をサンドペーパ等を用いて除去するもの
である。
【0008】第2の従来の方法は、ふっ素樹脂を圧縮成
型することによりパイプ状のビレットを形成し、このビ
レットを帯のように加工してスカイビングシートと称さ
れる摺動素材を得、このスカイビングシートの片面にナ
トリウム・ナフタリン法と称される処理液を用いた化学
的なエッチング処理を施すことにより片面処理し、この
片面処理したスカイビングシートを打ち抜いて環状の摺
動素材を得、この片面処理された摺動素材の処理面をゴ
ム、熱可塑性エラストマー、金属等と接着することによ
り複合化するものである。
【0009】第3の従来の方法は、ふっ素樹脂を圧縮成
型することによりパイプ状のビレットを形成し、このビ
レットをスライス加工することにより環状の摺動素材を
得、この摺動素材の片面を粘着テープ等によりマスキン
グしてたうえでナトリウム・ナフタリン法と称される処
理液を用いた化学的なエッチング処理を施すことにより
摺動素材の片面のみを処理し、この片面処理された摺動
素材の処理面をゴム、熱可塑性エラストマー、金属等と
接着することにより複合化するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た第1の従来の方法により形成される摺動素材において
は、スライス加工により形成される摺動素材の表面の凹
凸の凹部の内部の表面まで処理されるので、摺動素材の
表面に形成されたすべての処理層を除去するのに多大な
時間を要するとともに、処理層を除去するのに用いるサ
ンドペーパが目詰まりを生じて作業効率が低下し、ま
た、人手による作業となるために、多大な労力を要し、
かつ、表面粗さが一定とならず、その結果、ものによっ
て摺動抵抗が異なってしまう場合があるという摺動特性
のバラツキが生じて摺動面の信頼性に劣るという問題点
があった。しかも、スライス加工により形成される摺動
素材は、スライス加工時の加工歪みによって表面が湾曲
となり、取り扱い性、例えば、金型を用いてゴムと加硫
接着させる際に、金型に対する摺動素材の装着性に劣る
という問題点もあった。
【0011】また、前述した第2の従来の方法により形
成される摺動素材においては、片面処理したスカイビン
グシートを打ち抜いた場合に、打ち抜いた板厚方向の面
は、処理が成されていないので、摺動素材をゴム、熱可
塑性エラストマー等と接着することにより複合化した場
合に、打ち抜いた面から剥離が生じやすく信頼性が低い
という問題点があった。さらに、スカイビングシートを
打ち抜くことにより形成された摺動素材には、スカイビ
ングシートの湾曲がそのまま残留するので、例えば、金
型を用いてゴムと加硫接着させる際に、金型に対する摺
動素材の装着性に劣るとともに、摺動素材の非処理面は
滑りやすいのでゴムの流動方向に移動しやすく、摺動素
材にしわが生じたり、摺動素材の位置がずれて摺動素材
を所定の部位に接着させることができずに摺動素材の非
処理面によって摺動面が形成されるべき部位にゴムが露
出してしまう場合が生じるという問題点があった。しか
も、片面処理したスカイビングシートは高価であり、経
済的負担が増加するという問題点もあった。
【0012】さらにまた、第3の従来の方法により形成
される摺動素材においては、摺動素材を片面処理するた
めに多大な労力と時間とを要する、すなわち、摺動素材
に粘着テープを貼り付ける貼着作業、摺動素材を処理し
た後に粘着テープを取り除く除去作業、処理液の溶剤で
軟化した粘着テープの粘着剤が摺動素材に付着しこれを
除去するための洗浄作業等に多大な労力と時間とを必要
とするという問題点があった。また、この場合には、第
2の従来の方法と同様に、例えば、金型を用いてゴムと
加硫接着させる際に、金型に対する摺動素材の装着性に
劣るとともに、摺動素材にしわが生じたり、摺動素材の
非処理面によって摺動面が形成されるべき部位にゴムが
露出してしまうという問題点があった。さらに、摺動素
材が湾曲しているので、表面摺動素材と粘着テープとを
確実に密着させないと、処理液が摺動素材と粘着テープ
との間に浸透して摺動面の一部に処理層が形成されて歩
留まりが低下したり、摺動素材からはみ出した粘着テー
プの粘着剤が処理液を劣化させてしまうという問題点も
あった。
【0013】本発明はこれらの点に鑑みてなされたもの
であり、生産効率に優れるとともに異種素材と接着して
複合化した場合においても信頼性の高い摺動面を形成す
ることのできるふっ素樹脂により形成された摺動素材お
よびその製造方法を提供することを第1の目的とし、異
種素材と接着する際の取り扱い性を向上することができ
るとともに異種素材と接着して複合化した場合にしわの
発生を防止することのできるふっ素樹脂により形成され
た摺動素材およびその製造方法を提供することを第2の
目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴は、
特許請求の範囲の請求項1に記載したように、異種素材
と接着することにより複合化されて摺動面を形成し得る
ふっ素樹脂により形成された環状の摺動素材であって、
表面に、処理液を用いた化学的なエッチング処理による
処理層を形成した処理面と、この処理面の内の少なくと
も摺動面となる部位の処理層を機械的に除去することに
より形成した非処理面とを有する構成とした点にある。
【0015】そして、このような構成とすることによ
り、非処理面を確実、かつ、容易に形成することができ
るので、生産効率を確実に向上させることができるとと
もに、異種素材と接着して複合化した場合に、摺動面の
信頼性を向上することができるというものである。
【0016】また、本発明の第2の特徴は、特許請求の
範囲の請求項1に記載したように、請求項1に加えて、
両面が前記処理面とされた厚肉部位と、一方の面が前記
非処理面とされた薄肉部位とが径方向に連続して形成さ
れている構成とした点にある。
【0017】そして、このような構成とすることによ
り、特許請求の範囲の請求項1の作用効果に加えて、厚
肉部位は、両面に処理面があることおよび剛性を向上さ
せることができるので、異種素材と接着して複合化する
場合に、金型に対するすべりを防止するとともにしわの
発生を防止することができるというものである。
【0018】また、本発明の第3の特徴は、特許請求の
範囲の請求項1に記載したように、環状に形成されたふ
っ素樹脂を素材とし、この素材の表面に処理液を用いた
化学的なエッチング処理を施すことをもって処理層を形
成し、その後、前記処理層の内の少なくとも摺動面とな
る部位を機械加工を施すことをもって除去することによ
り、前記素材の表面に、前記処理層により覆われた処理
面と、前記処理層を除去することにより形成された非処
理面とを形成した構成とした点にある。
【0019】そして、このような構成とすることによ
り、請求項1および請求項2に記載の摺動素材を、効率
よく製造することができるというものである。
【0020】また、本発明の第4の特徴は、特許請求の
範囲の請求項4に記載したように、環状に形成されたふ
っ素樹脂を素材とし、この素材に素材を加工した際の加
工歪みによる変形を除去する熱処理を施し、その後、熱
処理を施した素材の表面に処理液を用いた化学的なエッ
チング処理を施すことをもって処理層を形成し、その
後、前記処理層の内の少なくとも摺動面となる部位を機
械加工を施すことをもって除去することにより、前記素
材の表面に、処理層により覆われた処理面と、処理層を
除去することにより形成された非処理面とを形成した構
成とした点にある。
【0021】そして、このような構成とすることによ
り、請求項1および請求項2に記載の摺動素材を、効率
よく製造することができるとともに、素材に熱処理を施
すことにより素材を平滑にすることができるので、異種
素材と接着する際の取り扱い性を向上することができる
というものである。
【0022】
【本発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施
の形態により説明する。
【0023】図1は本発明に係る摺動素材の実施の形態
の一例を示す縦断面図である。
【0024】図1に示すように、本実施の形態における
摺動素材1は、ふっ素樹脂により、内径dが30mm程
度、外径D00が50mm程度、板厚Tが0.35mm程
度の環状に形成されている。このふっ素樹脂としては、
摩擦係数の低いポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)樹脂単独、または、耐摩耗性を向上させるように、
PTFE樹脂に、ガラスファイバ、カーボン、グラファ
イト、モリブデン、カーボンファイバ等が単独あるいは
数種類を組み合わせて充填剤としての適宜な量が配合さ
れたものを例示することができる。
【0025】そして、摺動素材1の図1において下方に
示す下面の内周面側には、外径D01が45mm程度、深
さtが0.05mm程度の環状凹部2が形成されてい
る。なお、環状凹部2を外周面側に形成したり、内周面
と外周面との間に形成したり、上面側に形成したりして
もよく、環状凹部2の形成位置および大きさ等は、仕様
および設計コンセプトにより決定すればよく、特に、本
実施の形態の形成位置に限定されるものではない。
【0026】さらに、摺動素材1の図1において上方に
示す表面、内周面、外周面および図1において下方に示
す下面の各表面は、処理液を用いた化学的なエッチング
処理による処理層3aに覆われた処理面3とされてお
り、環状凹部2の表面は、後述するように処理層3aを
機械的に除去することにより形成された摺動面4を形成
するための非処理面5となっている。
【0027】すなわち、摺動素材1の外周面側に位置す
る部位は、上下両面が処理面3とされた厚肉部位6とさ
れ、摺動素材1の内周面側に位置する部位は、上面が処
理面3で下面が環状凹部2による非処理面5とされて外
周面側に位置する部位より板厚が薄い薄肉部位7とされ
ている。つまり、上下両面が処理面3とされた厚肉部位
6と、下面が非処理面5とされた薄肉部位7とが径方向
に連続して形されている。
【0028】なお、薄肉部位7を摺動素材1の外周面側
に形成したり、薄肉部位7を摺動素材1の内周面側と外
周面側との中間部位に形成してもよく、薄肉部位7の形
成位置および大きさ等は、仕様および設計コンセプトに
より決定すればよく、特に、本実施の形態の形成位置に
限定されるものではない。
【0029】つぎに、本実施の形態の摺動素材1の製造
方法について図2および図3により説明する。
【0030】図2は本発明の摺動素材の製造方法の実施
の形態の一例を工程順に説明する工程図であり、図3は
工程順に得られる加工品を示す説明図である。
【0031】図2に示すように、本実施の形態の摺動素
材1の製造方法は、ビレット成型工程8と、ビレット加
工工程9と、熱処理工程10と、エッチング処理工程1
1と、非処理面形成工程12とを順に行うようになって
いる。
【0032】前記各工程について更に詳しく説明する。
【0033】前記ビレット成型工程8は、ふっ素樹脂原
料を、圧縮成型機および金型(共に図示せず)を用いて
圧縮成型した後、365℃程度の焼成温度で焼成するこ
とにより、内径29mm、外径51mm、高さ100m
m程度の図3の(a)に示す円筒形状のビレット13を
得るようにされている。
【0034】前記ビレット加工工程9は、旋盤等の適宜
な工作機械(図示せず)を用いて、ビレット13の内径
dを30mm、外径Dを50mmに切削加工した後に、
スライス加工(突っ切り加工)を施すことにより、板厚
Tが035mmの図3の(b)に示す素材としての環状
の中間加工品14を得るようにされている。なお、少な
くともスライス加工による加工面15は、接着強度を向
上することができるように表面粗さを粗くすることが肝
要である。言い換えると、加工面15は、機械加工によ
って形成することができるので、加工面15の表面粗さ
を容易に制御することができる。
【0035】前記熱処理工程10は、スライス加工され
た中間加工品14を、PTFE樹脂の融点(327℃)
以上、例えば365℃程度の温度に加熱することによ
り、スライス加工の加工歪みによって生じる中間加工品
14の湾曲等の変形を除去し、図3の(c)に示す平坦
な熱処理品16を得るようにされている。
【0036】前記エッチング処理工程11は、熱処理品
16にどぶ付け等の方法で、ナトリウム・ナフタリン法
と称される処理液を用いた化学的なエッチング処理を施
すことにより、図3の(d)に示すように、全表面が処
理層3aにより覆われた処理面3が形成された処理品1
7を得るようにされている。
【0037】前記非処理面形成工程12は、処理品17
を負圧によって吸着可能な治具を備えた旋盤等の適宜な
工作機械(図示せず)を用いて、処理層3aにより覆わ
れた処理品17の表面の所定の位置(本実施の形態にお
いてはスライス加工された加工面の一方)に外径がD01
が45mm、深さtが0.05mm程度の環状凹部2
(図1)を切削加工により極力滑らか(表面粗さを細か
く)に形成することにより摺動面4となる非処理面5が
形成されて、完成品(摺動素材1、図1)を得ることに
より製造が完了する。なお、摺動素材1を後述する金属
環35と接着したスラストワッシャ34B(図8
(c))等に用いる場合には、環状凹部2を形成せず
に、処理層3aにより覆われた処理品17の表面のスラ
イス加工された加工面の一方のすべてを切削加工して摺
動面4となる非処理面5を形成する構成としてもよい。
【0038】このようにして製造された摺動素材1は、
処理面3の内の少なくとも摺動面4となる部位の処理層
3aを工作機械によって機械的に除去することにより、
摺動面4となる非処理面5を容易に、かつ、確実に形成
することができるので、製造効率を確実に向上させるこ
とができるとともに、摺動面4の摺動抵抗のバラツキを
なくし、摺動面4の信頼性を確実に向上させることがで
きる。そして、処理品17に非処理面5を形成する際
に、処理品17は、熱処理工程10によって変形が除去
されて平坦とされているので、非処理面5を容易に、か
つ、確実に形成することができるまた、摺動面4となる
非処理面5を機械加工により形成することにより、両面
が処理面3とされた厚肉部位6と、少なくとも一方の面
が非処理面5とされた薄肉部位7とを容易に形成するこ
とができる。
【0039】つぎに、本実施の形態の摺動素材1を異種
素材と接着することにより複合化した製品の具体例につ
いて図4から図6により説明する。
【0040】図4から図6は本発明に係る摺動素材を全
自動洗濯機の洗濯槽のダンパーとして用いられるダンパ
ーシールに用いた第1具体例を示すものであり、図4は
ダンパーシールを示す縦断面図であり、図5はダンパー
シールの製造に用いる金型の要部を示す縦断面図であ
り、図6はダンパーシールの使用状態の要部を示す説明
図である。
【0041】図4に示すように、本具体例のダンパーシ
ール18は、異種素材としてのNBR等のゴム19に摺
動素材1および断面略L字形状に形成された金属補強環
20を一体成型することにより複合化し、ゴム19によ
り形成されたシールリップ21の外周面に摺動素材1が
接着されるとともに、シールリップ21の内周面に形成
されたスプリングポケット22には、シールリップ21
を外周面側に向けて付勢する環状のコイルスプリング2
3が取着される構成とされている。
【0042】そして、このようなダンパーシール18を
製造するには、図5に示すように、所定形状に形成され
たキャビティ24を有する下型25a、中型25bおよ
び上型25cの3枚割構造とされた金型25を用いて、
金属補強環20にゴム19を加硫接着させるとともに、
ゴム19により形成されるシールリップ21に摺動素材
1を加硫接着させることにより行われる。
【0043】詳しく説明すると、まず、摺動素材1の処
理面3のゴム19との接着部位に所望の接着剤を筆塗り
などにより塗布する。そして、金型25の下型25aに
適宜な接着剤を塗布した金属補強環20を装着し、つい
で金型25の中型25bに接着剤を塗布した摺動素材1
を、非処理面5を下方に向けて装着し、この摺動素材1
の処理層3aに覆われた上面に未加硫のゴム19をセッ
ト(図5右方)して、その後、所定の温度と圧力を所定
時間保持させる(図5左方)ことにより未加硫のゴム1
9を加硫成型して成型品26を得るようになっている。
そして、成型品26から図示しないバリを除去するとと
もに、メスカット等により余分なゴム19とともに摺動
素材1の厚肉部位6を除去するシールリップ21の仕上
げ加工を施し、その後、スプリングポケット22にコイ
ルスプリング23を装着することによりダンパーシール
18の製造が完了する。
【0044】そして、未加硫のゴム19を加硫成型する
際に、本実施の形態の摺動素材1は、前述したように、
熱処理工程10によって変形が除去されて平坦とされて
いるので、金型25に摺動素材1を装着する際の装着
性、すなわち、取り扱い性を向上させることができる。
【0045】さらに、外周面側に位置する両面が処理面
3とされた厚肉部位6の表面は、処理層3aがあるので
すべりにくく、また、剛性があるので、未加硫のゴム1
9を圧縮成型する際に、ゴム19がキャビティ24内に
充満するときのゴム19の流動方向へ摺動素材1が移動
するのを防止することができ、摺動素材1にしわが生じ
るのを確実に防止するとともに、摺動素材1の位置がず
れて摺動素材1を所定の部位に接着させることができず
に摺動素材1の非処理面5によって摺動面4が形成され
るべき部位にゴム19が露出してしまうという不都合を
確実に防止することができる。
【0046】また、ゴム19が接着される摺動素材1の
処理層3aにより覆われた処理面3は、前述したように
摺動素材1を形成する際に、表面粗さが粗く加工されて
いるので、接着表面積が大きいとともに凹部によるアン
カー効果が多く、ゴム19と摺動素材1との接着強度を
強くすることができる。
【0047】一方、摺動面4となる摺動素材1の非処理
面5は、前述したように摺動素材1を形成する際に、バ
ラツキが少なくしかも表面粗さが細かく加工されている
ので、摺動面4は、ふっ素樹脂自身が有する摺動特性を
確実に発揮させることができる。
【0048】なお、摺動素材1の処理面3は、表面粗さ
が粗く形成されているので、ゴム19の種類あるいは配
合によっては、接着剤を用いなくても十分な接着強度を
確保することができる。
【0049】そして、このように形成されたダンパーシ
ール18は、図6に示すように、洗濯機本体27に上端
が取着されたシャフト28の下端部に支持されるように
なっており、ダンパーシール18の摺動面4は、段付き
の略ラッパ状に形成されたケース体29の図6において
下方に示す大径部の内周面に当接されている。そして、
ケース体29の図6において上部に示す基端部29a
は、シャフト28の外周面に適宜な隙間Gをもって嵌合
されている。さらに、ケース体29の内部の図6におい
て上部に示す基端部29aからシャフト28の軸方向と
直交する方向に延出された水平部29bの下面と、ダン
パーシール18の図6において上方に示す上面との間に
は適宜な付勢力を有するスプリング30が介装されてい
る。また、ケース体29の外周面の図6において上下方
向略中央部に位置する段部によって、洗濯槽31に取着
された支持ステー32の先端が下方から支持されてお
り、これにより洗濯槽31が洗濯機本体27に適宜なダ
ンパー力をもって支持されるような構成とされている。
【0050】すなわち、洗濯時の水あるいは湯の増減に
よる洗濯槽31の上下動および洗濯槽31の振動等を吸
収するダンパー力は、スプリング30の付勢力、ダンパ
ーシール18の摺動面4の摺動抵抗、ケース体29とシ
ャフト28との隙間Gによって生じる空気抵抗の3構成
要因により制御可能になっている。
【0051】したがって、本実施の形態の摺動素材1に
よりダンパーシール18の摺動面4を形成することによ
り、摺動面4の摺動抵抗が安定するので、ダンパー力の
制御を容易とすることができる。言い換えると、ダンパ
ー力の設計が容易となる。
【0052】なお、本発明に係る摺動素材1は、ダンパ
ーシール18ばかりでなく、図示しないオイルシール、
Uパッキン等の各種のシールや、図7に示すゴム19と
接着された弾性軸受33や、図8(a)および図8
(b)に示すゴム19と接着されたスラストワッシャ3
4,34A、図8(c)に示す金属環35と接着された
スラストワッシャ34B等の各種の製品の摺動面4に適
用することができる。そして、図7に示す弾性軸受33
に用いる摺動素材1は、ゴム19と接着する前に、図示
しない金型を用いて断面逆L字形状に塑性変形したもの
が用いられる。さらに、図8(a)および図8(c)に
示すスラストワッシャ34,34Bに用いる摺動素材1
は、厚肉部位6を形成せずに、一方の面の全表面から処
理層3aが除去されて非処理面5とされたものを用いて
もよい。さらにまた、本発明に係る摺動素材1が接着さ
れる異種素材としては、前記ゴム19に限定されるもの
ではなく、各種の金属、熱可塑性エラストマー、樹脂等
の種々のものを用いることができる。
【0053】また、本発明は、前記実施の形態に限定さ
れるものではなく、必要に応じて変更することができ
る。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように本発明の摺動素材お
よびその製造方法によれば、生産効率に優れるとともに
異種素材と接着して複合化した場合においても信頼性の
高い摺動面を形成することができ、また、異種素材と接
着する際の取り扱い性を向上することができるとともに
異種素材と接着して複合化した場合に接着力を向上させ
かつしわの発生を防止することができるという極めて優
れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る摺動素材の実施の形態の一例を示
す縦断面図
【図2】本発明の摺動素材の製造方法の実施の形態の一
例を工程順に説明する工程図
【図3】本発明の摺動素材の製造方法により工程順に得
られる加工品を示す説明図
【図4】本発明に係る摺動素材を適用したダンパーシー
ルを示す縦断面図
【図5】図4のダンパーシールの製造に用いる金型の要
部を示す縦断面図
【図6】図4のダンパーシールの機能を説明する模式図
【図7】本発明に係る摺動素材を適用した弾性軸受を示
す縦断面図
【図8】(a)から(c)は本発明に係る摺動素材を適
用したスラストワッシャを示す縦断面図
【符号の説明】
1 摺動素材 2 環状凹部 3 処理面 3a 処理層 4 摺動面 5 非処理面 6 厚肉部位 7 薄肉部位 8 ビレット成型工程 9 ビレット加工工程 10 熱処理工程 11 エッチング処理工程 12 非処理面形成工程 13 ビレット 14 中間加工品 15 加工面 16 熱処理品 17 処理品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−147321(JP,A) 特開 平5−202205(JP,A) 特開 昭54−112975(JP,A) 特開 昭55−120633(JP,A) 特公 昭45−34276(JP,B1) 特公 昭37−12530(JP,B1) 特公 昭43−9397(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/00 - 5/24 C08J 7/00 - 7/18 F16C 17/00 - 17/26 F16C 33/00 - 33/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異種素材と接着することにより複合化さ
    れて摺動面を形成し得るふっ素樹脂により形成された環
    状の摺動素材であって、 表面に、処理液を用いた化学的なエッチング処理による
    処理層を形成した処理面と、この処理面の内の少なくと
    も摺動面となる部位の処理層を機械的に除去することに
    より形成した非処理面とを有していることを特徴とする
    摺動素材。
  2. 【請求項2】 両面が前記処理面とされた厚肉部位と、
    一方の面が前記非処理面とされた薄肉部位とが径方向に
    連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載の摺動素材。
  3. 【請求項3】 環状に形成されたふっ素樹脂を素材と
    し、この素材の表面に処理液を用いた化学的なエッチン
    グ処理を施すことをもって処理層を形成し、その後、前
    記処理層の内の少なくとも摺動面となる部位を機械加工
    を施すことをもって除去することにより、前記素材の表
    面に、前記処理層により覆われた処理面と、前記処理層
    を除去することにより形成された非処理面とを形成する
    ことを特徴とする摺動素材の製造方法。
  4. 【請求項4】 環状に形成されたふっ素樹脂を素材と
    し、この素材に素材を加工した際の加工歪みによる変形
    を除去する熱処理を施し、その後、熱処理を施した素材
    の表面に処理液を用いた化学的なエッチング処理を施す
    ことをもって処理層を形成し、その後、前記処理層の内
    の少なくとも摺動面となる部位を機械加工を施すことを
    もって除去することにより、前記素材の表面に、処理層
    により覆われた処理面と、処理層を除去することにより
    形成された非処理面とを形成することを特徴とする摺動
    素材の製造方法。
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