JP3366950B2 - 窯業系サイディングボード用下地処理剤 - Google Patents

窯業系サイディングボード用下地処理剤

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JP3366950B2
JP3366950B2 JP26489093A JP26489093A JP3366950B2 JP 3366950 B2 JP3366950 B2 JP 3366950B2 JP 26489093 A JP26489093 A JP 26489093A JP 26489093 A JP26489093 A JP 26489093A JP 3366950 B2 JP3366950 B2 JP 3366950B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窯業系サイディングボ
ード用下地処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】内外装用壁材として用いら
れる窯業系サイディングボードには、一般に、上塗り塗
料の付着性の向上や仕上り外観の向上等のために下地処
理剤が塗装されている。この様な目的に用いられる下地
処理剤において、主として要求される性能は、基材に対
する密着性が良いこと、基材への浸透性が良く基材表面
の補強効果があること、下地処理剤塗装面に対する上塗
り塗料の密着性が良いこと等が挙げられる。また、窯業
系サイディングボードでは、基材の材料となるセメント
質の物質が硬化した後、水酸化カルシウムや残存アルカ
リ分等が基材表面に移行して生じるエフロレッセンスに
より塗膜外観や塗膜性能が低下する現象が生じることが
あり、エフロレッセンスの発生防止も望まれている。
【0003】従来、下地処理剤としては、低分子量の湿
気硬化型ウレタンや溶剤型樹脂を配合した有機溶剤系の
ものが多く用いられているが、これらは、揮発性の有機
溶剤を含有しているために、火災の危険性、人体への悪
影響、環境汚染等が問題となっている。
【0004】近年、水溶性樹脂やエマルジョン、水分散
性樹脂等の使用による下地処理剤の水性化が検討されて
いる。しかしながら、水溶性樹脂は、耐水性、耐アルカ
リ性等が悪く、エフロレッセンスの発生防止が充分では
なく、また、一般に上塗り塗料との密着性も不足する。
エポキシ樹脂などの硬化剤との併用により、耐水性、エ
フロレッセンス発生防止性等の物性を向上させる方法も
あるが、2液性となり、可使時間、上塗りまでの時間の
制約など実用上の問題が多く、その皮膚刺激性も問題と
なっている。また、エマルジョン、水分散性樹脂等は、
基材への浸透性が悪く、基材に対する密着性、表面の補
強効果、エフロレッセンス防止効果等が十分ではなく、
上塗り塗料の艶引きやクラックを生じやすいという欠点
もある。
【0005】特公平5−21871号公報には、オート
クレーブ養生前の含水率が高い基材に粒子径の小さい水
系エマルジョンを塗装してエフロレッセンスの発生を防
止する方法が示されているが、この方法では含水率が高
い基材ではエフロレッセンス防止の効果が認められるも
のの、オートクレーブ養生を行なわないボードや養生後
の含水率の低いボードでは浸透性が不足してエフロレッ
センスの防止性は満足のいくものではない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記した如
き現状に鑑みて、鋭意研究を重ねた結果、飽和アルキル
基を側鎖として有する特定の飽和脂肪酸のビニルエステ
ルを必須成分として含むモノマー成分を乳化共重合して
得られる合成樹脂エマルジョンは、下地処理剤に対して
要求される各種の特性が良好であると共に、従来の下地
処理剤では満足のいくものではなかったエフロレッセン
スの発生防止効果に優れ、しかも適用対象が限定される
ことなく、含水率の高い養生前のボードや含水率調整を
した含水率の低いボード等各種の含水率の基材に適用で
きることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、一般式
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1 、R2 及びR3 は、それぞれ
炭素数1〜6の飽和アルキル基であって、そのうち少な
くとも一つはメチル基であり、R1 、R2 及びR3 の合
計炭素数は6〜8である。)で表わされるカルボン酸ビ
ニルエステル、α、β−不飽和カルボン酸及び必要に応
じてその他のビニル系モノマーをモノマー成分として用
い、乳化剤の存在下に乳化共重合して得られる合成樹脂
エマルジョンを含有することを特徴とする窯業系サイデ
ィングボード用下地処理剤に係る。
【0010】本発明で用いる合成樹脂エマルジョンは、
一般式
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1 、R2 及びR3 は、上記に同
じ)で表わされるカルボン酸ビニルエステル、α、β−
不飽和カルボン酸及び必要に応じてその他のビニル系モ
ノマーをモノマー成分として用い、乳化共重合により得
ることができる。
【0013】該カルボン酸ビニルエステルにおいて、R
1 、R2 及びR3 のそれぞれは、炭素数1〜6の飽和ア
ルキル基から選ばれたものであり、R1 、R2 及びR3
の合計炭素数は6〜8である。そして、R1 、R2 及び
3 の少なくとも一つはメチル基である。この様な飽和
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソ
プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル等を例示できる。本発明では、カルボン酸
ビニルエステルとしては、一種類のものを用いる他、異
なった置換基を有する二種類以上のカルボン酸ビニルエ
ステルを混合して用いることもできる。本発明で用いる
カルボン酸ビニルエステルは、置換基として疎水性の飽
和アルキル基を有するため撥水性を有し、また、飽和ア
ルキル基による立体障害のために加水分解を受けにく
く、これをモノマー成分として得られるエマルジョンか
ら形成される塗膜は、透水性が低く、アルカリ水による
溶出、膨潤が少ないために、基材中からのアルカリ分や
水分の表面移行を阻止して、エフロレッセンスの発生を
有効に防止できる。
【0014】本発明で用いる合成樹脂エマルジョンにお
いて、上記一般式で表わされるカルボン酸ビニルエステ
ルの使用割合は、重合モノマーの全量に対して、5〜9
5重量%程度とすればよく、この範囲内において優れた
エフロレッセンス防止性を有するエマルジョンが得られ
る。該カルボン酸ビニルエステルの使用割合は、特に、
15〜90重量%程度とすることが好ましく、20〜9
0重量%程度とすることがより好ましい。この範囲内に
おいて、特に、耐水性、耐温水性、造膜性、耐ブロッキ
ング性などの良好なエマルジョンが得られる。
【0015】α、β−不飽和カルボン酸としては、例え
ば、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、
アクリル酸、メタクリル酸等を一種または二種以上組み
合わせて用いればよい。これらのうちで、特に、アクリ
ル酸、メタクリル酸等が共重合性が良好である点で好ま
しい。α、β−不飽和カルボン酸を用いることによっ
て、エマルジョンにカルボキシル基が導入され、エマル
ジョンの安定性、基材への付着性、上塗塗料との密着性
などを向上させることができる。
【0016】α、β−不飽和カルボン酸の使用割合は、
重合モノマーの全量に対して、0.5〜5重量%程度と
すればよく、0.5重量%を下回ると機械的安定性等が
不足し、5重量%を上回ると耐アルカリ性が不十分とな
るので好ましくない。
【0017】合成樹脂エマルジョンのモノマー成分とし
て、必要に応じて用いるその他のビニル系モノマーとし
ては、具体的にはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸t−ブチル、
メタクリル酸iso−ブチル、メタクリル酸2−エチル
ヘキシルなどのメタクリル酸アルキルエステル;アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸オクチルなどのアクリル酸アルキルエス
テル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
等のスチレン類; (メタ)アクリロニトリル、(メ
タ)アクリルアミド、n−メチロール(メタ)アクリル
アミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸
N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸
N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メ
トキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル等を挙げる
ことができる。これらのモノマーは、通常単独または2
種以上混合して用いることが出来る。
【0018】合成樹脂エマルジョンを得るための乳化重
合は、乳化剤の存在下において水媒体中で行われる。乳
化剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩、ラウ
リルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルオ
クタデシルアンモニウムクロライド等のカチオン系乳化
剤;オレイン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタ
レンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸
ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテ
ル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル燐酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエ
ーテル燐酸エステル等のアニオン系乳化剤;ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレ
ンブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
等のノニオン系乳化剤;ラウリルベタイン、ラウリルジ
メチルアミンオキサイド等の両イオン性乳化剤等を挙げ
ることができる。
【0019】本発明で用いる合成樹脂エマルジョンとし
ては、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する界
面活性剤(以下、「反応性乳化剤」という)を乳化剤と
して用いて、モノマー成分を乳化共重合して得られたも
のが好ましい。この様な反応性乳化剤は、通常の乳化剤
の様にエマルジョン粒子に物理的に吸着したものではな
く、重合時に共重合されて重合鎖に組み込まれる。この
ため、反応性乳化剤を用いて得られるエマルジョンは、
乳化剤の存在による耐水性の低下等の弊害がなく、耐水
性、耐アルカリ性、エフロレッセンス防止性等に優れた
皮膜を形成できる。また、通常の乳化剤は、皮膜を形成
した場合に表面に集合偏在し易いのに対して、反応性乳
化剤は皮膜中に均一に存在するため、上塗塗膜の密着性
も良好である。
【0020】反応性乳化剤としては、具体的には、ビニ
ル基、アリル基、プロペニル基、アクリロイル基、メタ
クリロイル基等のラジカル重合性の炭素−炭素二重結合
を有する基を含む界面活性剤が適当であり、界面活性剤
の種類としては、ノニオン系、アニオン系等の各種のも
のがある。この様な反応性乳化剤としては、例えば、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを基本構造
として疎水基にラジカル重合性のプロペニル基を導入し
たノニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテルの硫酸エステル塩を基本構造として疎
水基にラジカル重合性のプロペニル基を導入したアニオ
ン系界面活性剤、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリ
ウム等を挙げることができる。反応性乳化剤の具体例と
しては、アクアロンHS−10、アクアロンHS−2
0、アクアロンHS−1025、アクアロンRN−2
0、アクアロンRN−30、アクアロンRN−50(い
ずれも商標、第一工業製薬(株)製)、エレミノールJ
S−2(商標、三洋化成工業(株)製)、ラテムルS−
180(商標、花王(株)製)等を挙げることができ
る。
【0021】合成樹脂エマルジョンを得るための乳化重
合は、水媒体中で、モノマー濃度を通常15〜70重量
%程度、好ましくは35〜65重量%程度として行う。
乳化剤の使用量は、重合モノマーの全量に対して、通常
0.05〜10重量%程度、好ましくは、0.1〜5重
量%程度とすれば良い。重合開始剤としては、一般に用
いられるラジカル重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸
塩、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のア
ゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイ
ルパーオキサイド、過酸化水素、t−ブチルハイドロパ
ーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等を用いること
ができる。重合開始剤の使用量は、重合モノマー全量に
対して、0.2〜10重量%程度、好ましくは0.3〜
5重量%程度とすれば良い。重合反応は、通常60〜1
00℃程度の温度で、通常2〜16時間程度行えば良
い。
【0022】本発明で用いる下地処理剤では、窯業系サ
イディングボードに対する浸透性、上塗り塗料との密着
性、エフロレッセンス防止性などの下地処理剤としての
特性は、適用する窯業系サイディングボードの性質、例
えば密度の高低、表面の粗密状態等によって調整する必
要があるが、これらは合成樹脂エマルジョンの樹脂組
成、粒子状態、固形分量等によって調整することが可能
である。
【0023】本発明の窯業系サイディングボード用下地
処理剤は、上記した合成樹脂エマルジョンをそのまま用
いることができるが、必要に応じて、造膜助剤、親水性
樹脂、分散剤、湿潤剤、顔料、充填剤等の添加剤を配合
してもよい。
【0024】これらの添加剤としては、通常の下地処理
剤に配合されているものと同様のものを使用でき、例え
ば、造膜助剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチ
ルフタレート、テキサノール、ソルビトール、エチレン
グリコール、プロピレングリコール等を用いることがで
き、親水性樹脂としては、ポリビニルアルコール、メチ
ルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等を
用いることができ、分散剤としては、ポリカルボン酸、
ポリスチレンマレイン酸、これらの塩(カリウム塩、ナ
トリウム塩、アンモニウム塩等)等を用いることがで
き、湿潤剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ソー
ダ、ラウリル硫酸エステルナトリウム、アルキルナフタ
レンスルホン酸ナトリウム等を用いることができ、顔料
としては、チタン、カーボン、ジスアゾ系顔料、酸化亜
鉛等を用いることができ、充填剤としては、クレー、シ
リカ、タルク、炭酸カルシウム等を用いることができ
る。
【0025】造膜助剤、親水性樹脂、分散剤、湿潤剤等
の添加剤の配合量は、合成樹脂エマルジョンの不揮発分
100重量部に対して、合計量として50重量部以下と
することが好ましく、顔料、充填剤等の添加剤について
は、合成樹脂エマルジョンの不揮発分100重量部に対
して、合計量として300重量部以下とすることが好ま
しい。添加剤の配合量が、この範囲を上回るとエマルジ
ョンの樹脂性能が損なわれて、下地処理剤としての所期
の効果が達成されないので好ましくない。
【0026】本発明の下地処理剤では、その造膜温度
は、エマルジョンにおけるモノマー成分の配合割合を適
宜調整することによって任意に設定できる。造膜温度が
常温を上回る場合には、上記した造膜助剤を適宜配合す
ることによって、造膜温度を常温に設定することが可能
であり、この場合には、造膜助剤の配合量は、合成樹脂
エマルジョンの不揮発分100重量部に対して、5〜3
0重量部程度とすることが適当である。また、エマルジ
ョンの造膜温度が常温以下の場合にも、少量の造膜助剤
を配合することによって造膜温度を適宜調整できるが、
この場合には、造膜助剤が過多とならないように、合成
樹脂エマルジョンの不揮発分100重量部に対して、5
重量部程度以下の配合量とすることが好ましい。
【0027】下地処理剤の固形分濃度は、特に限定的で
はないが、通常水を媒体として5〜70重量%程度の範
囲とし、粘度を50cps程度以下に調整して使用する
ことが好ましい。固形分量が多く粘度が高すぎると十分
な含浸効果が得られず、一方固形分量が少なすぎると均
一な塗膜を形成し難いので好ましくない。
【0028】本発明における処理対象となる窯業系サイ
ディングボードとしては、炭酸マグネシウム板、繊維混
入セメントパライト板、繊維混入スラグ石膏板、エトリ
ガイトセメント板、パルプ混入ケイ酸カルシウム板等を
例示できる。これらの窯業系サイディングボードは、通
常、セメント、石膏、スラグ等の水硬性無機質結合剤に
石綿、パルプ、ガラス繊維等の繊維類、その他の添加剤
及び水を加えたものを主原料として用い、i)主原料混
合、ii) 抄造機での抄きとり(あるいは一体押出し成
型)、iii)圧搾成型、iv) 養生(常圧湿潤養生又はオー
トクレーブ養生)、v)乾燥、及びvi) 仕上げ、の各工
程を経て得られ、更に必要に応じてアクリルエマルジョ
ン塗料等の上塗り剤を塗装して製品とされる。本発明の
下地処理剤は、ボードの成型後の任意の時期に塗布する
ことができ、養生前の含水率の高いボードや含水率調整
をした含水率の低いボードのいずれにも塗布できる。通
常は圧搾成型工程と養生工程の間、又は乾燥工程と仕上
げ工程の間で塗装すれば良い。下地処理剤の塗布後、下
地処理剤の造膜温度に応じた温度に保持することによっ
て、下地皮膜を形成できる。下地処理剤の造膜温度が常
温の場合には、加熱処理は特に必要ではないが、工場ラ
インで塗装する場合等には、処理速度を速めるために、
100〜200℃程度の熱風で3〜10分程度乾燥する
ことが好ましい。この場合には、加熱時間が短すぎると
十分な塗膜性能が得られず、一方長くなり過ぎると塗膜
形成時にわき現象が起き、塗膜外観上好ましくない。下
地処理剤の上に上塗り剤を塗布して製品とする場合に
は、通常、上塗り剤の乾燥を120℃程度で2〜5分程
度行なうので下地処理剤の加熱処理を省略しても処理速
度に大きな影響はなく、また、圧搾成型工程と養生工程
の間で下地処理剤を塗布する場合には、養生工程におい
て、70〜160℃程度の温度で24時間以上加熱され
るので、下地処理剤の加熱処理を別に行なう必要はな
い。また、本発明の下地処理剤は、公知の各種の下地処
理剤を施した窯業系サイディングボードに、第2層目の
下地処理剤として塗布してもよく、この様にして用いる
ことによっても、基材の補強、基材との密着性向上、エ
フロレッセンス防止、上塗り塗料の密着性向上等の効果
が達成される。
【0029】本発明の下地処理剤の塗布量は、特に限定
的ではないが、通常、固形分量として10〜100g/
2 程度とすれば良い。塗布量がこの範囲を下回ると十
分な下地の補強効果やシーラー効果を得難く、一方この
範囲を上回るとコスト的に好ましくない。
【0030】本発明方法によって処理された窯業系サイ
ディングボードは、上記したように製造工程において必
要に応じて上塗り剤を塗装して製品とされる。上塗り剤
を塗装していないものについては、通常、施工現場で汎
用の吹き付け塗料を用いて上塗り塗装が行なわれる。
【0031】
【発明の効果】本発明の窯業系サイディングボード用下
地処理剤により形成される皮膜は、アルカリに対する耐
加水分解性に優れ、アルカリ水中での膨潤溶出が著しく
少なく、アルカリ水の透水量が少ないものであり、エフ
ロレッセンスの発生防止性に優れている。更に、該皮膜
は、基材に対する密着性が良く、基材への浸透性が良好
で基材表面の補強効果があり、上塗り塗料の密着性にも
優れている。また、この下地処理剤は、水系のエマルジ
ョンを主成分とするために、安全性が高く、しかも含水
率の高い養生前の基材だけでなく、含水率の低い基材に
も良好な下地塗膜を形成できる。
【0032】また、反応性乳化剤を用いて得られるエマ
ルジョンを用いた下地処理剤は、耐水性、耐アルカリ
性、エフロレッセンス防止性、上塗の密着性などが特に
良好である。
【0033】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
する。
【0034】
【参考例1】攪拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却器
を備えた四つ口フラスコに、下記表1に示す量(重量
部)の乳化剤及び水100重量部を投入し、75℃まで
昇温した。これに、水溶性重合開始剤として過硫酸カリ
ウムを0.3重量部添加し、滴下漏斗中に、下記表1に
示す組成(重量部)のモノマー原料を投入し、撹拌下3
時間かけて滴下することにより重合反応を行なった。更
に、80℃に昇温して熟成完結反応を2時間行ない、室
温まで冷却撹拌を行なった。その後、25%アンモニア
水を滴下してpH7〜7.5とし、固型分50%、粘度
500〜1000cpsのエマルジョンを得た。
【0035】
【表1】
【0036】
【実施例1】参考例1で得た各エマルジョンに、造膜助
剤としてのジブチルフタレートを樹脂固形分100重量
部に対して5重量部添加し、これに水を加えて固形分量
15%として、粘度50cps以下の下地処理剤を調製
した。
【0037】窯業系サイディングボードとして、養生後
の含水率調整を行なった繊維混入スラグ石膏板(10×
15×1.5cm)を用い、これに上記下地処理剤をス
プレー塗装で200g/m2 (固形分量30g/m2
の塗布量となるように塗布した後、120℃で5分間熱
風乾燥したものを試験品とし、下記の性能試験を行なっ
た。結果を表2に示す。
【0038】〈試験法〉 ・付着性 皮膜表面に2cm間隔で25個のゴバン目をカッターナイ
フで基材に達するまで入れ、この上にセロファンテープ
を貼着して、一気に引き剥がし、基材表面に塗膜が残存
している升目の数を求めた。25/25の表示のものは
塗膜が完全に基材に残存していることを意味し、0/2
5は塗膜が完全に剥離していることを意味する。
【0039】・耐水性 皮膜を形成した各試験片を常温水に30日間浸漬し、1
週間常温乾燥した後、上記付着性試験と同様の方法で付
着性を調べた。
【0040】・耐アルカリ性 皮膜を形成した各試験片を5%NaOH水溶液に10日
間浸漬し、1週間常温乾燥した後、上記付着性試験と同
様の方法で付着性を調べた。
【0041】・エフロレッセンス防止性 30℃、湿度90%の恒温恒湿機中で、水を入れたパレ
ットに各試験片を垂直に入れて、試験片の端から3cm
の部分が水につかるようにして、10日間放置した後、
チモールブルーの0.5%エタノール溶液を塗布した。
エフロレッセンスが発生した部分はアルカリ性となって
青色に変色し、発生していない部分は黄色となるので、
黄色の部分の面積を求めることによって、エフロレッセ
ンス防止性を評価した。
【0042】・上塗り密着性 各試験片に上塗り塗料として水系アクリル塗料(商標:
プリーズコート、四国化研(株))をスプレー塗装法で
75g/m2 塗布した後、1日放置し、次いで同じ水系
アクリル塗料をスプレー塗装法で75g/m2 塗布し、
常温で10日間乾燥した後、上記付着性試験と同様の方
法で試験を行ない、上塗り塗膜と下地塗膜の間で剥離し
た升目の数を求め、下記の基準で評価した。
【0043】○:20/25〜25/25 △:15/25〜19/25 ×:14/25以下
【0044】
【表2】
【0045】以上の結果から明らかなように、本発明の
下地処理剤によれば、基材に対する付着性、耐水性、耐
アルカリ性等に優れ、エフロレッセンス発生防止性が良
好で、しかも上塗り塗膜との密着性に優れた下地層が形
成される。
【0046】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 5/00 C09D 5/00 D (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 1/00 - 10/00 C09D 101/00 - 201/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中、R1、R2及びR3は、それぞれ炭素数1〜6の
    飽和アルキル基であって、そのうち少なくとも一つはメ
    チル基であり、R1、R2及びR3の合計炭素数は6〜8
    である。)で表わされるカルボン酸ビニルエステル5〜
    95重量%、α、β−不飽和カルボン酸0.5〜5重量
    %、及び残部がその他のビニル系モノマーであるモノマ
    ー成分(フッ素含有モノマーを除く)を、ラジカル重合
    性の炭素−炭素二重結合を有する界面活性剤からなる
    化剤の存在下に乳化共重合して得られる合成樹脂エマル
    ジョンを含有することを特徴とする窯業系サイディング
    ボード用下地処理剤。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の窯業系サイディングボー
    ド用下地処理剤を固形分量として10〜100g/m 2
    の割合で塗布してなる窯業系サイディングボード。
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