JP3366258B2 - 硫酸含有排水の蒸発濃縮方法および蒸発濃縮装置 - Google Patents

硫酸含有排水の蒸発濃縮方法および蒸発濃縮装置

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JP3366258B2 JP19201898A JP19201898A JP3366258B2 JP 3366258 B2 JP3366258 B2 JP 3366258B2 JP 19201898 A JP19201898 A JP 19201898A JP 19201898 A JP19201898 A JP 19201898A JP 3366258 B2 JP3366258 B2 JP 3366258B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スケール抑制のた
めに種晶を添加して排煙脱硫排水等の硫酸含有排水を蒸
発濃縮する硫酸含有排水の処理方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、排煙脱硫プロセスから排出された
硫黄分を含む硫酸含有排水の処理方法としては、硫酸含
有排水に凝集剤を添加して濾過する凝集沈殿濾過法が一
般的である。しかしながら、凝集沈殿濾過法は、凝集沈
殿装置を設置するための広い面積が必要であり、さらに
多量の廃スラッジが発生するため運転管理が煩雑となる
欠点を有している。特に石炭火力発電所における排煙脱
硫排水を処理するためには、2段の凝集沈殿によるフッ
素除去や、COD吸着設備を必要とするなど複雑な工程
や設備を必要とし、その運転経費、添加薬品費さらには
保守費用の面で不経済であった。
【0003】一方、凝集沈殿濾過法に代わる処理法とし
て、火力発電所から排出される排煙脱硫排水を蒸発濃縮
する蒸発濃縮法が提案されている。蒸発濃縮法は、凝集
沈殿濾過法と比して、システムが簡素で設置面積も少な
いという利点を有している。しかしながら、火力発電所
から排出される排水、特に排煙脱硫排水中には、カルシ
ウムイオン、マグネシウムイオン、硫酸イオン等の多量
のスケール成分が含まれているため、蒸発濃縮法で排水
を処理しようとすると、蒸発濃縮工程においてスケール
が生成し、蒸発濃縮器の伝熱管にスケールが付着して伝
熱効率が低下したり、配管が閉塞する等の障害により連
続的に処理することは困難である。
【0004】火力発電所等から排出される排煙脱硫排水
等を蒸発濃縮する際に、蒸発濃縮装置内のスケーリング
を抑制する目的で、種晶を濃縮液に添加することは有効
である。種晶を添加することにより、濃縮液中の種晶に
スケール成分が析出するため、スケール成分が配管、タ
ンク類、濃縮装置に析出することが抑制される。
【0005】また、種晶の濃度を保持する場合は例え
ば、サイクロンセパレーター等の粒体分離器により蒸発
濃縮装置内の循環液中の種晶を系内で回収することは一
般に行われている。この場合、種晶濃度の調整方法とし
て、外部からの種晶の添加、装置外への抜き出し、装置
内回収を組み合わせているが、回収した種晶に関しては
蒸発濃縮装置内へそのまま返送しているのが現状であ
る。
【0006】図3に従来方法として、サイクロンセパレ
ータを用いた2段蒸発濃縮装置による硫酸含有排水の蒸
発濃縮方法のフロー図を示す。
【0007】排煙脱硫排水は排水供給ラインaaよりp
H調整タンク1に流入させ、酸あるいはアルカリを貯蔵
しているpH調整薬品タンク11からpH調整薬品注入
ポンプ13を介してpH調整薬品を注入し、蒸発濃縮液
のpHが弱酸性から中性になるようにpHを調整する。
同時に石膏スラリータンク12に貯蔵してある種晶とし
ての石膏のスラリーを石膏スラリー注入ポンプ14によ
って注入する。
【0008】pH調整した排水を排水供給ポンプ15を
介して1段目蒸発濃縮器2に供給する。1段目蒸発濃縮
器2および2段目蒸発濃縮器3はコンデンサ4を介して
真空ポンプ20により約−600mmHgの減圧状態と
し、加熱用蒸気ラインbbより供給される蒸気を加熱源
とし、約60℃で排水を蒸発させる。1段目蒸発濃縮
2および2段目蒸発濃縮器3で蒸発した蒸気はコンデン
サ4で凝縮し、凝縮水ポンプ21により凝縮水タンク5
へ排出する。2段目蒸発濃縮器3から2段目濃縮液排出
ポンプ19を介して排出された濃縮液はサイクロンセパ
レータ28に送られる。サイクロンセパレータ28で分
離された小粒径部分は上澄水タンク29に貯蔵され上澄
水ポンプ32によって2段目蒸発濃縮器3へ戻す。サイ
クロンセパレータ28で分離された大粒径部分は濃縮液
貯蔵タンク6へ貯蔵し調整濃縮液ポンプ31へ戻し、調
整濃縮液が設定値以上となったら調整濃縮液排出ポンプ
24を介して濃縮液タンク10へ排出する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図3に示したような蒸
発濃縮装置内に設置されたサイクロンセパレータなどに
よる粒体分離器は、濃縮装置内に種晶を維持させるもの
であり、濃縮装置前段の例えばpH調整用タンク類への
スケーリングは抑制できない。濃縮装置内と比較すると
濃縮前に析出するスケール成分は少ないが、スケール成
分濃度が高く過飽和に近い排水では濃縮前のスケーリン
グも重大な問題となる。従来の粒体分離器では種晶のみ
ではなく、NaCl,Na2SO4等の溶存塩類を含む混
合液として回収される。従って、種晶供給を目的として
蒸発濃縮装置へ返送した場合に、種晶とともに溶存塩類
も返送されるため、1段目蒸発濃縮器内の循環濃縮液の
溶存塩濃度が上昇して沸点上昇を招き、濃縮効率の低下
を起こす。
【0010】本発明が解決しようとする課題は、種晶を
添加して硫酸含有排水の蒸発濃縮を行う方法において、
濃縮効率を低下させることなく、蒸発濃縮器内部のみな
らず、前段の排水供給ラインのスケーリングを有効に抑
制する硫酸含有排水の処理方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の請求項1に記載された本発明は、硫酸含有排水の種晶
を利用してスケーリングを抑制する硫酸含有排水の蒸発
濃縮方法において、蒸発濃縮器の循環濃縮液または排出
濃縮液の一部を分離して種晶を固液分離し、固液分離し
た種晶を水で洗浄して種晶中に含まれる溶存塩類を取り
除いた後、該種晶を蒸発濃縮器の前段へ返送することを
特徴とする硫酸含有排水の蒸発濃縮方法に関するもので
ある。
【0012】上記課題を解決するための請求項2に記載
された本発明は、硫酸含有排水の種晶を利用してスケー
リングを抑制する硫酸含有排水の処理方法において、蒸
発濃縮器の循環濃縮液または排出濃縮液中の一部を分離
し、種晶を小粒径部分と大粒径部分に分級し、小粒径部
分を固液分離した後、分離した種晶を水で洗浄して種晶
中に含まれる溶存塩類を取り除いた後、該種晶を蒸発濃
縮器の前段へ返送することを特徴とする硫酸含有排水の
蒸発濃縮方法に関するものである。
【0013】上記課題を解決するための請求5に記載
された本発明は硫酸含有排水中の水分を蒸発させて前記
排水を濃縮する蒸発濃縮装置において、前記排水に種晶
を添加する種晶添加手段と、前記排水のpHを調整する
pH調整手段と、前処理された排水を蒸発濃縮する蒸発
濃縮手段と、濃縮された排水を蒸発濃縮手段へ循環する
濃縮液循環手段と、循環濃縮液または排出濃縮液の一部
を固液分離する固液分離手段と、固液分離した種晶を水
で洗浄する洗浄手段と、洗浄された種晶を蒸発濃縮手段
の前段へ返送する種晶返送手段を有することを特徴とす
る硫酸含有排水の蒸発濃縮装置に関するものである。
【0014】上記課題を解決するための請求項6に記載
された本発明は、硫酸含有排水中の水分を蒸発させて前
記排水を濃縮する蒸発濃縮装置において、前記排水に種
晶を添加する種晶添加手段と、前記排水のpHを調整す
るpH調整手段と、前処理された排水を蒸発濃縮する蒸
発濃縮手段と、濃縮された排水を蒸発濃縮手段へ戻す濃
縮液循環手段と、循環濃縮液または排出濃縮液の一部を
取出し含まれるSS成分を小粒径部分と大粒径部分に分
級する分級手段と、分級された小粒径部分を固液分離す
る固液分離手段と、固液分離した種晶を水で洗浄する洗
浄手段と、洗浄された種晶を蒸発濃縮手段の前段へ返送
する種晶返送手段を有することを特徴とする硫酸含有排
水の蒸発濃縮装置に関するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明方法は、硫酸含有排水に含
まれる種晶を利用してスケーリングを抑制する硫酸含有
排水の蒸発濃縮処理方法において、蒸発濃縮器の循環濃
縮液または排出濃縮液の一部を固液分離し、循環濃縮液
にSS成分として含まれている種晶を分離し、分離され
た種晶に少量含まれる溶存塩類を凝縮水で洗浄して溶存
塩類を取り除き、溶存塩類が除かれた種晶を、蒸発濃縮
器の前段に返送することを特徴とするものである。溶存
塩類が取り除かれているので、蒸発濃縮器内の循環濃縮
液の沸点上昇を招くことがなく、濃縮効率が低下するこ
とがない。また、回収した種晶を濃縮器前段に返送する
ため、蒸発濃縮器内部だけでなく、排水供給ラインのス
ケーリングを抑制することができる。さらに回収した種
晶を再利用できるため、種晶の消費量を低減することが
できる。
【0016】本発明における処理対象となる硫酸含有排
水とは硫酸成分を含む排水であり、例えば石炭火力発電
所等で使用される湿式石灰石−石膏法スート混合式排煙
脱硫装置から排出される硫酸イオンを含む排煙脱硫排水
を挙げることができる。
【0017】本発明における種晶とは、例えば排煙脱硫
排水に含まれる硫酸カルシウムが付着し得うる母核とな
るものであれば特に限定されないが、スケール抑制効果
や、例えば石炭火力発電所内での入手のしやすさ等の理
由により、石膏が好ましい。処理しようとする硫酸含有
排水中に含まれる種晶濃度が少ない場合は、外部から種
晶を添加し、また硫酸含有排水中に含まれる種晶が十分
ある場合は、外部から種晶を加えずに回収再利用すれば
よい。
【0018】本発明における蒸発濃縮手段としての蒸発
濃縮器は、どのような型式のものでもよく、水平伝熱管
方式でも縦型薄膜方式でもよい。蒸発濃縮するための加
熱方式も、外部加熱方式でも自己蒸気圧縮型でもよい。
また、蒸発濃縮器は1段のものでも、2段以上のもので
もよい。
【0019】本発明における固液分離手段は、蒸発濃縮
器の循環濃縮液中または排出濃縮液中のSS成分として
の石膏と析出した溶存塩類を分離できる手段であれば特
に限定されないが、例えば、遠心脱水機、フィルタープ
レス脱水機、膜型分離器、沈降機等を挙げることができ
る。
【0020】なお、蒸発濃縮器として2段の蒸発濃縮器
を使用する場合、固液分離するのは2段目の蒸発濃縮器
の循環濃縮液または排出濃縮液であり、3段以上の蒸発
濃縮器を使用する場合には、最終段蒸発濃縮器の循環濃
縮液または排出濃縮液である。
【0021】請求項2に記載の本発明において、蒸発濃
縮器の循環濃縮液のSS成分を分級して小粒径部分を取
り出し、固液分離するのは、小粒径の種晶を回収するこ
とにより、単位重量当たりの表面積(比表面積)が大き
な種晶を再利用できるため、同重量でも種晶効果が大き
く、効果的にスケーリングを抑制できるためである。分
級手段は液体中の固体粒子を分級できる手段であれば特
に限定されないが、例えばサイクロンセパレータを挙げ
ることができる。本発明における小粒径部分とは、平均
粒径が5〜50μm程度のものをいう。
【0022】サイクロンセパレータを用いて小粒径種晶
を分級する場合は、小粒径種晶を透過させることなく、
確実に捕捉することができ、凝縮水を用いて逆洗するこ
とで容易に小粒径種晶のスラリーを得ることができる等
の理由により、濃縮液から種晶と溶存塩類を分離する手
段としてMF膜を用いた膜型分離器が好適である。本発
明における固液分離手段としてのMF膜としては、例え
ばメムテック社製精密濾過膜「型式M10C」(公称孔
径0.2μm、膜面積15m3)を用いることができ
る。MF膜への通液方式は、デッドエンドフロー方式で
もクロスフロー方式でもよい。
【0023】固液分離により分離した種晶を、水で洗浄
し種晶中に含まれる溶存塩類を溶出させて溶存塩類を除
去する場合、洗浄水は水道水や工業用水を用いてもよい
が、蒸発濃縮器から得られる凝縮水を用いることが好ま
しい。凝縮水は、通常電気伝導率50μS/cm以下、
SS成分を含まず、FI値4以下と清澄であり、塩分洗
浄に適している。特に分離手段として、孔径の小さいM
F膜型固液分離器を用いる場合には、洗浄水として凝縮
水を用いれば、SSの除去等の前処理を施すことなく使
用することができる。なお溶存塩類の除去は完全に行う
必要はなく、例えば回収した種晶を10%スラリーにし
たとき塩濃度0.2%程度になればよく、前段へ返送し
た時の原排水塩濃度増加率が10%以内になる程度に除
去できればよい。
【0024】固液分離した、種晶から溶存塩類を洗浄除
去するため、回収種晶を再利用しても、溶存塩類が濃縮
液に返送されることがないので、循環濃縮液の沸点上昇
を招くことがなく、濃縮効率が低下することがない。
【0025】溶存塩類を除去した種晶は、凝縮水とのス
ラリーまたは脱水ケーキとして蒸発濃縮器の前段へ返送
するが、脱水ケーキを種晶として添加する場合には粉砕
器等で粉末状にして排水と混合しやくすることが望まし
い。蒸発濃縮器の前段とは、蒸発濃縮器へ導入される前
の工程であれば、特に限定されないが、例えば、含硫廃
液のpHを調整するためのpH調整タンク等を挙げるこ
とができる。蒸発濃縮器の前段へ回収した種晶を返送す
ることにより、蒸発濃縮器のみならず、その前段にある
pH調整タンク等へのスケーリングの抑制を図ることが
できる。
【0026】以下図面により本発明方法の実施形態を説
明する。
【0027】図1は、請求項5に記載された本発明の蒸
発濃縮装置の一実施形態を示すフロー図である。なお図
1で示したフロー図は、蒸発濃縮器として2段の蒸発濃
縮器を用いた実施形態である。
【0028】図1において、図3の従来例と同一の要素
には同一の符号を付した。図1のフロー図において前段
の処理および蒸発濃縮のプロセスは図3に示したものと
同じであるので、説明を省略する。
【0029】1段目の蒸発濃縮器2で濃縮された濃縮液
は1段目濃縮液循環ポンプ16を介して常時循環され、
一定濃度まで濃縮された循環濃縮液は、濃縮液排出ポン
プ17により2段目蒸発濃縮器3へ送られる。2段目蒸
発濃縮器3で濃縮された濃縮液の一部は2段目濃縮液循
環ポンプ18を介して常時循環され、一定濃度に達する
と濃縮液排出ポンプ19により濃縮液調整タンク6に送
られる。濃縮調整タンク6へ送られた濃縮液の一部は
調整濃縮液排出ポンプ24を介して濃縮液タンク10へ
排出し、残りの液は調整濃縮液移送ポンプ25を介して
一部を2段目蒸発濃縮器3へ返送し、残りをMF膜モジ
ュール7へ供給する。MF膜モジュール7へ供給された
濃縮液中のSS成分である種晶と溶存塩類はMF膜モジ
ュール7で濾過される。MF膜モジュール7で濾過され
た濾液は濾液タンク8に送られる。この濾液は濾液ポン
プ26によって濃縮液タンク10へ移送する。MF膜モ
ジュール7は一定時間毎に逆洗によりMF膜の目詰まり
を防止するが、逆洗を行う直前に、MF膜上に濾別され
た種晶に含まれる溶存塩類を除去するために、凝縮水を
凝縮水タンク5より凝縮水供給ポンプ23よりMF膜の
濾過面に供給して、膜面の種晶に含まれる塩類を除去さ
せる。溶存塩類を除去した後、凝縮水タンク5に貯蔵し
ていた凝縮水を用いて、凝縮水供給ポンプ23を介して
MF膜モジュール7を逆洗する。種晶が含まれた逆洗水
は、回収種晶タンク9に貯められた後、回収種晶移送ポ
ンプ27により石膏スラリータンク12へ戻す。返送さ
れる回収種晶は凝縮水で洗浄しているため、溶存塩類が
取り除かれており、この回収種晶を再利用しても、循環
濃縮液の沸点が上昇することがなく、蒸発濃縮を効率よ
く行うことができる。
【0030】図2は、請求項6に記載された本発明の蒸
発濃縮装置の一実施形態を示すフロー図である。なお図
2で示したフロー図は、蒸発濃縮器として2段の蒸発濃
縮器を用いた実施形態である。
【0031】図において、図3の従来例と同一の要素
には同一の符号を付した。図のフロー図において前段
の処理および蒸発濃縮のプロセスは図3に示したものと
同じであるので、説明を省略する。
【0032】2段目蒸発濃縮器3から2段目蒸発濃縮液
排出ポンプ19を介して排出された濃縮液はサイクロン
セパレータ28に送る。サイクロンセパレータ28で分
離された小粒径部分は上澄水タンク29に貯蔵され上澄
水ポンプ30によって、MF膜モジュール7へ送る。M
F膜モジュール7から排出される濾液は、濾液タンク8
に送り、この濾液は濾液ポンプ26によって濃縮液タン
ク10へ送る。上澄水に含まれていたSS成分として種
晶の小粒径部分はMF膜面上に蓄積し、濾過能力が低下
してくるため、一定時間毎に逆洗を行ってMF膜の目詰
まりを防止しなくてはならないが、逆洗をする直前にM
F膜面上の種晶から溶存塩類を取り除くため、凝縮水を
凝縮水タンク5より凝縮水供給ポンプ23よりMF膜の
濾過面に供給して、溶存塩類を除去する。溶存塩類を除
去した後、凝縮水タンク5に貯蔵していた凝縮水を用い
て、凝縮水供給ポンプ23を介してMF膜モジュール7
を逆洗する。種晶が含まれた逆洗水は、回収種晶タンク
9に貯められた後、回収種晶移送ポンプ27に石膏スラ
リータンク12へ戻す。返送される回収種晶は凝縮水で
洗浄しているため、溶存塩類が取り除かれており、この
回収種晶を再利用しても、循環濃縮液の沸点が上昇する
ことがなく、蒸発濃縮を効率よく行うことができる。
【0033】なお、サイクロンセパレータ28で分離さ
れた大粒径部分は、濃縮液調整タンク6へ貯蔵し調整濃
縮ポンプ31により2段目蒸発濃縮器3へ戻し、調整濃
縮液濃度が設定値以上になったら調整濃縮液排出ポンプ
24を介して濃縮液タンク10へ排出すればよい。
【0034】
【実施例】実施例1 石炭火力発電所の石灰石−石膏スート混合式排煙脱硫装
置から排出される排煙脱硫排水を対象に本発明方法によ
り蒸発濃縮処理を行った。従来の種晶回収方法と本発明
方法の石膏スラリー使用量および蒸発濃縮装置内の循環
濃縮液中の種晶粒径を比較した。処理対象とする硫酸含
有排水は、スート混合型脱硫排水を模擬するためにスー
分離型脱硫排水に薬品を添加した模擬排水を用いた。
この模擬排水の水質を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】スケーリング抑制のための種晶としては石
炭火力発電所で回収される高品位石膏の粉末を用い、こ
の高品位石膏を工業用水に混合した10w/v%スラリ
ーを装置供給用種晶として用いた。排水への添加は排水
中のSS濃度が8000mg/lとなるように調整し、
図3に示した従来方法と、図2に示した本発明方法で運
転時間100hにおける装置外から供給する石膏スラリ
ー使用量と2段目蒸発濃縮装置内の循環濃縮液中SS
(種晶)粒径の比較を行った。その結果を表2に示す。
【0037】なお、装置の処理量は100l/h、濃縮
倍率は15倍で高品位石膏の粒径は40μmである。本
発明方法で使用したMF膜モジュールは、メムテック社
製精密濾過膜(型式M10C)を用いた。サイクロンセ
パレータで分離した種晶の小粒径部分は、粒径範囲5〜
50μmであった。
【0038】
【表2】
【0039】表2の結果から明らかなように、本発明法
による処理方法では、石膏スラリーの使用量が約20%
減少し、循環濃縮液中の種晶粒径も大径化していなこと
が確認された。従来法による処理方法では、2段目蒸発
濃縮器のみに種晶を返送して濃度の維持を行うため、2
段目蒸発濃縮器の種晶濃度のみが高濃度になる。本発明
方法では、回収種晶を1段目濃縮装置前段に戻し、1段
目と2段目の蒸発濃縮装置に返送した種晶を供給してい
るため、1段目、2段目濃縮倍率に応じた種晶濃度を維
持できる。
【0040】また、スケーリング抑制効果を比較するた
めに、排水中のSS濃度を2000mg/lに調整して
200時間運転後の付着スケール厚みを測定した。表3
にその結果を示す。
【0041】
【表3】
【0042】表3に示した結果から明らかなように、同
濃度の種晶濃度であっても、濃縮器前段へ戻す本発明方
法はスケーリング抑制効果が高いことが分かる。
【0043】実施例2 溶存塩類返送の有無による蒸発量変化を測定するため、
溶存塩類を含む種晶を返送して利用した場合と、溶存塩
類を本発明方法によって除いた後に利用した場合の1段
目蒸発濃縮器蒸発量と沸点上昇の変化を調べた結果を図
4および図5に示す。
【0044】1段目蒸発濃縮器はヒートポンプによって
熱を回収しており、蒸発した蒸気を圧縮して昇温させ、
加熱用蒸気として再利用する方式である。沸点上昇を起
こすと発生蒸気温度に比べて循環濃縮液温度が高くなる
ため、蒸発させるのに必要な昇温幅も大きくなり、ヒー
トポンプも大型のものが要求される。ヒートポンプの能
力が一定で循環濃縮液の沸点上昇を起こした場合には蒸
発量は低下し、蒸発濃縮効率の低下を起こす。
【0045】図4に示した結果から明らかなように、溶
存塩類を含んだ種晶を前段へ返送し再利用した場合には
運転時間の増加と共に沸点が上昇し、蒸発量が減少して
いる。
【0046】図5に示した結果から明らかなように、本
発明法によって溶存塩類を除いて前段へ返送し、再利用
した場合には、運転時間の増加によっても沸点上昇、蒸
発量に変化がなく、蒸発濃縮効率の低下がない運転が可
能であった。
【0047】
【発明の効果】請求項1および請求項5に記載の本発明
により、回収した種晶から溶存塩類を取り除くので、回
収種晶を返送して再利用しても、循環濃縮液の溶存塩濃
度が上昇することがないため、循環濃縮液の沸点上昇を
招くことがなく、蒸発濃縮効率が低下することがない。
また、回収した種晶を蒸発濃縮器前段へ返送するため、
蒸発濃縮器のみならず、その前段のpH調整タンク等の
スケーリングを抑制することができる。
【0048】請求項2および請求項5に記載の本発明に
より、小粒径部分の種晶を回収するので、単位重量当た
りの表面積(比表面積)が大きな種晶を再利用できるた
め、同重量でも種晶効果が大きく、効果的にスケーリン
グを抑制できる。
【0049】請求項3および請求項6に記載の本発明に
より、固液分離手段としてMF膜を用いるので、微細な
種晶を透過させることなく確実に捕捉でき、凝縮水を用
いて逆洗することにより回収した種晶を含む混合液を容
易に得ることができるため、前段への返送が効率よくで
きる。
【0050】請求項4に記載の本発明により、固液分離
した種晶から溶存塩類を取り除く媒体として凝縮水を用
いるので、SSの除去等の前処理を施すことなく使用す
ることができ、処理効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載の本発明方法の一実施形態を示
すフロー図。
【図2】請求項2に記載の本発明方法の一実施形態を示
すフロー図。
【図3】従来方法のフロー図。
【図4】1段目蒸発濃縮器の蒸発量と沸点上昇を示すグ
ラフ(固液分離なし)。
【図5】1段目蒸発濃縮器の蒸発量と沸点上昇を示すグ
ラフ(固液分離あり)。
【符号の説明】
aa 排水供給ライン bb 加熱用蒸気ライン cc 冷却水入り口ライン dd 冷却水出口ライン 1 pH調整タンク 2 1段目蒸発濃縮器 3 2段目蒸発濃縮器 4 コンデンサ 5 凝縮水タンク 6 濃縮液調整タンク 7 MF膜モジュール 8 濃縮濾液タンク 9 種晶回収タンク 10 濃縮液タンク 11 pH調整薬品タンク 12 石膏スラリータンク 13 pH調整薬品注入ポンプ 14 石膏スラリー注入ポンプ 15 排水供給ポンプ 16 1段目濃縮液循環ポンプ 17 1段目濃縮液排出ポンプ 18 2段目濃縮液循環ポンプ 19 2段目濃縮液排出ポンプ 20 真空ポンプ 21 凝縮水ポンプ 22 蒸気ドレンポンプ 23 凝縮水供給ポンプ 24 調整濃縮液排出ポンプ 25 調整濃縮液移送ポンプ 26 濃縮濾液ポンプ 27 種晶移送ポンプ 28 サイクロンセパレータ 29 上澄水タンク 30 上澄水ポンプ 31 調整濃縮液ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B01D 9/02 610 B01D 9/02 610Z 615 615A 617 617 53/50 C02F 1/44 E 53/77 1/58 Q C02F 1/44 5/00 610Z 1/58 620B 5/00 610 B01D 53/34 125R 620 (72)発明者 高橋 英紀 東京都江東区新砂1丁目2番8号 オル ガノ株式会社内 (72)発明者 塩見 裕 大阪府大阪市西淀川区竹島4丁目7番32 号 株式会社ササクラ内 (72)発明者 田原 一見 大阪府大阪市西淀川区竹島4丁目7番32 号 株式会社ササクラ内 (56)参考文献 特開 平7−251162(JP,A) 特開 昭63−88002(JP,A) 特開 昭54−98041(JP,A) 特開 平8−117552(JP,A) 特開 昭57−204220(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/04 B01D 1/00 B01D 9/02 B01D 53/34

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸含有排水中の種晶を利用してスケー
    リングを抑制する硫酸含有排水の蒸発濃縮方法におい
    て、蒸発濃縮器の循環濃縮液または排出濃縮液の一部を
    分離して種晶を固液分離し、固液分離した種晶を水で洗
    浄して種晶中に含まれる溶存塩類を取り除いた後、該種
    晶を蒸発濃縮器の前段へ返送することを特徴とする硫酸
    含有排水の蒸発濃縮方法。
  2. 【請求項2】 硫酸含有排水の種晶を利用してスケーリ
    ングを抑制する硫酸含有排水の処理方法において、蒸発
    濃縮器の循環濃縮液または排出濃縮液中の一部を分離
    し、種晶を小粒径部分と大粒径部分に分級し、小粒径部
    分を固液分離した後、分離した種晶を水で洗浄して種晶
    中に含まれる溶存塩類を取り除いた後、該種晶を蒸発濃
    縮器の前段へ返送することを特徴とする硫酸含有排水の
    蒸発濃縮方法。
  3. 【請求項3】 固液分離をMF膜を用いて行うことを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の硫酸含有排水
    の処理方法。
  4. 【請求項4】 固液分離した種晶と溶存塩類を洗浄する
    水が凝縮水であることを特徴とする請求項1ないし請求
    項3のいずれか1項に記載の硫酸含有排水の処理方法。
  5. 【請求項5】 硫酸含有排水中の水分を蒸発させて前記
    排水を濃縮する蒸発濃縮装置において、 前記排水に種晶を添加する種晶添加手段と、前記排水の
    pHを調整するpH調整手段と、前処理された排水を蒸
    発濃縮する蒸発濃縮手段と、濃縮された排水を蒸発濃縮
    手段へ循環する濃縮液循環手段と、循環濃縮液または排
    出濃縮液の一部を固液分離する固液分離手段と、固液分
    離した種晶を水で洗浄する洗浄手段と、洗浄された種晶
    を蒸発濃縮手段の前段へ返送する種晶返送手段を有する
    ことを特徴とする硫酸含有排水の蒸発濃縮装置。
  6. 【請求項6】 硫酸含有排水中の水分を蒸発させて前記
    排水を濃縮する蒸発濃縮装置において、 前記排水に種晶を添加する種晶添加手段と、前記排水の
    pHを調整するpH調整手段と、前処理された排水を蒸
    発濃縮する蒸発濃縮手段と、濃縮された排水を蒸発濃縮
    手段へ戻す濃縮液循環手段と、循環濃縮液または排出濃
    縮液の一部を取出し含まれるSS成分を小粒径部分と大
    粒径部分に分級する分級手段と、分級された小粒径部分
    を固液分離する固液分離手段と、固液分離した種晶を水
    で洗浄する洗浄手段と、洗浄された種晶を蒸発濃縮手段
    の前段へ返送する種晶返送手段を有することを特徴とす
    る硫酸含有排水の蒸発濃縮装置。
  7. 【請求項7】 固液分離手段がMF膜固液分離器である
    ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の蒸発
    濃縮装置。
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