JP3365736B2 - 高熱高速気流によるガウジング方法 - Google Patents

高熱高速気流によるガウジング方法

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JP3365736B2 JP01951798A JP1951798A JP3365736B2 JP 3365736 B2 JP3365736 B2 JP 3365736B2 JP 01951798 A JP01951798 A JP 01951798A JP 1951798 A JP1951798 A JP 1951798A JP 3365736 B2 JP3365736 B2 JP 3365736B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物体(例えば鋼
板)の、高熱高速気流によるガウンジング(溝加工,削
り加工)に関し、特に、これに限定する意図ではない
が、プラズマト−チによるガウジングに関する。
【0002】
【従来の技術】高熱高速気流によるガウンジングの代表
的なものに、燃焼炎を用いるガスガウジングとプラズマ
を用いるプラズマ炎ガウジングがある。いずれも、加工
対象材(ワ−ク)に対して斜めに高熱高速気流を当てて
ワ−ク表面を溶融させる。溶融金属は高熱高速気流で前
方へ押し出され、これによりワ−ク表面に溝が出来る。
1回の走査で深く溝を掘ることは、作業回数(走査回
数)を減らす上で有効である。そのためには、ト−チの
傾斜角を大きくト−チをできるだける立てる,走行速度
を遅くする,高熱高速気流のエネルギを大きくする,な
どがあるが、いずれも限度がある。例えば傾斜角がある
限界を越えると、ガウジング溝先端面(高熱高速気流が
当って溶融する面;当り面)の、傾斜(当り面の壁角
度:垂直面に対する傾斜角)が小さくなり、スラグが後
ろに戻ったり、高熱高速気流がはね返って来たりして、
溝底に高,底を生じ、滑らかなガウンジングが出来なく
なる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって1回の走査
による掘り量(溝深さ)には限界があり、所望の深さが
大きいと、何回もガウジングを繰返す必要がある。同一
箇所に対する作業回数(走査回数)を増やすことにより
ガウジング溝を深くすることができるが、溝が深くなる
につれて溝内溶融金属やスラグが、高熱高速気流によっ
ては溝外へ排出されにくくなり、ガウジング作業効率が
低下し、作業回数を増やすにしてもガウジングしうる溝
深さにも限度がある。
【0004】本発明は、1回当りのガウジング作業の掘
り量(深さ)を大きくすることを第1の目的とし、ガウ
ジング作業の繰返しによって可能なガウジング溝深さを
大きくすることを第2の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】(1)加工対象材(W)に
対して回転中心軸(Lo)を20°以上45°以下として高
熱高速気流(プラズマア−ク炎)を、加工対象材の表面
に対して衝突点が略楕円を描くように回転させながら吹
当てつつ、加工対象材に対して高熱高速気流源を相対的
に、加工対象材の表面に沿い高熱高速気流の前方側(y)
に移動させる、高熱高速気流によるガウジング方法。
【0006】なお、理解を容易にするためにカッコ内に
は、図面を参照して後述する実施例の対応要素又は対応
事項の記号を、参考までに付記した。
【0007】これによれば、高熱高速気流(プラズマア
−ク炎)の全体が、円錐面を沿くように回転し、この回
転中心軸(Lo)が加工対象材(W)に対して20°以上45
°以下で傾斜(α)しているので、加工対象材の表面に
対する高熱高速気流の衝突点が、ガウジング進行方向
(y)が長軸となる略楕円を描き、該楕円の、長軸が交わ
る2頂点のうちの、高熱高速気流の流れ方向で上流側の
頂点が衝突点のときの高熱高速気流(図2の2点鎖線の
Pf)が加工対象材(W)となす角(β=α+θ)が大き
く、そこでは加工対象材(W)が深くはつられる(深部は
つり)。前記楕円の、長軸が交わる2頂点のうちの、高
熱高速気流の流れ方向で下流側の頂点が衝突点のときの
高熱高速気流(図2の実線のPf)が加工対象材(W)と
なす角(γ=α−θ)が小さく、そこでは加工対象材
(W)が浅くはつられる(表層はつり)。これらの「深部
はつり」と「表層はつり」が交互に現われる。
【0008】「深部はつり」から「表層はつり」に移行
する期間は高熱高速気流が回転しているため、高熱高速
気流により溶融金属にはそれを上に押し上げかつ横に押
す力が加わって、溝底から表層に溶融金属が押し上げら
れて横方向に押されて溝外に排出される。「表層はつ
り」により前方が低くなっているので、「深部はつり」
のときの溝底から表層への溶融金属の移動が容易であ
り、角度(β)が大きいので、「深部はつり」は深溝を
形成する。したがって、1回のガウジングの深さが大き
く、溶融金属やスラグの溝内の滞留が少くなり、したが
って、複数回のガウジングで実現しうる溝深さも大きく
なる。
【0009】
【発明の実施の形態】(2)高熱高速気流源は、放電電
極(1),該放電電極のア−ク放電によるプラズマを吹出
すためのノズル(2a)を有するノズル部材(2)、および、
該ノズル部材(2)の内空間にプラズマ用ガスを供給する
ガス流路、を有するプラズマト−チ(T)であり、高熱高
速気流は該プラズマト−チが吹出すプラズマ炎である。
【0010】(3)ノズル(2a)の中心軸は、放電電極
(1)の中心軸(Lo)に対して傾斜(θ)又は偏芯し、ノズル
部材(2)を回転駆動することにより、ノズル(2a)より吹
出るプラズマ炎全体を回転させる。
【0011】ガスガウジングト−チあるいはプラズマト
−チ(T)を、それが吹出す燃焼炎あるいはプラズマ炎
が、加工対象材(W)に対して20°以上45°以下で傾
斜(α)した回転中心軸(Lo)を中心に円錐面を沿くよう
に回転駆動することもできるが、この場合には、被駆動
物が大きく高重量で、回転駆動機構が大きく高パワ−を
要し、ガウジング装置が大型化する。これにより、高速
回転がむつかしくなるとか、加工対象材(W)上のガウジ
ング対象線に対するト−チの位置決め精度が低下すると
かも考えられる。これに対し、ノズル部材(2)は小型軽
量で、ト−チ中心軸(Lo)を中心とする回転であるので、
回転駆動機構は小さく低パワ−で済み、プラズマ炎の高
速回転やト−チの位置決めが比較的に容易である。
【0012】なお、ノズル(2a)の中心軸は、放電電極
(1)の中心軸(Lo)に対して傾斜(θ)させた場合には、前
方に行くほどプラズマ炎の旋回半径が大きくなり、表層
はつりによる溝幅が比較的に広く、溝開口幅が比較的に
広いガウジング溝が得られる。これに対して、ノズル(2
a)の中心軸を放電電極(1)の中心軸(Lo)に平行としかつ
中心軸(Lo)に対して偏芯させた場合には、前方でのプラ
ズマ炎の旋回半径の拡大量が小さく、表層はつりによる
溝幅は比較的に狭く、溝開口幅が比懐的に狭いガウンジ
ング溝が得られる。
【0013】(4)ノズル(2a)から加工対象材(W)まで
の、プラズマ炎の流れ方向の距離が長い回転角度におい
て、プラズマ炎の流れ方向の距離が短い回転角度のとき
よりもア−ク電流を高値とする上記(2)又は(3)の
ガウジング方法。
【0014】これによれば、「表層はつり」でア−ク電
流が高く前方のガウジング効果が高く、当り面の壁角度
が更に小さくなる。これにより深部の溶融金属を前方に
押し上げるに要する力が少くて済む。これは「深部はつ
り」において深部から表層への溶融金属の押し出しを容
易にする。したがって、1回のガウジングの深さが更に
大きく、複数回のガウジングで実現しうる溝深さも更に
大きくなる。
【0015】(5)ノズル(2a)から加工対象材(W)まで
の、プラズマ炎の流れ方向の距離が最短となる回転位置
を基点(0°)とし、基点から45°以上315°以下
の回転範囲においてア−ク電流を、315°を越え45
°未満の回転範囲のときよりも高値とする、上記(4)
のガウジング方法。
【0016】0°〜45°および315°〜360°
(0°)の範囲、すなわち±45°の範囲を「深部はつ
り」期間と、135°〜215°の範囲、すなわち18
0°±45°の範囲を「表層はつり」期間と、45°〜
135°の範囲を左(又は右)遷移期間と、215°〜
360°の範囲を右(左)遷移期間と表現すると、「表
層はつり」期間ならびにその前後の遷移期間のア−ク電
流が高いので、当り面の壁角度が小さいのに加えて、ガ
ウジング溝側壁の、溝最深部に向かう傾斜が更に緩やか
になり、ガウジング溝から溝外(横方向)への溶融金属
およびスラグの流出が容易で、1回のガウジングの深さ
が更に大きく、複数回のガウジングで実現しうる溝深さ
も更に大きくなる。
【0017】本発明の他の目的および特徴は、図面を参
照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0018】
【実施例】図1に、本発明を一態様で実施するプラズマ
ア−クガウジング装置の概要を示す。図1に示すプラズ
マト−チTの構造を図2に示す。まず図2を参照する。
【0019】xy水平面に平行な、ガウジング対象鋼板
Wに対して角度αの傾斜姿勢でプラズマト−チTが対向
している。αは以下ト−チ角度と称す。プラズマト−チ
Tの放電電極1は、この実施例では、タングステン棒で
あり、その中心軸Loが、ト−チTの中心軸でもある。
この中心軸Loが、ガウジング予定線(鋼板W上の、y
方向に延びる線)と交叉するように、プラズマト−チT
がト−チ角αで、鋼板Wに対して位置決めされる。
【0020】プラズマト−チTのア−ムAは、中空の略
円筒状の部材であり、その内部にはプラズマ用ガス(以
下プラズマガス)および冷却水の流路が形成されてい
る。冷却水は外部よりア−ムAに送り込まれ、プラズマ
ト−チTの内部の絶縁水路20aを通って再びア−ムA
に出て、そして外部に放出される。プラズマガスは、ア
−ムAを通してプラズマト−チTの内部に送り込まれ、
ノズル2aより吹出される。
【0021】ア−ムAで支持された略筒状のト−チ基体
Bには、それより直径の小さい略円筒形の電極台8が挿
入されてト−チ基体Bに一体固着されている。電極台8
の先端部の周面には中心軸を同一にしたリング状の溝が
刻まれており、ト−チ基体Bの内周面との間に水路を形
成する。該水路は、ア−ムAの内部の水路と連通してい
る。電極台8の、ト−チ基体Bより突出した円筒状の上
端部の内部には、先端部をスリットの切込みにより周方
向に4分割したチャック9が挿入され、ねじ込まれてい
る。チャック9はさらに、中心軸Loに沿って延びる先
端が円錐形に突出したタングステン棒1を挾持する。電
極台8の上端部は案内リング10内に進入してネジ結合
しており、案内リング10はカバーCで被覆されてい
る。カバーC(案内リング10)を電極台8に対してね
じ込み方向に廻わすことにより、チャック9の尾端部が
電極台8の尾端部の内部の円錐内壁面(テーパ面)に押
し付けられて、タングステン棒1の軸心に向かう方向に
曲がろうとしてタングステン棒1を強圧する。これによ
りタングステン棒1は電極台8に対して一体に固着され
ている。すなわち、電極台8はト−チ基体Bに対して一
体であるので、タングステン棒1は、ト−チ基体Bを支
持するア−ムAに対して一体である。
【0022】一方、ア−ムAで支持された略円筒状のト
−チ基体Bの円柱形内空間には、絶縁スペーサ7があ
り、ト−チ基体Bに固着されている。ト−チ基体Bに挿
入された支持部材Uaは、ト−チ基体Bの中間部から下
端にかけてモールド固定されている。支持部材Uaにね
じリング5が固着されており、ねじリング5の先端部の
外周の雄ねじに保護キャップ6がねじ結合している。ア
−ムA,ト−チ基体B,支持部材Ua,ねじリング5お
よびに保護キャップ6は皆一体である。
【0023】支持部材Uaおよびねじリング5は、その
内空間にOリングおよびベアリングb2を介して中空筒
状の回転水路金具20bを、軸心すなわち中心軸Loを
中心とする回転が自在であるように支持する。金具20
bは止めリングb3により回転自在な状態を保持しつつ
z方向位置を固定されており、その下端部は保護キャッ
プ6の内空間に突出している。金具20bの上端は、支
持部材Uaの内壁にリング状に設けられた溝に達して止
まる。支持部材Uaの上端から前述の溝に達する内壁
は、Oリングおよびベアリングb1を介して金具20b
よりさらに直径の小さな中空筒状のノズル台3を、金具
20bと同様に中心軸Loを基準とした回転が自在であ
るように支持する。金具20bの内壁とノズル台3の外
壁は、支持部材Uaの内壁にリング状に設けられた溝を
介して、ア−ムAの水路に連通する水路を形成する。
【0024】回転水路金具20bの先端部には、円錐形
に突出したタングステン棒1の先端を囲むように中空の
略円錐形である金属製の先端チップ(ノズル部材)2が
装着されている。先端チップ2の、タングステン棒1の
先端の円錐形にならうように円錐形となった中央部に
は、ノズル2aがある。ノズル2aの、タングステン棒
1の先端と対向する内開口は先端チップ2の中心(中心
軸Lo)又は中心軸(Lo)の近傍にあるが、ノズル2aの中
心軸は、中心軸Loに対してθの角度をなし、ノズル2
aの、鋼板Wに対向する外開口は中心軸Loより偏位し
ている。
【0025】先端チップ2は、Oリングを介してノズル
台3の先端に固定され、該溝の外周縁は金具20bの先
端部にOリングを介してノズル台3の先端に固定されて
いる。つまり、金具20b,ノズル台3および先端チッ
プ2は一体に固着されており、支持部材Uaおよびねじ
リング5を介してト−チ基体Bに、回動自在に支持され
ている。
【0026】ノズル台3の尾端部には歯付プーリ37が
固着されている。歯付プ−リ37に結合したタイミング
ベルト33には歯付プ−リ32が結合している。歯付プ
−リ32は電気モ−タMの回転軸maに固着されてい
る。したがって電気モ−タMが回転すると、ノズル台3
が回転する。ノズル台3が回転すれば、金具20b,ノ
ズル台3およびチップ2がそれに伴い一体で中心軸Lo
を中心に回転する。金具20bの内壁とノズル台3の外
壁が形成する水路は、先端チップ2に形成された溝によ
り閉じられる。ア−ムAの水路より流入した水(冷却
水)は該水路を通ってア−ムAの絶縁水路20aを通過
し、それに連通する電極台8とト−チ基体Bの内周面の
壁との間に形成された水路を通ってア−ムAの前述の水
路とは異る水路を通って外部の冷却水循環器(図示せ
ず)に放出される。
【0027】また、ノズル台3の内壁にはリング状のセ
ンタリングストーン4が固着されている。タングステン
棒1はこのセンタリングストーン4の中心を回転自在に
貫通し、その軸心は先端チップ2およびノズル台3の中
心軸すなわち中心軸Loと実質上一致している。センタ
リングストーン4には、ノズル2aの内開口に対向する
下端面からその裏側の上端面に通じる通気孔が開けられ
ている。ア−ムAのプラズマガス流路に送り込まれるプ
ラズマガスは、ノズル台3の内壁とタングステン棒1の
間の空間に送り込まれ、センタリングストーン4の通気
孔を通って先端チップ2の内空間に出て、先端チップ2
のノズル2aから外空間に放出される。なお、センタリ
ングストーン4はノズル台3に固着されているので、ノ
ズル台3が回転すれば、金具20b,ノズル台3および
先端チップ2と同様に一体で、中心軸Loを中心として
回転する。しかし、それに対してタングステン棒1はチ
ャック9により電極台8を介してト−チ基体Bに対して
固定されている。すなわち回転しない。
【0028】モ−タMで回転駆動される歯付プ−リ32
には、回転角基点検知用の円板HDが固着されており、
その外周の一箇所に、基点検出用のスリットが開けられ
ている。このスリットを検出する透過型のフォトセンサ
HSが回転機構支持台30に固着されている。先端チッ
プ2の、ノズル2aの外開口が鋼板Wに最も近い回転角
度、すなわちノズル2aの中心軸が鋼板Wのx,y平面
となす角が最高値βとなる回転角度、のときにスリット
がフォトセンサHSの発光素子/受光素子間光路上に位
置するように、円板HD上のスリットの周方向位置が定
められており、スリットがフォトセンサHSの発光素子
/受光素子間光路上に位置するとき、フォトセンサHS
がスリット検知信号(高レベルH)を発生し、この信号
が発生したとき、先端チップ2(ノズル2a)の回転角
を0°(回転角計測基点)と定めている。以下において
回転角度値は、この基点決めに従った値である。
【0029】モ−タMにはロ−タリエンコ−ダREが結
合されておりこれが、モ−タMの回転軸の所定微小角度
の回転につき1パルスのパルス信号を発生する。ここ
で、先端チップ2の1回転の間にロ−タリエンコ−ダR
Eが360個のパルスを発生すると仮定すると、フォト
センサHSがスリットを検知してからロ−タリエンコ−
ダREが発生するパルスのカウントアップを開始する
と、カウント値はノズル部材2の、1°単位の回転角を
表わす。
【0030】再度図1を参照すると、ア−ムAの回転水
路金具20bに連通する水路にはパイロット電源42の
正極が接続されており、電極台8に連通する水路にはパ
イロット電源42の負極が高周波結合用のトランスを介
して接続されている。また、電極台8には主電源43の
負極が接続されており、主電源43の正極は鋼板Wに接
続されている。ト−チTにプラズマガスが供給され、パ
イロット電源42によりパイロット電圧が印加されてい
る状態で高周波電源41により高周波電圧が加えられる
と、タングステン棒1と先端チップ2間にパイロットア
ークが発生する。パイロットアークの発生後、高周波電
圧の印加は停止する。さらに、パイロットアークが発生
した状態において主電源43により主電圧を印加する
と、タングステン棒1と主電源43の負極が接続された
鋼板Wとの間に主アークすなわちプラズマア−ク炎が発
生する。
【0031】プラズマア−ク炎の発生後、作業者がモー
タMに正転あるいは逆転の通電指令を与えると、モータ
Mがそれに従い、正転又は逆転する。これにより先端チ
ップ2が回転し、プラズマア−ク炎がト−チ中心軸Lo
を中心に回転する。ノズル2aの中心軸がト−チ中心軸
Loに対して角度θをなすので、プラズマア−ク炎は大
略、頂角が2θの円錐面を描くように回転し、ト−チ角
αで、鋼板Wに対してト−チTが傾斜しているので、プ
ラズマア−ク炎は鋼板Wの平面に対して略楕円を描くよ
うに当る。
【0032】モ−タM(先端チップ2)が回転している
間、回転速度に比例する周波数の指速パルスをロ−タリ
エンコ−ダREが発生し、この指速パルスの発生数を2
つのカウンタCo1,Co2がカウントする。
【0033】先端チップ2が、プラズマア−ク炎の進行
方向で、鋼板Wに対するノズル2aの距離が最短となる
回転角度すなわち角度基点で、フォトセンサHSが高レ
ベルHの基点検出信号を発生する。これにより2つのプ
リセットカウンタCo1,Co2がクリア(リセット)
され、この高レベルHが消えると(基点を過ぎると)、
カウンタCo1,Co2が、指速パルスをカウントアッ
プする。
【0034】カウンタCo1,Co2は、プリセット値
を設定するディップスイッチを有するプリセットカウン
タであり、カウント値がプリセット値に合致すると、出
力端を低レベルL(機器ア−スレベル)とする。今、カ
ウンタCo1に45°相当値を、カウンタCo2に31
5°相当値を、各プリセット値(SET1,SET2)
として設定していたとすると、先端チップ2の回転角が
45°になったときにカウンタCo1の出力端がLとな
って、リレ−R1が通電されて、「深部はつり」電流指
定用の第1可変抵抗器VRLを主電源43から遮断して
代りに「表層はつり」電流指定用の第2可変抵抗器VR
hを、主電源43に接続する。先端チップ2の回転角が
315°になったときにカウンタCo2の出力端がLと
なって、リレ−R2が通電されて、リレ−R1の通電を
遮断する。これにより「表層はつり」電流指定用の第2
可変抵抗器VRhを主電源43から遮断して代りに、
「深部はつり」電流指定用の第1可変抵抗器VRLを主
電源43に接続する。すなわち、先端チップ2の回転角
が315°以上45°未満の間は、主電源43に「深部
はつり」電流指定用の第1可変抵抗器VRLのみが接続
され、45°以上315°未満の間は、主電源43に
「表層はつり」電流指定用の第2可変抵抗器VRhのみ
が接続される。
【0035】主電源43は、放電電極1に、それに接続
されている第1又は第2可変抵抗器VRL又はVRhの
抵抗値に対応するレベルの主ア−ク電流を給電する。し
たがってプラズマト−チTには、先端チップ2の回転角
が315°以上45°未満の間は第1可変抵抗器VRL
の抵抗値に対応するレベルの主ア−ク電流が、45°以
上315°未満の間は第2可変抵抗器VRhの抵抗値に
対応するレベルの主ア−ク電流が、給電される。
【0036】すでに説明したように、モ−タMを回転駆
動しているときには、ノズル2aから吹出すプラズマア
ーク炎は、先端チップ2の回転によりノズル2aが描く
円錐面と同様な円錐面を描くように回転する。図4の
(a)に、プラズマト−チTがプラズマア−クを鋼板W
の溶接ビ−ドWbに当ててそこをはつるガウジング中
の、プラズマア−クが鋼板W上に描く軌跡を、上方から
垂直(z)方向に鋼板Wおよびト−チT先端を見降ろし
た形で、示す。
【0037】先端チップ2が矢印Atrで示すように時
計方向に回転し、その回転角が0°のときにはプラズマ
ア−クはト−チ先端に最も近い領域Aa0に当り、この
ときプラズマア−クの中心線が、鋼板Wのx,y水平面
とβ(図2)の角度をなす: β=α+θ α:ト−チ角 θ:中心軸Loに対するノズル中心軸の傾斜角 この角度βがト−チ角αよりも大きいので、深いはつり
が実現する。
【0038】先端チップ2の回転角が90°のときには
プラズマア−クは最もx方向左に偏移した左領域Aa9
0に当り、この前後で溶融金属およびスラグをガウジン
グ溝外に押し出す。
【0039】先端チップ2の回転角が180°のときに
はプラズマア−クはト−チ先端から最も遠い領域Aa1
80に当り、このときプラズマア−クの中心線が、鋼板
Wのx,y水平面とγ(図2)の角度をなす: γ=α−θ この角度γがト−チ角αよりも小さいので、浅いはつり
が実現する。
【0040】先端チップ2の回転角が270°のときに
はプラズマア−クは最もx方向右に偏移した右領域Aa
270に当り、この前後で溶融金属およびスラグをガウ
ジング溝外に押し出す。
【0041】先端チップ2の回転が連続であるので、プ
ラズマア−クが当る領域の中心は、略楕円Aarを描
き、上述のプラズマア−クの作用は連続的に変化し、先
端チップ2の1回転の間の鋼板W上のア−ク作用領域の
全体の輪郭は、領域Aa0〜Aa270の外輪郭の包絡
線が描く略楕円となり、その長軸がガウジング進行方向
(y方向)、横軸がト−チTから見て左右方向(x方
向)である。この長軸方向で鋼板Wに対するプラズマア
−クの進入角が、最大値βから最小値γに、またその逆
に略連続的に変わるので、ガウジング溝先端面の傾斜
(プラズマア−クが当る面の壁角度:垂直面に対する角
度)が、長軸の長さ全体に及んで小さく、その分ガウジ
ング溝内の溶融金属およびスラグの前方への押し出しが
きわめて滑らかになり、そして横軸方向のプラズマア−
クの振れにより溶融金属およびスラグの横方向(ガウジ
ング溝外)への押し出しもなめらかになる。
【0042】ト−チ角度αは、比較的に速いガウジング
速度(鋼板Wに対するト−チTのy方向移動速度)で、
滑らかな均一深さの溝を形成するためには約30°とす
るのが好ましい。ガウジング速度およびア−ク電流を大
幅に変更することなく、浅い溝を形成する場合にはト−
チ角αは小さくするが、ト−チ角αは溝深さの変動が少
い20°以上とする。深い溝を形成する場合にはト−チ
角αを大きくするが、ト−チ角αは溶融金属およびスラ
グの溝外への排出が十分な45°以内とする。図3の
(a)に、図1に示すガウジング装置を用いたプラズマ
ア−クガウジングにより得られたガウジング溝の横断面
(本発明の実施例)を示し、図3の(b)には、図1に
示すガウジング装置と実質上同一構成ではあるが、その
プラズマト−チT(図2)の先端チップ2を、ノズル中
心軸がト−チ中心軸Loと同一のノズルを有するものに
置換した、プラズマア−ク炎の回転が無い比較例ガウジ
ング装置による、ガウジング溝の横断面(比較例)を示
す。これらの図面上の寸法数値の単位はmmである。ガ
ウジング条件は次の通りであった。
【0043】−本発明例(図3の(a))− ガウジング対象材:25mm厚の軟鋼, 主ア−ク電流:200A。第1および第2可変抵抗器V
RL,VRhのア−ク電流指示値を共に200Aとして
先端チップ2の回転角にかかわらず一定とした, ガウジング速度(ト−チTのy方向移動速度):75c
m/分, プラズマガス供給流量:アルゴン(Ar)45リットル
/分+水素(H2)10リットル/分, ト−チ角α:30°, ノズル径:3.2mm, 先端チップ2の回転速度:1200rpm ノズル傾斜角θ:4.5°, ト−チ高さ:20mm(1回のガウジング毎に2mm下
げた)。
【0044】−比較例(図3の(b))− ガウジング対象材:25mm厚の軟鋼, 主ア−ク電流:200A, ガウジング速度(ト−チTのy方向移動速度):120
cm/分, プラズマガス供給流量:アルゴン(Ar)40リットル
/分+水素(H2)10リットル/分, ト−チ角α:30°, ノズル径:3.5mm, ト−チ高さ:30mm(1回のガウジング毎に2mm下
げた)。
【0045】なお、比較例でガウジング速度が高いの
は、ガウジング溝内の溶融金属およびスラグを飛ばすた
めに高速が必要であるからである。低いガウジング速度
では、溝内の溶融金属およびスラグの排出が難かしくな
るので、ト−チ角αを下げる必要があり、これにより溝
深さが浅くなるので、溝を深くするのが難かしい。
【0046】図3の(a)に示す本発明の実施例では、
1回のガウジングで形成される溝の深さが比較例(図3
の(b))よりも格段に大きく、しかも、複数回の繰返
しにより、格段に深い溝を形成しうる。
【0047】第1可変抵抗器VRLにより所要の溝深さ
を得るア−ク電流値(例えば200A)を指定し、第2
可変抵抗器VRhにより、それより更に高いア−ク電流
値(例えば250A)を設定すると、カウンタCo1の
プリセット値SET1からカウンタCo2のプリセット
値SET2までの先端チップ2の回転角度において主ア
−ク電流値が高いもの(250A)となり、プリセット
値SET2以上SET1未満の回転角度の間で低いもの
(200A)となる。この関係を図4の(b))に示
し、このときの図1に示すガウジング装置各部の電気信
号を図5に示す。このような実施態様では、「表層はつ
り」が強く、これがガウジング溝先端面の傾斜を緩やか
にして溶融金属およびスラグの排出を容易にするので、
1回のガウジングによる溝深さが大きくなり、しかも複
数回の繰返しにより得ることができる溝深さも大きくな
り、深い溝加工が可能となる。
【0048】上述の、本発明の実施例のプラズマガウジ
ング方法は、プラズマガスとして、酸素や窒素及びエア
−も使用できる。また、ノズル部の構造として、2重ノ
ズル方式のプラズマガウンジングにも使用できるし、ガ
ウジング対象材にア−ク電流を流さない(ガウジング対
象材を主電源43に接続しない)、いわゆるプラズマジ
ェット方式のガウジングにも実施しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を一態様で実施するプラズマア−クガ
ウジング装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1に示すプラズマト−チTの主要部の拡大
縦断面図である。
【図3】 (a)は、図1に示すプラズマア−クガウジ
ング装置を用いて、プラズマア−ク炎を円錐面を描くよ
うに回転させて形成したガウジング溝の横断面図であ
り、(b)は、図1に示すプラズマト−チTの先端チッ
プ2を、その軸心を貫通するノズルすなわちト−チ中心
軸Loと整合する中心軸を有するノズルを有するもに置
換して、プラズマア−ク炎をト−チ中心軸Loに沿って
一直線に吹出して形成したガウジング溝の横断面図であ
る。
【図4】 (a)は、図1に示すプラズマト−チTおよ
び鋼板Wの、プラズマア−ク炎を円錐面を描くように回
転させてガウジングしているときの拡大平面図であり、
(b)は、ト−チ中心軸Loを中心とした先端チップ2
の1回転の間の、図1に示すカウンタCo1,Co2の
プリセット値SET1,SET2と、主ア−ク電流値の
切換わりとの関係を示す平面図である。
【図5】 図4の(b)に示す主ア−ク電流の高,低切
換えを行なう態様での、図1に示すプラズマア−クガウ
ジング装置の各部に発生する電気信号を示すタイムチャ
−トである。
【符号の説明】
1:タングステン棒(放電電極) 2:先端チップ(ノ
ズル部材) 2a:ノズル 3:ノズル台 4:センタリングストーン 5:ねじリング 6:保護キャップ 7:絶縁スペーサ 8:電極台 9:チャック 10:案内リング 20a:絶縁水路 20B:回転水路金具 30a:案内溝 32,37:プーリ 33:タイミングベ
ルト A:ア−ム B:ト−チ基体 Lo:ト−チ中心軸 M:モータ ma:回転軸 T:プラズマトーチ
(高熱高速気流源) Ua:支持部材 41:高周波電源 42:パイロット電源 43:主電源 W:鋼板(ガウジング対象材) Co1,Co2:プ
リセットカウンタ VRL,VRh:可変抵抗器 R1,R2:リレ−
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−81563(JP,A) 特開 昭63−90364(JP,A) 特開 昭51−39552(JP,A) 特開 昭58−81564(JP,A) 特開 平9−164486(JP,A) 特開 平5−38581(JP,A) 実開 平5−70772(JP,U) 特公 昭37−3261(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 10/00 B23K 7/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加工対象材に対して回転中心軸を20°以
    上45°以下として高熱高速気流を、加工対象材の表面
    に対して衝突点が略楕円を描くように回転させながら吹
    当てつつ、加工対象材に対して高熱高速気流源を相対的
    に、加工対象材の表面に沿い高熱高速気流の前方側に移
    動させる、高熱高速気流によるガウジング方法。
  2. 【請求項2】高熱高速気流源は、放電電極,該放電電極
    のア−ク放電によるプラズマを吹出すためのノズルを有
    するノズル部材、および、該ノズル部材の内空間にプラ
    ズマ用ガスを供給するガス流路、を有するプラズマト−
    チであり、高熱高速気流は該プラズマト−チが吹出すプ
    ラズマ炎である、請求項1記載のガウジング方法。
  3. 【請求項3】ノズルの中心軸は、放電電極の中心軸に対
    して傾斜又は偏芯し、ノズル部材を回転駆動することに
    より、ノズルより吹出るプラズマ炎全体を回転させる、
    請求項2記載のガウジング方法。
  4. 【請求項4】ノズルから加工対象材までの、プラズマ炎
    の流れ方向の距離が長い回転角度において、プラズマ炎
    の流れ方向の距離が短い回転角度のときよりもア−ク電
    流を高値とする請求項2又は請求項3記載のガウジング
    方法。
  5. 【請求項5】ノズルから加工対象材までの、プラズマ炎
    の流れ方向の距離が最短となる回転位置を基点とし、基
    点から45°以上315°以下の回転範囲においてア−
    ク電流を、315°を越え45°未満の回転範囲のとき
    よりも高値とする、請求項4記載のガウジング方法。
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