JP3365451B2 - ポリウレタン樹脂 - Google Patents

ポリウレタン樹脂

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JP3365451B2 JP20343794A JP20343794A JP3365451B2 JP 3365451 B2 JP3365451 B2 JP 3365451B2 JP 20343794 A JP20343794 A JP 20343794A JP 20343794 A JP20343794 A JP 20343794A JP 3365451 B2 JP3365451 B2 JP 3365451B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリウレタン樹脂、ポ
リウレタン系塗料組成物、およびポリウレタン系接着剤
組成物に関するものである。さらに詳しくは、製造時の
作業性が良好で、耐アルコール性、耐候性、可撓性、触
感等に優れたポリウレタン樹脂、また、塗装時の作業性
がよく、耐アルコール性、耐候性、可撓性、触感等に優
れた塗膜が得られるポリウレタン系塗料組成物、さらに
は、調製が容易で、各種のプラスチックや金属等との接
着性に優れたポリウレタン系接着剤組成物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリカプロラクトン系ポリエ
ステルポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応
させて得られるポリウレタン樹脂は、可撓性、耐水性、
低温特性、および耐候性等に優れているため、ポリプロ
ピレングリコール等のポリエーテルポリオールとポリイ
ソシアネート化合物とを反応させて得られるポリウレタ
ン樹脂と並んで、フォーム、接着剤、エラストマー、塗
料等多くの分野に使用されてきた。また、ポリカプロラ
クトン系ポリエステルポリオールとポリイソシアネート
化合物を含有するポリウレタン組成物は、塗料または接
着剤の樹脂成分として、各種プラスチック、金属、紙、
木等多様な素材に対して、それらの表面保護あるいは意
匠性の付与、または相互の接着を目的として広く利用さ
れている。
【0003】このような分野で使用されるポリウレタン
樹脂、ポリウレタン組成物には、そのポリオール成分と
して、2価または3価の多価アルコールを開始剤とし、
これにカプロラクトンを開環重合させて得られる末端水
酸基のポリエステルポリオールを使用することが知られ
ている。この種のポリエステルポリオールは、耐熱性、
機械特性、耐水性に優れたポリウレタン樹脂は得られる
ものの、融点が高く(40〜60℃)、常温ではワック
ス状の固体であることから、これを使用するに当たって
予め溶融させなければならないうえ、タンク、配管等の
保温を要し、高粘度であるため取扱いが難しく、作業性
が極めて悪いという欠点を有していた。また、従来から
のこの種のポリエステルポリオールを用いて得られるポ
リウレタン樹脂皮膜は、手で触れて感じられる「触感」
が満足できるレベルになく、より高い高級感を求められ
る分野には使用できないという問題もあった。
【0004】上記問題の解決策として、側鎖を有する多
価アルコールと多塩基酸またはその無水物を脱水エステ
ル化反応させることによりポリエステルポリオールを
得、次いでこのポリエステルポリオールとε−カプロラ
クトンとをエステル交換反応せしめるという、ポリカプ
ロラクトン系ポリエステルポリオールの製造方法が提案
されている(例えば特公平3−57133号公報等参
照)。しかしながら、この方法によって得られるポリエ
ステルポリオールは、常温下で液状または融点が常温に
近いという点では好ましいものであるが、分子中に存在
する官能基の数が少ないことに起因し、これを用いたポ
リウレタン組成物を硬化させるには高温、かつ、長時間
を必要とし、また、ポリウレタン組成物を塗料として使
用する際には、塗装作業等の作業性、作業効率が極めて
悪いという別の欠点を有し、根本的な解決とはならな
い。
【0005】上記問題の他の解決策として、一分子当り
水酸基を3または4以上含有した脂肪族ポリオール(多
価アルコール)とジカルボキシル酸または無水物との反
応により水酸基含有ポリエステルを生成させ、次に、こ
のポリエステルを、得られるポリエステルの重量で10
〜60%に相当する量のε−カプロラクトンと反応させ
る、変性ポリエステルの製法(例えば特開昭50−13
5197号公報参照)も提案されている。しかしなが
ら、この製法においては、水酸基含有ポリエステルを生
成せしめるのに使用する多価アルコールの官能基の数が
多いため、エステル化反応の途中で、ゲル化または不溶
化等を生じるという大きな欠点を有しており、ポリエス
テルポリオールの製造自体に問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来か
らの技術課題を解決しようとするものであり、ポリカプ
ロラクトン系ポリエステルポリオールとポリイソシアネ
ート化合物とを反応させて得られ、耐アルコール性、耐
候性、可撓性、触感等に優れ、また、製造時の作業性に
も優れたポリウレタン樹脂を提供すること、ポリカプロ
ラクトン系ポリエステルポリオールとポリイソシアネー
ト化合物を含有し、塗装時の作業性がよく、これを硬化
させることにより耐アルコール性、耐候性、可撓性、触
感等に優れた樹脂塗膜が得られるポリウレタン系塗料組
成物を提供すること、および、調製が容易で各種のプラ
スチックや金属等との接着性に優れたポリウレタン系接
着剤組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、末端に水酸基を有
する特定のポリエステルと炭素数3〜15の3価以上の
多官能アルコールに、ε−カプロラクトンを開環重合さ
せ、さらにこれらの開環重合生成物同士をエステル交換
反応させて得られる低融点のポリカプロラクトン系ポリ
エステルポリオールとジイソシアネート等のポリイソシ
アネート化合物とを反応させて得られるポリウレタン樹
脂、および上記ポリカプロラクトン系ポリエステルポリ
オールとポリイソシアネート化合物を含有する組成物に
より前記課題が解決できることを見い出し、この知見に
基づいて本発明を完成したものである。
【0008】しかして、本発明においては、上記課題を
解決するため次のような手段を講じている。すなわち、
請求項1記載のポリウレタン樹脂においては、ポリエス
テルポリオール(PO)とポリイソシアネート化合物
(PI)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂であ
って、上記ポリエステルポリオール(PO)が、下記の
ポリエステルポリオール(PO−1)〜ポリエステルポ
リオール(PO−4)よりなる群から選ばれた少なくと
も1種のポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール
であるものという手段を講じている。
【0009】(a)ポリエステルポリオール(PO−
1):炭素数2〜10の2価および/または3価の多価
アルコールと多塩基酸またはその酸無水物との反応によ
り得られ、分子量が200〜5000の範囲である末端
に水酸基を有するポリエステル(A)と炭素数3〜15
の3価以上の多官能アルコール(B)に、ε−カプロラ
クトン(C)を開環重合させ、さらにこれらの開環重合
生成物同士をエステル交換反応させて得られ、その数平
均分子量が1000〜10000の範囲であるポリカプ
ロラクトン系ポリエステルポリオール、 (b)ポリエステルポリオール(PO−2):上記多官
能アルコール(B)にε−カプロラクトン(C)を開環
重合させ、この開環重合生成物(Bc)と上記ポリエス
テル(A)をエステル交換反応させて得られ、その数平
均分子量が1000〜10000の範囲であるポリカプ
ロラクトン系ポリエステルポリオール、
【0010】(c)ポリエステルポリオール(PO−
3):上記ポリエステル(A)にε−カプロラクトン
(C)を開環重合させ、この開環重合生成物(Ac)と
上記多官能アルコール(B)をエステル交換反応させて
得られ、その数平均分子量が1000〜10000の範
囲であるポリカプロラクトン系ポリエステルポリオー
ル、 (d)ポリエステルポリオール(PO−4):上記ポリ
エステル(A)にε−カプロラクトン(C)を開環重合
させた開環重合生成物(Ac)と、上記多官能アルコー
ル(B)にε−カプロラクトン(C)を開環重合させた
開環重合生成物(Bc)をエステル交換反応させて得ら
れ、その数平均分子量が1000〜10000の範囲で
あるポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール。
【0011】また、請求項6記載のポリウレタン系塗料
組成物においては、ポリエステルポリオール(PO)と
ポリイソシアネート化合物(PI)を含有する塗料組成
物であって、上記ポリエステルポリオール(PO)が、
請求項1記載のポリエステルポリオール(PO−1)〜
ポリエステルポリオール(PO−4)よりなる群から選
ばれた少なくとも1種のポリカプロラクトン系ポリエス
テルポリオールであるものという手段を講じている。
【0012】さらに、請求項8記載のポリウレタン系接
着剤組成物においては、ポリエステルポリオール(P
O)とポリイソシアネート化合物(PI)を含有する接
着剤組成物であって、上記ポリエステルポリオール(P
O)が、請求項1記載のポリエステルポリオール(PO
−1)〜ポリエステルポリオール(PO−4)よりなる
群から選ばれた少なくとも1種のポリカプロラクトン系
ポリエステルポリオールであるものという手段を講じて
いる。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本
発明に係るポリウレタン樹脂について説明する。本発明
のポリウレタン樹脂の第1の原料は、ポリエステルポリ
オール(PO)である。このポリエステルポリオール
(PO)としては、前記(段落[0009]参照)のポ
リエステルポリオール(PO−1)〜ポリエステルポリ
オール(PO−4)よりなる群から選ばれた少なくとも
1種のポリカプロラクトン系ポリエステルポリオールを
使用することが必要である。
【0014】これらのポリエステルポリオール(PO)
(ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール)は、
いずれも前記特定のポリエステル(A)、多官能アルコ
ール(B)、およびε−カプロラクトン(C)の3つの
反応原料を用いて得られるものである。
【0015】ポリエステル(A)(第1の反応原料)
は、炭素数2〜10の2価および/または3価の多価ア
ルコールと、多塩基酸またはその酸無水物との反応によ
り得られ、分子量が500〜5000の範囲のものであ
る。
【0016】ポリエステル(A)を得る際に用いられる
多価アルコールは、炭素数2〜10の2価または3価の
アルコールであれば、特に制限はない。その具体例とし
ては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2
−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−
ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペ
ンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プ
ロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−
プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−
プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メ
チル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメ
チル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3
−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキ
サンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル
−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール
等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘ
キサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、
ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香環を有するグ
リコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリ
メチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、
1,2,4−ブタントリオール等が挙げられるが、ここ
に例示されたものに限定されるものではない。中でも好
ましいものは脂肪族グリコールであり、炭素数6以下の
脂肪族グリコールが特に好ましい。これらは、1種を単
独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0017】また、ポリエステル(A)を得る際に用い
られる多塩基酸またはその酸無水物は、2価以上のもの
であれば特に制限はなく、マレイン酸、コハク酸、フマ
ル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカ
ン2酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキ
サヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、トリ
メリット酸等またはそれらの酸無水物等が挙げられる
が、ここに例示されたものに限定されるものではない。
これらは、1種を単独で、または2種以上を混合して用
いることができる。中でも好ましいものは脂肪族多塩基
酸であり、アジピン酸が特に好ましい。
【0018】このポリエステル(A)は、分子量が20
0〜5000の範囲のものである。ポリエステル(A)
の分子量が200未満であるときには、目的とする低融
点のポリエステルポリオールが得られず、また、その分
子量が5000を超えるときには、得られるポリエステ
ルポリオールは粘度が高く作業性の劣ったものとなり、
いずれも本発明の目的を達成することができない。
【0019】このようなポリエステル(A)は、前記の
多価アルコールと多塩基酸またはその酸無水物を、好ま
しくはエステル化触媒の存在下、両者のモル比をn+1
(多価アルコール)/n(多塩基酸またはその酸無水
物)として反応させることによって容易に得ることがで
きる。この反応は、130〜250℃の範囲、好ましく
は、150〜230℃の範囲で行わせるのがよい。13
0℃よりも低い温度ではエステル化反応が遅く、250
℃より高い温度ではエステル鎖の解重合反応が起こり易
く好ましくない。また、この反応は、常圧下または減圧
下で行わせることができるが、減圧下の方が反応速度が
速く好ましい。
【0020】なお、上記反応のエステル化触媒として
は、硫酸、パラトルエンスルホン酸等の強酸、テトラメ
チルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロ
ピルチタネート、テトラブチルチタネート等の有機チタ
ン化合物、ジブチルスズジラウレート、オクチル酸ス
ズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズアセテート
等の有機スズ化合物、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨ
ウ化第一スズ等のハロゲン化第一スズ化合物等の公知の
化合物が使用できる。また、このポリエステル(A)の
1分子当たりの官能基の数(水酸基とカルボキシル基の
合計)は、脱水エステル化反応時の反応系のゲル化を避
ける意味において、平均2.5以下とするのが好まし
い。
【0021】また、上記ポリエステル(A)として好適
なものとしては、クラポールP−2010((株)クラ
レ製、ポリ3−メチル−1,5−ペンチレンアジペー
ト)、ポリライトOD−X−2340(大日本インキ化
学工業(株)製、ポリエチレンアジペート)等が市販さ
れている。
【0022】また、多官能アルコール(B)(第2の反
応原料)は、炭素数3〜15の3価以上の多官能アルコ
ールであり、炭素数3〜15の3価以上のアルコールで
あれば特に制限はない。その具体例としては、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、
1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタン
トリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、
ソルビトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエ
リスリトール等が挙げられるが、ここに例示されたもの
に限定されるものではない。これらは、1種を単独で、
または2種以上を混合して用いることができる。これら
の中では6官能の多官能アルコールが好ましく、ジペン
タエリスリトールが特に好ましい。
【0023】さらに、ε−カプロラクトン(C)(第3
の反応原料)は、シクロヘキサンの酸化により工業的に
製造されており、容易に入手できる。
【0024】本発明のポリウレタン樹脂を得る際に使用
するポリエステルポリオール(PO)は、前記のポリエ
ステル(A)、多官能アルコール(B)、およびε−カ
プロラクトン(C)を反応原料として用い、以下に述べ
る第1〜第4の製造方法の何れかに従い、容易に製造す
ることができる。 第1の製造方法(ポリエステルポリオール(PO−
1)):ポリエステル(A)と多官能アルコール(B)
に、ε−カプロラクトン(C)を開環重合させ、さらに
これらの開環重合生成物同士をエステル交換反応させる
方法、 第2の製造方法(ポリエステルポリオール(PO−
2)):多官能アルコール(B)にε−カプロラクトン
(C)を開環重合させ、この開環重合生成物(Bc)と
ポリエステル(A)をエステル交換反応させる方法、
【0025】第3の製造方法(ポリエステルポリオー
ル(PO−3)):ポリエステル(A)にε−カプロラ
クトン(C)を開環重合させ、この開環重合生成物(A
c)と多官能アルコール(B)をエステル交換反応させ
る方法、 第4の製造方法(ポリエステルポリオール(PO−
4)):ポリエステル(A)にε−カプロラクトン
(C)を開環重合させた開環重合生成物(Ac)と、多
官能アルコール(B)にε−カプロラクトン(C)を開
環重合させた開環重合生成物(Bc)をエステル交換反
応させる方法。
【0026】上記の各製造方法をさらに具体的に説明す
るに、第1の製造方法においては、先ず、反応器に、前
記ポリエステル(A)と前記多官能アルコール(B)と
を所定量仕込み、さらに所定量のε−カプロラクトン
(C)を加え、それぞれの水酸基にε−カプロラクトン
を開環重合させ、さらに、得られた開環重合生成物同士
をエステル交換反応させることが必要である。この製造
方法においては、開環重合時の温度条件は、通常130
〜250℃の範囲、好ましくは150〜230℃の範囲
とするのがよい。また、エステル交換反応時の温度条件
は、好ましくは180〜250℃の範囲、より好ましく
は190〜230℃の範囲の温度条件で行わせるのがよ
い。エステル交換反応させるときの温度が180℃より
低いと、エステル交換反応が十分に行われず、250℃
よりも高いと、エステル鎖の解重合反応が起こり易いか
らである。
【0027】この際のポリエステル(A)および多官能
アルコール(B)の種類、仕込量、これらに対するε−
カプロラクトンの仕込量等は、最終的に得ようとするポ
リエステルポリオールの特性、特に分子量、ε−カプロ
ラクトン成分含有量および平均官能基数(f)等を勘案
して適宜決定することができる。
【0028】エステル交換反応前の反応生成物は、ポリ
エステル(A)のε−カプロラクトン開環重合体と多官
能アルコール(B)のε−カプロラクトン開環重合体と
からなり、この2種のε−カプロラクトン開環重合体よ
りなる混合物は、融点が高く、目的とするポリエステル
ポリオールとはなり得ない。この製造方法では、上記2
種のε−カプロラクトン開環重合体よりなる混合物を、
前記範囲の温度条件に加熱、攪拌し、分子内、分子間の
エステル交換反応を十分に行わせることによって、カプ
ロラクトン鎖と他のポリエステル鎖がランダムに配列し
た構造の低融点のランダム共重合ポリエステルポリオー
ルを得ることができるのである。またこの場合、エステ
ル交換反応と併行して、一部低分子グリコール成分の脱
離、留出に伴う重縮合反応も起り得るが、得られるポリ
エステルポリオールの実用上の特性には影響を及ぼさな
い。
【0029】ε−カプロラクトンの開環重合には、通
常、開環反応触媒が使用され、また、ε−カプロラクト
ンの開環重合、エステル交換反応中は、得られるポリエ
ステルポリオールの着色等を防止する目的で、反応系内
に窒素ガス等の不活性ガスを通じるのが好ましい。開環
反応触媒としては、例えばテトラメチルチタネート、テ
トラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テ
トラブチルチタネート等の有機チタン化合物、ジブチル
スズジラウレート、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキ
サイド、ジブチルスズアセテート等の有機スズ化合物、
塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ等のハロ
ゲン化第一スズ化合物が挙げられる。さらに種々の金属
のアセチルアセトナート化合物、有機カルボン酸金属塩
も用いることができる。なかでも有機チタン化合物が、
エステル交換反応に対しても十分な触媒活性を示すため
好ましい。触媒の添加量は、反応系全体に対し、通常、
0.01〜1000ppmの範囲であり、好ましくは
0.1〜100ppmの範囲である。
【0030】また、第2〜第4の製造方法は、開環重合
生成物(Bc)および開環重合生成物(Ac)の一方、
または両方を別々に得る点で上記第1の製造方法と異な
り、別に得られた開環重合生成物(Bc)とポリエステ
ル(A)、別に得られた開環重合生成物(Ac)と多官
能アルコール(B)、または別々に得られた開環重合生
成物(Bc)と開環重合生成物(Ac)をエステル交換
反応させる方法である。
【0031】これら第2〜第4の製造方法においても、
ポリエステル(A)または多官能アルコール(B)の水
酸基へのε−カプロラクトンの開環重合、および各々の
エステル交換反応は、ともに第1の製造方法におけると
同様の温度条件で行わせることができる。
【0032】上記第1〜第4の各製造方法においては、
最終的に得られるポリエステルポリオールの分子量、ε
−カプロラクトン成分含有量および平均官能基数(f)
は、原料として使用するポリエステル(A)および多官
能アルコール(B)の種類および仕込量、ならびに、こ
れらに対するε−カプロラクトンの仕込量等を種々変更
することによって調節することができる。
【0033】本発明で用いる各ポリエステルポリオール
(PO)は、いずれも数平均分子量が1000〜100
00の範囲のものであることが必要である。数平均分子
量が1000未満のものを用いると、十分な皮膜強度の
ポリウレタン樹脂が得られず、また、10000を超え
るものは粘度が高くて作業性が劣り、いずれも好ましく
ない。数平均分子量が1000〜10000の範囲であ
るポリエステルポリオールは、低融点であり作業性が良
好であるとともに、得られるポリウレタン樹脂は、耐ア
ルコール性、耐候性、触感等に優れ、好適である。ここ
で数平均分子量とは、ゲルパーミエーション・クロマト
グラフ法(以下、「GPC法」と略記する。)により測
定された標準ポリスチレン換算の数平均分子量を意味す
る。
【0034】また、本発明で用いる各ポリエステルポリ
オール(PO)は、ε−カプロラクトン成分含有量が3
0〜90重量%の範囲であるものが好ましい。ε−カプ
ロラクトン成分含有量が30重量%未満のものは、得ら
れるポリウレタン樹脂の耐水性や低温での強度、伸度等
の低温特性が低下する傾向を示し、また、90重量%を
超えるものは、ポリカプロラクトンの結晶性に起因して
融点が高く、いずれも好ましくない。さらに、上記各ポ
リエステルポリオール(PO)は、ε−カプロラクトン
(C)のみを開環重合させたものに限定されず、ε−カ
プロラクトンとβ−メチル−δ−バレロラクトンのよう
な他の環状ラクトンとを併用して開環重合させたもので
あってもよい。この場合、上記他の環状ラクトン成分含
有量は、全ラクトン成分含有量の50%以下の範囲とす
るのが好ましい。
【0035】また、本発明で用いる各ポリエステルポリ
オール(PO)は、次の式(1)で定義される1分子中
の平均官能基数(f)が2.5以上であるものが好まし
く、より好ましくは3.5〜6の範囲のものである。
【0036】
【数2】 f = (ax+by)/(x+y) (1) 但し、(1)式において、fは、ポリエステルポリオー
ル(PO)の平均官能基数、aは、ポリエステル(A)
の官能基数、bは、多官能アルコール(B)の官能基
数、xは、ポリエステル(A)のモル数、yは、多官能
アルコール(B)のモル数、を、それぞれ意味する。こ
こで、官能基とは、ポリエステル(A)においては水酸
基およびカルボキシル基を意味し、多官能アルコール
(B)においては水酸基を意味する。但し、ポリエステ
ル(A)におけるカルボキシル基の数は、水酸基の数に
比べて少なく、通常は後記酸価が5KOHmg/gを超
えることはない。上記のfが、2.5未満のものは硬化
速度が遅く、また、6を超えるものは可使時間が極端に
短いため、いずれも好ましくない。
【0037】本発明で用いる各ポリエステルポリオール
(PO)は、いずれもカプロラクトン鎖と他のポリエス
テル鎖がランダムに配列した構造の、低融点のランダム
共重合ポリエステルポリオールであり、これらは同等に
使用できる。
【0038】本発明のポリウレタン樹脂の第2の原料
は、ポリイソシアネート化合物(PI)である。このポ
リイソシアネート化合物(PI)としては、従来よりポ
リウレタン樹脂の製造に用いられているポリイソシアネ
ートであれば特に制限はなく、各種のポリイソシアネー
ト化合が使用できる。その具体例としては、例えば2,
4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)また
は2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TD
I)およびこれらの混合物、キシリレンジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(M
DI)、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジ
イソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネ
ート、リジンジイソシアネート、2,2,4−または
2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネー
トおよびこれらの混合物、1,6−ヘキサメチレンジイ
ソシアネート(HMDI)、メチルシクロヘキサンジイ
ソシアネート(水添TDI)、1−イソシアネート−3
−イソシアネートメチル−3,5,5トリメチルシクロ
ヘキサン(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメ
タンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキ
シル−4,4’−ジイソシアネート等の有機ジイソシア
ネート;さらには、トリメチロールプロパン1モルと、
2,4−または2,6−TDI、HMDIまたはIPD
I等の有機ジイソシアネート3モルから合成されるアダ
クト体;2,4−または2,6−TDI、HMDIまた
はIPDI等のイソシアネート基の環状三量化によって
合成されるイソシアヌレート体;水1モルと1,6−ヘ
キサメチレンジイソシアネート3モルから合成される部
分ビュレット反応物;等が挙げられる。これらは単独で
の使用、または、2種以上の混合使用のいずれであって
もよい。
【0039】本発明に係るポリウレタン樹脂は、ポリエ
ステルポリオール(PO)として、前記ポリエステルポ
リオール(PO−1)〜ポリエステルポリオール(PO
−4)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリカ
プロラクトン系ポリエステルポリオールを用い、このポ
リエステルポリオール(PO)とポリイソシアネート化
合物(PI)とを反応させて得られたものである。反応
に用いる両者の割合は特に限定されるものではないが、
一般的には、ポリエステルポリオール(PO)中に含ま
れる水酸基1当量に対するポリイソシアネート化合物
(PI)中に含まれるイソシアネート基の割合(以下、
これを「NCO比」という。)を、0.6〜1.6当量
の範囲として反応させて得られたものである。しかしな
がら、本発明に係るポリウレタン樹脂においては、耐ア
ルコール性、耐候性、および触感がともに優れていると
いう点からは、NCO比を0.8〜1.4当量の範囲と
して反応させて得られたものが好ましく、さらには0.
9〜1.2当量の範囲として反応させて得られたものが
特に好ましい。
【0040】上記NCO比を0.6当量未満として反応
させるときには、硬化反応が十分に進行せず、得られる
ポリウレタン樹脂の耐アルコール性、耐候性が低下する
傾向を示すので好ましくなく、また、NCO比が1.6
当量を超えるときには硬化反応の進行には問題ないもの
の、このように硬化剤を過剰に使用すると、得られるポ
リウレタン樹脂の皮膜が硬くなり、触感が損なわれる傾
向を示し、いずれも好ましくない。
【0041】本発明に係るポリウレタン樹脂は、ポリエ
ステルポリオール(PO)として前記ポリエステルポリ
オール(PO−1)〜ポリエステルポリオール(PO−
4)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のポリカプ
ロラクトン系ポリエステルポリオールを用い、このポリ
エステルポリオール(PO)とポリイソシアネート化合
物(PI)とを、NCO比を上記範囲から適宜選択し反
応させることによって、容易に得ることができる。上記
反応は、有機溶剤の不存在下、存在下のいずれでも行わ
せることができるが、通常は有機溶剤の存在下である方
が好ましい。ポリエステルポリオール(PO)およびポ
リイソシアネート化合物(PI)の一方または両方に、
有機溶剤を添加して反応混合液の初期粘度を調整するこ
とにより、反応操作の作業性を良好な条件に設定し得る
からである。
【0042】この際に使用される溶剤は、ポリエステル
ポリオール(PO)とポリイソシアネート化合物(P
I)とに対し不活性で、両者の反応を阻害しないものの
中から選ばれる。使用できる溶剤の具体例としては、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン、テト
ラヒドロフラン等のエーテル類;トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル類;クロルベンゼン、トリクレン、パークレン等の
ハロゲン化炭化水素類;およびこれらの2種以上の混合
物が挙げられる。活性水素を有する溶媒であるアルコー
ル類等は、イソシアネート基と反応するため好ましくな
い。
【0043】また、本発明のポリウレタン樹脂の製造す
る際には、必要に応じ、トリエチルアミンやジメチルア
ニリン等の3級アミン系触媒、スズまたは亜鉛等の金属
系触媒等のウレタン化触媒等を、用いることもできる。
【0044】このようにして製造される本発明のポリウ
レタン樹脂は、耐アルコール性、耐候性、可撓性、触感
等が極めて優れている。また、これを製造する際には、
前記特定のポリエステルポリオール(PO)を使用する
ので、硬化前の可使時間が十分長く、硬化時間は短く、
さらに作業性も極めて良好である。
【0045】本発明のポリウレタン樹脂には、改質剤と
して、このポリウレタン樹脂の特性を損なわない範囲に
おいて、必要に応じこのポリウレタン樹脂と相溶性を有
する樹脂を含有させることもできる。相溶性を有する樹
脂としては、硝化綿、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリ
プロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体またはその塩
素化物、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、およびこのポリウレタン樹脂と
異なる構造のポリウレタン樹脂等が挙げられる。このよ
うな副成分を含有するポリウレタン樹脂は、通常ポリエ
ステルポリオール(PO)の方にこれらの樹脂を添加し
ておき、これとポリイソシアネート化合物(PI)とを
反応させることによって、容易に得ることができる。
【0046】さらに、本発明のポリウレタン樹脂には、
このポリウレタン樹脂の特性を損なわない範囲におい
て、必要に応じ着色剤、有機溶剤、流動性および表面皮
膜を改良するための界面活性剤、ワックス、その他の添
加剤を適宜配合することもできる。
【0047】ポリエステルポリオール(PO)とポリイ
ソシアネート化合物(PI)を含有する塗料組成物であ
って、ポリエステルポリオール(PO)が、前記ポリエ
ステルポリオール(PO−1)〜ポリエステルポリオー
ル(PO−4)よりなる群から選ばれた少なくとも1種
のポリカプロラクトン系ポリエステルポリオールである
ポリウレタン系塗料組成物は、可使時間が十分長くて硬
化時間が短く、かつ、塗装時の作業性がよく、この組成
物を硬化させることによって耐アルコール性、耐候性、
可撓性、触感等に優れた樹脂塗膜が得られる。なお、こ
の組成物には、ポリエステルポリオール(PO)および
ポリイソシアネート化合物(PI)の一方または両方に
予め有機溶剤を添加して、その粘度を調整することもで
きる。所望する塗膜厚みや塗装の対象となる材質表面の
特性に応じて組成物の粘度を調整することにより、所定
の厚みの外観が良好な塗膜を効率よく形成させることが
できる。
【0048】さらに、このポリウレタン系塗料組成物に
は、この組成物および塗膜の特性を損なわない範囲にお
いて、必要に応じこの組成物と相溶性を有する樹脂、着
色剤、流動性および表面塗膜を改良するための界面活性
剤、ワックス等の、前記ポリウレタン樹脂におけると同
様の改質剤を適宜含有させることができる。
【0049】ポリエステルポリオール(PO)とポリイ
ソシアネート化合物(PI)を含有する接着剤組成物で
あって、ポリエステルポリオール(PO)が、前記ポリ
エステルポリオール(PO−1)〜ポリエステルポリオ
ール(PO−4)よりなる群から選ばれた少なくとも1
種のポリカプロラクトン系ポリエステルポリオールであ
るポリウレタン系接着剤組成物は、可使時間が十分長
く、硬化時間が短く、かつ、調製が容易で硬化時に優れ
た接着性を発揮し、この組成物を硬化させることによっ
て、各種のプラスチックや金属等を強力に接着する接着
層を形成させることができる。
【0050】なお、この組成物には、ポリウレタン系塗
料組成物におけると同様、ポリエステルポリオール(P
O)およびポリイソシアネート化合物(PI)の一方ま
たは両方に、予め有機溶剤を添加して、その粘度を調整
することもできる。所望する接着層の厚みや接着の対象
となる材質表面の特性に応じて、組成物の粘度を調整す
ることにより、所定の厚みの接着層を効率よく形成させ
ることができる。さらに、このポリウレタン系接着剤組
成物には、この組成物および接着層の特性を損なわない
範囲において、この組成物と相溶性を有する樹脂、着色
剤、流動性等を改良するための界面活性剤、ワックス等
の、前記ポリウレタン樹脂におけると同様の改質剤を適
宜含有させることができる。
【0051】
【実施例】次に、本発明を、実施例および比較例により
更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えな
い限りこれらの実施例の記載に限定されるものではな
い。なお、以下の記載(表1〜表2を含む)において、
「部」は重量部、「%」は重量%を、それぞれ意味す
る。なお、後記の実施例および比較例で使用したポリエ
ステルポリオールは、以下に記載の方法により合成した
ものである。ここで、ポリエステルポリオール合成に使
用したポリエステル(A)の水酸基価および酸価、なら
びに得られたポリエステルポリオールの水酸基価、酸
価、数平均分子量、および融点は、それぞれ以下に記載
の方法によって測定したものである。
【0052】また、ポリエステルポリオールのf値は、
用いたポリエステル(A)および多官能アルコール
(B)の官能基数と仕込量から、前記式(1)により算
出したものであり、ε−カプロラクトン含有量は、ポリ
エステル(A)、多官能アルコール(B)およびε−カ
プロラクトンの仕込量から計算で求めたものである。
【0053】(1)水酸基価(KOHmg/g) JIS K1557(6.4項)に準拠し、無水フタル
酸−ピリジン法にて測定した。 (2)酸価(KOHmg/g) JIS K1557(6.6項)に準拠し、1/50N
−KOHメタノール溶液による指示薬滴定法により測定
した。 (3)数平均分子量 GPC法により、東ソー(株)製GPC装置HLC−8
020型(カラム:G3000HXL/G4000HX
L/G6000HXL)を用いて測定し、標準ポリスチ
レン換算の数平均分子量で示した。なお、末端に水酸基
を有するポリエステル(A)の分子量は、末端基定量法
により求めたものである。 (4)融点 示差走差熱量計(セイコー電子工業(株)製DSC−2
0)を用い、昇温速度20℃/分とし、−150〜15
0℃の温度範囲で測定し、得られた融解曲線の吸熱開始
から終了までの温度範囲で示した。
【0054】合成例1: (1)ポリエステル(A)の合成 攪拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を備えた四つ
口フラスコに、アジピン酸1476.6部、1,4−ブ
タンジオール1000.1部、およびテトラブチルチタ
ネート0.02部を仕込み、反応系に窒素を流しながら
150℃から220℃の温度で24時間の脱水エステル
化反応を行い、末端に水酸基を有するポリエステルを得
た。得られたポリエステルについて、前記の方法により
各項目を測定した結果、分子量2004、酸価0.5K
OHmg/g、水酸基価56.0KOHmg/gであっ
た。
【0055】(2)ポリエステルポリオールの合成 攪拌機、温度計、および窒素導入管を備えた三つ口フラ
スコに、上記(1)で得られたポリエステル600.0
部、ジペンタエリスリトール121.7部、ε−カプロ
ラクトン1678.3部、およびテトラブチルチタネー
ト0.02部を仕込み、反応系に窒素を流しながら21
0℃で6時間の加熱攪拌を行い、ε−カプロラクトンの
開環重合ならびにエステル交換反応を行わせることによ
って、ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール
(これを「PO−a」という。)を得た。PO−aに関
し、前記の方法により、各項目について測定した。その
結果を、用いた原料等の種類、量、ならびに反応条件と
ともに、表1に示した。
【0056】合成例2:合成例1に記載の例において、
用いた原料等の量および反応時間を表1記載のとおりに
変更したほかは、同例におけると同様にして、ポリカプ
ロラクトン系ポリエステルポリオール(これを「PO−
b」という。)を得た。PO−bに関し、同例における
と同様の方法により各項目について測定した。その結果
を、同じく表1に示した。
【0057】合成例3:合成例1に記載の例において、
ポリエステル(A)としてポリ3−メチル−1,5−ペ
ンチレンアジペート(分子量2003、酸価0.6KO
Hmg/g、水酸基価56.1KOHmg/g、(株)ク
ラレ製、クラポールP−2010)を用い、各原料等の
量および反応時間を表1記載のとおりに変更したほか
は、同例におけると同様にして、ポリカプロラクトン系
ポリエステルポリオール(これを「PO−c」とい
う。)を得た。PO−cに関し、同例におけると同様の
方法により各項目について測定した。その結果を、同じ
く表1に示した。
【0058】合成例4:合成例1に記載の例において、
ポリエステル(A)としてポリエチレンアジペート(分
子量1972、酸価0.6KOHmg/g、水酸基価5
6.9KOHmg/g、大日本インキ化学工業(株)製、
ポリライトOD−X−2340)を、多官能アルコール
(B)としてトリメチロールプロパンを用い、各原料等
の量および反応温度、反応時間を表1記載のとおりに変
更したほかは、同例におけると同様にして、ポリカプロ
ラクトン系ポリエステルポリオール(これを「PO−
d」という。)を得た。PO−dに関し、同例における
と同様の方法により各項目について測定した。その結果
を、同じく表1に示した。
【0059】比較合成例1:合成例1に記載の例におい
て、多官能アルコール(B)を仕込まず、これ以外の各
原料等の量および反応時間を表1記載のとおりに変更し
たほかは、同例におけると同様にして、ポリエステルポ
リオール(これを「PO−r」という。)を得た。PO
−rに関し、同例におけると同様の方法により各項目に
ついて測定した。その結果を、同じく表1に示した。
【0060】
【表1】
【0061】実施例1:合成例1で得られたポリエステ
ルポリオール(PO−a)76.9部にHMDI三量体
(三菱化成(株)製ポリイソシアネート硬化剤、商品
名:マイテックNY730A、)23.1部を配合し
て、NCO比が1.1当量のポリカプロラクトン系の樹
脂組成物を調製した。この樹脂組成物を用いて、各々下
記に記載の方法によって硬化特性を測定するとともに、
硬化樹脂の特性を評価した。
【0062】(1)硬化特性の測定方法 イ.硬化時間 調製した樹脂組成物をポリエチレンシートの表面に塗布
し、温度60℃の硬化条件下に放置し、指で触れた際に
べたつきが感じられなくなるまでの時間(min.)を
硬化時間とした。 ロ.可使時間 配合直後の樹脂組成物を温度23℃の条件下に放置し、
温度25℃の条件で測定したそれらの粘度が配合直後の
組成物の2倍の粘度になるまでの時間(hr.)を、こ
の組成物の可使時間とした。なお、粘度は、回転粘度計
((株)東京計器製VISCONIC EHD−R)を
用い、回転数20〜100rpm、標準ロータ(1°3
4’)で測定した。
【0063】(2)硬化樹脂の特性評価方法 イ.耐アルコール性 調製した樹脂組成物を厚さ2mmのABS樹脂板の表面
に塗布し、温度80℃の硬化条件下で24時間放置し
て、ポリウレタン樹脂よりなる塗膜を形成させた。次い
で、この塗膜の表面をエタノールを含浸させた脱脂綿で
繰り返しラビングし、50回ラビングした後の塗膜の外
観を目視観察することにより評価した。評価結果は次の
4段階で表示した。 ◎:変化が全く認められなかったもの ○:塗膜の剥離が若干認められたもの △:塗膜の一部が脱落したもの ×:塗膜が完全に脱落したもの
【0064】ロ.耐候性 上記イ.の評価におけると同様の方法で形成したポリウ
レタン樹脂塗膜について、フェードメーター(紫外線ス
ーパーフェードメーターFAL−SP型、スガ試験機
(株)製)を用い、JIS D0205(7.7項)に
準拠し、600時間経過後の塗膜の外観を目視観察す
ることによって耐候性を評価した。 評価結果は次の4
段階で表示した。 ◎:変化が全く認められなかったもの ○:塗膜の剥離が若干認められたもの △:塗膜の一部が脱落したもの ×:塗膜が完全に脱落したもの
【0065】ハ.触感 上記イ.の評価におけると同様の方法で形成したポリウ
レタン樹脂塗膜について、指で触れた際の総合的な感触
より判断し、その結果を次の4段階で表示した。 ◎:非常に良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良 これらの測定および評価の結果を、配合割合とともに後
記表2に示した。
【0066】実施例2〜実施例6、比較例1:実施例1
に記載の例にあいて、ポリエステルポリオールの種類お
よび量、並びにHMDI三量体(三菱化成(株)製ポリ
イソシアネート硬化剤、商品名:マイテックNY730
A、)の量(NCO比)を、各々表記2に記載のように
変更したほかは同例におけると同様にして、ポリカプロ
ラクトン系の樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物を用
いて、同例におけると同様の方法によって硬化特性を測
定するとともに、硬化樹脂の特性を評価した。結果は、
同じく後記表2に示した。
【0067】
【表2】
【0068】上記の各実施例および比較例から、次のこ
とがことが明らかとなる。 (1)実施例1〜4におけるポリウレタン系樹脂組成物
は、可使時間が十分長く、硬化時間の短いという優れた
硬化特性を有し、この組成物を硬化させることによっ
て、耐アルコール性、耐候性、および触感がともに優れ
たポリウレタン樹脂が得られる。 (2)実施例5〜6におけるポリウレタン系樹脂組成物
は、可使時間が十分長く、硬化時間の短いという優れた
硬化特性を有し、この組成物を硬化させることによっ
て、耐アルコール性、耐候性、および触感が、実施例1
〜4の組成物から得られるものに準じて優れたポリウレ
タン樹脂が得られる。 (3)これに対し、比較例1におけるポリウレタン系樹
脂組成物は、硬化に長時間を要するうえ、耐アルコール
性、耐候性、および触感がともに劣ったポリウレタン樹
脂しか得られない。
【0069】
【発明の効果】本発明は、次のような優れた特性を有
し、広範な用途に使用できるポリウレタン樹脂、ポリウ
レタン系塗料組成物、およびポリウレタン系接着剤組成
物が提供できるという有利な効果を奏する。 (1)本発明のポリウレタン樹脂は、耐アルコール性、
耐候性、可撓性および触感に優れ、その製造が容易であ
る。 (2)本発明のポリウレタン系塗料組成物は、可使時間
が十分長く、硬化時間が短く、かつ、塗装時の作業性が
よく、この組成物を硬化させることによって耐アルコー
ル性、耐候性、可撓性、触感等に優れた樹脂塗膜が得ら
れる。 (3)本発明のポリウレタン系接着剤組成物は、可使時
間が十分長く、硬化時間が短く、かつ、調製が容易で硬
化時に優れた接着性を発揮し、この組成物を硬化させる
ことによって各種のプラスチックや金属等を強力に接着
する接着層を形成させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 18/00 - 18/87 C08G 63/00 - 63/91 C09D 175/04 - 175/12 C09J 175/04 - 175/12

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルポリオール(PO)とポリ
    イソシアネート化合物(PI)とを反応させて得られる
    ポリウレタン樹脂であって、上記ポリエステルポリオー
    ル(PO)が、下記のポリエステルポリオール(PO−
    1)〜ポリエステルポリオール(PO−4)よりなる群
    から選ばれた少なくとも1種のポリカプロラクトン系ポ
    リエステルポリオールであることを特徴とするポリウレ
    タン樹脂。 (a)ポリエステルポリオール(PO−1):炭素数2
    〜10の2価および/または3価の多価アルコールと多
    塩基酸またはその酸無水物との反応により得られ、分子
    量が200〜5000の範囲である末端に水酸基を有す
    るポリエステル(A)と炭素数3〜15の3価以上の多
    官能アルコール(B)に、ε−カプロラクトン(C)を
    開環重合させ、さらにこれらの開環重合生成物同士をエ
    ステル交換反応させて得られ、その数平均分子量が10
    00〜10000の範囲であるポリカプロラクトン系ポ
    リエステルポリオール、 (b)ポリエステルポリオール(PO−2):上記多官
    能アルコール(B)にε−カプロラクトン(C)を開環
    重合させ、この開環重合生成物(Bc)と上記ポリエス
    テル(A)をエステル交換反応させて得られ、その数平
    均分子量が1000〜10000の範囲であるポリカプ
    ロラクトン系ポリエステルポリオール、 (c)ポリエステルポリオール(PO−3):上記ポリ
    エステル(A)にε−カプロラクトン(C)を開環重合
    させ、この開環重合生成物(Ac)と上記多官能アルコ
    ール(B)をエステル交換反応させて得られ、その数平
    均分子量が1000〜10000の範囲であるポリカプ
    ロラクトン系ポリエステルポリオール、 (d)ポリエステルポリオール(PO−4):上記ポリ
    エステル(A)にε−カプロラクトン(C)を開環重合
    させた開環重合生成物(Ac)と、上記多官能アルコー
    ル(B)にε−カプロラクトン(C)を開環重合させた
    開環重合生成物(Bc)をエステル交換反応させて得ら
    れ、その数平均分子量が1000〜10000の範囲で
    あるポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール。
  2. 【請求項2】 ポリエステルポリオール(PO)中に含
    まれる水酸基1当量に対するポリイソシアネート化合物
    (PI)中に含まれるイソシアネート基の割合を、0.
    6〜1.6当量の範囲として反応させて得られたもので
    あることを特徴とする請求項1記載のポリウレタン樹
    脂。
  3. 【請求項3】 ポリエステルポリオール(PO)が、ε
    −カプロラクトン成分を30〜90重量%の範囲で含有
    するものであることを特徴とする請求項1または請求項
    2記載のポリウレタン樹脂。
  4. 【請求項4】 ポリエステルポリオール(PO)が、次
    の式(1)で定義される平均官能基数(f)が2.5以
    上のものであることを特徴とする請求項1〜請求項3の
    いずれか1項に記載のポリウレタン樹脂。 【数1】 f = (ax+by)/(x+y) (1) 但し、(1)式において、 fは、ポリエステルポリオール(PO)の平均官能基
    数、 aは、ポリエステル(A)の官能基数、 bは、多官能アルコール(B)の官能基数、 xは、ポリエステル(A)のモル数、 yは、多官能アルコール(B)のモル数、 を、それぞれ意味する。
  5. 【請求項5】 ポリエステルポリオール(PO)を得る
    のに用いる多官能アルコール(B)が、ジペンタエリス
    リトールであることを特徴とする請求項1〜請求項4の
    いずれか1項に記載のポリウレタン樹脂。
  6. 【請求項6】 ポリエステルポリオール(PO)とポリ
    イソシアネート化合物(PI)を含有する塗料組成物で
    あって、前記ポリエステルポリオール(PO)が、請求
    項1記載のポリエステルポリオール(PO−1)〜ポリ
    エステルポリオール(PO−4)よりなる群から選ばれ
    た少なくとも1種のポリカプロラクトン系ポリエステル
    ポリオールであることを特徴とするポリウレタン系塗料
    組成物。
  7. 【請求項7】 ポリエステルポリオール(PO)中に含
    まれる水酸基1当量に対するポリイソシアネート化合物
    (PI)中に含まれるイソシアネート基の割合が、0.
    6〜1.6当量の範囲であることを特徴とする請求項6
    記載のポリウレタン系塗料組成物。
  8. 【請求項8】 ポリエステルポリオール(PO)とポリ
    イソシアネート化合物(PI)を含有する接着剤組成物
    であって、前記ポリエステルポリオール(PO)が、請
    求項1記載のポリエステルポリオール(PO−1)〜ポ
    リエステルポリオール(PO−4)よりなる群から選ば
    れた少なくとも1種のポリカプロラクトン系ポリエステ
    ルポリオールであることを特徴とするポリウレタン系接
    着剤組成物。
  9. 【請求項9】 ポリエステルポリオール(PO)中に含
    まれる水酸基1当量に対するポリイソシアネート化合物
    (PI)中に含まれるイソシアネート基の割合が、0.
    6〜1.6当量の範囲であることを特徴とする請求項8
    記載のポリウレタン系接着剤組成物。
JP20343794A 1994-08-29 1994-08-29 ポリウレタン樹脂 Expired - Lifetime JP3365451B2 (ja)

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