JP3363271B2 - 移動農機における走行クローラの操向装置 - Google Patents

移動農機における走行クローラの操向装置

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JP3363271B2
JP3363271B2 JP28369094A JP28369094A JP3363271B2 JP 3363271 B2 JP3363271 B2 JP 3363271B2 JP 28369094 A JP28369094 A JP 28369094A JP 28369094 A JP28369094 A JP 28369094A JP 3363271 B2 JP3363271 B2 JP 3363271B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、刈取脱穀できるコンバ
インや、農作業用等の移動農機における左右一対の走行
クローラの操向装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、コンバインやトラクタ等の走
行車両における走行部を、左右一対の走行クローラにて
構成し、左右各走行クローラを、一つの油圧ポンプと油
圧モータとの組により駆動する構成、換言すれば、左右
の走行クローラを左右独立の油圧駆動系統(2ポンプ、
2モータ形式)にて駆動させて、刈取作業時の作物列に
沿っての操向制御と、通常の直進走行制御とを実行する
ことは、例えば特公昭54−34972号公報や、実開
平3−116422号公報等に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この構成によれば、通
常の直進走行制御においては、路面状況による走行クロ
ーラとのスリップが発生し易いから、左右の油圧駆動の
出力をそれぞれ独立的に調節して、左右両側の走行クロ
ーラへ伝達する回転数を等しく調節することが困難であ
った。
【0004】また、直進走行から旋回走行に入るとき、
左右の走行クローラへの動力伝達のタイミング、つま
り、左右の油圧駆動機構の切換えタイミングがずれ易
く、左右の走行クローラへの駆動力の伝達に段差がで
き、走行車両の加減速の変化が激しく直進と旋回との間
で滑らかな移行ができず、旋回フィーリングが悪いとい
う問題があった。
【0005】さらに、走行機体を停止した状態におい
て、誤って左右いずれか一方の油圧駆動機構を作動させ
てしまうと、その場で走行機体が旋回してしまうという
危険があった。
【0006】本発明の目的は、これらの従来の技術の問
題を解決し、直進走行性能、旋回性能を向上させ、操作
し易い走行クローラの操向装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明の走行クローラの操向装置は、
油圧ポンプと油圧モータとから成る走行用の油圧式駆動
手段からの動力を、左右一対の遊星歯車機構の太陽歯車
に入力して走行車両における左右一対の走行クローラへ
の出力軸に伝達させるように構成する一方、油圧ポンプ
と油圧モータとから成る旋回用の油圧式駆動手段からの
動力を、左右一対のパワークラッチと左右一対のパワー
ブレーキ機構を介して前記一方の遊星歯車機構におけ
るリングギヤと他方の遊星歯車機構におけるリングギヤ
とに伝達するように構成し、前記左右一対の遊星歯車機
構、左右一対のパワークラッチ及び左右一対のパワーブ
レーキ機構をミッションケース内に配置し、該ミッショ
ンケースにおける左右両側面の下部寄り部位から、前記
走行クローラへの出力軸を突出させる一方、前記出力軸
及び遊星歯車機構より上方位置に、前記両油圧ポンプ
び両油圧モータと、左右一対のパワークラッチと、左右
一対のパワーブレーキ機構を配置したことを特徴とす
るものである。
【0008】請求項2記載の発明の走行クローラの操向
装置は、油圧ポンプと油圧モータとから成る走行用の油
圧式駆動手段からの動力を、左右一対の遊星歯車機構に
おけるリングギヤに入力して走行車両における左右一対
の走行クローラへの出力軸に伝達させるように構成する
一方、油圧ポンプと油圧モータとから成る旋回用の油圧
式駆動手段からの動力を、左右一対のパワークラッチと
左右一対のパワーブレーキ機構を介して前記一方の遊
星歯車機構における太陽歯車と他方の遊星歯車機構にお
ける太陽歯車とに伝達するように構成し、前記左右一対
の遊星歯車機構、左右一対のパワークラッチ及び左右一
対のパワーブレーキ機構をミッションケース内に配置
し、該ミッションケースにおける左右両側面の下部寄り
部位から、前記走行クローラへの出力軸を突出させる一
方、前記出力軸及び遊星歯車機構より上方位置に、前記
両油圧ポンプ及び両油圧モータと、左右一対のパワーク
ラッチと、左右一対のパワーブレーキ機構を配置した
ことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の作用・効果】従って、請求項1記載の発明によ
れば、走行用の油圧式駆動手段にて直進走行を実行する
とき、左右一対のパワークラッチと左右一対のパワーブ
レーキ機構の作動にて左右一対の遊星歯車機構における
両リングギヤを固定させるから、走行車両における左右
一対の走行クローラへの出力軸に同一方向、同一回転数
を伝達させることができるので、泥濘等走行面の状態が
悪くても、左右の走行クローラの回転数を一致させて直
進走行し易くなり、直進性能が向上する。
【0010】また、走行用の油圧式駆動手段を作動させ
た状態で、旋回用の油圧式駆動手段を作動させ、且つ左
右一対のパワークラッチと左右一対のパワーブレーキ機
を適宜に作動させることにより、任意の走行速度で
且つ任意の旋回半径にて無段階の旋回作業に移行でき、
その移行が極めて滑らかに実行でき、旋回性能及びその
操作性能が向上するという効果を奏する。
【0011】そして、走行用の油圧式駆動手段を停止し
た状態で、旋回用の油圧式駆動手段を作動させ、前記リ
ングギヤを互いに逆回転させると、左右の走行クローラ
は同一回転数で回転方向を互いに逆としたスピンターン
を行うことができ、そのときの旋回速度も任意に調節す
ることができる。
【0012】さらに、走行機体を停止した状態におい
て、誤って左右いずれか一方の油圧駆動機構を作動させ
てしまっても、前記左右一対のパワークラッチとパワー
ブレーキ機構を作動させておけば、旋回用の駆動力が走
行クローラに伝達されず、その場で走行機体が不用意に
旋回してしまうという危険を防止できるという効果も奏
する。
【0013】請求項2の発明は、前記請求項1における
遊星歯車機構の太陽歯車とリングギヤとの関係を逆にし
たもので、直進走行を実行するとき、走行用の油圧式駆
動手段にて左右一対の遊星歯車機構のリングギヤに各々
入力し、左右一対のパワークラッチと左右一対のパワー
ブレーキ機構の作動にて左右一対の遊星歯車機構におけ
る両太陽歯車を固定させるから、走行車両における左右
一対の走行クローラへの出力軸に同一方向、同一回転数
を伝達させることができるので、泥濘等走行面の状態が
悪くても、左右の走行クローラの回転数を一致させて直
進走行し易くなり、直進性能が向上する。
【0014】また、請求項2の発明では、走行用の油圧
式駆動手段を作動させた状態で、旋回用の油圧式駆動手
段を作動させ、且つ左右一対のパワークラッチと左右一
対のパワーブレーキ機構を適宜に作動させることによ
り、任意の走行速度で且つ任意の旋回半径にて無段階の
旋回作業に移行でき、その移行が極めて滑らかに実行で
き、旋回性能及びその操作性能が向上するという効果を
奏する。
【0015】そして、請求項2の発明では、走行用の油
圧式駆動手段を停止した状態で、旋回用の油圧式駆動手
段を作動させ、前記太陽歯車を互いに逆回転させると、
左右の走行クローラは同一回転数で回転方向を互いに逆
としたスピンターンを行うことができ、そのときの旋回
速度も任意に調節することができる。
【0016】さらに、走行機体を停止した状態におい
て、誤って左右いずれか一方の油圧駆動機構を作動させ
てしまっても、前記左右一対のパワークラッチと左右一
対のパワーブレーキ機構を作動させておけば、旋回用の
駆動力が走行クローラに伝達されず、その場で走行機体
が不用意に旋回してしまうという危険を防止できるとい
う効果も奏する。
【0017】そして、請求項1及び請求項2の発明にお
いては、前記前記左右一対の遊星歯車機構、左右一対の
パワークラッチ及び左右一対のパワーブレーキ機構をミ
ッションケース内に配置し、該ミッションケースにおけ
る左右両側面の下部寄り部位から、前記走行クローラへ
の出力軸を突出させる一方、前記出力軸及び遊星歯車機
構より上方位置に、前記両油圧ポンプ、油圧モータ
と、左右一対のパワークラッチと左右一対のパワーブレ
ーキ機構を配置したものであるから、前記油圧ポンプや
油圧モータの油圧系やパワークラッチとパワーブレーキ
機構を、ミッションケース内で且つ高い位置に配置する
ことにより、移動農機のように圃場等の軟弱な地面を走
行するとき、前記圃場の泥を被り難くして、泥の悪影響
を極力受けないようにできるという効果を奏する。
【0018】
【実施例】次に、本発明をコンバインに適用した実施例
について説明すると、図1は左右一対の走行クローラ2
a,2bを有する走行車両である汎用コンバインの走行
機体1の側面図であり、該走行機体1上には脱穀装置3
を搭載し、該脱穀装置3における扱室内の扱胴4をその
軸線が走行機体1の進行方向に沿うように配設し、その
下方には受け網とシーブ等による揺動選別装置5と唐箕
フアン6の風による風選別装置とを備え、脱穀装置3の
側方に脱穀済みの穀粒を貯留する籾タンクを搭載してあ
る。
【0019】刈取前処理装置7は、前記脱穀装置3の前
部に開口し、昇降用油圧シリンダ8にて昇降自在な角筒
状のフイーダハウス9(内部にチエンスコンベヤ9aを
備える)と、該フイーダハウス9の前端に連設した横長
のバケット状のプラットホーム10と、該プラットホー
ム10内に横設した横長の掻き込みオーガ11と、その
前方上部位置のタインバー付きリール12と、プラット
ホーム10下面側に左右長手に配設したバリカン状の刈
刃14とから成る。また、刈取前処理装置7の前部左右
両端には、前向きに突出する左右一対の分草体15を備
えている。
【0020】左右の走行クローラ2a,2bは、それぞ
れ、後述する操向装置20の左右の出力軸21a,21
bから出力される動力にて回転駆動する起動輪22,2
2と、走行機体1の後端側に後向き付勢された誘導輪2
3,23とに巻掛けられた履帯24,24と、各履帯2
4の下側内周面を支持する懸下輪(下部転輪)25等か
らなる。
【0021】次に、操向装置20の構成について説明す
る。ミッションケース30内に、後述する左右一対の遊
星歯車機構31,31と、第1油圧ポンプ33及び第1
油圧モータ34からなる走行用の油圧式駆動手段32
と、旋回操作のための第2油圧ポンプ60と第2油圧モ
ータ61とからなる旋回用の油圧式駆動手段62と、左
右一対のパワークラッチ35a,35b及びパワーブレ
ーキ36a,36bとを備えた旋回操作機構37を備え
る。
【0022】左右一対の遊星歯車機構31,31は左右
対称状であって、同一半径上に複数(実施例では3つ)
の遊星歯車39,39,39がそれぞれ回転自在に軸支
された左右一対の腕輪38,38をミッションケース3
0内にて同軸線上にて適宜隔てて相対向させて配置す
る。前記各遊星歯車39にそれぞれ噛み合う太陽歯車4
0,40を固着した太陽軸41の左右両端は、両腕輪3
8,38の内側にてその回転中心部に位置する軸受に回
転自在に軸支されている。
【0023】内周面の内歯と外周面の外歯とを備えたリ
ングギヤ42は、その内歯が前記3つの39,39,3
9にそれぞれ噛み合うように、太陽軸41と同心状に配
置されており、このリングギヤ42は、前記太陽軸41
上または、前記腕輪38の外側面から外向きに突出する
中心軸43上に軸受を介して回転自在に軸支される。
【0024】前記走行用の油圧式駆動手段32における
容量可変式の第1油圧ポンプ33の回転斜板の角度を変
更調節することにより、第1油圧モータ34への圧油の
吐出方向と吐出量とを変更して、当該第1油圧モータ3
4の回転方向及び回転数が調節可能に構成されている。
第1油圧モータ34からの回転動力は、入力軸44の入
力歯車45から副変速機構の歯車46,47,48を介
して、太陽軸41に固定したセンター歯車49に伝達さ
れる。
【0025】そして、前記走行用の油圧式駆動手段32
からの回転動力は、前記太陽軸41上に固定した前記セ
ンター歯車49を介して、前記左右一対の遊星歯車機構
31,31に伝達され、前記左側の腕輪38の中心軸4
3に固着した伝動歯車53を、左側の出力軸21aに固
着した伝動歯車54に噛み合わせて出力する。同様に、
右側の腕輪38の中心軸43に固着した伝動歯車53
を、右側の出力軸21bに固着した伝動歯車54に噛み
合わせて出力する(図2参照)。
【0026】なお、歯車48が取付くブレーキ軸50に
は図示しないブレーキ機構が設けられている。また、歯
車46に噛み合う歯車51を介して作業機等への回転力
を伝達するPTO軸52に出力する。
【0027】図2に示すように、旋回操作機構37は、
左右一対のパワークラッチ35a,35bを内装した回
転外筒55と、この回転外筒55の外側左右に配置した
左右一対のパワーブレーキ36a,36bと、前記回転
外筒55の左右のパワークラッチ35a,35bと、そ
の左右のパワーブレーキ36a,36bとに跨がって配
置された回転内筒57,57に固着した伝動歯車58,
58と、前記回転外筒55を正逆回転させるための第2
油圧モータ61と、この第2油圧モータ61に適宜圧油
を導入する第2油圧ポンプ60とからなる旋回用の油圧
式駆動手段62とにより構成されている。前記第2油圧
モータ61の出力軸63は、前記回転内筒57内に回転
自在に挿通され、回転外筒55に連結してある。なお、
前記パワークラッチ35a,35b及びパワーブレーキ
36a,36bは図示しない油圧式アクチュエータによ
りON・OFF作動させる。
【0028】また、図2では左側の伝動歯車58は前記
左側の遊星歯車機構31におけるリングギヤ42の外歯
に直接噛み合い、右側の伝動歯車58は逆転歯車59を
介して前記右側の遊星歯車機構31におけるリングギヤ
42の外歯に噛み合う。
【0029】走行機体1の操縦部における座席に設けた
一本の操作レバー(図示せず)は、平面視で前後方向と
左右方向との互いに直交する2つの方向に動かすことが
可能で、走行速度の調節と操向操作を同時に実行できる
ようにしたものである。
【0030】実施例では、前記操作レバーを略垂直状に
上向きに立てた時を中立位置とし、前方向に回動すると
走行機体1を前進させ、後方向に回動させると後退さ
せ、且つその走行速度は操作レバーの前後傾斜角度(垂
直に対する傾き角度)が大きくなる程速くなるように設
定するものであり、操作レバーを左右に傾動するときは
その方向に走行機体1を旋回させ、左右傾斜角度が大き
くなる程旋回半径を小さくする(小廻りさせる)よう
に、走行用の油圧式駆動手段32及び旋回用の油圧式駆
動手段62、並びに前記左右のパワークラッチ及びパワ
ーブレーキのON・OFF操作するものである。
【0031】この構成により、走行用の油圧式駆動機構
32を作動し、第1油圧モータ34を回転駆動させる
と、伝動歯車48からセンター歯車49に入力した回転
駆動力は、左右両側の遊星歯車機構31,31の太陽歯
車40,40、遊星歯車39,39、腕輪38,38を
介して左右両側の中心軸43,43を回転させる。この
状態にて、直進走行するには、左右両側のパワーブレー
キ36a,36bを共にONとし、左右両側のパワーク
ラッチ35a,35bを共にOFFにする。
【0032】この状態では、旋回用の第2油圧モータ6
1を駆動して回転外筒55が回転していても、パワーク
ラッチ35a,35bがOFFでは、強制的に回転させ
られている回転外筒55に対して回転内筒57は自由で
ある一方、パワーブレーキ36a,36bのONでは回
転内筒57,57がミッションケースの固定部に押しつ
けられて、回転内筒57,57は固定(停止)させられ
るから、左右両側の伝動歯車58,58、逆転歯車59
は固定状態となり、これら伝動歯車59と逆転歯車60
に噛み合うリングギヤ42,42は固定状態となる。こ
の状態では、前述のようにセンター歯車49から入力さ
れた回転動力は、左右両側の太陽歯車40,40に同一
回転数にて伝達され、左右両側の遊星歯車機構の遊星歯
車39、腕歯車38を介して左右両側の出力軸21a,
21bに平等に同方向回転力が出力されるので、直進走
行ができる。
【0033】またこの直進状態では、左右両側のパワー
ブレーキの作動(ON)により、左右両側のリングギヤ
42,42をミッションケース30側に固定したと同様
の機能を有し、左右いずれか一方の走行クローラが畝、
石、泥濘等の路面状況によりスリップすることなく直進
することができる。
【0034】次に、スピンターン操向について説明する
と、走行用の油圧式駆動手段32を停止した状態では、
前記太陽軸41及び左右両側の太陽歯車40,40は固
定される。この状態にて、旋回用の油圧式駆動手段62
を例えば正回転駆動させると、出力軸63を介して回転
外筒55が正回転する。そして、左右両側のパワーブレ
ーキ36a,36bをOFF(制動しない状態)にし、
且つ左右両側のパワークラッチ35a,35bをONと
すると、左右両側の回転内筒57,57、ひいては左右
両側の伝動歯車58,58は同方向に同一回転する。そ
して、左伝動歯車57は、左リングギヤ42に直接噛み
合い、右伝動歯車57は逆転歯車59を介して右リング
ギヤ42に噛み合って動力伝達されるので、左の遊星歯
車39、腕歯車38からなる遊星歯車機構は逆回転する
一方、右の遊星歯車39、腕歯車38からなる遊星歯車
機構は正回転することになる。従って、左走行クローラ
2aは後進する一方、右走行クローラ2bは前進するの
で、走行機体1はその場で、左にスピンターンすること
になる。
【0035】なお、走行用の油圧式駆動手段32を停止
した状態(走行機体1停止状態)では、操作レバーに設
けた旋回指令スイッチを押下したときのみ、前記左右両
側のパワーブレーキ36a,36bをOFF(制動しな
い状態)にし、且つ左右両側のパワークラッチ35a,
35bをONとする作動が実行されるように制御してお
けば、不用意に操作レバーを左または右に傾ける誤操作
を実行しても、パワーブレーキはON、パワークラッチ
35a,35bをOFFの状態を保持するので、走行機
体1がいきなりスピンターンするという事故を防止でき
る。
【0036】図4は、横軸に前記操作レバーの左右傾動
角度、縦軸に左右の走行クローラの走行速度(m/se
c.)を採ったもので、実線及び点線はスピンターンの状
態を示し、実線A1、点線a1は左走行クローラ2aを
示し、実線B1、点線b1は右走行クローラ2bを示
す。実線A1、点線a1は前進(+符号)、実線B1、
点線b1は後進(−符号)であり、操作レバーの左方向
または右方向(旋回方向)の同一傾斜角度に対して、左
右両走行クローラの走行速度の絶対値は同じであること
を示す。なお、実線と点線とは操作レバーの前傾角度の
大小、つまり走行速度の大小によるものである。従っ
て、操作レバーの前傾角度、または後傾角度と左右傾斜
角度を変更することにより、任意の速さでスピンターン
を無段階調節することができる。
【0037】前記図4と同様に、横軸に前記操作レバー
の左右傾動角度、縦軸に左右の走行クローラの走行速度
(m/sec.)を採った図5で示す実線A3(右走行クロ
ーラ2b)と、実線B3(左走行クローラ2a)の走行
状態では、右走行クローラ2bは直進走行時と同じ前進
速度(例えば1.5m/s)を維持し、左走行クローラ
2aを減速させて旋回するものであり、この場合、旋回
用の油圧駆動手段62を作動させて、第2油圧モータ6
1の正回転力を出力軸63に伝達し、回転外筒55を正
回転させる。この状態で、右リングギヤ42を固定すべ
く、右パワーブレーキ36bはON、右パワークラッチ
35bをOFFにする一方、左リングギヤ42を正回転
すべく、左パワークラッチ35aをON、左パワーブレ
ーキ36aをOFFにするのである。この旋回態様で
は、旋回外側の走行クローラは直進時と同一前進速度の
まま、旋回内側の走行クローラの速度を減速する、また
は操作レバーの傾きが大きい時には後進するというもの
である。
【0038】図5の一点鎖線は、緩旋回〜急旋回までを
任意の速さで且つ旋回半径を任意に無段階調節する場合
であって、旋回外側の走行クローラは増速させると同時
に、旋回内側の走行クローラは逆に減速させる旋回態様
(倍速ターンと称する)を採る。
【0039】例えば、左右両走行クローラ2a,2bを
2.0(m/sec.)にて前進走行させている状態から右
旋回する場合、左走行クローラ2aがx(m/sec.)の
速度増速する一方(一点鎖線A4参照)、右走行クロー
ラ2bは前記と同じ値x(m/sec.)の速度減速するこ
とになる(一点鎖線B4参照)。即ち、左走行クローラ
2aは、2.0+x(m/sec.)で走行し、右走行クロ
ーラ2bは2.0−x(m/sec.)にて走行して右旋回
することになる。また、この増速・減速x(m/sec.)
は、操作レバーの傾斜角度により任意に無段階に調節で
きるから、減速側の走行速度0の状態にもできる。
【0040】この場合、走行用の油圧式駆動手段32を
作動させた状態で、前記スピンターンと同様に旋回用油
圧式駆動手段62を作動させ、このとき左右両側のパワ
ーブレーキ36a,36bをOFF(制動しない状態)
にし、且つ左右両側のパワークラッチ35a,35bを
ONとすると、左右のリングギヤ42,42を互いに逆
方向に回転させることで実現できるのである。
【0041】なお、伝動歯車46,47箇所等に副変速
機構を設け、この副変速機構でセンター歯車49への回
転数が高速となるように変速したときには、前記第2油
圧モータ61の出力回転数を減速させた状態で前記倍速
ターンを実行すると、増速される旋回外側の走行クロー
ラの走行速度と減速される旋回内側の走行クローラの速
度との絶対差の増加傾向が抑制されることになり、旋回
時のショックを関帆することができる。
【0042】この種の操向装置では、走行用の油圧式駆
動手段32の第1油圧ポンプ33及び第1油圧モータ3
4を馬力(容量)の大きなものを使用し、旋回用の油圧
式駆動手段62の第2油圧ポンプ60及び第2油圧モー
タ61の馬力(容量)を小さいものに設定することがで
き、エネルギー効率が向上する。
【0043】なお、走行速度が一定(所定)の値以上の
とき、旋回操作をすると、遠心力が大きくなって、搭乗
者が旋回外側に振り回されて走行機体1から落ちる危険
がある。そこで、車速(走行速度)が一定以上の時に旋
回操作を実行すると、走行速度が減速されるように、第
1油圧ポンプ33の吐出量制御と第2油圧ポンプ60の
吐出量制御とを機械的、または電気的に連動させるよう
に構成することが好ましい。さらに、走行用の油圧式駆
動手段32において、操作レバーが中立位置(停止位
置)近傍にあるとき、旋回操作が出来ないようにする機
械的または電気的な制限手段を設けておけば、誤って操
作レバーに触れて、作業者が予期しないときに旋回する
という危険を防止できる。
【0044】なお、前記図2の実施例に代えて、走行用
の油圧式駆動手段32からの伝動歯車48を介して、左
右両側のリングギヤ42,42に同一方向、同一回転数
にて動力伝達する一方、前記センター歯車49を省略
し、且つ左右の太陽歯車40,40が互いに独立的に回
転可能に太陽軸41を左右に分割し、旋回用の油圧式駆
動手段62の第2油圧モータ61の回転力を、左の伝動
歯車58及びこれに噛み合う歯車(図示しない)を介し
て左の太陽歯車40に入力し、同様に右の伝動歯車58
及びこれに噛み合う逆転歯車59及びこれに噛み合う歯
車(図示しない)を介して右の太陽歯車40に入力する
ように構成すれば、太陽歯車の機能とリングギヤの機能
が前記図2の実施例のものと逆になるだけで、操向装置
の機能としては同等に考えることができる。
【0045】本発明は、農作業機ばかりでなく、ブルド
ーザ等の土木用の走行車両にも適用できることはいうま
でもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】操向装置の動力伝達ブロック図である。
【図3】操向装置の側面図である。
【図4】スピンターン時の左右走行クローラの走行速度
の変化を示す説明図である。
【図5】他の旋回態様による左右走行クローラの走行速
度の変化を示す説明図である。
【符号の説明】
20 操向装置 21a,21b 出力軸 30 ミッションケース 31,31 遊星歯車機構 32 走行用の油圧式駆動手段 33 油圧ポンプ 34 油圧モータ 35a,35b パワークラッチ 36a,36b パワーブレーキ 37 旋回操作機構 38 腕輪 39 遊星歯車 40 太陽歯車 42 リングギヤ 49 センター歯車 55 回転外筒 56 アクチュエータ 57 回転内筒 58,58 伝動歯車 59 逆転歯車
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−32528(JP,A) 特開 平1−132473(JP,A) 特開 平3−169745(JP,A) 実開 昭61−113078(JP,U) 実開 昭62−13725(JP,U) 実開 平5−54158(JP,U) 実開 平7−9681(JP,U) 特公 昭44−15966(JP,B1) 米国特許4471669(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 11/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油圧ポンプと油圧モータとから成る走行
    用の油圧式駆動手段からの動力を、左右一対の遊星歯車
    機構の太陽歯車に入力して走行車両における左右一対の
    走行クローラへの出力軸に伝達させるように構成する一
    方、油圧ポンプと油圧モータとから成る旋回用の油圧式
    駆動手段からの動力を、左右一対のパワークラッチと
    右一対のパワーブレーキ機構を介して前記一方の遊星
    歯車機構におけるリングギヤと他方の遊星歯車機構にお
    けるリングギヤとに伝達するように構成し、前記左右一対の遊星歯車機構、左右一対のパワークラッ
    チ及び左右一対のパワーブレーキ機構を ミッションケー
    ス内に配置し、該ミッションケースにおける左右両側面
    の下部寄り部位から、前記走行クローラへの出力軸を突
    出させる一方、前記出力軸及び遊星歯車機構より上方位
    置に、前記両油圧ポンプ及び両油圧モ ータと、左右一対のパワークラッチと、左右一対のパワ
    ーブレーキ機構を配置したことを特徴とする移動農機
    における走行クローラの操向装置。
  2. 【請求項2】 油圧ポンプと油圧モータとから成る走行
    用の油圧式駆動手段からの動力を、左右一対の遊星歯車
    機構におけるリングギヤに入力して走行車両における左
    右一対の走行クローラへの出力軸に伝達させるように構
    成する一方、油圧ポンプと油圧モータとから成る旋回用
    の油圧式駆動手段からの動力を、左右一対のパワークラ
    ッチと左右一対のパワーブレーキ機構を介して前記一
    方の遊星歯車機構における太陽歯車と他方の遊星歯車機
    構における太陽歯車とに伝達するように構成し、前記左右一対の遊星歯車機構、左右一対のパワークラッ
    チ及び左右一対のパワーブレーキ機構を ミッションケー
    ス内に配置し、該ミッションケースにおける左右両側面
    の下部寄り部位から、前記走行クローラへの出力軸を突
    出させる一方、 前記出力軸及び遊星歯車機構より上方位置に、前記両油
    圧ポンプ及び両油圧モータと、左右一対のパワークラッ
    チと、左右一対のパワーブレーキ機構を配置したこと
    を特徴とする移動農機における走行クローラの操向装
    置。
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