JP3362847B2 - ペプチドリガーゼ活性を有するセリンプロテアーゼ変異体 - Google Patents

ペプチドリガーゼ活性を有するセリンプロテアーゼ変異体

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はペプチドリガーゼ活性が向上したプロテアー
ゼ変異体を形成するための組換えおよび、または化学的
方法で前駆体セリンプロテアーゼから誘導されるセリン
プロテアーゼ変異体に関する。また本発明はセリンプロ
テアーゼ変異体および第2ライゲーション基質と合せて
ライゲーション産物を形成し得る新しいライゲーション
基質を含む。また本発明はこのようなライゲーション産
物を形成する方法および該方法により形成される産物に
関する。
従来の技術 たんぱく質を合成するための化学的方法は非天然また
は選択的にラベル化したアミノ酸を組込み得る意味で組
換え法に多くの利点を提供する。しかし、実際にはペプ
チド合成は産物の精製を複雑にし、かつ収率を低下させ
る副産物の蓄積やラセミ化のため小さなたんぱく質(一
般的に50残基以下)に限られる(最近のレヴュー、カイ
ザー(Kaiser),E.T.(1989)Acc.Chem.Res.22,47−54;
オフオード(Offord),R.E.(1987)Prot.Eng.,151−
157参照)。
たんぱく質分解酵素、特にセリンプロテアーゼはその
立体選択性および温和な反応条件から合成ペプチド化学
の代替物として使用し得ることが報告されている(レヴ
ュー、クルマン(Kullman),W.(1987)、酵素的ペプチ
ド合成、CRCプレス、フロリダ、U.S.;チャイケン(Chai
ken),(1981)CRC Crit.Rev,Biochem.11,255−301参
照)。これらの酵素は合成フラグメントのブロック的酵
素的結合によってより大きいペプチドを生成させるとい
うように化学的結合法を補うように使用し得ることが報
告されている(イノウイエ(Inouye)等、(1979),J.A
m.Chem.Soc.,101,751−752(インシュリンフラグメン
ト);ホマンドバーグ(Hommandberg)およびラスコウ
スキー(Laskowski)(1979)Biochemistry18,586−592
(リボヌクレアーゼフラグメント))。しかし、セリン
プロテアーゼの狭い基質特異性と本質的な加水分解(ペ
プチターゼ)活性がペプチド合成への使用を制限してい
る。
ペプチド合成におけるセリンプロテアーゼの中心的問
題はアシル−酵素中間体の加水分解が加アミノ分解(am
inolysis)よりもはるかに起こり易いことである(第1
図)。いくつかの研究グループは触媒作用を起こす混合
または純粋な有機溶剤を使用することで平衡を加水分解
から加アミノ分解へと変化することを報告している(コ
レチ−プレビエロ(Coletti−Previero)等(1969)J.M
ol.Biol.39,493−501;バーバス(Barbas)等、(1988)
J.Am.Chem.Soc.110,5162−5166)。しかし、一般に酵素
は有機溶媒中では不安定で、かつ比較的溶解しにくい
(ウォン(Wong)等、(1990)J.Am.Chem.Soc.112,945
−953;クリバノフ(Klibanov)(1986)Chemtech16,354
−359)。さらに有機溶媒中での速度論的活性化障壁は
より低い酵素活性へと誘導するのに関する荷電転移状態
に対してより高い。これらの問題を回避するため1つの
研究グループは活性部位のSer221をCysに化学的に変換
した(S 221C)バクテリアセリンプロテアーゼの誘導
体チオールズブチリシンは非常に小さいペプチドに対し
ては加水分解に対するよりも加アミノ分解への選択性が
1000倍以上変化していることを報告した。ナカスタ(Na
kasuta)等、(1987)J.Am.Chem.Soc.109,3808−3810。
この変化は水よりもアミンと反応するチオエステルの速
度論的選択性に寄因する。同じ原則に基づき別の研究グ
ループはセレノールズブチリシンは加水分解に対するよ
りも加アミノ分解への選択性が14000倍の変化を示した
ことを報告した。ウ(Wu)およびヒルバート(Hilver
t)(1989)J.Am.Chem.Soc.111,4513−4514。しかし、
チオールまたはセレノールズブチリシンによる化学的に
活性されたエステルの加アミノ分解の触媒効率は各々約
103倍および104倍となったが共に野生型ズブチリシンの
エステラーゼ活性よりも低い。化学的に活性なエステル
がチオールまたはセレノールズブチリシンのアシル化速
度の増加に使用し得ることが報告されているが(たとえ
ば>50%DMF中での4merペプチドとのライゲーションに
対する8merペプチドのp−クロロフェニルエステルによ
りチオールズブチリシンのアシル化)、これらの活性化
されたエステルは合成が困難であり水性溶液中での自然
の加水分解を受け易い基質を生成する(ナカツカ(Naka
tsuka)等、(1987)上述)。
セリンプロテアーゼには広範囲の特異性および生物学
的機能を有する多様な酵素が含まれる。ストロード(St
roud),R.M.(1974)Sci.Amer.131,74−88。これらの機
能的多様性にもかかわらず、セリンプロテアーゼの触媒
機構は少なくとも2つの遺伝的に異なる酵素で調べられ
てきている。1つはバチルスズブチリシン型セリンプロ
テアーゼで、もう一つは哺乳類および相同的バクテリア
トリプシン型セリンプロテアーゼ(たとえばトリプシン
およびS.クレシウス(gresius)トリプシン)である。
これら2つのグループのセリンプロテアーゼは触媒機構
の著しい類似を示す。クロート(Kraut),J.(1977)An
n.Rev.Biochem.,46,331−358。さらに一次構造は関連し
ていないがこれらの2つの酵素グループの3次元構造は
セリン、ヒスチジンおよびアスパラギン酸からなるアミ
ノ酸の保存的触媒トリオを形成している。
ズブチリシンは広範囲のバチルス(Bacillus)種から
大量に分泌されるセリンエンドプロテアーゼ(MW27,50
0)である。ズブチリシンのたんぱく質配列は少なくと
も4種類のバチルス(Bacillus)について決定されてい
る。マークランド(Markland)F.S.等(1971)“酵
素”、ボイヤー(Boyer)P.D.編、アカデミックプレ
ス、ニューヨーク、III巻、561−608;ネドコフ(Nedko
v),P.等(1983)Hoppe−Seyler's Z.Physiol.Chem.,36
4,1574−1540。分解能2.5ÅのズブチリシンBPN′(B.ア
ミロリクエファシエンス(amyloliquefaciens)の3次
元結晶構造も報告されている。ボット(Bott)等(198
8)J.Biol.Chem.263,7895−7906;マクファレン(Mcphal
en)等(1988),Biochem.27,6582−6598;ライト(Wrigh
t),C.S.等(1969),Nature,221,235−242;ドレンス(D
renth),J.等(1972)Eur.J.Biochem.26,177−181。こ
れらの研究でズブチリシンは遺伝的に哺乳類セリンプロ
テアーゼとは関連していないが、同様の活性部位構造を
有していることが示された。共有結合したペプチドイン
ヒビターを含むズブチリシン(ロバータス(Robertu
s),J.D.,等(1972)Biochemistry 11,2439−2449)、
産物複合体(ロバータス(Robertus),J.D.,等(1972)
Biochemistry,11,4293−4303)および転移状態アナログ
(マチュース(Matthews),D.A.,等(1975),J.Biol.Ch
em.250,7120−7126;ポーロス(Poulos),T.L.等(197
6)J.Biol.Chem.,251,1097−1103)のX線結晶構造が報
告され、スブチリシンの活性部位および推定上の基質結
合クレフトに関する情報を提供している。さらに多くの
速度論的および化学修飾的研究がズブチリシンについて
報告されている(フィリップ(Philipp),M.,等(198
3)Mol.Cell.Biochem,51,5−32;スベンドセン(Svendse
n),I.B.(1976)Carlsberg Res.Comm.41,237−291;マ
ークランド(Markland),F.S.上述)。ストーファー(S
tauffer),D.C.等(1965)J.Biol.Chem.244,5333−533
8;ポルガー(Polgar),L.等(1981)Biochem.Biophys.A
cta667,351−354)。
米国特許4,760,025はバチルスアミロリクエファシエ
ンス(Bacillus amyloliquefaciens)ズブチリシンの部
位+32,+155,+104,+222,+166,+64,+33,+169,+1
89,+217または+156の天然のアミノ酸残基を種々のア
ミノ酸で置換したズブチリシン変異体を公開している。
先に示した参考文献は本出願の出願日以前に公開され
たものを単に示したものであり、より早期の発明である
ことやより早期にされた出願に基づく優先権によって発
明者がこれらの開示の日付けを遡らせるような権利が与
えられないことを認めるものと解釈されてはならない。
本発明の概要 先の事実に基づき、大型のペプチドおよびたんぱく質
の化学合成は使用し得る化学合成技術および合成または
組換えペプチドブロックを結合し得る有効なペプチドリ
ガーゼの欠除により厳しく制限されていることが分る。
したがって本発明の目的はペプチドおよび他の基質を
有効にライゲーションし得るセリンプロテアーゼ変異体
を提供することである。
さらに、本発明は先に述べたセリンプロテアーゼ変異
体と共に用いて、第1ライゲーション基質と第2ライゲ
ーション基質をライゲーションし、ライゲーション産物
を得るライゲーション基質を提供することにある。
さらに、本発明の目的はセリンプロテアーゼ変異体お
よびライゲーション基質を用いて、ライゲーション産物
を生成させる方法を提供することである。
さらに本発明は先に述べた方法によって作られるライ
ゲーション産物を提供することを目的とする。
先に述べた目的に従がい、本発明には前駆体セリンプ
ロテアーゼのアミノ酸残基中少なくとも2つの変化によ
り前駆体セリンプロテアーゼから誘導される天然には存
在しないアミノ酸配列を有するセリンプロテアーゼ変異
体が含まれる。特に前駆体セリンプロテアーゼは通常そ
の前駆体酵素によって行なわれる触媒作用に関与する触
媒性セリン残基を特徴とする。この活性部位セリン残基
を別のアミノ酸で置換え、そのセリン側鎖の求核的酸素
を別の求核基で置換する。また、活性部位セリンの側鎖
を直接化学的に修飾してその求核性酸素を別の求核基に
置換できる。第2の変化は前駆体酵素の活性部位セリン
を含まない第2のアミノ酸残基の置換または修飾で構成
される。活性部位セリンの置換または修飾と合せて、第
2アミノ酸残基の置換または修飾は活性部位セリンにお
ける求核性酸素の置換または修飾のみを含む別のセリン
プロテアーゼ変異体よりも高い水溶液中のペプチドリガ
ーゼ活性を特徴とするセリンプロテアーゼ変異体を生じ
させる。
また本発明には先に述べたセリンプロテアーゼ変異体
と合せて有効なライゲーション基質が含まれる。種々の
前駆体セリンプロテアーゼはペプチド結合(切断可能な
ペプチド結合)の切断を触媒する。スケッチャー(Sche
chter)およびバーガー(Berger)(1967)Biochem.Bio
phys.Res.Commun.27,157−162の命名法を用いたプロテ
アーゼ加水分解基質残基の標準的名称および加水分解さ
れた切断可能な結合を第2A図を示す。基本的にペプチド
ライゲーションは加水分解の逆反応なのでライゲーショ
ン基質は第2B図に示したものと同様に定義される。すな
わち、本発明の特徴の1つとして第1ライゲーション基
質はそのカルボキシ末端が有機アルコール(たとえば2
−ヒドロキシカルボン酸)またはチオールでエステル化
している少なくとも1個のR1アミノ酸残基を含む。この
R1残基には優先的に前駆体セリンヒドロラーゼに結合す
るか、またはさらにP1部位で基質特異性を変えるよう修
飾されたセリンヒドロラーゼに優先的に結合するアミノ
酸残基R1が含まれる。またこのようなR1残基にはその変
異体が特異性を示す非天然のアミノ酸が含まれる。さら
にエステル化した2−ヒドロキシカルボン酸は前駆体セ
リンプロテアーゼの基質中のP1′残基またはP1′部位に
おいてその特異性を変化させたセリンプロテアーゼ変異
体に好ましい残基と非常によく似ている。
また本発明には本発明のセリンプロテアーゼ変異体を
第1および第2ライゲーション基質と接触させライゲー
ション産物を生成するライゲーション法が含まれる。第
1ライゲーション基質には先に述べたライゲーション基
質が含まれる(第2B図)。第2ライゲーション基質には
セリンプロテアーゼ変異体が特異性を示す少なくとも1
個のR1′アミノ酸残基が含まれる(第2C図)。またそれ
にはその変異体が特異性を示す非天然のアミノ酸が含ま
れる。第1および第2ライゲーション基質のライゲーシ
ョンにより形成されるライゲーション産物には配列R1−
R1′が含まれる(第2D図)。
さらに本発明には先に述べた方法によって作られるラ
イゲーション産物が含まれる。このような産物は典型的
には約17アミノ酸残基長以上の長さを有している。また
このようなライゲーション産物は水溶液中で行なわれる
(これに限定される訳ではないが)ライゲーション法に
よって特徴付けられる。
図面の簡単な説明 第1図はペプチドライゲーションの速度論的特徴を示
している。等式1においてエステル結合は酵素によって
切断し、アルコール基が放出され、その酸が活性部位求
核基にアシル化しアシル−酵素中間体(アシル−酵素)
が生成する。このアシル−酵素中間体の2つの可能な反
応は加水分解(等式2)および加アミノ分解(等式3)
である。加水分解は非生産的であり、一方加アミノ分解
では付加物形成が起こる。この酵素のアミダーゼ活性
(等式4)はこの付加物の切断およびアシル−酵素中間
体の再形成を起こす。
第2A図はシェッチャー(Schechter)およびバーガー
(Berger)(1967)Biochem.Biophys,Res.Commun.,27.1
57−162)の命名法を用いて表わしたプロテアーゼ基質
残基を示している。第2B図および第2C図はペプチドライ
ゲーションで用いる第1および第2ライゲーション基質
を示している。種々の残基R2、R1、R1'およびR2'はセリ
ンプロテアーゼ変異体または前駆体酵素が特異性を示す
アミノ酸残基またはそのような残基のアナログで構成さ
れ、たとえばそれらのアミノ酸残基にはP2,P1,P1'およ
びP2'が含まれる。第1ライゲーション基質のカルボキ
シ末端は使用される基質のC末端カルボキシル基にエス
テル化し第1ライゲーション基質を形成する2−ヒドロ
キシカルボン酸であるX基を含む。残基R2″などはプロ
テアーゼ変異体または前駆体酵素が特異性を示すアミノ
酸残基またはそのような残基のアナログ、たとえばP2'
などで構成される。第2D図は本発明のセリンプロテアー
ゼ変異体による第1および第2ライゲーション基質のラ
イゲーションで形成されるライゲーション産物を示して
いる(第2B図および第2C図参照)。
第3図は触媒性トリオSer221、His64およびAsp32を含
むバチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amylo
liquefaciens)ズブチリシンの触媒性残基を示してい
る。四面体中間体転移状態はES+として示されている。
第4図はバチルスアミロリクエファシエンス(Bacill
us amyloliquefaciens)ズブチリシンの三次構造を示し
ている。触媒性残基Ser221と関連するα−ヘリックスを
強調してある。
第5図は触媒性Ser221と関連するバチルスアミロリク
エファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)ズブチ
リシンのα−ヘリックスの立体像である。
第6図は天然のアミノ酸に標準的一文字命名法を用い
たバチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amylo
liquefaciens)、枯草菌(Bacillus subtilis)Var I16
8およびバチルスリチェニホルミス(Bacillus lichenif
ormis)由来のズブチリシンのアミノ酸配列を示してい
る。
第7図はSer221および部位225を含むα−ヘリックス
を含む領域における野生型(白棒)およびP225A(黒
棒)バチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amy
loliquefaciens)ズブチリシンの重ねあわせ立体像であ
る。
第8図は野生型ズブチリシンの活性部位(残基P4から
P2')に結合した遷移状態のペプチド基質を示す活性部
位像を示している。加水分解基質は酵素の対応する官能
基との水素結合に関与する主鎖カルボニル酸素およびア
ミドを含む外に伸びたβ−シート様構造で結合する。特
に、残基S1−S4は3本鎖逆平行β−シートの中央鎖を形
成する(マクファレン(Mcphalen)等、(1988)上
述)。切断可能な結合のいずれかの側のより重要な側鎖
相互作用のいくつかが強調されている。基質特異性に影
響する他の残基、たとえばP1特異性に対するGlu156およ
びGly166などは示してない。
第9図はペプチド基質を真似た第1ライゲーション基
質を作る上で有用な一般的構造と特異的2−ヒドロキシ
カルボン酸を示している。特異的2−ヒドロキシ基とア
ミノ酸との構造的関係も示している。
第10A、10Bおよび10C図は種々のズブチリシン変異体
とともに、求核剤(アシル−アクセプター)としてジペ
プチドAla−Phe−アミド(3.6mM)を使用したときのペ
プチドエステル基質(初期濃度0.35mMのサクシニル−Al
aAla−Pro−Phe−グリコール酸−Phe−アミド)の消費
とそれに伴う加水分解および加アミノ分解産物の出現を
示す進行曲線を表わしている。各々の場合、同一条件下
(pH8.0、(25±0.2℃))で等量の酵素を用いて行っ
た。経時的に部分標本をサンプリングし、RP−HPLCで分
析した。第10A図のズブチリシン変異体はPro225Ala、第
10B図はSer221Cys、および第10C図はSer221Cys/Pro225A
laである(加アミノ分解(●)、加水分解(○))。第
11図は4種の第1ライゲーション基質各々に対して異な
るP1特異性を示すズブチリシン変異体の比較である。進
行曲線は求核性ライゲーションペプチドAla−Phe−アミ
ド1.5mMの存在下加水分解産物または加アミノ分解産物
に変わる基質の消費を示している。基質は1文字コード
のテトラペプチドに略してある。すなわちAAPFはs−Al
a−Ala−Pro−Phe−グリコール酸−Phe−アミドであ
る。各々の場合加アミノ分解は加水分解よりも多い。
第12図は天然の最初の8個のアミノ酸の第1ライゲー
ション基質エステルまたはズブチリシンの野生型の特異
性により適するよう修正した第1ライゲーションペプチ
ドを用いた成長ホルモンライゲーションの経時サンプル
の還元SDS−PAGEを示している。第2ライゲーション基
質はdes−octa hGHである。レーン1、低分子量標準、
レーン2および9、非ライゲーションdes−octa hGH;レ
ーン3−7、1、10、20、40および80分後の天然N−末
端のペプチドエステルにペプチドリガーゼG166E/S221C/
P225A変異体を用いた反応の部分標本。レーン8、野生
型成長ホルモン;レーン10−14、1、10、20、40および
80分後の別のペプチドエステルにリガーゼのS221C/P225
A変異体を用いた反応の部分標本。des−octa変異体hGH
を含む全てのレーンにおいて、主要バンドの下により小
さいバンドを2本見ることができる。これらは大腸菌か
らの発現および精製の際のたんぱく質分解的切断に由来
する2本の鎖である。さらに、全ての時点でズブチリシ
ン変異体の部分標本に約30kDaの見かけの分子量を有す
ることが分る。
第13図はバチルスアミロリクエファシエンス(Bacill
us amyloliquefaciens)ズブチリシンの部位225のプロ
リンのアラニンによる置換をコードするDNAの構築法を
示している。
第14図はプロトロピンライゲーションの経時部分標本
の還元SDS−PAGEを示している。Ser221Cys/Pro225Ala型
のペプチドリガーゼを用い9残基ペプチドをプロトロピ
ンにライゲーションした。レーン1、低分子量標準物
質、レーン2、ズブチリシン;レーン3、ライゲーショ
ンしていないプロトロピン;レーン4−9、1、2、
5、10、30および60分後のペプチドとライゲーションし
たhGH。
詳細な説明 本明細書で使用されている“セリンプロテアーゼ”は
少なくとも1個の触媒活性セリン残基を含むプロテアー
ゼを意味する。このようなセリンプロテアーゼは原核お
よび真核生物の両方に遍在する。ズブチリシン型および
トリプシン型セリンプロテアーゼなど多くのセリンプロ
テアーゼの一般的特徴はアスパラギン酸、ヒスチジンお
よびセリンを含む共通する触媒性トリオの存在である。
ズブチリシン型プロテアーゼの場合、アミノ末端からカ
ルボキシ末端の方向に読んだこれらアミノ酸の相対的順
番はアスパラギン酸−ヒスチジン−セリンである。トリ
プシン型プロテアーゼの場合、その相対的順番はヒスチ
ジン−アスパラギン酸−セリンである。しかしこの触媒
性残基の相対的配列順序にかかわらず、セリンプロテア
ーゼの二次および三次構造はこれら3つの触媒性残基を
非常に近似の触媒性活性部位を形成させている。
第3図および第5図はバチルスアミロリクエファシエ
ンス(Bacillus amyloliquefaciens)ズブチリシンの触
媒性残基を示している。四面体転移状態を形成するズブ
チリシン中のセリン221と切断可能ペプチド結合の相互
作用を第3図に示す。触媒性セリンと基質のカルボキシ
部分の間のアシル−酵素中間体は基質のカルボキシ末端
部分が活性部位から離れた後に形成される。アシル−酵
素中間体の加水分解はその酵素から切断されたペプチド
のアミノ末端側部分を放出し、またセリンアルコール基
を元へ戻す。
ズブチリシン型セリンプロテアーゼの場合、セリン
(ズブチリシン中のセリン221)の触媒性側鎖のOG基は
この分子中に伸びている長い中央α−ヘリックスのアミ
ノ末端付近に位置する。ボット(Bott)等、(1988)J.
Biol.Chem.,263,7895−7906。バチルスアミロリクエフ
ァシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)ズブチリシ
ンの場合、このα−ヘリックスにはメチオニン222から
リジン237までが含まれる。このヘリックスは進化的に
関連するズブチリシン型セリンプロテアーゼ中に保存さ
れているが、トリプシン型セリンプロテアーゼの触媒性
部位には存在しない。マクファレン(Mcphalen)等(19
88)Biochemistry.27,6582−6598。ズブチリシン型セリ
ンプロテアーゼの活性部位に関連するα−ヘリックスは
このヘリックスの双極子が触媒において機能的役割を果
しているということを示唆する。ホル(Hol),W.G.J.
(1985)Prog.Biophys.Molec.Biol.45,149−195。しか
しトリプシン型セリンプロテアーゼの活性部位における
α−ヘリックスの欠除がズブチリシン型プロテアーゼの
活性部位ヘリックスが触媒において重要かどうかという
未解決の問題を生じさせた。ホル(Hol)(1985)上
述。
第4図において、触媒性セリン221と共にバチルスア
ミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefacien
s)ズブチリシンのα−ヘリックスはそれが酵素の3次
構造に関連することを示している。触媒性セリン221に
関連するこのα−ヘリックスの立体像を第5図に示す。
バチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amylo
liquefaciens)、枯草菌(Bacillus subtilis)Var I16
8およびバチルスリチェニホルミス(Bacillus lichenif
ormis)由来のズブチリシンのアミノ酸配列を第6図に
示す。バチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus a
myloliquefaciens)ズブチリシンのα−ヘリックスはMe
t222からLys237におよんでいる。枯草菌の対応する(等
価な)α−ヘリックスも同様であり、またバチルスリチ
ェニホルミス(Bacillus licheniformis)ズブチリシン
のα−ヘリックスはMet221からLys236を含む。またバチ
ルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquef
aciens)ズブチリシン中のプロリン225の対応する(等
価な)残基は枯草菌ズブチリシンではプロリン225であ
り、またバチルスリチェニホルミス(Bacillus lichen
iformis)ズブチリシンの場合はプロリン224である。枯
草菌における触媒性セリンは部位221にあり、またバチ
ルスリチェニホルミス(Bacillus licheniformis)ズ
ブチリシンにおいては部位220に存在する。
本明細書で用いている“前駆体セリンプロテアーゼ”
は天然セリンプロテアーゼおよび組換えセリンプロテア
ーゼを意味する。天然の前駆体セリンプロテアーゼの例
にはバチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amy
loliquefaciens)、バチルスリチェニホルミス(Bacill
us licheniformis)、バチルスアミロサッカリジカス
(Bacillus amylosaccaridicus)由来のバクテリアズブ
チリシン、および菌類、植物および高等動物の相同的セ
リンプロテアーゼ、バクテリア、菌類、植物、動物およ
びウイルス由来のトリプシン、キモトリプシン、α−溶
解性プロテア−ゼエラスターゼ、プラスミノーゲン、ト
ロンビン、組織プラスミノーゲン活性化因子およびその
類似物を含むトリプシン型セリンプロテアーゼが含まれ
る。“組換えセリンプロテアーゼ”は天然のセリンプロ
テアーゼをコードするDNA配列をそのセリンプロテアー
ゼアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸の置換、挿入ま
たは欠失をコードする変異DNA配列を生ずるよう修正し
たセリンプロテアーゼを示す。適当な修正法は本明細書
および1985年1月9日公表されたEPO刊行物No.0 130 75
6および1988年1月7日公表されたEPO刊行物No.0 251 4
46に報告されている。特定のセリンプロテアーゼ、たと
えばズブチリシンについて言及するとき、前駆体ズブチ
リシンおよび組換えズブチリシンという用語はこれらの
定義に従って使用される。
天然および組換えセリンプロテアーゼに加えて、“前
駆体セリンプロテアーゼ”という語句は天然にはない1
つ以上のアミノ酸残基を含む天然または組換えセリンプ
ロテアーゼである合成セリンプロテアーゼも含む。これ
らの合成セリンプロテアーゼは本明細書またはシュルツ
(Schultz)等(1989)Science,244,182−188に報告さ
れているインビトロ転写−翻訳法で調製し得る。
本明細書で使用される“セリンプロテアーゼ変異体”
は前駆体セリンプロテアーゼのアミノ酸配列から誘導さ
れるアミノ酸配列を有するセリンプロテアーゼを意味す
る。セリンヒドロラーゼ変異体のアミノ酸配列は前駆体
アミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸の置換、欠失または
挿入により前駆体プロテアーゼアミノ酸配列から誘導さ
れる。このような修正は前駆体セリンプロテアーゼのア
ミノ酸配列をコードする“前駆体DNA配列”に関する。
さらにある場合にはこのセリンプロテアーゼ変異体は前
駆体アミノ酸配列のアミノ酸残基の1つ以上の側鎖の直
接的化学的修飾により前駆体プロテアーゼから誘導し得
る。たとえば好ましい態様の1つではバチルスアミロリ
クエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)ズブ
チリシンのセリン221をシステインに変換する。このよ
うな変換はズブチリシンのDNA配列をシステインをコー
ドするよう修正し、変異体中セリンをシステインで置換
すること、または適当な化学試薬でセリンを直接修飾す
ることにより等価な変異体を形成させることにより行い
得る。たとえばニート(Neet),K.E.等(1966),Proc.N
atl.Acad.Sci.USA,56,1606−1611;ポルガー(Polgar),
L.,等(1966),J.Amer.Chem.Soc.88,3153−3154(ズブ
チリシンの化学修飾によるチオズブチリシンの形成)参
照。
好ましい態様において、活性部位セリン残基の側鎖の
求核性酸素はその側鎖の求核性酸素を別の求核基で置換
されるよう置換もしくは修飾される。好ましい求核基に
は−SH,−SeH,−NH2が含まれる。最も好ましい求核基は
SH−であり、セリンのシステインによる置換を意味して
いる。
さらに、本発明のセリンプロテアーゼ変異体には前駆
体セリンプロテアーゼ中の第2のアミノ酸残基の置換ま
たは修飾が含まれる。この第2アミノ酸残基の修飾は活
性部位セリン残基の側鎖の置換または修飾によりそこに
誘導された変化を許容できる程度に活性部位を変化させ
るよう行なわれる。活性部位セリンが置換または修飾を
受け天然のセリン側鎖よりも大きい側鎖が生じる場合
(たとえばシステインがセリンと置換するか、またはセ
レニウムが求核性酸素と置換する場合)、第2アミノ酸
残基は活性部位の大きさを効果的に増加させるように置
換または修飾により新しい求核的触媒性側鎖を生ずる残
基である。すなわちたとえばズブチリシン型セリンプロ
テアーゼの場合、バチルスアミロリクエファシエンス
(Bacillus amyloliquefaciens)ズブチリシン中部位22
1に存在する求核基は前駆体セリンプロテアーゼ中の活
性部位セリンの位置またはその付近に存在するα−ヘリ
ックス中の1つ以上のアミノ酸残基を修正することによ
り動かし得る。ズブチリシンの場合、このような修飾ま
たは置換はプロリン225に関するものであることが好ま
しい(カルドウェル(Caldwell)等(1989)J.Cell.Bio
chem.Supp,13A,51)。バチルスアミロリクエファシエン
ス(Bacillus amyloliquefaciens)ズブチリシン中のこ
の残基または他のズブチリシンにおける等価な残基の修
正はヘリックス形成アミノ酸による置換によって行なわ
れる。チョー(Chou)P.Y.等(1974)Biochemistry,13,
211;カイト(Kyte),J.,等(1982)J.Mol.Biol.,157,10
5;ローズ(Rose),G.,等(1977),J.Mol.Biol.,113,15
3。このようなアミノ酸の例にはアラニン、ロイシン、
メチオニン、グルタミン、バリンおよびセリンが含まれ
る。グリシンおよびプロリンなどのヘリックス破壊アミ
ノ酸は好ましくない。あるいは、置換アミノ酸には置換
される残基よりも小さい側鎖容積を有するものが含まれ
る。チョシア(Chothia)(1984),Ann.Rev.Biochem.,5
3,537。先に述べたアミノ酸またはそれらのアナログに
よる置換はα−ヘリックス中の残基223−237に先行する
不連続性(よじれ)を変える。
部位225の好ましい置換アミノ酸はアラニンである。
このような変異体を作ったとき、Ser221を含むα−ヘリ
ックスはオキシアニオンホールから−OH求核基を引き離
すことが知られている。天然のズブチリシンに関するこ
の特定の置換の効果は野生型およびPro225Alaズブチリ
シンの残基220乃至230の立体図である第7図に示されて
いる。Ser221の−OH求核基はオキシアニオンホールおよ
び触媒性ヒスチジン64から0.2〜0.4Å離れる。Ser221の
システインによる置換と組合せたとき、221残基のこの
置換は各々0.65Åおよび1.03Åの求核基サイズの増加を
効果的に埋め合せる。ポーリング(Pauling),L.(196
0)“化学結合の性質”、第3編、コーネル大学出版、
アイチカ、N.Y.pp.246−260。
本発明のセリンプロテアーゼ変異体の特徴はそれが水
性溶液中その活性部位セリン残基の求核性酸素の置換ま
たは修飾のみを含む別のセリンプロテアーゼよりも大き
いペプチドリガーゼ活性を有していることである。この
ようにSer221Cys/Pro225Alaなどの変異体はSer221Cys変
異体よりも大きいペプチドリガーゼ活性を有している。
本明細書で使用している“ペプチドリガーゼ活性”と
いう語句は2つ以上の基質をライゲーションする酵素の
能力を意味している。このような基質には後に述べるラ
イゲーション基質およびペプチドチオベンジルエステル
p−クロロフェニルエステル(ナカツカ(Nakatsuka)
等(1987)J.Amer.Chem.Soc.,109,3808−3810)、p−
ニトロフェニルエステルおよび他のアリールエステルな
どの公知の活性化ペプチドが含まれる。さらに活性化エ
ステルにはメチル、エチル、グリコール酸、乳酸などの
アルキルエステルおよびアルキルチオールエステルが含
まれる。ペプチドリガーゼ活性は測定する酵素をライゲ
ーションに適した条件下少なくとも2つのペプチドまた
は基質(一般にその1つは活性化したカルボキシ末端を
含む)と接触させることにより測定する。それからその
酵素のKcat,Kmおよび/またはKcat/Km比を求める。Kcat
はその酵素のターンオーバー数を示し、酵素分子当り単
位時間当り転換し得る最高の基質数を提供する。通常Km
は酵素の基質アフィニティーに逆比例する。基質の産物
への転換に対する二次速度定数である触媒効率はKcat/K
m比で与えられる。同じペプチドライゲーションに対し
てより高いKcat/Km比を有する種々のセリンプロテアー
ゼはより高いペプチドリガーゼ活性を有している。しか
しそれらがその酵素が基質で飽和している場合に反応が
進行すると仮定してより良いKcat値を有する場合にはよ
り高いペプチドリガーゼ活性を有すると考えることがで
きる。2つの酵素のペプチドリガーゼ活性を比較する場
合、各酵素は同じ条件下、同じペプチドと接触させるこ
とが望ましい。
リガーゼ活性を有するセリンプロテアーゼ変異体を形
成するための活性部位セリンおよび第2アミノ酸残基の
先に述べた修正に加えて、アミノ酸側鎖の種々の他の置
換または修飾が目的のライゲーションペプチド産物を形
成するのに用いられるライゲーションペプチドに対する
特異性を修正するために行ない得る。たとえばズブチリ
シン変異体Ser221Cys/Pro225Alaはバチルスアミロリク
エファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来の
野性型ズブチリシンから誘導される。この野生型ズブチ
リシンは第2A図に示した加水分解ペプチドのP1残基がTh
r,Val,Ile,ProまたはGlyではなく、フェニルアラニン、
チロシン、トリプトファン、ロイシン、メチオニンおよ
びリジンからなるペプチドを優先的に加水分解する。さ
らに好ましい加水分解ペプチドはP1′部位にIle,Pro,As
pまたはGluを、もしくはP2′部位にGly,Ala,Pro,Ser,As
pまたはThrなどの小さいアミノ酸を含むべきではない。
ズブチリシン変異体Ser221Cys/Pro225Alaにおいてズブ
チリシンの基質結合クレフトを形成するアミノ酸残基は
修正せず、従ってたとえばP2からP2′など1個以上の基
質残基と相互作用するこの結合クレフト内にある種々の
酵素サブサイトは、なお野生型ズブチリシンの通常の基
質を結合し得る。もちろんこの変異体はこのズブチリシ
ン変異体を形成するために行なわれた修正のためこのよ
うなペプチド基質に関し実質的により低い触媒活性を示
す。
したがってこのようなズブチリシン変異体は正常なペ
プチド基質に存在するものに対応するかもしくは非常に
関連するアミノ酸残基またはアナログを含むライゲーシ
ョン基質を結合し得る。このように第2B図で図式的に示
されている“第1ライゲーション基質”には(アミノ末
端からカルボキシ末端の方向に読んで)残基RnからR1が
含まれる。R1は通常ズブチリシン加水分解基質のP1部位
に見出されるものに類似する大きな疎水性アミノ酸また
はアナログである。同様に、R2は通常加水分解基質のP2
部位に見出されるアミノ酸残基(またはそのアナログ)
に対応するか、または非常に関連している。第1ライゲ
ーション基質のカルボキシ末端に共有結合しており、第
1ライゲーションペプチドおよびR2″からRnの残基を活
性化するX基については後に詳しく議論する。
第2C図に図で示されている“第2ライゲーション基
質”は残基R1′からRn′(アミノ末端からカルボキシ末
端の方向に読んで)を含む。残基221および225に修正を
受けた上記のズブチリシン変異体とともに用いた時、R
1′は通常のズブチリシン加水分解基質中のP1′アミノ
酸残基(またはそのアナログ)に対応する。第2ライゲ
ーション基質残基R2′に関し、この残基は通常のズブチ
リシン加水分解基質のP2′残基と類似か、または非常に
関連する大きな疎水性アミノ酸残基(またはそのアナロ
グ)を含む。第1および第2ライゲーション基質の両方
について通常の加水分解基質中に存在するアミノ酸残基
(またはそのアナログ)に対応するか、または非常に関
連する別のアミノ酸残基も選択し得る。別のセリンプロ
テアーゼに対する適当なRおよびR′残基がこれらのプ
ロテアーゼに対する天然の加水分解基質に対して選択さ
れるがこれらに限定されることはない。
さらに、第1または第2ライゲーション基質のいずれ
かは産物の部位特異的修正を起こす他の化合物を含み得
る。この特定の化合物は産物内の特定の部位を特異的に
指向するよう選択することができる。たとえば第1また
は第2ライゲーション基質はライゲーション産物の構造
のX線結晶学的解析に有用なライゲーション産物の重金
属誘導体を生ずるような重金属イオンを含み得る。第1
または第2ライゲーション基質は生物物理学的研究を目
的とした修飾またはアイソトープラベルしたアミノ酸も
含み得る。
さらに、ライゲーション反応を行う条件はライゲーシ
ョンが起こるように修正してもよい。この修正はライゲ
ーション基質がリガーゼ活性を破壊することなくライゲ
ーションを起こすのに適当な立体構造を取るのに必要と
されよう。たとえば、その実験条件には変性剤、界面活
性剤、有機溶剤または還元剤の添加またはとりわけpHま
たは温度の変化が含まれる。
実験条件と同様に第1および第2ライゲーション基質
は望ましいレベルの特異性を生ずるのに要求されるもの
を選択すればよい。本発明の応用例にはより低いレベル
のライゲーション反応特異性を必要とするものもある
が、一方他の応用の場合厳格な特異性が望まれる。
本明細書で示されているようにズブチリシン変異体Se
r221Cys/Pro225AlaはR1およびR2′アミノ酸残基に対す
る上述の優先性に従がい第1ライゲーション基質(活性
基を含む)および第2ライゲーション基質をライゲーシ
ョンし得る。この変異体のペプチドライゲーション活性
は同じライゲーション基質に対し実質的にSer221Cys変
異体の活性よりも大きい。部位R1にアミノ酸Phe,Tyr,Me
t,Leu,TrpおよびLysおよび部位R2′にアミノ酸Phe,Tyr,
LeuおよびMetを有する第1および第2ライゲーション基
質に対するこの変異体の優先性は公知の化学合成法で調
製したものなどのブロック基質のライゲーションへの実
質的な応用を提供する。
一般に合成ライゲーション基質は約15〜25残基長であ
り、約50残基長のライゲーション産物を生ずる。この第
1ライゲーション産物はその後別のライゲーション基質
とライゲーションしてより長いライゲーション産物を構
築し得る。
基質ライゲーションに広い特異性を提供するためこの
セリンプロテアーゼ変異体に別の修正を行ない第1およ
び/または第2ライゲーション基質に対する特異性を変
化させ得る。ここで述べているように、Ser221Cys/Pro2
25Alaの修正とGlu156およびGly166残基における修正を
含むズブチリシン変異体を作り第1ライゲーション基質
のR1残基に対するこの変異体の特異性を修正した。Ser2
21Cys/Pro225Ala変異体から3つの変異体を作った。こ
れらの特異的変異体には221および225の修正の他にさら
にGly166Glu,Glu156,Gln/Gly166LysおよびGly166Ileを
含んでいた。アミノ酸残基の標準的1文字記号を用いる
と、これらの変異体は各々G166E/S221C/P225A、E156Q/G
166K/S221C/P225AおよびG166I/S221C/P225Aと表すこと
ができる。S221C/P225A変異体にこれらの変異を導入す
ることにより、ペプチドリガーゼ特異性が実質的に変化
した。種々の第1ライゲーション基質(後に詳細に議論
する)および第2ライゲーション基質Ala−Phe−アミド
のライゲーションを示した第11図を参照のこと。
小さいR1エステル基質(s−Ala−Ala−Pro−Ala−gl
c−Phe−アミド)に対してはG166I/S221C/P225A変異体
(ICA)が実質的に他のものよりも良い(第11図)。E15
6Q/G166K/S221C/P225A変異体(QKCA)はGlu R1第1ライ
ゲーション基質を第2ライゲーション基質Ala−Phe−ア
ミド(AF−アミド)とともに効率的に加アミノ分解す
る。またこれはPhe R1第1ライゲーション基質に対し他
の変異体よりもより大きいペプチドライゲーション活性
を有している。Lys R1エステル基質に対し、3つの変異
体(相補的に荷電したG166E/S221C/P225A変異体(ECA)
を含む)の速度は同様であり、かつ同様に荷電した変異
体E156Q/G166K/S221C/P225Aよりも非常に活性が高い。R
1 Argエステルを含むペプチド基質のライゲーションに
ついて本発明者の予備的データはG165E/S221C/P225Aは
実質的に親リガーゼよりも高い活性を有していることを
示している。第1表を参照のこと。
一般に、至適酵素ライゲーションペプチドペアに対す
る加アミノ分解速度は同等であり、このことはLys,Ala,
PheおよびGlu R1ライゲーション基質をS221C/P225A由来
のリガーゼS221C/P225A(CA)の適正な選択物と効率的
にライゲーションすることが可能であることを示してい
る。Lys R1ライゲーション基質以外、3つの別の特異性
変異体のうちの少なくとも1つは親ペプチドリガーゼよ
りも実質的に活性が高かった。これら付加的変異体酵素
はライゲーション結合部の設計にさらに柔軟性を与え
る。
これらの結果は各々LysまたはArg,GluおよびAla P1基
質を含むペプチドの加水分解についてのズブチリシン変
異体G166E、E156Q/G166KおよびG166Iの特異性と一致し
ている(ウェルズ(Wells)等、(1987)Proc.Natl.Aci
d.Sci.USA.84,1219−1223;エステル(Estell)等、(19
86)Science,233,659−663,およびEPO刊行物No.0 251 4
46)。野生型ズブチリシン中の種々のPおよびP′残基
に関する基質特異性の変化を起こすことが知られている
別の修正を種々の第1および第2ライゲーション基質に
対するセリンヒドロラーゼ変異体の特異性をさらに修正
するSer221/Pro225またはそれと等価な修正と効果的に
組合せ得る。
バチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amylo
liquefaciens)ズブチリシンに対するこれらの多くの修
正は、1988年1月9日公表されたEPO公開No.0 136 756
および1988年1月7日公表されたEPO公開No.0 251 446
に報告されている。これらの修正はここで述べられてい
るSer221/Pro225変異体(並びに本発明の範囲内にある
他の変異体)に容易に導入でき第1および第2ライゲー
ション基質に対して広い特異性を示す変異体を形成し得
る。これらのEPO公開に開示されている方法はここで述
べている変異体をコードするDNAを修正するのに容易に
適用し得る。
基質特異性に影響する修正を組合せることに加えて、
セリンプロテアーゼの他の性質に影響する他の修正と組
合せることも可能である。特に本発明の変異体と組合せ
ることが望まれる多くの性質に影響する修正がズブチリ
シンに対して行なわれる。たとえば部位50のメチオニン
のPheまたはCysによる置換および部位222のAla,Gly,Ser
およびCysによる置換は野生型ズブチリシンと比べて酸
化的に安定なズブチリシン変異体を生ずる。さらに熱安
定性、アルカリ安定性の増加およびpH活性特性の変化を
起こすズブチリシンへの修正が知られている。たとえば
1988年1月7日公表されたEPO刊行物0 251 446を参
照のこと。本発明はライゲーション活性に加えて前駆体
酵素の1つ以上のその他の性質の変化を特徴とする変異
体を形成するこれらおよびその他の可能な修正を組合せ
ることに関する。たとえばこのような修正を含まない変
異体に比べてより高い温度での失活に耐え得るセリンプ
ロテアーゼは、反応温度の増加が1つ以上のライゲーシ
ョンペプチドの部分的または完全な変性を容易にし、ラ
イゲーション収率が増加する場合の第1および第2ライ
ゲーション基質のライゲーションに有用である。同様に
ライゲーション基質の変性を容易にするpHで至適活性を
有する変異体は特定の応用に有用である。もちろん現在
知られていないが本発明のセリンプロテアーゼ変異体に
望ましい性質を与えることが分った他の修正も本発明の
範囲に含まれる。
活性化したアリール−エステル基質(チオベンジルエ
ステルなど)はズブチリシンのアシル化に関し対応する
アルキル−エステルよりも効率が良いが、アリール−エ
ステルは合成が困難で、かつ本質的に不安定である。一
連のアルキル−エステル基質を合成し、アシル−酵素中
間体形成に対するドナー基質としてのそれらの触媒効率
を改良した。ペプチド基質は残基P4からP3'までの伸長
したアンチパラレルβ−シート構造に結合する(マクフ
ァレン(Mcphalen)およびジェームス(James)(198
8),Biochemistry,27,6592−6598)。P4およびP1残基は
この酵素の基質特異性を支配しているけれども(フィリ
ップ(Philipp)およびベンダー(Bender)(1983)Mo
l.Cell.Biochem.,51,5−32;エステル(Estell)等(198
6),Science,233,659−663参照)、加水分解の触媒効率
はペプチド基質がP1'からP3'に伸長する場合有意に増加
する(モラハラ(Morahara)等、(1970)、Arch.Bioch
em.Biophys.138,515−525)。
第2B図および第2C図で第1および第2ライゲーション
基質を先に述べられたR1およびR2'基とともに示した。
第2B図中エステルの脱離基Xは以下の有機アルコールま
たはチオールのいずれであってもよい:アリール基が置
換していないか、または1つ以上のニトロ基、水酸基、
ハロゲン(F,Cl,Br,I)、C1−C8アルキル基、ハロゲン
−C1−C8アルキル基、C1−C8アルコキシ基、アミノ基、
フェニルオキシ基、フェニル基、アセトアミド基、ベン
ズアミド基、ジ−C1−C8アルキルアミノ基、C1−C8アル
キルアミノ基、C6−C12アロイル基、C1−C8アルカノイ
ル基、およびヒドロキシ−C1−C8アルキル基で置換して
いるC6−C12アリル基;非置換またはハロゲン(F,Cl,B
r,I)置換の分枝、直鎖または環状のC1−C12アルキル
基;C1−C8アルコキシ基、アリール基が置換していない
か、または1個以上のニトロ基、水酸基、ハロゲン(F,
Cl,Br,I)、C1−C8アルキル基、C1−C8−アルコキシ
基、アミノ基、フェニルオキシ基、アセトアミド基、ベ
ンズアミド基、ジ−C1−C8アルキルアミノ基、C1−C8
ルキルアミノ基、C6−C12アロイル基およびC1−C8アル
カノイル基で置換しているC6−C12アリロキシ基;イソ
チオウレイド基;C3−C7シクロアルキル基;ウレイド
基;アミノ基;C1−C8アルキルアミノ基;ジ−C1−C8
ルキルアミノ基;水酸基;アミノ−C2−C8アルキルチオ
基;アミノ−C2−C8アルコキシ基;アセトアミド基;フ
ェニル環が置換されていないか、または1個以上のニト
ロ基、水酸基、ハロゲン(F,Cl,Br,I)、C1−C8アルキ
ル基、C1−C8−アルコキシ基、アミノ基、フェニルオキ
シ基、アセトアミド基、ベンズアミド基、ジ−C1−C8
ルキルアミノ基、C1−C8アルキルアミノ基、C6−C12
ロイル基およびC1−C8アルカノイル基で置換したベンズ
アミド基;アリール基が置換されていないか、または1
個以上のニトロ基、水酸基、ハロゲン、C1−C8アルキル
基、C1−C8−アルコキシ基、アミノ基、フェニルオキシ
基、アセトアミド基、ベンズアミド基、ジ−C1−C8アル
キルアミノ基、C1−C8アルキルアミノ基、C6−C12アロ
イル基およびC1−C8アルカロイル基で置換したC6−C12
アリールアミノ基;グアニジノ基;フタルイミド基;メ
ルカプト基;C1−C8アルキルチオ基;C6−C12アリールチ
オ基;カルボキシ基;カルボキシアミド基;カルボ−C1
−C8アルコキシ基;アリール基が置換されていないか、
または1個以上のニトロ基、水酸基、ハロゲン、C1−C8
アルキル基、C1−C8アルコキシ基、アミノ基、フェニロ
キシ基、アセトアミド基、ベンズアミド基、ジ−C1−C8
アルキルアミノ基、C1−C8アルキルアミノ基、ヒドロキ
シC1−C8アルキル基、C6−C12アロイル基およびC1−C8
アルカノイル基で置換したC6−Cアリール基;およびヘ
テロ環が5〜10個の環原子を含み、かつ2個までのO,N,
またはSヘテロ原子を含む芳香族ヘテロ環。
本発明の1つの態様としてXは2−ヒドロキシカルボ
ン酸であることが好ましい。2−ヒドロキシカルボン酸
の一般式を第9図に示す。これから分るように2−ヒド
ロキシカルボン酸のコア構造は2−ヒドロキシ基がアミ
ノ基で置換していること以外アミノ酸のコア構造と同じ
である。したがって、適当な側鎖R基は2−ヒドロキシ
酸に対し天然のアミノ酸で見られる側鎖R基に対応する
よう選択できる。このようにたとえばアミノ酸グリシン
に相当するグリコール酸およびアミノ酸アラニンに相当
する乳酸などの種々の2−ヒドロキシカルボン酸を基質
のカルボキシ末端でエステル化し第1ライゲーション基
質を形成し得る。
2−ヒドロキシカルボン酸をグリコール酸または乳酸
とした第1ライゲーション基質を構築した。基本的に2
−ヒドロキシカルボン酸は加水分解基質のP1'残基と相
互作用する酵素結合クレフト中の領域に結合するアミノ
酸として働く。さらに、2−ヒドロキシカルボン酸の遊
離カルボキシル基を第2B図に示したように各々R2″また
はR2″からRn″で表わされるアミノ酸残基(またはその
アナログ)またはペプチド(またはペプチドアナログ)
でアミド化される。ここで示したようにR2″は加水分解
基質残基P2'と相互作用する酵素の結合クレフト中の領
域との相互作用を至適化するように選ぶことが好まし
い。その他のR″残基には同様のアナログが存在する。
得られる脱離基は第1ライゲーション基質を活性化し、
その結果エステル切断の活性化エネルギーはセリンプロ
テアーゼ変異体への結合を至適化することにより低下す
る。
本明細書で使用されているように“ライゲーション産
物”は本発明のセリンヒドロラーゼ変異体による第1お
よび第2ライゲーション基質のライゲーションで形成す
る。しかし、ライゲーション産物および第1および第2
ライゲーションペプチドはその全てが天然アミノ酸で出
来ている必要はなく、またさらに全てがたんぱく質であ
る必要はないと理解すべきである。この点に関し、第1
および第2ライゲーション基質の唯一の必要事項はそれ
らが少なくとも1個のR1アミノ酸またはその機能的アナ
ログ(第1ライゲーションペプチドのカルボキシ末
端)、ならびに第2ライゲーションペプチドのR1'部位
には1個のアミノ酸またはその機能的アナログを含むこ
とである。これらのR1およびR1'残基はセリンヒドロラ
ーゼ変異体の基質結合クレフトの適当な領域に結合で
き、その結果ライゲーションが起こる。R1およびR1'中
には特に本発明のセリンプロテアーゼ変異体に機能する
アミノ酸残基アナログが含まれる。このようなアナログ
にはL−セレノシステイン、L−セレノメチオニンおよ
びL−プロパルギルグリシン(シグマ)がある。
このような結合およびライゲーションもR2およびR2'
アミノ酸(またはそのアナログ)または付加的アミノ酸
R3又はR3'など(またはそのアナログ)を必要とする程
度に第1および第2ライゲーション基質ペプチドにこの
ような構造が含まれる。しかし、第1および/または第
2ライゲーション基質は結合およびライゲーションに必
要な領域の外に非天然のアミノ酸を含み得る。さらに、
第1および第2ライゲーション基質はライゲーションを
起こすのに十分な結合力を有することだけが必要なの
で、第1および第2ライゲーション基質および対応する
ライゲーション産物は必要とされる結合およびライゲー
ション領域の外には事実上どんな化学構造でも含み得
る。したがって、本発明は天然のアミノ酸を含むポリペ
プチドまたはたんぱく質に対応するライゲーション基質
およびライゲーション産物に限定されることはない。
一連のグリコレート酸および乳酸−エステルを用いた
S221C/P225Aズブチリシンによるペプチドライゲーショ
ンの効率を分析した(第II表)。ここに示されているよ
うに、−glc−アミドから−glc−Phe−Gly−アミドへと
伸長することによりKcat/Km値が約10倍系統的に増加し
ている。この増加のほとんどはより低いKm値の結果であ
る。1ac−アミドから出発すると同様の増加があり、こ
のことはさらにエステル鎖長の伸長の利点を示してい
る。一般に乳酸−エステルシリーズはグリコール酸−エ
ステルシリーズよりも4〜5倍反応性が低く、また付加
的な光学活性中心を含んでいる。それゆえ、触媒効率の
向上、合成の容易性のためさらに−glc−Phe−アミドエ
ステル基質を研究した。
P225A変異体はほとんど加アミノ分解を伴なわず迅速
かつ定量的に−glc−Phe−アミドエステルを加水分解し
た(第10A図)。S221C変異体は基質をゆっくり加アミノ
分解し、かつその付加物(ライゲーション産物)を加水
分解し、その結果この時間内で基質の3分の1が加水分
解した(第10B図)。しかしS221C/P225A変異体は迅速で
ほぼ定量的な加アミノ分解を起こした(>90%;第10C
図)。さらにS221C/P225Aの低いアミダーゼ活性から期
待されるように(第III表)、加アミノ分解産物(ライ
ゲーション産物)はS221CまたはP225A変異体の結果とは
異なり(データ示さず)検出レベルでの加水分解は確認
されなかった。迅速な加アミノ分解、および遅いライゲ
ーション産物加水分解に基づき、S221C/P225Aは−glc−
Phe−アミド−エステルドナー基質を用いた基質ライゲ
ーションに関しいずれの親単一変異体よりも有用な酵素
である。
求核性アクセプターペプチド(第2ライゲーション基
質)の配列要件はNH2−R1'−Phe−アミド型(R1'はチオ
アシル−酵素中間体の攻撃の際R1'結合部位に存在する
第2ライゲーション(アクセプター)基質のアミノ末端
残基に対応する)を有する一連のアクセプタージペプチ
ドのライゲーション効率を測定することで研究した。R
1'残基は大きさや荷電が様々なので(Gly、Ala、Leu、A
rg)、s−Ala−Ala−Pro−Pro−Phe−glc−Phe−アミ
ドの加アミノ分解の見かけの二次速度定数は7倍以下で
変化している(第IV表)。このことは種々のP1'ペプチ
ド基質の加水分解に関する広い特異性と一致している
(カーター((Carter)等(1989)Proteins,,240−2
48)。
R2'部位をNH2−Gly−R2'−アミド型を有する一連のジ
ペプチドで調べた(第IV表)。大きなアミノ酸に対する
優先性があるが、ライゲーションの速度定数はS221C/P2
25Aに対し、AlaからLeu、Pheと伸びるにつれ8倍しか変
化しない。いくつかのジペプチドの組合せについてはそ
の差はもっと大きくなる。たとえば、Arg−Pheは加アミ
ノ分解がArg−Glyよりも100倍速い。さらにR1'に大きな
疎水性アミノ酸およびR2'にGlyなどという組合せは極単
に悪いライゲーション基質を与える(NH2−Phe−Gly−
アミドとNH2−Gly−Phe−アミドを比較のこと、第IV
表)。求核性ペプチドを伸長するとライゲーションの触
媒効率を2〜3倍増加できる(NH2−Ala−Phe−アミド
とNH2−Ala−Phe−Ala−アミドを比較のこと、第IV
表)。
2つの大きなライゲーション基質のライゲーションテ
ストとして、グリコレート−Phe−アミドにエステル化
したhGHの最初の8個のアミノ酸(FPTIPLSR)を含むペ
プチドエステル(第1ライゲーションペプチド)を合成
した。アクセプターペプチドフラグメントはhGHの残基
9−191を含むdes−octa hGHとした(第2ライゲーショ
ンペプチド)。G166E/S221C/P225A変異体は80分後期待
される分子量を有するライゲーション産物を生成した
(第12図)。この産物の最初の10個の残基のアミノ末端
シーケーシングで単一のFPTIPLSRフラグメントがLeu−P
he−Aspで始まるdes−octa hGHのN−末端に正しくライ
ゲーションし完全長のホルモンを与えることを示してい
る。親ペプチドリガーゼ(S221C/P225A)はこの2つのh
GHペプチドフラグメントのライゲーションに関して有意
に効率が悪かった。親リガーゼよりも高いG166E/S221C/
P225A酵素の効率はP1結合部位中のG166E置換によるArg
R1基質に対する活性の増加に帰因する。非保護ペプチ
ドエステルの重合は観測されなかった。これはおそらく
非常に弱いP2'残基である第1ライゲーションペプチド
の第2アミノ酸残基に位置するPro残基に依るものであ
ろう(カーター((Carter)およびウェルス(Wells)
(1989)上述)。
このリガーゼ(S221C/P225A)の有用性を示すためナ
ノマーエステル第1ライゲーション基質(FPTIPAAPF)
を至適酵素基質(s−Ala−Ala−Pro−Phe−glc−Phe−
アミド)を真似て構築した。このペプチドエステルをS2
21C/P225Aによりdes−octa hGH(第2ライゲーション基
質)にライゲーションした(第12図)。このライゲーシ
ョン産物のたんぱく質シーケンシングはdes−octa hGH
の未反応アミノ末端ではなく期待されるアミノ末端配列
を与えた。このことはライゲーションはhGHのα−アミ
ノ基のみに起こりかつリジンのα−アミノ基には起こら
ないことを示している。
このhGHの準合成は水中におけるペプチドフラグメン
トのライゲーションにより大きいペプチドを形成させた
最初の例である。報告によると50%以上のDMF(ジメチ
ルホルムアミド)を含む溶液中でのチオズブチリシンを
用いた以前のライゲーションは17個以下のアミノ酸残基
のペプチドを生成した。ナカツカ(Nakatsuka)等(198
7)J.Am.Chem.Soc.109,3208−3210。ここで報告するラ
イゲーションでは本発明のセリンプロテアーゼ変異体を
用いた第1および第2ライゲーションペプチドのライゲ
ーションで191アミノ酸残基長のライゲーション産物が
生成した。さらにこのライゲーションは、非水性溶媒の
容積2%以下の水性溶液中で行なわれ、かつペプチド側
鎖は保護基を必要としない。
ここで用いる“水性溶液”とは水を含む溶液を意味す
る。ある場合には、この水性溶液は1〜約5%程の水し
か含まないこともある。しかし、一般に水性溶液は約50
〜100%(溶質を除いて)の水で構成される。したがっ
て、少量の非水溶媒を含む溶液は水性溶液の定義の範囲
内にあると考える。
しかし、本発明の変異体は触媒性セリンの位置でのみ
修正を受けた変異体との比較で、水性溶液中でのセリン
プロテアーゼ変異体のペプチドリガーゼ活性に関しての
み定義されていると理解すべきである。この定義は水を
ほとんど、あるいは全く含まない溶液中での本発明のセ
リンプロテアーゼ変異体の使用を除外しない。
以下に例を示すがこれら特許請求の範囲を制限するも
のとして考えてはならない。
(材料と方法) (略号) DMA,ジメチルアセトアミド;DMSO、ジメチ
ルスルホキシド;DTNB,5,5'−ジチオビス(2−ニトロ安
息香酸);DTT,DL−ジチオスレイトール;hGH、ヒト成長
ホルモン;NEM、N−エチルマレイミド;PAGE、ポリアク
リルアミドゲル電気泳動;SDS、ドデシル硫酸ナトリウ
ム;s−Ala−Ala−Pro−Phe−pNA、N−スクシニル−L
−Ala−L−Ala−L−Pro−L−Phe−パラ−ニトロアニ
リド;s−Ala−Ala−Pro−Phe−Sbz、同スクシニル化ペ
プチドのチオベンジルエステル;TFA、トリフルオロ酢
酸;Tricine、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグ
リシン;Tris、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ン;E−Ac、アシル−またはチオアシル−酵素中間体。変
異体たんぱく質は野生型残基(1文字アミノ酸コード)
の後ろにその部位番号と変異残基を付けて表わされる。
多重変異はスラッシュで分ける。たとえばS221C/P225A
は部位221のセリンおよび部位225のプロリンが各々シス
テインおよびアラニンに置換したことを示す。プロテア
ーゼ基質残基はシェッチャー(Schechter)およびバー
ガー(Berger)(1967)の命名法を用いて命名する、 (一般式中、切断可能な結合はP1とP1'残基の間であ
る)。
(材料):DNA操作用の酵素はニューイングランドバイオ
ラブスまたはベセスダリサーチラブスから入手した。オ
リゴヌクレオチドはジェネンテクの有機化学部で合成し
た。特に示さない限り全てのペプチドはL−アミノ酸か
ら成っており、標準的手法で合成した(バラニー(Bara
ny)およびメリフィールド(Merrifield),1979)。DL
−ジチオスレイトール(DTT)1,DTNS,2−メルカプトエ
タノール、NEM,TFA,Tween 80,Tricine、ジメチルスルホ
キシド、ジメチルアセトアミドおよび基質s−Ala−Ala
−Pro−Phe−pNAおよびs−Ala−Ala−Pro−Phe−Sbzは
シグマから入手した。溶媒エタノールおよびアセトニト
リルはJ.T.ベーカー(Baker)社から購入し、硫酸アン
モニウムはICNバイオケミカルス社から購入した。ジペ
プチドAla−Phe−アミド、Arg−Gly−アミド、Arg−Phe
−アミド、Gly−Ala−アミド、Gly−Leu−アミド、Gly
−Phe−アミド、Leu−Phe−アミド、Phe−Gly−アミ
ド、およびトリペプチドAla−Phe−Ala−アミドはBACHE
MファインケミカリエンAGから入手した。トリペプチドL
eu−Phe−Asp−アミドはG.バラニー(Barany)およびR.
B.メリフィールド(Merrifield)(1979)、“固相ペプ
チド合成”、“ペプチド・分析・合成・生物学的方
法”、ジペプチド合成、パートA、2巻(E.グロー(Gr
ow)、J.メイエンハッター(Meienhatter)編、N.Y.ア
カデミックプレス),pp.3−254)に報告されている一般
的方法に従って合成した。活性化チオールセファロース
並びにG−25およびG−75セファロースはファルマシア
LKBテクノロジーABから入手した。
(ズブチリシン変異体の発現と精製):M13−大腸菌−枯
草菌(B.subtilis)シャトルプラスミドpSS5((カータ
ー((Carter)およびウェルス(Wells)(1987)Scien
ce,237,398−399)中のズブチリシン遺伝子を内在性ズ
ブチリシンおよび中性プロテアーゼ遺伝子を欠く枯草菌
(B.subtilis)宿主株(BG2036)中で発現させた(ヤン
(Yang),M.Y.等(1984)J.Bacteriol.160,15−21)。
ズブチリシンの成熟にはプロ配列のたんぱく質分解的除
去が行なわれるので(パワー(Power)等(1986)、Pro
c.Natl.Acad.Sci.,USA,83,3096−3100)、プロテアーゼ
活性が減少した変異体は活性ズブチリシンの存在下で発
現する。これは対数増殖期後期に少量の精製ズブチリシ
ンを添加するか(最終濃度500μg/L)かもしくは0.1%
の野生型ズブチリシン発現細胞を含むBG2036の接種物と
共培養することによって達成される((カーター((Ca
rter)およびウェルス(Wells)(1987)、上述)。
不活性ズブチリシン変異体の精製は冷エタノールの2
倍容のエタノール添加によるズブチリシン沈殿の前に上
清に等容量の冷エタノールを添加して不純物を沈殿させ
る事以外は基本的に報告された方法に従った(カーター
(Carter)およびウェルス(Wells)(1987)、上
述)。さらに、イオン交換クロマトグラフィーステップ
においてCM−トリスアクリルをSP−トリスアクリルMと
置き換えた。S221C変異体に対しては活性化チオールセ
ファロース上での精製に活性部位システインを使用し
た。この後者のステップは微量の野生型“ヘルパー”ズ
ブチリシンから変異体たんぱく質を分離するのに重要で
ある。元の操作の対応するステップでは野生型活性の効
率的除去を行うたんぱく質表面に導入したシステイン残
基を使用した(カーター(Carter)およびウェルス(We
lls)(1987)上述;(カーター(Carter)およびウェ
ルス(Wells)(1988)Nature,332,564−568)。変異体
P225Aは自己たんぱく質分解的プロセシングを行い得
る。それゆえ、ヘルパーズブチリシンなしに培養し、標
準的方法で精製した(エステル(Estell)等(1985)J.
Biol.Chem.,260,6518−6521)。
(速度論的検定);エステラーゼおよびアミダーゼ活性
はコントロン・ウビコン860スペクトロフォトメーター
を用いた初期速度測定から評価した。エステラーゼ活性
の検定は100mMトリス−HCl(pH8.60)、4%(v/v)ジ
メチルスルホキシド、0.005%(v/v)Tween80中(25±
0.2℃)で基質にはs−Ala−Ala−Pro−Phe−Sbzを用い
て行った。システイン非含有プロテアーゼの場合、DTNB
を最終濃度37.5μMとなるように添加し(エルマン(El
lman(1959),Arch.Biochem.Biophys.,82,70−77)基質
の加水分解によるチオベンゾエートの放出を可視化し
た。S221C誘導体プロテアーゼの場合、基質と加水分解
産物の250nmにおける吸光度の差を反応のモニターに直
接利用した。アミダーゼ活性は同一条件下、s−Ala−A
la−Pro−Phe−pNAからのp−ニトロアニリドの加水分
解による412nmでの吸光度の増加を追跡することで測定
した。
ペプチドの酵素的ライゲーションは90mM Tricine(pH
8.0)、2%(v/v)ジメチルアセトアミド、0.005%(v
/v)Tween80中(25±0.2)℃で行った。種々の脱離基を
有する基質間の比較は、速度が各々kcat/KMおよびkcat
に比例する低基質濃度(70−75μM)および高基質濃度
(1.33mM)における初期速度を測定することで簡略化し
た(ファースト(Fersht)(1977)“酵素の構造とメカ
ニズム"W.H.フリーマン・アンド・カンパニー社、US
A)。いくつかの基質についてはより高い基質濃度がな
おKM値以下となり、その結果kcat値は不正確となる。ジ
−およびトリペプチドによる加アミノ分解は低いペプチ
ド濃度で行った。加アミノ分解速度はV=K加アミノ分
解〔N〕〔E−Ac〕/KN(式中〔N〕は求核剤濃度、
〔E−Ac〕はアシル−酵素中間体濃度およびKNはアシル
−酵素中間体に対する求核剤の結合に関する解離定数で
ある)で与えられる(リーチマン(Riechmann)および
カシェ(Kasche)(1985)、Biochem.Biophys.Acta,83
0,164−172)。KN=〔N〕〔E−Ac〕/〔NE−Ac〕なの
で〔N〕の変化は〔E−Ac〕の変化を生じるが低い
〔N〕の場合、〔E−Ac〕〉〉(N−E−Ac〕となり、
K加アミノ分解/KN(種々の求核基とアシル−酵素中間
体の反応に関する見かけの二次速度定数)が比較され
る。ペプチド求核剤の濃度および種々のライゲーション
産物に対する吸光度データの較正はアミノ酸組成分析か
ら得られる。ペプチドライゲーションの速度を各求核剤
に関し4または5種類の濃度で測定した。
ライゲーション反応は経時的に部分標本を採取し、C
−18逆相HPLCでペプチド産物を分析した。ペプチドは0.
1%TFA水溶液中アセトニトリルの勾配で溶出し214nmの
吸光度でモニターした。アミノ酸組成分析で加水分解お
よび加アミノ分解産物を確認するとともに、その吸光度
の値を較正した。加水分解および加アミノ分解産物(求
核剤としてジペプチドAla−Phe−アミドを使用した)の
構造はマススペクトル測定で確認した。
実施例 実施例1 ズブチリシン変異体の生産 分子モデル化はプログラムFRODO(ジョーンズ(Jone
s)(1978)J.App.Crystallのgr,11,268−272)および
バチルスアミロリクエファシエンス(Bacillus amyloli
quefaciens)由来のズブチリシンBPN'の1.8Å分解能の
構造の座標(ボット(Bott)等(1988)、J.Biol.Che
m.,263,7895−7906)を用いエバンス・アンド・サザー
ランドPS300で行った。S221C変異はオリゴヌクレオチド (アステリスクは修正するヌクレオチドの位置を示し、
また下線は唯一のKpn I部位である)を用い野生型ズブ
チリシン遺伝子(ウェルス(Wells)等、(1983)Nucl.
Acids Res.11,7911−7925)に導入した(カーター(Car
ter)等、(1986)Nucl.Acids Res.13,4431−4443)。S
221C/P225A変異はKpn I部位に対する制限選択により
(ウェルス(Wells)等、(1986)Phil.Trans.R.Soc.Lo
nd.A317,415−423)オリゴヌクレオチド (アステリスクは修正したヌクレオチドを示し、下線は
新しいFsp I部位を示す)を用いてS221Cテンプレートに
導入した。変異体G166EおよびE156Q/G166Kの構築はウェ
ルス(Wells)等(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,84,
1219−1223に報告されており、また変異体G166Iはエス
テル(Estell)等(1986)Science,226,659−663に報告
されている。活性部位(部位221および225)およびP1結
合ポケット(156および166)のまわりの変異の組合せは
酵素PpuM Iにより分解した変異制限フラグメントのライ
ゲーションで得られる。1988年1月9日公表されたEPO
公開No.0 251 446参照。全ての変異体はダイデオキシシ
ーケンシングで確認した(サンガー(Sanger)等、(19
77)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,83,3096−3100)。P225A
変異体をコードする変異遺伝子はT.グレイカー(Greyca
r)(ゼネンカー(Genencor),S.サンフランシシコ、C
A)から供与された。それは第13図に示した変異体オリ
ゴヌクレオチドを用いたバチルスアミロリクエファシエ
ンス(Bacillus amyloliquefaciens)ズブチリシンの一
本鎖M13サブクローンに対するプライマー伸長突然変異
誘発で合成した。
先に同定したズブチリシン変異体を実施例2および実
施例3に示したライゲーション基質とともに使用して先
に述べた結果を得た。
実施例2 FPTIPAAPF−グリコレート−F−アミドの合
成 C末端アミドライゲーションペプチドの合成はメチレ
ンクロライド中ジイソプロピルカルボジイミドを用いた
第1Boc保護アミノ酸(Boc−フェニルアラニン)の4−
メチル−ベンズヒドリルアミン樹脂(バッケム社L.A.)
への結合によって行った。保護ペプチドの合成を目的と
した標準的Boc合成法は以下のとおりである。バラニー
(Barany)G.等(1979)、“固相ペプチド合成”、“ペ
プチド、分析、合成、生物学、ペプチド合成の特殊な方
法”、パートA、2巻(E.グロー(Grow),J.メイエン
ホファー(Meienhoffer)編、ニューヨーク、アカデミ
ックプレス)、pp.3−254。グリコール酸残基を対応す
るt−ブチルエステルとして導入した。メチレンクロラ
イド中50%トリフルオロ酢酸によるt−ブチルエーテル
の除去および90%メチレンクロライド、10%ジメチルア
セトアミド中でのジイソプロピルカルボジイミドおよび
10mol%ジメチルアミノピリジンを用いた次のアミノ酸
のカップリングがエステル結合を与えた。次のアミノ酸
は再び標準的Bocプロトコールを用いて組込んだ。粗ペ
プチドを脱保護し、フッ化水素で樹脂から切り離した。
それからこの粗ペプチドを逆相HPLCで精製した。純度は
マススペクトル分析で測定した。M+1理論値、1164.
5、M+1観測値1164.6。同様の方法を用い他の第1ライゲ
ーションペプチドを生成した。
実施例3 成長ホルモン発現および準合成 大腸菌アルカリホスファターゼプロモーターおよび大
腸菌熱安定性エンテロトキシンII由来のシグナルペプチ
ドを用い(チャン(Chang)等(1987)Gene.55,189−19
6)ヒト成長ホルモンの短縮型(残基9−191を含むdeso
cta hGH)を大腸菌W3110(tonA:ATCC27325)で発現させ
た。細胞ペレットを4倍容の10mMトリス−HCl、pH8.0に
懸濁し、細胞周辺腔からhGHを放出させた。この細胞を
ペレット化し、その上清からhGHを精製した(オルソン
(Olson)等(1981)Nature,293,408−411)。カルボキ
シ末端に配列FPTIPLSRまたはFPTIPAAPFを有するhGHのア
ミノ末端配列から誘導されるペプチドを脱離基グリコー
ル酸−Phe−アミドでエステル化した。des−octa hGH
(0.5mM)および2つのペプチド基質のいずれか(最終
2.4mM)との間の反応は各々最終濃度3.0μMまたは3.4
μMのS221C/P225AまたはG166E/S221C/P225Aズブチリシ
ンを用い、20℃、Tricine(pH8.0)中で行った。反応は
部分標本を等容量の100mM NEM(活性化部位システイン
をアルキル化する)と混合することにより停止した。ロ
ーディングバッファ(5% 2−メルカプトエタノー
ル、5%グリセロール、10mMトリスHCl、pH8.0、1mM ED
TA、0.25%SDS、最終濃度)を加え、このサンプルを煮
沸してからSDS−PAGEで分析した(レムリ(Laemmli)
(1970)Nature、227、680−685)。第12図参照。この
ライゲーション産物をポリビニリデンジフルオリドメン
ブレンにブロッティングし(マツダイラ(Matsudaira)
等、(1987)、J.Biol.Chem.262,10035−10038)、その
アミノ末端配列を決定した。
実施例4 ペプチドによるプロトロピンに修飾 ペプチドをライゲーションしてより大きいたんぱく質
を作ることに加えて、プロトロピン(met−hGH)をS221
C/P225Aペプチドリガーゼで修飾した。成長ホルモン準
合成に使用したペプチドの1つ、FPTIPAAPF−グリコリ
ル−F−アミドをこれらのライゲーションに使用した。
プロトロピン(75μM)を115μの反応バッファー(1
0mM Tricine pH8.0)中3μMリガーゼの存在下ペプチ
ド(350μM〜7mM)と25℃で反応させた。ライゲーショ
ン反応の進行は部分標本(15μ)を等容量の100mM N
EMと混合し1分から1時間の時間間隔でモニターした。
それからこのサンプルをSDS−PAGEゲルで分析した(レ
ムリ(Laemmli)(1970)Nature、227、680−685)。第
14図は期待される分子量の産物の出現で示されるように
ほとんどの基質は1時間後にライゲーションしているこ
とを示している。
実施例5 リガーゼ基質特異性の確認 リガーゼ基質特異性がペプチドの加水分解に関するズ
ブチリシンの基質特異性と同じであることを示すため、
いくつかのライゲーションを試した。使用した基質およ
び得られた結果でライゲーションはズブチリシン加水分
解基質の配列と同じアミノ酸配列を有するライゲーショ
ン基質に制限されることが確認された。
P1'またはP2'部位のいずれかにプロリンが存在するこ
とがズブチリシンヒドロラーゼ活性を阻害することが示
された。カーター(Carter)等、(1989)たんぱく質;
構造、機能および遺伝学、b巻,240−248(1989)。hGH
はP2'部位にプロリンを有しているがdes−1 hGHはP1'部
位にプロリンを有している。したがって、実施例4の実
験条件下、hGHまたはdes−1 hGHのいずれかによるプロ
トロピンの置換はライゲーションを起こさない(データ
示さず)。
この結果はインシュリン様成長因子−1(IGF−1)
を用いて確認した。IGF−1のN−末端配列はGPETLCで
ある。部位P2'におけるこのプロリンはhGHと同様ライゲ
ーションを阻害することが期待された。実施例4の実験
条件下、プロトロピンとIGF−1の置換はライゲーショ
ンを起こさなかった(データ示さず)。
これらの結果はライゲーションされるペプチドのN末
端配列が重要であり、それらは野生型ズブチリシンによ
る加水分解反応における配列と同じであることを示して
いる。
実施例6 N−末端による特異性の限定 基質のN末端の構造配置の重要性のため、次のレベル
の基質特異性が得られる。アミノ酸配列に加えて、可能
性のある基質の対の1つのN末端構造が重要である。ズ
ブチリシンは切断部位においてアミノ酸が伸長した構造
配置を取ることが好ましいことが示された。好ましいア
ミノ酸配列を有するいくつかのアクセプターたんぱく質
はライゲーションできないか、またはわずかしかライゲ
ーションしないか、またはライゲーションが起きるのに
特殊な処理が必要であった。このことはこれらの基質は
そのN末端に必要とされる伸長構造を有していないこと
を示している。
構造配置およびN末端柔軟性の潜在的重要性はIGF−
1を用いて示された。2つの修正型IGF−1を使用し
た。脳由来のIGF−1は除去されたアミノ末端由来の3
残基を有している。この型のたんぱく質des−3IGF−1
はP2'部位にもはやプロリンを有していない。実施例4
の条件下、これらの非還元条件ではいずれのペプチドも
des−3IGF−1へのライゲーションは起こさなかった。
しかし、1時間還元剤(10mM DTT)で基質を前処理す
ることにより、ライゲーションが観測された(5%)。
別のペプチド、長いArg−3IGF−1はIGF−1のGlu3→Ar
g変異体に結合するブタ成長ホルモン(MFPAMPLSSLFVN)
の最初の13個のアミノ酸残基を有している。このたんぱ
く質のプロトロピンに対する高いN末端配列ホモロジー
はそれを基質として使用し得ることを示している。1時
間の10mM DTTによる前処理を含めた実施例4の条件
下、いくらかのライゲーションが観測された(5%)。
0.1%SDSおよび10%DMSOを添加し、かつ50℃で反応を行
うことにより、生成物の量は2〜3倍増加した(データ
示さず)。
実施例4の条件下プロトロピンの代りにhGHレセプタ
ーを用いることによっては4倍濃度のリガーゼを用いた
5時間後でさえ、ライゲーションは起こらなかった(デ
ータ示さず)。hGHレセプターはN末端配列FSGSEATを有
しており、したがってこの配列は許容され得るズブチリ
シン基質一次配列を満足しているが、ライゲーションが
起きないのはN末端の接近可能性の欠除または高い構造
を持つN末端のいずれかに寄因する。
同様の結果はリラクシンでも得られた。リラクシンは
2つの鎖AおよびBからなる。A鎖はN末端にピログル
タミン酸を有し、それゆえα−アミンは求核剤として作
用し得ない。一方、B鎖は配列DSWMを有しており、高塩
濃度で適当な基質となり得る。しかし、バッファ溶液中
2M NaClを含めるように実施例4の実験条件を修正する
と、1時間後ライゲーションは起こらない(データ示さ
ず)。
これらの結果は反応条件の思慮ある選択によれば(温
度、界面活性剤、pHおよび非水性有機物など)リガーゼ
活性を維持しつつ、基質たんぱく質のN末端セグメント
の構造を選択的に修正でき、その結果非常に特異性のあ
るライゲーションを起こすことができることを示すもの
である。
本発明の好ましい態様を述べてきたが当業者にとって
多くの修正が可能でありかつこれらの修正が本発明の範
囲にあることは明白であろう。
全ての引用文献は参考として本明細書に含める。
フロントページの続き (72)発明者 ウェルス ジェイムズ エイ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94010 バーリンガム コロンバス ア ベニュー 1341 (56)参考文献 特開 昭60−70075(JP,A) J.of the American Chemical Siciety, 1987,Vol.109,No Biochemistry,1985,V ol.24,No.7,p.1798−1806 J.of Molecular Li quids,1989,Vol.42,p. 195−212 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12N 9/54 - 9/56

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天然には存在しないアミン酸配列を有し、
    かつ前駆体ズブチリシン型セリンプロテアーゼから誘導
    されるズブチリシン型セリンプロテアーゼ変異体におい
    て、該前駆体ズブチリシン型セリンプロテアーゼはアル
    ファーヘリックスを有し、該アルファーヘリックスはバ
    チルスアミロリクエファシエンスのズブチリシンにおけ
    るプロリン225に等価な残基にプロリンを含有し、また
    バチルスアミロリクエファシエンスのズブチリシンにお
    けるセリン221に等価な触媒性セリンを含有し、前記誘
    導は、次の工程: a)異なる求核性側鎖を有する第1のアミノ酸で前記触
    媒性セリンを置換するか、あるいは、前記触媒性セリン
    の側鎖を修飾して、前記側鎖の求核性酸素を求核性硫黄
    で置換し、これによって前記触媒性セリンをシステイン
    に転化する工程、及び、 b)ヘリックス形成性のアミノ酸を含有する第2の異な
    るアミノ酸で、前記プロリンを置換する工程、 を含み、 前記求核性酸素の置換または修飾のみを含む前記前駆体
    ズブチリシン型セリンプロテアーゼの変異体よりも高
    い、水溶液中でのペプチドリガーゼ活性を有することを
    特徴とする、前記ズブチリシン型セリンプロテアーゼ変
    異体。
  2. 【請求項2】前記前駆体ズブチリシン型セリンプロテア
    ーゼがズブチリシンである請求の範囲1記載のズブチリ
    シン型セリンプロテアーゼ変異体。
  3. 【請求項3】前記触媒性セリンがシステインで置換した
    請求の範囲1記載のズブチリシン型セリンプロテアーゼ
    変異体。
  4. 【請求項4】請求の範囲1記載のズブチリシン型セリン
    プロテアーゼ変異体で、さらに前記アミノ酸配列中の少
    なくとも1個の別のアミノ酸残基の置換を含む変異体。
  5. 【請求項5】前記少なくとも1個のアミノ酸残基の置換
    が基質特異性、酸化安定性、熱安定性およびpH活性特性
    からなる群から選ばれる性質を変える請求の範囲4記載
    のズブチリシン型セリンプロテアーゼ変異体。
  6. 【請求項6】前記性質が基質特異性である請求の範囲5
    記載のズブチリシン型セリンプロテアーゼ変異体。
  7. 【請求項7】前記少なくとも1個の別のアミノ酸残基が
    バチルスアミロリクエファシエンスのズブチリシンのア
    ミノ酸配列のグルタミン酸156またはグリシン166および
    他の前駆体ズブチリシン型セリンプロテアーゼ中の等価
    なアミノ酸残基を含む請求の範囲6記載のズブチリシン
    型セリンプロテアーゼ変異体。
  8. 【請求項8】前記グルタミン酸156がグルタミンと置換
    し、かつ前記グリシン166がリジンと置換した請求の範
    囲7記載のズブチリシン型セリンプロテアーゼ変異体。
  9. 【請求項9】前記グリシン166がグルタミン酸と置換し
    た請求の範囲7記載のズブチリシン型セリンプロテアー
    ゼ変異体。
  10. 【請求項10】前記グリシン166がイソロイシンと置換
    した請求の範囲7記載のズブチリシン型セリンプロテア
    ーゼ変異体。
  11. 【請求項11】請求の範囲1のズブチリシン型セリンプ
    ロテアーゼ変異体を第1および第2のライゲーション基
    質と接触させるステップを含むライゲーション法であっ
    て、該第1ライゲーション基質が アリール基が置換されていないか、または1個以上のニ
    トロ基、水酸基、ハロゲン(F,Cl,Br,I)、C1−C8アル
    キル基、ハロゲン化C1−C8アルキル基、C1−C8アルコキ
    シ基、アミノ基、フェニルオキシ基、フェニル基、アセ
    トアミド基、ベンズアミド基、ジ−C1−C8アルキルアミ
    ノ基、C1−C8アルキルアミノ基、C6−C12アロイル基、C
    1−C8アルカノイル基およびヒドロキシ−C1−C8アルキ
    ル基で置換されているC6−C12アリール基、 非置換またはハロゲン(F,Cl,Br,I)置換の分枝、直鎖
    または環状のC1−C12アルキル基、 C1−C8アルコキシ基、 アリール基が置換されていないか、または1個以上のニ
    トロ基、水酸基、ハロゲン(F,Cl,Br,I)、C1−C8アル
    キル基、C1−C8−アルコキシ基、アミノ基、フェニルオ
    キシ基、アセトアミド基、ベンズアミド基、ジ−C1−C8
    アルキルアミノ基、C1−C8アルキルアミノ基、C6−C12
    アロイル基およびC1−C8アルカノイル基で置換されてい
    るC6−C12アリールオキシ基、 イソチオウレイド基、 C3−C7シクロアルキル基、 ウレイド基、 アミノ基、 C1−C8アルキルアミノ基、 ジ−C1−C8アルキルアミノ基、 水酸基、 アミノ−C2−C8アルキルチオ基、 アミノ−C2−C8アルコキシ基、 アセトアミド基、 フェニル環が置換されていないか、または1個以上のニ
    トロ基、水酸基、ハロゲン(F,Cl,Br,I)、C1−C8アル
    キル基、C1−C8アルコキシ基、アミノ基、フェニルオキ
    シ基、アセトアミド基、ベンズアミド基、ジ−C1−C8
    ルキルアミノ基、C1−C8アルキルアミノ基、C6−C12
    ロイル基およびC1−C8アルカノイル基で置換されている
    ベンズアミド基、 アリール基が置換されていないか、または1個以上のニ
    トロ基、水酸基、ハロゲン、C1−C8アルキル基、C1−C8
    −アルコキシ基、アミノ基、フェニルオキシ基、アセト
    アミド基、ベンズアミド基、ジ−C1−C8アルキルアミノ
    基、C1−C8アルキルアミノ基、C6−C12アロイル基およ
    びC1−C8アルカノイル基で置換されているC6−C12アリ
    ールアミノ基、 グアニジノ基、 フタルイミド基、 メルカプト基、 C1−C8アルキルチオ基、 C6−C12アリールチオ基、 カルボキシ基、 カルボキシアミド基、 カルボ−C1−C8アルコキシ基、および ヘテロ環が5〜10個の環原子を含み、かつ2個までのO,
    NまたはSヘテロ原子および2−ヒドロキシカルボン酸
    を有する芳香族ヘテロ環、 からなる群から有機部分が選択される有機アルコールま
    たはチオールでカルボキシ末端がエステル化された少な
    くとも1個の第1のアミノ酸残基(R1残基)を含み、か
    つ該第2のライゲーション基質が少なくとも1個の第2
    のアミノ酸残基(R1′残基)を含み、該ライゲーション
    反応によって形成されるライゲーション産物が配列R1−
    R1′を含む方法。
  12. 【請求項12】前記2−ヒドロキシカルボン酸がグリコ
    ール酸または乳酸である請求の範囲11記載の方法。
  13. 【請求項13】前記2−ヒドロキシカルボン酸がグリコ
    ール酸である請求の範囲12記載の方法。
  14. 【請求項14】前記2−ヒドロキシカルボン酸がアミド
    化されている請求の範囲13記載の方法。
  15. 【請求項15】前記2−ヒドロキシカルボン酸がアミノ
    酸または第3のペプチドのアミノ末端でアミド化されて
    いる請求の範囲14記載の方法。
  16. 【請求項16】前記第1および第2ライゲーション基質
    の各R1およびR1′残基が1乃至25残基の長さを有してお
    り、かつ前記ライゲーション産物が約50残基を有する請
    求の範囲11記載の方法。
  17. 【請求項17】前記接触に請求の範囲1記載のズブチリ
    シン変異体を用い、かつ前記第1ライゲーションペプチ
    ドのR1アミノ酸残基がフェニルアラニン、チロシン、ト
    リプトファン、ロイシンおよびメチオニンからなる群か
    ら選ばれる大きな疎水性アミノ酸である請求の範囲11記
    載の方法。
  18. 【請求項18】前記接触に請求の範囲1記載のズブチリ
    シン変異体を用い、かつ前記R1′残基がイソロイシンお
    よびプロリンを含まないアミノ酸残基からなる群から選
    ばれる請求の範囲17記載の方法。
  19. 【請求項19】前記第2ライゲーション基質が少なくと
    もR1′およびR2′残基を含み、かつ該R2′残基がフェニ
    ルアラニン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、メ
    チオニン、アルギニンおよびリジンからなる群から選ば
    れる請求の範囲11記載の方法。
  20. 【請求項20】前記セリンプロテアーゼ変異体のライゲ
    ーション活性を実質的に破壊することなく前記第1ライ
    ゲーション基質のC末端および前記第2ライゲーション
    基質のN末端がライゲーションを起こすのに正しいコン
    フォーメーションとなる条件で前記接触が行なわれる請
    求の範囲11記載の方法。
  21. 【請求項21】請求の範囲1記載のズブチリシン型セリ
    ンプロテアーゼ変異体およびペプチドを含有する第1ラ
    イゲーション基質を含む組成物であって、前記ペプチド
    のカルボキシ末端が2−ヒドロキシカルボン酸でエステ
    ル化されている、前記組成物。
  22. 【請求項22】請求の範囲1記載のセリンプロテアーゼ
    変異体をコードするDNA。
  23. 【請求項23】請求の範囲22記載のDNAを含む発現ベク
    ター。
  24. 【請求項24】請求の範囲23記載の発現ベクターでトラ
    ンスホームした宿主細胞。
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