JP3362831B2 - ピストンリング - Google Patents
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Description
膜に形成されている網目状のクラックにアルミナからな
る硬質粒子が含有されている複合Crめっき皮膜を被覆
した内燃機関用ピストンリングに関する。
させて、Crめっき皮膜の耐摩耗性を改善しようとする
試みがある。硬質Crめっき皮膜中に硬質粒子を分散さ
せる方法は、これまでに以下のものが提案されている。 ・硬質粒子を共析固着させる比較的低い電流密度と、C
rめっきが通常の速度で電着する電流密度と、を用いて
繰り返し電解させるパルス電解法(特公昭59−028
640号参照)。 ・Crめっき浴に希土類元素またはその化合物を添加す
る方法(特開昭61−003895号参照)。 ・3価のCrめっき浴に硬質粒子と自己潤滑性粒子を加
える方法(特開昭62−120498号参照)。
ていず、我々の追試においても再現性に乏しかったり、
複合比率が極端に低かったり、あるいはめっき速度が極
めて低い等の問題があった。
皮膜中に一様に硬質粒子を分散させることを意図してい
るが、硬質Crめっき皮膜に形成された網目状のクラッ
クを拡大形成し、その中に硬質粒子を含有させたものが
ある(特開昭62−56600号参照)。この方法によ
る複合Crめっきは、再現性・複合比率の制御性・めっ
き速度等が満足しうるものである。
おいて、低負荷のディーゼルエンジン用の一部のピスト
ンリングに実用化されている。この複合Crめっき皮膜
の諸元は、次の通りである。 ・皮膜厚さ :100〜200μm ・皮膜硬さ :HV850〜HV1000 ・硬質粒子 :アルミナ粉砕粉 ・硬質粒子の平均粒径 :4.5μm ・硬質粒子の複合比率 :体積比率で5%
rめっき皮膜を被覆したピストンリングは、自身の耐摩
耗性・耐焼き付き性が優れる特長があるが、相手材への
攻撃性が大きく、シリンダボアの摩耗量が著しく増大す
る不都合がある。このため、高負荷のディーゼルエンジ
ンやガソリンエンジンに上記複合Crめっき皮膜を形成
したピストンリングを使用することができない。
硬質粒子の形状や含有量が影響すると考えられるが、上
記公報は、これらについては全く記載していない。そし
てこの複合Crめっきは、従来のNi系あるいはNi−
Co−P系の複合めっきと異なり、硬質粒子の分布状態
やマトリックス金属が異なるので、従来の複合めっきの
知識を利用して相手攻撃性を低減することができない。
成されている網目状のクラックにアルミナからなる硬質
粒子が含有されている複合Crめっき皮膜を外周面に被
覆したピストンリングにおいて、耐摩耗性・耐焼き付き
性に優れ、しかも摺動相手材への攻撃性が小さい複合C
rめっき皮膜を有するピストンリングを提供することに
ある。
き皮膜に形成されている網目状のクラックにアルミナか
らなる硬質粒子が含有されている複合Crめっき皮膜を
外周面に被覆したピストンリングにおいて、前記アルミ
ナ粒子が球状粒子であり、前記アルミナ粒子の平均粒径
が0.7〜10μmであり、前記アルミナ粒子の複合比
率が体積比率で3〜15%であることを特徴とする。
皮膜は、アルミナ粒子を分散させて含有しているCrめ
っき浴を用いて、複合Crめっき工程とエッチング工程
とを繰り返し行うことによって形成できる。
成される網目状のクラックの密度は、めっき面と平行な
線分(長さ1mm)と交わるクラックの本数で簡易的に
表すことができ、0(クラックレス)〜200本/mm
(マイクロクラックめっき)の範囲にある。クラック密
度が高いとめっき皮膜の強度低下を生じ、逆に低いと硬
質粒子の複合比率を高くできなくなる。本発明のクラッ
ク密度の望ましい範囲は、40〜90本/mmである。
その開口幅は硬質粒子の粒径よりも大きくなければなら
ない。開口幅が小さいと硬質粒子の複合比率を上げるこ
とができず、逆に大きすぎると皮膜強度が低下する。一
般的に開口幅の望ましい範囲は、4〜10μmの範囲で
ある。
1次摺動面をなし、Crめっき面は2次摺動面をなす。
性は粒子の形状によって差異が生じると考えられる。同
程度の粒径・複合比率で、形状が異なるアルミナ粒子を
複合した複合Crめっきに関する試験で、粒子先端部が
鋭利な角を有すると、相手材を過度に摩耗させることを
確認した。したがって、硬質粒子の形状は鋭利な角を有
さない球状粒子がよい。
攻撃性は増加しない。ちなみに、アルミナ等の粉砕粉
(粒子が鋭利な角を有している。以下同じ。)の硬質粒
子の場合は複合比率が増加すると相手攻撃性が高くな
る。耐摩耗性・耐焼き付き性を良好にするために、硬質
粒子の複合比率は高い方が望ましい。球状の硬質粒子を
体積比率で3%以上複合したCrめっき皮膜は、従来の
アルミナ等の粉砕粉の硬質粒子を複合したCrめっき皮
膜に比べて相手攻撃性が極めて小さい。
くしなければならないが、これには一定の限界があるの
で、体積比率で15%を越えて複合することはできな
い。
性が高くなり、小さいと自身の摩耗が増加する。硬質粒
子の平均粒径(粉末粒度)の望ましい範囲は、0.7〜
10μmである。
し、ピストンリングの一部分を示す縦断面図である。ピ
ストンリング1の全表面に窒化層2が形成され、外周面
の窒化層2上に複合Crめっき皮膜3が形成されてい
る。複合Crめっき皮膜3は、めっき面に垂直な方向か
ら見て、その表面および内部に網目状のクラック4を有
しており、鋭利な角を有さない球状のアルミナ粒子5が
クラック4に含有されて固定されている。球状アルミナ
粒子5の平均粒径は0.7〜10μmであり、球状アル
ミナ粒子5の複合比率は体積比率で3〜15%である。
っき皮膜3のめっき処理について説明する。
っき)→(複合Crめっき工程−エッチング工程の繰り
返し)を行う。
合Crめっき工程とエッチング工程の各条件の一例を下
記に示す。なお、最初の複合Crめっきは、ストライク
めっきで、通常3〜10分であり、他の条件は下記に示
す条件と同じである。
有するめっき浴によると、(複合Crめっき工程−エッ
チング工程)のサイクルによるCrめっき層間の密着性
が優れている。 複合Crめっき 電流密度 60A/dm2 めっき浴温 55℃ めっき時間 10分 エッチング 電流密度 50A/dm2 めっき浴温 55℃ エッチング時間 1分
チング工程の1サイクルを行うと、図2(a)に示され
ているように、複合Crめっき層3Aがピストンリング
1の外周面の窒化層2上に形成される。複合Crめっき
層3Aは、表面に網目状に延びているクラック4が形成
されており、このクラック4には球状アルミナ粒子5が
固定されている。
程が繰り返して行われると、図2(b)に示されている
ように、最初の1サイクルの工程で形成された複合Cr
めっき層3Aの上に更に複合Crめっき層3Bが積層さ
れる。したがって、最初の複合Crめっき層3Aのクラ
ック4内にある球状アルミナ粒子5は層内に閉じ込めら
れて固定される。そして二層目の複合Crめっき層3B
は、表面に網目状に延びているクラック4を有してお
り、このクラック4に球状アルミナ粒子5が固定されて
いる。
程が所定回数、繰り返して行われると、ピストンリング
1の外周面の窒化層2上に所定厚さで複合Crめっき皮
膜3が形成される。
チング工程の1サイクルを行うと、10μm程度のめっ
き厚さを得ることができるので、例えば複合Crめっき
皮膜3の完成厚さ100μmを得るためには、研磨代を
加えて120μmのめっき厚さが必要であるので、12
サイクル繰り返す。
験を行った結果を説明する。
の概要を示す。ピン状の上試験片10は固定ブロック1
1により保持され、上方から油圧シリンダ12により下
向きの荷重が加えられて、下試験片13に押接される。
一方、平盤形状の下試験片13は可動ブロック14によ
り保持され、クランク機構15により往復動させられ
る。16はロードセルである。
響を上記往復動摩擦試験機を使用して試験した。
めっきを施した。上記の試験片の上下関係によると、上
試験片の摩耗が促進されるので、複合Crめっき皮膜に
よる相手材の摩耗を評価するのに好都合である。
おける複合Crめっき処理と同じ。ただし、めっき浴中
の硬質粒子は表1の通りである。
(体積比率)を変えて、摩耗試験を行った。
量の結果を図4に示す。なお、試験は下試験片に通常の
硬質Crめっき皮膜を被覆した場合についても行ってお
り、図4の摩耗比は、下試験片に硬質Crめっき皮膜を
被覆したときの上試験片の摩耗量を1としている。図4
に示されているように、粉砕粉からなるアルミナ粒子を
含有した複合Crめっき皮膜は、含有量が増加すると、
上試験片(相手材)摩耗量が急激に増加することがわか
る。これに対して、球状粉からなるアルミナ粒子を含有
した複合Crめっき皮膜は、含有量が増加しても、上試
験片(相手材)摩耗量は増加しないことがわかる。
す影響を上記往復動摩擦試験機を使用して試験した。
合Crめっきを施した。 下試験片:シリンダライナ用鋳鉄材
おける複合Crめっき処理と同じ。ただし、めっき浴中
の硬質粒子は表2の通りである。
なお、試験は上試験片に通常の硬質Crめっき皮膜を被
覆した場合についても行っており、図5の摩耗比は、上
試験片に硬質Crめっき皮膜を被覆したときの摩耗量を
1としている。図5に示されているように、粉砕粉のア
ルミナ粒子を含有した複合Crめっき皮膜は、硬質Cr
めっき皮膜に対して自身の摩耗が1/3になるが、相手
材摩耗は5倍となる。これに対して、球状粉のアルミナ
粒子を含有した複合Crめっき皮膜は、硬質Crめっき
皮膜に対して自身の摩耗が約1/3になり、相手材摩耗
が同等である。このように、球状のアルミナ粒子を含む
複合Crめっき皮膜は自身の摩耗および相手材摩耗とも
優れていることがわかる。
き付き試験を行った結果を説明する。
験機の概要を示す。試験片20はロータ21により保持
され、ロータ21の回転により回転させられる。一方、
相手試験片22はステータ23により保持され、油圧装
置により所定荷重Pでロータ21側に押し付けられる。
形成されている注油孔24から摺動面に所定量の給油を
しながら、試験片20を回転させる。一定時間毎に試験
片20に作用させる荷重を段階的に増加させ、試験片2
0と相手試験片22との摺動により発生するトルクをト
ルクメータで測定し、記録計に記録させる。焼き付き現
象が発生するとトルクが急激に上昇する。したがって、
トルクが急激に上昇するときの試験片20に作用する荷
重を焼き付き荷重とし、この焼き付き荷重の大小で焼き
付き特性の良否を判定する。
き付き試験機を使用して試験した。
rめっきを施した。相手試験片:シリンダライナ用鋳鉄
材
った。
に示す。なお、試験は試験片に通常の硬質Crめっき皮
膜を被覆した場合についても行っており、図7に示され
ているように、アルミナ粒子を含有した複合Crめっき
皮膜は硬質Crめっき皮膜よりも耐焼き付き性が優れて
いることがわかり、さらに、複合Crめっき皮膜は硬質
粒子が粉砕粉よりも球状粉の方が耐焼き付き性が優れて
いることがわかる。そして、真球状である(C)のアル
ミナ粒子を含んでいる複合Crめっき皮膜が最も高い焼
き付き荷重を示している。
ングは耐摩耗性、耐焼き付き性に優れ、しかも摺動相手
材への攻撃性が小さいという効果を有しており、高負荷
のディーゼルエンジンやガソリンエンジンに有効であ
る。
ストンリングの一部分を示す縦断面図、(b)はピスト
ンリングにおける複合Crめっき皮膜の一部をめっき面
と垂直な方向から見た拡大図である。
膜の製造工程を説明する斜視図であり、(a)は複合C
rめっき工程→エッチング工程の1サイクル後を示し、
(b)は同工程の2サイクル後を示す。
Claims (2)
- 【請求項1】 硬質Crめっき皮膜に形成されている網
目状のクラックにアルミナからなる硬質粒子が含有され
ている複合Crめっき皮膜を外周面に被覆したピストン
リングにおいて、 前記アルミナ粒子が球状粒子であり、 前記アルミナ粒子の平均粒径が0.7〜10μmであ
り、 前記アルミナ粒子の複合比率が体積比率で3〜15%で
あることを特徴とするピストンリング。 - 【請求項2】 上下面に窒化層が形成されていることを
特徴とする請求項1記載のピストンリング。
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DE69704752T DE69704752T3 (de) | 1996-11-11 | 1997-11-10 | Galvanische Komposit-Chrom-Beschichtung und damit beschichtetes Gleitteil |
EP97309024A EP0841414B2 (en) | 1996-11-11 | 1997-11-10 | Composite chromium plating film and sliding member covered thereof |
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JPH10130892A JPH10130892A (ja) | 1998-05-19 |
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-
1996
- 1996-11-11 JP JP31429796A patent/JP3362831B2/ja not_active Expired - Fee Related
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