JP3148655B2 - 摺動部材 - Google Patents
摺動部材Info
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Description
膜に形成されている網目状のクラックに硬質粒子が含有
されている複合Crめっき皮膜を被覆した内燃機関用ピ
ストンリングや圧縮機用ベーン等の摺動部材に関する。
させて、Crめっき皮膜の耐摩耗性を改善しようとする
試みがある。硬質Crめっき皮膜中に硬質粒子を分散さ
せる方法は、これまでに以下のものが提案されている。 ・硬質粒子を共析固着させる比較的低い電流密度と、C
rめっきが通常の速度で電着する電流密度と、を用いて
繰り返し電解させるパルス電解法(特公昭59−028
640号参照)。 ・Crめっき浴に希土類元素またはその化合物を添加す
る方法(特開昭61−003895号参照)。 ・3価のCrめっき浴に硬質粒子と自己潤滑性粒子を加
える方法(特開昭62−120498号参照)。
ていず、我々の追試においても再現性に乏しかったり、
複合比率が極端に低かったり、あるいはめっき速度が極
めて低い等の問題があった。
皮膜中に一様に硬質粒子を分散させることを意図してい
るが、硬質Crめっき皮膜に形成された網目状のクラッ
クを拡大形成し、その中に硬質粒子を含有させたものが
ある(特開昭62−56600号参照)。この方法によ
る複合Crめっきは、再現性・複合比率の制御性・めっ
き速度等が満足しうるものである。
おいて、低負荷のディーゼルエンジン用の一部のピスト
ンリングに実用化されている。この複合Crめっき皮膜
の諸元は、次の通りである。 ・皮膜厚さ :100〜200μm ・皮膜硬さ :HV850〜HV1000 ・硬質粒子 :Al2 O3 粉砕粉 ・硬質粒子の平均粒径 :4.5μm ・硬質粒子の複合比率 :体積比率で5%
rめっき皮膜を被覆したピストンリングは、自身の耐摩
耗性・耐焼き付き性が優れる特長があるが、相手材への
攻撃性が大きく、シリンダボアの摩耗量が著しく増大す
る不都合がある。このため、高負荷のディーゼルエンジ
ンやガソリンエンジンに上記複合Crめっき皮膜を形成
したピストンリングを使用することができない。
硬質粒子の種類や含有量が影響すると考えられるが、上
記公報は、これらについては全く記載していない。そし
てこの複合Crめっきは、従来のNi系あるいはNi−
Co−P系の複合めっきと異なり、硬質粒子の分布状態
やマトリックス金属が異なるので、従来の複合めっきの
知識を利用して相手攻撃性を低減することができない。
成されている網目状のクラックに硬質粒子が含有されて
いる複合Crめっき皮膜を被覆した摺動部材であって、
耐摩耗性・耐焼き付き性に優れ、しかも摺動相手材への
攻撃性が小さいピストンリング等の摺動部材を提供する
ことにある。
き皮膜に形成されている網目状のクラックに硬質粒子が
含有されている複合Crめっき皮膜が摺動面に形成され
ている摺動部材において、前記硬質粒子がSi3N4粒
子であり、前記硬質粒子の平均粒径が0.8〜3μmで
あり、前記硬質粒子の複合比率が体積比率で3〜15%
であることを特徴とする。
トンリングや圧縮機用ベーン等の摺動部材の摺動面に被
覆される。
i3 N4 粒子を分散させて含有しているCrめっき浴を
用いて、複合Crめっき工程とエッチング工程とを繰り
返し行うことによって形成できる。
成される網目状のクラックの密度は、めっき面と平行な
線分(長さ1mm)と交わるクラックの本数で簡易的に
表すことができ、0(クラックレス)〜200本/mm
(マイクロクラックめっき)の範囲にある。クラック密
度が高いとめっき皮膜の強度低下を生じ、逆に低いと硬
質粒子の複合比率を高くできなくなる。本発明のクラッ
ク密度の望ましい範囲は、40〜90本/mmである。
その開口幅は硬質粒子の粒径よりも大きくなければなら
ない。開口幅が小さいと硬質粒子の複合比率を上げるこ
とができず、逆に大きすぎると皮膜強度が低下する。一
般的に開口幅の望ましい範囲は、4〜10μmの範囲で
ある。
端面が1次摺動面をなし、Crめっき面は2次摺動面を
なす。
性は粒子の材質によって差異が生じると考えられる。同
様の粒径・形状・複合比率を有しているAl2 O3 複合
CrめっきとSi3 N4 複合Crめっきとを比較して、
後者の方が優れていることを確認した。
手攻撃性が減少する。ちなみに、Al2 O3 粒子の場合
は複合比率が増加すると相手攻撃性が高くなる。耐摩耗
性・耐焼き付き性を良好にするために、硬質粒子の複合
比率は高い方が望ましい。Si3 N4 粒子を体積比率で
3%以上複合したCrめっき皮膜は、従来のAl2 O3
粒子を複合したCrめっき皮膜に比べて相手攻撃性が極
めて小さい。
くしなければならないが、これには一定の限界があるの
で、体積比率で15%を越えて複合することはできな
い。
手攻撃性が高くなり、小さいと自身の摩耗が増加する。
硬質粒子の平均粒径(粉末粒度)の望ましい範囲は、
0.8〜3μmである。
し、ピストンリングの一部分を示す縦断面図である。ピ
ストンリング1の全表面に窒化層2が形成され、外周面
の窒化層2上に複合Crめっき皮膜3が形成されてい
る。複合Crめっき皮膜3は、めっき面に垂直な方向か
ら見て、その表面および内部に網目状のクラック4を有
しており、クラック4にSi3 N4 粒子5が含有されて
固定されている。Si3 N4 粒子5の平均粒径は0.8
〜3μmであり、Si3 N4 粒子5の複合比率は体積比
率で3〜15%である。
っき皮膜3のめっき処理について説明する。
っき)→(複合Crめっき工程−エッチング工程の繰り
返し)を行う。
合Crめっき工程とエッチング工程の各条件の一例を下
記に示す。なお、最初の複合Crめっきは、ストライク
めっきで、通常3〜10分であり、他の条件は下記に示
す条件と同じである。
有するめっき浴によると、(複合Crめっき工程−エッ
チング工程)のサイクルによるCrめっき層間の密着性
が優れている。 複合Crめっき 電流密度 60A/dm2 めっき浴温 55℃ めっき時間 10分 エッチング 電流密度 50A/dm2 めっき浴温 55℃ エッチング時間 1分
チング工程の1サイクルを行うと、図2(a)に示され
ているように、複合Crめっき層3Aがピストンリング
1の外周面の窒化層2上に形成される。複合Crめっき
層3Aは、表面に網目状に延びているクラック4が形成
されており、このクラック4にはSi3 N4 粒子5が固
定されている。
程が繰り返して行われると、図2(b)に示されている
ように、最初の1サイクルの工程で形成された複合Cr
めっき層3Aの上に更に複合Crめっき層3Bが積層さ
れる。したがって、最初の複合Crめっき層3Aのクラ
ック4内にあるSi3 N4 粒子5は層内に閉じ込められ
て固定される。そして二層目の複合Crめっき層3B
は、表面に網目状に延びているクラック4を有してお
り、このクラック4にSi3 N4 粒子5が固定されてい
る。
程が所定回数、繰り返して行われると、ピストンリング
1の外周面の窒化層2上に所定厚さで複合Crめっき皮
膜3が形成される。
チング工程の1サイクルを行うと、10μm程度のめっ
き厚さを得ることができるので、例えば複合Crめっき
皮膜3の完成厚さ100μmを得るためには、研磨代を
加えて120μmのめっき厚さが必要であるので、12
サイクル繰り返す。
験を行った結果を説明する。
の概要を示す。ピン状の上試験片10は固定ブロック1
1により保持され、上方から油圧シリンダ12により下
向きの荷重が加えられて、下試験片13に押接される。
一方、平盤形状の下試験片13は可動ブロック14によ
り保持され、クランク機構15により往復動させられ
る。16はロードセルである。
響を上記往復動摩擦試験機を使用して試験した。
合Crめっきを施した。 上記の試験片の上下関係によると、上試験片の摩耗が促
進されるので、複合Crめっき皮膜による相手材の摩耗
を評価するのに好都合である。
おける複合Crめっき処理と同じ。ただし、めっき浴中
の硬質粒子は表1の通りである。
(体積比率)を変えて、摩耗試験を行った。
量の結果を図4に示す。なお、試験は下試験片に通常の
硬質Crめっき皮膜を被覆した場合についても行ってお
り、図4の摩耗比は、下試験片に硬質Crめっき皮膜を
被覆したときの上試験片の摩耗量を1としている。図4
に示されているように、Al2 O3 粒子を含有した複合
Crめっき皮膜は、含有量が増加すると、上試験片(相
手材)摩耗量が急激に増加することがわかる。これに対
して、Si3 N4 粒子を含有した複合Crめっき皮膜
は、含有量が増加すると、上試験片(相手材)摩耗量が
減少しており、特に3%以上で、上試験片(相手材)摩
耗量がAl2 O3 粒子を含有した複合Crめっき皮膜に
比べて極めて少ないことがわかる。
記往復動摩擦試験機を使用して試験した。
したものと同じ。
おける複合Crめっき処理と同じ。ただし、めっき浴中
の硬質粒子は表2の通りである。
粒径を変えて、摩耗試験を行った。
の摩耗量の結果を図5に示す。なお、試験は下試験片に
通常の硬質Crめっき皮膜を被覆した場合についても行
っており、図5の摩耗比は、下試験片に硬質Crめっき
皮膜を被覆したときの上試験片の摩耗量を1としてい
る。図5に示されているように、Si3N4 粒子を含有
した複合Crめっき皮膜は、平均粒径が大きくなると、
上試験片(相手材)摩耗量が増加しており、0.8〜3
μmの範囲で、上試験片(相手材)摩耗量が少ないこと
がわかる。
を上記往復動摩擦試験機を使用して試験した。
合Crめっきを施した。 下試験片:シリンダライナ用鋳鉄材
おける複合Crめっき処理と同じ。ただし、めっき浴中
の硬質粒子は表3の通りである。
試験片に通常の硬質Crめっき皮膜を被覆した場合につ
いても行っており、図6の摩耗比は、上試験片に硬質C
rめっき皮膜を被覆したときの上試験片の摩耗量を1と
している。図6に示されているように、上試験片の摩耗
量すなわち自身の摩耗量は、Si3 N4 粒子を含有した
複合Crめっき皮膜が平均粒径0.8μm以上でAl2
O3 粒子を含有した複合Crめっき皮膜と略同等の摩耗
量を示しており、硬質Crめっき皮膜に比べて耐摩耗性
が格段に優れていることがわかる。そしてSi3 N4 粒
子を含有した複合Crめっき皮膜は、平均粒径が0.4
μmになると摩耗量が若干多くなっていることがわか
る。
っき皮膜は、耐摩耗性・耐焼き付き性に優れ、しかも摺
動相手材への攻撃性が小さいという効果を有している。
したがって、この複合Crめっき皮膜を高負荷のディー
ゼルエンジンやガソリンエンジンのピストンリングある
いは圧縮機のベーン等の摺動部材に適用すれば、優れた
摺動特性を備えた摺動部材を提供できる。
ストンリングの一部分を示す縦断面図、(b)はピスト
ンリングにおける複合Crめっき皮膜の一部をめっき面
と垂直な方向から見た拡大図である。
膜の製造工程を説明する斜視図であり、(a)は複合C
rめっき工程→エッチング工程の1サイクル後を示し、
(b)は同工程の2サイクル後を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 硬質Crめっき皮膜に形成されている網
目状のクラックに硬質粒子が含有されている複合Crめ
っき皮膜が摺動面に形成されている摺動部材において、 前記硬質粒子がSi3N4粒子であり、 前記硬質粒子の平均粒径が0.8〜3μmであり、 前記硬質粒子の複合比率が体積比率で3〜15%である
ことを特徴とする摺動部材。 - 【請求項2】 前記摺動部材がピストンリングであり、
ピストンリングの摺動面である外周面に前記複合Crめ
っき皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1記
載の摺動部材。 - 【請求項3】 前記ピストンリングは上下面に窒化層が
形成されていることを特徴とする請求項2記載の摺動部
材。
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