JP3361270B2 - ガラス製品の製造方法およびフィルター - Google Patents

ガラス製品の製造方法およびフィルター

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガラス製品の製造方
法、フィルターおよびこれを用いた固体撮像装置に関
し、さらに詳しくは、表面が高精度に研磨されたガラス
製品、特にリン酸塩ガラス製品やフツリン酸塩ガラス製
品を効率よく製造する方法、その方法により得られたガ
ラス製品からなるフィルターおよび該フィルターを用い
た固体撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、リン酸塩をガラスネットワーク
フォーマーとしたガラスは、紫外域での透過性に優れる
ことから、紫外域の透過性が重要視される用途などに用
いられる。また、カラーフィルターガラスにおいては、
ガラスネットワークフォーマーとしてSiO2やB23
などを用いたものより、リン酸塩をガラスネットワーク
フォーマーとした着色ガラス(カラーフィルターガラ
ス)が、Fe2+、Cu2+などの遷移金属イオンによって
安定に着色しうるために、各種用途に用いられている。
【0003】ところで、ガラスの安定性、光学恒数、透
過特性、化学的耐久性などを向上させるために、Li2
O、Na2O、K2O、Cs2Oなどのアルカリ金属酸化
物、CaO、MgO、SrO、BaOなどのアルカリ土
類金属酸化物、ZnO、PbOなどの他の二価金属酸化
物あるいはFなどを添加することが、しばしば行われて
いる。これらを適宜添加することにより、ガラスは成形
可能な安定性を有することができ、失透することなく大
量生産が可能となる。
【0004】これらのガラスの用途として、例えばカラ
ーVTRカメラなどに使用されるCCD(Charge Cou
pled Device)の視感度補正フィルターである近赤外吸
収フィルター用が知られている。このフィルターに用い
られるガラスは、着色成分としてCuOを添加し、その
Cu2+イオンによる吸収を利用して、700nmより長
波長側を吸収する性質が付与されているが、この場合、
ガラスのネットワークフォーマーの主成分としてリン酸
塩を用いないと、Cu2+による良好な吸収が発揮されな
い。したがって、このフィルターには、リン酸塩ガラス
やフツリン酸塩ガラスにCuOを添加したガラスが用い
られており、そしてガラスの肉厚を1.0〜2.0mm
程度まで研磨してCCDなどの固体撮像素子用のフィル
ターとして使用されている。この固体撮像素子において
は、現在高密度化が進んでおり、それに伴い、CCDを
構成しているフォトダイオードの1マスが非常に小さく
なってきている。そのため、今までは問題とならなかっ
たような、数μmオーダーの傷でも画像に悪影響を及ぼ
すというようなことが起こるようになってきた。例えば
約7μmを超える傷が存在すると、フォトダイオードの
ほぼ1マスをつぶしてしまう大きさとなるため、固体撮
像装置の画像が乱れてしまう。したがって、CCDの近
くに近赤外吸収フィルターを設置し、かつ単位面積に対
する画素が多い場合、高精度な研磨面(研磨傷の幅≦7
μm)が必要となる。
【0005】上記のようなリン酸塩をガラスネットワー
クフォーマーとしたリン酸塩ガラスは、本来ガラスの構
造が弱いために、研磨によって傷が生じやすく、化学的
にも反応しやすい。しかしながら、ガラスの硬度を高め
るには組成として限界があり、ボロシリケートガラスな
どのように研磨しやすい硬度を得ることは容易ではな
い。所望の透過特性や化学的耐久性、大量生産可能なガ
ラスの安定性、その他の光学特性を維持しようとすれ
ば、組成の改良としては限界があるために、リン酸塩ガ
ラスやフツリン酸塩ガラスは、ボロシリケートガラスの
ような硬度をうることができず、この系統の多くのガラ
スは、硬度の低いいわゆる研磨しにくいガラスとなる。
したがって、この系統のガラスにおいて、高精度な研磨
面(研磨傷の幅≦7μm)を安定に得るには、ガラスの
組成を改良するにしても、研磨技術を改良するにしても
限界があった。
【0006】このようなリン酸塩ガラスやフツリン酸塩
ガラスの研磨方法としては、従来水にCeO2などの研
磨剤を加えた研磨液を用いて、ガラスを研磨する方法が
用いられてきた。一般に、硬度の低いガラスは、研磨の
際の荷重を低くしたり、回転速度を低速にすればガラス
の研磨面の精度は向上するものの、リン酸塩ガラスやフ
ツリン酸塩ガラスは、硬度がかなり低い上に、化学的に
反応しやすいために、研磨精度に限界があり、潜傷が発
達しやすい上、研磨時間に長時間を要するのを免れない
という欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、表面が高精度に研磨されたガラス製品、
特にリン酸塩ガラス製品またはフツリン酸塩ガラス製品
を容易に製造する方法、この方法で得られたガラス製品
からなるフィルターおよび該フィルターを用いた固体撮
像装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために、研磨液によるガラス面の研磨方法に
ついて鋭意研究を重ねた結果、従来の研磨方法におい
て、研磨面に比較的大きな傷(>幅7μm)が残りやす
いのは、おそらく研磨中にガラス面と水との化学反応が
生じるためであること、すなわち、ガラス成分中のアル
カリ金属やアルカリ土類金属酸化物などの可溶性成分
が、水中のヒドロニウムイオン(H3+)とイオン交換
反応して、選択的に溶出し、さらにこの溶出成分がガラ
スの骨格を侵食するためであること、またガラスを形成
する酸化物の加水分解により、ガラス表面全体が溶解す
るためであることに着目し、ガラスを研磨する際の研磨
液のpHをガラスのpHに近づけることにより、ガラス
と研磨液との反応速度が遅くなり、その結果研磨傷が極
めて小さく(≦幅7μm)、超平滑面が得られることを
見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。
【0009】すなわち、本発明は、(1)ガラス表面を
研磨液を用いて研磨するに際し、予め前記研磨液のpH
をガラスのpHに近似させる操作を施したのち、この研
磨液を使用してガラス表面を研磨することを特徴とする
ガラス製品の製造方法、(2)上記(1)の方法により
得られたガラス製品を用いることを特徴とするフィルタ
ーの製造方法、(3)表面の線状傷の幅が7μm以下で
あることを特徴とするリン酸塩ガラスまたはフツリン酸
塩ガラスからなるフィルター、および(4)上記(3)
のフィルターを用いたことを特徴とする固体撮像装置、
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のガラス製品の製造方法に
おいては、ガラス表面を研磨液を用いて研磨するが、こ
の際、研磨液のpHを、予め研磨すべきガラスのpHに
近似させる操作を施すことが必要である。この研磨液
は、水性媒体中に研磨剤を分散させた液(以下、研磨剤
含有水性分散液と称す)であり、そのpHを、予め研磨
すべきガラスのpHに対して、±1.0以内に調整する
のが好ましい。これにより、ガラスは、初めからそのガ
ラスにとって安定なpHの研磨液で研磨されることにな
るため、ガラスと研磨剤含有水性分散液との化学反応を
抑制することが可能となり、その結果、従来の研磨方法
では発生しやすかった研磨傷が極めて発生しにくくな
り、超平滑面のガラスが安定して得られるようになる。
このような点から、研磨液のpHは、ガラスのpHに対
して、±0.7以内に調整するのがより好ましく、特に
±0.5以内に調整するのが有利である。
【0011】なお、本発明におけるガラスのpHは、下
記の方法により測定した値である。すなわち、粒径1.
4mm〜850μmの研磨すべきガラスの粉末30g
を、約50℃のイオン交換水100mlに加えたのち、
約50℃の恒温槽中にて、イオン交換水のpHが一定に
なるまでスターラーで撹拌する。この一定になったpH
値を研磨すべきガラスのpHとする。
【0012】本発明における研磨液(研磨剤含有水性分
散液)の調製に用いる水性媒体としては、例えば水や、
水と水溶性有機溶剤、具体的には低級アルコール類、ケ
トン類、エーテル類および界面活性剤などとの混合物が
挙げられるが、通常は水が用いられる。また、研磨剤と
しては特に制限はなく、従来ガラスの研磨剤として慣用
されているものの中から、任意のものを選択して用いる
ことができる。この研磨剤としては、例えばべんがら、
酸化セリウム、酸化チタン、コロイダルシリカなどの無
機粉末が好ましく挙げられる。この研磨剤の粒度分布
は、通常0.2〜30μm、好ましくは0.2〜20μ
m、特に好ましくは0.2〜12μmの範囲である。た
だし、ここでの粒度分布は、研磨剤の2次粒子径の粒度
分布を含んでいる。これらの研磨剤は単独で用いてもよ
いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、水
に対する研磨剤の希釈濃度は1〜20重量%が好まし
く、3〜15重量%がさらに好ましい。
【0013】また、前記研磨剤のpH調整剤としては、
アルカリを用いてpHを調整する場合には、例えばNa
OH、Na2CO3、NaHCO3、Na2CO3・NaH
CO3、Na3PO4、Na2HPO4、NaH2PO4、N
427、Na5310、Na6413、(NaP
33、(NaPO34、(NaPO36、2Na2
・SiO2・5H2O、Na2O・SiO2・5H2Oなど
が使用され、これらは単独で用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよい。一方、酸を用いてpHを
調整する場合には、例えばHCl、HNO3、H2
4、H2CO3、H3PO4などが使用され、これらは単
独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。
【0014】また、研磨液の調製方法として、例えば研
磨すべきガラスと同種のガラスを水性媒体中に浸漬し
て、ガラス成分を水に溶出させ、ガラスのpHに対し
て、通常±1.0以内、好ましくは±0.7以内、特に
好ましくは±0.5以内のpHを有する水性溶液を作製
したのち、これに研磨剤を加えて研磨剤含有水性分散液
を調製し、研磨液として用いてもよい。なお、この場
合、水性媒体中に研磨すべきガラスと同種のガラスを浸
漬してガラス成分を溶出させる際、加温すれば、短時間
でガラス成分を溶出させることができる。
【0015】本発明の方法が適用されるガラスとしては
特に制限はないが、例えば硬度が低いために研磨傷がつ
きやすく、さらに化学的に反応しやすいガラスであって
も、本発明によれば、研磨傷の幅を小さくし、高精度に
研磨できる点で、このようなガラスに適用した場合に、
本発明の効果が最もよく発揮される。このような硬度が
低いために研磨傷がつきやすく、さらに化学的に反応し
やすいガラスとしては、リン酸塩ガラス、フツリン酸塩
ガラスがある。
【0016】本発明が適用されるリン酸塩ガラスとして
は、例えば、特公昭52−5330号公報に記載され
た、重量基準で、P25 75〜88%、Li2O 6
〜15%、Al23 3〜14%、Na2O 0〜5
%、K2O 0〜5%、B23 0〜5%、ZrO2
〜5%、TiO2 0〜5%、La23 0〜5%、M
gO0〜5%、ZnO 0〜5%からなる基礎ガラス1
00重量部当たり、CuO0.5〜10.0重量部を含
有するリン酸塩ガラスが挙げられる。このリン酸塩ガラ
スは、400〜600nmの波長の光の吸収がほとんど
なく、かつ600nmを超える波長の光を鋭く吸収する
ことのできるガラスである。
【0017】また、特開昭62−128943号公報に
記載された、重量基準で、P2575〜90%、Al2
3 7.5〜20%、B23とSiO2との合計0〜1
5%、BaOとMgOとCaOとSrOとの合計1〜2
5%、Y23とLa23とZrO2とTa23とTiO2
との合計0〜15%、PbO 0〜10%からなる基礎
ガラス100重量部当たり、CuO 0.4〜15.0
重量部を含有するリン酸塩ガラスが挙げられる。このリ
ン酸塩ガラスは、波長400〜550nmの光の透過率
が高く、波長600〜700nmの光の透過をシャープ
にカットする上、化学的耐久性の高いガラスである。
【0018】また、米国特許第5668066号明細書
(特開平9−100136号公報)に記載された、重量
基準で、P25が35〜50%、Li2Oが0〜5%、
Na2Oが0〜12%、K2Oが0〜20%、Cs2Oが
0〜20%、R2O(Rはアルカリ金属)が1.5〜2
0%、ZnOが17〜48%、MgOが0〜7%、Ca
Oが0〜7%、SrOが0〜7%、BaOが0〜12
%、R’O(R’はアルカリ土類金属)が0〜15%、
CuOが0.2〜12%のガラスが挙げられる。このガ
ラスは、紫外部における透過率特性、大量生産可能な安
定性、加工性および耐候性において優れている。
【0019】一方、本発明の方法が適用されるフツリン
酸塩ガラスとしては、例えばP25が45重量%以下
で、AlF3が1重量%以上含有するフツリン酸塩ガラ
ス、特に、基礎ガラスが、特開平1−219037号公
報に記載された、重量基準で、P25 5〜45%、A
lF3 1〜35%、RF2(原子価が2価の金属Ba、
Sr、Ca、Mg、ZnおよびPbのフッ化物の合計含
量)10〜75%、R1F(原子価が1価の金属Li、
NaおよびKのフッ化物の合計含量)0〜40%、R2
F(原子価が3〜5価の金属La、Y、Gd、Si、
B、ZrおよびTaのフッ化物の合計含量)0〜15%
を含み、さらにこの基礎ガラス100重量部当たり、C
uO 0.2〜15.0重量部を含有するフツリン酸塩
ガラスが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。上記組成のフツリン酸塩ガラスは、耐候性、光透過
率特性に優れる点で、例えばCCDを用いた固体撮像装
置における色修正用フィルター材料として好適である。
【0020】また、ガラスの研磨方法としては特に制限
はなく、従来ガラスの研磨方法において慣用されている
方法、例えば研磨装置に研磨すべきガラスを装着し、回
転させながら、研磨液を用いて、ガラスの肉厚が所望の
値になるまで研磨処理したのち、ガラス表面に残存して
いる研磨液を、公知の手段により洗浄除去する方法など
を用いることができる。
【0021】このようにして、表面の線状傷の幅が、通
常7μm以下の超平滑表面を有するガラス製品を容易に
製造することができる。このような本発明の方法は、研
磨処理以外に、例えば研磨液の洗浄処理などにおいても
応用することができる。研磨処理後の洗浄工程において
は、通常超音波洗浄装置などを用いて、研磨液の除去や
その他の汚れの除去が行われるが、この際の洗浄液およ
びその後のリンス処理で用いられるリンス液のpH調整
にも、本発明を応用することができる。すなわち、超音
波洗浄装置内で、水性洗浄液を用いる場合には、そのp
Hを洗浄すべきガラスのpHの±1.0以内に調整する
ことにより、ガラスに対する侵食が極めて少なく、pH
未調整の場合に比べて、潜傷などが発生しにくくなる。
【0022】本発明はまた、このようにして得られたガ
ラス製品を用いてフィルターを製造する方法、および表
面の線状傷の幅が7μm以下であるリン酸塩ガラスまた
はフツリン酸塩ガラスからなるフィルターをも提供す
る。上記フィルターとしては、CCDなどの固体撮像素
子用フィルター、具体的には視感度補正フィルターとし
て使用される。
【0023】最近、CCDなどの固体撮像素子において
は、小型高密度化が進み、それに伴って高画質が求めら
れるようになってきている。固体撮像素子の小型化によ
り、素子サイズは、従来の1/2インチ系から1/4イ
ンチ系へと縮小し、その結果1画素当たりの面積は極め
て微小なものとなり、固体撮像素子の前に置かれるフィ
ルターにおいても、微小欠陥が問題視されるようになっ
てきた。フィルター表面の線状傷の幅が7μmを超える
と1画素以上つぶれてしまうことになり、それにより画
像が乱れるので、傷の幅が7μm以下の超平滑表面を有
するフィルターが求められている。したがって、前記し
た本発明の方法で得られたガラス製品は、この固体撮像
素子用フィルターとして好適である。
【0024】さらに、本発明は、このリン酸塩ガラスま
たはフツリン酸塩ガラスからなるフィルターを用いた固
体撮像装置をも提供する。この固体撮像装置は、例えば
主にCCD、赤外線吸収フィルター、オプティカルロー
パスフィルター、光学レンズから構成されるが、フィル
ター位置がCCDに近いほど、フィルター表面の研磨傷
が画像を乱す原因となりやすい。したがって、フィルタ
ーがCCDに近いほど、フィルター表面の線状傷の幅が
より小さいことが要求される。
【0025】本発明のフィルターが用いられる固体撮像
装置としては特に制限はないが、例えば以下に示すよう
に、図1の構造の固体撮像装置において、本発明のフィ
ルターの効果がよりよく発揮される。また図1の装置で
は、オプティカルローパスフィルターが2枚使用されて
いるが、1枚又は3枚以上の場合もあり、オプティカル
ローパスフィルターの数に制限はない。
【0026】図1は、本発明のフィルターが用いられる
固体撮像装置の1例の概略構成図であって、被写体から
入射した光は、光学レンズ1を通り、オプティカルロー
パスフィルター2、2′と赤外線吸収フィルター3とか
らなるユニットを通過し、CCDチップ5および窓ガラ
ス6を備えたパッケージ4に入射され、電気信号に変換
されたのち、電気的に処理される。
【0027】このような構成の固体撮像装置、すなわ
ち、赤外線吸収フィルター3がオプティカルローパスフ
ィルター2、2′に挟まれる位置にある装置において、
該赤外線吸収フィルター3として本発明のフィルターを
用いた場合には、図示しないが、赤外線吸収フィルター
が、光学レンズ系に組み込まれる位置にあるものより
も、一般に、フィルターはCCDにより近くなるので、
本発明のフィルターの効果が、よりよく発揮される。
【0028】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。なお、ガラスとして、表1に示す
組成を有するA〜Dの4種を用いた。ガラスA〜Cはリ
ン酸塩ガラス、ガラスDはフツリン酸塩ガラスである。
ガラスA、BおよびDはCuOが添加されており、主に
CCDの色感度補正用フィルターとして使用される。一
方、ガラスCは、低屈折率、低分散の光学ガラスとし
て、カメラのレンズなどに使用される。
【0029】製造例 ガラスA〜Dの製造 表1に示す組成のガラスが得られるように調合後、白金
坩堝を用いて800〜1200℃で溶融し、撹拌により
均質化したのち、清澄による泡切れを行い、鋳型に流し
込み、徐冷することによってガラスブロックを作製し
た。次いで、常法にしたがって、ガラス内部の歪みを除
去したのち、このガラスブロックを、20.0×30.
0×1.40mmの平板状にスライスした。また、研磨
中にガラスの破損した小片が混入しないように、ガラス
サイドを面とりした。このようにして試験用のガラス板
A〜Dを作製した。
【0030】
【表1】
【0031】実施例1 純水10リットルに、研磨剤として酸化セリウム粉末
(三井金属社製、商品名:ミレークS−2)1000g
を加え、さらに水酸化ナトリウムを用いて、表2に示す
pHに調整することにより、研磨液を作製した。次に、
製造例で得られたガラスA、B、CおよびDについて、
次のようにして研磨処理した。ガラス各80枚を研磨装
置上に固定し、研磨液を用い、荷重:80g/cm2
回転数:約60rpmの条件にて、肉厚が1.20mm
になるまで研磨処理した。研磨処理は2工程で行なっ
た。第1工程では比較的に大粒径(0.2〜30μm)
の研磨剤を用い、第2工程では比較的に小粒径(0.2
〜12μm)の研磨剤を用いた。なお、上記粒径分布は
研磨剤中の2次粒子の粒径分布も含んでいる。研磨終了
後、ガラス表面から研磨液を完全に除去したのち、研磨
面精度を暗室で測定した。線状傷の幅で、7μmを超え
るものを×、7μm以下のものを○とした。結果をガラ
スのpHとともに、表2に示す。なお、ガラスのpH
は、明細書本文に記載した方法に従って測定した。
【0032】実施例2、比較例1 実施例1において、研磨液のpHを表2に示すように変
えた以外は、実施例1と同様にして研磨処理を行い、研
磨面精度を測定した。結果を表2に示す。
【0033】実施例3 実施例1における研磨液の調製において、純水の代わり
に、各ガラスを純水中に浸漬して、ガラス成分を純水中
に溶かし込んだ水溶液を用い、かつpHを表2に示すよ
うに調整した以外は、実施例1と同様にして研磨液を作
製し、研磨処理を行い、研磨面精度を測定した。結果を
表2に示す。
【0034】比較例2 実施例1における研磨液の調製において、pHの調整を
行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして研磨液
を作製し、研磨処理を行い、研磨面精度を測定した。結
果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】実施例1、2および3で得られた研磨処理
後のガラス板の研磨面の線状傷の幅は、すべてのガラス
において5μmより小さく、また、傷の深さは4μm以
下であり、良好な結果が得られた。
【0037】これに対して、比較例1では、研磨液のp
HがガラスのpHに近似しておらず、ガラスのpHとの
差が1.0より大きく、研磨処理後のガラス板の研磨面
には、いずれも7μmより大きな幅の傷が無数に存在し
ていた。また、比較例2は、pH調整を行わない従来の
研磨方法であり、研磨処理後のガラス板の研磨面には、
いずれも30μmより大きな幅の傷が無数に存在してい
た。
【0038】
【発明の効果】本発明の方法によると、表面が高精度
(表面傷の幅≦7μm)に研磨されたガラス製品、特に
リン酸塩ガラス製品またはフツリン酸塩ガラス製品を容
易に製造することができる。この表面が高精度に研磨さ
れたガラス製品は、例えば固体撮像素子用フィルターな
どとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルターが用いられる固体撮像装置
の1例の概略構成図である。
【符号の説明】
1 光学レンズ 2 オプティカルローパスフィルター 2′ オプティカルローパスフィルター 3 赤外線吸収フィルター 4 パッケージ 5 CCDチップ 6 窓ガラス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02B 5/22 G02B 1/10 Z H01L 27/14 H01L 27/14 D

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス表面を研磨液を用いて研磨するに
    際し、予め前記研磨液のpHをガラスのpHに近似させ
    る操作を施したのち、この研磨液を使用してガラス表面
    を研磨することを特徴とするガラス製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 ガラスのpHとの差が1.0以内になる
    ように、研磨液のpHをガラスのpHに近似させる操作
    を施す請求項1に記載のガラス製品の製造方法。
  3. 【請求項3】 ガラスがリン酸塩ガラスまたはフツリン
    酸塩ガラスである請求項1または2に記載のガラス製品
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 ガラス製品がフィルター用として用いら
    れる請求項1、2または3に記載のガラス製品の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 フィルターが、CCD(Charge Coupl
    ed Device)を用いた固体撮像装置用である請求項4に
    記載のガラス製品の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の方法により得
    られたガラス製品を用いることを特徴とするフィルター
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 表面の線状傷の幅が7μm以下であるこ
    とを特徴とするリン酸塩ガラスまたはフツリン酸塩ガラ
    スからなるフィルター。
  8. 【請求項8】 CCD(Charge Coupled Device)を
    用いた固体撮像装置用フィルターである請求項7に記載
    のフィルター。
  9. 【請求項9】 請求項7または8に記載のフィルターを
    用いたことを特徴とする固体撮像装置。
JP08660098A 1997-04-04 1998-03-31 ガラス製品の製造方法およびフィルター Expired - Fee Related JP3361270B2 (ja)

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