JP7092135B2 - ガラス - Google Patents

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Description

本発明は、機械的強度のばらつきが抑制されたガラスに関する。
デジタルスチルカメラなどに使用されるCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などを用いた固体撮像素子モジュールには、リン酸ガラスやフツリン酸ガラスを用いた近赤外線カットフィルタガラスが用いられている。近年の携帯電話やスマートフォンなどの携帯端末に搭載される固体撮像素子モジュールやデジタルスチルカメラの小型化の要請から、非常に薄い板厚のフィルタガラスが求められている。
フィルタガラスを薄くする場合、例えばガラスの曲げ強度の低下が懸念される。
従来、ガラスの曲げ強度を向上させる観点から、ガラス端面を面取加工する方法が提案されている(たとえば特許文献1参照)。該方法は、ガラスに曲げ応力が作用した際、ガラス表面の傷が割れの起点となるため、その傷を除去することでガラスの強度を高めようとする方法である。さらに、エッチングによって、ガラス板の端面のクラックを一定の長さ以下に処理する方法が提案されている(たとえば特許文献2参照)。また、内部改質型レーザーを用いてガラスを切断する方法が提案されている(たとえば特許文献3参照)。
特開2000-169166号公報 特開2010-168262号公報 国際公開第2013/027645号
前述の各特許文献では、ガラスに曲げ応力が生じる際、ガラスの端部が割れの起点となるとの前提に基づき、特に端部の微小な欠け、クラック、傷を除去ないしは小さくすることを行っている。
しかしながら、機器の使用時におけるガラスに作用する応力状態を詳細に調べてみると、例えば機器に短時間に強い衝撃が生じる場合においては、機器内に搭載されたガラスはパッケージ等に接着剤で固定された端部よりも、固定されていない面内(ガラスの中心部)が大きくたわむことが想定される。そのため、ガラスの面内強度への配慮が重要であることがわかってきた。
また、ガラスの面内強度はその程度を破壊荷重にて測定することができる。ここで、ガラスの破壊荷重は、平均値が高いことが必要であるものの、併せて破壊荷重のばらつきが小さいことも重要と考えられる。すなわち、破壊荷重のばらつきが大きい場合、割合としては非常に少ないものの破壊荷重が低いガラスが混入するおそれがあり、機器の使用時にガラスが割れるリスクを内包することになる。他方、ガラスの破壊荷重のばらつきが小さい場合、破壊荷重の最小値をある程度見積もれるため、破壊荷重が過度に低いガラスが機器に使用されるのを回避することができる。
本発明は、このような背景によりなされたものであり、機械的強度のばらつきが小さいガラスの提供を目的とする。
本発明のガラスは、表層の少なくとも一部が化学強化層で構成されるガラスであって、前記ガラスは、前記化学強化層を除くガラス内部が、Pと、Alと、LiおよびNaのいずれか一方、もしくは両方からなるアルカリ金属とを含有することを特徴とする。
本発明によれば、機械的強度のばらつきが小さいガラスを提供することができる。
本発明のガラスの一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、これらの実施形態を、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、変更または変形することができる。
図1は、本発明のガラスの一実施形態を示す断面図である。ガラス10は、その両側の主面を含む表層が化学強化層2で構成され、化学強化層2を除く部分がガラス内部1である。なお、本発明のガラスにおける化学強化層の構成はこれに限定されない。本発明のガラスにおいて、その表層の少なくとも一部が化学強化層で構成されていればよい。
ガラス10のガラス内部1は、P(リン)、Al(アルミニウム)およびアルカリ金属(ただし、Li(リチウム)およびNa(ナトリウム)のいずれか一方、もしくは両方からなる。)の各成分を必須成分として含有する。以下、ガラス内部1が含有する、LiおよびNaのいずれか一方、もしくは両方からなるアルカリ金属を、必要に応じて「R」で示す。
ガラス10は、例えば、大きさがガラス10と同じであり全体がガラス10のガラス内部1の組成と同じ組成の前駆体の両側の主面を含む表層がイオン交換により化学強化層2に変換され、イオン交換されなかった前駆体の組成を維持した部分が表層より内側にガラス内部1として存在する構成である。すなわち、本発明のガラスにおいて、化学強化層およびカラス内部は、ともにガラスで構成されるが、両者のガラス組成は異なる。以下、全体がガラス内部の組成と同じ組成である、イオン交換前のガラスの前駆体を単に、「ガラス前駆体」という。
イオン交換は、具体的には、ガラス前駆体中のR成分が、このR成分よりもイオン半径の大きい他の1価アルカリ金属イオンにイオン交換されることをいう。例えば、ガラス前駆体中のLi(イオン半径:60pm)がNa(イオン半径:95pm)にイオン交換される、ガラス前駆体中のNaがK(イオン半径:133pm)にイオン交換される等である。ガラス前駆体中のLiとイオン交換されガラスに拡散したNaが、Kにイオン交換されてもよい。
したがって、ガラス内部のガラス組成に比べて、化学強化層においては、NaとKのいずれか一方、または両方の含有量が多いガラス組成を有する。本発明のガラスにおいて、ガラス内部と化学強化層ではアルカリ金属以外の組成に違いはない。以下の説明において、ガラス内部と化学強化層に共通する成分については、本発明のガラスの成分として説明する。
本発明のガラスは、PとAlを含有する。本発明のガラスにおいて、Pはネットワーク形成成分であり、ガラス化に必要な主成分である。本発明のガラスにおいて、Alはガラスの修飾成分であり、ガラス製造時の結晶化や分相を抑制する成分である。本発明のガラスは、ガラス内部がRを含有する。すなわち、本発明において、表層がイオン交換されて本発明のガラスとなるガラス前駆体は、該イオン交換のためにRを含有し、得られる本発明のガラスはガラス内部がRを含有する。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ガラス10の少なくとも一部の表層に化学強化層2が存在すると、ガラス10の機械的強度のばらつきが小さくなることを見出した。その理由は、以下のメカニズムによるものと考えられる。
ガラスの機械的強度がばらつく要因は、ガラス表面に存在する傷である。表面に傷が存在するガラスに引っ張り応力が働いた場合、その傷の先端に応力集中が起こり、破壊が起こる。ガラス表面の傷は、生産工程や使用中の取り扱いなど様々な外的要因によって発生するため、その傷の深さは一様ではない。特に深い傷は応力集中が起こりやすく、弱い引っ張り応力でもガラスが破壊するため、ガラスの機械的強度にばらつきが生じる。
これに対し、本発明のガラスは、ガラス前駆体の表層において、元々存在していたR成分に代えてそれよりもイオン半径の大きいイオンを十分深くまで拡散させて、該表層を化学強化層としたことで、深い傷の先端付近のガラス構造が膨張し、ガラスに引っ張り応力が働いた際に傷の先端に発生する応力を軽減することができる。その結果、本発明のガラスにおいては、深い傷が存在したとしても機械的強度が低下せず、機械的強度のばらつきが小さくなるものと考えられる。
本発明のガラス10において、化学強化層2は、ガラス10の表層の全体に設けられてもよいし、表層の一部にのみ設けられてもよい。図1に示すように、ガラス10が板形状である場合、主面を含む表層に化学強化層2を備えることが好ましい。板形状のガラスに曲げ応力が作用すると、主面の変形量が大きいためである。
化学強化層2は、ガラス10の表面から深さ方向に1~100μmの厚さであることが好ましい。化学強化層2の厚さが1μm未満であると、ガラス10の機械的強度のばらつきを小さくする効果が十分に得られない。化学強化層2の厚さが100μm超であると、化学強化層2を形成するための処理に長時間を要するためである。ガラス内部に発生する引張り応力による割れ抑制の観点から、化学強化層2の厚さは、より好ましくは2~50μm、さらに好ましくは3~30μmである。なお、ガラス10の化学強化層2は、電子線マイクロアナライザ(Electron Probe Micro Analyzer)を用いて、NaとKのいずれか一方、または両方の含有量が、ガラス内部1よりも多くなった部分として測定することができる。
化学強化層2は、圧縮応力を有してもよい。ガラス10の表面に圧縮応力を有する化学強化層2があると、ガラス10に曲げ応力が付加された場合、ガラス10の表面に存在するクラックの伸展を抑制するため、機械的強度の高いガラス10を得ることができる。また、前述のとおり、ガラス10の表層に化学強化層2を有することでガラス10の機械的強度のばらつきを小さくすることができるため、化学強化層2を備えない同一組成のガラス、すなわちガラス前駆体と比較し、平均破壊荷重が高く、かつ破壊荷重のばらつきの小さいガラスを得ることができる。このようなガラス10は、破壊荷重の過度に低いガラスの存在確率が非常に小さいため、ガラス10を機器に用いた際のガラス10の破損のリスクを小さくすることができる。
ガラス10の化学強化層2の圧縮応力は、10~1000MPaであることが好ましい。なお、化学強化層2の圧縮応力は、複屈折測定装置を用いて測定することができる。
ガラス10を、例えば、製品のサイズに合わせて小片に切断する場合、内部改質型レーザーを用いて切断することが好ましい。一般的に、内部改質型レーザーでガラスを切断する場合、レーザー集光によりガラス内部に改質領域を形成し、そこを起点にクラックを伸展させてガラスを切断する。切断して得られたガラス小片において、改質領域がガラス小片の端部(ガラス小片の主面と端面との交線)に達すると、ガラス小片に外部応力が生じた際に、その端部を起点にガラス小片が破壊されるため、機械的強度が低いガラス小片となる。外部応力としては、曲げ応力やテープエキスパンドなどの切断面の精度の観点から延伸が好ましい。
ガラス10においては、表層に圧縮応力を有する化学強化層2が存在することから、改質領域を形成するガラス内部1に引っ張り応力が存在する。これにより、内部改質型レーザーを用いてガラス10を切断する場合、改質領域を形成するために必要なレーザーの出力を抑えることができ、且つ改質領域が小さくなる。そのため、切断して得られるガラス小片の端部に改質領域が存在することがなく、結果として機械的強度の高いガラス小片を得ることができる。
本発明のガラスは、ガラス転移温度(Tg)が600℃以下であることが好ましい。なお、本発明のガラスにおいて化学強化層のTgとガラス内部のTgとは、略同等であり、同じものとして扱う。すなわち、ガラス前駆体のTgとガラス前駆体から得られる本発明のガラスのTgは同じものとして扱える。
Tgが600℃以下であればガラス前駆体から、短時間で表層に化学強化層2を有するガラス10を作製することが可能である。また、比較的低い温度で化学強化層2を形成できるため、化学強化層2の表面が荒れることを抑制することができ、ガラス10を光学素子として用いるのに好ましい。また、化学強化層2を低温、短時間で形成できると、ガラス10の製造コスト(電力量)を抑制する効果も得られる。ガラス10のTgは580℃以下が好ましく、570℃以下がより好ましい。
一方、Tgは低すぎると化学強化層2を有するガラス10において圧縮応力の緩和が起きやすいため300℃以上であることが好ましい。すなわち、ガラス10のTgは、好ましくは300~570℃である。Tgは、例えば熱膨張法により測定することができる。
ガラス10は、リン酸系ガラスであることが好ましい。リン酸系ガラスとは、Pが主なネットワーク形成成分であるガラスであり、本発明においては、リン酸塩ガラス、フッ素を含有するフツリン酸塩ガラス、ケイ素を含有するケイリン酸塩ガラス、硫黄を含有する硫リン酸塩ガラスを包含する概念である。
本発明におけるリン酸系ガラスとしては、具体的には、ガラス内部1において酸化物換算の質量%表示でPを35~80%含有する、もしくはカチオン%表示でP5+を20~60%含有することが好ましい。
ガラス10は、F(フッ素)をガラス成分として含有することが好ましい。Pをネットワーク形成成分とするガラスは耐侯性(特に耐水性)が劣ることが知られている。ガラス10は、Fをガラス成分として含有することで、耐侯性を大幅に向上させることができる。
ガラス10は、Cu(銅)をガラス成分として含有することが好ましい。Cuは近赤外線、例えば、波長700~1100nmの光、を吸収する成分として知られている。ガラス10は、Cuを含有することで、近赤外線の吸収特性に優れた光学フィルタガラスとして用いることができる。
ガラス10としては、例えば、以下に示す2種類の組成のガラス内部をそれぞれ有する2つの実施形態のガラスがある。
第1の実施形態のガラスは、いわゆる銅含有リン酸ガラスであり、特にガラス中のP成分、Cu成分(Cu2+)が近赤外域の波長の光を吸収することで、赤外線を大幅にカットする機能を備える。
第1の実施形態のガラスはガラス内部が、
下記酸化物換算の質量%表示で、
:35~80%
Al:5~20%
ΣRO:3~30%(ただし、ROはLiOおよびNaOのいずれか1つ以上であり、ΣROはこれらの合量を表す。)
ΣR´O:3~35%(ただし、R´OはMgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOのいずれか1つ以上であり、ΣR´Oはこれらの合量を表す。)
CuO:0.5~20%
を含有することが好ましい。
第1の実施形態のガラスにおいて、ガラス内部を構成する各成分の含有量を上記のように限定した理由を以下に説明する。以下の説明において、各成分の含有量はガラス内部における酸化物換算の質量%表示である。
は、ガラスを形成する主成分(ガラス形成酸化物)であり、近赤外線カット性を高めるための必須成分である。Pの含有量が、35%未満ではその効果が十分得られず、80%を超えると溶融温度が上がり、可視域の透過率が低下するため好ましくない。Pの含有量は、好ましくは38~77%であり、より好ましくは40~75%である。
Alは、耐候性を高めるための必須成分である。Alの含有量が、5%未満ではその効果が十分得られず、20%を超えるとガラスの溶融温度が高くなり、近赤外線カット性および可視域透過性が低下するため好ましくない。Alの含有量は、好ましくは5.5~17%であり、より好ましくは6~15%である。
Oは、化学強化層を形成するため、ガラスの溶融温度を低くするための必須成分である。ROは、ガラス内部が含有するLiOおよびNaOのいずれか1つ以上である。ΣROは、LiOとNaOとの合量、つまり、LiO+NaOであることをいう。ΣROが、3%未満ではその効果が十分ではなく、30%を超えるとガラスが不安定になるため好ましくない。ΣROは、好ましくは5~28%であり、より好ましくは6~25%である。
LiOは、化学強化層を形成する、ガラスの溶融温度を低くする効果があるLiOの含有量が、15%を超えるとガラスが不安定になるため好ましくない。LiOの含有量は、好ましくは0~10%であり、より好ましくは0~8%である。
NaOは、化学強化層を形成する、ガラスの溶融温度を低くする効果がある。NaOの含有量が、25%を超えるとガラスが不安定になるため好ましくない。NaOの含有量は、好ましくは0~22%であり、より好ましくは0~20%である。
ガラス内部は、RO以外のアルカリ金属酸化物としてKOを含有してもよい。KOは、化学強化層の形成を促進する、ガラスの溶融温度を低くする効果がある。KOの含有量は、0~25%が好ましい。KOの含有量が、25%を超えるとガラスが不安定になるため好ましくない。KOの含有量は、好ましくは0~20%であり、より好ましくは0~15%である。
R´Oは、ガラスの安定性を高め、ガラスの溶融温度を低くするための必須成分である。R´Oは、ガラス内部が含有するMgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOのいずれか1つ以上である。ΣR´Oは、MgO、CaO、SrO、BaOおよびZnOの合量、つまり、MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOであることをいう。ΣR´Oが、3%未満であるとその効果が十分ではなく、35%を超えるとガラスが不安定になるため好ましくない。ΣR´Oは、好ましくは3.5~32%であり、より好ましくは4~30%である。
MgOは、必須成分ではないものの、ガラスの安定性を高める効果がある。MgOの含有量が、5%を超えると近赤外線カット性が低下するため好ましくない。MgOの含有量は、好ましくは3%以下であり、より好ましくは2%以下である。
CaOは、必須成分ではないものの、ガラスの安定性を高める効果がある。CaOの含有量が、10%を超えると近赤外線カット性が低下するため好ましくない。CaOの含有量は、好ましくは7%以下であり、より好ましくは5%以下である。
SrOは、必須成分ではないものの、ガラスの安定性を高める効果がある。SrOの含有量が、15%を超えると近赤外線カット性が低下するため好ましくない。SrOの含有量は、好ましくは0~12%であり、より好ましくは0~10%である。
BaOは、必須成分ではないものの、ガラスの溶融温度を低くする効果がある。BaOの含有量が、30%を超えるとガラスが不安定になるため好ましくない。BaOの含有量は、好ましくは0~27%であり、より好ましくは0~25%である。
ZnOは、必須成分ではないものの、ガラスの溶融温度を低くする効果がある。ZnOの含有量が、10%を超えるとガラスの溶解性が悪化するため好ましくない。ZnOの含有量は、好ましくは8%以下であり、より好ましくは5%以下である。
CuOは、近赤外線カット性を高めるための成分である。CuOの含有量が、0.5%未満であるとその効果が十分に得られず、20%を超えると可視域透過率が低下するため好ましくない。CuOの含有量は、好ましくは0.8~19%であり、より好ましくは1.0~18%である。
第2の実施形態のガラスは、いわゆる銅含有フツリン酸ガラスであり、特にガラス中のP成分、Cu成分(Cu2+)が近赤外域の波長の光を吸収することで、赤外線を大幅にカットする機能を備え、かつ耐侯性に優れる。
第2の実施形態のガラスはガラス内部が、
カチオン%表示で、
5+:20~60%
Al3+:3~20%
ΣR:5~40%(ただし、RはLiおよびNaのいずれか1つ以上であり、ΣRはこれらの合量を表す。)
ΣR´2+:5~30%(ただし、R´2+はMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+のいずれか1つ以上であり、ΣR´2+はこれらの合量を表す。)
Cu2+とCuの合量:0.5~25%
を含有すると共に、
アニオン%表示で、
:10~70%
を含有するのが好ましい。
第2の実施形態のガラスにおいて、ガラス内部を構成する各成分の含有量(カチオン%、アニオン%表示)を上記のように限定した理由を以下に説明する。
本明細書において、「カチオン%」、「アニオン%」とは、以下のとおりの単位である。まず、ガラスの組成における構成成分をカチオン成分とアニオン成分とに分ける。そして、「カチオン%」とは、ガラス中に含まれる全カチオン成分の合計含有量を100モル%としたときに、各カチオン成分の含有量を百分率で表記した単位である。「アニオン%」とは、ガラス中に含まれる全アニオン成分の合計含有量を100モル%としたときに、各アニオン成分の含有量を百分率で表記した単位である。
以下の説明において、特記しない限り、カチオン成分の各含有量、および合計含有量の値は、ガラス内部におけるカチオン%表示の値であり、アニオン成分の各含有量、および合計含有量の値は、ガラス内部におけるアニオン%表示の値である。
5+は、ガラスを形成する主成分であり、近赤外領域のカット性を高めるための必須成分である。P5+の含有量が、20%未満ではその効果が十分得られず、60%を超えるとガラスが不安定になる、耐候性が低下する等の問題が生じるため好ましくない。P5+の含有量は、より好ましくは20~58%であり、さらに好ましくは22~56%であり、さらに一層好ましくは24~54%であり、特に好ましくは25~50%である。
Al3+は、耐候性を高めるなどのための必須成分である。Al3+の含有量が、3%未満ではその効果が十分得られず、20%を超えるとガラスが不安定になる、赤外線カット性が低下する等の問題が生じるため好ましくない。Al3+の含有量は、より好ましくは4~18%であり、さらに好ましくは4.5~15%であり、さらに一層好ましくは5~13%である。なお、Al3+の原料として、AlやAl(OH)を用いることは、溶解温度の上昇や未融物の発生、およびFの仕込み量が減少してガラスが不安定になる等の問題が生じるため好ましくなく、AlFを用いることが好ましい。
は、化学強化層を形成する、ガラスの溶融温度を低くする、ガラスの液相温度を低くする、ガラスを安定化させるなどのための必須成分である。Rは、ガラス内部が含有するLiおよびNaのいずれか1つ以上であることをいう。また、ΣRは、LiおよびNaの合量、つまりLi+Naをいう。ΣRが、5%未満ではその効果が十分得られず、40%を超えるとガラスが不安定になるため好ましくない。ΣRは、より好ましくは6~38%であり、さらに好ましくは10~37%であり、さらに一層好ましくは15~36%である。
Liは、化学強化層を形成する、ガラスの溶融温度を低くする、ガラスの液相温度を低くする、ガラスを安定化させるなどのための成分である。Liの含有量としては、5~40%が好ましい。5%未満ではその効果が十分得られず、40%を超えるとガラスが不安定になるため好ましくない。Liの含有量は、より好ましくは、8~38%であり、さらに好ましくは、10~35%であり、さらに一層好ましくは6~30%である。
Naは、化学強化層を形成する、ガラスの溶融温度を低くする、ガラスの液相温度を低くする、ガラスを安定化させるなどのための成分である。Naの含有量としては、5~40%が好ましい。5%未満ではその効果が十分得られず、40%を超えるとガラスが不安定になるため好ましくない。Naの含有量は、より好ましくは5~35%であり、さらに好ましくは6~30%である。
は、化学強化層の形成を促進する、ガラスの溶融温度を低くする、ガラスの液相温度を低くする、などの効果がある成分である。Kの含有量としては、0.1~30%が好ましい。Kを含有する場合、0.1%未満ではその効果が十分得られず、30%を超えるとガラスが不安定になるため好ましくない。Kの含有量は、より好ましくは0.5~25%であり、さらに好ましくは0.5~20%である。
R´2+は、ガラスの溶融温度を低くする、ガラスの液相温度を低くする、ガラスを安定化させる、ガラスの強度を高めるなどのための成分である。R´2+は、ガラス内部が含有するMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびZn2+のいずれか1つ以上をいうものである。また、ΣR´2+は、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+の合量、すなわちMg2++Ca2++Sr2++Ba2++Zn2+をいうものである。ΣR´2+が、5%未満ではその効果が十分得られず、30%を超えるとガラスが不安定になる、赤外線カット性が低下する、ガラスの強度が低下する等の問題が生じるため好ましくない。ΣR´2+は、より好ましくは5~28%であり、さらに好ましくは7~25%であり、さらに一層好ましくは9~23%である。
Mg2+は、必須成分ではないものの、ガラスの溶融温度を低くする、ガラスの液相温度を低くする、ガラスを安定化させる、ガラスの強度を高めるなどのための成分である。Mg2+の含有量としては、1~30%が好ましい。Mg2+を含有する場合、1%未満ではその効果が十分得られず、30%を超えるとガラスが不安定になるため好ましくない。Mg2+の含有量は、より好ましくは1~25%であり、さらに好ましくは1~20%である。
Ca2+は、必須成分ではないものの、ガラスの溶融温度を低くする、ガラスの液相温度を低くする、ガラスを安定化させる、ガラスの強度を高めるなどのための成分である。Ca2+の含有量としては、1~30%が好ましい。Ca2+を含有する場合、1%未満ではその効果が十分得られず、30%を超えるとガラスが不安定となるため好ましくない。Ca2+の含有量は、より好ましくは1~25%であり、さらに好ましくは1~20%である。
Sr2+は、必須成分ではないものの、ガラスの溶融温度を低くする、ガラスの液相温度を低くする、ガラスを安定化させるなどのための成分である。Sr2+の含有量としては、1~30%が好ましい。Sr2+を含有する場合、1%未満ではその効果が十分得られず、30%を超えるとガラスが不安定となるため好ましくない。より好ましくは1~25%であり、さらに好ましくは1~20%である。
Ba2+は、必須成分ではないものの、ガラスの溶融温度を低くする、ガラスの液相温度を低くする、ガラスを安定化させるなどのための成分である。Ba2+の含有量としては、1~30%が好ましい。Ba2+を含有する場合、1%未満ではその効果が十分得られず、30%を超えるとガラスが不安定となるため好ましくない。Ba2+の含有量は、より好ましくは1~25%であり、さらに好ましくは1~20%である。
Zn2+は、必須成分ではないものの、ガラスの溶融温度を低くする、ガラスの液相温度を低くする、などの効果がある。Zn2+の含有量としては、1~30%が好ましい。Zn2+を含有する場合、1%未満ではその効果が十分得られず、30%を超えるとガラスの溶解性が悪化するため好ましくない。Zn2+の含有量は、より好ましくは1~25%であり、さらに好ましくは1~20%である。
Cu2+とCuの合計の含有量は、近赤外線カットのための必須成分である。Cu2+とCuの合計の含有量が、0.5%未満であるとガラスの肉厚を薄くした際にその効果が十分に得られず、また25%を超えると可視域透過率が低下するため好ましくない。Cu2+とCuの合計の含有量は、より好ましくは0.2~24%であり、さらに好ましくは0.3~23%であり、さらに一層好ましくは0.4~22%である。
Sb3+は、必須成分ではないものの、ガラスの酸化性を高め、Cu2+イオンの濃度を増加することで、近赤外線のカット性能を高める効果がある。Sb3+が含有される場合、1%以下が好ましい。Sb3+の含有量が、1%を超えるとガラスの安定性が低下するため好ましくない。Sb3+の含有量は、好ましくは0.01~8%であり、より好ましくは0.05~0.5%であり、さらに好ましくは0.1~0.3%である。
2-は、ガラスを安定化させる、強度や硬度や弾性率といった機械的特性を高めるなどのための成分である。O2-の含有量は30~90%であることが好ましい。O2-の含有量が、30%未満であるとその効果が十分得られず、90%を超えるとガラスが不安定となり、耐候性が低下するため好ましくない。O2-の含有量は、より好ましくは30~80%であり、さらに好ましくは30~75%である。
は、ガラスを安定化させるため、耐候性を向上させるための成分である。Fの含有量が、10%未満であるとその効果が十分得られず、70%を超えると強度や硬度や弾性率といった機械的特性が低下するなどのおそれがあるため好ましくない。Fの含有量は、より好ましくは10~50%であり、さらに好ましくは15~40%である。
第1の実施形態のガラスは、PbO、As、V、LaY、YF、YbF、GdFを実質的に含有しないことが好ましい。PbOは、ガラスの粘度を下げ、製造作業性を向上させる成分である。また、Asは、幅広い温度域で清澄ガスを発生できる優れた清澄剤として作用する成分である。しかし、PbOおよびAsは、環境負荷物質であるため、できるだけ含有しないことが望ましい。
は、可視領域に吸収をもつため、紫外線の透過率が低下するおそれがあり、できるだけ含有しないことが望ましい。LaY、YF、YbF、GdFは、ガラスを安定化させる成分であるものの、原料が比較的高価であり、コストアップにつながるので、できるだけ含有しないことが望ましい。ここで、実質的に含有しないとは、原料として意図して用いないことを意味しており、原料成分や製造工程から混入する不可避不純物については含有していないとみなす。このような不可避不純物の量は、例えば、ガラス内部の全体に対して、0.1%以下である。
第2の実施形態のガラスにおいては、ガラス内部の組成にガラスを形成する陽イオンをもった硝酸塩化合物や硫酸塩化合物を、酸化剤あるいは清澄剤として添加することができる。酸化剤は、ガラス中のCu成分のCu/全Cu量を所望の範囲に調整する効果がある。硝酸塩化合物や硫酸塩化合物の添加量は、上記したガラス内部の組成の原料混合物の合量に対し外割添加で0.5~10質量%が好ましい。添加量が0.5質量%未満では透過率改善の効果がなく、10質量%を超えるとガラスの形成が困難になる。添加量は、より好ましくは1~8質量%であり、一層好ましくは3~6質量%である。
硝酸塩化合物としては、Al(NO、LiNO、NaNO、KNO、Mg(NO、Ca(NO、Sr(NO、Ba(NO、Zn(NO、Cu(NO等がある。硫酸塩化合物としては、Al(SO・16HO、LiSO、NaSO、KSO、MgSO、CaSO、SrSO、BaSO、ZnSO、CuSO等がある。
第2の実施形態のガラスは、F(フッ素)成分を必須成分として含有するため、耐侯性に優れている。具体的には、雰囲気中の水分との反応によるガラス表面の変質や透過率の減少を抑制することができる。耐侯性の評価は、例えば、高温高湿槽を用いて、光学研磨したガラスサンプルを65℃、相対湿度90%の高温高湿槽中に1000時間保持する。そして、ガラス表面のヤケ状態を目視観察して評価することができる。また、高温高湿槽に投入する前のガラスの透過率と高温高湿槽中に1000時間保持した後のガラスの透過率とを比較して評価することもできる。
ガラス10は、板形状やレンズ形状(凹状、凸状)、管形状、棒形状等、いずれの形状でも用いることができる。例えば、ガラス10を光学フィルタとして用いる場合、板形状であることが好ましい。
ガラス10は、板形状で用いる場合、その板厚は0.01~1mmであることが好ましい。ガラス10の板厚が0.01mm未満であると、製造時に破損するリスクが大きい。また、1mm超であると、ガラス10の質量が大きく、機器の軽量化を阻害するおそれがある。
ガラス10は、リン酸系ガラスの特有の光学特性を利用した以下の用途に好適に用いることができる。例えば、低屈折ガラス、低分散ガラス、異常部分分散ガラス、アサーマルガラス(分極率の温度変化が小さい特性を利用)、ファラデー回転ガラス(常磁性ガラス)、レーザーガラス(誘導放出係数の大きい特性を利用)、光学フィルタ(紫外線領域や赤外線領域に特徴的な透過,吸収を有する特性を利用)等である。特に光学フィルタの1種である近赤外線カットフィルタガラスに好適に用いることができる。
ガラス10には、その表面上に反射防止膜や赤外線カット膜、紫外線および赤外線カット膜などの光学薄膜を設けてもよい。これらの光学薄膜は、単層膜や多層膜よりなるものであって、蒸着法やスパッタリング法などの公知の方法により形成することができる。また、ガラス10には、その表面上に特定の波長の光を吸収する色素や金属微粒子を分散した樹脂層を設けてもよい。
ガラス10の製造方法は特に限定されない。典型的には、ガラス10と同じ形状、大きさのガラス前駆体を作製し、その表層をイオン交換処理により化学強化層とすることで製造できる。
具体的には、得られるガラス前駆体が所定の組成範囲、例えば、上記したガラス内部の組成になるように原料を秤量、混合する(混合工程)。この原料混合物を白金ルツボに収容し、電気炉内において700℃~1300℃の温度で加熱溶解する(溶解工程)。十分に撹拌・清澄した後、金型内に鋳込む等して、所定の形状に成形する(成形工程)。次いで、切断・研磨して所定の形状に加工して(加工工程)、ガラス前駆体を得る。なお、ガラス前駆体は、プレス成形、リヒートプレス成形、ダンナー成形、リドロー成形、ベロー成形等の適宜の方法で所定の形状に成形してもよい。
得られたガラス前駆体の表層をイオン交換処理することで化学強化層2とし、化学強化層2とイオン交換されていないガラス内部1とからなるガラス10を得る(化学強化層形成工程)。なお、化学強化層形成工程後に、再度ガラスを切断、研磨、薬液(酸性、アルカリ性溶液)浸漬処理してもよい。
化学強化層形成工程は、ガラス前駆体の表層をイオン交換処理する工程である。イオン交換処理は、例えば、200℃~450℃の溶融塩中にガラス前駆体を1~50時間程度浸漬することで行うことができる。溶融塩の温度をイオン交換処理温度とする。イオン交換処理温度は、より好ましくは215~400℃である。浸漬時間をイオン交換処理時間とする。イオン交換処理時間は、より好ましくは2~30時間である。
用いる溶融塩は、ガラス前駆体におけるアルカリ金属の組成による。Liを含有しているガラス前駆体のイオン交換はNaおよび/またはKを含む溶融塩中で行われる。Naを含有しているガラス前駆体のイオン交換はKを含む溶融塩中で行われる。溶融塩としては、例えば、硝酸ナトリウム(NaNO)の溶融塩や硝酸カリウム(KNO)と硝酸ナトリウム(NaNO)とを適宜の比率で混合した溶融塩を用いることができる。
本発明のガラスは、表層に化学強化層を有するとともに、ガラス内部は、Pと、Alと、LiおよびNaのいずれか一方、もしくは両方からなるアルカリ金属とを含有する、構成であることから、機械的強度のばらつきが小さいガラスである。例えば、板形状の本発明のガラスにおいて、ガラスの面内強度を破壊荷重にて測定した場合、破壊荷重のばらつきが小さい。これにより、破壊荷重の最小値をある程度見積もれるため、破壊荷重が過度に低いガラスが機器に使用されるのを回避することができる。
本発明の実施例と比較例とを表1に示す。例1~例4は本発明の実施例であり、例5は本発明の比較例である。
[ガラスの作製]
例1~例5のガラスの作製においては、まず、全て同一の組成のガラス材料からなるガラス前駆体を以下のとおり作製した。なお、用いたガラス材料の組成は以下のとおりであり、Tgは400℃である。
カチオン%表示で、下記成分を含有し、
5+:20~60%
Al3+:3~20%
ΣR:5~40%(ただし、RはLi、Naのいずれか1つ以上であり、ΣRはこれらの合量を表す)
ΣR´2+:5~30%(ただし、R´2+はMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、およびZn2+のいずれか1つ以上であり、ΣR´2+はこれらの合量を表す)
Cu2+とCuの合量:0.5~25%
アニオン%表示で、下記成分を含有する。
:10~70%
(ガラス前駆体の作製)
上記組成のガラス材料の原料を秤量・混合し、内容積約400ccの白金ルツボ内に入れて、700~1300℃の温度で2時間溶融、清澄、撹拌後、およそ300~500℃に予熱した縦50mm×横50mm×高さ20mmの長方形のモールドに鋳込み、徐冷を行った。次いで、得られたガラス板を研磨し、縦50mm×横50mm×板厚0.2mmのガラス前駆体を得た。
(化学強化層形成工程)
上記で作製したガラス前駆体を表1に示す条件(溶融塩の種類と比率(質量%)、イオン交換処理温度、イオン交換処理時間)でイオン交換処理して、表層に化学強化層を形成して、例1~例4のガラスを作製した。なお、例5は、化学強化層を形成していないガラス前駆体自体である。
(評価)
(1)強度評価
上記で得られた例1~5の実施例および比較例の各ガラスの強度評価を行った。
強度評価は、リングオンリング試験を用い、ガラスの破壊荷重を測定した。測定方法の詳細は以下のとおりである。支持リング(リング径:30mm)の上にガラスを載置し、ガラスの上から荷重リング(リング径:15mm)を荷重速度0.5mm/分で押圧し、表1記載のサンプル数に対して、破壊荷重を測定した。破壊試験機として、エー・アンド・ディ社製テンシロン万能試験機RTF-1310を用いた。得られた破壊荷重(平均値、最大値、最小値)を表1に示す。
(2)圧縮応力の確認
上記で得られた例1~5の実施例および比較例の各ガラスの化学強化層または例5においては表層における圧縮応力の有無を確認した。
圧縮応力の有無の確認は、複屈折測定装置(Abrio Micro Imaging System; HINDS Instruments Inc.製)を用いた。確認方法としては、ガラスの化学強化層面に対して垂直方向の断面を鏡面研磨した後、研磨面方向から複屈折測定装置でガラスを観察する。ガラスに圧縮応力が有る場合、ガラスの表面付近に複屈折によるリタデーションが観察される。圧縮応力が無い場合、リタデーションは観察されない。測定結果を表1に示す。
(3)イオン交換状態の確認
例1~例4において、化学強化層が形成された実施例の各ガラスの表層にけるイオン交換状態を電子線マイクロアナライザ(JEOL社製、JXA8230)を用いて測定した。具体的には、ガラス中のNaとKのいずれか一方、または両方の含有量が、ガラス内部よりも多くなった部分を化学強化層と特定し、その深さ(ガラス表面からの厚さ)およびイオン交換元素(イオン交換処理により、ガラス前駆体のアルカリ金属に代わって表層に拡散されたイオン元素)を確認した。測定結果を表1に示す。化学強化層の深さはサンプル数における平均である。
Figure 0007092135000001
表1より、本発明の実施例の各ガラスは、比較例のガラスに対し、破壊荷重の標準偏差が小さい。そのため、機器等に用いた場合に破損のリスクを小さくできることがわかる。そのため、機器等に用いた場合に破損のリスクが小さく、より薄い板厚で用いることができる。
本発明のガラスは、表層の少なくとも一部が化学強化層で構成されるガラスであって、化学強化層を除くガラス内部が、Pと、Alと、LiおよびNaのいずれか一方、もしくは両方からなるアルカリ金属とを含有する、構成であることから、機械的強度のばらつきが小さいガラスである。

Claims (8)

  1. 表層の少なくとも一部が化学強化層で構成されるガラスであって、前記ガラスは、前記化学強化層を除くガラス内部が、酸化物換算の質量%表示で
    :35~80%
    Al :5~20%
    ΣR O:3~30%(ただし、R OはLi O、Na Oのいずれか1つ以上であり、ΣR Oはこれらの合量を表す)
    ΣR´O:3~35%(ただし、R´OはMgO、CaO、SrO、BaO、およびZnOのいずれか1つ以上であり、ΣR´Oはこれらの合量を表す)
    CuO:0.5~20%
    を含有し、
    破壊荷重のばらつきが標準偏差で37.40以下である、ガラス。
  2. 表層の少なくとも一部が化学強化層で構成されるガラスであって、前記ガラスは、前記化学強化層を除くガラス内部が、カチオン%表示で
    5+ :20~60%
    Al 3+ :3~20%
    ΣR :5~40%(ただし、R はLi 、Na のいずれか1つ以上であり、ΣR はこれらの合量を表す)
    ΣR´ 2+ :5~30%(ただし、R´ 2+ はMg 2+ 、Ca 2+ 、Sr 2+ 、Ba 2+ 、およびZn 2+ のいずれか1つ以上であり、ΣR´ 2+ はこれらの合量を表す)
    Cu 2+ とCu の合量:0.5~25%
    を含有すると共に、
    アニオン%表示で、
    :10~70%
    を含有し、
    破壊荷重のばらつきが標準偏差で37.40以下である、ガラス。
  3. 前記化学強化層の厚さは1~100μmである請求項1または請求項2に記載のガラス。
  4. 前記化学強化層は、圧縮応力を有する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のガラス。
  5. 前記ガラスのガラス転移温度は、600℃以下である請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のガラス。
  6. 前記ガラスは板形状である請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のガラス。
  7. 前記ガラスは、板厚が0.01mm~1mmである請求項に記載のガラス。
  8. 近赤外線カットフィルタガラスである請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のガラス。
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