JP3360904B2 - プッシャのフィンガ自動交換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はトランスファプレスに
装備されたプッシャのフィンガ自動交換装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来トランスファプレスはプレス本体内
にトランスファフィーダが設置されていて、このトラン
スファフィーダによりプレス本体内へワークを搬入出し
たり、各加工ステーション間の搬送を行っている。また
上記トランスファプレスを使用してコイル材やフープ材
（以下単にフープ材等という）を加工する場合、従来で
はワーク搬送方向に対して直交する方向よりフープ材等
を搬入してまずフープ材等をブランキング加工すること
により所定の大きさのワークを作成し、次にプレス本体
内に設置されたプッシャによりこのワークを加工ステー
ションへ搬入する方法が一般に採用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】プレス本体内にプッシ
ャが設置されたトランスファプレスでは、ワークの形状
や大きさなどが変更される毎にワークを押圧するフィン
ガを交換する必要がある。トランスファフィーダのよう
に金型交換時ムービングボルスタとともにトランスファ
バーをプレス本体より引出せるようにしたものでは、ト
ランスファバーに取付けられたフィンガを外段取りで交
換できるようにしたものが種々提案されている。例えば
特開昭６３−１８８４３５号公報、実開昭５９−５８５
３２号公報、実開昭６３−５３３２９号公報、実開平２
−５９８３２号公報、実開平１−１７３８４号公報な
ど。

【０００４】しかしプッシャのフィンガは従来ではプレ
ス本体内へ作業者が入って内段取りで交換しているた
め、作業能率が悪いと共に、作業に危険が伴うなどの不
具合があった。またプッシャをムービングボルスタに設
置して、ムービングボルスタとともにプレス本体外へ引
出せるようにすると、装置が大掛りとなってコスト高と
なると共に、ムービングボルスタにプッシャと設置する
ためのスペースを必要としたり、金型に干渉を避けるた
めの加工を必要とするなどの不具合もあった。この発明
はかかる不具合を改善するためになされたもので、簡単
な構成でプッシャのフィンガを外段取りで交換可能にし
たプッシャのフィンガの自動交換装置を提供することを
目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成するために、トランスファプレスの加工ステーション
にコイルラインを接続して、上記加工ステーションでコ
イル材やフープ材をブランキングしてワークを製作し、
このワークをプレス本体内に設けたプッシャにより次工
程へ搬送するようにしたトランスファプレスのフィンガ
自動交換装置において、上記プッシャを、プレス本体内
に設けられたトランスファバーによりフィード方向へ移
動自在に設け、かつ上記プッシャのフィンガを、プッシ
ャ側に設けたクランプ機構により着脱自在に設けると共
に、ムービングボルスタ側に、プッシャから分離したフ
ィンガを載置する手段を設け、金型交換時フィンガをム
ービングボルスタに載置してプレス本体に対して搬入出
可能としたプッシャのフィンガ自動交換装置である。

【０００６】

【作 用】上記構成によりプッシャより取外したフィ
ンガをムービングボルスタと共にプレス本体外へ搬出
し、外段取りで交換した後再びプレス本体内へ搬入して
プッシャに取付けることにより、フィンガの交換が自動
的に行える。

【０００７】

【実 施 例】この発明の一実施例を図面を参照して詳
述する。図１において１はトランスファプレスの本体
（以下プレス本体という）で、ワーク搬送方向Ａに並設
された一対のトランスファバー２によりワーク５ｂの搬
入出及び各加工ステーションＷ₁ 〜Ｗ₆ 間の搬送を行う
ようになっている。図１中４はワーク搬送方向Ａと直交
する方向よりプレス本体１の上流に設けられたブランキ
ングステーションＢＬへフープ材等５を搬入するコイル
ラインで、図３に示すようにアンコイラ６と、フープ材
等５を延伸するレベラ７などより構成されていて、この
コイルライン４よりブランキングステーションＢＬへ搬
入されたフープ材等５は、ブランキング工程で所定の大
きさのワーク５ｂにブランキングされ、ブランキングス
テーションＢＬの上流側に設置されたプッシャ１０によ
りアイドルステーションＩへ搬入されるようになってい
る。

【０００８】上記プッシャ１０は図４以下に示すよう
に、トランスファバー２をクランプ方向へ動作させるク
ランプ機構１１が収容されたクランプボックス１１ａの
下面にプッシャ本体１０ａが取付けられている。上記プ
ッシャ本体１０ａにはワーク搬送方向Ａに並設された一
対のガイド杆１０ｂが横架されていて、これらガイド杆
１０ｂに支承されている。上記プッシャキャリヤ１０ｃ
の上部には図５及び図７に示すようにワーク搬送方向Ａ
にガイド筒１０ｄが設けられていて、このガイド筒１０
ｄにガイド軸１０ｅの一端側が摺動自在に支承されてい
る。上記ガイド軸１０ｅの他端側にはブラケット１０ｆ
が固着されていて、上記ガイド筒１０ｄ上に設置された
プッシャ駆動シリンダ１２より突出されたピストン杆１
２ａの先端が固着され、このプッシャ駆動シリンダ１２
により上記ブラケット１０ｆに取付けられたフィンガ１
３がワーク搬送方向Ａへ往復動されるようになってい
る。

【０００９】上記フィンガ１３は搬送すべきワーク５ｂ
の大きさや形状に応じて複数種のものが予め用意されて
いて、上記ブラケット１０ｆに設けられたクランプ機構
１４により着脱自在にブラケット１０ｆに取付けられて
いる。上記クランプ機構１４は、クランプシリンダ１４
ａにより開閉する一対のクランパ１４ｂを有している。
これらクランパ１４ｂには図７に示すように凹部１４ｃ
が例えば２個所形成されていて、これら凹部１４ｃ間で
フィンガ１３の基部に設けられた一対の縦杆１３ａを同
時にクランプするようになっており、これら縦杆１３ａ
はシャーピンも兼ねていて、フィンガ１３に過負荷が作
用した場合、破断されて過負荷がクランプ機構１４など
へ及ばないようになっている。なお図５中１５はフィン
ガ１３の有無を検出するフィンガ検出器である。

【００１０】また上記フィンガ１３の縦杆１３ａの下端
には、図６に示すように位置決め部材１８ａが設けられ
ている。上記位置決め部材１８ａはムービングボルスタ
２０側に設けられた位置決め機構１８の位置決めアーム
１８ｂ先端に設けられた位置決めピン１８ｃが嵌入する
ピン孔１８ｄが穿設されている。上記位置決め機構１８
はプレス本体１に対して出し入れ自在なムービングボル
スタ２０に取付けブラケット２１を介して取付けられて
おり、取付けブラケット２１の先端に上記位置決めアー
ム１８ｂの基端部がピン１８ｃ介して取付けられてい
る。上記ピン１８ｅの上端にはノブ１８ｆが設けられて
いて、このノブ１８ｆによりピン１８ｅを引き上げるこ
とにより、位置決めアーム１８ｂの先端に設けられた位
置決めピン１８ｃを位置決め部材１８ａのピン孔１８ｄ
より抜き出せるようになっていると共に、位置決めピン
１８ｃの下方には解除機構１９が設けられている。

【００１１】上記解除機構１９は、プッシャ本体１０側
に取付けられた解除シリンダ１９ａと、この解除シリン
ダ１９ａにより上下動されるテーパピン１９ｂより構成
されていて、プッシャ１０の使用時にはシリンダ１９ａ
によりテーパピン１９ｂが上昇されており、これによっ
てムービングボルスタ２０の着床とともにテーパピン１
９ｂより図６に示すように位置決め機構１８のピン１８
ｃが押し上げられて、位置決めピン１８ｃが位置決め部
材１８ａのピン孔１８ｄより外れるようになっている。

【００１２】一方上記ムービングボルスタ２０の上部に
は、図７及び図８に示すようにプッシャ１０のフィンガ
１３を下方より支持するフィンガ受け２３がワーク搬送
方向Ａと平行するよう並設されている。またプッシャキ
ャリヤ１０ｃの両側には、ワーク搬送方向Ａと直交する
方向に一対のガイド軸２５が横架されており、これらガ
イド軸２５に移動部材２６が摺動自在に支承されてい
る。そしてこれら移動部材２６に、上端がトランスファ
バー２の上流側下面に固着されたガイドポスト２ａが図
８に示すように上方から貫通されていて、トランスファ
バー２フィード動作によりガイドポスト２ａ及び移動部
材２６を介してプッシャキャリヤ１０ｃがフィード方向
へ動作されるようになっている。なお図２図２７は複数
分割されたトランスファバー２の分割部に設けられたバ
ーデイスコネクタで、これらバーデイスコネクタ２７よ
りトランスファバー２が分割及び連結できるようになっ
ている。

【００１３】次に作用を説明すると、コイルライン４よ
りフープ材等５をプレス本体１内へ供給して加工する場
合、まずコイルライン４よりブランキングステーション
ＢＬへ搬入されたフープ材等５はブランキングステーシ
ョンＢＬで所定の大きさにブランキングされる。このと
きプッシャキャリヤ１０ｃは図９の（イ）に示す位置に
ある。次にトランスファバー２がワーク５ｂをクランプ
して前進すると、トランスファバー２の前進とともにプ
ッシュキャリヤ１０ｃも前進してブランキングステーシ
ョンＢＬのワーク５ｂをフィンガ１３により図９の
（ロ）に示すようにアイドルステーションＩへ搬入す
る。その後トランスファバー２は図９の（ハ）に示すよ
うにワーク５ｂをアンクランプした後図９の（ニ）に示
すように元の位置まで復帰し、プッシュキャリヤ１０ｃ
もトランスファバー２とともに元の位置へ復帰される。
以下上記動作を繰返すことにより、コイルライン４より
搬入されたフープ材５をブランキングし、かつ各加工ス
テーションＷ¹ 〜Ｗ₆ でトランスファ加工が行えるよう
になる。

【００１４】一方成形するワーク５ｂの大きさや形状が
変更になった場合、金型交換時にプッシャ１０のフィン
ガ１３もムービングボルスタ２０とともにプレス本体１
内より搬出して外段取りで交換することができる。次に
これを図６、図７及び図１０（イ）ないし（ハ）を参照
して詳述すると、フィンガ１３の交換に当ってトランス
ファバー２を図１０の（イ）に示すようにフィード中点
まで移動し、次にこの状態でプッシャや駆動シリンダ１
２を伸長してムービングボルスタ２０側のフィンガ受け
２３上方にフィンガ１３を図１０の（ロ）に示すように
位置させる。そしてこの状態でクランプ機構１４をアン
クランプしたら、ムービングボルスタ２０を上昇させる
と、アンクランプされたフィンガ１３がフィンガ受け２
３上に載置されるので、この状態で図１０の（ハ）に示
すようにプッシャ駆動シリンダ１２を縮小してブラケッ
ト１０ｆとフィンガ１３を分離する。次にトランスファ
バー２をバーデイスクコネクタ２７より分割してムービ
ングボルスタ２０に載置したら、トランスファバー２と
ともにフィンガ１３をプレス本体１外へ搬出し、トラン
スファバー２に取付けられたフィンガ（図示せず）とプ
ッシャ１０のフィンガ１３を外段取りで交換する。

【００１５】一方フィンガ１３の交換が完了したら、プ
レス本体１内にムービングボルスタ２０を搬入し、所定
位置までムービングボルスタ２０を着床する。これによ
ってプッシャ１０側に設けられたテーパピン１９ｂによ
りピン１８ｅを介して位置決めアーム１８ｂが押し上げ
られるため、位置決めアーム１８ｂの先端に設けられた
位置決めピン１８ｃがフィンガ１３下部の位置決め部材
１８ａのピン孔１８ｄより上方へ抜出され、フィンガ１
３が解放される。次にこの状態でプッシャ駆動シリンダ
１２が伸長されて、ブラケット１０ｆに設けられたクラ
ンプ機構１４がフィンガ１３の基端部に設けられた縦杆
１３ａをクランプし、フィンガ１３がプッシャ１０側へ
取付けられてフィンガ１３の交換が完了する。フィンガ
１３の交換が完了したら、再び図９の（イ）ないし
（ニ）の動作を繰返すことにより、ブランキングされた
ワーク５ｂの搬送が行えるようになる。なお上記実施例
ではプッシャ駆動シリンダ１２によりフィンガ１３を移
動させるようにしたが、トランスファバー２の分割位置
（この実施例では中点）をリターン位置付近とすれば、
プッシャ駆動シリンダ１２を省略することができる。

【００１６】

【発明の効果】この発明は以上詳述したように、プレス
本体内に設けられたプッシャのフィンガを、金型交換時
ムービングボルスタ２とともにプレス本体外へ搬出し、
外段取りフィンガの交換を行えるようにしたことから、
交換作業が安全かつ能率よく行えると共に、フィンガの
みをプッシャ本体より分離してプレス本体外へ搬出する
ようにしたことから、プッシャ全体を搬出して外段取り
で交換する場合に比べて、装置自体が簡単となるため、
コスト低減が図れる。またムービングボルスタにプッシ
ャを設けるスペースや、金型との干渉を避けるための加
工が不要となるため、既存のムービングボルスタを改造
せずに使用できると共に、ムービングボルスタの着床を
利用して、フィンガの位置決め解除を行うようにしたこ
とから、作業者がプレス内に入って位置決め解除するな
どの作業も不要である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示すトランスファプレス
の平面図である。

【図２】この発明の一実施例を示すトランスファプレス
の正面図である。

【図３】この発明の一実施例を示すトランスファプレス
に設けられたコイルラインの側面図である。

【図４】この発明の一実施例を示すトランスファプレス
のプッシャを示す平面図である。

【図５】この発明の一実施例を示すトランスファプレス
のプッシャを示す正面図である。

【図６】図５のＢ方向からの拡大矢視図である。

【図７】図５のＣ方向からの拡大矢視図である。

【図８】図５のＤ−Ｄ線に沿う拡大図面図である。

【図９】（イ）ないし（ニ）はプッシャの作用説明図で
ある。

【図１０】（イ）ないし（ハ）はプッシャのフィンガ交
換時の作用説明図である。

【符号の説明】

１…プレス本体、２…トランスファバー、５…フープ材
等、５ｂ…ワーク、１０…プッシャ、１３…フィンガ、
１４…クランプ機構、１８…位置決め機構、１９…解除
機構、２０…ムービングボルスタ。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 トランスファプレスの加工ステーション
   にコイルラインを接続して、上記加工ステーションでコ
   イル材やフープ材５をブランキングしてワーク５ｂを製
   作し、このワーク５ｂをプレス本体１内に設けたプッシ
   ャ１０により次工程へ搬送するようにしたトランスファ
   プレスのフィンガ自動交換装置において、上記プッシャ
   １０を、プレス本体１内に設けられたトランスファバー
   ２によりフィード方向へ移動自在に設け、かつ上記プッ
   シャ１０のフィンガ１３を、プッシャ１０側に設けたク
   ランプ機構１４により着脱自在に設けると共に、ムービ
   ングボルスタ２０側に、プッシャ１０から分離したフィ
   ンガ１３を載置する手段を設け、金型交換時フィンガ１
   ３をムービングボルスタ２０に載置してプレス本体に対
   して搬入出可能としたことを特徴とするプッシャのフィ
   ンガ自動交換装置。
2. 【請求項２】 ムービングボルスタ２０に、フィンガ１
   ３を位置決めする位置決め機構１８を設けてなる請求項
   １記載のフィンガ自動交換装置。
3. 【請求項３】 上記位置決め機構１８の下方にプッシャ
   １０側に、ムービングボルスタ２０の着床とともに上記
   位置決め機構１８の位置決めピン１８ａを抜出しする解
   除機構１９を設けてなる請求項２記載のフィンガ自動交
   換装置。