JP3360212B2 - アーク溶解炉用炉床 - Google Patents

アーク溶解炉用炉床

Info

Publication number
JP3360212B2
JP3360212B2 JP36982399A JP36982399A JP3360212B2 JP 3360212 B2 JP3360212 B2 JP 3360212B2 JP 36982399 A JP36982399 A JP 36982399A JP 36982399 A JP36982399 A JP 36982399A JP 3360212 B2 JP3360212 B2 JP 3360212B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hearth
molten metal
pouring
reservoir
melting furnace
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP36982399A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001183064A (ja
Inventor
嘉彦 横山
健児 高木
捷範 菊地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissin Giken Co Ltd
Original Assignee
Nissin Giken Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissin Giken Co Ltd filed Critical Nissin Giken Co Ltd
Priority to JP36982399A priority Critical patent/JP3360212B2/ja
Publication of JP2001183064A publication Critical patent/JP2001183064A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3360212B2 publication Critical patent/JP3360212B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Furnace Charging Or Discharging (AREA)
  • Vertical, Hearth, Or Arc Furnaces (AREA)
  • Furnace Housings, Linings, Walls, And Ceilings (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアーク溶解炉用炉床
に関する。具体的には、溶解した材料である溶湯の注湯
速度・注湯流量を自在に制御することができ、さらに
は、溶湯のうち均一に溶解している部分のみを注湯する
ことが可能なアーク溶解炉用炉床を提供せんとするもの
である。
【0002】
【従来の技術】鋳造用溶解炉には溶湯が溜まる炉床が用
いられるが、アーク溶解炉の炉床としては、ひしゃく型
の炉床が知られている。しかし、このひしゃく型の炉床
では、炉床を傾斜させてその上部開口から注湯する。そ
のため、溶湯表面に浮遊する酸化皮膜やごみなどの不純
物も注湯してしまい、良質の鋳造品・鋳造材が得難いと
いう問題点があった。そこで、注湯の際の不純物の混入
を防ぐため、不純物が漂遊しない炉床の底部より注湯す
る構成を用いたアーク溶解炉用炉床が、従来より提案さ
れている。
【0003】図9は、そのような炉床の底部より注湯す
る従来例の構成を示すものである(従来例1)。ここ
で、図9(a)は、従来例1の構成を示す斜視図、図9
(b)は、図9(a)のA−A線に沿う断面図である。
【0004】図9(a)において、炉床61は方形板状
に形成されており、素材には一般に銅が用いられる。そ
して、その上面中央部に、球冠状の凹部に形成された、
溶湯が溜まる溶湯溜部62が設けられている。また、溶
湯溜部62の底部中央に、溶湯を注湯するための、円孔
に穿った注湯口63が、図9(b)に示すように、炉床
61の底面に貫通して設けられている。なお、炉床61
の内部には、冷却用の水が流通するようになっている。
【0005】図10は、このような構成の炉床61を用
いて得られる溶湯を、鋳型に注湯する場合の様子を示し
ている。ここで、溶湯Mは、粒状あるいはブロック状な
どの形態で炉床61の溶湯溜部62に収容された溶解対
象材料を溶解せしめて得られる。溶解は、炉床61の上
方に配置された、図示されてはいない電極棒と炉床61
との間に発生するアークの熱によって行われる。
【0006】そこで、得られた溶湯Mは、溶湯溜部62
底部の注湯口63より下方に向けて落下し、炉床61が
配設された溶解室と、鋳型131が置かれた鋳造室とを
仕切る仕切板121に設けられた円孔部122を介し
て、鋳型131に注入されて鋳込まれることになる。な
お、溶解時は、溶解室内には所定気圧のガス(例えば、
アルゴン・ガス)が充填され、鋳造室内は所定の真空度
に維持されているが、図10では、説明を簡単にするた
め、気密性を確保するための部材の図示は省略した。
【0007】図11は、従来例1と同じく、炉床の底部
より注湯する手段を用いた他の従来例の構成を示すもの
である(従来例2)。ここにおける炉床71が、図9に
示した従来例1の構成と異なるところは、第1に、図1
1(a)(斜視図)に示すように、溶湯溜部73の底部
に注湯口63(図9)を設けていないことである。第2
に、炉床71が、縦断面方向において長手方向の一直線
の分割線Dに沿って2等分されて分割されていることで
ある。その他の構成は、図9に示した従来例1と同じで
ある。
【0008】このように構成された炉床71より注湯す
る場合は、図12に示すように、炉床71を構成する各
炉床半部72−1,72−2を、炉床71の短辺方向に
おいてそれぞれ反対方向に所定距離移動せしめて分離さ
せる。各炉床半部72−1,72−2が分離すれば、そ
の間に間隙部が生じるので、この間隙部を介して溶湯溜
部73に溜まった溶湯Mは注湯されることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
示した従来例1によると、つぎのような解決すべき課題
がある。すなわち、炉床61の溶湯溜部62の底部に
は、アーク炎が充分に当たらないことから、溶湯溜部6
2の底部付近の温度はさほど高くならない。そのため、
溶湯溜部62の底部付近の溶湯Mは、充分な流動性を得
ることができない。その結果、注湯口63の径が小さい
と目詰まりを起こしてしまい、また、充分な流動性を得
るために大電流を用いるとすれば、炉床61の溶損を招
き易いという課題である。
【0010】他方、炉床61の注湯口63の目詰まりを
回避するために、注湯口63の径を大きくすると、溶解
時に溶湯Mが注湯口63から漏れたり、あるいは、溶解
対象材料が例えば粒状の形態である場合は、溶解をする
前に、溶解対象材料が注湯口63を介して炉床61より
排出されてしまうという問題点がある。
【0011】また、溶湯Mとしての流動性は、溶解対象
材料によって異なる。したがって、溶湯Mの流動性に応
じて注湯口63の径をそれぞれ設定するとすれば、異な
る径の注湯口63を有する多くの炉床61を用意しなけ
ればならず、コスト要因となる。しかも、溶湯Mの流動
性に対応した注湯口63の径の設定自体も必ずしも容易
ではない。
【0012】そのうえ、かりに注湯口63の径をそれぞ
れ設定し得たとしても、溶解対象材料が異なる毎に、別
の炉床61を配設し直さなければならないという煩わし
さを伴う。逆に、単一の炉床61だけを用いるとすれ
ば、溶解対象材料が限定されてしまう。以上のような解
決すべき課題が、図9に示した従来例1にはあった。
【0013】これに対して、図11に示した従来例2に
よると、炉床71は2等分されて、各炉床半部72−
1,72−2は分離可能となっている。したがって、各
炉床半部72−1,72−2が分離した際に生じる、ス
リット状の大きな間隙部を介して、溶湯Mが排出される
ので、図9に示した従来例1におけるような注湯口63
の目詰まりといった問題は生じない。
【0014】しかし、各炉床半部72−1,72−2の
間に大きな間隙部が生じるために、溶湯溜部73に溜ま
った溶湯Mが急速に落下し、溶湯Mの注湯速度・注湯流
量を適度に制御することができない。その結果、例え
ば、立設された回転する銅製の扁平なロールの周面に、
注湯流量を抑制して溶湯Mを落下せしめ、ロールの回転
力によって溶湯Mを飛翔させて、リボン状の薄い金属箔
を生成しようとするような場合には、この従来例2によ
ることができない。
【0015】このように、図11に示した従来例2で
は、溶湯Mの注湯速度・注湯流量の制御を必要とする場
合には用いることができず、その用途が限定されてしま
うという未解決の課題があった。
【0016】さらに、アーク溶解炉では、アークによる
加熱と、内部に水が流通する炉床61,71による冷却
とを同時に行っていることから、溶融合金の均一な溶解
が困難である。すなわち、溶融合金の内部で不均一な結
晶核が発生し、溶融合金の上部と底部とでは、組成的な
相違が必ず存在する。
【0017】この不均一な結晶核の多くは、アーク炎に
より溶解した金属が、アーク炎から受けた電流を炉床6
1,71に流すために生じた、溶解した金属が炉床6
1,71に付着して凝結する部分(以下「コールド・ス
ポット」という)の近傍で発生する。その原因は、コー
ルド・スポットにおいて溶湯Mが急激に冷やされること
により、コールド・スポットから溶湯内部に向かって樹
枝状の結晶が急速に成長し、溶湯Mの対流によって枝の
部分が溶断されて、幹の部分からつぎつぎと遊離した結
晶核が形成されることにあるものと考えられる。
【0018】しかし、コールド・スポットが溶湯溜部6
3,73の底部にあると、遊離結晶核を含んだ溶湯Mを
注湯してしまい、良質の鋳造品・鋳造材を得ることがで
きないことになる。その点で、図9および図11に示し
た各従来例1,2には、鋳造品・鋳造材の欠陥の原因と
なる遊離結晶核への対策が講じられていないという課題
がそれぞれあった。
【0019】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
するために、本発明はなされたものである。そのため
に、本発明では、アーク溶解炉に用いる炉床を縦断面方
向において稲妻形状の分割線に沿って2等分し、これに
より形成された2つの炉床半部のうちの少なくとも一方
を分割線に沿って移動せしめるようにした。
【0020】また、炉床の溶湯溜部における底部より高
い部位に、溶湯溜部の面壁よりは低い電気抵抗とするこ
とにより形成された、コールド・スポットを誘起するた
めのコールド・スポット誘起部を設けるようにもした。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の1つの実施の形態を図1
に示し説明する。ここで、図1(a)は本実施の形態に
おけるアーク溶解炉用炉床の斜視図、図1(b)は平面
図である。
【0022】図1(a)において、本発明によるアーク
溶解炉用炉床は、図11に示した従来例2と同様、炉床
11を縦断面方向において長手方向に沿って2等分する
という構成を用いている。しかし、その分割の態様は従
来例2とは異なっており、図1(b)に示すように、分
割線Dは、一直線ではなく稲妻形状の屈折したものとな
っている。すなわち、炉床11を2等分した各炉床半部
12−1,12−2どうしが接合する接合面は、相互に
組み合うように段差を形成している。
【0023】このような構成の各炉床半部12−1,1
2−2の接合面の所定部位には、図2(a)に示すよう
に、耐熱性のゴムを用いたOリング15−1が、接合面
14−1に楕円状に形成された溝部に嵌め込まれて、気
密性を確保するようにしている。このOリング15−1
は、図2(b)に示すように、各接合面14−1,14
−2より僅かに露出するように配設されている。炉床1
1の使用時は、各炉床半部12−1,12−2は、その
接合面14−1,14−2が密着するように押圧手段に
より押圧されて接合されるので、Oリング15−1の露
出した部分は、他方の炉床半部12−2の接合面14−
2のフラットな部分に押圧されて、それが嵌め込まれて
いる溝部に押し込まれることになる。その他の構成は、
図11に示した従来例2と同じである。なお、図2
(a)では、説明を簡単にするため、一方の炉床半部1
2−1についてのみ図示したが、他方の炉床半部12−
2もその構成は同一である。
【0024】つぎに、以上のように構成された炉床11
(図1)を用いて注湯する方法について、図3により説
明する。炉床11の溶湯溜部13に収容された溶解対象
材料が、アークの熱により溶解して溶湯Mが得られたな
らば、図3(a)に示すように、一方の炉床半部12−
1は固定したままの状態で、かつ、各炉床半部12−
1,12−2どうしの接合状態を維持しつつ、分割線D
に沿って他方の炉床半部12−2を所定距離移動せしめ
る。
【0025】すると、各炉床半部12−1,12−2の
各接合面14−1,14−2(図2(b))は、それぞ
れ段差状に形成されているので、片方の炉床半部12−
2が移動することにより、溶湯溜部13の底部に間隙部
Sが生じる。この間隙部Sは、図3(a)のA−A線に
沿う断面図である図3(b)に示すように、各炉床半部
12−1,12−2の底面まで貫いて形成されるので、
この間隙部Sを注湯口として溶湯Mが下方に落下するこ
とになる。
【0026】このような構成を用いるならば、溶湯Mの
流動性や鋳造品のサイズなどに応じて、可動の炉床半部
12−2の移動距離を適宜設定し、したがって注湯口と
して機能する間隙部Sの大きさを適度に調整することに
より、溶湯Mの注湯速度・注湯流量を自在に制御するこ
とが可能となる。
【0027】また、この間隙部Sは瞬時に形成されるこ
とから、一定の温度および粘性の溶湯Mを、定常流とし
て流すことができる。しかも、溶湯Mの湯流れの断面形
状は、対称性の良い方形状である。その結果、図11に
示した従来例2のように用途が限定されることなく、様
々な用途に使用することができる炉床11が実現される
ことになる。
【0028】そのうえ、注湯口となる間隙部Sの真上を
アーク炎で強く加熱するので、粘性の高い溶湯Mであっ
ても、注湯をする際には、完全に高温で溶解されて、粘
性が低く湯流れ性の良好な溶湯Mとして鋳込まれること
になり、鋳造性を著しく向上させることが可能となる。
【0029】ここで、注湯口としての間隙部Sから流れ
出る溶湯Mの流れについてみると、間隙部Sの平面形状
が一定であれば、溶湯Mの流速uは、間隙部S上下の圧
力差ΔPに比例する。 u∝ΔP
【0030】また、溶湯Mの流れを定常流であると仮定
して、液体の粘性をμ、間隙部Sの平面形状を円形とし
てその半径をr、内周壁の高さをΔxとし、層流抵抗の
単純なモデルに基づいて考えることにより、溶湯Mの流
速uは、 u∝ΔPr2/Δxμ (1) と表される。
【0031】(1)式から、溶湯Mの流速uは、間隙部
Sの平面形状の大きさに強く依存することが分かる。し
たがって、間隙部Sの平面形状の大きさを任意に設定す
ることで、溶湯Mの流れを自在に制御することが可能で
ある。
【0032】他方、炉床11内部には冷却用の水が流通
していることから、溶湯Mの熱が奪われて固化する可能
性がある。この点について、間隙部Sを無限に長い半径
aの円孔であるとして、溶湯Mの熱の奪われ方について
みると、温度をT、半径方向の距離をr、時間をtとす
れば、熱拡散方程式はつぎの通りとなる。
【数1】 ここにおけるKは、溶湯Mの熱拡散能である。
【0033】(2)式の境界条件として、 T=T0 (ただし、r=aのとき), ∂T/∂r=0 (ただし、r=0のとき) が考えられ、初期条件として、 T=Ta(r<a) (ただし、t=0のとき) が考えられる。ここにおけるTaは、溶湯Mの最初の温
度である。
【0034】したがって、(2)式の解は、次式で表さ
れる。
【数2】 ここにおけるJ0(x)とJ1(x)は0次と1次のベッセ
ル関数、αaはJ0(x)=0の時の正のルート成分であ
る。
【0035】また、重要な因子としてτが挙げられる
が、これは、 τ=Kta-2 となる。このτの値が0.03以下であれば、間隙部S内の
溶湯Mの温度低下は殆どなく、初期温度の5%以下に抑
えることができる(熱拡散方程式からここまでの説明
は、Y.Kubo and H.Igarashi,J.Appl.Phys.60
(1)pp.396−400,July 1986に依った)。このことか
ら、間隙部S内の温度低下についても、間隙部Sの平面
形状の大きさは、大きく影響していないことが分かる。
短時間(数秒)の溶湯Mの移動であれば、間隙部S内で
の溶湯Mの温度低下は殆どないと考えられる。
【0036】なお、図3による以説明では、片方の炉床
半部12−2のみを移動せしめる場合について述べた。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、双方の
炉床半部12−1,12−2を、それぞれ反対方向に移
動せしめる場合にも、本発明は適用され得るものであ
る。
【0037】また、炉床11を2等分する稲妻形状の分
割線Dは、図1(b)に示したような直角に屈折したも
のに限定されるものではなく、その他にも、例えば、図
4(a)(平面図)に示すような鈍角に屈折した分割線
D、あるいは、図4(b)に示すような緩やかなS字状
となるように屈曲した分割線Dであってもよい。さら
に、炉床11の長手方向ではなく、短辺方向に沿って炉
床11を2つに分割するようにしてもよく、対角線に沿
って分割するようにしてもよい。すなわち、分割線D
は、炉床11の溶湯溜部13の中心を通るものであれば
よい。
【0038】さらに、炉床11の溶湯溜部13が、球冠
状の凹部である場合について説明したが、例えば円錐状
や角錐状の凹部である場合にも、本発明が適用され得る
ことは明らかであろう。
【0039】図5は、本発明の他の実施の形態を示すも
のであり、以下では、図1に示した実施の形態と異なる
ところを説明する。
【0040】図5(a)において、炉床21の溶湯溜部
23には、溶湯Mから炉床21に電流を流すコールド・
スポットを誘起するためのリング状のコールド・スポッ
ト誘起部24が設けられている。このコールド・スポッ
ト誘起部24は、図5(b)に示すように、断面が半円
状に形成され、溶湯溜部23の底部よりは高い部位の面
壁に突設されている。
【0041】また、炉床21の素材として、ここでは銅
が用いられているが、溶湯溜部23のコールド・スポッ
ト誘起部24以外の面壁には、これへの溶湯Mの付着性
や濡れ性を悪くするために、図5(a)において平行斜
線で示すように、硬質クロムのメッキが施されている。
すなわち、溶湯溜部23の面壁は、総体的にはクロムに
よりメッキされているが、部分的にコールド・スポット
誘起部24のみは、炉床21の素材である、クロムより
は電気抵抗率が低い銅によって形成されている。その他
の構成は、図1に示した実施の形態と同じである。
【0042】以上のように構成された炉床21を用いて
溶解対象材料を溶解するならば、コールド・スポット誘
起部24の部分は、クロムによりメッキされた溶湯溜部
23の面壁の部分よりは電気抵抗率が低いので、この部
分に溶湯Mを介して電流が流れることになる。
【0043】コールド・スポット誘起部24に電流が流
れれば、コールド・スポット誘起部24の部位において
溶湯Mが急激に冷やされて、図6に示すように、コール
ド・スポット誘起部24の近傍に遊離結晶核Cが発生す
ることになる。
【0044】この遊離結晶核Cが発生した溶湯Mの部分
は粘性が高く、注湯する際は最後までコールド・スポッ
ト誘起部24に粘り着いている。これに対して、溶湯溜
部23の底部には遊離結晶核Cが発生しないので、片方
の炉床半部22−2(図5)を移動せしめることにより
溶湯溜部23の底部に生じる間隙部S(図3参照)を介
して、均一に溶解した溶湯Mのみを注湯することが可能
となる。
【0045】すなわち、本発明によれば、遊離結晶核C
の発生を全く解消することは不可能ではあるが、これを
特定の部位に限局することは可能である。そして、遊離
結晶核Cが発生する部位したがってコールド・スポット
誘起部24を設ける部位を、炉床21の溶湯溜部23の
底部よりは高い部位とするならば、均一に溶解した溶湯
Mのみを、溶湯溜部23の底部より注湯することが可能
となり、良質の鋳造品・鋳造材が得られることになる。
【0046】以上においては、コールド・スポット誘起
部24が銅により形成され、それ以外の溶湯溜部23の
面壁が硬質クロムによりメッキされている場合について
説明した。しかし、本発明は、これに限定されるもので
はなく、コールド・スポット誘起部24を形成する素材
の電気抵抗率が、溶湯溜部23の他の部分の面壁の電気
抵抗率よりも低い場合に、本発明は適用され得るもので
ある。
【0047】また、図5では、コールド・スポット誘起
部24として、断面が半円状のものを例に挙げて説明し
たが、本発明はこれに限られるものではなく、任意の断
面形状であってよい。また、炉床21の溶湯溜部23の
面壁にリングのように突設する場合を示したが、点線の
円となるように突設してもよい。その他にも、複数の任
意形状の突起部として円状にではなくランダムに配設す
るようにしてもよい。あるいは、溶湯溜部23の面壁に
隆起した部分を全く設けず、該面壁に硬質クロムのメッ
キを施す場合に、部分的に非メッキ部分すなわち炉床2
1の素材である銅をそのまま露出させた部分(例えば、
図5のコールド・スポット誘起部24のように溶湯溜部
23の面壁を一周する環状の銅の部分)を設けて、これ
をコールド・スポット誘起部24としてもよい。
【0048】さらには、コールド・スポット誘起部24
は、溶湯Mを介して電流を炉床21に流すためのもので
あるから、溶湯溜部23の面壁の特定の部分を、他の部
分よりは接触抵抗率が低くなる表面形状とすることによ
り、コールド・スポット誘起部24を形成するようにし
てもよい。その場合、接触抵抗率が低い表面形状の部分
を、他の部分の素材よりは低い電気抵抗率の素材により
形成すると、一層電流が流れ易くなり、コールド・スポ
ット誘起部24として奏する効果がより顕著となる。
【0049】図7は、図1および図5に示した各炉床1
1,21からの注湯に使用するノズルの構成を示す断面
図である。ここで、図7に示したノズルは、例えば、先
に述べた回転するロールの周面に溶湯Mを落下せしめ
て、リボン状の金属箔を生成する場合に、溶湯Mが排出
される位置とロールの周面との間の間隔を調整するため
に用いるものである。
【0050】従来、アーク溶解炉では、回転するロール
の周面に溶湯Mを落下せしめて、リボン状の金属箔を生
成する場合、注湯用のノズルを用いることはなかった。
しかし、きれいな表面および形状の金属箔を生成するう
えで重要なことは、溶湯Mが排出される位置とロール周
面との間の間隔である。すなわち、金属箔の表面粗さと
厚さは、溶湯Mの粘性と、当該間隔によって決まる、落
下した溶湯Mのロール周面上での溜り工合である湯溜り
の形状に大きく依存する。したがって、この湯溜りの形
状を美しい水滴状にするためには、溶湯Mが排出される
位置とロール周面との間の間隔を適度なものに調整する
ことが必要となる。
【0051】そのため、従来は、溶解対象材料に応じて
溶湯Mが排出される位置とロール周面との間の間隔を調
整する必要がある場合は、その都度炉床自体の構造が異
なるものに変え、その溶湯溜部から溶湯Mを徐々に落下
させていた。しかし、炉床を厚くした場合は、炉床内部
には冷却用の水が流通していることから、溶湯溜部内の
溶湯Mは冷えて固まってしまう。
【0052】そこで、異なる炉床を使用するという煩雑
さを解消するとともに、溶湯Mの円滑な注湯が可能とな
るよう、同一の炉床を用いつつ、溶湯Mが排出される位
置とロール周面との間の間隔を調整し得る手段として案
出されたのが、図7に示したノズルである。
【0053】図7において、ノズル31は、ここでは高
純度の炭素を用いてキャップ状に形成され、下部の半球
状の部分が、袋ナット37の閉口部に設けられた円孔部
より下方に突き出している。この半球状の部分の下端中
央に、直径が例えば0.5mmの円孔である注湯口32が
設けられている。
【0054】ノズル31上部の円筒状の部分の外径は、
袋ナット37の円孔部の径よりは若干大きく、袋ナット
37の閉口部に掛止している。また、ノズル31の円筒
状の部分の外周側には、円筒状のフランジ33が、その
上部がノズル31上端の周縁部に掛止するようにして嵌
合し、かつ、両者間の気密性を確保するためOリング3
4が配設されている。
【0055】他方、袋ナット37は、ノズル31を支え
るためのステイ41の円筒部43の外周側に螺合してい
る。したがって、袋ナット37を回転せしめれば、ノズ
ル31は上下方向において自在に移動することになる。
【0056】ステイ41は、方形板部の中央に円孔部4
2を有し、炉床11(図1),21(図5)との間の気
密性を確保するためOリング44が配設されている。ま
た、ステイ41の円筒部43の内周側にフランジ33が
嵌合し、その間の気密性を確保するためOリング35が
配設されている。このフランジ33と袋ナット37の閉
口部との間には、シール目的でリング状のスペーサ36
が置かれている。なお、ノズル31を下方側に押圧する
ため、ステイ41とフランジ33との間に、圧縮に作用
する各コイルばね45−1,45−2が配置されてい
る。
【0057】つぎに、以上のように構成されたノズル3
1の使用方法について、図8(部分断面図)を用いて説
明する。ここで、図8は、回転するロールの周面上に溶
湯Mを落下せしめて、リボン状の金属箔を生成する場合
を示している。
【0058】図8において、溶解室と鋳造室とを仕切る
仕切板101の上に、平面形状がロ字状の絶縁台51を
介して炉床11は配置されている。炉床11と絶縁台5
1との間および絶縁台51と仕切板101との間には、
それぞれ気密性を確保するため各Oリング52,53が
配設されている。
【0059】そして、固定されて移動することのない、
炉床11の一方の炉床半部12−1に、ノズル31を支
えるステイ41を、絶縁台51の中空部を通してネジに
より固定する。したがって、ノズル31とロール111
は、所定の位置関係に固定されることになる。そこで、
袋ナット37を回転して、ノズル31下端とロール11
1の周面との間の間隔を適宜設定する。
【0060】所望とする間隔が設定されたならば、炉床
11の溶湯溜部13内に収容された溶解対象材料を、ア
ークの熱により溶解せしめ、得られた溶湯Mをノズル3
1内に一気に落下させる。ノズル31内に落下した溶湯
Mは、ガスを巻き込まないようガスの圧力により下方に
押圧されている。このとき、ノズル31は炉床11とは
異なり冷却されないので、ここに落下した溶湯Mは、充
分な流動性を維持している。
【0061】そこで、ノズル31内に落下した溶湯Mを
注湯口32(図7)を介して、ロール111の周面上に
落下せしめる。ロール111の周面上に落下した溶湯M
は、ロール111の回転力により飛翔し、それが冷やさ
れてリボン状の金属箔が生成されることになる。
【0062】なお、本実施の形態においては、ノズル3
1の素材として炭素を用いる場合について説明した。こ
れは、炭素が耐熱性および耐蝕性に優れ、溶湯の付着性
や溶湯との反応も殆どなく長時間使用し得ることを考慮
したものであるが、溶解対象材料に応じて適宜の素材を
ノズルに用いるようにしてよい。
【0063】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によるならば、アーク溶解炉に用いる炉床を、縦断面方
向において稲妻形状の分割線に沿って2等分するように
したので、この分割線に沿って一方または双方の炉床半
部を移動せしめれば、炉床の溶湯溜部の底部に、注湯口
としての機能を果たす間隙部が生ずる。その結果、炉床
半部の移動距離を適宜変えるだけで、生ずる間隙部の大
きさを自在に設定することができるので、溶湯の注湯速
度・注湯流量の制御が簡易な構成により実現されること
になる。
【0064】また、溶解時は炉床の底部は閉じており、
従来例1におけるような溶解時における溶湯の漏れとい
ったこともないので、溶解対象材料の流動性いかんを問
わず用いることができる。すなわち、適用対象となる材
料が限定されないという利点がある。
【0065】しかも、注湯口となる間隙部の真上からア
ーク炎により強く加熱するので、粘性の高い溶湯であっ
ても、これを鋳込むときには、粘性の低い湯流れ性の良
好な溶湯として注湯されるため、鋳造性が著しく向上す
る。
【0066】さらに、溶湯溜部の底部よりは高い部位
に、コールド・スポット誘起部を設けるようにしたの
で、均一溶解にとって障害要素となる遊離結晶核を、溶
湯溜部の底部ではない部位に集めることができる。した
がって、溶湯のうち均一に溶解している部分のみを溶湯
溜部の底部より注湯することができるので、良質の鋳造
品・鋳造材が得られることになる。
【0067】そのうえ、炉床に取り付けて使用する、上
下方向において自在に移動可能な注湯用のノズルを実現
したので、溶湯の注湯口と注湯をするロールなどの部材
との間の間隔を、溶解対象材料に応じて任意に調整する
ことができる。のみならず、溶湯が冷えて固化する可能
性のある炉床より注湯するものではないことから、溶湯
の充分な流動性を確保することができ、円滑な注湯が可
能となる。したがって、本発明によりもたらされる効果
は、実用上極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態を示す構成図であ
る。
【図2】図1に示した各炉床半部の構成を示す構成図で
ある。
【図3】図1に示した炉床を用いて注湯する方法を説明
するための説明図である。
【図4】図1に示した各炉床半部の接合線の他の例を示
す構成図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示す構成図である。
【図6】図5に示したコールド・スポット誘起部の近傍
に発生する遊離結晶核を説明するための説明図である。
【図7】図1および図5に示した各炉床からの注湯に使
用するノズルの構成を示す断面図である。
【図8】図7に示したノズルの使用方法を説明するため
の説明図である。
【図9】従来例1の構成を示す構成図である。
【図10】図10に示した炉床からの注湯の様子を説明
するための説明図である。
【図11】従来例2の構成を示す構成図である。
【図12】図11に示した炉床からの注湯方法を説明す
るための説明図である。
【符号の説明】
11,11B,11C 炉床 12−1,12−2 炉床半部 13 溶湯溜部 14−1,14−2 接合面 15−1,15−2 Oリング 21 炉床 22−1,22−2 炉床半部 23 溶湯溜部 24 コールド・スポット誘起部 31 ノズル 32 注湯口 33 フランジ 34,35 Oリング 36 スペーサ 37 袋ナット 41 ステイ 42 円孔部 43 円筒部 44 Oリング 45 コイルばね 51 絶縁台 52,53 Oリング 61 炉床 62 溶湯溜部 63 注湯口 71 炉床 72−1,72−2 炉床半部 73 溶湯溜部 101 仕切板 102 円孔部 111 ロール 121 仕切板 122 円孔部 131 鋳型 C 遊離結晶核 D 分割線 M 溶湯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F27B 3/14 F27B 3/06 F27D 1/00 F27D 1/04 F27D 3/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉床(11,21)を縦断面方向におい
    て稲妻形状の分割線(D)に沿って2等分して形成され
    た2つの炉床半部(12−1,12−2,22−1,2
    2−2)のうちの少なくとも一方が前記分割線に沿って
    移動可能であるアーク溶解炉用炉床。
  2. 【請求項2】 前記炉床の溶湯溜部(13,23)にお
    ける底部より高い部位に、前記溶湯溜部の面壁よりは低
    い電気抵抗とすることにより形成された、コールド・ス
    ポットを誘起するためのコールド・スポット誘起部(2
    4)が設けられたものである請求項1記載のアーク溶解
    炉用炉床。
  3. 【請求項3】 溶湯(M)を注湯するための注湯口(3
    2)を有する、上下方向において移動可能なノズル(3
    1)が前記炉床の下方に配置されたものである請求項1
    または2記載のアーク溶解炉用炉床。
JP36982399A 1999-12-27 1999-12-27 アーク溶解炉用炉床 Expired - Fee Related JP3360212B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36982399A JP3360212B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 アーク溶解炉用炉床

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36982399A JP3360212B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 アーク溶解炉用炉床

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001183064A JP2001183064A (ja) 2001-07-06
JP3360212B2 true JP3360212B2 (ja) 2002-12-24

Family

ID=18495407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36982399A Expired - Fee Related JP3360212B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 アーク溶解炉用炉床

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3360212B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5569919B2 (ja) * 2008-11-04 2014-08-13 国立大学法人東北大学 アーク溶解炉およびアーク鋳造装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001183064A (ja) 2001-07-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2815215B2 (ja) 非晶質合金固化材の製造方法
JP3360212B2 (ja) アーク溶解炉用炉床
RU2729246C1 (ru) Способ литья для активного металла
AU2012375161B2 (en) Continuous casting process of metal
KR100865657B1 (ko) 반응고 금속 슬러리 제조용 주형, 반응고 금속 슬러리 제조장치, 반응고 금속 슬러리 제조 방법 및 반응고 금속슬러리
JPS6333167A (ja) 滴下式鋳造方法
SK5694A3 (en) Process and device for production of metal strip or composite body
JP2002372378A (ja) アーク溶解炉用炉床
JPH08145571A (ja) 底注ぎコールドウォール溶解炉
JPH0543973Y2 (ja)
JP2938215B2 (ja) 材料の連続溶解・流出方法
JPS5914082B2 (ja) 亜鉛ショットの球の製造装置
JP2536601B2 (ja) 連続溶解注湯炉
JPH08253830A (ja) 高い単結晶化率を有する単結晶Ni基合金鋳物の製造方法
JP3340649B2 (ja) 過共晶Al−Si系合金ダイカスト部材の製造方法および過共晶Al−Si系合金ダイカスト部材
JPS5892454A (ja) 粉末製造装置
JPS62130760A (ja) 金属物品の製造方法
JP2000268948A (ja) コールドクルーシブル誘導溶解装置の出湯方法
JP4931455B2 (ja) レオキャスト用半凝固金属スラリーの製造方法
JP2000343200A (ja) セミソリッド素材の鋳造法及び鋳造機
JP2002018557A (ja) 薄肉金属製品の製造方法および製造装置
JPH0371953A (ja) 孔明き鋳塊用鋳型および注湯装置
JPH10156508A (ja) 溶融金属の成形方法
JPH01108367A (ja) スパッタリング用ターゲットの製造法
HATAMURA et al. Mechanism of grain refinement caused by horizontal circular vibration

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081018

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091018

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091018

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101018

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111018

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121018

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees