JP3359799B2 - 無人移動作業機械の制御方式 - Google Patents

無人移動作業機械の制御方式

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憲二 清野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種のセンサを有す
る自律航法装置を備えた自動移動作業機械、特に自動芝
刈り機の制御方式に関する。
【0002】
【従来の技術】図8はゴルフ場の概要を示す平面図、図
9は側面図である。ゴルフ場のコースはティーグランド
1、フェアウェイF1、パッティンググリーンG1を単
位とし、これらのコースが森W1やマウンドM等の間に
配設されている。このような地形を有するゴルフ場の芝
生を刈る作業は、マニュアルによって操作される芝刈り
機によって昼間に作業が行なわれているのが現状であ
る。例えば、GPS航法装置を備えて、無人走行しつつ
芝刈り作業を行なう無人移動作業機械は、本出願人によ
って既に提案されている。
【0003】この種の無人移動作業機械V1は、GPS
衛星S1,S2,S3,S4からの電波を受信するアンテナ
1を有し、自己の現在位置を絶対位置として認識しつ
つ移動を行なう。この際に、ゴルフ場内に固定地上局R
1を設置して、GPS衛星からの信号を受信し、概知の
現在位置にある固定局のデータと、受信したGPSデー
タとの間に生ずる誤差を補正するデータを移動作業機械
1へ送って、より正確な位置検出を達成することがで
きる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図10は、移動作業機
械V1がヨー角のみを検知するセンサと、無人による直
進経路走行が可能なプログラム制御機能を備える場合
に、直線走行しつつ芝刈りを行なう例を示す。移動作業
機械V1は、作業エリアL1が平坦面であればヨー角のみ
を検知しつつ直線走行し、経路P1,P2に沿って作業を
実行することができる。作業エリアL1内に等高線M1
2,M3に沿って順次高くなるマウンドMが存在する場
合に、経路P1はこの等高線M1,M2,M3を直交して横
断するように設定されているので、移動作業機械V1
直進することができる。
【0005】しかしながら、経路P2は、マウンドMの
等高線を斜めに横断する経路であるので、移動作業機械
1のロール角は順次変化する。このロール角が変化す
ると、ヨー角のみを検知する移動作業機械V1は、直進
経路P2から等高線に沿う旋回経路P3に移行してしま
う。そこで本発明は、プログラム動作する直進経路が傾
斜をもった起伏地の場合は、予め与えられる地図データ
から進行経路の方向のヨー角、ピッチ角およびロール角
の傾斜角情報と車輪センサ等の速度に基づいて移動経路
を演算して動作を制御することが可能となる制御方式を
提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明が適用される無人
移動作業機械は、操舵輪と駆動輪を有する車体と、車体
に装備される作業ユニットと、車体のヨー角度を検知す
るセンサと、車体のピッチ角度、ロール角度を検知する
センサと、車体の進行速度を検知するセンサと、予め与
えられる地図情報に基づいて車体の移動経路をプログラ
ム制御する自律航法装置を備える。そして、車体が起伏
地上の経路を通過する際には、車体のヨー角度を検知す
るセンサから得られる進行経路方向のヨー角と、車体の
ピッチ角度、ロール角度を検知するセンサまたは地図情
報から得られる進行経路方向のピッチ角およびロール角
の車体の傾斜角度情報と車体の速度および距離データに
基づいて、動作制御を演算し、車体の動作を制御するも
のである。
【0008】また、本発明が適用される無人移動作業機
械が、操舵輪と駆動輪を有する車体と、車体に装備され
る作業ユニットと、車体のヨー角度を検知するセンサ
と、車体の進行速度を検知するセンサと、予め与えられ
る地図情報に基づいて車体の移動経路をプログラム制御
する自律航法装置と、GPSアンテナを有するGPS航
法装置とを備えるものであれば、車体が起伏地上の経路
を通過する際には、地図情報から得られる進行経路方向
のヨー角、ピッチ角およびロール角の車体の傾斜角度情
報と車体の速度および距離データとGPSデータに基づ
いて、動作制御を演算し、車体の動作を制御するもので
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明の移動作業機械の平
面図、図2は側面図である。移動作業機械1は、例えば
芝刈り機であって、車体を構成するメインフレーム10
と、メインフレーム10を支持する2個の前輪24と2
個の後輪22を有する。フレーム10の下部には、芝の
カッティングユニット70,72が配設され、フレーム
10の上部にはエンジン30が配設される。エンジンは
油圧ポンプ100を駆動し、油圧ポンプ100が発生す
る圧油によって車輪の駆動及び操舵、芝刈りユニットの
昇降及びカッターの駆動等が実行される。
【0010】フレーム10の両側には燃料タンク32、
油圧ポンプの作動油のタンク34等が配設される。フレ
ーム10上にはオペレータ用の座席50とステアリング
60が配設され、有人運転時には、オペレータが乗車
し、運転を行なう。座席50の周囲には、有人運転時の
操作レバー80やアクセルペダル、ブレーキペダル等が
配設される。
【0011】芝刈りユニット70は、カッターブレード
を有し、図示しないアクチュエータにより回転駆動され
る。
【0012】フレーム10の前部には、前部バンパー8
2がとりつけてあって、バンパスイッチ320と障害物
センサ340が設けてある。フレーム10の後部には後
部バンパー84がとりつけてあって、バンパスイッチ3
20と障害物センサ340が設けてある。車輪22,2
4には車速センサ430がとりつけてあって、各車輪の
回転数に基づいて車速を検出する。
【0013】エンジン30は油圧ポンプ100を駆動
し、油圧ポンプ100は、各車輪にとりつけた油圧モー
タを駆動する。また、芝刈りユニット70,72の上下
動も油圧シリンダにより操作され、芝刈りユニットにと
りつけたカッターも油圧モータで駆動される。ステアリ
ング60やアクセルの操作も、マニュアル運転と自動運
転が選択でき、自動運転時には、油圧アクチュエータに
よってステアリングとアクセルワークが操作される。
【0014】この移動作業機械1は自律による自動運転
に必要とする各種のセンサを装備する。まず、姿勢計測
センサは、機械の現在の姿勢(水平面に対する、ロール
角度、ピッチ角度)を検知する。光ファイバージャイロ
は、機械のヨー角度を検知し、操舵角センサは、ステア
リングの操舵角を検知して、操舵輪の角度を算出する。
車速センサは各車輪の回転数から車速を算出し、走行制
御角度センサは、アクセルアクチュエータの制御角度を
検出する。
【0015】その他にも、自動運転中に機械の周囲の障
害物を認識するセンサ450や機械のバンパが障害物に
触れたときに機械を非常停止するためのバンパースイッ
チ320も設けてある。この移動作業機械は、以上の各
センサからの情報を処理するコントローラ200を搭載
し、自律航法によって無人による自動運転と芝刈り作業
等を実行することができる。
【0016】また、この自動作業機械は、GPSの受信
装置を装備して、GPSを利用した航法も実行する機能
を有する。フレーム10上に起立するGPSアンテナ5
00は宇宙空間のGPS衛星からの電波を受信し、フレ
ーム上に設置したGPSの移動局装置へ送る。移動局装
置は受信したGPS信号から移動局の現在位置を絶対値
として算出する。このアンテナポストを利用して、光学
的なサインポスト505を設けることができる。この自
律作業機械が稼働するエリアの近傍にGPSの固定局を
配置し、この固定局からの信号電波を受信することで、
現在位置を補正し、精度を向上することができる。
【0017】図3は、固定局の構成を示すもので、GP
S受信と補正信号の発信を行なう装置610と、衛星か
らのGPS電波信号の受信用アンテナ615と、補正信
号の発信用アンテナ625を備える。フレーム10に装
備されるGPSの補正情報受信機550は、アンテナ5
60を有し、固定局からの補正情報を受信する。GPS
アンテナ500が受信する衛星からの信号によって算出
した現在位置を固定局から受信する補正情報によって補
正することで、より正確な現在位置を得ることができ
る。
【0018】図4は、本移動作業機械のシステム構成を
示すブロック図である。移動作業機械を駆動、操作する
機構としては、エンジン30により駆動される油圧ポン
プ100を備え、油圧ポンプから送られる圧油は操作用
シリンダ110を介して操舵輪24の操舵角を制御す
る。操舵制御装置120は、操舵制御アクチュエータに
より駆動される操舵制御機構124を有し、制御量は操
舵各センサ126で検知される。有人運転時にはステア
リング60で手動操作される。
【0019】圧油は油圧モータ130へ送られ、全ての
車輪22,24を駆動する。走行制御装置140は、走
行制御アクチュエータ142により駆動される駆動制御
機構144を有し、制御量は走行制御角度センサ146
で検出される。具体的にはアクセル開度の角度が制御、
検出される。有人運転時にはアクセルペダルにより手動
操作される。
【0020】圧油により駆動される油圧モータ150は
カッターユニット70,72のカッターを駆動する。カ
ッター駆動制御装置160は、カッター駆動アクチュエ
ータ162によって駆動される駆動制御機構164を有
し、制御量は動作確認センサ166で検知される。有人
運転時には操作レバー80により手動操作される。圧油
により駆動される油圧シリンダ170は、芝刈りユニッ
ト70を上下動させるカッター上下制御装置180は、
カッター駆動アクチュエータ182によって駆動される
駆動制御機構184を有し、制御量は動作確認センサ1
86で検出される。有人運転時には操作レバー80によ
り手動操作される。
【0021】コントローラ200は、地図情報手段21
0、作業パス生成手段220、軌道目標値手段230、
位置推定手段240、誤差補正手段250、目標速度・
方向演算手段260を備える。目標速度・方向演算手段
260の出力は運転指令手段を介して各機器の制御装置
へ送られる。スイッチボックス330のメインスイッチ
によりエンジン制御装置310を介してエンジンが始動
される。車体フレーム20のバンパーに設けたバンパー
スイッチ320は、車体が障害物に接したことを検出し
てエンジンを止めて、非常停止を実行する。
【0022】本移動作業機械は、無人移動、作業を実行
するために、種々のセンサを有する。障害物認識センサ
340は、超音波等を用いて周囲の障害物を検知する。
移動作業機械が装備する内界センサ400は、姿勢計測
センサ410、光ファイバジャイロ420、車速センサ
430を有し、機械の進行方向や移動量を検知する。操
舵角センサ126は操舵角度を検知し、走行制御センサ
146はアクセル角度を検知する。移動作業機械1は、
これらのセンサの情報と、コントローラが備える地図情
報によって無人運転による自律走行と自動作業が可能で
ある。
【0023】本移動作業機械1は、これらの内界センサ
400に加えて、GPSセンサ500を有する。このG
PSセンサ500は、GPS衛星からの電波を受信して
現在位置を演算することができる。また、作業エリアの
近傍に設置した固定局からのGPS用データを受信する
装置550を有する。GPS固定局600は、GPS衛
星からの信号を受信するアンテナ615と、受信したデ
ータから現在位置を絶対位置として算出するGPSの固
定局610と、GPSの補正信号の送信機620と、送
信用アンテナ625を備え、移動作業機械に補正データ
を送信する。このGPSシステムを備えることによっ
て、移動作業機械は自己の現在位置を正確に認識するこ
とができる。
【0024】図5,図6は、本発明による移動作業機械
の起伏地の通過の制御方法を示す説明図である。すなわ
ち、移動作業機械1が有する自律航法機能のみを使用し
て、図5,図6に示すような起伏地を直線経路P10に沿
って移動しようとする場合に、車輪と大地との間にスリ
ップ等が生ずるために、直線経路からずれてしまうこと
が起こる。
【0025】そこで、移動作業機械が有するGPS航法
機能を用いて経路の補正を行なう。しかしながら、移動
作業機械1がロール角が発生する起伏地を通過する際に
は、移動作業機械1に立設されたGPSアンテナ500
は、アンテナの高さをH、ロール角をθとしたときに、
車体中心から横方向に距離Eだけずれる。ここで、 E=H・Tanθ で表わされる。
【0026】したがって、ピッチ角θが変化する起伏地
を通過する際には、たとえ、移動作業機械1が直線経路
10を通過しても、GPSアンテナが受信する経路P12
は、図5に示すような軌跡となる。そこで、これらの誤
差要因を補正する制御を実行する。
【0027】図7は、起伏地を通過する際の制御フロー
を示す。ステップS10でスタートした処理は、ステッ
プS11で自律航法データの入力処理を行なう。入力デ
ータとしては、 ・進行角データ(1軸ジャイロセンサのヨー角データ) ・傾斜角データ(姿勢計測センサまたは地図情報から算
出した経路方向のピッチ角・ロール角データ) ・車輪センサデータ がある。
【0028】ステップST13ではGPS測位データの
受信処理を行なう。GPSデータとしては、位置デー
タ、PDOP値、位置データ精度指標データ等がある。
ステップST14では、PDOP値の判定を行なう。P
DOP値はGPS衛星の配置関係による精度を示す指標
であって、値が小さい程側位精度は高くなる。PDOP
値が6以上のときには、ステップST20へ進み、自律
航法によって、自己位置測定と制御量を算出し、ステッ
プST21で移動体である移動作業機械を制御する。
【0029】PDOP値が6以下であれば、GPSによ
る航法が使用できるので、ステップST15で位置精度
指標が高精度(FIX)かをチェックし、FIXの状況
であれば、ステップST16でGPSデータを制御に使
用できるフォーマットに変換する。
【0030】ステップST17では、1軸ジャイロデー
タ・傾斜角データ・車輪センサデータを用いてプログラ
ムの経路方向に進むよう経路制御を行なうと共に、GP
Sデータを傾斜角に応じて補正し、その補正データから
実走行経路を求めて自律航法経路を補正することによ
り、高い精度でプログラムの経路の沿わせるよう制御す
る。
【0031】ステップST21でメモリ側から供給され
る目標経路に合わせて移動作業機械を制御し、ステップ
ST22で作業終了を確認し、ステップST23で処理
を終了する。
【0032】
【発明の効果】本発明は以上のように、車体のヨー角度
のみを検知するセンサを備えて、予め与えられる地図情
報に基づいて無人移動しつつ作業を実行する機械にあっ
て、車体が起伏地を通過する際には、地図情報または姿
勢計測センサから車体のピッチ角度、ロール角度等のデ
ータを得て、車体がプログラム経路上を通過するように
制御することができる。さらに、GPS航法装置を備
え、GPSデータを利用して、より高精度な制御によっ
て経路上を移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用する芝刈り機の平面図。
【図2】本発明の適用する芝刈り機の側面図。
【図3】GPS固定局の概要を示す説明図。
【図4】芝刈り機の制御系のブロック図。
【図5】芝刈り機が起伏地を通過する際の平面図。
【図6】芝刈り機が起伏地を通過する際の正面図。
【図7】芝刈り機が起伏地の通過の際の制御方式を示す
フロー図。
【図8】芝刈り対象となるゴルフ場の平面図。
【図9】芝刈り対象となるゴルフ場とGPS衛星の関係
を示す側面図。
【図10】ヨー角のみを検知して制御する移動作業機械
が起伏地を通過する際の経路を示す平面図。
【符号の説明】
1 芝刈り機 10 車体 22 後輪 24 前輪 30 エンジン 70,72 芝刈りユニット 200 制御装置 400 内界センサ 500 GPSアンテナ 600 GPS固定局
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 健二郎 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 株式会社日立製作所 産業機器事業部 内 (72)発明者 松田 有司 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 株式会社日立製作所 産業機器事業部 内 (72)発明者 神谷 敬之 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 株式会社日立製作所 産業機器事業部 内 (72)発明者 青野 俊宏 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (72)発明者 乙母 正美 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 日立京葉エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 清野 憲二 千葉県習志野市東習志野7丁目1番1号 日立京葉エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 小林 和男 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所 産業機器事業部 内 (56)参考文献 特開 平7−230315(JP,A) 特開 平7−39205(JP,A) 特開 平3−63516(JP,A) 特開 平7−64631(JP,A) 特開 平4−278981(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05D 1/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵輪と駆動輪を有する車体と、車体に
    装備される作業ユニットと、車体のヨー角度を検知する
    センサと、車体のピッチ角度、ロール角度を検知するセ
    ンサと、車体の進行速度を検知するセンサと、予め与え
    られる地図情報に基づいて車体の移動経路をプログラム
    制御する自律航法装置と、GPSアンテナを有するGP
    S航法装置とを備えた無人移動作業機械の制御方式であ
    って、車体にロール角が発生する起伏地上の経路を通過する際
    には、無人移動作業機械の車体に立設されるGPSアン
    テナの車体中心からの高さ寸法をH,ロール角をθとし
    たときに、アンテナ先端が車体中心から横方向にずれる
    距離をEとしたときに E=H・Tanθ の誤差要因を補正する制御を実行する 無人移動作業機械
    の制御方式。
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