JP3359793B2 - 水中油型乳化物及びそれを用いた凍結ホイップドクリーム - Google Patents
水中油型乳化物及びそれを用いた凍結ホイップドクリームInfo
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Description
で冷凍保存し、解凍しても外観の良好な、耐冷解凍性を
備えた凍結ホイップドクリーム用水中油型乳化物及びそ
れを用いた凍結ホイップドクリームに関するものであ
る。
るクリーム類は、ホイップ前の水中油型乳化物として貯
蔵・取引され、ユーザーが使用の都度それをホイップし
て用いてきた。しかし、このホイップするという作業は
非常に微妙で熟練を要し、且つ相応の時間と労力を要す
る。このような状況から、取扱い性が簡便で保存性が良
く、必要な時にすぐ使用できるホイップ済クリームの供
給が望まれていた。そこで水中油型乳化物をホイップ後
凍結し、ユーザーが解凍すればすぐ使用できる、いわゆ
る凍結ホイップドクリームが開発され、市販されるよう
になった。しかし、解凍時にオーバーラン(起泡量)の
低下や硬さの増加(シマリ)・減少(戻り)等が起き、
品質が損なわれるという問題点があった。
定量のカルシウム塩を添加する方法(特開昭58−15
2457)、2)油脂のSFC特性を調整する方法(特
開平2−100646)、3)添加する糖類の主成分の
種類を限定し、かつ糖含量と無脂乳固形分含量を調整す
る方法(特開平3−83539)、4)安定剤として酵
素処理によって低分子化した水溶性食物繊維を添加する
方法(特開平3−130040)などの方法がとられて
きた。しかしながら、上述の方法のうち1)の方法で
は、調整するカルシウムイオン濃度の範囲が非常に限ら
れているために他に添加する天然の無脂乳固形分に存在
する塩類の変動に影響を受け品質をコントロールするこ
とが極めて困難であり、又2)の方法は、口溶けが悪
く、3)の方法では、糖類の種類を限定していることか
ら食感の自由度が限定され、4)の方法では、酵素処理
されているためコストが高くなるという問題を含んでい
る。
品質低下、即ち、耐冷解凍性を改善するために幾つかの
方法が提案されて来ているが、解凍後のオーバーランの
低下やシマリ・戻りの現象を解決し、解凍後の絞りだし
が良好なものは未だ達成されていない。本発明はホイッ
プした状態で冷凍保存し、解凍してもオーバーランの低
下やシマリ・戻りの現象が見られず、解凍後の絞り性が
良好である凍結ホイップドクリーム用水中油型乳化物及
び凍結ホイップドクリームを提供せんとするものであ
る。
0.1〜3.0重量%、油脂10〜50重量%、水40
〜80重量%、炭水化物7〜30重量%及び乳蛋白質
0.4〜5.0重量%を含有し、且つ該乳化剤は構成脂
肪酸の60重量%以上が炭素数18以上の不飽和脂肪酸
であるHLB 0〜5の蔗糖不飽和脂肪酸エステル及び
構成脂肪酸の80重量%以上が飽和脂肪酸である多価ア
ルコール飽和脂肪酸エステルを含むことよりなる凍結ホ
イップドクリーム用水中油型乳化物、並びに該乳化物を
ホイップし、凍結した凍結ホイップドクリームを要旨と
するものである。
本発明の乳化物に使用する油脂としては、大豆油、ヤシ
油、パーム油、菜種油、コーン油、オリーブ油、綿実
油、サフラワー油、トウモロコシ油等の植物性油脂並び
にこれらの油脂を硬化、分別、エステル交換処理したも
のが挙げられ、これらは単独でも混合しても用いること
ができる。乳化物中の油脂の量は10〜50重量%であ
り、好ましくは20〜35重量%である。油脂の量が1
0重量%未満ではホイップクリームに充分な保形性が得
られず、一方、50重量%を越えると水中油型乳化物が
増粘しがちでオーバーランも低くなり、解凍時にシマリ
の現象が見られるので好ましくない。
類、少糖類またはオリゴ糖類、さらに糖アルコール類等
が挙げられる。具体的には、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦
芽糖、転化糖、デキストリン、シクロデキストリン、水
飴、コーンシロップ、異性化糖、ソルビトール等が用い
られ、これらは単独でも或いは混合して用いてもよい。
乳化物中の炭水化物の量は7〜30重量%であり、好ま
しくは20〜30重量%である。炭水化物の量が7重量
%未満では冷解凍後に離水が多量に発生し易く、解凍時
にダレの現象が見られる。一方、30重量%を越えると
水中油型乳化物が増粘し、解凍時にシマリの現象が見ら
れるので好ましくない。
種類の脂肪酸エステルを含有するもので、その一つのエ
ステルは特定の蔗糖不飽和脂肪酸エステルであり、他の
エステルは多価アルコールの飽和脂肪酸エステルであ
る。該蔗糖不飽和脂肪酸エステルは、その構成脂肪酸の
60重量%以上が炭素数18以上の不飽和脂肪酸からな
り、HLBが0〜5の値を有するものである。これら蔗
糖不飽和脂肪酸エステルの具体例としては、蔗糖エルカ
酸エステル、蔗糖オレイン酸エステル、蔗糖リノール酸
エステルなどが挙げられ、蔗糖エルカ酸エステル、蔗糖
オレイン酸エステルが好適である。
飽和脂肪酸エステルは、その構成脂肪酸の80重量%以
上が飽和脂肪酸からなるエステルである。これらエステ
ルの具体例としては、蔗糖ラウリン酸エステル、蔗糖パ
ルミチン酸エステル、蔗糖ベヘン酸エステル、蔗糖ステ
アリン酸エステル等の蔗糖飽和脂肪酸エステル、ソルビ
タンモノステアレート等のソルビタン飽和脂肪酸エステ
ル、プロピレングリコールステアリン酸エステル等のプ
ロピレングリコール飽和脂肪酸エステルなどが挙げられ
るが、これらのうち、蔗糖飽和脂肪酸エステルが好適で
ある。また、使用に当たっては、原料油脂、蔗糖不飽和
脂肪酸エステルのHLB等を考慮し、これらの蔗糖飽和
脂肪酸エステルを2種以上組み合わせることもできる。
更に、レシチンを添加すると、ホイップ時に乳化を適度
に破壊(解乳化)するので好ましい。レシチンの添加量
は、全量に対し0.01〜0.1重量%が適当である。
り、好ましくは0.2〜1.5重量%である。乳化剤の
量が0.1重量%未満では、ホイップ時間が長くなり、
解凍後の造花性・保形性が悪くなり、3.0重量%を越
えると冷凍保存時シマリの現象が発生して絞り性が著し
く低下し、風味を損なうことがあるので好ましくない。
また、脂肪酸エステル中蔗糖不飽和脂肪酸エステルと多
価アルコール飽和脂肪酸エステルの割合は、それぞれの
構成脂肪酸の種類、HLB値等によっても異なるが、蔗
糖不飽和脂肪酸エステルは蔗糖飽和脂肪酸エステルに対
し、通常5:1〜1:30(重量比)であり、好ましく
は1:1〜1:10である。
乳、脱脂粉乳、全粉乳、カゼイン、カゼインナトリウム
などが用いられるが、これらに限定されることはなく、
乳蛋白質であれば任意のものが用いられる。乳蛋白質の
量は0.4〜5.0重量%であり、好ましくは0.5〜
3.0重量%が適当である。乳蛋白質の量が0.4重量
%未満ではホイップクリームとしての風味が充分でな
く、5.0重量%を越えると水中油型乳化物が増粘する
ので好ましくない。
剤、着香料等を用いることができる。安定剤としては、
セルロース、カラギーナン、ローカストビーンガム、キ
サンタンガム、グアーガム等が用いられる。安定剤の量
は、0.1〜1.0重量%、中でも0.2〜0.7重量
%が好ましい。安定剤の量が0.1重量%未満では解凍
時に戻りの現象が見られることがあり、逆に1.0重量
%を越えると水中油型乳化物が増粘するので好ましくな
い。着香料としては、任意のものを用いることができ
る。例えば、バニラエッセンス、ミルクフレーバー、バ
ターフレーバー等が挙げられる。
は、そのままでも安定に保存されるが、必要によりホイ
ップし、その後凍結することにより凍結ホイップドクリ
ームにされる。本発明の水中油型乳化物は、凍結ホイッ
プドクリーム用に優れたものであり、本発明の水中油型
乳化物をホイップ後凍結して得られる凍結ホイップドク
リームは解凍したとき、オーバーランの低下やシマリ・
戻りの現象が見られず絞り性が良好である。更に、乳化
物をホイップ後ケーキなどにトッピングし、これを凍結
・解凍しても同様の効果が得られる。
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。なお、本実施例におい
て特にことわりのない限り、重量%は水中油型乳化物に
対する重量%である。
%)に水飴170g(17.00重量%)、砂糖90g
(9.00重量%)、カゼインナトリウム22g(2.
20重量%)、セルロース3g(0.30重量%)、カ
ラギーナン1g(0.10重量%)、蔗糖ステアリン酸
エステルS−1670(HLB 16、三菱化学フーズ
(株)商品名)1g(0.10重量%)、ヘキサメタリ
ン酸ナトリウム1g(0.10重量%)を添加し、溶解
して水相部とした。別に70℃に加温した油脂250g
(25.00重量%)にレシチン0.5g(0.05重
量%)、蔗糖ステアリン酸エステルS−270(HLB
2、三菱化学フーズ(株)商品名)3g(0.30重
量%)、同じく蔗糖エルカ酸エステルER−290(H
LB 2、三菱化学フーズ(株)商品名)3g(0.3
0重量%)を溶解して油相部とした。この中へ水相部を
投入し、70℃で15分間プロペラ攪拌機により予備乳
化した。この予備乳化液を均質機(APV GAULI
N社製)を用いて一次圧200kg/cm2、2次圧5
0kg/cm2の加圧によって均質化した。次に得られ
た水中油型乳化物を80℃で殺菌し、直ちに氷水中で1
0℃以下に冷却して一晩冷蔵庫でエージングした。
ップ(愛工舎製作所製、バッチ式ミキサー、水中油型乳
化物量400ml,回転数229rpm、室温20℃)
し、ホイップクリーム100mlをビーカーにすり切り
一杯入れてオーバーランと硬さ(不動工業社製、レオメ
ーター、直径3cmの円盤状プランジャー)を測定し
た。さらに、最適起泡状態に達したホイップクリームを
−40℃で24時間凍結後、−5℃で24時間かけて解
凍し、これを絞り出して造花性、保形性、きめ、離水等
を観察し、オーバーラン、硬さの測定を行った。その結
果を表−1に示す。解凍後にオーバーラン(OR)、硬
さともほとんど変化せず、絞り性は良好であった。
代わりに蔗糖エルカ酸エステルER−190(HLB
1、三菱化学フーズ(株)商品名)を用いる以外は、実
施例1と同様にして調製及び評価を行った。その結果を
表−1に示す。解凍後にOR、硬さともほとんど変化せ
ず、絞り性は良好であった。
代わりに蔗糖オレイン酸エステルO−190(HLB
1、三菱化学フーズ(株)商品名)を用いる以外は、実
施例1と同様にして調製及び評価を行った。その結果を
表−1に示す。解凍後にOR、硬さともほとんど変化せ
ず、絞り性は良好であった。
及びS−1670を除く以外は、実施例1と同様にして
調製及び評価を行った。その結果を表−1に示す。実施
例1、2、3と比較して解凍後に硬さが著しく減少し、
これを絞りだした時の造花性が悪く離水した。
除く以外は、実施例1と同様にして調製及び評価を行っ
た。その結果を表−1に示す。実施例1、2、3と比較
して解凍後に硬さが著しく減少し、これを絞りだした時
の造花性が悪く離水した。
から調製された凍結ホイップドクリームを冷解凍して
も、離水、戻りの現象等が抑えられ、造花性、キレ、保
形性、きめ等が良好であるので、優れた凍結ホイップク
リームを得ることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 乳化剤0.1〜3.0重量%、油脂10
〜50重量%、水40〜80重量%、炭水化物7〜30
重量%及び乳蛋白質0.4〜5.0重量%を含有し、且
つ該乳化剤は構成脂肪酸の60重量%以上が炭素数18
以上の不飽和脂肪酸であるHLB 0〜5の蔗糖不飽和
脂肪酸エステル及び構成脂肪酸の80重量%以上が飽和
脂肪酸である多価アルコール飽和脂肪酸エステルを含む
ことを特徴とする凍結ホイップドクリーム用水中油型乳
化物。 - 【請求項2】 不飽和脂肪酸がエルカ酸またはオレイン
酸であることを特徴とする請求項1記載の水中油型乳化
物。 - 【請求項3】 多価アルコール飽和脂肪酸エステルが蔗
糖飽和脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1
記載の水中油型乳化物。 - 【請求項4】 請求項1に記載の水中油型乳化物をホイ
ップし、次いで凍結した凍結ホイップドクリーム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23069995A JP3359793B2 (ja) | 1995-08-17 | 1995-08-17 | 水中油型乳化物及びそれを用いた凍結ホイップドクリーム |
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---|---|---|---|
JP23069995A JP3359793B2 (ja) | 1995-08-17 | 1995-08-17 | 水中油型乳化物及びそれを用いた凍結ホイップドクリーム |
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JPH0956329A JPH0956329A (ja) | 1997-03-04 |
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ID=16911938
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP23069995A Expired - Lifetime JP3359793B2 (ja) | 1995-08-17 | 1995-08-17 | 水中油型乳化物及びそれを用いた凍結ホイップドクリーム |
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---|---|---|---|---|
JP5225530B2 (ja) * | 2001-09-25 | 2013-07-03 | 雪印メグミルク株式会社 | 凍結ホイップドクリーム |
JP2004261058A (ja) * | 2003-02-28 | 2004-09-24 | Mitsukan Group Honsha:Kk | 混合気泡入り食品 |
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JP7382709B2 (ja) * | 2018-10-30 | 2023-11-17 | 太陽油脂株式会社 | 冷凍ホイップクリーム用の油脂組成物 |
-
1995
- 1995-08-17 JP JP23069995A patent/JP3359793B2/ja not_active Expired - Lifetime
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