JP3358819B2 - 尿検体処理剤 - Google Patents

尿検体処理剤

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JP3358819B2
JP3358819B2 JP52986698A JP52986698A JP3358819B2 JP 3358819 B2 JP3358819 B2 JP 3358819B2 JP 52986698 A JP52986698 A JP 52986698A JP 52986698 A JP52986698 A JP 52986698A JP 3358819 B2 JP3358819 B2 JP 3358819B2
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賢一 小幡
智恵 酒井
佳代子 平野
真一 吉田
和士 岩田
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Kyowa Pharma Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
技術分野 本発明は尿を検体とする免疫測定法、生化学的測定法
等の分野に利用され、その測定結果をより正確且つ簡単
に行うことを可能にする尿検体処理剤に関する。本発明
の尿検体処理剤によれば、尿保存時に発生する沈殿中に
取り込まれた微量成分を溶解することができるし、さら
には尿検体を免疫測定法、生化学的測定法等の観点から
実質的に安定した状態で運搬したり、長時間の保存をな
すことを可能にする。 背景技術 尿はタンパク・核酸代謝の終末産物や中間代謝物、種
々の有機および無機塩類を含有し、それらの物質の量的
または質的変化を捕らえることにより、諸疾患の診断、
生理的な状態の把握に役立っている。尿はその放尿直後
には澄明であるが、それを保存して放置すると、正常尿
でも種々の塩類が沈殿して混濁を呈することがある。こ
うして発生する沈殿に測定しようとする物質(アナライ
ト)が取り込まれた場合には、その沈殿を溶解したりし
て、沈殿による悪影響を除かない限り正確な定量はでき
ない。 免疫学的測定、生化学的測定等において尿を検体とし
て使用し、より正確で確実な結果を得るためには、こう
した沈殿の形成を無くすか、あるいは沈殿による悪影響
を排除することが欠かせない。また免疫学的測定、生化
学的測定等を行う分野においては、新鮮尿を使用しての
極く限られた測定対象(項目)についての検査(一般に
は簡単な検査しかできないし、その測定の対象となるア
ナライトも限られることになる)から、必ずしも新鮮尿
を用いないでより多くの測定対象(項目)を扱うことを
目的としたそして主として各種測定機器や試薬を備えた
検査部、検査センター等で行われる手法が最近重要とな
ってきている。 さらに尿はそれの運搬、保存という点では困難な問題
を抱えているものの、血液などと異なり生体を傷つける
ことなく、簡単且つ大量に採取することができるという
利点を持ち、上記したようにそこに含まれるタンパク・
核酸代謝の終末産物や中間代謝物、種々の有機および無
機塩類を測定・検査することにより、病気などの診断
や、生体の健康状態、薬物の摂取状態などを把握するの
に大いに役立つと考えられる。こうした場合、集められ
た尿(検体)は普通冷蔵されたり、あるいは凍結して保
存され、当該検査部、検査センター等に搬送され、保管
される。しかしながら、尿を冷蔵あるいは凍結保存した
場合に上記したような尿の沈殿は多く発生することが認
められる。 特に最近では臨床の場において、尿中の特定物質の定
量は主として上記したように検査部、検査センター等で
行われるため、放尿直後の沈殿の発生していない尿を使
用することは困難である。そして検査部、検査センター
に搬送された尿には沈殿が発生しているため、特定物質
の正確な定量を行うためには、沈殿を十分懸濁した後サ
ンプリングする必要があり大変煩雑となっている。特に
大量の検体を処理することが求められている中では、そ
の検体に発生している沈殿を十分に懸濁処理することは
大変な作業となっているし、また自動化のネックにもな
っている。また沈殿の懸濁が不十分な場合には、サンプ
リング誤差が発生するため、臨床評価に影響を与えるこ
とが考えられ、再現性という点でも大きな問題となって
いる。 こうして大量の尿検体を、省力下に正確かつ効率的に
処理して臨床上有意なデータを得るためには、この尿に
発生する沈殿の問題を解決する必要がある。 臨床検査法提要、第29版、p108−109(1983年)によ
れば、尿は正常でも諸種の塩類が沈殿して混濁を呈する
ことがあり、アルカリ性の場合(植物性食物多食あるい
は食後の尿)には、排尿直後からリン酸塩または炭酸の
ために混濁していることが多く、濃厚な酸性尿では、冷
却すると煉瓦紅色の多量の沈殿を生ずることがあるが、
これは尿酸塩で、温めれば消失するとし、そこではこう
した尿に発生する沈殿、例えば尿酸塩、炭酸塩、リン酸
塩、シュウ酸カルシウム、尿酸、膿汁、脂肪、細菌尿な
どを尿混濁鑑別する方法が開示され、その鑑別目的で、
尿を加熱したり、尿に酢酸、塩酸あるいは水酸化ナトリ
ウムを添加して尿沈殿鑑別を行っている。しかしながら
そこでは、免疫学的測定、生化学的測定等に用いる尿検
体としての利用を考慮しての検討は何ら伺えないし、こ
のような尿混濁鑑別のための処理をした尿においては、
タンパク変性や尿pHの大きな変動が生じるため、免疫測
定法、生化学測定法等に使用することは困難である。ま
た臨床上有意なデータを得るという観点からみても、到
底尿検体に発生する沈殿の問題の解決手段となるとの認
識はないものである。 以上のように尿検体は臨床・治療などの医学的な分
野、さらには保健の分野で各種のタンパク・核酸・糖代
謝の終末産物や中間代謝物、種々の有機および無機塩
類、薬物などを測定したり、検知したりするのに重要な
検体となっている。そうした尿検体を今後さらに利用す
るためには、設備や人員の整った検査部、検査センター
等に搬送され、保管されるなどして、検査に利用するこ
とが肝要である。このためには尿検体を保存したり、凍
結あるいは冷蔵したりすると生じてくる沈殿による悪影
響を簡単な手法で、且つ確実で安全に解決することが求
められている。これまでは尿検体を懸濁するという、手
間がかかり、それでいて繁雑で不確実な方法しかなかっ
たが、これに代わる簡単で確実な方法でもって、正確な
臨床検査結果を確保できる技術を提供することが求めら
れている。 発明の開示 本発明者は、通常尿検体に発生する沈殿を、その尿中
に含まれるタンパクの変性を生起することを極力押さえ
ると共に、尿のpHを大きく変えることなく、可溶化でき
れば、尿検体のサンプリングが簡単に行うことができ、
さらにそのサンプリングの仕方により得られる検査結果
にはバラツキなどは無くなり、確実で正確な測定ができ
るのではないかと考え、鋭意研究の結果本発明を完成さ
せた。 本発明は、尿中の特定物質の正確で且つ確実な定量を行
うため、尿沈殿に取り込まれた微量成分を実質的に測定
に因らないように可溶化することを目的としている。本
発明は、尿検体に沈殿が生じているか否かに関係なく、
免疫的測定、生化学的測定等に適するように該尿検体の
サンプリングを可能にし、さらには該測定操作を自動化
するのに好ましいようにすることそして臨床上有意の結
果を簡単且つ確実に得ることを目的としている。 すなわち、本発明は、 〔1〕 6.5以上のpHを有する緩衝剤を有効成分として
含有することを特徴とする尿検体処理剤; 〔2〕 pH6.5〜9.5を有する緩衝剤を有効成分として含
有することを特徴とする上記〔1〕記載の尿検体処理
剤; 〔3〕 pH6.5〜8.2を有する緩衝剤を有効成分として含
有することを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の尿
検体処理剤; 〔4〕 pH7.2〜8.0を有する緩衝剤を有効成分として含
有することを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか
一記載の尿検体処理剤; 〔5〕 pH7.4〜7.8を有する緩衝剤を有効成分として含
有することを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか
一記載の尿検体処理剤; 〔6〕 pH7.4〜7.6を有する緩衝剤を有効成分として含
有することを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか
一記載の尿検体処理剤;及び 〔7〕 緩衝剤が、リン酸塩緩衝液、N−トリス(ヒド
ロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸
(TES)緩衝液、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラ
ジン−N'−エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液、トリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)−塩酸緩衝
液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液、バルビタール緩衝
液及びイミダゾール−塩酸緩衝液からなる群から選ばれ
た緩衝液を与えるものであることを特徴とする上記
〔1〕〜〔6〕のいずれか一記載の尿検体処理剤を提供
する。 さらに、本発明は、 〔8〕 尿中に沈殿の少なくとも一部を可溶化処理する
ものであることを特徴とする尿検体処理剤;
〔9〕 尿が、免疫測定法及び/または生化学測定法に
用いる検体であることを特徴とする上記〔8〕記載の尿
検体処理剤; 〔10〕 可溶化処理が、尿検体に発生する沈殿のうちの
少なくとも一部を溶解せしめ、実質的に測定に悪影響を
及ぼさないようにするものであることを特徴とする上記
〔8〕又は
〔9〕記載の尿検体処理剤; 〔11〕 尿検体に発生する沈殿中に取り込まれたそして
測定対象アナライトである微量成分を可溶化処理するも
のであることを特徴とする上記〔8〕〜〔19〕のいずれ
か一記載の尿検体処理剤; 〔12〕 尿検体に発生する沈殿が、尿検体保存中に発生
するものであることを特徴とする上記〔8〕〜〔11〕の
いずれか一記載の尿検体処理剤; 〔13〕 尿検体に発生する沈殿が、pH7.0より低い尿の
保存中に発生するものであることを特徴とする上記
〔8〕〜〔12〕のいずれか一記載の尿検体処理剤; 〔14〕 尿検体に発生する沈殿が、pH5.0〜6.8を示す尿
の保存中に発生するものであることを特徴とする上記
〔8〕〜〔13〕のいずれか一記載の尿検体処理剤; 〔15〕 可溶化処理が、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか
一記載の緩衝剤により尿のpHを高めることによりなされ
るものであることを特徴とする上記〔8〕〜〔14〕のい
ずれか一記載の尿検体処理剤; 〔16〕 可溶化処理が、尿にトリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタン(Tris)−塩酸緩衝液を添加してなさ
れたものであることを特徴とする上記〔8〕〜〔15〕の
いずれか一記載の尿検体処理剤; 〔17〕 微量成分が、尿中トランスフェリン、尿中成長
ホルモン、尿中IgG、尿中アルブミン、尿中絨毛性ゴナ
ドトロピン、尿中αマイクログロブリン、尿中β
イクログロブリン、各型コラーゲン、プロリン水酸化酵
素、ラミニン、マトリックスメタロプロテアーゼ類(MM
Ps)、ティシュ・インヒビター・オブ・メタロプロテア
ーゼ類(TIMPs)及びトロンボモジュリンからなる群か
ら選ばれたものであることを特徴とする上記〔8〕〜
〔16〕のいずれか一記載の尿検体処理剤;及び 〔18〕 微量成分が、IV型コラーゲン及びトロンボモジ
ュリンからなる群から選ばれたものであることを特徴と
する上記〔8〕〜〔17〕のいずれか一記載の尿検体処理
剤を提供する。 また、本発明は、 〔19〕 尿をpH6.5以上にするものであることを特徴と
する尿検体処理剤; 〔20〕 尿をpH6.5〜9.5にするものであることを特徴と
する上記〔19〕記載の尿検体処理剤; 〔21〕 尿をpH6.5〜8.2にするものであることを特徴と
する上記〔19〕又は〔20〕記載の尿検体処理剤; 〔22〕 尿をpH7.2〜8.0にするものであることを特徴と
する上記〔19〕〜〔21〕のいずれか一記載の尿検体処理
剤; 〔23〕 尿をpH7.4〜7.8にするものであることを特徴と
する上記〔19〕〜〔22〕のいずれか一記載の尿検体処理
剤; 〔24〕 尿をpH7.4〜7.6にするものであることを特徴と
する上記〔19〕〜〔23〕のいずれか一記載の尿検体処理
剤; 〔25〕 上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一記載の緩衝剤
により、尿のpHを高めるか、あるいは尿のpHを所定の値
に維持することによりなされるものであることを特徴と
する上記〔19〕〜〔24〕のいずれか一記載の尿検体処理
剤; 〔26〕 尿にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
(Tris)−塩酸緩衝液を添加してなされるものであるこ
とを特徴とする上記〔19〕〜〔25〕のいずれか一記載の
尿検体処理剤; 〔27〕 尿は、新鮮尿あるいは保存された尿であること
を特徴とする上記〔19〕〜〔26〕のいずれか一記載の尿
検体処理剤; 〔28〕 上記〔8〕〜〔18〕のいずれか一記載の可溶化
処理を尿に施し、新鮮尿では尿に生ずる沈殿の形成によ
って実質的に測定対象アナライトの測定に悪影響を与え
るのを防止するか、あるいは保存された尿では尿中の沈
殿形成で生ずる測定対象アナライトの測定における障害
を実質的に除去することを特徴とする上記〔19〕〜〔2
7〕のいずれか一記載の尿検体処理剤;及び 〔29〕 新鮮尿においてその保存で尿に生ずる沈殿の形
成を防止するか、あるいは保存された尿中の沈殿を溶解
することを特徴とする上記〔19〕〜〔28〕のいずれか一
記載の尿検体処理剤に提供する。 別の態様では、本発明は、 〔30〕 上記〔1〕〜〔29〕のいずれか一記載の尿検体
処理剤を収容してなり、即時使用可能な形態であること
を特徴とする尿検体用容器; 〔31〕 溶液形態の尿検体処理剤を含有していることを
特徴とする上記〔30〕記載の尿検体用容器; 〔32〕 易溶解性固体形態の尿検体処理剤を含有してい
ることを特徴とする上記〔30〕記載の尿検体用容器; 〔33〕 凍結乾燥固体の尿検体処理剤を含有しているこ
とを特徴とする上記〔32〕記載の尿検体用容器;及び 〔34〕 携帯性であることを特徴とする上記〔30〕〜
〔33〕のいずれか一記載の尿検体用容器を提供する。 さらに別の態様では、本発明は、 〔35〕 尿を上記〔1〕〜〔29〕のいずれか一記載の尿
検体処理剤で処理することを特徴とする尿検体処理法; 〔36〕 尿を尿検体処理剤で処理し、尿検体に通常発生
する沈殿の少なくとも一部を実質的に測定に悪影響を及
ぼさないように、それを可溶化するか、あるいは該沈殿
の生成を抑制または阻止することを特徴とする上記〔3
5〕記載の尿検体処理法; 〔37〕 尿に発生する沈殿の実質的に全部を、測定に実
質的に影響を及ぼさないように、それを可溶化するか、
あるいはその生成を抑制または阻止することを特徴とす
る上記〔35〕又は〔36〕記載の尿検体処理法; 〔38〕 尿を上記〔1〕〜〔29〕のいずれか一記載の尿
検体処理剤で処理した後該尿を検体として測定に用いる
ことを特徴とする尿検体測定法; 〔39〕 尿検体を尿検体処理剤で処理し、尿検体に通常
発生する沈殿の少なくとも一部を実質的に測定に悪影響
を及ぼさないように、それを可溶化するか、あるいはそ
の生成を抑制または阻止し、こうして処理された尿検体
を用いて、測定対象アナライトを測定することを特徴と
する上記〔38〕記載の尿検体測定法; 〔40〕 尿検体を測定するにあたり、該尿検体に懸濁処
理を施すこと無くサンプリングし、測定対象アナライト
を測定することを特徴とする上記〔38〕又は〔39〕記載
の尿検体測定法; 〔41〕 尿検体を用いて、IV型コラーゲン及びトロンボ
モジュリンからなる群から選ばれた測定対象アナライト
を測定することを特徴とする上記〔38〕〜〔40〕記載の
尿検体測定法;及び 〔42〕 尿検体を自動的にサンプリングし、測定対象ア
ナライトを測定することを特徴とする上記〔38〕〜〔4
1〕記載の尿検体測定法を提供する。 本発明の別の態様では、 〔43〕 尿を弱酸性乃至アルカリ性にして、尿検体に発
生する沈殿を可溶化処理するか、あるいは尿検体に発生
する沈殿の形成を抑制するか又は防止するものであるこ
とを特徴とする尿検体処理剤; 〔44〕 尿検体に発生する沈殿が、尿検体保存中に発生
するものであることを特徴とする上記〔43〕記載の尿検
体処理剤; 〔45〕 (i)尿の保存中に発生する沈殿の少なくとも
一部を可溶化するか、あるいは(ii)新鮮尿の少なくと
も一部の成分を尿保存の間溶解した状態に保持し、実質
的に測定に悪影響を及ぼさないようにするものであるこ
とを特徴とする尿検体処理剤; 〔46〕 (i)尿検体に発生する沈殿中に取り込まれた
微量成分を可溶化するか、あるいは(ii)該微量成分を
尿保存の間溶解した状態に保持するものであることを特
徴とする上記〔45〕記載の尿検体処理剤; 〔47〕 尿検体に発生する沈殿中に取り込まれた微量成
分が、測定対象アナライトであることを特徴とする上記
〔46〕記載の尿検体処理剤;及び 〔48〕 実質的に測定に影響を及ぼさないとは、新鮮尿
を測定して得られるデータと、尿を室温で3時間以上保
存した後又は尿を10℃で10時間以上保存した後該保存尿
を測定して得られるデータとの間で実質的に有意の相関
関係を有するものであることを特徴とする上記〔45〕〜
〔47〕のいずれか一記載の尿検体処理剤が提供される。 本発明のさらに別の態様では、 〔49〕 尿を尿検体処理剤で中性乃至弱アルカリ性にし
て、尿検体に発生する沈殿を可溶化処理するか、あるい
は尿検体に発生する沈殿の形成を抑制するか又は防止し
た後、該尿検体を測定に用いることを特徴とする尿検体
処理法; 〔50〕 尿検体を尿検体処理剤で処理し、尿検体に通常
発生する沈殿の少なくとも一部を実質的に測定に影響を
及ばさないように、それを可溶化するか、あるいは該沈
殿の生成を抑制又は防止することを特徴とする尿検体処
理法; 〔51〕 尿検体に発生する沈殿の実質的に全部を実質的
に測定に影響を及ぼさないように、それを可溶化する
か、あるいはその生成を抑制又は防止することを特徴と
する上記〔49〕または〔50〕記載の尿検体処理法; 〔52〕 上記〔1〕〜〔29〕のいずれか一記載の尿検体
処理剤で処理することを特徴とする上記〔49〕〜〔51〕
のいずれか一記載の尿検体処理法; 〔53〕 尿検体を用いて、測定対象アナライトを測定す
るにあたり、尿を尿検体処理剤で中性乃至弱アルカリ性
にして、尿検体に発生する沈殿を可溶化処理するか、あ
るいは尿検体に発生する沈殿の形成を抑制するか又は防
止した後該測定を行うことを特徴とする尿検体測定法; 〔54〕 尿検体を尿検体処理剤で処理し、尿検体に通常
発生する沈殿の少なくとも一部を実質的に測定に影響を
及ぼさないように、それを可溶化するか、あるいはその
生成を抑制又は防止し、こうして処理された尿検体を用
いて、測定対象アナライトを測定することを特徴とする
尿検体測定法; 〔55〕 上記〔1〕〜〔29〕のいずれか一記載の尿検体
処理剤で処理することを特徴とする上記〔53〕又は〔5
4〕のいずれか一記載の尿検体処理法;及び 〔56〕 上記〔30〕〜〔34〕のいずれか一記載の尿検体
用容器に採集された尿を検体に用いることを特徴とする
上記〔53〕〜〔55〕のいずれか一記載の尿検体処理法が
提供される。 本発明のさらに別の態様では、 〔57〕 (1)(i)モノクローナル抗ヒトIV型コラー
ゲン抗体を含有するヒトIV型コラーゲン測定試薬あるい
は(ii)モノクローナル抗ヒトトロンボモジュリン抗体
を含有するヒトトロンボモジュリン測定試薬と(2)
(a)上記〔1〕〜〔16〕及び〔19〕〜〔29〕のいずれ
か一記載の尿検体処理剤あるいは(b)上記〔30〕〜
〔34〕のいずれか一記載の容器とがセットにされている
ことを特徴とするキット; 〔58〕 (1)モノクローナル抗ヒトIV型コラーゲン抗
体を含有するヒトIV型コラーゲン測定試薬と(2)
(a)上記〔1〕〜〔16〕及び〔19〕〜〔29〕のいずれ
か一記載の尿検体処理剤あるいは(b)上記〔30〕〜
〔34〕のいずれか一記載の容器とがセットにされている
ことを特徴とする上記〔57〕記載のキット; 〔59〕 ヒトIV型コラーゲン測定試薬がヒトIV型コラー
ゲン分子上の異なる部位を認識する2種類のモノクロー
ナル抗体を含有するものであることを特徴とする上記
〔58〕記載のキット; 〔60〕 (a)上記〔1〕〜〔16〕及び〔19〕〜〔29〕
のいずれか一記載の尿検体処理剤あるいは(b)上記
〔30〕〜〔34〕のいずれか一記載の容器を構成試薬の一
つとしていることを特徴とする(1)(i)モノクロー
ナル抗ヒトIV型コラーゲン抗体を含有するヒトIV型コラ
ーゲン測定試薬あるいは(ii)モノクローナル抗ヒトト
ロンボモジュリン抗体を含有するヒトトロンボモジュリ
ン測定試薬; 〔61〕 (a)上記〔1〕〜〔16〕及び〔19〕〜〔29〕
のいずれか一記載の尿検体処理剤あるいは(b)上記
〔30〕〜〔34〕のいずれか一記載の容器を構成試薬の一
つとしていることを特徴とする(1)モノクローナル抗
ヒトIV型コラーゲン抗体を含有するヒトIV型コラーゲン
測定試薬;及び 〔62〕 ヒトIV型コラーゲン測定試薬がヒトIV型コラー
ゲン分子上の異なる部位を認識する2種類のモノクロー
ナル抗体を含有するものであることを特徴とする上記
〔61〕記載のヒトIV型コラーゲン測定試薬が提供され
る。 本発明において弱酸性乃至アルカリ性にするとは、ア
ナライト(測定対象物、例えば、IV型コラーゲン、トロ
ンボモジュリンなど)の測定において、対象アナライト
の測定に実質的に悪影響を与えないようにする目的で、
通常の尿検体が示すpH(典型的にはpH5.0〜6.3)をpH6.
5あるいはそれ以上のpHにすることを意味する。好まし
くは、本発明において弱酸性乃至アルカリ性にすると
は、通常の採取された尿検体をpH6.6あるいはそれを超
えるpHからpH8.2にすることを意味する。特に好ましく
は、本発明において弱酸性乃至アルカリ性にするとは、
通常の採取された尿検体をpH7.0〜pH8.2にすることを意
味する。特には尿検体をpH7.5あるいはその近傍の値に
することを意味してよい。また別の態様では、本発明に
おいて弱酸性乃至アルカリ性にするとは、アナライト
(測定対象物、例えば、IV型コラーゲン、トロボンモジ
ュリンなど)の測定において、対象アナライトの測定に
実質的に悪影響を与えないようにする目的で、尿検体
(新鮮尿あるいは保存尿〔凍結尿及び冷蔵尿を含む〕)
に緩衝剤を加えて、通常の尿検体が示すpH(典型的には
pH5.0〜6.3)を、pH6.6あるいはそれ以上のpHにするこ
とを意味する。好ましくは、本発明において弱酸性乃至
アルカリ性にするとは、尿検体(新鮮尿あるいは保存尿
〔凍結尿及び冷蔵尿を含む〕)に緩衝剤を加えて、通常
の採取された尿検体をpH7.0〜pH8.2にすることを意味す
る。尿をpH7.5あるいはその近傍の値にして、沈殿を可
溶化するか、沈殿の形成が起こらないようにすることを
意味してよい。また対象アナライトの測定に実質的に悪
影響を与えないとは、臨床上有意の結果あるいは測定上
有意の結果を与えることを意味する。また実質的に測定
に影響を及ぼさないとは、例えば、新鮮尿を測定して得
られるデータと、尿を室温で3時間以上保存した後又は
尿を10℃で10時間以上保存した後などの該保存尿を測定
して得られるデータとの間で、実質的に有意の相関関係
を有するものであることを意味してもよい。 図面の簡単な説明 図1は、凍結保存後解凍し沈殿の生じた健常者尿への
緩衝剤(Tris・HCl)添加した場合と無処理(懸濁処
理)の場合との間のIV・C測定値の相関を示す。 図2は、凍結保存後解凍し沈殿の生じた糖尿病患者尿
への緩衝剤(Tris・HCl)添加した場合と無処理(懸濁
処理)の場合との間のIV・C測定値の相関を示す。 発明を実施するための最良の形態 本発明に従えば、検体などの尿に緩衝剤などの尿検体
処理剤を添加して尿を処理する方法が提供され、さらに
はより具体的には6.5以上のpHを有する緩衝剤を有効成
分として含有する尿検体処理剤で尿を処理する方法が提
供される。 また本発明に従えば、検体などの尿中の沈殿を可溶化処
理する方法が提供され、さらにはより具体的には尿検体
に発生する沈殿の少なくとも一部を実質的に測定に影響
を及ぼさないように可溶化する方法が提供される。 本発明の別の態様では、尿をpH6.5以上にする方法が
提供され、さらにはより具体的には7.0〜8.2のpHに尿検
体をするか、あるいは7.0〜8.2のpHに尿検体を保持する
方法が提供される。 本発明に従えば、こうした機能・作用を示す尿検体処
理剤も提供される。また、本発明に従えば、予め尿採取
容器に緩衝剤などの尿検体処理剤を加えておき、そこに
尿を採取することにより、採尿直後より尿に所定の処理
を加えることを目的とした尿採取容器が提供される。 別の観点からは、本発明に従えば、尿のpHを弱酸性〜
アルカリ性、特には中性〜弱アルカリ性に保つことによ
り、保存中に生ずる尿沈殿を溶解し、尿沈殿に取り込ま
れた微量成分を可溶化する方法が提供されるし、こうし
た機能・作用を示す尿検体処理剤も提供される。また、
本発明に従えば、予め尿採取容器に緩衝剤などの尿検体
処理剤を加えておき、そこに尿を採取することにより、
採尿直後より尿のpHを弱酸性〜アルカリ性、特には中性
〜弱アルカリ性に保つことを目的とした尿採取容器が提
供される。 本発明に従って尿のpHを弱酸性〜アルカリ性に保つに
は、弱酸性〜アルカリ性の物質、例えば、弱酸性あるい
はアルカリ性の無機塩などの無機化合物、弱酸性あるい
はアルカリ性の有機塩などの有機化合物、またはそれら
の混合物などが挙げられる。また尿のpHを中性にするに
は、酸あるいはアルカリを用い中和する方法があるが、
その場合には、1検体ずつpHを計測しながら中和する必
要があるため実用的には必ずしも好適なものとは言えな
い。一方、緩衝剤を用いて尿のpHを弱酸性〜アルカリ
性、特には中性〜弱アルカリ性に保持すること、より好
ましくはpHを6.5〜9.0にすることは、緩衝剤の終濃度を
一定に保つのみで実現されるので好ましい。したがっ
て、本発明に従って尿のpHを弱酸性〜アルカリ性(好ま
しくはpHを6.5〜9.0、より好ましくはpH7.0〜8.2、さら
に好ましくはpH7.2〜7.8、最も好ましくはpH7.4〜7.6)
に保つには、好ましくは弱酸性〜アルカリ性(好ましく
はpH6.5〜9.5、より好ましくはpH7.0〜8.0、さらに好ま
しくはpH7.2〜7.8、最も好ましくはpH7.4〜7.6)の緩衝
剤が挙げられる。例えば、本発明に従って尿のpHをpH6.
5〜9.0、より好ましくはpH7.0〜8.2、さらに好ましくは
pH7.2〜7.8、最も好ましくはpH7.4〜7.6に保つには、pH
6.5〜9.5、より好ましくはpH7.0〜8.0、さらに好ましく
はpH7.2〜7.8、最も好ましくはpH7.4〜7.6の緩衝剤を用
いるのが好適である。 本発明に用いられる緩衝剤としては、弱酸性〜弱アル
カリ性で緩衝作用を示すものが用いられる。該緩衝剤と
しては、免疫測定法及び/または生化学測定法を適用し
て測定対象アナライトを測定するにあたり、測定に障害
をもたらさないものが好ましいが、当該分野でそれら免
疫測定法及び/または生化学測定法において通常使用さ
れるものあるいは容易に使用できるもののうちから、尿
検体を弱酸性乃至弱アルカリ性にし得るもの(特に好ま
しくは中性から弱アルカリ性にし得るもの)であれば使
用することができる。例えば、緩衝剤としては、リン酸
又はリン酸塩緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミ
ノメタン(Tris)緩衝液、N−(2−ヒドロキシエチ
ル)ピペラジン−N'−(2−エタンスルホン酸)(HEPE
S)液、ピペラジン−N,N'−ビス(2−エタンスルホン
酸)(PIPES)液、3−(シクロヒキシルアミノ)−1
−プロパンスルホン酸(CAPS)液、3−(N−モルホリ
ノ)プロパンスルホン酸(MOPS)液、N,N'−ビス(2−
ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BE
S)液、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−
アミノエタンスルホン酸(TES)液、N−(2−アセト
アミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)液、ホ
ウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液、バルビタール緩衝液、イ
ミダゾール−塩酸緩衝液などが挙げられる。これらは単
独でも、任意に組合わせるなどして配合しても用いるこ
とができる。 また適当な酸、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸な
どの無機酸、酢酸、クエン酸、マレイン酸、フマール酸
などの有機酸などやアルカリ、例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ
水酸化物、トリエチルアミンなどの有機塩基などによ
り、pHを適切な値に調節できるようにして、任意にそれ
らを組合わせたり、配合しても用いることができる。 好ましくは緩衝剤としては、リン酸塩緩衝液、N−ト
リス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンス
ルホン酸(TES)緩衝液、N−(2−ヒドロキシエチ
ル)ピペラジン−N'−プロパンスルホン酸(HEPES)緩
衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tri
s)−塩酸緩衝液(Tris・HCl緩衝液)、ホウ酸緩衝液、
クエン酸緩衝液、バルビタール緩衝液及びイミダゾール
−塩酸緩衝液からなる群から選ばれたものが挙げられ、
例えば、それら緩衝剤であって且つ好ましくは6.5以上
のpHを有する緩衝剤を有効成分として含有するもの、さ
らに好ましくはpH6.8〜9.5を有する緩衝剤を有効成分と
して含有するもの、さらにより好ましくはpH7.0〜8.0を
有する緩衝剤を有効成分として含有するもの、さらには
pH7.2〜7.8を有する緩衝剤を有効成分として含有するも
の、さらにもっと好ましくはpH7.4〜7.6を有する緩衝剤
を有効成分として含有するものが挙げられる。特に好ま
しくは、Tris−HCl緩衝液などが挙げられ、例えば、好
ましくはpH6.5〜9.5を有するもの、さらに好ましくはpH
7.0〜8.0を有するもの、さらにより好ましくはpH7.2〜
7.8を有するもの、さらにもっと好ましくはpH7.4〜7.6
を有するものが挙げられる。 緩衝剤成分の濃度は、十分に緩衝作用が得られるもの
であれば特に制限されないが、例えば0.05モル〜10.0モ
ル、好ましくは0.1モル〜5.0モル、より好ましくは1.0
モル〜2.0モルが挙げられる。緩衝剤のpHは、上記した
ように6.5以上のpH、好ましくはpH6.8〜9.5、さらに好
ましくはpH7.0〜8.0、さらにより好ましくはpH7.2〜7.
8、さらにもっと好ましくはpH7.4〜7.6である。好適に
は、pH7.5の1.5モル(M)のTris−HCl緩衝液は使用で
きる。 正常尿および疾患尿の多くは酸性尿であるため、尿の
pHを弱酸性〜アルカリ性、特には中性〜弱アルカリ性に
保持するためにはアルカリ性の緩衝剤、特に好ましくは
弱酸性〜アルカリ性の緩衝剤、特に好ましくはpH6.5〜
9.5の緩衝剤を添加する必要がある。またアルカリ性の
尿の場合、生じた沈殿を溶解するためには、尿のpHを弱
酸性〜アルカリ性、特には中性〜弱アルカリ性に保持す
るため、弱アルカリ性〜酸性の緩衝剤、特に好ましくは
pH6.5〜8.2の緩衝剤を尿に添加する必要がある。尿に緩
衝剤を添加する場合、液体あるいは溶液の状態のもので
あってもよいし、ゲルなどの半固体状態のものであって
もよく、さらには固体状態のものであってもよく、例え
ば、粉末、錠剤、カプセル剤等の形態のものであること
ができるが、易溶解性のものが好ましい。また緩衝剤を
凍結乾燥して固体状態にしたものであってもよい。緩衝
剤原料を混合したものを尿に加えることもできる。緩衝
液のpHは7〜8が適当である。緩衝剤は、所定の量の尿
に対しても十分な緩衝作用(時間的な要因を加味した場
合、温度的な要因を加味した場合を含む)を発揮するよ
うな形態・濃度で本発明の尿検体処理剤中に含まれるよ
うにするのが好ましい。 また、採尿容器には緩衝剤を予め添加しておくことが
できる。また採尿容器に緩衝液を入れてから凍結乾燥し
て緩衝剤を固体状態にして容器壁に付着させておき、尿
を採取すると同時に尿検体と緩衝剤とが混合しうるよう
にしておくことができる。このような固体の緩衝剤を使
用することにより、尿中微量成分の希釈を防ぐことがで
きる。このように尿検体用容器を構成することができ、
それは新鮮な尿を受容すると同時にその保存で尿に生ず
る沈殿の形成を防止するか、あるいは阻止するように働
く即時使用可能な形態であるものである。該尿検体用容
器には、溶液形態の尿検体処理剤、あるいは易溶解性固
体形態の尿検体処理剤、例えば、凍結乾燥固体の尿検体
処理剤を配置しておくことができる。好ましい容器は個
人毎の尿検体を運搬及び/又は保存するのに適し、携帯
性のあるものが好ましく、ガラス製、プラスチック製
(例えば、PET製など)などのものが挙げられる。該容
器の形状は、好ましくは当該分野で通常知られたものの
うちから選択したり、あるいは当該分野で通常使用され
るものあるいは容易に使用できるもののうちから選んで
構成することができ、特に液体の運搬及び/又は保存す
るのに適した形状のもので、例えば、試験管などの筒状
の形態を有するものなどが挙げられる。こうした形状の
うちには、丸底のもの、スピッツ(先端が細くなっ
たもの)が含まれていてよい。また好ましくは該容器に
は、栓など密閉手段が付されたものが挙げられる。本発
明に従い、該尿検体用容器に新鮮尿を収集して、尿に生
ずる沈殿の形成によって実質的に測定対象アナライトの
測定に悪影響を与えるのを防止するか、あるいは保存さ
れた尿(例えば、冷蔵保存あるいは冷凍保存された尿)
を該尿検体用容器に移し変えることにより、尿中の沈殿
形成で生ずる測定対象アナライトの測定における障害を
実質的に除去することができる。新鮮尿を該尿検体用容
器に採取してその保存で尿に生ずる沈殿の形成を防止す
るか、あるいは保存された尿を該尿検体用容器に入れて
尿中の沈殿を溶解することが簡単にできる。 尿検体は通常pH7.0より低い値を示し、多くの場合pH
5.0乃至pH6.9を示し、そうした尿検体を保存すると(特
には冷蔵保存したり、凍結して乾燥すると)、沈殿を生
じ、そうした沈殿の中にはアナライトが取り込まれてい
ることが観察されている。本発明によれば、尿試料に緩
衝剤を加えそのpHを弱酸性〜弱アルカリ性、特にはpH6.
8〜8.2、さらに好ましくはpH7.0〜7.8、さらにより好ま
しくはpH7.2〜7.7、さらにもっと好ましくはpH7.4〜7.6
に保つことにより、尿沈殿中に取り込まれた微量成分を
可溶化し、尿中微量成分の正確な定量が可能となる。沈
殿の可溶化処理は、測定上問題がないものであれば、該
沈殿の一部を可溶化するものであってよいし、好ましく
は沈殿のうちの微量成分を溶解しうるものであればよ
い。該微量成分としてはより好ましくは、測定対象アナ
ライトを挙げることができる。 本発明に従えば、本発明の尿検体処理剤中には測定対
象アナライトの測定の悪影響を与えるような成分及び/
又は障害を与えるような成分を入れておかないことが望
ましい。また尿検体を各種の測定に用いることができる
ようにするには、不必要に測定対象アナライトなどの物
質に影響を及ぼすものを避けることが好ましい。例えば
酵素阻害剤、蛋白質分解抑制剤、キレート化剤などは、
尿検体中の生体成分に様々な作用を及ぼすことが知られ
ている。したがって、各種の測定に尿検体を利用する上
では、できるならこうした成分を添加しないでおくこと
が好ましい。本発明に従えば、例えば酵素阻害剤、蛋白
質分解抑制剤、キレート化剤を尿検体中に添加すること
のない尿検体処理剤は、好ましいものである。本発明に
従い、各種の検査・測定に尿検体を広く使用可能なよう
に尿を処理するためには、例えばベンズアミジニウム
クロライド、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ナトリ
ウム アジドなどを尿には加えないほうが好ましい。し
たがって、本発明の尿検体処理剤としては、そうした成
分を含まないものは好ましい。 測定対象アナライトとしては、免疫測定法及び/また
は生化学測定法などにより検査されるべき対象となって
いるものが挙げられ、例えば、ホルモン、ビタミン、生
理活性物質、薬物、蛋白質、糖、それらの代謝物などが
挙げられる。代表的なものとしては、血中に含まれるタ
ンパク成分などが挙げられ、例えば、尿中トランスフェ
リン、尿中成長ホルモン、尿中IgG、尿中アルブミン、
尿中絨毛性ゴナドトロピン、尿中αマイクログロブリ
ン、尿中βマイクログロブリン、IV型コラーゲンなど
の各型コラーゲン、プロリン水酸化酵素、ラミニン、間
質型コラゲナーゼ(MMP−1)、ゼラチナーゼA(MMP−
2)、ストロムライシン−1(MMP−3)、MMP−7、好
中球コラゲナーゼ(MMP−8)、ゼラチナーゼB(MMP−
9)、ストロムライシン−2(MMP−10)、ストロムラ
イシン−3(MMP−11)、コラゲナーゼ−3(MMP−1
3)、MMP−14(MT1−MMP)、MMP−15(MT2−MMP)、MMP
−16(MT3−MMP)、MMP−17(MT4−MMP)、MMP−20(エ
ナメライシン)などのマトリックスメタロプロテアーゼ
類(MMPs)、ティシュ・インヒビター・オブ・メタロプ
ロテアーゼ類(TIMPs)(例えば、TIMP−1、TIMP−
2、TIMP−3、TIMP−4など)、トロンボモジュリンな
どが挙げられる。 尿は、放尿採取され、検体として免疫測定法、生化学
的測定法等に利用されるが、そのpHは通常は約5.0〜6.8
程度で、より具体的には約5.3〜6.4程度である。また尿
のpHが7.0未満であるものと、そのpHが7.0以上であるも
のとの比率は、尿のpHが7.0未満であるものが健常者
(約80検体)ではおおよそ90%を占めており、残りおお
よそ10%が健常者では尿のpHが7.0以上であるとの結果
が得られている。また糖尿病患者の尿(約10検体の調
査)でも、尿のpHが7.0未満であるものがおおよそ90%
を占めており、残りおおよそ10%の尿がpHが7.0以上で
あるとの結果が得られている。さらにまた健常者(約80
検体の調査)では、その尿のpHの最低値〜最高値は、お
およそpH5.06〜7.52であり、一方糖尿病患者の尿(約10
検体の調査)ではその尿のpHの最低値〜最高値は、おお
よそpH5.60〜7.10である。 尿は放尿採取された後、その保存により沈殿が生ずる
ことが多い(前記した臨床検査法提要、第29版、p108−
109にも指摘されている)が、例えば、室温で3時間放
置した場合、おおよそ56%(64検体について調査)に沈
殿が発生し、10℃(冷蔵保存)で一晩放置した場合、お
およそ77%(64検体について調査)に沈殿が発生するこ
とが認められる。 このように、尿にその沈殿が容易に生ずることから、
採尿から検査まで時間がかかる場合(各種の検査を行う
場合など)や冷蔵保存などで検査センター等へ検体を搬
送する場合には、沈殿の発生により尿中微量成分の取り
込みが生ずると考えられる。特に酸性の尿を保存したり
する場合(例えば、冷蔵保存あるいは冷凍保存された
尿)に生ずる沈殿では、上記したような測定対象アナラ
イトがそこに取り込まれる等して測定に悪影響が生ずる
ことが認められる。 ところで採尿から目的とする成分が定量されるまでに
は、複数回の分注操作が行われる。すなわち、採尿コッ
プから搬送用試験管への分注、搬送用試験管から各項目
が測定される検査現場へ搬送するための分注、各測定現
場でサンプリングされるなどした後その定量が行われ
る。上記のような分注、サンプリング操作などを行うと
き、尿沈殿に目的とする成分が取り込まれている場合に
は、各分注、サンプリング操作の際には十分な懸濁操作
がその都度必要となる。この懸濁操作に不均一性が生じ
れば目的とする成分の正確な定量は不可能となるが、こ
の懸濁操作は機械的な処理である事から、十分なそれで
いて均一性を確保した懸濁はなかなか困難であり、これ
が測定の自動化を阻害している。上記のような分注、サ
ンプリング操作などを大量の検体につき行い、さらに大
量かつ多くの種類の検査を行う場合には繁雑すぎるとい
う問題がある。 すなわち、一定量の尿に一定の割合で緩衝剤を添加す
る、あるいは、一定量の緩衝剤が加えてある容器に一定
量の尿を添加することにより、緩衝剤の終濃度を一定に
保つことが可能となる。例えば、尿中のIV型コラーゲン
(IV・C)やトロンボモジュリン(TM)測定において
は、尿1容量に対し、1.5Mトリス・塩酸緩衝液、pH7.5
を0.1容量加えることにより尿沈殿中に取り込まれたIV
・CやTMが可溶化する。これにより、尿中の微量成分を
尿沈殿の影響を受けることなく、簡単に実施できる検体
処理法を施すだけで、容易に且つ正確に定量することが
可能となる。したがって、こうした目的を達成しうるよ
うデザインされた尿検体処理剤、該尿検体処理剤を含有
している尿採取容器などが提供される。 また複数回の分注操作を行ったり、各種の検査・測定
・分析を尿検体に施したり、あるいは分注、サンプリン
グ操作などを大量の検体につき行い、さらに大量かつ多
くの種類の検査を行うところの各種測定機器や試薬を備
えた検査部、検査センター等で尿検体を扱うことを可能
なようにするためには、尿には該尿沈殿の影響を避ける
に十分な成分を添加すればよいし、不必要な成分を添加
することは避けるのが望ましいと考えられる。また例え
ば、IV・CやTMを尿検体を使用して尿沈殿またはその形
成に伴うような問題を回避して、効率よく測定検査でき
るものが好ましい。特には例えばベンズアミジニウム、
クロライド、EDTA、ナトリウム アジドなどを尿には加
えないで、こうした目的を達成できるものが好ましい。
したがって、こうした目的を達成しうるようデザインさ
れた尿検体処理剤、該尿検体処理剤を含有している尿採
取容器、尿の処理方法などが好ましく提供される。 実施例 以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、
本発明は実施例に限定されること無く様々な態様が含ま
れることは理解されるべきである。 実施例1 (1)尿中IV・Cの測定 (a) IV・C分子上の異なる部位を認識する2種類の
モノクローナル抗体を用いた1ステップサンドイッチEI
A法に基づき尿中のIV・Cを測定する。すなわち、試料
中のIV・C、マウス抗ヒトIV・Cモノクローナル抗体結
合ビーズ及び酵素標識マウス抗ヒトIV・Cモノクローナ
ル抗体を同時に反応させることにより、三者の複合体を
形成させる。次にIV・Cを介して抗体結合ビーズに結合
している酵素量を発色剤の存在下、過酸化水素を基質と
して測定する。酵素量は試料中のIV・C濃度に依存する
ので、予め含有量が既知の標準液を用い作成した検量線
から、試料中のIV・C濃度を求めることができる。測定
試薬としては、例えば、IV・C測定用キット(パナッセ
イIV・C;富士薬品工業株式会社製)を用いることができ
る。 (b) 標準液あるいは尿検体(沈殿のあるものは懸濁
後採取)を100μl試験管に採取後、酵素標識マウス抗
ヒトIV・C抗体を300μl試験管に加えよく混和する。
次に、マウス抗ヒトIV・Cモノクローナル抗体結合ビー
ズを各試験管に1個ずつ入れ抗原抗体反応を開始する。
抗原抗体反応は各試験管を4〜15℃で24時間静置し行
う。抗原抗体反応終了後、反応液を吸引除去し、洗浄液
3.5ml加え吸引除去する。この操作をさらに1回繰り返
す。次に、新しい試験管にビーズを移し替える。発色液
300μl添加後、これに基質液100μlを一定間隔で加
え、混和後、15〜30℃で60分間静置し酵素反応を行う。
停止液1000μlを一定間隔で加え、酵素反応を停止す
る。水を対照として、波長450nmでの吸光度を測定す
る。 (2)尿中IV・Cの沈殿への移行 沈殿の発生した尿につき、その遠心上清および沈殿中
のIV・CをIV・C測定用キット(パナッセイIV・C;富士
薬品工業株式会社製)を用い測定した。なお、遠心によ
り分離した沈殿は、IV・C測定用キットの標準品希釈液
(遠心に供した尿と同量を添加した)にて溶解後測定に
供した。なお、IV・C測定は、臨床検査機器・試薬18,4
39−444(1995)記載の方法に従った。対照として、沈
殿の発生した尿を懸濁したものを測定した。その結果を
表1に示す。 表1から、尿沈殿中には尿微量成分であるIV・Cが取
り込まれることが明らかである。こうして尿に沈殿が発
生するとそれを十分に懸濁してサンプリングしないと満
足のいく測定結果が得られないことがわかる。 ところで比較に用いた懸濁処理に関しては、尿沈殿の
析出した検体を懸濁測定する場合と沈殿が析出する前の
測定(対照)を比較して検討した結果、尿沈殿析出の影
響は認められないことが判明した。 すなわち、採尿後、検体を二分し、一方を採尿直後に
測定し(対照)、他方を氷冷下に1時間保存し尿沈殿を
析出させた後、これを懸濁測定した(懸濁)。その結果
を表2に示す。こうして以下では、尿沈殿の析出した検
体を懸濁してから測定する場合(懸濁)との比較を行っ
てその結果の検討を行った。 実施例2 (1)TM測定操作法 標準液あるいは尿検体(沈殿のあるものは懸濁後採
取)を50μl試験管に採取後、酵素標識マウス抗ヒトTM
抗体を300μl試験管に加えよく混和する。次に、マウ
ス抗ヒトTMモノクローナル抗体結合ビーズを各試験管に
1個ずつ入れ抗原抗体反応を開始する。抗原抗体反応は
各試験管を15〜30℃で1時間静置し行う。抗原抗体反応
終了後、反応液を吸引除去し、洗浄液4.0ml加え吸引除
去する。この操作をさらに1回繰り返す。次に、新しい
試験管にビーズを移し替える。発色液300μl添加後、
これに基質液300μlを一定間隔で加え、混和後、15〜3
0℃で30分間静置し酵素反応を行う。停止液800μlを一
定間隔で加え、酵素反応を停止する。水を対照として、
波長450nmでの吸光度を測定する。測定試薬としては、
例えば、TM測定用キット(TMパナセラ;富士薬品工業株
式会社製)を用いることができる。 (2)尿中TMの沈殿への移行 沈殿の発生した尿につき、その遠心上清および沈殿中
のTMをTM測定用キット(TMパナセラ;富士薬品工業株式
会社製)を用い測定した。なお、遠心により分離した沈
殿は、TM測定用キットの緩衝液(遠心に供した尿と同量
を添加した)にて溶解後測定に供した。対照として、沈
殿の発生した尿を懸濁したものを測定した。その結果を
表3に示す。 表3から、尿沈殿中には尿微量成分であるTMが取り込
まれることが明らかである。こうして尿に沈殿が発生す
るとそれを十分に懸濁してサンプリングしないと満足の
いく測定結果が得られないことがわかる。 実施例3 尿沈殿中IV・C溶解 沈殿の発生した尿のpHを酸性あるいはアルカリ性にす
ることにより、尿沈殿中の無機塩類を溶解し、尿沈殿中
のIV・C量がどのように変化するかを検討した。 1.塩酸添加による検討 沈殿の発生した尿2mlに4N塩酸50μlを加え(終濃度
0.1N)、遠心分離後、得られた沈殿を2mlの標準品希釈
液にて溶解し、沈殿中に取り込まれたIV・Cを測定し
た。なお、塩酸を加えない尿を同様に処理し、対照とし
た。その結果を表4に示す。 表4から塩酸で処理した後に残留している沈殿には、
何も処理を加えていない対照尿検体からの沈殿の場合と
ほぼ変わらないIV・C量が観察される。言い換えれば塩
酸を加えて溶解する沈殿中にはIV・Cは含まれないこと
が明らかである。よって塩酸で処理し、沈殿の発生した
尿を酸性にしても、その沈殿から測定対照であるIV・C
を可溶化することはできないと判断される。 2.酢酸添加による検討 沈殿の発生した尿2mlに32%酢酸50μlを加え(終濃
度0.8%)、遠心分離後、得られた沈殿を2mlの標準品希
釈液にて溶解し沈殿中に取り込まれたIV・Cを測定し
た。なお、酢酸を加えない尿を同様に処理し対照とし
た。その結果を表5に示す。 表5から酢酸で処理した後に残留している沈殿には、
何も処理を加えていない対照尿検体からの沈殿の場合と
ほぼ変わらないIV・C量が観察される。言い換えれば酢
酸を加えて溶解する沈殿中にはIV・Cは含まれないこと
が明らかである。よって酢酸で処理し、沈殿の発生した
尿を酸性にしても、その沈殿から測定対象であるIV・C
を可溶化することはできないと判断される。 3.エチレンジアミン四酢酸(EDTA)添加による検討 沈殿の発生した尿2mlに20mg/ml EDTA溶液100μlを加
え(終濃度1mg/ml)、遠心分離後、得られた沈殿を2ml
の標準品希釈液にて溶解し沈殿中に取り込まれたIV・C
を測定した。なお、EDTAを加えない尿を同様に処理し対
照とした。その結果を表6に示す。 表6からEDTAで処理した後に残留している沈殿には、
何も処理を加えていない対照尿検体からの沈殿の場合と
ほぼ変わらないIV・C量が観察される。言い換えればED
TAを加えて溶解する沈殿中にはIV・Cは含まれないこと
が明らかである。よってEDTAで沈殿の発生した尿を処理
しても、その沈殿から測定対象であるIV・Cを可溶化す
ることはできないと判断される。 4.アンモニア添加による検討 沈殿の発生した尿2mlに8% アンモニア水50μlを
加え(終濃度0.2%)、遠心分離後、得られた沈殿を2ml
の標準品希釈液にて溶解し沈殿中に取り込まれたIV・C
を測定した。なお、アンモニアを加えない尿を同様に処
理し対照とした。その結果を表7に示す。 表7からアンモニアで処理した後に残留している沈殿
には、何も処理を加えていない対照尿検体からの沈殿の
場合と比較してIV・C量が有意に少なくなっていること
が観察される。言い換えればアンモニアを加えて溶解す
る沈殿中にIV・Cが含まれることが明らかである。上記
塩酸、酢酸、EDTA、アンモニア添加による尿沈殿溶解の
検討結果より、尿中IV・Cは尿のpHが酸性条件下で発生
する沈殿中に取り込まれるものと考えられる。 実施例4 アルカリ性条件下での尿沈殿溶解 実施例1〜3の結果に基づき、尿をアルカリ性とした
場合の沈殿中IV・C量の変化をさらに検討した。 すなわち、沈殿の発生した尿に、6N水酸化ナトリウ
ム、20mg/ml EDTA−NaOH溶液(pH9.0)、2M Tris溶液、
9% アンモニア水をそれぞれ加え、尿のpHを徐々に上
げていき、最終的に尿のpHを8.0に調整後、沈殿および
上清中のIV・Cを測定した。なお、対照として、無処理
尿を懸濁測定した。 1.外観 沈殿の発生した尿に6N水酸化ナトリウム液、20mg/ml
EDTA−NaOH溶液(pH9.0)、2M Tris溶液、9% アンモ
ニア水をそれぞれ添加すると、pH7〜8未満といった中
性〜弱アルカリ性で尿沈殿は溶解したが、さらに添加量
を増やしpHを8.0とすると新たに沈殿が析出した。この
結果から、尿のpHを中性〜弱アルカリ性(pH7〜8)に
調整することにより、尿沈殿を溶解できることがわか
る。 2.IV・C測定 沈殿の発生した2種類の尿に、6N水酸化ナトリウム
液、20mg/ml EDTA−NaOH溶液(pH9.0)に、2M Tris溶
液、9% アンモニア水をそれぞれ添加し、pHを8.0と
した。これを遠心し、IV・Cの測定を実施した。その結
果を表8に示す。 表8から、尿のpHを8.0にすることにより尿沈殿中に
取り込まれたIV・Cは可溶化したことが明らかである。
なお、尿のpHを8.0に調整するとき、尿沈殿は1度溶解
した後、新たに沈殿が析出した。このアルカリ性条件で
新たに析出した沈殿中にはIV・Cが取り込まれていない
ことが明らかである。 実施例5 中性〜弱アルカリ性条件下での尿沈殿溶解 上記実施例4で示すようにアルカリ性条件下での尿沈
殿溶解の検討結果より、尿沈殿中IV・Cはアルカリ性条
件で溶解することがわかった。しかしpH8.0以上では新
たに沈殿が析出することから、中性〜弱アリカリ性(pH
7〜8)での尿沈殿溶解を検討した。特定のpH域に調節
するには、緩衝剤がその終濃度の低に保つのみで比較的
容易に実現されうることから好ましいと考えて、特定の
緩衝剤を選んで検討した。 沈殿の発生した8種類の尿に、0.1Mリン酸緩衝液(pH
7.5)、1Mリン酸緩衝液(pH7.0)、2M HEPES緩衝液およ
び1.5M Tris・HCl緩衝液(pH7.5)をそれぞれ加え、そ
の外観を調べた。 その結果、尿沈殿は上記緩衝液を加えることにより溶
解した。このうち、最も効果的であったのは1.5M Tris
・HCl緩衝液(pH7.5)であった。このことより、尿沈殿
は、尿のpHを中性〜弱アルカリ性にすることにより溶解
することが明らかである。緩衝液は十分な緩衝能を有す
るものが好ましい。 実施例6 尿中IV・C測定における緩衝剤の添加効果 1)健常者尿 凍結保存してあった健常者尿25検体につき、1.5M Tri
s・HCl緩衝液(pH7.5)を用いてTris・HCl緩衝剤の添加
の効果を検討した。解凍後の尿において健常者尿25検体
中16検体に沈殿の析出が認められた。これに1.5M Tris
・HCl緩衝液(pH7.5)を1/10容添加したところ、沈殿は
溶解した。 これらの健常者尿25検体に関し、無処理およびTris・
HCl添加尿のIV・Cをそれぞれ測定した結果、良好な相
関を得た。なお、無処理尿のうち沈殿の発生しているも
のは懸濁測定を行った。 無処理尿とTris・HCl緩衝剤添加尿におけるIV・C測
定値の相関係数はr=0.984回、回帰式y=1.11x−0.43
7であり、良好な相関を示した。結果を図1に示す。尿
沈殿中に取り込まれたIV・Cは、Tris・HCl緩衝剤を添
加し尿のpHを中性〜弱アルカリ性(pH7.0〜8.0、とりわ
け、pH7.5)に保つことにより可溶化できることが明ら
かである(図1参照)。 2)糖尿病性腎症患者尿 凍結保存してあった糖尿病性腎症患者尿100検体につ
き、Tris・HCl緩衝剤添加の効果を検討した。解凍後の
尿において糖尿病性腎症患者尿100検体中60検体に沈殿
の析出が認められた。これに1.5M Tris・HCl緩衝液(pH
7.5)を1/10容添加したところ、沈殿はすべて溶解し
た。 上記解凍後に沈殿の析出していた60検体を用い、無処
理尿およびTris・HCl緩衝剤添加尿に関し尿検体中のIV
・Cを測定した結果、良好な相関を得た。なお、無処理
尿は懸濁測定を行った。 無処理尿とTris・HCl緩衝剤添加尿におけるIV・C測
定値の相関係数はr=0.989、回帰式y=0.970x+0.207
であり、良好な相関を示した。結果を図2に示す。尿沈
殿中に取り込まれたIV・Cは、Tris・HCl緩衝剤添加に
より尿のpHを中性〜弱アルカリ性(pH7.0〜8.0、とりわ
け、pH7.5)に保つことにより可溶化できることが明ら
かである(図2参照)、 実施例7 尿中TM測定における緩衝剤の添加効果 沈殿の発生した尿4検体を用い、1.5M Tris・HCl緩衝
液(pH7.5)を用いてTris・HCl緩衝剤添加の効果を検討
した。 沈殿の発生した尿につき、1.5M Tris・HCl緩衝液(pH
7.5)を1/10容添加した尿、無処理尿(懸濁測定)およ
び無処理尿を遠心して得た沈殿中のTMを測定した。その
結果、1.5M Tris・HCl緩衝液(pH7.5)を1/10容添加し
たところ、沈殿はすべて溶解した。TM測定結果を表9に
示す。 表9から、尿に1.5M Tris・HCl緩衝液(pH7.5)を加
え、そのpHを中性〜弱アルカリ性(pH7.0〜8.0、とりわ
け、pH7.5)にすることにより尿沈殿中に取り込まれたT
Mは可溶化したことが明らかである。 実施例8 (1)尿のpHの分布 健常者尿79検体及び糖尿病患者尿10検体につき、その
pHを調べた。その結果を表10に示す。 健常者尿及び糖尿病患者尿のpH(最低〜最高)は、そ
れぞれpH5.06〜7.52及びpH5.60〜7.10の範囲に分布して
おり、pH7.0未満の検体が90%を占めた。実施例3で示
したように、尿中IV・Cは尿のpHが酸性であるときに発
生する沈殿中に取り込まれる。したがって、健常者及び
糖尿病患者尿の約90%においては、本願発明を適用した
場合にはじめて懸濁などの煩雑な処理をしなくとも臨床
上有意の結果が得られるものと考えられる。 (2)尿沈殿発生の頻度 尿沈殿の発生頻度を調べるため、64名の糖尿病患者よ
り得た採尿直後の尿を2分し、一方を室温、3時間放
置、他方を10℃(冷蔵保存)、一晩放置した後、尿沈殿
の発生を観察した。 その結果を表11に示す。なお、採尿直後では尿沈殿は
認められなかった。 表11に示すように、室温で3時間放置のみでも56%の
検体で沈殿の発生が認められた。また、冷蔵保存では77
%の検体で沈殿の発生が認められた。このように、尿沈
殿は容易に発生することより、採尿から検査まで時間が
かかる場合や冷蔵保存で検査センター等へ検体を搬送す
る場合には、沈殿の発生による尿中微量成分の取り込み
が生ずるものと考えられる。 採尿から目的とする成分が定量されるまでには、複数
回の分注操作が行われる。すなわち、採尿コップから搬
送用試験管への分注、搬送用試験管から各項目が測定さ
れる検査現場へ搬送するための分注、各測定現場でサン
プリングされ定量が行われる。上記のような分注、サン
プリング操作を行うとき、尿沈殿に目的とする成分が取
り込まれる場合には、各分注、サンプリング操作に十分
な懸濁操作が必要となる。この懸濁操作に不均一性が生
じれば目的とする成分の正確な定量は不可能となる。従
って、本願発明を実施すると、尿沈殿に取り込まれた微
量成分を可溶化するため、目的とする成分の正確な定量
が可能となる。 (3)尿沈殿溶解pH下限 沈殿の発生した尿に、1.5M Tris・HCl緩衝液(pH7.
5)を徐々に加え、沈殿が溶解するpHを調べた。その結
果、表12に示すようにほぼpH7.0近辺で尿沈殿は溶解し
た。より低いpHを持つ尿では、比較的低いpHで沈殿の溶
解が観察される。従って、そうした尿では低いpHを持つ
緩衝剤を尿に添加して沈殿を可溶化することができ、測
定において沈殿の発生による障害を除くことができると
考えられる。 (4)尿保存時の尿pHの変化 3種類の尿につき、採尿直後、冷蔵保存3日後及び凍
結保存3日後にそれぞれの尿pHを測定した。その結果、
表13に示すようにいずれの尿も冷蔵及び凍結保存におい
てそのpHはほとんど変化しなかった。 従って、尿保存時の沈殿の発生は尿のpHの変化に起因
するのではないと考えられる。 実施例9 pH7.0緩衝液添加による尿沈殿の溶解 沈殿の発生した尿に、1.5M Tris・HCl緩衝液(pH7.
0)を徐々に加え、沈殿が溶解するpH、緩衝液の添加量
及び尿中IV・C量(実施例1と同様の測定法)を調べ
た。なお、無処理尿のIV・C量は沈殿尿を懸濁させて測
定した。 その結果、表14で示すようにpH6.6以上で尿沈殿は溶
解し、尿中IV・C量は緩衝液添加前後でほぼ一定であっ
た。しかし尿沈殿が溶解するのに必要な緩衝液添加量は
尿1容に対して0.36〜0.64容であり、1.5M Tris・HCl緩
衝液(pH7.5)が0.1容で十分であるのに比較して多量の
緩衝剤が必要であった。 本試験結果から1.5M Tris・HCl緩衝液(pH7.0)を用
い尿沈殿を可溶化することができることが明らかとなっ
たが、その添加量は1.5M Tris・HCl緩衝液(pH7.5)に
比較し少なくとも4〜7倍必要であるため、尿中微量成
分の定量においては、その測定に問題が無いよう(例え
ば、検体を希釈しすぎることがないよう)にすることが
必要である。 実施例10 アルブミン、トランスフェリン等へのTris・
HCl添加の影響 尿沈殿の発生している糖尿性腎症患者尿検体につき、
Tris・HCl添加及び無添加尿を調整後、その遠心上清中
のアルブミン、トランスフェリン、IgGを測定した。本
実施例中での使用キット、測定法は次の通りである。 尿中アルブミン:TIA法、日東紡績社製 尿中トランスフェリン:LTIA法、日本DPC社製 尿中IgG:プレート競合法、BML社製 検体処理は次のようにして行った。すなわち、糖尿病性
腎症患者尿を6mlずつ2本の試験管に分注後、一方はそ
のまま遠心を行いその上清を測定に供した。他方には0.
6ml 1.5M Tris・HCl,pH7.5を添加し、沈殿が溶解したこ
とを確認した。測定結果を表15〜17に示す。なお、表中
濃度は液量補正済みの値である。 (a)アルブミン測定 Tris・HCl添加尿中アルブミン測定値は、無添加の測
定値に比べ97〜393%であり、測定値が無添加のものの
2倍以上増加するもののあることが認められた。従っ
て、アルブミンは尿沈殿中に含まるものと考えられた。 (b)トランスフェリン測定 Tris・HCl添加尿中トランスフェリン測定値は、測定
値が無添加のものに比べ増加するものが認められた。従
って、トランスフェリンが尿沈殿中に含まれると考えら
れた。 (c)IgG測定 Tris・HCl添加尿中IgG測定値は、無添加の測定値に比
べ、ほとんど増加した。 実施例11 α1 MG、β2MGへのTris・HCl添加の影響 尿沈殿の発生している糖尿性腎症患者尿検体につき、
Tris・HCl添加及び無添加尿を調整後、その遠心上清中
のα1 MG、β2 MGを測定した。本実施例中での使用キッ
ト、測定法は次の通りである。 尿中αマイクログロブリン:RIA 2抗体法 尿中βマイクログロブリン:RIA 2抗体法 検体処理は次のようにして行った。すなわち、糖尿病性
腎症患者尿を6mlずつ2本の試験管に分注後、一方はそ
のまま測定前の処理として、遠心を行いその上清を測定
に供した。他方には0.6ml 1.5M Tris・HCl,pH7.5を添加
し沈殿が溶解したことを確認した。測定結果を表18及び
19に示す。なお、表中濃度は液量補正済みの値である。 1.αマイクログロブリン測定 Tris・HCl添加尿中α1 MG測定値は、無添加の測定値
に比べほとんどが増加した。従って、α1 MGは沈殿中に
含まれるものと考えられた。 2.βマイクログロブリン測定 Tris・HCl添加尿中β2MG測定値は、無添加の測定値に
比べほとんどが増加した。従って、β2 MGは尿沈殿中に
含まれるものと考えられた。 こうして、尿中α1 MG及びβ2 MG測定において、尿へ
のTris・HCl添加により、尿沈殿中取り込まれているα1
MG及びβ2 MGを可溶化(尿沈殿中成分の可溶化)する
ことができ、尿中α1 MG及びβ2 MGを測定するの場合の
処理として非常に意義のあるものと考えられた。 実施例12 遠心処理の影響 遠心処理の影響を検討するため、アルブミン測定に関
しては尿沈殿の発生している糖尿病性腎症患者尿検体
を、それぞれを4分し、Tris・HCl無添加及び添加と遠
心処理及び自然沈降処理の条件を組み合わせた。本実施
例中での使用キット・測定法は、尿中アルブミン:免疫
比濁法であり、検体処理は次のようにして行った。すな
わち、尿検体(沈殿が多量に発生したもの)の懸濁液を
5mlずつ4本の試験管に分注後、2本の試験管はそのま
ま、残りの2本に試験管に1.5M Tris・HCl,pH7.5を0.5m
lずつ添加し沈殿が溶解したのを確認し、Tris・HCl無添
加検体を遠心処理後及び尿沈殿が自然沈降した後、各項
目の測定に供した。なお、Tris・HCl添加検体も同様の
処理を行った。測定結果を表20に示す。 Tris・HCl無添加群において、アルブミン測定への検
体の前処理・遠心あるいは自然沈降の測定値への影響を
検討した結果、検体の前処理としての遠心処理の影響に
関し、表20に示すように遠心処理による測定値に対する
相対値は平均90%であった。従って、検体の前処理とし
て遠心あるいは自然沈降を実施しても、それらの上清中
の成分量は影響されないものと考えられた。また、尿中
アルブミン測定へのTris・HCl添加の影響については、
尿中アルブミンが尿沈殿中に含まれることが示唆され
た。 実施例13 各種緩衝液の効果 1. 次の各種緩衝液を調製し、尿沈殿の発生した3種の
尿3.5mlについてそれぞれの緩衝液を添加し、尿沈殿の
状況を観察し、また尿検体中のIV・C値を測定した。な
お、沈殿があるものは上清中のIV・C値を測定した。 (1)0.5M Na2HPO4−KH2PO4緩衝液(pH6.5) (2)0.5M クエン酸−Na2HPO4緩衝液(pH6.5) (3)1M イミダゾール−HCl緩衝液(pH6.5) (4)1M HEPES緩衝液(pH6.8) (5)1M TES(N−トリスメチル−2−アミノエタンス
ルホン酸)緩衝液(pH6.8) その結果、緩衝液を添加することにより、尿沈殿が一
部又は全て溶解し、尿検体中のIV・C値はいずれも緩衝
液を添加しないものと比べ増加した(表21−1)。この
ことから緩衝液の添加により、尿沈殿中のIV・Cが可溶
化されることが確認できた。すなわち、これら緩衝液は
尿沈殿の溶解に効果があり、尿沈殿中の微量成分である
IV・Cを可溶化した。 2. 次の各種緩衝液を調製し、尿沈殿の発生した3種の
尿3.5mlについてそれぞれの緩衝液を添加し、尿沈殿の
状況を観察し、また尿検体中のIV・C値を測定した。な
お、沈殿があるものは上清中のIV・C値を測定した。 (1)0.5M ホウ酸・KCl−NaOH緩衝液(pH8.2) (2)0.5M Na2HPO4−KH2PO4緩衝液(pH8.0) (3)0.5M クエン酸−Na2HPO4緩衝液(pH8.0) (4)0.05MバルビタールNa−HCl緩衝液(pH8.2) (5)1M イミダゾール−HCl緩衝液(pH7.8) (6)1M HEPES緩衝液(pH8.2) (7)1M TES緩衝液(pH8.2) その結果、緩衝液を添加することにより、尿沈殿が一
部又は全て溶解した。また、一部検体においては、尿沈
殿が全て溶解するのとほぼ同時にあらたに白い沈殿が発
生した。尿検体中のIV・C値はいずれも緩衝液を添加し
ないものと比べ大きく増加した(表21−2)。このこと
から緩衝液の添加により、尿沈殿中のIV・Cが可溶化さ
れることが確認できた。すなわち、これら緩衝液は尿沈
殿の溶解に効果があり、尿沈殿中の微量成分であるIV・
Cを可溶化した。 実施例14 尿沈殿を溶解せしめる際の尿のpHの範囲 尿沈殿の発生した3種の尿に1.5M Tris・HCl緩衝液
(pH9.5)を添加し、pHを約6.5あるいは8.2とした。ま
た、緩衝液添加前後の尿のIV・Cを測定した。その結果
を、表22に示す。 その結果、尿のpHを6.5あるいは8.2にしたいずれの場
合でも目視で明らかに尿沈殿の減少や溶解が認められ
た。また、懸濁液から求めたIV・C値(A)は、いずれ
のpHの場合でも大きな違いはなかったが、(A)に対す
る上清から求めたIV・C値(B)の比はいずれのpHの場
合でも緩衝液を添加しない場合より大きくなった。この
ことからpHを6.5あるいは8.2にすることにより、尿沈殿
中のIV・Cが可溶化できることが確認できた。 以上のことから、尿沈殿の溶解に効果のある尿のpH
は、少なくともpH6.5〜8.2であることが明らかである。 実施例15 尿検体処理剤含有容器 本発明の尿検体処理剤を含有し、尿採取と同時に必要
な処理を可能とした容器が提供できる。典型的な容器と
しては、尿試験に使用される試験管が挙げられる。試験
管の形状としては、丸底のもの、スピッツ(先端が
細くなるもの)がいずれも含まれる。本発明の採尿管
は、例えば9mlの丸底試験管(PET製)に1.5M Tris・HC
l,pH7.5を0.5ml添加し、これを凍結乾燥する。使用時に
は、尿を5mlのラインまで加え、混和する。これによ
り、尿沈殿に取り込まれる測定対象アナライトの可溶化
が可能となる。 産業上の利用可能性 本発明によれば、沈殿の発生した尿のpHを弱酸性〜弱
アルカリ性、例えば、pH6.5〜8.0にすることにより、沈
殿中に取り込まれた微量成分を可溶化することができ、
これにより、尿中微量成分が正確に定量され得る。更に
は収集した尿をpHを弱酸性〜弱アルカリ性、例えば、pH
6.5〜8.2に保つことにより、免疫測定法、生化学的測定
法等における好ましくない影響を防止したり、排除する
ことができ、正確且つ簡単に有意の臨床検査結果を得る
ことが可能となる。免疫測定法、生化学的測定法を行う
際、尿検体を実質的に安定した状態で運搬したり、長時
間の保存をなすことを可能にする。大量の検体を簡単な
方法で正確にサンプリング処理できるので、主として各
種測定機器や試薬を備えた検査部、検査センター等で行
われる検査用検体として、冷蔵あるいは凍結保存した尿
を使用できる。大量の尿検体を、省力下に正確かつ効率
的に処理し、さらには自動化にも適しており、臨床上有
意なデータを簡単かつ確実に得ることを可能にする。本
発明は、尿沈殿中に取り込まれる尿中の微量成分を定量
する時にその技術を利用することができ、尿沈殿中に取
り込まれた微量成分の可溶化に効果的に用いられ得る。
尿検体に沈殿が生じているか否かに関係なく、免疫的測
定、生化学的測定等に適するように該尿検体のサンプリ
ングを可能にし、さらには該測定操作を自動化するのに
好ましいようにすることができ、そして臨床上有意の結
果を簡単且つ確実に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 真一 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品 工業株式会社内 (72)発明者 岩田 和士 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−110328(JP,A) 特開 昭64−47391(JP,A) 特開 平8−100000(JP,A) 特表 平4−502363(JP,A) 国際公開96/12191(WO,A1) 米国特許5194390(US,A) 金井正光編著,「臨床検査法提要改訂 第30版」,金原出版株式会社,1993年, p93−115、148−156 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 - 33/98

Claims (32)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】保存尿検体に通常発生する沈殿の少なくと
    も一部を実質的に測定に影響を及ぼさないように、それ
    を可溶化するか、あるいはその生成を抑制または阻止す
    るためのものであり、且つ尿検体に発生する沈殿中に取
    り込まれたそして測定対象アナライトである微量成分た
    るタンパク成分を可溶化処理するものである尿検体処理
    剤であって、該尿検体処理剤は、pH6.5〜9.5を有する緩
    衝剤を有効成分として含有することを特徴とするタンパ
    ク成分測定用尿検体処理剤。
  2. 【請求項2】pH6.5〜8.2を有する緩衝剤を有効成分とし
    て含有することを特徴とする請求項1記載の尿検体処理
    剤。
  3. 【請求項3】pH7.4〜7.6を有する緩衝剤を有効成分とし
    て含有することを特徴とする請求項1又は2記載の尿検
    体処理剤。
  4. 【請求項4】緩衝剤が、リン酸塩緩衝液、N−トリス
    (ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホ
    ン酸(TES)緩衝液、N−(2−ヒドロキシエチル)ピ
    ペラジン−N'−エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液、ト
    リス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)−塩酸
    緩衝液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液、バルビタール
    緩衝液及びイミダゾール−塩酸緩衝液からなる群から選
    ばれた緩衝液を与えるものであることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか一記載の尿検体処理剤。
  5. 【請求項5】免疫測定における検体を処理するものであ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一記載の尿
    検体処理剤。
  6. 【請求項6】尿検体に発生する沈殿が、尿検体保存中に
    発生するものであることを特徴とする請求項5記載の尿
    検体処理剤。
  7. 【請求項7】尿検体に発生する沈殿が、pH7.0より低い
    尿の保存中に発生するものであることを特徴とする請求
    項5又は6記載の尿検体処理剤。
  8. 【請求項8】可溶化処理が、請求項1〜4のいずれか一
    記載の緩衝剤により尿のpHを高めることによりなされる
    ものであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一
    記載の尿検体処理剤。
  9. 【請求項9】可溶化処理が、尿にトリス(ヒドロキシメ
    チル)アミノメタン(Tris)−塩酸緩衝液を添加してな
    されるものであることを特徴とする請求項5〜8のいず
    れか一記載の尿検体処理剤。
  10. 【請求項10】微量成分が、尿中トランスフェリン、尿
    中成長ホルモン、尿中IgG、尿中アルブミン、尿中絨毛
    性ゴナドトロピン、尿中αマイクログロブリン、尿中
    βマイクログロブリン、各型コラーゲン、プロリン水
    酸化酵素、ラミニン、マトリックスメタロプロテアーゼ
    類(MMPs)、ティシュ・インヒビター・オブ・メタロプ
    ロテアーゼ類(TIMPs)及びトロンボモジュリンからな
    る群から選ばれたものであることを特徴とする請求項5
    〜9のいずれか一記載の尿検体処理剤。
  11. 【請求項11】微量成分が、IV型コラーゲン及びトロン
    ボモジュリンからなる群から選ばれたものであることを
    特徴とする請求項5〜10のいずれか一記載の尿検体処理
    剤。
  12. 【請求項12】尿検体をpH6.5〜8.2にし、そのpHを維持
    せしめるものであることを特徴とする請求項1記載の尿
    検体処理剤。
  13. 【請求項13】尿検体をpH7.4〜7.6にし、そのpHを維持
    せしめるものであることを特徴とする請求項12記載の尿
    検体処理剤。
  14. 【請求項14】請求項1〜4のいずれか一記載の緩衝剤
    により、尿のpHを高めるか、あるいは尿のpHを所定の値
    に維持することによりなされるものであることを特徴と
    する請求項12又は13記載の尿検体処理剤。
  15. 【請求項15】尿にトリス(ヒドロキシメチル)アミノ
    メタン(Tris)−塩酸緩衝液を添加してなされるもので
    あることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一記載の
    尿検体処理剤。
  16. 【請求項16】請求項5〜11のいずれか一記載の可溶化
    処理を尿に施し、新鮮尿では尿に生ずる沈殿の形成によ
    って実質的に測定対象アナライトの測定に影響を与える
    のを防止するか、あるいは保存された尿では尿中の沈殿
    形成で生ずる測定対象アナライトの測定における障害を
    実質的に除去することを特徴とする請求項12〜15のいず
    れか一記載の尿検体処理剤。
  17. 【請求項17】新鮮尿においてその保存で尿に生ずる沈
    殿の形成を防止するか、あるいは保存された尿中の沈殿
    を溶解することを特徴とする請求項12〜16のいずれか一
    記載の尿検体処理剤。
  18. 【請求項18】請求項1〜17のいずれか一記載のタンパ
    ク成分測定用尿検体処理剤を収容してなり、即時使用可
    能な形態であることを特徴とするタンパク成分測定用尿
    検体用容器。
  19. 【請求項19】溶液形態の尿検体処理剤を含有している
    ことを特徴とする請求項18記載の尿検体用容器。
  20. 【請求項20】易溶解性固体形態の尿検体処理剤を含有
    していることを特徴とする請求項18記載の尿検体用容
    器。
  21. 【請求項21】凍結乾燥固体の尿検体処理剤を含有して
    いることを特徴とする請求項20記載の尿検体用容器。
  22. 【請求項22】尿を請求項1〜17のいずれか一記載のタ
    ンパク成分測定用尿検体処理剤で処理することを特徴と
    するタンパク成分測定用尿検体処理法。
  23. 【請求項23】尿を尿検体処理剤で処理し、尿検体に通
    常発生する沈殿の少なくとも一部を実質的に測定に影響
    を及ぼさないように、それを可溶化するか、あるいは該
    沈殿の生成を抑制または阻止し、且つ尿検体に発生する
    沈殿中に取り込まれたそして測定対象アナライトである
    微量成分たるタンパク成分を可溶化処理することを特徴
    とする請求項22記載の尿検体処理法。
  24. 【請求項24】尿を請求項1〜!7のいずれか一記載のタ
    ンパク成分測定用尿検体処理剤で処理した後該尿を検体
    として測定に用い、タンパク成分を測定することを特徴
    とする尿検体タンパク成分の測定法。
  25. 【請求項25】尿検体を尿検体処理剤で処理し、尿検体
    に通常発生する沈殿の少なくとも一部を実質的に測定に
    影響を及ぼさないように、それを可溶化するか、あるい
    はその生成を抑制または阻止し、こうして処理された尿
    検体を用いて、測定対象アナライトである微量成分たる
    タンパク成分を測定することを特徴とする請求項24記載
    の測定法。
  26. 【請求項26】尿検体を測定するにあたり、該尿検体に
    懸濁処理を施すこと無くサンプリングし、測定対象アナ
    ライトである微量成分たるタンパク成分を測定すること
    を特徴とする請求項24又は25記載の測定法。
  27. 【請求項27】尿検体を用いて、IV型コラーゲン及びト
    ロンボモジュリンからなる群から選ばれた測定対象アナ
    ライトを測定することを特徴とする請求項24〜26記載の
    測定法。
  28. 【請求項28】尿検体を自動的にサンプリングし、測定
    対象アナライトを測定することを特徴とする請求項24〜
    27記載の測定法。
  29. 【請求項29】(1)(i)モノクローナル抗ヒトIV型
    コラーゲン抗体を含有するヒトIV型コローゲン測定試薬
    あるいは(ii)モノクローナル抗体ヒトトロンボモジュ
    リン抗体を含有するヒトトロンボモジュリン測定試薬と
    (2)(a)請求項1〜17のいずれか一記載のタンパク
    成分測定用尿検体処理剤あるいは(b)請求項18〜21の
    いずれか一記載のタンパク成分測定用尿検体用容器とが
    セットにされていることを特徴とするキット。
  30. 【請求項30】(a)請求項1〜17のいずれか一記載の
    タンパク成分測定用尿検体処理剤あるいは(b)請求項
    18〜21のいずれか一記載のタンパク成分測定用尿検体用
    容器を構成試薬の一つとしていることを特徴とする
    (i)モノクローナル抗ヒトIV型コラーゲン抗体を含有
    するヒトIV型コラーゲン測定試薬あるいは(ii)モノク
    ローナル抗ヒトトロンボモジュリン抗体を含有するヒト
    トロンボモジュリン測定試薬。
  31. 【請求項31】尿検体に発生する沈殿の少なくとも一部
    を可溶化するか、あるいは該沈殿の生成を抑制または阻
    止し、且つ尿検体に発生する沈殿中に取り込まれたそし
    て測定対象アナライトである微量成分たるタンパク成分
    を可溶化処理するための尿検体処理剤であって、該尿検
    体処理剤はpH6.5〜9.5を有する緩衝剤を有効成分として
    含有し、該緩衝剤は尿検体をpH6.5〜8.2にし、そのpHを
    維持せしめるものであることを特徴とする尿検体処理
    剤。
  32. 【請求項32】尿検体中の微量成分である測定対象アナ
    ライトタンパク成分の免疫測定において(i)一定量の
    尿検体に、一定の割合のpH6.5〜9.5の尿検体処理剤を添
    加し、pHを6.5〜8.2とした後、 (ii)尿検体の沈殿物または沈殿物の一部を可溶化し、 (iii)一定量の尿検体中のアナライトを測定する ことを特徴とする免疫測定法。
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