JP3358574B2 - 異方性導電性接着剤 - Google Patents

異方性導電性接着剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、端子間に異方性導
電膜を形成して端子間を接着すると共に電気的に接合す
る異方性導電性接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】異方性導電性接着剤は、フレキシブルプ
リント基板(FPC)やTABと液晶パネルのガラス基
板上に形成されたITO端子とを接続する場合をはじめ
として、種々の端子間に異方性導電膜を形成し、それに
より該端子間を接着すると共に電気的に接合する場合に
使用されている。
【0003】異方性導電性接着剤は、一般にエポキシ樹
脂、硬化剤及び導電粒子からなり、中でも使用上の便宜
等の点から1液型の熱硬化型のものが主流になってきて
いる。また、異方性導電性接着剤としては、高温高湿下
でも安定した接続信頼性を得られるようにするため、種
々の方法により接着強度の強化が図られている。
【0004】ところで、液晶パネルとTABとの接続な
どにおいては、数多くのTABを液晶パネルに圧着する
ため、位置合わせのずれなどにより接続不良が生じる場
合がある。このような場合、液晶パネルからTABを剥
離し、さらに液晶パネルに残存した異方性導電膜を除去
し、再度異方性導電性接着剤を用いてその液晶パネルに
TABを接続できるようにすることが望ましい。そのた
め、現在ではTABを剥離すべき部分に異方性導電膜剥
離剤を塗布し、TABを剥離することが行われている。
そして、この異方性導電膜剥離剤としては、塩素系溶剤
と界面滑性剤からなるものが使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来の異方性導電膜剥離剤においては、その中に
含まれる塩素系溶剤が人体や自然環境へ悪影響をもたら
す恐れがあり、また液晶パネルも損傷され易いという欠
点があり、その使用が問題となっている。そのため、こ
のような塩素系溶剤を含まない剥離剤においても容易に
剥離できる異方性導電膜を形成する異方性導電性接着剤
の開発が求められている。
【0006】本発明は以上のような従来技術の問題点を
解決しようとするものであり、塩素系溶剤を用いた従来
の異方性導電膜剥離剤を使用することなく、安全に使用
できる剥離剤により容易に異方性導電膜を剥離でき、か
つ接着強度や電気的接続信頼性も高い異方性導電性接着
剤を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、異方性導
電性接着剤を構成するエポキシ樹脂中にエラストマー変
性固形エポキシ樹脂とエラストマー変性液状エポキシ樹
脂とを特定の割合で配合すれば、端子間を接着強度や電
気的接続信頼性高く接合でき、しかも一旦接合した端子
間に対して塩素系溶剤を塗布することなく容易に入手で
きる安全な溶剤を塗布することにより、その端子間に形
成された異方性導電膜を剥離できることを見出し、本発
明の異方性導電性接着剤を完成させるに至った。
【0008】すなわち、本発明は、エポキシ樹脂、硬化
剤及び導電粒子からなる異方性導電性接着剤において、
エラストマー変性固形エポキシ樹脂及びエラストマー変
性液状エポキシ樹脂が含まれ、かつ該エラストマー変性
固形エポキシ樹脂と該エラストマー変性液状エポキシ樹
脂との配合比が、エラストマー変性固形エポキシ樹脂1
00部に対してエラストマー変性液状エポキシ樹脂が3
〜70部であることを特徴とする異方性導電性接着剤を
提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の異方性導電性接着剤は、
従来例と同様にエポキシ樹脂、硬化剤及び導電粒子から
なるが、このエポキシ樹脂中にエラストマー変性固形エ
ポキシ樹脂及びエラストマー変性液状エポキシ樹脂を含
有していることを特徴としている。ここで、エラストマ
ー変性固形エポキシ樹脂とは常温で固体のエラストマー
変性エポキシ樹脂を意味し、エラストマー変性液状エポ
キシ樹脂とは常温で液体のエラストマー変性エポキシ樹
脂を意味する。このようなエラストマー変性固形エポキ
シ樹脂を使用することにより、形成される異方性導電膜
のフィルム性(膜強度)が向上し耐湿性が高くなる。た
だし、エラストマー変性固形エポキシ樹脂を過剰に使用
すると異方性導電性接着剤の粘着性が低下し、また一旦
接合した端子間を剥離し再度接合できるようにするとい
う再生性が劣ったものとなる。そこで、本発明の接着剤
においては、特定の割合でエラストマー変性液状エポキ
シ樹脂も使用し、それにより粘着性および再生性を向上
させる。すなわち、エラストマー変性固形エポキシ樹脂
によるフィルム性と、エラストマー変性液状エポキシ樹
脂による粘着性及び再生性とのバランスの点から、エラ
ストマー変性固形エポキシ樹脂とエラストマー変性液状
エポキシ樹脂との配合比を、エラストマー変性固形エポ
キシ樹脂100部に対してエラストマー変性液状エポキ
シ樹脂が3〜70部とする。
【0010】また、エラストマー変性固形エポキシ樹脂
とエラストマー変性液状エポキシ樹脂との合計量として
は、再生性を向上させる点から異方性導電性接着剤の1
%以上とすることが好ましい。
【0011】本発明の異方性導電性接着剤においては、
エポキシ樹脂として上記のエラストマー変性固形エポキ
シ樹脂とエラストマー変性液状エポキシ樹脂の他、従来
より異方性導電性接着剤に使用されているエポキシ樹脂
を含有することができる。このようなエポキシ樹脂とし
ては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂
等をあげることができ、これらのエポキシ樹脂は単独で
も2種以上を混合して使用することができる。
【0012】エポキシ樹脂の硬化剤としては、種々のも
のを使用することができるが、イミダゾール誘導体とエ
ポキシ化合物との反応により形成された潜在性硬化型の
エポキシ変性イミダゾール系硬化剤を使用することが好
ましい。
【0013】導電粒子としては、電気的に良好な導体で
ある限り種々のものを使用することができる。例えば、
銅、銀、ニッケル等の金属粉体、このような金属で被覆
された樹脂あるいはセラミック粉体等を使用することが
できる。また、その形状についても特に制限はなく、り
ん片状、樹枝状、粒状、ペレット状等の任意の形状をと
ることができる。
【0014】また、本発明の異方性導電性接着剤には、
溶剤及び硬化促進剤等の各種添加剤を必要に応じて添加
することができる。
【0015】本発明の異方性導電性接着剤は常法により
製造できる。例えば、エラストマー変性固形エポキシ樹
脂を溶剤により溶解し、次いでエラストマー変性液状エ
ポキシ樹脂、その他のエポキシ樹脂、硬化剤を混合し、
さらに導電粒子を混合することにより製造できる。ま
た、その使用方法も例えば常法にしたがって予めフィル
ム化し、接続すべき端子間に適用し、加熱圧着すればよ
い。
【0016】本発明の異方性導電膜剥離剤の使用方法と
しては、剥離すべき異方性導電膜上に塗布し、通常は数
分間放置するだけでよい。それにより、その異方性導電
膜を剥離することが可能となる。
【0017】本発明の異方性導電性接着剤は、エポキシ
樹脂としてエラストマー変性固形エポキシ樹脂とエラス
トマー変性液状エポキシ樹脂とを含有し、それらの配合
比をエラストマー変性固形エポキシ樹脂100部に対し
てエラストマー変性液状エポキシ樹脂を3〜70部とし
ているので、この異方性導電性接着剤により形成される
異方性導電膜のフィルム性、粘着性及び再生性がバラン
スよく向上する。その結果、端子間を信頼性高く接続す
ることができると共に、一旦接続した端子間を剥離剤で
剥離し、再度この異方性導電性接着剤を用いて接続しな
おすことも容易となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0019】実施例1〜5及び比較例1〜2 表1に示した配合のバインダーとトルエンとを混合して
固形分70重量%に調整し、次いで導電粒子(粒径5〜
10μm、3.5重量%)を混合し、種々の異方性導電
性接着剤を調製した。
【0020】得られた異方性導電性接着剤を厚み30μ
mのフィルム状にし、TABとガラス基板上のITO電
極との端子間(ピッチ0.2mm)に適用し、この端子
間を150℃、40kg/cm2で20秒間加熱圧着し
て接合した。
【0021】このTABとITO電極との接合物に対し
て、初期導通特性、耐湿性(85℃、85%RH、10
00時間エージング後の導通特性)、再生性、フィルム
性(膜強度)及び硬化性(150℃で20秒間圧着した
時の、IRで確認したエポキシ反応率)を◎、○、×の
3段階で評価した。この場合、初期導通特性は50Ω以
下の場合に評価を○とし、硬化性はIRで確認したエポ
キシ反応率が70%以上の場合に評価を○とした。ま
た、再生性は、図1(a)のようにTAB1とガラス基
板上のITO電極2との間に異方性導電膜3が形成され
ている接合物に対して、まず、TAB1をガラス基板上
のITO電極2から剥離し、次に図1(b)のようにT
HF:MeOH=2:1の混合溶媒系剥離剤4をガラス
基板の上から異方性導電膜3を覆うように塗布し、2〜
3分経過後テフロンのヘラを用いてこの剥離剤4と異方
性導電膜3の双方を取り除き、さらにアセトンでガラス
基板上を清浄化し、その後、再度当初の異方性導電性接
着剤を用いてTABとガラス基板上のITO電極とを接
合した場合の接着性について評価した。結果を表1に示
した。
【0022】
【表1】 量(重量部) 実施例 比較例 1 2 3 4 5 1 2 (配合) エポキシ樹脂(a) 30 30 30 20 40 30 30 変性固形エポキシ(b) 30 30 30 40 20 30 30 変性液状エポキシ(c) 2 5 10 5 5 0.5 25硬化剤(d) 60 60 60 60 60 60 60 (評価) 導通特性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 耐湿性 ◎ ○ ○ ○ ○ ◎ × 再生性 ○ ○ ◎ ○ ○ × ◎ フィルム性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ×硬化性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ (注) (a): ビスフェノールA型エポキシ樹脂、 エポキシ当量
2000〜4000、油化シェルエポキシ(株)製、E
p1009 (b): ゴム変性固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
エポキシ当量800〜1500、 三井石油化学(株)
製、SR35K (c): ウレタン変性液状ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、 エポキシ当量220〜270、 旭電化(株)製、
EPU17T−6 (d): イミダゾール系潜在性硬化剤、 旭化成(株)製、
Hx3941Hp
【0023】
【発明の効果】本発明の異方性導電性接着剤によれば、
人体や環境に対して安全に使用できる剥離剤により容易
に剥離できる異方性導電膜を形成でき、かつ端子間の接
着強度や電気的接続信頼性も高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】異方性導電膜剥離剤の使用方法の説明図であ
る。
【符号の説明】
1 TAB、2 ITO電極、3 異方性導電膜、4 剥離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−95310(JP,A) 特開 平2−189329(JP,A) 特開 平4−145185(JP,A) 特開 平1−113480(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 1/22 C09J 9/02 C09J 163/00 H01B 5/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂、硬化剤及び導電粒子から
    なる異方性導電性接着剤において、エラストマー変性固
    形エポキシ樹脂及びエラストマー変性液状エポキシ樹脂
    が含まれ、かつ該エラストマー変性固形エポキシ樹脂と
    該エラストマー変性液状エポキシ樹脂との配合比が、エ
    ラストマー変性固形エポキシ樹脂100部に対してエラ
    ストマー変性液状エポキシ樹脂が3〜70部であること
    を特徴とする異方性導電性接着剤。
  2. 【請求項2】 硬化剤がエポキシ変性イミダゾール系硬
    化剤である請求項1記載の異方性導電性接着剤。
  3. 【請求項3】 異方性導電性接着剤中のエラストマー変
    性固形エポキシ樹脂とエラストマー変性液状エポキシ樹
    脂との合計含有量が1%以上である請求項1又は2記載
    の異方性導電性接着剤。
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