JP3357483B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

ポリエステルの製造方法

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JP3357483B2 JP27676194A JP27676194A JP3357483B2 JP 3357483 B2 JP3357483 B2 JP 3357483B2 JP 27676194 A JP27676194 A JP 27676194A JP 27676194 A JP27676194 A JP 27676194A JP 3357483 B2 JP3357483 B2 JP 3357483B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ポリエステルの製造方法
に関し、さらに詳しくは、重縮合工程において留出する
ジヒドロキシ化合物含有留出物を処理して、回収された
ジヒドロキシ化合物と重縮合触媒とをエステル化工程に
供給するポリエステルの製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】従来から、ポリエチレンテレフタ
レートなどのポリエステルは、ボトルなどの成形品、繊
維、フィルム、シートなどの素材として用いられてい
る。
【0003】このようなポリエステルは、通常ジカルボ
ン酸とジヒドロキシ化合物とをエステル化するエステル
化工程と、重縮合触媒の存在下に液相重縮合する重縮合
工程を含む工程によって製造される。そしてこの重縮合
工程では、エチレングリコールなどのジヒドロキシ化合
物を系外に留去させながら重縮合が行われるが、重合系
に添加された重縮合触媒の60〜70%は、このジヒド
ロキシ化合物とともに系外に留出する。
【0004】このように重縮合工程から留去されるジヒ
ドロキシ化合物は、重縮合触媒を含んでいるため、これ
を重合系に供給すると、重縮合触媒およびジヒドロキシ
化合物を効率的に使用することができる。しかし、この
ジヒドロキシ化合物は、重縮合触媒以外にポリエステル
の品質を低下させる不純物を多量に含むため、このまま
ポリエステルの製造工程にリサイクル使用することは困
難であった。
【0005】このような問題を解決するために、たとえ
ば特開昭57−26632号公報には、図1に示すよう
にポリエステルの製造工程で発生したゲルマニウムを含
むグリコールを、カチオン樹脂で処理した後、ポリエス
テル原料として用いる方法が提案されている。しかしな
がらこのような方法では、不純物を充分に除去すること
ができないという問題点があった。
【0006】このため重縮合工程から留去される重縮合
触媒を含むジヒドロキシ化合物から不純物を効率よく除
去し、ポリエステルの品質を低下させることなくポリエ
ステルの製造工程に再利用する方法が求められている。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような状況のもとなさ
れたものであって、重縮合工程から留去される重縮合触
媒を含むジヒドロキシ化合物から不純物を除去し、ジヒ
ドロキシ化合物および重縮合触媒を効率よく再利用する
ことにより、ポリエステルの生産効率を向上させ、生産
コストを低下させることができるようなポリエステルの
製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係るポリエステルの製造方法
は、ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とからポリエス
テルを、エステル化工程と、重縮合工程とを含む工程に
よって製造するに際して、前記重縮合工程において留出
するジヒドロキシ化合物含有留出物に下記(a)〜
(c)工程を含む処理を行い、回収されたジヒドロキシ
化合物と重縮合触媒とを前記エステル化工程に供給する
ことを特徴としている; (a)蒸留工程 (b)濾過工程 (c)脱色工程 本発明では、前記ジヒドロキシ化合物含有留出物を処理
するに際して、前記(a)〜(c)工程に加えて(d)
除鉄工程を含む処理を行うことが好ましい。
【0009】また、本発明では、前記ジヒドロキシ化合
物含有留出物を処理した後、回収された重縮合触媒を含
むジヒドロキシ化合物に重縮合触媒を添加して触媒含有
量の調整を行うことが好ましい。
【0010】
【発明の具体的説明】以下、本発明のポリエステルの製
造方法について具体的に説明する。本発明では、ジカル
ボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジヒドロキ
シ化合物またはそのエステル形成性誘導体とをエステル
化工程でエステル化した後、重縮合工程で液相重縮合し
てポリエステルを製造する際に、重縮合工程において留
出するジヒドロキシ化合物含有留出物に蒸留、濾過、脱
色などの処理を行った後に、回収されたジヒドロキシ化
合物および重縮合触媒をエステル化工程に供給してい
る。このようなポリエステルの製造は、通常連続方式で
行われる。
【0011】エステル化工程には、ジカルボン酸または
そのエステル形成性誘導体と、ジヒドロキシ化合物また
はそのエステル形成性誘導体と、必要に応じて、単官能
性化合物、多官能性化合物などの他の成分を含むスラリ
ーおよび、後述する重縮合工程から留出し、蒸留、濾
過、脱色などの処理により回収され、必要に応じて触媒
含有量が調整された、重縮合触媒を含有するジヒドロキ
シ化合物が連続的に供給される。
【0012】前記スラリーには、ジカルボン酸またはそ
のエステル形成性誘導体1モルに対して1.02〜2.0
モル、好ましくは1.03〜1.5モルのジヒドロキシ化
合物またはそのエステル形成性誘導体が含まれる。ま
た、必要に応じて用いられる他の成分は、ジカルボン酸
またはそのエステル形成性誘導体と、ジヒドロキシ化合
物またはそのエステル形成性誘導体との合計量を100
モル%とした場合に0.01〜2モル%、好ましくは0.
05〜1モル%の量で含まれることが望ましい。
【0013】本発明で用いられるジカルボン酸として
は、テレフタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン
酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボ
ン酸などが挙げられる。
【0014】ジヒドロキシ化合物としては、エチレング
リコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリ
コール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオー
ル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-
ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(4-β-
ヒドロキシエトキシフェニル)スルホンなどが挙げられ
る。
【0015】単官能化合物としては、ベンゾイル安息香
酸、ジフェニルスルホンモノカルボン酸、ステアリン
酸、メトキシポリエチレングリコール、フェノキシポリ
エチレングリコールなどが挙げられ、多官能性化合物と
しては、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリ
スリトールなどが挙げられる。
【0016】エステル化反応は、少なくとも2個のエス
テル化反応器を直列に連結した反応装置を用いてジヒド
ロキシ化合物が還流する条件下で、反応によって生成し
た水などを精留塔で系外に除去しながら実施される。
【0017】エステル化反応を行う際の反応条件は、た
とえばエステル化反応を2段階で実施する場合には、第
1段目のエステル化反応の温度は、通常240〜270
℃、好ましくは245〜265℃であり、圧力は、通常
0.2〜3kg/cm2-G、好ましくは0.5〜2kg/
cm2-Gである。第2段目のエステル化反応の温度は、
通常250〜280℃、好ましくは255〜275℃で
あり、圧力は、通常0〜1.5kg/cm2-G、好まし
くは0〜1.3kg/cm2-Gであることが望ましい。
【0018】このエステル化工程により低次縮合物が得
られ、この低次縮合物の数平均分子量は、通常500〜
5000である。このようなエステル化反応は、トリエ
チルアミン、トリn-ブチルアミン、ベンジルジメチルア
ミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニ
ウム、水酸化テトラn-ブチルアンモニウム、水酸化トリ
メチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモ
ニウムおよび炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添加し
て実施することが望ましい。前記塩基性化合物の存在下
にエステル化反応を実施すると、ポリエステルの主鎖中
のジオキシエチレンテレフタレート成分単位の割合を比
較的低水準に保持することができる。
【0019】次に、前記エステル化工程で得られた低次
縮合物は、重縮合工程に供給される。重縮合工程では、
重縮合触媒の存在下、減圧下で、得られるポリエステル
の融点以上の温度(通常270〜300℃)に加熱し、
重縮合の際生成するエチレングリコールなどのジヒドキ
シ化合物を含有するジヒドロキシ化合物含有留出物を系
外に留去させながら重縮合する。前記ジヒドロキシ化合
物含有留出物には、エチレングリコールなどのジヒドロ
キシ化合物、重縮合触媒、水、オリゴマーなどが含有さ
れている。
【0020】系外に留去されたジヒドロキシ化合物含有
留出物は、(a)蒸留工程、(b)濾過工程、(c)脱
色工程、必要に応じて(d)除鉄工程を含む処理を行
い、不純物を除去し、回収されたジヒドロキシ化合物お
よび重縮合触媒は、ポリエステルの原料および触媒とし
てエステル化工程に供給される。
【0021】留去されたジヒドロキシ化合物含有留出物
の処理は、(a)蒸留工程、(b)濾過工程、(c)脱
色工程の順に、あるいは(b)濾過工程、(a)蒸留工
程、(c)脱色工程の順に行われることが好ましい。ま
た、ジヒドロキシ化合物含有留出物の処理が(d)除鉄
工程を含む場合は、(a)蒸留工程、(b)濾過工程、
(c)脱色工程、(d)除鉄工程の順に、あるいは
(b)濾過工程、(a)蒸留工程、(c)脱色工程、
(d)除鉄工程の順に行われることが好ましい。図1に
本発明に係るポリエステルの製造方法の概略工程図を示
す。
【0022】(a)蒸留工程では、ジヒドロキシ化合物
含有留出物中の水分、低温留出分などを除去する。ジヒ
ドロキシ化合物含有留出物を蒸留する際の圧力は20〜
600Torr、好ましくは50〜150Torrであ
り、温度は、100〜200℃、好ましくは120〜1
70℃であることが望ましい。この蒸留工程を経たジヒ
ドロキシ化合物含有留出物中の水分量は、1.0%以
下、好ましくは0.5%以下であることが望ましい。蒸
留工程では、ジヒドロキシ化合物含有留出物中の水分、
低温留出分などを除去しているので、蒸留工程を経てい
ないジヒドロキシ化合物含有留出物に比べ、脱色工程お
よび除鉄工程に及ぼす負荷が少なくなり、また破過時間
が長くなるという効果がある。
【0023】(b)濾過工程では、ジヒドロキシ化合物
含有留出物中のオリゴマーなどを除去する。ジヒドロキ
シ化合物含有留出物を濾過する際の温度は、10〜80
℃、好ましくは20〜60℃であることが望ましい。ま
た、濾過に際しては、濾過助剤を用いることが好まし
く、濾過助剤としては、セライトおよびセルロース系の
濾過助剤が挙げられる。このような濾過助剤は、ジヒド
ロキシ化合物含有留出物中の析出オリゴマー100重量
部に対し、10〜200重量部、好ましくは50〜10
0の量で用いられることが望ましい。この濾過工程を経
たジヒドロキシ化合物含有留出物中の析出オリゴマー量
は、0.05%以下、好ましくは0.01%以下である
ことが望ましい。濾過工程では、ジヒドロキシ化合物含
有留出物中のオリゴマーなどを除去しているので、後述
する(c)脱色工程、(d)除鉄工程での閉塞を防止す
ることができる。
【0024】(c)脱色工程では、ジヒドロキシ化合物
含有留出物と活性炭とを接触させることによりジヒドロ
キシ化合物含有留出物中の着色物を除去する。ジヒドロ
キシ化合物含有留出物と活性炭とを接触させる際の温度
は、50〜100℃、好ましくは70〜90℃であり、
空塔速度は、0.1〜6.0hr-1好ましくは0.16
7〜4.0hr-1さらに好ましくは0.20〜2.0h
-1であることが望ましい。この脱色工程では、処理後
のジヒドロキシ化合物含有留出物のT380 を97%以
上、好ましくは98%以上とすることが望ましい。ジヒ
ドロキシ化合物含有留出物のT380 を98%以上とする
と、得られるポリエステルの品質、特に色相を低下させ
ることがない。なお、T380 は、波長380nmの光の
透過率であり、下記のようにして測定される。
【0025】分光光度計(日立製作所製U−1100)
を用い、10mmの石英セルに処理後のジヒドロキシ化
合物含有留出物を入れ、対照液として蒸留水を用いて、
波長380nmで透過率を測定する。
【0026】脱色工程では、ジヒドロキシ化合物含有留
出物と活性炭とを接触させているので、ジヒドロキシ化
合物含有留出物中の重縮合触媒の量をほとんど低減させ
ることなくジヒドロキシ化合物含有留出物中の着色物を
除去することができる。
【0027】(d)除鉄工程では、ジヒドロキシ化合物
含有留出物中の鉄分を除去する。(d)除鉄工程では、
留出物とイオン交換樹脂とを接触させる。イオン交換樹
脂としては、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂およ
び両性イオン交換樹脂が挙げられ、これらのうちでも陽
イオン交換樹脂特に強酸性陽イオン交換樹脂が好まし
い。
【0028】留出物とイオン交換樹脂との接触は、50
〜100℃好ましくは70〜90℃の温度で空塔速度
0.1〜6.0hr-1好ましくは0.167〜4.0h
-1さらに好ましくは0.20〜2.0hr-1であるこ
とが望ましい。
【0029】この(d)除鉄工程を行ったジヒドロキシ
化合物含有留出物は、鉄分が2ppm以下、好ましくは
0.5ppm以下であることが望ましい。除鉄工程でジ
ヒドロキシ化合物含有留出物中の鉄分を除去すると、得
られるポリエステルの色相を低下させることがない。
【0030】前記のような処理を行ったジヒドロキシ化
合物含有留出物は、通常重縮合触媒を含むジヒドロキシ
化合物として回収されるが、この重縮合触媒を含むジヒ
ドロキシ化合物に後述する重縮合触媒、後述するリン化
合物からなる安定剤などを添加して触媒含有量などの調
整を行ってもよい。重縮合触媒、安定剤などは、製造さ
れたポリエステルと共に反応系外に排出される重縮合触
媒、安定剤などを補う量で添加される。具体的には、重
縮合反応器内において重縮合触媒および安定剤の量が、
後述するような範囲内となるような量で添加される。
【0031】本発明では重縮合工程から留出するジヒド
ロキシ化合物含有留出物を、(a)蒸留工程、(b)濾
過工程、(c)脱色工程、必要に応じて(d)除鉄工程
を含む処理を行った後に、回収されたジヒドロキシ化合
物および重縮合触媒をエステル化工程に原料および触媒
として供給しているので、重縮合工程から留出するジヒ
ドロキシ化合物および重縮合触媒を効率的に使用するこ
とができ、しかもポリエステルの生産効率を低下させた
り、ポリエステルの品質を低下させることがない。
【0032】液相での重縮合反応は、1段階で行っても
よく、複数段階に分けて行ってもよい。たとえば重縮合
反応を2段階で実施する場合には、重縮合反応条件は、
第1段階目の重縮合の反応温度が、通常250〜290
℃、好ましくは260〜280℃であり、圧力が通常、
500〜20Torr、好ましくは200〜30Tor
rである。第2段階目の重縮合反応の温度が、通常26
5〜300℃、好ましくは270〜295℃であり、圧
力が通常10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.5T
orrである。
【0033】重縮合反応器内における重縮合触媒の量
は、ジカルボン酸に対して、該重縮合触媒中の金属原子
換算で、通常0.0005〜0.2モル%、好ましくは
0.001〜0.1モル%の範囲にあることが望ましい。
また重縮合反応器内における安定剤の量は、ジカルボン
酸とジヒドロキシ化合物とのエステル化物の重量に対し
て、該安定剤中のリン原子の重量として、通常0.00
1〜0.1重量%、好ましくは0.002〜0.02重量
%の範囲にあることが望ましい。
【0034】これらの重縮合工程から得られるポリエス
テルの極限粘度[η]は、通常0.40〜1.0dl/
g、好ましくは0.50〜0.90dl/gの範囲である
ことが望ましい。
【0035】本発明では重縮合触媒として二酸化ゲルマ
ニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウム
テトラn-ブトキシドなどのゲルマニウム化合物、三酸化
アンチモンなどのアンチモン触媒およびチタニウムテト
ラブトキサイドなどのチタン触媒を用いることができ
る。これらの触媒の中では、二酸化ゲルマニウム化合物
を用いることが好ましい。
【0036】また、安定剤としては、トリメチルホスフ
ェート、トリエチルホスフェート、トリn-ブチルホスフ
ェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホス
フェートなどの燐酸エステル類、トリフェニルホスファ
イト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェ
ニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類、メチルア
シッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェー
ト、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェー
ト、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート
などの酸性リン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸な
どのリン化合物が用いられる。
【0037】これらの触媒および安定剤は、上記のよう
に重縮合工程から留出したジヒドロキシ化合物含有留出
物を処理して回収されたジヒドロキシ化合物と共にエス
テル化工程に供給されるが、別途エステル化工程に供給
してもよく、重縮合工程に供給してもよい。
【0038】このような液相重縮合工程で得られるポリ
エステルは、通常、溶融押出成形法によって粒状(チッ
プ状)に成形される。このようにして得られたポリエス
テルは、従来の製造方法によるポリエステルとほぼ同等
の品質を有している。
【0039】
【発明の効果】本発明のポリエステルの製造方法は、得
られるポリエステルの品質を低下させることなく、重縮
合工程から留去したジヒドロキシ化合物および重縮合触
媒を有効に再使用することができるので、生産効率を向
上させ、生産コストを低下させることができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0041】
【実施例1】テレフタル酸とエチレングリコールとから
ポリエステルを、エステル化工程と、重縮合工程とを含
む工程によって製造する際に、重縮合工程より留出する
エチレングリコール含有留出物(ジヒドロキシ化合物含
有留出物)を得た。得られたエチレングリコール含有留
出物の組成は、エチレングリコール:87.1重量%、
ジエチレングリコール:0.6重量%、水:12.0重
量%、析出オリゴマー:0.3重量%であった。
【0042】このエチレングリコール含有留出物を13
7℃、80Torrで蒸留後、セルロース系濾過助剤K
S−100(興人製)を0.3重量部添加し、攪拌・分
散してメンブランフルター(0.45μm)で濾過し
た。濾液は清澄であり、浮遊物は目視で確認できなかっ
た。この時、濾液のT380 は93.7%であった。その
後、濾液を70℃に昇温し、空塔速度:0.5hr-1
除鉄処理および脱色処理を行った。除鉄処理には、アン
バーリスト15WET(オルガノ製)を使用し、脱色処
理には、クラレコールGLC(クラレケミカル製)を使
用した。得られた精製エチレングリコール含有留出物の
組成は、エチレングリコール:98.4重量%、ジエチ
レングリコール:0.9重量%、水:0.5重量%、F
e:0.0002重量%、Ge:0.2重量%、
380 :99.5%であった。
【0043】次に、この精製エチレングリコール含有留
出物を用いてポリエステルの製造を行った。エレフタル
酸100重量部、エチレングリコール38.2重量部、
前記精製エチレングリコール含有留出物6.7重量部、
および二酸化ゲルマニウム換算で0.019重量部相当
のゲルマニウム(精製エチレングリコール含有留出物中
のゲルマニウム)を使用して、常法によりエステル化反
応した後、トリメチルフォスフェート0.029重量部
を添加して重縮合反応し、固有粘度0.56のポリエス
テルチップを得た。さらに、このポリエステルチップを
窒素流通下215℃で21時間固相重合し、固有粘度
0.80のポリエステルチップを得た。
【0044】このポリエステルチップを45°拡散方式
色差計(スガ試験機:SC-2-CH 型)で測定した。色調
は、L値(明度):90.4、a値(+赤、−緑):−
2.5、b値(+黄、−青):+4.2であった。ま
た、このチップを275℃で加熱溶融して段付角板を成
形した。5mm厚さの角板のヘイズは、6.6%であっ
た。
【0045】
【実施例2】前記実施例1で得られた精製エチレングリ
コール含有留出物を用いてポリエステルの製造を行っ
た。テレフタル酸100重量部、エチレングリコール3
1.4重量部、前記精製エチレングリコール含有留出物
13.5重量部、および二酸化ゲルマニウム換算で0.
038重量部相当のゲルマニウム(精製エチレングリコ
ール含有留出物有のゲルマニウム)を使用して、実施例
1と同様にしてエステル化反応した後、トリメチルフォ
スフェート0.029重量部を添加して重縮合反応し、
固有粘度0.56のポリエステルチップを得た。さら
に、このポリエステルチップを窒素流通下215℃で1
8時間固相重合し、固有粘度0.80のポリエステルチ
ップを得た。
【0046】このポリエステルチップの色調は、L値:
91.7、a値:−2.6、b値:+3.8であった。
また、このチップを用い実施例1と同様にして段付角板
を成形した。5mm厚さの角板のヘイズは10.5%で
あった。
【0047】
【実施例3】前記実施例1において除鉄処理を行わなか
った以外は実施例1と同様にしてエチレングリコール含
有留出物を精製した。得られた精製エチレングリコール
含有留出物の組成は、エチレングリコール:98.6重
量%、ジエチレングリコール:0.8重量%、水:0.
4重量%、Fe:0.0014重量%、Ge:0.2重
量%、T380 :99.1%であった。
【0048】この精製エチレングリコール含有留出物を
用いて実施例1と同様にしてポリエステルの製造を行
い、固有粘度0.56のポリエステルチップを得た。さ
らに、このポリエステルチップを実施例1と同様にして
固相重合し、固有粘度0.78のポリエステルチップを
得た。
【0049】このポリエステルチップの色調は、L値:
90.7、a値:−2.3、b値:+3.6であった。
また、このチップを用い実施例1と同様にして段付角板
を成形した。5mm厚さの角板のヘイズは10.2%で
あった。
【0050】
【実施例4】前記実施例1においてエチレングリコール
含有留出物の処理を、蒸留工程、濾過工程、脱色工程、
除鉄工程の順で行った以外は実施例1と同様にしてエチ
レングリコール含有留出物の精製を行った。得られた精
製エチレングリコール含有留出物の組成は、エチレング
リコール:96.9重量%、ジエチレングリコール:
0.8重量%、水:2.1重量%、Fe:0.0000
4重量%、Ge:0.20重量%、T380 :99.4%
であった。
【0051】この精製エチレングリコール含有留出物を
用いて実施例1と同様にしてポリエステルの製造を行
い、固有粘度0.55のポリエステルチップを得た。さ
らに、このポリエステルチップを窒素流通下215℃で
18時間固相重合し、固有粘度0.77のポリエステル
チップを得た。
【0052】このポリエステルチップの色調は、L値:
91.1、a値:−2.7、b値:+3.6であった。
また、このチップを用い実施例1と同様にして段付角板
を成形した。5mm厚さの角板のヘイズは9.9%であ
った。
【0053】
【比較例1】実施例1においてポリエステルを製造する
に際して、精製エチレングリコール含有留出物に代えて
エチレングリコール6.7重量部を用い、二酸化ゲルマ
ニウム0.019重量部を用いた以外は実施例1と同様
にして固有粘度0.56のポリエステルチップを得た。
さらに、このポリエステルチップを実施例1と同様に固
相重合し、固有粘度0.80のポリエステルチップを得
た。
【0054】このポリエステルチップの色調は、L値:
91.0、a値:−2.5、b値:+3.5であった。
また、このチップを用い実施例1と同様にして段付角板
を成形した。5mm厚さの角板のヘイズは10.6%で
あった。
【0055】
【比較例2】実施例2においてポリエステルを製造する
に際して、精製エチレングリコール含有留出物に代えて
エチレングリコール13.5重量部を用い、二酸化ゲル
マニウム0.038重量部を用いた以外は実施例2と同
様にして固有粘度0.56のポリエステルチップを得
た。さらに、このポリエステルチップを実施例2と同様
に固相重合し、固有粘度0.80のポリエステルチップ
を得た。
【0056】このポリエステルチップの色調は、L値:
91.3、a値:−2.6、b値:+3.4であった。
また、このチップを用い実施例1と同様にして段付角板
を成形した。5mm厚さの角板のヘイズは10.5%で
あった。
【0057】
【比較例3】前記実施例1において除鉄処理および脱色
処理を行わなかった以外は実施例1と同様にしてエチレ
ングリコール含有留出物を精製した。得られた精製エチ
レングリコール含有留出物の組成は、エチレングリコー
ル:98.5重量%、ジエチレングリコール:0.9重
量%、水:0.4重量%、Fe:0.0010重量%、
Ge:0.2重量%、T380 :92.5%であった。
【0058】この精製エチレングリコール含有留出物を
用いて実施例1と同様にしてポリエステルの製造を行
い、固有粘度0.55のポリエステルチップを得た。さ
らに、このポリエステルチップを窒素流通下215℃で
25時間固相重合し、固有粘度0.82のポリエステル
チップを得た。
【0059】このポリエステルチップの色調は、L値:
91.0、a値:−2.2、b値:+3.9であり、若
干黄色味を帯びていた。また、このチップを用い実施例
1と同様にして段付角板を成形した。5mm厚さの角板
のヘイズは17.5%であり、すこし霞がかかってい
た。
【0060】
【比較例4】前記実施例1と同様のエステル化工程と、
重縮合工程とを含む工程によってポリエステルを製造す
る際に、エステル化工程および重縮合工程より留出する
エチレングリコール含有留出物を得た。このエチレング
リコール含有留出物の組成は、エチレングリコール:8
1.5重量%、ジエチレングリコール:2.3重量%、
水:15.9重量%、析出オリゴマー:0.3重量%で
あった。
【0061】このエチレングリコール含有留出物中の析
出オリゴマーを静置分離後、アンバーリスト15WET
(オルガノ製)を使用し、空塔速度:1.0hr-1、常
温で除鉄処理を行った。さらに、大気圧下、175℃で
蒸留処理後、カルゴンCPG(東洋カルゴン製)を使用
して空塔速度:0.5hr-1、常温で脱色処理し、精製
エチレングリコール含有留出物を得た。得られた精製エ
チレングリコール含有留出物の組成は、エチレングリコ
ール:94.5重量%、ジエチレングリコール:2.9
重量%、水:2.6重量%、Fe:0.0001重量
%、Ge:0.032重量%、T380 :95.0%であ
った。
【0062】次に、この精製エチレングリコール含有留
出物を用いてポリエステルの製造を行った。テレフタル
酸100重量部、エチレングリコール34.7重量部、
前記精製エチレングリコール含有留出物10.8重量
部、および二酸化ゲルマニウム0.0013重量部を使
用して、常法によりエステル化反応した後、トリメチル
フォスフェート0.017重量部を添加して重縮合反応
し、固有粘度0.59のポリエステルチップを得た。さ
らに、このポリエステルチップを窒素流通下215℃で
13時間固相重合し、固有粘度0.78のポリエステル
チップを得た。
【0063】このポリエステルチップの色調は、L値:
88.0、a値:−1.8、b値:+4.6であった。
また、このチップを用い実施例1と同様にして段付角板
を成形した。5mm厚さの角板のヘイズは14.2%で
あった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のポリエステル製造工程におけるグリコー
ルの処理方法を示す概略工程図である。
【図2】本発明に係るポリエステルの製造方法を示す概
略工程図である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とか
    らポリエステルを、エステル化工程と、重縮合工程とを
    含む工程によって製造するに際して、前記重縮合工程に
    おいて留出するジヒドロキシ化合物含有留出物に下記
    (a)〜(c)工程を含む処理を行い、回収されたジヒ
    ドロキシ化合物と重縮合触媒とを前記エステル化工程に
    供給することを特徴とするポリエステルの製造方法; (a)蒸留工程 (b)濾過工程 (c)脱色工程
  2. 【請求項2】 前記ジヒドロキシ化合物含有留出物を処
    理するに際して、前記(a)〜(c)工程に加えて
    (d)除鉄工程を含む処理を行う請求項1に記載のポリ
    エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ジヒドロキシ化合物含有留出物を処
    理した後、回収された重縮合触媒を含むジヒドロキシ化
    合物に重縮合触媒を添加して触媒含有量の調整を行う請
    求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
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