JP3356224B2 - ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物

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JP3356224B2 JP26607493A JP26607493A JP3356224B2 JP 3356224 B2 JP3356224 B2 JP 3356224B2 JP 26607493 A JP26607493 A JP 26607493A JP 26607493 A JP26607493 A JP 26607493A JP 3356224 B2 JP3356224 B2 JP 3356224B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン系樹脂
組成物、詳しくは優れた機械的性能を有するマイカを充
填したポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マイカ充填ポリオレフィン系樹脂
組成物は、ガラス繊維、タルク、炭酸カルシウム等の無
機物充填ポリオレフィン系樹脂組成物に比較して成形品
の剛性が高く、寸法安定性が優れていることより自動車
部品、電気部品等として有効に使用されてきた。
【0003】ところで、こうしたポリオレフィン系樹脂
組成物等に用いられているマイカにおいて、平均フレー
ク径とその比表面積の関係は、該平均フレーク径が大き
くなるにつれ比表面積がほぼ反比例して小さくなる。従
って、上記マイカ充填ポリオレフィン系樹脂組成物の配
合成分として一般的に使用されているマイカにおいて
も、例えば該マイカのうち平均フレーク径が200μm
程度と大きいものの、その比表面積は通常、0.35m2
/g程度にすぎない。一方、該平均フレーク径が、例えば
10μm程度と小さいものの、その比表面積は多くても
せいぜい4m2/g程度である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】こうしたマイカ充填ポ
リオレフィン系樹脂組成物は、上記した通り良好な剛性
を有するが、その一方で、曲げ強度、引張り強度等の機
械的強度が、十分ではなく、そのため、かかる機械的強
度が要求される分野においては使用が制限される問題が
あった。これを、改良するために、マイカを表面処理し
て使用すること等が検討されているが、コストが上昇し
効率的でない。
【0005】こうしたことから、十分な曲げ強度、引張
り強度を有するマイカ充填ポリオレフィン系樹脂組成物
の開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記した
課題に鑑み鋭意研究を続けてきた。その結果、ポリオレ
フィンに特定のマイカを充填することによって、高強度
を有するポリオレフィン系樹脂組成物が得られることを
見出し本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、(a)ポリオレフィン
100重量部、および(b)比表面積(Sm2/g)と平
均フレーク径(Lμm)の積が S×L≧80 であるマイカ 10〜200重量部からなるポ
リオレフィン系樹脂組成物である。
【0008】本発明おいてポリオレフィンは、公知のも
のが何等制限されることなく使用される。具体的には、
エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘ
キセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などのα−オ
レフィンの単独重合体、上記のα−オレフィン同士のブ
ロックあるいはランダム共重合体、またはこれらの単独
重合体または共重合体の混合物等を挙げることができ
る。上記α−オレフィン同士のブロックあるいはランダ
ム共重合体としては、具体的には、エチレン含量が10
重量%以下のエチレン−プロピレンランダム共重合体や
エチレン−プロピレンブロック共重合体、同じくエチレ
ン含量が10重量%以下のエチレン−ブテン−1ランダ
ム共重合体やエチレン−ブテン−1ブロック共重合体等
が挙げられる。本発明においては、プロピレンの単独重
合体を用いるのが最も好ましい。また、上記の共重合体
には共重合体の性質を損なわない範囲で、例えば、40
モル%以下で、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
酢酸ビニル等のα−オレフィン以外のモノマーが共重合
成分として含まれていてもよい。さらに、上記のポリオ
レフィンには、その物性を損なわない範囲で、例えば、
20重量%以下で該ポリオレフィン以外の重合体が混合
されていてもよい。
【0009】本発明において使用されるマイカは、白マ
イカ(マスコバイト)、金マイカ(フロゴバイト)、黒
マイカ、合成マイカ等の公知のものが広く使用できる。
本発明において、こうしたマイカの平均フレーク径(L
μm)と比表面積(Sm2/g)との間には、下記式 S×L≧80 好ましくは S×L≧83 の関係を満足することが必要である。なお、ここで、比
表面積Sとは、BET法により算出した値である。ま
た、平均フレーク径とは、乾式篩分け法による50%径
である。本発明では、こうした特定の平均フレーク径と
比表面積の関係を有すマイカを使用することにより、得
られるポリオレフィン系樹脂組成物を、曲げ強度及び引
張り強度の著しく優れたものとすることができる。ここ
で、上記マイカの比表面積と平均フレーク径の積が80
より小さい場合、該曲げ強度及び引張り強度の満足でき
るだけの向上効果は得られない。
【0010】本発明で使用するマイカにおいて、平均フ
レーク径及びアスペクト比は特に限定されない。一般的
にはアスペクト比が高くかつ平均フレーク径が小さいこ
とが好ましい。マイカのアスペクト比は好ましくは10
以上、さらに好ましくは30〜150であり、平均フレ
ーク径は好ましくは5〜500μm、好ましくは5〜1
00μmであるのが好適である。一方、こうしたマイカ
の比表面積は、特に制限されるものではないが、通常
は、0.3〜5m2/g、好ましくは1〜4m2/gの範囲であ
る。また、平均フレーク径と比表面積との積S×Lは、
前述した関係式を満足することが必要であり、その上限
は特に限定されるものではないが、一般的にはS×L≦
200であるのが好ましい。
【0011】本発明で用いられるマイカは、上記平均フ
レーク径と比表面積の関係を有するものであれば特に制
限されるものではなく、例えば天然に産出されたもの
や、通常の乾式粉砕により所望の粒度に機械的に微粉砕
化されたものでも、該条件を充足するものであれば使用
することができる。一般には、平均フレーク径に対して
比表面積が大きいものが得られ易い湿式粉砕、即ち、水
等の液相中でマイカを所望の粒度に機械的に微粉砕化さ
せて得たものを使用するのが好適である。なお、こうし
たマイカは各種の表面処理剤により表面処理して用いて
も差し支えない。
【0012】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、
ポリオレフィン100重量部と上記マイカ10〜200
重量部、好ましくは20〜100重量部とよりなる。マ
イカの混合量が10重量部未満の場合、マイカの混合に
よる成形品の力学的性質、熱的性質の改善効果が充分に
発現されない。一方、該マイカの混合量が200重量部
を超えた場合、射出成形、押出成形等の成形が極めて困
難になるため好ましくない。
【0013】また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成
物に、さらに酸変性ポリオレフィンを加えることは、強
度の向上がより顕著になり好ましい。
【0014】こうした酸変性ポリオレフィンは、通常、
ポリオレフィンと不飽和カルボン酸またはその無水物
を、溶媒中あるいは溶融状態で過酸化物の存在下または
不存在下に反応させて得られる。ここで、該酸変性ポリ
オレフィンの酸変性量は、特に制限されるものではない
が、一般には酸のグラフト量が0.2〜2重量%である
のが好ましい。
【0015】ここで示すポリオレフィンも前述したポリ
オレフィンと同様な範囲のものが使用できる。また、不
飽和カルボン酸またはその無水物としては、特に制限さ
れるものではないが、具体的にはマレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、エンドビ
シクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカル
ボン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボ
ン酸および無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シト
ラコン酸、エンドビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテ
ン−2,3−無水ジカルボン酸、シス−4−シクロヘキ
セン−1,2−無水ジカルボン酸等が挙げられる。なか
でも無水マレイン酸が好ましい。
【0016】酸変性ポリオレフィンの混合量について
は、特に制限はないが、曲げ強度、引張り強度の向上効
果や剛性、熱変形温度の優位性を勘案すると、ポリオレ
フィン100重量部に対して1〜30重量部であること
が好ましい。
【0017】本発明の組成物にさらに、本発明の効果を
損なわない範囲で、他の無機充填剤(例えば、ガラス繊
維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、タルク、炭酸カル
シウム、クレー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリ
ウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ワラ
ストナイト、炭素繊維)、有機充填剤(例えば、木粉、
籾殻)、安定剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、
顔料、核剤、難燃剤、紫外線吸収剤、可塑剤などが配合
できる。
【0018】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を調
製するに際し、各成分の配合順序、混合方法などは特に
限定されるものではない。一般には、タンブラー式ブレ
ンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、リボン
ミキサー等を用いて常法により行えば良い。
【0019】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、
通常の射出成形機、押出成形機、圧縮成形機、カレンダ
ー成形機等の公知の成形機により、何等制限されること
なく所望の形状に成形することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物
は、従来のマイカ充填ポリオレフィン系樹脂組成物に比
較して、曲げ強度、引張り強度が優れている。従って、
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、構造部品、機
械部品、電気部品等において従来の用途より、はるかに
広く適用できる。
【0021】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下に実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例
及び比較例で示した記号は以下の通りである。
【0022】1.ポリプロピレン A:プロピレンホモポリマー〔メルトフローレイト 4
0g/10分(「PN18HG」徳山曹達社製)〕 B:エチレン−プロピレンブロックコポリマー〔メルト
フローレイト 23g/10分、エチレン含有量2.6
wt%(「PN670G」徳山曹達社製)〕 2.ポリエチレン C:高密度ポリエチレン〔メルトフローレイト 15g
/10分〕 3.酸変性ポリプロピレン D:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(グラフト量
0.56重量%) E:イタコン酸変性ポリプロピレン(グラフト量 0.
75重量%) 4.マイカ F:「W−40」(レプコ社製) 平均フレーク径(L):25μm 比表面積(S) :3.4m2/g S×L :85 アスペクト比 :40 G:「W−100」(レプコ社製) 平均フレーク径(L):65μm 比表面積(S) :1.5m2/g S×L :98 アスペクト比 :55 H:平均フレーク径(L):16μm 比表面積(S) :2.9m2/g S×L :46 アスペクト比 :35 I:平均フレーク径(L):195μm 比表面積(S) :0.36m2/g S×L :70 アスペクト比 :75 実施例1〜13及び比較例1〜8 樹脂組成物の調整及び試験方法は以下のように行った。
【0023】(1)予備混合 上記に示すポリオレフィン、酸変性ポリプロピレン、マ
イカを表1に示す所定の割合になるようヘンシェルミキ
サーで混合した。
【0024】(2)ペレット化 得られたプロピレン樹脂組成物を50mmφ押出機におい
て240℃で混練造粒し、ペレットを製造した。
【0025】(3)試験片の作成 このペレットを用いて、インラインスクリュー式射出成
形機により、試験片を作成した。射出圧力は220kg/c
m2、樹脂温度は220℃、金型温度は40℃であった。
作成した試験片の引張り強度及び曲げ強度の測定結果を
表1に併記した。
【0026】(4)試験方法 1)引張強度 :JIS−K7113(1号ダンベル試
験片)に準拠。
【0027】2)曲げ強度 :JIS−K7203に準
拠。
【0028】
【表1】

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ポリオレフィン 100重量
    部、および (b)比表面積(Sm2/g)と平均フレーク径(Lμm)
    の積が S×L≧80 であるマイカ 10〜200重量部 からなるポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記マイカのアスペクト比が、30〜1
    50である請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記ポリオレフィン系樹脂組成物が、カ
    ーボンブラックを含まない請求項1記載のポリオレフィ
    ン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記ポリオレフィンがポリエチレンであ
    る請求項1記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
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