JP3356190B2 - 固体潤滑転がり軸受 - Google Patents
固体潤滑転がり軸受Info
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- JP3356190B2 JP3356190B2 JP07126394A JP7126394A JP3356190B2 JP 3356190 B2 JP3356190 B2 JP 3356190B2 JP 07126394 A JP07126394 A JP 07126394A JP 7126394 A JP7126394 A JP 7126394A JP 3356190 B2 JP3356190 B2 JP 3356190B2
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- rolling
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は固体潤滑転がり軸受に関
し、特に半導体製造装置等清浄な雰囲気を必要とする装
置に好適に使用でき、また真空状態でも使用可能な固体
潤滑転がり軸受に関する。
し、特に半導体製造装置等清浄な雰囲気を必要とする装
置に好適に使用でき、また真空状態でも使用可能な固体
潤滑転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】潤滑剤として油やグリースを使用する構
造の転がり軸受は、潤滑性に優れるために高速回転や大
きな負荷にも対処できる反面、軸受の回転に伴い油やグ
リースが飛散したり、あるいは温度上昇による気化等に
より軸受の外部環境を汚染してしまうため、クリーンル
ームや半導体製造装置等の清浄な環境を必要とする装置
や、真空状態に晒される場合には使用できないという欠
点を抱えている。
造の転がり軸受は、潤滑性に優れるために高速回転や大
きな負荷にも対処できる反面、軸受の回転に伴い油やグ
リースが飛散したり、あるいは温度上昇による気化等に
より軸受の外部環境を汚染してしまうため、クリーンル
ームや半導体製造装置等の清浄な環境を必要とする装置
や、真空状態に晒される場合には使用できないという欠
点を抱えている。
【0003】そこで、クリーンルームや半導体製造装
置、あるいは真空状態においては、軌道面や転動体の表
面に固体潤滑膜を形成した軸受が使用されている。固体
潤滑膜としては、金、銀、鉛等の軟質金属や、二硫化モ
リブデンや二硫化タングステン等の層状化合物、あるい
はフッ素樹脂等が一般に使用されている。これらの潤滑
膜のうち金、銀、鉛やフッ素樹脂は、軸受の回転に伴っ
て発生する摩擦力によって前記潤滑物質が元の被膜形成
面から徐々に削り取られ、この削り取られた摩耗粒子が
相手面に転移してその表面に薄い被膜を形成することに
より潤滑を行なうものである。
置、あるいは真空状態においては、軌道面や転動体の表
面に固体潤滑膜を形成した軸受が使用されている。固体
潤滑膜としては、金、銀、鉛等の軟質金属や、二硫化モ
リブデンや二硫化タングステン等の層状化合物、あるい
はフッ素樹脂等が一般に使用されている。これらの潤滑
膜のうち金、銀、鉛やフッ素樹脂は、軸受の回転に伴っ
て発生する摩擦力によって前記潤滑物質が元の被膜形成
面から徐々に削り取られ、この削り取られた摩耗粒子が
相手面に転移してその表面に薄い被膜を形成することに
より潤滑を行なうものである。
【0004】一方、二硫化モリブデンや二硫化タングス
テンは層状をなし、それ自体劈開面を持っており、この
劈開面が少しずつ摩耗することにより潤滑性を発現する
ものである。また、保持器をフッ素樹脂を含有する材料
で製作し、軸受の回転に伴い該保持器と転動体との摺接
により発生したフッ素樹脂粒子を、軸受の内・外輪の軌
道面や保持器のポケット内周面、転動体の転走面に転移
させて潤滑を行う潤滑方式も採用されている。
テンは層状をなし、それ自体劈開面を持っており、この
劈開面が少しずつ摩耗することにより潤滑性を発現する
ものである。また、保持器をフッ素樹脂を含有する材料
で製作し、軸受の回転に伴い該保持器と転動体との摺接
により発生したフッ素樹脂粒子を、軸受の内・外輪の軌
道面や保持器のポケット内周面、転動体の転走面に転移
させて潤滑を行う潤滑方式も採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年半導体
素子をはじめとして各種電子素子は微細化や高集積化の
傾向にあり、それに伴って微量の粒子(パーティクル)
が製品の性能、信頼性に及ぼす影響が大きくなってい
る。そのため、半導体製造装置等の清浄な環境で使用さ
れる軸受に対して、低発塵性の要求が益々高まる傾向に
ある。
素子をはじめとして各種電子素子は微細化や高集積化の
傾向にあり、それに伴って微量の粒子(パーティクル)
が製品の性能、信頼性に及ぼす影響が大きくなってい
る。そのため、半導体製造装置等の清浄な環境で使用さ
れる軸受に対して、低発塵性の要求が益々高まる傾向に
ある。
【0006】しかしながら、前記固体潤滑膜は何れも自
己犠牲型の潤滑作用を発現するものであり、従って磨耗
粒子の発生は避けられず、前記の要求に充分対応できて
いない状況にある。また、前記フッ素樹脂保持器におい
ては、保持器と転動体との摺接によりフッ素樹脂を含有
する潤滑剤粒子が発生し、この潤滑剤粒子が転移潤滑膜
を形成するため、保持器材の摩擦磨耗特性が転移性に影
響してくる。即ち、磨耗し易い材料を用いた場合には潤
滑剤粒子の供給が過多となり、発塵の原因となるばかり
でなく潤滑剤粒子の噛み込みにより軸受がロックするこ
とがある。逆に、磨耗し難い材料を用いた場合には前記
転移潤滑膜が形成されず潤滑不足となり、軸受の内・外
輪の軌道面や転動体の転走面が磨耗して発塵の原因とな
る。
己犠牲型の潤滑作用を発現するものであり、従って磨耗
粒子の発生は避けられず、前記の要求に充分対応できて
いない状況にある。また、前記フッ素樹脂保持器におい
ては、保持器と転動体との摺接によりフッ素樹脂を含有
する潤滑剤粒子が発生し、この潤滑剤粒子が転移潤滑膜
を形成するため、保持器材の摩擦磨耗特性が転移性に影
響してくる。即ち、磨耗し易い材料を用いた場合には潤
滑剤粒子の供給が過多となり、発塵の原因となるばかり
でなく潤滑剤粒子の噛み込みにより軸受がロックするこ
とがある。逆に、磨耗し難い材料を用いた場合には前記
転移潤滑膜が形成されず潤滑不足となり、軸受の内・外
輪の軌道面や転動体の転走面が磨耗して発塵の原因とな
る。
【0007】更に、特に半導体製造装置においては、軸
受は比較的低速で使用されることが多く、そのため低P
V値(荷重・速度積)下で且つ回転の初期から転移潤滑
膜を形成できる材料を選択する必要があるが、未だ満足
できる材料が得られていない状況にある。そこで本発明
は、比較的低PV値及び回転初期においても転移潤滑膜
が形成可能であり、しかも塵埃の発生が少なく、半導体
製造装置等清浄な雰囲気を必要とする装置に好適に使用
でき、また真空状態でも使用可能な固体潤滑転がり軸受
を提供することを目的とする。
受は比較的低速で使用されることが多く、そのため低P
V値(荷重・速度積)下で且つ回転の初期から転移潤滑
膜を形成できる材料を選択する必要があるが、未だ満足
できる材料が得られていない状況にある。そこで本発明
は、比較的低PV値及び回転初期においても転移潤滑膜
が形成可能であり、しかも塵埃の発生が少なく、半導体
製造装置等清浄な雰囲気を必要とする装置に好適に使用
でき、また真空状態でも使用可能な固体潤滑転がり軸受
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、フッ素樹脂粒
子と、特定量のCr、Fe、Niの少なくとも一種の金
属粒子とを配合し、これを焼結成形して保持器とするこ
とにより、従来の固体潤滑膜やフッ素樹脂単独の場合に
比べて、軸受の回転に伴う発塵量が極めて少なく、しか
も従来と同等以上の優れた潤滑性能が得られることを見
出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、清
浄な雰囲気または真空状態で使用され、外輪と内輪との
間に、保持器を介して複数の転動体を回動自在に保持し
てなる転がり軸受において、前記保持器をCr、Fe、
Niの少なくとも一種から選択される金属粒子を1〜3
0体積%の割合で分散させたフッ素樹脂で形成した。
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、フッ素樹脂粒
子と、特定量のCr、Fe、Niの少なくとも一種の金
属粒子とを配合し、これを焼結成形して保持器とするこ
とにより、従来の固体潤滑膜やフッ素樹脂単独の場合に
比べて、軸受の回転に伴う発塵量が極めて少なく、しか
も従来と同等以上の優れた潤滑性能が得られることを見
出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、清
浄な雰囲気または真空状態で使用され、外輪と内輪との
間に、保持器を介して複数の転動体を回動自在に保持し
てなる転がり軸受において、前記保持器をCr、Fe、
Niの少なくとも一種から選択される金属粒子を1〜3
0体積%の割合で分散させたフッ素樹脂で形成した。
【0009】
【作 用】本発明における潤滑方式は、従来の固体潤滑
膜やフッ素樹脂の場合と同様に、軸受の回転に伴い、保
持器と転動体とが摺接して潤滑剤粒子が発生し、この潤
滑剤粒子が軸受の内・外輪や、軌道体の転走面に転移し
て潤滑を行うものである。その際、発塵量が低減される
理由は、以下によるものと推察される。フッ素樹脂表面
に金属蒸着を行うと、フッ素樹脂表面からフッ素原子が
取り除かれて金属フッ化物と不飽和基との混合物や有機
金属錯体が中間体として生成して架橋ができることによ
り、フッ素樹脂の凝集エネルギーが大きくなって接着性
が増すことが知られている(里川孝臣;「機能性含ふっ
素高分子」第65頁、日刊工業新聞社)。
膜やフッ素樹脂の場合と同様に、軸受の回転に伴い、保
持器と転動体とが摺接して潤滑剤粒子が発生し、この潤
滑剤粒子が軸受の内・外輪や、軌道体の転走面に転移し
て潤滑を行うものである。その際、発塵量が低減される
理由は、以下によるものと推察される。フッ素樹脂表面
に金属蒸着を行うと、フッ素樹脂表面からフッ素原子が
取り除かれて金属フッ化物と不飽和基との混合物や有機
金属錯体が中間体として生成して架橋ができることによ
り、フッ素樹脂の凝集エネルギーが大きくなって接着性
が増すことが知られている(里川孝臣;「機能性含ふっ
素高分子」第65頁、日刊工業新聞社)。
【0010】そこで、本発明においても焼結成形時の温
度条件(約300〜400℃)によって、上記と同様の
現象が生じることが十分考えられる。その結果、フッ素
樹脂粒子とCrやFe、Ni粒子との界面で、凝集エネ
ルギーが高く、付着力が大きい領域が生成しており、従
ってこの付着性の高い部分を含む樹脂が転移することに
より、この転移潤滑膜の付着性が優れているため、長期
間にわたり軸受の内・外輪の軌道面と転動体の転送面に
保持され易く、その結果発塵の主原因となる内・外輪の
軌道面と転動体の転送面との磨耗が防止されるととも
に、保持器の機械的強度も増大して該保持器の磨耗によ
る発塵も抑制されるものと考えられる。
度条件(約300〜400℃)によって、上記と同様の
現象が生じることが十分考えられる。その結果、フッ素
樹脂粒子とCrやFe、Ni粒子との界面で、凝集エネ
ルギーが高く、付着力が大きい領域が生成しており、従
ってこの付着性の高い部分を含む樹脂が転移することに
より、この転移潤滑膜の付着性が優れているため、長期
間にわたり軸受の内・外輪の軌道面と転動体の転送面に
保持され易く、その結果発塵の主原因となる内・外輪の
軌道面と転動体の転送面との磨耗が防止されるととも
に、保持器の機械的強度も増大して該保持器の磨耗によ
る発塵も抑制されるものと考えられる。
【0011】本発明に用いられるフッ素樹脂には特に限
定はなく、ポリテトラフロロエチレン(以下、PTFE
と略記する)、ポリトリフロロエチレン、ポリトリフロ
ロクロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、ポリビニ
ルフロライド、ポリビニリデンフロライドの単独重合体
又は共重合体等の周知のフッ素樹脂が使用可能である
が、中でもPTFEの単独重合体が好ましく、例えば
「テフロン(米国デュポン社)」や「ポリフロン(ダイ
キン工業(株))」の登録商標名で市販されているフッ
素樹脂を好適に使用できる。
定はなく、ポリテトラフロロエチレン(以下、PTFE
と略記する)、ポリトリフロロエチレン、ポリトリフロ
ロクロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、ポリビニ
ルフロライド、ポリビニリデンフロライドの単独重合体
又は共重合体等の周知のフッ素樹脂が使用可能である
が、中でもPTFEの単独重合体が好ましく、例えば
「テフロン(米国デュポン社)」や「ポリフロン(ダイ
キン工業(株))」の登録商標名で市販されているフッ
素樹脂を好適に使用できる。
【0012】前記フッ素樹脂に配合される金属粒子はC
r、Fe、Niであり、これらを単独で、あるいは混合
して使用される。金属粒子は、その平均粒径が50μm
以下であることが望ましく、更には1〜20μmである
ことが好ましい。平均粒径が50μm以上になると、フ
ッ素樹脂に配合した際の分散性が悪く、均一な磨耗特性
が得られない。そして、これら金属粒子はフッ素樹脂に
対して、1〜30体積%の割合で配合される。配合量が
1体積%以下であると、前述した転移潤滑膜の成膜性や
付着性に対する改善効果が少なく、一方30体積%を越
えると、フッ素樹脂本来の潤滑性が十分に発揮されなく
なる。
r、Fe、Niであり、これらを単独で、あるいは混合
して使用される。金属粒子は、その平均粒径が50μm
以下であることが望ましく、更には1〜20μmである
ことが好ましい。平均粒径が50μm以上になると、フ
ッ素樹脂に配合した際の分散性が悪く、均一な磨耗特性
が得られない。そして、これら金属粒子はフッ素樹脂に
対して、1〜30体積%の割合で配合される。配合量が
1体積%以下であると、前述した転移潤滑膜の成膜性や
付着性に対する改善効果が少なく、一方30体積%を越
えると、フッ素樹脂本来の潤滑性が十分に発揮されなく
なる。
【0013】本発明に係る保持器は、前記フッ素樹脂粒
子と所定量の金属粒子とを配合し、成形金型中に充填し
て焼結成形することにより得られる。この時の焼結条件
は特に限定されず、フッ素樹脂単独の場合の焼結条件と
同等でよい。また、前記保持器中には、潤滑性能に支障
を来さない程度に各種充填剤を添加してもよい。例え
ば、機械的強度の増強や成形性の向上を目的として、炭
酸カルシウムやタルク、マイカ等の鉱物類、チタン酸カ
リウムウィスカーやホウ酸アルミニウムウィスカー等の
無機ウィスカー類、ガラス繊維やアスベスト、石英ウー
ル、金属繊維等の無機繊維類及びこれらを布状に編組し
たもの、カーボンブラックや黒鉛粉末、カーボン繊維、
アラミド繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維類、各種
熱可塑性樹脂等を適量添加することができる。また、熱
伝導性を改善する目的で、カーボン繊維や金属繊維、黒
鉛粉末、ZnO粉末等を添加してもよい。
子と所定量の金属粒子とを配合し、成形金型中に充填し
て焼結成形することにより得られる。この時の焼結条件
は特に限定されず、フッ素樹脂単独の場合の焼結条件と
同等でよい。また、前記保持器中には、潤滑性能に支障
を来さない程度に各種充填剤を添加してもよい。例え
ば、機械的強度の増強や成形性の向上を目的として、炭
酸カルシウムやタルク、マイカ等の鉱物類、チタン酸カ
リウムウィスカーやホウ酸アルミニウムウィスカー等の
無機ウィスカー類、ガラス繊維やアスベスト、石英ウー
ル、金属繊維等の無機繊維類及びこれらを布状に編組し
たもの、カーボンブラックや黒鉛粉末、カーボン繊維、
アラミド繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維類、各種
熱可塑性樹脂等を適量添加することができる。また、熱
伝導性を改善する目的で、カーボン繊維や金属繊維、黒
鉛粉末、ZnO粉末等を添加してもよい。
【0014】
【実施例】本発明に関して、実施例を基により詳細に説
明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。図1は、本発明に係わる固体潤滑転がり軸受
を示す要部断面図である。転がり軸受1は、内輪2と外
輪3との間に複数の転動体4を配するとともに、保持器
5により前記転動体4を軸受1の円周に沿って等間隔に
保持して構成される。
明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。図1は、本発明に係わる固体潤滑転がり軸受
を示す要部断面図である。転がり軸受1は、内輪2と外
輪3との間に複数の転動体4を配するとともに、保持器
5により前記転動体4を軸受1の円周に沿って等間隔に
保持して構成される。
【0015】(実施例1〜3並びに比較例1〜7) 本発明においては、前記保持器5を金属粒子を配合した
フッ素樹脂で形成したことを特徴とする。そこで、下記
表1に示される如く、フッ素樹脂をPTFEとし、金属
粒子の種類並びにその配合量を変えて保持器5を作成
し、図2に示されるダスト試験装置により発塵量を測定
した。尚、前記金属粒子の平均粒径は10μm以下であ
り、また機械的強度を増加するためにガラス繊維(G
F)を28体積%配合した。
フッ素樹脂で形成したことを特徴とする。そこで、下記
表1に示される如く、フッ素樹脂をPTFEとし、金属
粒子の種類並びにその配合量を変えて保持器5を作成
し、図2に示されるダスト試験装置により発塵量を測定
した。尚、前記金属粒子の平均粒径は10μm以下であ
り、また機械的強度を増加するためにガラス繊維(G
F)を28体積%配合した。
【0016】
【表1】
【0017】前記ダスト試験装置において、試験軸受6
は、スプリング7を介してハウジング8内に2個対で装
着されており、磁性流体シール付き回転導入機9により
回転される。回転に伴い前記試験軸受6より発生した塵
埃は、装置下部に設けたロート10に集められ、次いで
光散乱式のパーティクルカウンター11に送られて発塵
個数が計数される。尚、上記試験条件は次の通りであ
る。 ・試験軸受 708C ・アキシャル荷重 9.8N ・回転数 300rpm ・雰囲気 大気中
は、スプリング7を介してハウジング8内に2個対で装
着されており、磁性流体シール付き回転導入機9により
回転される。回転に伴い前記試験軸受6より発生した塵
埃は、装置下部に設けたロート10に集められ、次いで
光散乱式のパーティクルカウンター11に送られて発塵
個数が計数される。尚、上記試験条件は次の通りであ
る。 ・試験軸受 708C ・アキシャル荷重 9.8N ・回転数 300rpm ・雰囲気 大気中
【0018】試験結果を表1に併記するが、フッ素樹脂
(PTFE)にCr、Fe、Niの各金属粒子を7体積
%配合した保持器(実施例1〜3)は、他の金属粒子
(Mo、W、Ta、Ti)を同量配合した保持器(比較
例1〜4)並びに金属を全く含有しない保持器(比較例
5)に比べて、軸受の回転初期並びに600時間連続回
転後の何れの場合においても発塵量が極めて少ないこと
がわかる。また、金属粒子の配合量と発塵量との関係に
ついてCr含有フッ素樹脂を例にして検討したところ、
Cr含有量が0.5体積%の場合(比較例6)及び同3
1体積%の場合(比較例7)とも、Crを7重量%配合
した場合(実施例1)に比べて発塵量が極めて多いこと
がわかる。このことから、前述した金属粒子の最適配合
量が確認された。
(PTFE)にCr、Fe、Niの各金属粒子を7体積
%配合した保持器(実施例1〜3)は、他の金属粒子
(Mo、W、Ta、Ti)を同量配合した保持器(比較
例1〜4)並びに金属を全く含有しない保持器(比較例
5)に比べて、軸受の回転初期並びに600時間連続回
転後の何れの場合においても発塵量が極めて少ないこと
がわかる。また、金属粒子の配合量と発塵量との関係に
ついてCr含有フッ素樹脂を例にして検討したところ、
Cr含有量が0.5体積%の場合(比較例6)及び同3
1体積%の場合(比較例7)とも、Crを7重量%配合
した場合(実施例1)に比べて発塵量が極めて多いこと
がわかる。このことから、前述した金属粒子の最適配合
量が確認された。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、フッ素樹脂粒子にC
r、Fe、Niの少なくとも一種の金属粒子を1〜30
体積%の割合で配合し、これを焼結成形して保持器とす
ることにより、フッ素樹脂と金属粒子との界面において
フッ素樹脂の結晶度が高くなり、その結果転移潤滑膜の
成膜性や付着性が向上して軸受の回転初期においても潤
滑膜が容易に形成されるとともに、フッ素樹脂自体の機
械的強度も増大するため、転動体との摺接による保持器
からの発塵も抑制されて、軸受全体として高い潤滑性並
びに低発塵性を実現できる。また、この潤滑剤粒子は、
軸受の回転に付随して連続的に発生するため、長期にわ
たる使用においても安定した潤滑作用を維持できる。従
って、軸受外部の環境を汚染することも無く、清浄な雰
囲気が必要とされる半導体製造装置等に好適に使用で
き、また真空状態での使用も可能である。
r、Fe、Niの少なくとも一種の金属粒子を1〜30
体積%の割合で配合し、これを焼結成形して保持器とす
ることにより、フッ素樹脂と金属粒子との界面において
フッ素樹脂の結晶度が高くなり、その結果転移潤滑膜の
成膜性や付着性が向上して軸受の回転初期においても潤
滑膜が容易に形成されるとともに、フッ素樹脂自体の機
械的強度も増大するため、転動体との摺接による保持器
からの発塵も抑制されて、軸受全体として高い潤滑性並
びに低発塵性を実現できる。また、この潤滑剤粒子は、
軸受の回転に付随して連続的に発生するため、長期にわ
たる使用においても安定した潤滑作用を維持できる。従
って、軸受外部の環境を汚染することも無く、清浄な雰
囲気が必要とされる半導体製造装置等に好適に使用で
き、また真空状態での使用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる固体潤滑転がり軸受の実施例
を示す要部断面図である。
を示す要部断面図である。
【図2】 本発明で使用したダスト試験装置を示す概略
図である。
図である。
1 転がり軸受 2 内輪 3 外輪 4 転動体 5 保持器 6 試験軸受 7 スプリング 8 ハウジング 9 磁性流体シール付き回転導入機 10 ロート 11 パーティクルカウンター
Claims (1)
- 【請求項1】 清浄な雰囲気または真空状態で使用さ
れ、外輪と内輪との間に、保持器を介して複数の転動体
を回動自在に保持してなる転がり軸受において、前記保
持器はCr、Fe、Niの少なくとも一種から選択され
る金属粒子を1〜30体積%の割合で分散させたフッ素
樹脂からなることを特徴とする固体潤滑転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07126394A JP3356190B2 (ja) | 1994-03-17 | 1994-03-17 | 固体潤滑転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07126394A JP3356190B2 (ja) | 1994-03-17 | 1994-03-17 | 固体潤滑転がり軸受 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07259867A JPH07259867A (ja) | 1995-10-09 |
JP3356190B2 true JP3356190B2 (ja) | 2002-12-09 |
Family
ID=13455670
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07126394A Expired - Fee Related JP3356190B2 (ja) | 1994-03-17 | 1994-03-17 | 固体潤滑転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3356190B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6283459B2 (ja) * | 2013-07-04 | 2018-02-21 | 小林 博 | 転がり軸受装置及び転動体に磁気吸着させる方法 |
-
1994
- 1994-03-17 JP JP07126394A patent/JP3356190B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07259867A (ja) | 1995-10-09 |
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