JP3355970B2 - 打ち抜き性に優れる冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

打ち抜き性に優れる冷延鋼板の製造方法

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JP3355970B2 JP32964996A JP32964996A JP3355970B2 JP 3355970 B2 JP3355970 B2 JP 3355970B2 JP 32964996 A JP32964996 A JP 32964996A JP 32964996 A JP32964996 A JP 32964996A JP 3355970 B2 JP3355970 B2 JP 3355970B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電機部品など
穴あけ加工が多数なされる冷延鋼板において、特に良好
な打ち抜き性を有する冷延鋼板及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】極低炭素鋼にTi,Nbなどの炭窒化物
形成元素を添加したIF鋼(Interstitial
Free Steel)は、優れたプレス成形性、深
絞り性を有するため、自動車用材料ならびに電機部品用
材料等に多く用いられている。特に、電機産業におい
て、用いられる冷延鋼板では、ねじ穴のための穴あけ加
工が多数なされる場合が多い。この際、穴あけは打ち抜
きによる場合がほとんどで、打ち抜きにより発生するバ
リが、電機機器における導電の問題やねじ切り作業上の
問題につながる場合がある。
【0003】このような背景の下、冷延鋼板の打ち抜き
性改善方法として、特開平1−230748号公報のS
量の増加による鋼中のMnSを利用する方法、特開平6
−73457号公報のS量の増加によるTiSを利用す
る方法、及び特開平8−73992号公報のN量の増加
により鋼中に生成するTiNを利用する方法、さらに鋼
板を高強度化する方法等が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平1
−230748号公報、特開平6−73457号公報、
及び特開平8−73992号公報の技術はいずれの場合
もS,N量を増加することになり、鋼板の成形性は必ず
しも良好とはならない。また、鋼板の高強度化の対策に
ついては、こと電機部品用材料においては、成形後の形
状が重要であり、スプリングバックが問題となる。一
方、例えば、特開平3−277739号公報のように、
冷延鋼板の表層と中央部の成分を異成分とすることで、
表層部のみ硬化させて耐バリ性を向上させる技術も見ら
れるが、0.7〜1mm程度の板厚において鋼成分を異
ならせることは現在の薄鋼板製造技術上、現実的とは言
えず、コストアップにつながることは容易に想定され
る。
【0005】本発明の目的は、このような事情を考慮し
てなされたものであり、Ti−IF鋼の打ち抜き性を向
上させるミクロ組織に制御すること、及び該組織を得る
ための製造条件を明確にすることにより、打ち抜き性の
良好な冷延鋼板およびその製造方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。 (1)本発明方法で得ようとする冷延鋼板は、重量%
で、C:0.003%以下と、Si:0.3%以下と、
Mn:0.05〜0.5%と、P:0.03%以下と、
S:0.003〜0.015%と、Sol.Al:0.
03〜0.06%と、Ti:0.02〜0.08%と、
N:0.003%以下とを含有し、鋼板表面から板厚1
5%以内の表層部と鋼板表面から板厚15%以内を除い
た板厚中心部(以下、この部分を板厚中心部と称す
る。)における平均フェライト粒径をそれぞれds、d
bとするとき、ds/dbが0.95以下であることを
特徴とする打ち抜き性に優れる冷延鋼板である。 (2)本発明方法で得ようとする冷延鋼板は、さらに、
重量%で、B:0.0002〜0.0015%を含有す
ることを特徴とする上記(1)に記載の打ち抜き性に優
れる冷延鋼板である。
【0007】(3)本発明方法で得ようとする冷延鋼板
は、さらに、重量%で、Nb:0.005〜0.03%
を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に
記載の打ち抜き性に優れる冷延鋼板である。
【0008】(4)本発明の冷延鋼板の製造方法は、上
記(1)に記載の冷延鋼板を製造する方法において、連
続鋳造した鋼を1000〜1200℃に加熱する工程
と、加熱された鋼をAr3 点以下の温度域で最終粗圧延
を行う工程と、粗圧延された鋼をAr3 点以上(Ar3
+100)℃未満の温度域まで加熱速度5℃/s以上で
再加熱し、Ar3 点以上で仕上げ圧延を行い、巻取る工
程と、巻取った熱延鋼板を冷延し、再結晶温度〜850
℃で焼鈍し、1.5%以下の調圧率で調質圧延を行う工
程と、を備えたことを特徴とする打ち抜き性に優れる冷
延鋼板の製造方法である。 (5)本発明の冷延鋼板の製造方法は、鋼板が、さら
に、重量%で、B:0.0002〜0.0015%を含
有していることを特徴とする上記(4)に記載の打ち抜
き性に優れる冷延鋼板の製造方法である。
【0009】(6)本発明の冷延鋼板の製造方法は、鋼
板が、さらに、重量%で、Nb:0.005〜0.03
%を含有していることを特徴とする上記(4)または
(5)に記載の打ち抜き性に優れる冷延鋼板の製造方法
である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者は、Ti−IF鋼の打ち
抜き性を向上させるミクロ組織に制御すること、及び該
組織を得るための製造条件を明確にすることにより、打
ち抜き性の良好な冷延鋼板を得るために、冷延鋼板の鋼
成分、及び金属組織すなわちフェライト粒径と打ち抜き
性との関係について、鋭意研究を重ねた。その結果、鋼
板表面から板厚15%以内の表層部と板厚中心部におけ
る平均フェライト粒径をそれぞれds、dbとすると
き、ds/dbを0.95以下という限られた範囲に制
御することが、打ち抜き性の向上に有効であるという知
見を得た。また、BあるいはNbを微量添加することに
より、打ち抜き性がさらに向上するという知見も得た。
以上の知見に基づき、本発明者は、極低炭素Ti−IF
鋼をベースとし、さらにBあるいはNbを微量添加し、
熱延条件、冷延後の焼鈍条件及び調質圧延条件を調整し
て、鋼板の金属組織を上記の範囲に制御するようにし
て、打ち抜き性に優れる本発明の冷延鋼板及びその製造
方法を見出し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、鋼組成、金属組織及
び製造条件を下記範囲に限定することにより、打ち抜き
性に優れる冷延鋼板を得ることができる。以下に本発明
の成分添加理由、成分限定理由、金属組織の限定理由及
び製造条件の限定理由について説明する。
【0012】(1)成分組成範囲 C:0.003%以下 Cは鋼板の成形性を確保するために少ないほうが望まし
い。実用上、本発明のの効果を損なわない量として、上
限は0.003%である。成形性向上に対し、望ましく
はその上限は0.0025%である。
【0013】Si:0.3%以下 Siは固溶強化元素であるため、過度に添加すると鋼板
の強度が上昇し、加工性が劣化する。このため、上限は
0.3%であるが、好ましくは0.15%以下である。
【0014】Mn:0.05〜0.5% MnもSiと同様、固溶強化元素であり、0.5%を超
えて添加すると鋼板の強度上昇に伴う材質の劣化が生じ
る。従って、上限は0.5%である。好ましくは0.2
%以下である。下限値については、0.05%を下回る
ような鋼組成とする場合には、製鋼上のコストアップに
つながるため、0.05%である。
【0015】P:0.03%以下 PはSi,Mnと同様、固溶強化元素であり、少量で鋼
板の強度を上昇させる。P量の上昇により、打ち抜き性
は改善されるものの、高強度化により成形性が劣化する
ため、上限は0.03%であり、望ましくは0.015
%以下である。
【0016】S:0.003〜0.015% Sは低減するのが望ましいが、0.003%を下回る
と、熱延スケールの剥離性が低下する。一方、0.01
5%を超えて含有すると、延性を低下させるため0.0
03〜0.015%である。
【0017】Sol.Al:0.03〜0.06% Alは脱酸に必要であり、その下限は0.03%であ
る。また、多量に添加するとコストが上昇するため、
0.06%以下である。好ましくは、0.05%以下で
ある。
【0018】N:0.003%以下 NはIF鋼の高い成形性を確保するために、低いほうが
望ましく、その上限は0.003%である。望ましくは
0.0025%以下である。 Ti:0.02〜0.08% Tiは強力な炭窒化物形成元素であり、極低炭素鋼に添
加することにより、鋼板の成形性は向上する。Ti−I
F鋼特有の高い深絞り性を得るには、最低0.02%は
必要であり、この値が下限である。一方、0.08%を
超えて添加するとスラブコストが上昇するだけでなく、
冷延鋼板の表面性状が劣化しやすくなるので上限は0.
08%である。
【0019】B:0.0002〜0.0015% BはTiと複合添加されることにより、打ち抜き性を向
上させる。また、副次的には耐縦割れ性を向上させるこ
とも可能であり、Ti−IF鋼の不可避的な耐二次加工
脆性の向上が可能となる。0.0002%以上で、Bに
よる更なる鋼板表層の細粒化効果が認められるため、下
限値は0.0002%である。また、0.0015%を
超えて含有させると、鋼板自体の深絞り性が劣化しやす
くなるので、上限値は0.0015%である。 Nb:0.005〜0.03% NbもTiと同様炭窒化物形成元素であり、極低炭素鋼
に添加することにより、鋼板の成形性は向上すると共
に、Nbによる鋼板表層の細粒化効果が期待されるた
め、Ti−IF鋼に比べ打ち抜き性を更に向上させる。
Tiと複合添加する場合、過剰なNb添加はスラブコス
トの上昇のみならず、延性の劣化につながるため、上限
値は0.03%である。また、0.005%を下回る添
加では、Nbによる打ち抜き性の向上効果が得られなく
なるため、下限値は0.005%である。
【0020】(2)金属組織 本発明の金属組織は、鋼板表面から板厚15%以内の表
層部と板厚中心部における平均フェライト粒径をそれぞ
れds、dbとするとき、ds/dbが0.95以下で
ある。ds/dbが0.95を超えると、良好な打ち抜
き特性が得られない。
【0021】本発明においては、冷延鋼板の打ち抜き性
を改善するための焼鈍後の鋼板のミクロ組織として、鋼
板表層部のTiCの析出形態として微細析出させること
及び表層近傍のフェライト組織を内層より微細組織にす
ることで、材質的に表層部を内層より硬化させることに
より、打ち抜き性を向上させようとするものである。
【0022】従って、板厚の15%以内の表層部と板厚
中心部における平均フェライト粒径をそれぞれds、d
bとするとき、ds/dbが0.95以下であることが
重要である。ds/dbの下限値については、特に規定
されるものではないが、現実的に本発明によって得られ
るds/dbの最小値は0.4前後の値である。
【0023】ds/dbの重要性については、本発明の
実験により明らかとなった。すなわち、請求項1に記載
した鋼組成を満足する鋼を用いて、請求項4に記載の方
法および常法にて、熱間圧延後冷間圧延し、連続焼鈍イ
メージの熱処理を施した冷延鋼板を作製し、ds/db
を種々変化させた冷延鋼板が得た。この冷延鋼板を用い
て冷延鋼板の打ち抜き性とds/dbの関係について、
調査を行った。なお、打ち抜き性の評価方法としては、
10mmφのポンチと10.3mmφのダイス径の打ち
抜き治具にて、板厚0.8mmの冷延鋼板に打ち抜き加
工を施し、打ち抜き穴周辺のバリ高さをポイントマイク
ロメーターにて測定し、バリ高さの大小により、打ち抜
き性を評価した。図1は、ds/dbとバリ高さとの関
係を示す図である。図1に示すように、ds/dbを
0.95以下に制御すれば打ち抜き性の向上が達成でき
ることがわかる。
【0024】上記の成分組成範囲及び金属組織に調整す
ることにより、打ち抜き性に優れる冷延鋼板を得ること
が可能となる。このような特性の鋼は以下の製造方法に
より製造することができる。
【0025】(3)鋼板製造工程 上記の成分組成範囲に調整した鋼を転炉にて溶製した
後、連続鋳造によりスラブにし、1000〜1200℃
に加熱する。
【0026】1200℃を超える加熱温度では、スラブ
中のTiC,TiS,Ti422 析出物がほぼ全量
固溶し、その後の熱延でいかなる工程を施しても、冷延
鋼板で良好な深絞り性は得られない。また、1000℃
未満の加熱温度では、TiC,TiS,Ti422
析出物が加熱段階で再固溶することなく、スラブ凝固時
に析出したままの粗大析出物のままであるため、良好な
深絞り性は得られるものの、IF鋼の不可避的な欠点と
される打ち抜き性は何ら改善されない。従って、加熱温
度は1000〜1200℃であり、一部の析出物では粗
大な析出形態を保ちつつ、冷延鋼板での打ち抜き性を改
善するために、一部の析出物を該加熱により再固溶させ
ることが重要となる。
【0027】凝固後そのまま熱間圧延を施す直送圧延の
場合、鋼中に析出するTiC,TiS,Ti422
などTiN以外の析出物は全体的に微細になりやすく、
その結果IF鋼特有の良好な深絞り性が得られなくなる
ため、このスラブ加熱処理は必須条件である。なお、打
ち抜き性を向上させるための連続鋳造後の加熱温度の望
ましい範囲は1000〜1150℃である。
【0028】次に、加熱された鋼をAr3 点以下の温度
域で最終粗圧延を行う、スラブ加熱の際再固溶したTi
Cは、粗圧延最終パスをAr3 点以下の温度域で圧延す
ることにより、Ar3 点以下の温度となった粗圧延スラ
ブ表層部で、圧延歪による歪誘起微細析出する。この微
細析出したTiCにより、スラブ表層部で微細フェライ
ト組織を得ることができる。このため、粗圧延後単にα
域に冷却することは、歪誘起析出が起こらないため、微
細析出に対して無意味である。
【0029】その後、粗圧延された鋼をAr3 点以上
(Ar3 +100)℃未満の温度域まで加熱速度5℃/
s以上で望ましくは温度差30℃以上再加熱し、Ar3
点以上で仕上げ圧延を行い、巻取る。
【0030】加熱温度を(Ar3 +100)℃以上とし
た場合および加熱速度を5℃/s未満とした時は、いず
れの場合も微細析出したTiCが再び固溶してしまう。
このため、熱延板中のTiCの析出形態を表層部のみ微
細析出状態とすることが出来ず、表層部が微細なフェラ
イト組織にならず、本発明の効果は十分得られない。
【0031】なお、加熱での制御性等に問題がない限
り、加熱速度の上限はとくに規定されるものではない。
また、粗圧延後の加熱における温度上昇量は30℃以上
が望ましい。これは、30℃未満とした場合には、表層
部のみαからγへ再変態させる作用が十分でなく、結果
的に表層部を微細なフェライト組織とすることが出来な
い場合があり、本発明の効果が小さくなることがあるた
めである。
【0032】最後に、Ar3 点以上で仕上げ圧延を終了
することに対しては、Ar3 点未満で仕上げた場合、I
F鋼特有の良好な深絞り性が得られないため、Ar3
以上で仕上げ圧延を終了する必要がある。
【0033】以上に述べた限定した条件により、粗圧延
材の表層のみをγからαへ変態させ、5℃/s以上の加
熱速度によりAr3 点以上に再加熱することにより、表
層部のみαからγへ再変態させる。この粗圧延材表層の
受けるγ→α→γ変態と微細TiCを表層部に集中して
析出させることにより、冷延鋼板における表層部を微細
なフェライト組織とすることが可能となる。
【0034】巻取り温度については、特に規定されるも
のではないが、IF鋼特有の高深絞り性を確保するため
に、600〜700℃とすることが望ましい。次に、巻
取った熱延鋼板を冷延し、再結晶温度〜850℃で焼鈍
し、1.5%以下の調圧率で調質圧延を行う。焼鈍につ
いては再結晶温度〜850℃以下で連続焼鈍する。85
0℃を超えると、γ相へのCの再固溶を生じ、伸びの低
下を招く。一方、再結晶温度未満では、結晶粒が細か
く、良好な集合組織が発達せず、r値が低くなり、成形
性が悪くなる。また、調質圧延は、冷延鋼板の表面粗さ
制御を目的とし、1.5%以下の調圧率にて行う。ここ
で、調圧率が1.5%を超えると伸び等の材質が劣化す
るため、調圧率は1.5%以下である。
【0035】また、0.0002〜0.0015%のB
および0.005〜0.03%のNbの複合添加によ
り、鋼中の固溶B,Nb、場合によっては微細析出Nb
(C,N)により、冷延後再結晶段階での鋼板表層の細
粒化が一層進むため、B及びNbの複合添加は、打ち抜
き性の更なる向上に効果的である。
【0036】なお、本発明の鋼板は連続焼鈍後、各種電
気めっき処理やそれに加えて有機被覆処理を行った鋼板
ならびに冷間圧延後の鋼板を連続溶融亜鉛めっき処理な
どして、耐食性を向上させた表面処理鋼板などを含み、
これらの鋼板においても十分本発明の効果が得られる。
以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の効果を立証す
る。
【0037】
【実施例】
(実施例1)表1に実験室溶解炉で出鋼した本発明鋼
(No.1〜15)及び比較鋼(No.16〜21)の
組成を示す。これらの鋼から、実験室熱間圧延用スラブ
を作製し、通常の方法で熱延、酸洗、冷延、連続焼鈍を
行い、冷延鋼板を得た。これらの冷延鋼板から組織観察
用サンプル及び打ち抜き評価用サンプルを採取し、組織
観察、打ち抜き性及びmean−r値を調査した。打ち
抜き性の評価方法は上記に記載の方法と同一とした。
【0038】mean−r値は、JIS5号引張試験片
を鋼板の圧延方向、圧延方向に対して45度方向、90
度方向に採取し、それぞれのr値、r0 、r45、r90
15%の予歪みを加えて測定した後に、mean−r=
(r0 +2r45+r90)/4により算出した。
【0039】表1に鋼成分に加えて、組織観察結果(d
s/db)、バリ高さ及びmean−r値を示す。表1
から、本発明の鋼組成を満足し、かつフェライト粒径を
満足させる本発明鋼No.1〜15においては、バリ高
さが0.03mm以下の良好な打ち抜き性が得られると
同時に良好な深絞り特性も付与される。
【0040】一方、比較鋼No.16は本発明の組成を
満足するもののds/db値が0.95を超えるため、
打ち抜き性は良好でない。また、No.17〜21の比
較鋼はC,Ti,Nb,Bの各元素が本発明の範囲を満
たしていない。この場合には、フェライト組織は全板厚
にわたり均一になるため、ds/db値は0.95を上
回り、打ち抜き性が劣化する。また、深絞り性について
はTi添加量の多い鋼No.18を除きIF鋼特有の高
いmean−r値が得られないことがわかる。
【0041】
【表1】
【0042】(実施例2)表1に示した本発明鋼の中の
鋼No.1,4,8,12の4種を選び、これらの成分
を有する実験室鋳造スラブを用い、種々の条件にて熱間
圧延を実施した。その後、常法に従って、酸洗、冷間圧
延を行った後、830℃にて連続焼鈍をシミュレートし
た熱処理を施し、最後に1%の調質圧延を行った。その
後、得られた冷延鋼板から、組織観察用サンプル、打ち
抜き性評価用サンプルを採取して、各種確性試験を実施
した。
【0043】表2に示すとおり、(1)スラブ加熱温度
が1000〜1150℃、(2)粗圧延最終パスがAr
3 点以下、(3)粗圧延材の加熱速度が5℃/s以上、
(4)粗圧延材の加熱到達温度がAr3 点以上(Ar3
+100)℃未満、(5)仕上圧延温度がAr3 点以上
の本発明の各製造条件のいずれか1つを満足しない条件
である比較例No.2〜5,7〜10,12〜15,1
7〜20では、ds/dbの値は0.95以下を満足し
ない。このため、バリ高さは0.04mmを超える高い
値となり、打ち抜き性は良好でない。一方、上記(1)
〜(5)の全ての条件を満足する本発明例No.1,
6,11,16では、ds/db値が0.95以下であ
り、バリ高さが0.03mm以下という極めて優れた打
ち抜き性を有する冷延鋼板が得られることは明らかであ
る。
【0044】以上から、上記(1)〜(5)の本発明の
各製造条件を全て満たすことは、IF鋼冷延鋼板に優れ
た打ち抜き性を付与するための重要な製造因子であるこ
とを示している。
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、鋼組成、金属組織及び
製造条件を特定することにより、材質が劣化することな
く、優れた打ち抜き特性を有する各種IF鋼冷延鋼板を
提供することができ、工業上優れた効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るds/dbとバリ高
さとの関係を示す図。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−258796(JP,A) 特開 昭63−38556(JP,A) 特開 平6−81080(JP,A) 特開 平10−158783(JP,A) 特開 平8−188850(JP,A) 特開 平7−228944(JP,A) 特開 平4−120242(JP,A) 特開 平9−310149(JP,A) 特開 平9−31597(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、C:0.003%以下と、S
    i:0.3%以下と、Mn:0.05〜0.5%と、
    P:0.03%以下と、S:0.003〜0.015%
    と、Sol.Al:0.03〜0.06%と、Ti:
    0.02〜0.08%と、N:0.003%以下とを含
    有し、鋼板表面から板厚15%以内の表層部と鋼板表面
    から板厚15%以内を除いた板厚中心部における平均フ
    ェライト粒径をそれぞれds、dbとするとき、ds/
    dbが0.95以下である打ち抜き性に優れる冷延鋼板
    を製造するに際し、 連続鋳造した鋼を1000〜1200℃に加熱する工程
    と、加熱された鋼をAr3 点以下の温度域で最終粗圧延
    を行う工程と、粗圧延された鋼をAr3 点以上(Ar3
    +100)℃未満の温度域まで加熱速度5℃/s以上で
    再加熱し、Ar3 点以上で仕上げ圧延を行い、巻取る工
    程と、巻取った熱延鋼板を冷延し、再結晶温度〜850
    ℃で焼鈍し、1.5%以下の調圧率で調質圧延を行う工
    程と、を備えたことを特徴とする打ち抜き性に優れる冷
    延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋼板は、さらに、質量%で、B:0.0
    002〜0.0015%を含有していることを特徴とす
    請求項1に記載の打ち抜き性に優れる冷延鋼板の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 鋼板は、さらに、質量%で、Nb:0.
    005〜0.03%を含有していることを特徴とする
    求項1または2に記載の打ち抜き性に優れる冷延鋼板の
    製造方法。
JP32964996A 1996-12-10 1996-12-10 打ち抜き性に優れる冷延鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP3355970B2 (ja)

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