JP3354997B2 - オレフィン重合体の安定化方法 - Google Patents

オレフィン重合体の安定化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、オレフィン重合体の安定化、特
に液体モノマーにおける重合により製造されるオレフィ
ン重合体の安定化方法であって、安定剤を重合工程と液
体モノマーをフラッシング(flashing)する工程との間
の工程で加える方法に関する。オレフィン重合工程に安
定剤を直接加える方法は以前から公知である。高収率ツ
ィーグラー−ナッタ触媒系を使用するヨーロッパ特許第
92987号は、重合反応器に立体障害ピペリジン誘導
体(HALSと呼ばれる)を導入する方法を開示してい
る。好ましいHALSは、重合環境中に存在するアルミ
ニウムアルキルとの好ましくない反応を避けるために、
エステル、エーテル、ヒドロキシル、カルボキシル、ケ
トン、第一アミン基の様な反応性基を分子中に含まない
HALSである。公開ヨーロッパ特許出願第35044
4号および第351360号に開示されている様な、H
ALSに加えて、高分子量の立体障害フェノール、およ
び亜リン酸塩または亜ホスホン酸塩をも含む安定剤の混
合物を重合に加える方法も公知である。
【0002】しかし、これまで知られている方法は、得
られる重合体を完全に安定化しないので十分ではない。
事実、上記の第一の場合、HALSの添加によりUV放
射に対する保護および熱安定性が重合体に与えられるだ
けである。第二の場合には、保護効果はより高いが、そ
れでもなお、抗酸性剤、潤滑性剤および核形成剤の様な
他の安定剤および添加剤が必要である。上記の技術の別
の欠点は、アルキルアルミニウムと、安定剤混合物の、
HALSとは異なった成分、特にフェノール成分との相
互作用のために重合収率が著しく低下することである。
本出願者の名前による公開ヨーロッパ特許出願第EP−
A−0546573号の開示によれば、重合の際にフェ
ノール性安定剤を加えることによる悪影響は、重合を特
殊な支持ツィーグラー−ナッタ触媒を使用して行うこと
により排除できる。
【0003】ここで本発明者は、重合反応器から出てく
る液体モノマー中のオレフィン生成物の混合物に、必要
なすべての安定剤を直接加えることができる新規な方法
を発見した。該混合物は実質的に液体モノマー中に分散
した重合体粒子からなり、重合工程中に生じる可溶性重
合体部分(一般的に低分子量である)が溶液中に存在す
る。安定剤を加えた後に続く液体モノマーのフラッシン
グ(フラッシュ乾燥による除去)工程の際に、上記の可
溶性重合体部分が固体重合体粒子上に堆積し、これによ
って該粒子に対する安定剤の良好な密着性が確保され
る。また、本発明の方法により、重合体に様々な特性
(例えば、色、流動性)を与えるために必要なすべての
添加剤を安定剤と一緒に加えることができる。
【0004】本発明の方法を使用する際の利点の一つ
は、安定剤として一般的に使用される化合物を、触媒系
と相互作用するものを排除する必要がなく、すべて使用
できることである。本発明の方法から得られる第二の利
点は、重合体粒子に浸透する安定剤により与えられる保
護作用がより大量の重合体に及ぶので、安定剤が一様に
配分され、安定化作用がより効果的になることである。
液体モノマーをフラッシングする際に、該安定剤が固体
重合体粒子と接触してから、可溶性重合体部分が該固体
重合体上に堆積するために、重合体粒子における安定剤
の、特に液体安定剤の保護作用が効果的に発揮される。
こうして、安定剤は固体重合体粒子の細孔中に容易に浸
透することができる。その上、安定剤、および所望によ
り本発明の方法により導入される他の添加剤は、大きな
損失なしにほとんど定量的に堆積し、重合体粒子中に取
り込まれる。
【0005】本発明の方法により得られるもう一つの利
点は、重合体に必要な追加工程の数が少なくなるため
に、経費および時間の節約ができることである。事実、
重合体は、液体モノマーから乾燥させた後、成形工程に
直接送ることができる。これによって、安定剤および添
加剤と混合し、押し出す工程を省くことができる。本発
明の方法により得られる別の利点は、混合および押出し
工程をなくすことができるので、それらの工程を実行す
るのに必要な高温による重合体の劣化を防止できること
である。そこで、本発明の目的は、ツィーグラー−ナッ
タ触媒を使用して液体モノマー中で得られる粒子形のポ
リオレフィン(単独重合体および共重合体)に安定剤お
よび添加剤を添加する方法であって、安定剤および添加
剤の添加を、液体モノマー中で、重合後の工程におい
て、ただし液体モノマーをフラッシングする前の工程に
おいて、アルミニウムアルキルを不活性化した後に行う
ことを特徴とする方法を提供することである。
【0006】本発明の方法に使用可能なポリオレフィン
は、好ましくは、液体エチレンモノマーおよびプロピレ
ン、ブテン、ペンテンおよび4−メチル−ペンテン−1
の様なC3 〜C10αオレフィン中で、所望によりブタジ
エンおよびヘキサジエンの様なジオレフィンの存在下で
重合させることにより得られるポリオレフィンである。
特に、本発明の方法は、プロピレンの単独重合体および
共重合体、特にアイソタクチックポリプロピレンおよび
2〜30モル%のエチレンおよび/またはC4〜C10α
オレフィンを含むプロピレンの結晶性共重合体に好適で
ある。
【0007】重合工程は、通常の重合方法にしたがって
液体モノマー中で行う。エチレンの様な気体状のコモノ
マーは液体モノマー中に溶解させることができる。液体
モノマーは、プロパン、ブタンおよびイソブタンの様な
希釈剤を含むこともでき、これによって重合反応器中の
圧力を下げることができる。重合工程が終了したら、例
えば重合反応器の出口で重合体分散液中にヒドロキシル
化合物を導入することによりアルミニウムアルキルを不
活性化する。次いで、安定剤、および所望により添加剤
の混合物を、重合反応器とモノマーをフラッシングする
区域との間に配置した特定の容器に入れる。モノマーフ
ラッシング区域でモノマーを迅速に蒸発させた後、添加
剤および安定剤を含む重合体の粒子を回収し、その重合
体は次の処理に即使用できる。
【0008】上記の技術を使用することにより、液体モ
ノマー中の重合体分散液に、下記の種類の安定剤および
添加剤に族する化合物を個別に、あるいは混合して導入
することができるが、これらの化合物は説明のために記
載するのであって、これらに限定するものではない。 −ヒンダードフェノール:2,6−ジ−tert−ブチ
ル−4−メチルフェノール(BHT)、2,4−ジ−t
ert−ブチル−フェノール、チバ−ガイギーから市販
のプロピオン酸オクタデシル3−(3' ,5' −ジ−t
ert−ブチル−4' −ヒドロキシフェニル(IRGA
NOX1076)、テトラキス[メチレン(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート)]
メタン(IRGANOX1010)、SFOSから市販
のテレフタル酸ビス2,2' −メチレン−ビス(6−t
ert−ブチル−4−メチルフェノール)(HPM1
2)、エチル コーポレーションから市販の1,3,5
−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(E
THANOX 330)、グッドリッチから市販のイソ
シアヌル酸トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)(GOOD−RITE 311
4)、シアナミドから市販の1,3,5−トリス(4−
tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル
ベンジル)1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1
H,3H,5H)−トリオン(CYANOX 179
0)、I.C.I.から市販の1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェ
ニル)ブタン(TOPANOL CA)、 −ホスフィットおよびホスホナイト:チバ−ガイギーか
ら市販の亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)(IRGAFOS 168)、亜リン酸ト
リノニルフェニル(TNPP)、ボルグ−ワーナー ケ
ミカルから市販のジ亜リン酸ジステアリルペンタエリト
リトール(WESTON 618)、ジ亜リン酸ジ
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリ
トリトール(ULTRANOX 626)、Sando
zから市販のジ亜ホスホン酸テトラキス(2,4−ジ−
tert−ブチル)4,4' −ジフェニリデン(SAN
DOSTAB PEPQ)、 −スルフィド、ジスルフィドおよびチオエーテル:ジス
テアリル−チオ−ジプロピオネート(DSTDP)、ジ
ラウリル−チオ−ジプロピオネート(DLPLP)、S
andozから市販のペンタエリトリトール−テトラキ
ス−β−ラウリル−チオ−ジプロピオネート(SAND
OSTAB 4020)、ヘキストから市販のジオクタ
デシルジスルフィド(HOSTANOX SE−1
0)、 −単量体および重合体HALS:チバ−ガイギーから市
販のポリ(コハク酸N−β−ヒドロキシメチル−2,
2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジ
ル)(TINUVIN 622)、セバシン酸ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)(TINUVIN 765)、セバシン酸ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
(TINUVIN 770)、ポリ{[6−(1,1,
3,3−テトラメチルブチル)−イミン]−1,3,5
−トリアジン−2,4−ジオール][2−(2,2,
6,6−テトラメチルピペリジル)アミン]ヘキサメチ
レン−[4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ル)イミン}(CHIMASSORB 944)、エニ
ケム シンセシスから市販のポリメチルプロピル−3−
オキシ[4−(2,2,6,6−テトラメチル)−ピペ
リジニル]シロキサン(UVASIL 299)、 −UV吸収剤:チバ−ガイギーから市販の2−ヒドロキ
シ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン(CHIMA
SSORB 81)、2−(2' ヒドロキシ−3' te
rt−ブチル−5' −メチルフェニル)5−クロロベン
ゾトリアゾール(TINUVIN 326)、 −消光剤:ビス[O−エチル(3,5−ジ−tert−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)]ホスホン酸ニッケ
ル、 −腐食防止剤:ステアリン酸Ca、Na、およびMg、
合成ハイドロタルサイト、 −帯電防止剤:エトキシル化第三級アミン、モノステア
リン酸グリセリル、 −滑り剤:エルカアミド、オレアミド、 −粘着防止剤:無定形シリカ、ゼオライト、 −核形成剤:安息香酸Na、ジベンジリデンソルビトー
ルおよび誘導体、 −顔料および染料:酸化Fe、フタロシアニン、 −光学的光沢剤、 −パラフィンワックス(ポリエチレン性、ポリプロピレ
ン性)、 −溶解した、または微分散した様々な分子量の単独重合
体および共重合体。
【0009】製造した重合体粒子に加えるべき安定剤お
よび所望による添加剤の量は、重合体に対して好ましく
は0.005〜50重量%、より好ましくは0.01〜
30重量%である。アルミニウムアルキルの不活性化剤
としては、多くのヒドロキシル化合物を使用することが
できる。好適な不活性化剤には、水、1価アルコール
(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、
2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール)、多価
アルコール(例えばエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、グリセリン、ソルビトール)、または部
分的にエステル化した多価アルコール(例えばモノステ
アリン酸グリセリン)、所望により窒素原子上で置換し
た、エタノールアミン(モノ−、ジ−、およびトリエタ
ノールアミン)の様なアミノアルコール(例えばアトラ
スから市販のATMER 163の様な第三級アミン)
がある。使用するアルミニウムアルキル不活性化剤の量
は、不活性化すべきアルミニウムアルキルの1分子あた
り、好ましくは0.1〜5モルである。
【0010】本発明の方法で使用できるオレフィン重合
体は、重合体粒子を完全に規則的な形で製造できるツィ
ーグラー−ナッタ触媒のいずれかを使用して合成するこ
とができる。該触媒は、遷移金属成分(特にチタンまた
はバナジウム)および所望により電子供与体化合物を含
む触媒成分、およびアルミニウムアルキル化合物を含む
共触媒から得られる。特に好ましいのは高収率ツィーグ
ラー−ナッタ触媒である。該触媒は、共に活性Mg二ハ
ロゲン化物の粒子上に支持された、少なくとも1個のT
i−ハロゲン結合を有するチタン化合物を含む固体成
分、および所望により電子供与体化合物を、所望により
電子供与体化合物と組合わせた有機アルミニウム化合
物、特にアルミニウムトリアルキルと反応させることに
より得られる。
【0011】固体触媒成分中の二ハロゲン化マグネシウ
ムの活性は、その触媒成分のX線スペクトルにおいて、
最大強度反射が、非活性化二ハロゲン化マグネシウムの
スペクトルに現れる最大強度反射より少なくとも30%
大きな半ピークにおける幅を示すことにより、あるいは
非活性化二ハロゲン化マグネシウム(3 m2 /g未満の表
面積を有する)で現れる主強度反射は存在しないが、そ
の代わりに、非活性化二ハロゲン化マグネシウムの最大
強度反射の位置に対して移行した最大強度を有するハロ
があることにより確認される。最も活性な形は、X線ス
ペクトルがハロを示す形である。ハロゲン化マグネシウ
ムの中で、塩化マグネシウムが好ましい化合物である。
塩化マグネシウムの最も活性な形の場合、触媒成分のX
線スペクトルは、非活性化塩化物のスペクトル中で距離
2.56オングストロームに現れる反射の代わりにハロ
を示す。
【0012】好ましい触媒は、規則的な幾何学的形態を
有するMgCl2 粒子上に触媒成分が支持された触媒で
ある。該触媒成分は様々な方法により得られる。例え
ば、好ましくは活性水素原子を含む電子供与体化合物、
例えば水、アルコールおよびフェノールとのMgCl2
付加物の球状粒子を製造することができ、これらの粒子
をTi化合物と、および所望により電子供与体化合物と
反応させる。Ti化合物との反応の前に、例えば熱処理
により、またはアルミニウムアルキル化合物との反応に
より、二塩化マグネシウムとの付加物中に存在する電子
供与体化合物を、該付加物から部分的に除去することが
できる。上記の種類の触媒成分の製造方法は米国特許第
3,953,414号および第4,399,054号に
記載されている。上記の触媒成分をアルミニウムアルキ
ル化合物および特定種類のシランから選択された電子供
与体化合物と反応させることにより得られる、高活性の
立体特異性触媒の例は、ヨーロッパ特許第45975
号、第45976号および第45977号に記載されて
いる。
【0013】触媒の製造に使用されている固体触媒成分
は、電子供与体として、エーテル、ケトン、ラクトン、
N、P、および/またはS原子を含む化合物、およびモ
ノおよびジカルボン酸のエステルから選択された化合物
を含む。特に好適な化合物は、フタル酸ジイソブチル、
ジオクチルおよびジフェニル、およびフタル酸モノベン
ジルモノブチルの様なフタル酸のエステル、マロン酸ジ
イソブチルおよびジエチルの様なマロン酸のエステル、
ピバリン酸アルキルおよびアリール、マレイン酸アルキ
ル、シクロアルキル、およびアリール、炭酸ジイソブチ
ル、炭酸モノエチルモノフェニル、および炭酸ジフェニ
ルの様な炭酸アルキルおよびアリール、コハク酸モノお
よびジエチルの様なコハク酸のエステルである。
【0014】他の特に好適な電子供与体は、式(I) (式中、RI およびRIIは、同一であるか、または異な
るものであって、C1 〜C8 アルキル、C3 〜C8 シク
ロアルキルまたはC3 〜C18アリール基であり、RIII
およびRIVは、同一であるか、または異なるものであっ
て、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。)
の1,3−ジエーテルである。この種のエーテルは、公
開ヨーロッパ特許出願EP−A−361,493に記載
されている。式(I)のジエーテルの代表例は、2−メ
チル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパ
ン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパ
ン、および2−イソプロピル−2−シクロペンチル−
1,3−ジメトキシプロパンである。
【0015】上記の触媒成分は、さまざまな方法で製造
できる。その一つは、二ハロゲン化マグネシウム(1%
未満の水を含む無水物として使用)をチタン化合物およ
び電子供与体化合物と共に、二ハロゲン化マグネシウム
を活性化する条件下で粉砕または共粉砕する。次いで、
その粉砕生成物を温度80℃〜135℃で、過剰のTi
Cl4 で1回以上処理し、次いで塩素イオンがすべて消
失するまで炭化水素(例えばヘキサン)で繰り返し洗浄
する。別の方法では、まず無水ハロゲン化マグネシウム
を公知の方法により予め活性化させ、次いで溶液中に電
子供与体化合物を含む過剰のTiCl4 と反応させる。
この場合も操作は80〜135℃の温度で行なう。所望
によりTiCl4 による処理を繰り返し、次いで固体を
ヘキサンまたは他の炭化水素溶剤で洗浄し、痕跡量の未
反応TiCl4 をすべて除去する。もう一つの方法で
は、nが一般的に1〜3の数であり、ROHがエタノー
ル、ブタノール、イソブタノールであるMgCl2 ・n
ROH付加物を、溶液中に電子供与体化合物を含む過剰
のTiCl4 と反応させる。反応温度は一般的に80〜
120℃である。次いで固体を分離し、TiCl4 とさ
らに1回反応させ、次いで炭化水素溶剤で洗浄し、痕跡
量の未反応TiCl4 をすべて除去する。さらに別の方
法では、マグネシウムアルコラートおよびクロロアルコ
ラート(クロロアルコラートは特に米国特許第4,22
0,554号に記載されている様にして製造することが
できる。)を、この場合も上記の反応条件下で、溶液中
に電子供与体化合物を含む過剰のTiCl4 と反応させ
る。
【0016】固体触媒成分中には、Tiで表されるチタ
ン化合物が一般的に0.5〜10重量%の量で存在し、
固体成分上に固定されている電子供与体化合物(内部供
与体)の量は、二ハロゲン化マグネシウムに対して一般
的に5〜20モル%である。固体触媒成分の製造に使用
できるチタン化合物は、ハロゲン化チタンおよびハロゲ
ンアルコラートである。四塩化チタンが好ましい化合物
である。好ましい結果は、三ハロゲン化チタン、特にT
iCl3 HR、TiCl3 ARA、およびTiCl3
6 5 の様なチタンハロゲンアルコラートでも得られ
る。上記の反応により、活性化された二ハロゲン化マグ
ネシウムが形成される。この分野では、これらの反応に
加えて、例えばマグネシウムのカルボン酸塩の様な、ハ
ロゲン化マグネシウムとは異なるマグネシウム化合物か
ら出発し、活性化された二ハロゲン化マグネシウムを形
成する他の反応も公知である。
【0017】使用する共触媒は、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、およびトリ−n−ブ
チルアルミニウムの様なAlトリアルキル化合物、また
はOまたはN原子またはSO2 、SO3 およびSO4
により互いに結合した2個以上のアルミニウム原子を含
む直鎖または環状Al−アルキル化合物である。これら
の化合物の例としては、 (C2 5 2 Al−O−Al(C2 5 2 、 (C2 5 2 Al−N(C6 5 )−Al(C
2 5 2 、 (C2 5 2 Al−SO2 −Al(C2 5 2 、 CH3 [(CH3 )Al−O]n −Al(CH3 2
および −[(CH3 )Al−O]n − (式中、nは1〜20の数である。)がある。AlR2
HおよびAlR2 OR' 化合物(式中、Rは1〜6個の
炭素原子を有するアルキル基であり、R' は、1つ以上
の位置で置換されたアリール基である)も使用できる。
アルミニウムアルキル化合物は、一般的にAl/Ti比
が1〜1000になる様な量で使用する。
【0018】外部供与体(アルミニウムアルキル化合物
に加えられた)として使用できる電子供与体化合物に
は、芳香族酸エステル(安息香酸アルキルの様な)、複
素環式組成物(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、および2,6−ジイソプロピルピペリジンの様な)
および特に少なくとも1個のSi−OR結合(式中、R
は炭化水素基)を含むケイ素化合物がある。ケイ素化合
物の例は、(tert−C4 9 2 −Si(OC
3 2 、(C6 112 Si(OCH3 2 、および
(C6 5 2 Si(OCH3 2 である。式(I)の
1,3−ジエーテルも外部供与体として使用できる。内
部供与体が式(I)の1,3−ジエーテルの1つである
場合、外部供与体は省くことができる。
【0019】本発明の方法を行う重合体粒子は、AST
M 1895−69、方法Aにより測定して0.3〜
0.6g/cm3 のかさ密度を有するのが好ましい。本発明
による安定剤および添加剤の添加に好適な、好ましい粒
子の例は、上記のかさ密度に加えて、直径が0.5〜
4.5mmである球形または長球形の粒子である。粒子の
少なくとも90%が1〜3.5mmの直径を有する粒子が
好ましい。該粒子は、上記の幾何学的に規則的なMgC
2 粒子上に支持された触媒成分を使用することにより
得られる。本発明の方法は、連続式またはバッチ式の工
業的製法により得られる重合体に使用できる。一般的
に、重合は40℃〜60℃の温度で、大気圧以上の圧力
で実行する。
【0020】下記の、説明のために記載するのであっ
て、本発明を限定するものではない実施例は、バッチ式
の実験室用オートクレーブ中で行った。これらの実施例
で得られた生成物の特性を評価するために、下記の試験
を行った。−ペッパー・アンド・ソルト試験:安定化し
た球状重合体10グラムを直径9cmのアルミニウム製容
器に入れ、150℃の強制空気循環炉中に入れる。この
試験は、球の一つが黄変した時点で完了と見なす。−オ
ーブン−エージング試験:射出成形により製造した、6
x1x0.1cm寸法の試料を幾つか150℃のオーブン
中に入れる。この試験は、試料の一つが黄変し始める時
点で完了と見なす。
【0021】触媒成分の一般的な製造方法 実施例で使用する固体触媒成分は、次の様に製造する。
不活性雰囲気中で、攪拌機を備えた反応器中に、MgC
2 28.4g、無水エタノール49.5g、ROL
OB/30ワセリンオイル100ml、粘度350csのシ
リコーンオイル100mlを入れ、この混合物をMgCl
2 が溶解するまで120℃に加熱する。次いでこの高温
混合物を、ウルトラタラックスT−45攪拌装置を備
え、ワセリンオイル150mlおよびシリコーンオイル1
50mlを含む1500mlの容器に移す。温度を120℃
に維持しながら、内容物を3000rpmで3分間攪拌す
る。次いでこの混合物を、攪拌機を備え、0℃に冷却し
た無水n−ヘプタン1000mlを含む2リットル容器に
入れる。得られた粒子を濾過して回収し、n−ヘキサン
500mlで洗浄し、窒素気流中で温度を180℃に徐々
に上昇させて加熱し、アルコールをMgCl2 1モルあ
たり3モルから2.1モルに減少させる。この様にして
得られた付加物25gを、攪拌機を備え、TiCl4
25mlを含む反応器に0℃で入れ、攪拌しながら1時間
で100℃に加熱する。温度が40℃に達した時に、マ
グネシウム/フタル酸エステルのモル比を8にするのに
十分な量のフタル酸ジイソブチルを加える。反応器の内
容物を攪拌しながら100℃に2時間加熱し、次いで固
体を沈降させ、高温の液体をサイホンで除去する。Ti
Cl4 550mlを加え、混合物を攪拌しながら120℃
に加熱する。攪拌を止め、固体を沈降させる。高温の液
体をサイホンで除去し、次いで固体を60℃のn−ヘキ
サン各200mlで6回洗浄し、次いで常温で3回洗浄す
る。
【0022】実施例1 加熱ジャケットおよび磁気攪拌機を備えた4リットルの
ステンレス鋼製の反応器中に、常温で、n−ヘプタン7
0ml中にAlEt3 7mmolおよびフェニルトリエトキシ
シラン0.35mmolを入れた分散液およびTi支持固体
触媒15mgを導入する。重合体MFR約5g/10分を得
るのに十分な、約2N/l の水素をオートクレーブ中に導
入し、最後にプロピレン1200gを加え、温度を上昇
させる。この混合物を70℃で2時間攪拌する。2時間
後、液体プロピレンを、超微細末端ネットを備えたサイ
ホンで抜き取り、n−ヘプタンを含む三角フラスコの底
に導き、そこで脂肪族炭化水素中にバブリングさせて気
泡の形で放出する。ROTAVAPOR中でn−ヘプタ
ンを完全に蒸発させた後、フラスコの壁上に下記の特性
を有する粘着性の物質7gが残る。 −オリゴマー: 47% −25℃におけるキシレン可溶分(オリゴマーを除
く):23.2% −25℃におけるキシレン不溶分:3.1% −125℃におけるキシレン不溶分:25.3% −触媒残留物の分析:Ti300 ppm、Mg230 pp
m、Al23.5%。 反応器から球状のポリプロピレン442gが回収され
る。この実施例は、液体モノマー中での重合の際に、著
しく大量の、液体モノマー中に溶解しない重合体部分が
あることを示している。
【0023】実施例2 同じ装置中で、実施例1に記載の同じ操作方法で、液体
プロピレン中で標準重合試験を行う。2時間の反応後、
オートクレーブ中に加圧下で、蒸留水10gを入れ、1
分後、小さなシリンダーを使用し、安定剤の混合物1.
2gを液体プロピレン50gに分散させた分散液を入れ
る。安定剤の混合物は IRGANOX 1010 0.5g SANDOSTAB PEPQ 0.4g ステアリン酸Ca 0.3g を含む。混合物を1分間攪拌し、次いで攪拌機を運転し
ながら、オートクレーブをフレアー(flare )中でフラ
ッシュさせる。安定化された球状ポリプロピレン500
gが回収される。上記の様にして製造した、安定化され
た球状のポリプロピレン10gを、150℃のオーブン
中でペッパー・アンド・ソルト試験にかける。この試験
により、試料の耐性は7時間であることが分かった。残
りの重合体はマイクロエクストルーダーでペレット化す
る。次いでこれらのペレットから、CARVERプレス
を使用し、射出成形により1mm厚の試料を調製する。こ
れらの試料から2個の6x1x0.1cm試料を調製し、
150℃オーブン中でエージング試験を行う。黄変の兆
しを見せたのは、2個の試料の一方は24日後であり、
もう一方の試料は26日後である。2つの価を平均し
て、熱酸化時間は25日間である。
【0024】実施例3 実施例1に記載の方法で、標準重合試験を行う。2時間
後、エーロゾルボンベを使用して反応容器中に第三級エ
トキシアミン(ATMER 163)5gを入れること
により反応を停止させる。5分間攪拌した後、実施例2
に記載の方法により、 GOOD−RITE 3114 0.2g CHIMASSORB 944 0.5g ステアリン酸ナトリウム 0.25g からなる安定剤混合物1.45gを加える。1分間攪拌
した後、オートクレーブを排気し、プロピレンを除去
し、安定化された球状ポリプロピレン490gを回収す
る。150℃のオーブン中で熱酸化試験にかけた試料は
耐性10日間を示した。球状ポリプロピレンをマイクロ
エクストルーダーで押し出して得たペレットの一部を使
用し、厚さ50μm 、幅5cmのフィルムを調製した。こ
のフィルムから幅3cm、厚さ50μm の細片を採取し、
ASTM規則2565、方法Dにしたがって操作する
W.O.M.(Weather-O-Meter)65で促進UV放射試
験にかけた。W.O.M.65露出時間の異なるフィル
ム試料をダイナモメーターで評価した。これらの試験
は、引っ張り強度(または破断点伸び)の値が露出して
いない試料の50%になった時に終了とした。試験した
試料の耐性は約400露出時間であった。UV放射に対
して安定化していないポリプロピレン試料の耐性は約5
0時間である。
【0025】実施例4 実施例1に記載の方法により、標準重合試験を行う。2
時間後、オートクレーブ中に加圧下で、トリエタノール
アミン3gを入れることにより、反応を停止させ、内容
物を5分間攪拌する。実施例2に記載の方法により、 IRGANOX 1010 0.5g SANDOSTAB PEPQ 0.25g ジベンジリデンソルビトール 1g ステアリン酸ナトリウム 0.25g からなる安定剤および添加剤の混合物3gを加える。内
容物をさらに1分間攪拌してから、プロピレンをフレア
ー中でフラッシングする。安定化された球状ポリプロピ
レン490gが回収されるので、150℃のオーブン中
でペッパー・アンド・ソルト試験にかける。このポリプ
ロピレンの耐性は8時間である。安定化された球状ポリ
プロピレンの残りの部分をマイクロエクストルーダーで
ペレット化する。次いでこれらのペレットから、CAR
VERプレスを使用し、射出成形により試料を調製す
る。該試料のヘーズ値は27%であるのに対し、添加剤
を含まない類似のポリプロピレン試料のヘーズ値は64
%である。1mm試料を150℃でオーブンエージング試
験にかけたところ、25日間の耐熱酸化時間を示した。
【0026】実施例5 実施例1に記載の方法により、標準重合試験を行う。2
時間後、反応器中にグリセロール4gを入れることによ
り反応を停止させる。内容物をさらに3分間攪拌し、次
いで、前の実施例2に記載の方法により、 IRGANOX 1010 0.5g IRGAFOS 168 0.5g エルカミド 1g ステアリン酸カルシウム 0.25g からなる安定剤および添加剤の混合物2.25gを加え
る。2分後にプロピレンをフラッシングする。安定化さ
れた球状ポリプロピレン505gが得られるので、これ
をマイクロエクストルーダーでペレット化する。次い
で、これらのペレットから、CARVERプレスを使用
し、射出成形により1mm厚の試料を調製する。これらの
試料を150℃中で熱酸化試験にかけたところ、18日
間の耐性を示した。ペレットの残りの部分を使用して厚
さ50μm 、幅5cmのフィルムを調製する。調製から5
日後、摩擦係数(ASTM規則D 1894−63、方
法Bにより計算)を測定し、0.2の値を得たが、エル
カミドを含まないポリプロピレンの摩擦係数は2.5を
超えている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−161002(JP,A) 特開 昭64−56713(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 6/00 - 6/28

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ツィーグラー−ナッタ触媒を使用して液体
    モノマー中で得られる粒子形のポリオレフィンに安定剤
    および所望により添加剤を添加する方法であって、安定
    剤および所望により添加剤の添加を、液体モノマー中
    で、重合後の工程において、ただし液体モノマーをフラ
    ッシングする前の工程において、アルミニウムアルキル
    を不活性化した後に行うことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】ポリオレフィンが、エチレンおよびC3
    10αオレフィンの液体モノマー中での重合により得ら
    れることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】ポリオレフィンが、アイソタクチックポリ
    プロピレンおよび2〜30モル%のエチレンおよび/ま
    たはC4 〜C10αオレフィンを含むプロピレンの結晶性
    共重合体から選択されることを特徴とする、請求項1に
    記載の方法。
  4. 【請求項4】添加される安定剤および所望による添加剤
    の量が、重合体に対して0.005〜50重量%である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】添加される安定剤および所望による添加剤
    の量が、重合体に対して0.01〜30重量%であるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】ポリオレフィンが、かさ密度0.3〜0.
    6g/cm3 および直径0.5〜4.5mmの球形または長球
    形の粒子の形態であることを特徴とする、請求項1に記
    載の方法。
  7. 【請求項7】アルミニウムアルキルがヒドロキシル化合
    物との反応により不活性化されることを特徴とする、請
    求項1に記載の方法。
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