JP3353414B2 - 賦形膜の製造方法 - Google Patents

賦形膜の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば賦形バルーン
膜などとして用いられる賦形膜の製造方法に係り、さら
に詳しくは、賦形膜の製造時において、賦形膜を破損す
ることなく、容易に雄型から引き抜くことが可能で、し
かも膜組成が均一で膜特性に優れ、機械的強度に優れた
賦形膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】賦形バルーン膜を有するカテーテル管
は、たとえば大動脈内バルーンポンピング法(Intra Ao
rtic balloon pumping,以下、「IABP法」と略称する)
などに用いられる。バルーン膜は、たとえば塩化ビニル
系樹脂またはウレタン系樹脂などで構成され、約100
〜150μm程度の薄膜である。このバルーン膜は、そ
の両端の外径がカテーテル管とほぼ同径であり、中央部
分が、両端部よりも大きい外径を有する筒形状を有して
いる。
【0003】賦形バルーン膜はカテーテル管と共に動脈
血管内に挿入され、心臓の拍動に同期して、カテーテル
管を通して流体圧がバルーン膜内部に導入および導出さ
れ、この流体圧の変化に応じて、バルーン膜が動脈血管
内部で膨張および収縮し、心臓機能の補助を行なう。し
たがって、バルーン膜は、血管内での膨張および収縮の
繰り返しに耐え得る耐久性が厳しく要求され、万一の破
損などがあってはならないように製造される必要があ
る。
【0004】従来の賦形バルーン膜の製造方法の一例と
しては、バルーン膜の内周形状に合致した雄型(凸型)
を、樹脂溶液中に浸漬させ、雄型の周囲にバルーン膜形
成用薄膜層を形成し、この薄膜層を乾燥させ、溶媒を除
去した後、薄膜層を雄型の周囲から抜き取ることにより
(離型)、バルーン膜を製造する方法が知られている。
【0005】ところが、この方法では、初期弾性率が高
くかつ破断伸びの小さい材質のバルーン膜を製造しよう
とする場合などに、雄型から薄膜層を抜き取る際に、薄
膜層が破断してしまうことがある。特に、中央部での径
が両端部での径よりも2倍以上に大きいバルーン膜を、
この方法で得ることは困難であった。バルーン膜形成用
薄膜を雄型から引き抜く際に、薄膜の最も径が小さい部
分を、雄型の最も径が大きい部分の外径にまで引き延ば
して通過させる必要があるからである。
【0006】このような問題点を解決するための方法と
して、バルーン膜形成用薄膜の乾燥工程を途中で止め
て、薄膜中に溶媒が5重量%以上残った状態で、薄膜を
雄型から離型する方法が用いられている。この方法によ
れば、薄膜中に溶媒が残存していることから、薄膜が可
塑化状態であり、離型をスムーズに行なうことができ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この方法で
は、バルーン膜形成用薄膜の乾燥工程を途中で止めて、
薄膜中に溶媒を5重量%以上残すため、溶媒の残存が薄
膜中で不均一になり易いなどの理由から、均一な薄膜に
よる離型が困難であることが本発明者らによって確認さ
れた。また、この方法では、薄膜中に溶媒を5重量%以
上残すための乾燥工程の制御が困難である。具体的に
は、乾燥速度が早ければ、わずかな乾燥時間の差が残留
溶媒量の差となり、可塑化の程度が変わってしまい、離
型作業に困難を生じる。また、乾燥速度を遅くすれば全
工程が長くかかり、多量生産の点で難点を有している。
【0008】本発明は、このような実状に鑑みてなさ
れ、バルーン膜などの用途に用いられる賦形膜の製造時
において、賦形膜を破損することなく、容易に雄型から
引き抜くことが可能で、しかも膜組成が均一で膜特性に
優れ、機械的強度に優れた賦形膜を製造する方法を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る賦形膜の製造方法は、両端部の内径が
中央部の内径よりも小さい薄肉筒形状の賦形膜を製造す
る方法であって、両端部の外径が中央部の外径よりも小
さい雄型の表面に、熱可塑性樹脂の溶媒溶液の薄膜層を
形成する工程と、前記雄型の外周に形成された薄膜層
を、この薄膜層に含まれる溶媒が5重量%未満になるよ
うに、乾燥させ、皮膜を形成する工程と、前記雄型の外
周に形成された皮膜を、この皮膜を可塑化させる溶液中
に浸し、皮膜を可塑化させる工程と、この可塑化された
皮膜を、前記雄型の一方の端部から引き抜く工程とを有
する。
【0010】前記雄型から引き抜かれた皮膜は、その後
アニール用熱処理されることが好ましい。このようにし
て得られた賦形膜は、たとえば賦形バルーン膜として用
いられる。
【0011】
【作用】本発明では、雄型の外周に形成された皮膜を、
いったん完全に乾燥させた後に、この皮膜を可塑化させ
る溶液中に浸し、皮膜を可塑化させ、可塑化された皮膜
を、雄型の一方の端部から引き抜くので、皮膜を破損す
ることなく、スムーズに離型することができる。しか
も、本発明の方法により製造された賦形膜の機械的強度
は、乾燥後の可塑化処理によっても低下しないことが本
発明者らによって見出された。さらに、本発明の方法に
より得られた賦形膜の膜組成は均一であり、良好な膜特
性を有することが確認された。
【0012】さらにまた、本発明の方法によれば、雄型
の外周に形成された皮膜の乾燥工程を途中で止める構成
でないため、賦形膜の製造過程における工程管理が容易
であり、常に一定品質の賦形膜を容易かつ安価に製造す
ることができる。
【0013】本発明の製造方法により得られた賦形膜
は、たとえばIABP法などの用途に用いられる賦形バ
ルーン膜として好適に用いることができる。
【0014】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る賦形膜の製造
方法を用いて、賦形バルーン膜を製造する例を説明す
る。本例では、まず図1(A)に示すように、雄型2を
準備する。雄型2は、たとえばステンレスで構成され
る。雄型2の形状および寸法は、製造しようとする賦形
バルーン膜の形状および寸法に応じて決定される。本実
施例では、賦形バルーン膜の形状が、中央部で径が大き
く、両端部で径が小さい形状となるので、その形状に合
致した雄型2を製造する。雄型2の中央部での外径D1
は、たとえば15〜17mmであり、引き抜き後端の外径
D2が、たとえば3〜4mmであり、外径差が4倍以上と
なる。
【0015】雄型2の外周表面に、熱可塑性樹脂の溶媒
溶液の薄膜層を形成するために、雄型2を、熱可塑性樹
脂の溶媒溶液4中に浸漬する。本発明において用いるこ
とができる熱可塑性樹脂としては、特に限定されない
が、たとえば、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、ア
ミド系樹脂、オレフィン系樹脂、イミド系樹脂などを例
示することができる。賦形バルーン膜を製造する場合に
は、その中でも、耐屈曲疲労特性に優れたウレタン系樹
脂が好ましい。
【0016】熱可塑性樹脂に対して可塑化効果を有する
溶媒としては、塩化ビニル系樹脂に対しては、テトラヒ
ドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)
などが適当であり、ウレタン系樹脂に対しては、TH
F、MEK、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフオ
キシドなどが適当である。熱可塑性樹脂の溶液溶媒4
は、上記熱可塑性樹脂を溶媒により溶解した溶液であ
り、たとえば熱可塑性樹脂としてポリウレタンを用い、
溶媒としてTHFを用いる場合には、ポリウレタンが5
〜20重量%含まれる溶液を用いることが好ましい。こ
の溶媒溶液4の粘度は、100〜10000cp、好ま
しくは1000〜5000cpに予め調整される。
【0017】雄型2を溶媒溶液4中に浸漬させる回数お
よび時間は特に限定されず、所望の膜厚の溶媒溶液の薄
膜層が雄型2の外周に形成されるまで行なう。なお、本
発明では、雄型2の外周に溶媒溶液の薄膜層を形成する
ための手段は、特に限定されず、浸漬法に限らず、スプ
レー法などを用いることができる。
【0018】次に、図1(B)に示すように、外周に薄
膜層が形成された雄型2を溶媒溶液4から取り出し、薄
膜層を乾燥させて、薄膜に含まれる溶媒を揮発させ、バ
ルーン膜形成用皮膜6を形成する。薄膜層の乾燥は、薄
膜に含まれる溶媒が5重量%未満となるように十分に行
なわれる。具体的には、まず、常温空気中での風乾を数
分〜数時間行い、その後、80〜90℃の雰囲気温度中
で、3時間〜24時間の乾燥を行なう。この乾燥時間が
余りに長いと、皮膜が劣化するおそれがあることから好
ましくない。また、乾燥時間が余りに短いと、薄膜中
に、溶媒が特に雄型2の近傍に不均一に残存するなどの
理由から、その後の剥離工程が良好に行えないおそれが
あるので好ましくない。
【0019】その後、図1(C)に示すように、いった
んほぼ完全に乾燥してバルーン膜形成用皮膜6を外周に
形成した雄型2を、皮膜を可塑化させる可塑化溶液8中
に浸漬する。可塑化溶液8は、皮膜6を構成する熱可塑
性樹脂の種類に応じて決定され、皮膜6が、例えばポリ
ウレタン膜である場合には、エチルアルコールなどのア
ルコール、THF(テトラヒドロフラン)、クロロホル
ム、MEK(メチルエチルケトン)、IPA(イソプロ
ピルアルコール)から選ばれ、35〜45℃の温度に加
熱されることが好ましい。
【0020】皮膜6は、このような可塑化溶液中に、所
定時間浸漬される。その時間は、皮膜6の厚さおよび溶
液8の種類などに依存するが、1〜6時間程度が好まし
い。この時間が余りに短いと、皮膜6への溶液8の膨潤
が不十分であり効果が少なく、余りに長過ぎても、膨潤
が飽和状態となり、浸漬させている意味がなくなる。可
塑化溶液8中への浸漬により、皮膜6に対して溶液8が
膨潤し、皮膜6が可塑化される。皮膜6中の溶液8の膨
潤度は、9〜12重量%であることが好ましい。このよ
うな膨潤度の範囲で、皮膜6中に溶液8を膨潤させるこ
とで、皮膜6の300%モジュラス(Md)が100〜
300Kg/cm2 となり、皮膜6を破損することな
く、雄型2から離型することが容易になる。なお、30
0%Mdとは、皮膜6の長さを4倍(100%で2倍、
200%で3倍)に引き延ばすために必要な引っ張り応
力である。
【0021】ポリウレタンで構成される賦形バルーン膜
を製造するためには、可塑化溶液8は、8〜12重量%
THF水溶液、40〜60重量%エチルアルコール水溶
液などを用いることができる。これらの可塑化溶液を用
いることで、皮膜6中の溶液8の膨潤度を、9〜12重
量%に設定することが可能になる。例えば、エチルアル
コール水溶液中のエチルアルコールの濃度と、膨潤度と
の関係を図2に示す。ここでの膨潤度は、皮膜としてポ
リウレタン皮膜を用い、その皮膜を可塑化溶液中に2時
間浸漬した後に、ポリウレタン皮膜中に含まれる可塑化
溶液の重量%を示す。図2に示すように、膨潤度を9〜
12重量%とするには、エチルアルコールの濃度を40
〜50重量%とすることが好ましい。
【0022】その後、可塑化溶液8から、可塑化された
皮膜6が外周に装着された雄型2を取り出し、雄型2の
先端部2aに位置する皮膜6の先端に傷を付け、そこか
ら、雄型2と皮膜6の隙間に針を入れ、そこから、潤滑
剤を流し込む。潤滑剤としては、特に限定されないが、
揮発性の潤滑剤であることが好ましく、フレオン、エチ
ルアルコールなどのアルコール類、グリセリン水溶液な
どが用いられる。
【0023】本発明では、潤滑剤を、必ずしも雄型2と
皮膜6との隙間に流し込む必要はないが、潤滑剤を流し
込むことで、その後の離型工程が容易になる。離型工程
では、皮膜6を、雄型2の先端部2a側から引き抜き、
皮膜6を雄型2から取り外す。その際に、皮膜6の引き
抜き後端6aが、雄型2の中央部の大径部分を通過し、
引き延ばされることになるが、皮膜6は可塑化されてい
るので、離型に際して、皮膜6が引き裂かれることはな
い。
【0024】離型された皮膜6は、その後、アニール用
熱処理することが好ましい。アニール用熱処理は、80
〜90℃の温度で、2〜15時間行なう。アニール用熱
処理により、可塑化状態で引き抜かれた皮膜6の歪が回
復し、形状が回復することが本発明者らによって確認さ
れた。
【0025】次に、皮膜6の両端部は一部切断され、所
定長のバルーン膜が形成される。次に、本実施例の方法
により得られた賦形バルーン膜の用途について簡単に説
明する。
【0026】図3に示すように、皮膜6の両端部を切断
して得られた賦形バルーン膜22は、カテーテル管24
の先端部に、融着ないし接着され、バルーンカテーテル
20が構成される。賦形バルーン膜22の膜厚は約10
0〜150μm程度である。賦形バルーン膜22の外径
および長さは、心機能の補助効果に大きく影響する賦形
バルーン膜22の内容積と、動脈血管の内径などに応じ
て決定される。賦形バルーン膜22の内容積は、特に限
定されないが、30〜50ccであり、賦形バルーン膜
22の外径は、14〜16mmが好ましく、軸方向長さ
は、210〜270mmが好ましい。
【0027】この賦形バルーン膜22の先端部には、血
液連通孔23が形成してある先端チップ部25が熱融着
ないしは接着などの手段で取り付けてある。この先端チ
ップ部25の内周側には、内管30の先端部が熱融着な
いしは接着などの手段で取り付けてある。
【0028】内管30は、賦形バルーン膜22およびカ
テーテル管24の内部を軸方向に延在し、後述するコネ
クタ26の血圧測定口32に連通するようになってお
り、その内部は、賦形バルーン膜22の内部とは連通し
ないようになっている。賦形バルーン膜22内に位置す
る内管30には、バルーンカテーテル20を動脈内に挿
入する際に、収縮した賦形バルーン膜22が巻かれ、賦
形バルーン膜22が都合良く動脈内に差し込まれる。
【0029】賦形バルーン膜22の後端部には、金属製
の接続チューブ27の外周側で、カテーテル管24の先
端部が連結してある。このカテーテル管24を通じて、
賦形バルーン膜22内に、流体圧が導入または導出さ
れ、賦形バルーン膜22が膨張ないし収縮するようにな
っている。賦形バルーン膜22とカテーテル管24との
連結は、熱融着あるいは接着剤による接着により行われ
る。
【0030】カテーテル管24を構成する材質として
は、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリアミド等が用いられる。カテー
テル管24の後端部には、患者の体外に設置されるコネ
クタ26が連結してある。コネクタ26は、カテーテル
管24と別体に成形され、熱融着あるいは接着などの手
段で固着されても良いが、カテーテル管24と一体に成
形されても良い。コネクタ26には、カテーテル管24
および賦形バルーン膜22内に圧力流体を導入または導
出するための圧力流体導入出口28と、内管30内に連
通する血圧測定口32とが形成してある。
【0031】圧力流体導入出口28は、図4に示すよう
なポンプ装置10に接続され、このポンプ装置10によ
り、流体圧が賦形バルーン膜22内に導入または導出さ
れるようになっている。導入される流体としては、特に
限定されないが、ポンプ装置10の駆動に応じて素早く
賦形バルーン膜が膨張または収縮するように、粘性の小
さいヘリウムガスなどが用いられる。また、ポンプ装置
10としては、特に限定されず、例えば特公平2−39
265号公報に示すような装置が用いられる。
【0032】コネクタ26の血圧測定口32は、例えば
血圧測定装置に接続され、血液連通孔23から取り入れ
た動脈内の血液の血圧の変動を測定可能になっている。
この血圧測定装置で測定した血圧の変動に基づき、図4
に示す心臓1の拍動を検出し、心臓の拍動に応じてポン
プ装置10を制御し、賦形バルーン膜22を膨張または
収縮させるようになっている。
【0033】実施例1 次に、本発明の有効性を示す実施例について説明する。
図1に示すような中央部の外径(D1)が15mm、細
径部の外径(D2)が3.4mmのステンレス製雄型を
作成し、該雄型を平均分子量15万のポリエーテル型ポ
リウレタンをテトラヒドロプランに溶解させて得た15
重量%のポリウレタン溶液(粘度3000cps)中に
2回浸潰した後、20分間室温で乾燥させ、さらにオー
ブン中で80°C、3時間の乾燥を行った。なお本工程
後において成形膜から溶媒残量は殆ど検出されなかっ
た。乾燥後50%エタノール水溶液に2時間浸潰した
後、先端部を切断し該切断部より潤滑剤(70%エタノ
ール水溶液)を注入して雄型の表面を湿潤させて脱型
し、中央部の内径が15mm、両端の細径部の内径が
3.4mm、胴部の長さ220mm、膜厚0.095m
mの本発明に係るバルーン膜を得た。本膜の膨潤度は1
2重量%であった。
【0034】同様にして50個のバルーン膜を作成し、
(1)潤滑剤注入によるバルーン膜の内面の粗面化状
態、(2)脱型に際しての破損状態、(3)残留歪み、
について各検査した。なお、残留歪みは2枚の偏光フィ
ルター間にバルーン膜をはさみ、光弾性法によって調べ
た。標準サンプルより歪みが大きいものを残留歪み大と
した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】比較例1 上記実施例と同様に、雄型をポリウレタン溶液中に2回
浸潰し20分間室温で乾燥し、該乾燥後バルーン膜と雄
型の間に潤滑剤(70%エタノール水溶液)を圧入し、
脱型してバルーン膜を得た。前記乾燥後のバルーン膜の
溶媒残量は6重量%であった。本例においても50個の
バルーン膜を作成し、(1)潤滑剤注入によるバルーン
膜の内面の粗面化状態、(2)脱型に際しての破損状
態、及び(3)残留歪み、について各検査した。結果を
表1に示す。
【0037】実施例2 実施例1で得たバルーン膜10個について、オーブン中
で58°C、12時間のアニール処理を行い、該処理後
のバルーン膜について、破断時の伸び試験を行ったとこ
ろ、平均で423%であった。なお、アニール処理前バ
ルーン膜の伸びは平均(10個)で398%であった。
【0038】評価 上記実施例1、2および比較例1に見られるように、本
発明に係るバルーン膜は脱型に際しての破損が極めて少
なく、また形成後の残留歪みも極めて少なく、さらに脱
型前の潤滑剤の注入によっても内面が全く粗面化しない
等の特徴を有しているのがわかる。またアニール処理す
ることにより引張り強度も改良される。
【0039】なお、本発明は、上述した実施例に限定さ
れず、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施例では、賦形膜として賦形バル
ーン膜を製造したが、本発明の方法により製造すること
ができる賦形膜は、賦形バルーン膜に限定されず、その
他の用途に用いられる筒状膜であっても良い。
【0040】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、雄型の外周に形成された皮膜を、いったん完全に乾
燥させた後に、この皮膜を可塑化させる溶液中に浸し、
皮膜を可塑化させ、可塑化された皮膜を、雄型の一方の
端部から引き抜くので、皮膜を破損することなく、スム
ーズに離型することができる。しかも、本発明の方法に
より製造された賦形膜の機械的強度は、乾燥後の可塑化
処理によっても低下しない。さらに、本発明の方法によ
り得られた賦形膜の膜組成は均一であり、良好な膜特性
を有する。
【0041】さらにまた、本発明の方法によれば、雄型
の外周に形成された皮膜の乾燥工程を途中で止める構成
でないため、賦形膜の製造過程における工程管理が容易
であり、常に一定品質の賦形膜を容易に製造することが
できる。本発明の製造方法により得られた賦形膜は、た
とえばIABP法などの用途に用いられる賦形バルーン
膜として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A),(B),(C)は本発明の一実施
例に係る賦形バルーン膜の製造過程を示す概略図であ
る。
【図2】図2はエチルアルコール水溶液中のエチルアル
コールの濃度と皮膜の膨潤度との関係を示すグラフであ
る。
【図3】図3は本発明の一実施例の製造方法で得られた
バルーン膜の用途を示す概略断面図である。
【図4】図4はバルーン膜を有するカテーテル管の使用
方法を示す概略図である。
【符号の説明】
2… 雄型 4… 熱可塑性樹脂の溶媒溶液 6… バルーン膜形成用皮膜 8… 可塑化溶液 22… バルーン膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−297484(JP,A) 特開 昭62−121020(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 41/14 A61M 25/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端部の内径が中央部の内径よりも小さ
    い薄肉筒形状の賦形膜を製造する方法であって、 両端部の外径が中央部の外径よりも小さい雄型の表面
    に、熱可塑性樹脂の溶媒溶液の薄膜層を形成する工程
    と、 前記雄型の外周に形成された薄膜層を、この薄膜層に含
    まれる溶媒が5重量%未満になるように、乾燥させ、皮
    膜を形成する工程と、 前記雄型の外周に形成された皮膜を、この皮膜を可塑化
    させる溶液中に浸し、皮膜を可塑化させる工程と、 この可塑化された皮膜を、前記雄型の一方の端部から引
    き抜く工程とを有する賦形膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記雄型から引き抜かれた皮膜を、アニ
    ール用熱処理する請求項1に記載の賦形膜の製造方法。
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