JP3351902B2 - 半導電性ロール - Google Patents

半導電性ロール

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JP3351902B2 JP15318394A JP15318394A JP3351902B2 JP 3351902 B2 JP3351902 B2 JP 3351902B2 JP 15318394 A JP15318394 A JP 15318394A JP 15318394 A JP15318394 A JP 15318394A JP 3351902 B2 JP3351902 B2 JP 3351902B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真システムに使
用される半導電性ロール、特に帯電、現像、転写ロール
に関するものである。
【0002】複写機、パソコン用レーザープリンター等
に用いられている電子写真プロセスの代表的な機構は、
有機感光体、セレン系物質等の感光性物質を金属製導電
性支持体上にコーティングした感光体ドラム表面に、静
電潜像として原稿像を複写し、この感光体上の静電潜像
にトナーを付着させて、トナー像を形成し、このトナー
像を転写機に転写、定着することにより複写を行なうも
のである。
【0003】この方式において静電潜像を形成するに
は、まず、感光体表面を帯電させる必要がある。この方
法として、一般的に従来からコロナ放電方式が採用され
ており、感光体ドラム表面にコロナ放電を施して帯電処
理するものである。この処理方法として、一般に金属ワ
イヤに5〜8KVという高電圧を印加し、感光体ドラム
に対しコロナ放電を発生させる方法が使用されている。
この時、放電により人体に有害なオゾンが発生すること
が知られている。
【0004】近年、上記のような問題を解決するため
に、半導電性ローラを感光体ドラム表面に接触回転させ
ることで、感光体表面を帯電させる、接触帯電方式が採
用されてきている。接触帯電方式電子写真装置は基本的
には従来コロナ放電による帯電を行なっていたワイヤー
を半導電性ロールに変更したものである。
【0005】このような接触帯電方式の電子写真装置の
一例を図1に示す。図1において、1は感光体ドラムで
あり、その周囲に帯電ロール2,転写ロール3,現像ロ
ール4が配設されている。転写紙6は、感光体ドラム1
と転写ロール3との間を通過して定着ロール5に送られ
るようになっている。なお、7はトナークリーナ,8は
除電ランプ,9は露光を示す。
【0006】図1中に示される帯電ロール2、転写ロー
ル3、現像ロール4が接触帯電方式の電子写真装置に使
用される代表的な半導電性ロールである。通常、これら
に要求される半導電性は、体積固有抵抗値で、106
1012Ω・cm度である。
【0007】これら半導電性ロールの基本的構造は、円
筒状のアルミニウム等の金属製導電性支持体上に、体積
固有抵抗値102 〜1010Ω・cm、好ましくは103
〜108 Ω・cmで、ゴム硬度(JIS.A)20〜4
0度、好ましくは25〜35度のものを半導電性弾性体
層として形成し、さらにこの上に抵抗層を設けたもので
ある。
【0008】半導電性弾性体層の形成材料としては、一
般的に、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニ
トリルゴム、ノルボーネンゴム、ウレタンゴム等の合成
ゴム中に導電性粉末(カーボンブラック、金属粉末な
ど)などを混入した組成物が用いられる。
【0009】また、抵抗層形成材料の体積固有抵抗値は
半導電性弾性体層の体積固有抵抗値とのバランスにより
設定されるが、体積固有抵抗値105 〜1013Ω・c
m、好ましくは106 〜1012Ω・cmのものが使用さ
れている。この抵抗層形成材料は、一般的に、エピクロ
ルヒドリンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタ
ンゴム、クロロプレンゴムなどの有極性ゴムであった
り、更にはシリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、
スチレンブタジエンゴムなどの高抵抗の合成ゴム中に導
電性粉末(カーボンブラック、金属粉末など)を分散混
合した組成物が用いられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、抵抗層の形成
材料として、有極性あるいはフッ素ゴム等を用いた場
合、形成した半導電性ローラはトナーに対する非粘着性
が不十分であり、帯電ロール、転写ロール、現像ロール
として用いた場合、感光体表面に残留するわずかなトナ
ーがロール表面に付着あるいは固着するという現象が生
ずる。このようなことが起ると、帯電ロールの場合、帯
電ムラを生じ、結果として画像ムラとなり、現像ロール
の場合、感光体ドラムに対しトナー未着部が生じ、顕著
な画像ムラとなり、転写ロールの場合紙への転写時は複
写紙の背面に汚れの発生、OHPへの転写時は同様に背
面の汚れが生じることにより異常画像となる。また、抵
抗層の形成材料として、高抵抗の合成ゴム中に導電性粉
末を分散混合した組成物を用いた場合、上述したトナー
の非粘着性不足による問題のほかに、高電圧を印加して
使用するので導電性粉末の分散状態によっては絶縁破壊
しやすいという問題がある。この現像が発生すると、帯
電ロールの場合、絶縁破壊を生じた部分を含む感光体と
接触したラインが画像欠陥となることがある。
【0011】上述した問題点を改良するために種々の検
討がさているが、例えば特開平5−249809には、
抵抗層の形成材料としてシアノエチル化セルロース、シ
アノエチル化プルラン、シアノエチル化ポリビニルアル
コールを使用することが記載されている。しかし、トナ
ーの非粘着性、絶縁破壊電圧の向上について、効果は認
められるものの、耐久性について問題がある。図1に示
したような構造を有する電子写真装置の場合、感光体ド
ラムと接触する半導電性ロールには、ある程度の弾性変
形機能が要求される。シアノエチル化セルロース、シア
ノエチル化プルランを単独で用いた場合は、膜質が硬く
使用中に割れヒビ等の欠陥が発生し、結果として絶縁破
壊しやすい状態となり、シアノエチル化ポリビニルアル
コール単独使用の場合、常温で軟化する物質であること
からトナーに対する非粘着性能が得られない。また、こ
れを改良するために、シアノエチル化ポリビニルアルコ
ールを、シアノエチル化セルロースあるいはシアノエチ
ル化プルランと混合する方法が示されているが、混合比
により膜質が硬いかあるいは高温でのトナーに対する非
粘着性が不充分かのいずれかとなってしまい、未だ満足
しうるものではない。
【0012】従って、本発明の目的は、抵抗層形成材料
として、トナーに対する非粘着性があり、絶縁破壊電圧
が高く、弾性変形においても損傷を受けにくい物質を用
いることにより、画像ムラ等の異常画像の発生を生じな
い半導電性ロールを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは電子写真装
置に用いられる帯電ロール、現像ロール、転写ロールの
抵抗層形成材料として、種々のシアノエチル化合物の適
用について、鋭意検討した結果、本発明に到達したもの
である。
【0014】すなわち、上記目的達成のため、請求項1
の発明は、金属製導電性支持体上に半導電性弾性体層、
抵抗層の順にこれらの層を形成した半導電性ロールにお
いて、上記抵抗層の形成材料がシアノエチルヒドロキシ
エチルセルロースを主成分として含むことを特徴とす
る。
【0015】請求項2の発明は、請求項1の半導電性ロ
ールにおいて、シアノエチルヒドロキシエチルセルロー
スが、無水グルコース単位当たりのヒドロキシエチル基
の置換モル数を1.0〜2.0とし、かつ無水グルコー
ス単位当たりのシアノエチル基の置換モル数が1.5以
上であるシアノエチルヒドロキシエチルセルロースであ
ることを特徴とする。
【0016】本発明に示される半導電性ロールは、円筒
状のアルミニウム等の金属製導電性支持体上に、半導電
性弾性体層を形成し、さらにその上に抵抗層を設けたも
のである。
【0017】金属製導電性支持体としては、アルミニウ
ム製のものが好ましいが、これに限定されるものではな
い。
【0018】半導電性弾性体材料としては、特に制限は
ないが、体積固有抵抗値102 〜1010Ω・cm、好ま
しくは103 〜108 Ω・cmで、ゴム硬度(JIS.
A)20〜40度、好ましくは25〜35度のものが適
用され、一般的に、シリコーンゴム、エチレンプロピレ
ンゴム、ニトリルゴム、ノルボーネンゴム、ウレタンゴ
ム等の合成ゴム中に導電性粉末(カーボンブラック、金
属粉末など)などを分散混合した組成物が用いられる。
【0019】抵抗層の形成材料は、シアノエチルヒドロ
キシエチルセルロースからなり、このものは単独すなわ
ち導電性粉末を含有しなくとも中抵抗値を示す有機半導
体である。このシアノエチルヒドロキシエチルセルロー
スは、ヒドロキシエチルセルロースを原料としてこれに
アルカリ触媒の存在下にアクリロニトリルを反応させる
ことにより得られる。
【0020】アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウ
ム,水酸化カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム等
が使用される。アクリロニトリルの使用量は、得ようと
するシアノエチルヒドロキシエチルセルロースのシアノ
エチル基置換度によっても異なり、またアクリロニトリ
ルは溶媒を兼ねる場合もあるので一概には言えないが、
該ヒドロキシエチルセルロースの無水グルコース単位あ
たり3モル以上好ましくは5モル以上である。原料とな
るヒドロキシエチルセルロースのヒドロキシエチル基
は、無水グルコース単位当りの置換モル数が1.0〜
2.0、好ましくは1.2〜1.6の範囲が良い。これ
が1.0未満であると、基本的性質はシアノエチルセル
ロースに近いものであり、やはり膜質が硬く耐久性に問
題がある。また、2.0より大きいと高分子としての軟
化温度が低下し、シアノエチルポリビニルアルコールに
近いものとなり、トナーの非粘着性に劣るものとなる。
シアノエチル基は、無水グルコース単位当たりの置換モ
ル数が1.5以上、好ましくは2.0以上である必要が
ある。これが、1.5未満であると要求される体積固有
抵抗値が高くなってしまい、場合によっては該抵抗層と
しての上限である1013Ω・cmを越えてしまう。さら
に、シアノエチルヒドロキシエチルセルロースは、20
%N,N′−ジメチルホルムアミド溶液の粘度が100
〜10,000cP、好ましくは100〜2,000c
Pの範囲が良い。粘度が100cP未満であると製膜強
度が小さく、耐久性に問題があり、10,000cPを
越えると塗膜形成時の操作性が容易でなくなる場合があ
る。
【0021】次に、本発明に示される半導電性ロールの
作成は、例えば熱加硫型の合成ゴムに導電性粉末及び加
硫剤を添加し、ロール等を用い充分に混練りし均一な組
成の導電性粉末分散ゴムコンパウンドを得、次いでこれ
を円筒状の金属製導電性支持体上に巻き、加熱、加圧す
る常法により加硫を行なった後、ロール表面を研磨し、
さらにシアノエチルヒドロキシエチルセルロースを有機
溶媒に溶解した液を、研磨したロール表面にコーティン
グし乾燥することにより行なわれる。
【0022】
【実施例】以下に、本発明の実施例および比較例を挙げ
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。実施例および比較例において、抵抗層の形成材料と
して使用した物質の単独での物性を表1に示す。実施例 円筒状のアルミニウム軸芯に半導電性弾性材料として、
熱加硫型導電性シリコーンゴム(商品名:DY32−9
31u:東レ・ダウコーニングシリコーン社製)100
重量部、熱加硫型導電性シリコーンゴム(商品名:SR
X−557:東レ・ダウコーニングシリコーン社製)1
00重量部、加硫剤(商品名:RC−4:東レ・ダウコ
ーニングシリコーン社製)6重量部を混練りし均一なゴ
ムコンパウンドとし巻きつけ、金型成形(170℃、1
0分、120kg/cm2 )による一次加硫の後、二次
加硫(200℃、4時間)を行ない、ロール表面を研磨
して、表面粗さ(Rz)6μm、外径15mmに仕上げ
を行ない、体積固有抵抗値103 Ω・cmの半導電性弾
性体層を積層したロールを得た。
【0023】次に、シアノエチルヒドロキシエチルセル
ロース(商品名:シアノレジンCR−E:ヒドロキシエ
チル基置換モル数1.5,シアノエチル基置換モル数
2.4:信越化学工業株式会社製)4重量部をDMF
(ジメチルホルムアミド)45重量部とアセトン50重
量部に溶解し、抵抗層形成用コーティング液を調製し
た。この液に半導電性弾性体層を積層したロールを浸漬
し、100℃2時間乾燥する操作を3回行ない、厚さ5
3μmの抵抗層を積層した。得られた半導電性ロールを
図1に示した電子写真複写装置の帯電ロールとして設置
し、トナー粒子のロール表面への付着性の経時変化、帯
電電位、ローラの体積固有抵抗値および絶縁破壊電圧を
評価した。結果を表2に示す。
【0024】比較例1〜4 シアノエチル化セルロース(商品名:シアノレジンCR
−C:信越化学工業株式会社製)、シアノエチル化プル
ラン(商品名:シアノレジンCR−S:信越化学工業株
式会社製)、シアノエチル化ポリビニルアルコール(商
品名:シアノレジンCR−V:信越化学工業株式会社
製)5重量部をDMF45重量部とアセトン50重量部
に溶解し、抵抗層形成用コーティング液を調製した。こ
れらのコーティング液を表2に示す組成で、実施例に示
した半導電性弾性体層を積層したロール上に実施例と同
様の方法でコーティングし乾燥することで、各々上述し
た順に52μm、49μm、51μmの抵抗層を積層し
た。得られたロールについて実施例と同様な評価を行な
い、表2に結果を示した。
【0025】
【表1】 〔試料フィルムの作成方法〕 ・試料をアセトン/DMF(9:1重量比)にCR−
S,Vは、40重量%になるように溶解し、CR−E,
Cは、30重量%になるように溶解しキャスティング液
を調製。次いで、100μm厚みのアルミニウムシート
上あるいはガラス板上にキャスティングし、120℃、
4時間乾燥し、100μm厚みのフィルムを調製した。
電気的特性を測定する試料フィルムは、アルミニウムシ
ート上にキャスティングしたものフィルム面上にアルミ
ニウムを蒸着したものを使用した。 〔測定条件〕温度:25℃ 湿度:60%RH 〔体積固有抵抗値〕測定装置:YHP4329A 印
加電圧:500V 〔絶縁破壊電圧〕 測定装置:YHP4329A
【表2】 〔測定条件〕温度:25℃ 湿度:60%RH 〔帯電電位〕測定装置:非接触式表面電位計 トレック
社製モデル344 〔体積固有抵抗値〕測定装置:YHP4329A 印加
電圧:500V 〔絶縁破壊電圧〕 測定装置:YHP4329A 〔トナーに対する非粘着性〕 :ローラにトナーを付着させ、45℃、100時間放
置後、ロール上のトナー付着状態を下記基準により評価
した。 :図1の装置に帯電ロールを装着し、A4サイズ20
00枚分の印刷に相当するテストを行い、ロール上のト
ナー付着状態を下記基準により評価した。評価基準 A:布でロール表面を拭くことで、トナーが簡単に除去
できる。 B:布の拭き取りでトナーが完全に除去できず、残存す
る。 C:布の拭き取りで除去できず、トナーの薄い層ができ
る。 〔抵抗層の経時的損傷状態〕図1の装置に帯電ロールを
装着し、A4サイズ6000枚分の印刷に相当するテス
トを行い、ロール上抵抗層表面状態を下記基準により評
価した。評価基準 A:装着した時と変化なく、均質な割れヒビ等の欠陥の
ない状態を維持している。 B:装着した時と比較し、表面に微細なヒビが若干認め
られる。 C:装着した時と比較し、表面に大小のヒビが多数認め
られる。 D:装着した時と比較し、表面に割れが完全に認められ
る。
【0026】上記実施例と比較例を対比して明らかなよ
うに、本発明に示す半導電性ロールは、抵抗層としてシ
アノエチルヒドロキシエチルセルロースを用いること
で、トナー非粘着性が良好であり、かつ導電性粉末を含
まないことから絶縁破壊電圧が高く、さらに弾性変形に
対して強靱であり、強度と実用性を兼ね供えた膜を形成
し、従来の半導電性ロールに比較しトナーに対する非粘
着性と絶縁破壊電圧が高いといった優れた特性と耐久性
を示すことが了解される。上述した性能から特に帯電ロ
ールとして有効である。
【0027】
【発明の効果】上記したところから明らかなように、本
発明によれば、抵抗層形成材料として、トナーに対する
非粘着性があり、絶縁破壊電圧の高く、弾性変形におい
ても損傷を受けにくい物質を用いることにより、画像ム
ラ等の異常画像の発生を生じない半導電性ロールが提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】接触帯電方式の電子写真装置を説明する概念図
である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム 2 帯電ロール 3 転写ロール 4 現像ロール 5 定着ロール 6 転写紙 7 トナークリーナー 8 除電ランプ 9 露光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−261675(JP,A) 特開 平6−83164(JP,A) 特開 平4−67069(JP,A) 特開 平5−326152(JP,A) 特開 平4−249006(JP,A) 特開 平6−202364(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/02 G03G 15/16 F16C 13/00 G03G 15/08 B32B 15/06 B32B 23/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製導電性支持体上に半導電性弾性体
    層、抵抗層の順にこれらの層を形成した半導電性ロール
    において、上記抵抗層の形成材料がシアノエチルヒドロ
    キシエチルセルロースを主成分として含むことを特徴と
    する半導電性ロール。
  2. 【請求項2】 シアノエチルヒドロキシエチルセルロー
    スが、無水グルコース単位当たりのヒドロキシエチル基
    の置換モル数を1.0〜2.0とし、かつ無水グルコー
    ス単位当たりのシアノエチル基の置換モル数が1.5以
    上であるシアノエチルヒドロキシエチルセルロースであ
    ることを特徴とする請求項1の半導電性ロール。
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