JP3351285B2 - 固体高分子型燃料電池用アノード電極触媒 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用アノード電極触媒

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JP3351285B2
JP3351285B2 JP07573997A JP7573997A JP3351285B2 JP 3351285 B2 JP3351285 B2 JP 3351285B2 JP 07573997 A JP07573997 A JP 07573997A JP 7573997 A JP7573997 A JP 7573997A JP 3351285 B2 JP3351285 B2 JP 3351285B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体高分子型燃料電
池に用いられるアノード電極触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体高分子型燃料電池は、純水素を燃料
に使用した場合、高い出力密度が得られることから、電
気自動車用の電源などとして期待されている。しかし、
水素のインフラストラクチャーが整備されておらず、貯
蔵も難しいことから、燃料としてはメタノールが適して
いると考えられている。メタノールを燃料として用いる
場合、水蒸気改質や部分酸化方式によって、水素を主成
分とする改質ガスに変換して用いる必要がある。しか
し、改質ガスには一酸化炭素が含まれており、アノード
(燃料極)の白金触媒に吸着して水素の反応を阻害し、
著しく特性を低下させるという問題点があった。
【0003】そこで、アノード触媒として、白金以外の
カーボン担持触媒、例えば白金−ルテニウム合金触媒、
白金−スズ合金触媒、白金−モリブデン合金触媒や白金
−ゲルマニウム触媒が提案されているが、残念ながら純
水素の場合と比べると100mV以上の電圧低下があっ
た。これは、合金触媒によって一酸化炭素被毒の影響は
軽減できるが、アノードとしての十分な活性が得られな
いためである。
【0004】例えば、特開平7−299359号公報に
は、回転電極を用いて電流値を測定した実施例が示され
ているが、白金触媒の場合電流値が5mAから15分後
に0mAまで低下するのに対して、白金−モリブデン合
金触媒では2mA程度の電流が1時間安定に維持されて
いる。この結果は、白金−モリブデン合金触媒の耐CO
被毒アノード触媒としての効果を示しているが、逆に、
白金−モリブデン合金触媒では、白金触媒の場合の半分
以下のアノード電流しか得られず。アノードとしての十
分な活性が得られていないことも明らかである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
固体高分子型燃料電池用アノード触媒は、CO被毒の影
響が著しく、白金−ルテニウム、白金−モリブデン、白
金−スズ、白金−ゲルマニウムなどの合金触媒は、CO
被毒に対して効果はあるが、アノードとしての性能が低
下してしまうという問題点があった。
【0006】本発明は、前記のような問題点を解消する
ためになされたもので、CO被毒に対して効果があり、
アノードとしての性能が維持される固体高分子型燃料電
池用アノード電極触媒を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
一酸化炭素の酸化電位が異なり、かつ少なくとも2種類
別々の電子伝導性物質に担持された、少なくとも3種
類の触媒を混合し、上記各触媒の間を電子移動可能とす
る電子移動手段と、上記各触媒の間をイオン移動可能と
する固体高分子電解質とを備えたことを特徴とする固体
高分子型燃料電池用アノード触媒である。請求項2に係
る発明は、請求項1記載の固体高分子型燃料電池用アノ
ード触媒において、電子伝導性物質はカーボンであるこ
とを特徴とする固体高分子型燃料電池用アノード触媒で
ある。
【0008】請求項に係る発明は、請求項1または2
記載の固体高分子型燃料電池用アノード触媒において、
一酸化炭素の酸化電位が異なる少なくとも3種類の触媒
のうち、1種類は白金黒または白金であって一酸化炭素
の酸化電位が最も高い電位にあり、別の1種類は白金と
ルテニウムの多元系触媒であって一酸化炭素の酸化電位
が最も低い電位にあり、残りは白金とモリブデンの多元
系触媒であって、一酸化炭素の酸化電位が上記白金黒ま
たは白金と、上記白金とルテニウムの多元系触媒との間
にあることを特徴とする固体高分子型燃料電池用アノー
ド触媒である。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【発明の実施の形態】固体高分子型燃料電池は、カソー
ド電極とアノード電極それぞれを固体高分子型電解質膜
を介して挟んだ電極・電解質膜接合体の両面に、空気側
セルセパレータおよび燃料側セルセパレータを設け、さ
らに各セルセパレータに空気および燃料を流すための外
部マニホールドを設けた構成のものである。
【0016】本発明は、上記固体高分子型燃料電池のア
ノード電極用アノード触媒において、白金黒または白金
と、白金および白金以外の金属を含む多元系触媒の少な
くとも1種類との混合触媒とし、上記白金黒または白金
と上記多元系触媒との間を電子移動可能とする電子移動
手段を設けるものである。
【0017】電子移動手段は、電子伝導性を有する触媒
自身により、また、電子伝導物質を混合する、あるいは
電子伝導物質に触媒を担持することにより達成できる。
【0018】上記固体高分子型燃料電池用アノード電極
は、例えば、電子伝導性のカーボンペーパーの上に上記
混合触媒あるいは上記触媒の一方を電子伝導物質に担持
したもの、あるいは両方を電子伝導物質に担持したもの
を塗布した後、350℃に加熱してPTFEを溶融結着
させて作製する。
【0019】上記のように、白金黒または白金と、白金
および白金以外の金属を含む多元系触媒の少なくとも1
種類との少なくとも2種類の触媒を混合したことによ
り、低いCO酸化電位を有する多元系触媒の表面で優先
的にCOの酸化が起こり、水素の反応が容易になり、C
O被毒の影響が大幅に軽減される効果がある。
【0020】このCO被毒を軽減する効果は、白金およ
び白金以外の金属を含む多元系触媒の少なくとも2種類
を混合することによっても得られる。
【0021】電子伝導物質としては、電子伝導性があれ
ばよく、ニッケル、ステンレス、金、タングステンカー
バイド、炭化ホウ素、炭化珪素など種々のもの用いるこ
とができるが、カーボンを用いて、触媒をカーボン担持
とすることによって電子移動手段を付与することによっ
て、良好な効果が得られ、特に、カーボンとしてファー
ネスブラックまたはアセチレンブラックを用いることに
よって大きな効果が得られる。
【0022】また、多元系触媒に用いる白金以外の金属
として、モリブデン、ルテニウム、スズ、鉄あるいはタ
ングステンの少なくとも1つを添加することによってC
O被毒の影響が軽減される。
【0023】また、多元系触媒は、合金とすることによ
って、CO被毒の影響を軽減する効果が大きくなる。
【0024】また、固体高分子電解質を混合し、白金黒
または白金と多元系触媒との間をイオン移動可能とする
ことによって安定した特性の固体高分子型燃料電池が容
易に得られる。
【0025】固体高分子電解質としは、電解質としての
機能を有する固体高分子であれば特に制限されるもので
はなく、例えば、フッソ系の樹脂の側鎖にスルホン酸基
あるいはカルボン酸基がついているもの、アロマチック
ポリエーテルケトンをスルホン化したものなどが使用で
きる。
【0026】
【実施例】以下、実施例および比較例で、本発明の固体
高分子型燃料電池用アノード電極触媒の組成および作用
を詳細に説明する。
【0027】実施例1.白金黒(触媒A)、白金および
ルテニウム(Ru)を含むものをカーボンに担持したP
t−Ru/C(触媒B)、白金およびモリブデン(M
o)を含むものをカーボンに担持したPt−Mo/C
(触媒C)の3種類を用いて、触媒A、触媒Bおよび触
媒Cの単体をアノード触媒に適用した場合と、触媒A、
BおよびCを重量比1:1:1で混合したアノード触媒
を用いた場合の単セルの電流電圧特性を調べた。
【0028】触媒Aとして、NEケムキャット社から購
入した白金黒(白金100%)、触媒Bとして、ファー
ネスブラックの一種であるキャボット社のバルカンXC
72Rに、白金とルテニウムの金属塩の混合液を含浸し
た後、還元処理して作製したもの(カーボンへの白金担
持量は30重量%、ルテニウムの担持量は15重量
%)、触媒Cとして、アセチレンブラックに、白金とモ
リブデンの金属塩の混合液を含浸した後、還元処理して
作製したもの(カーボンへの白金担持量は40重量%、
モリブデンの担持量は10重量%)を用いた。なお、白
金およびルテニウムを含む触媒B並びに白金およびモリ
ブデンを含む触媒Cは、X線回折による分析で、合金化
していることを確認している。
【0029】触媒A、触媒Bおよび触媒C単体並びに触
媒A、BおよびCを重量比1:1:1で混合したものそ
れぞれを、水とアルコールの混合溶媒に分散させた後、
少量のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のディ
スパージョンを加えてペースト化し、印刷法を用いてカ
ーボンペーパーの上に塗布した後、350℃に加熱して
PTFEを溶融結着させ、さらにデュポン社のナフィオ
ン膜を溶媒に溶解した市販のナフィオン液を含浸した
後、乾燥して、それぞれアノード電極とした。同様にし
て白金黒を触媒として、カソード電極を作製した。この
カソード電極とアノード電極それぞれを固体高分子型電
解質膜である市販のナフィオン112(デュポン社)を
介して挟んで、150℃でホットプレスして、電極・電
解質膜接合体を作製した。カソード電極に使用した白金
量は、1mgPt/cm2であり、アノード電極に使用
した白金量は、およそ0.5mgPt/cm2になるよ
うに調整した。
【0030】上記電極・膜接合体を挟む空気側単セルセ
パレータおよび燃料側単セルセパレータを設け、さらに
各セルセパレータに空気および燃料を流すための外部マ
ニホールドを設けて、それぞれ有効面積25cm2の単
セルを作製した。
【0031】各々の単セルには、500mA/cm2
おいての利用率が40%に相当する一定量の空気と、5
00mA/cm2においての利用率が75%に相当する
一定量の改質模擬ガスを供給して、常圧、80℃で動作
させた。改質模擬ガスの組成としては、メタノールの改
質ガス組成である水素75%、二酸化炭素25%、一酸
化炭素100ppmの混合ガスを用いた。
【0032】図1は、電流電圧特性を示す図である。図
において、1は触媒A、触媒Bおよび触媒Cの3種類を
混合した場合、2は触媒A単体の場合、3は触媒B単体
の場合、4は触媒C単体の場合の電流電圧特性である。
【0033】図1に示されているように、アノード触媒
に触媒Aを単体で用いた場合の電流電圧特性2では、C
O100ppmを含む改質模擬ガスによって著しく特性
が低下しており、500mA/cm2でのセル電圧は4
00mVを大きく下回って300mVにまで低下してい
る。特に、低電流密度から低下が著しいことから、白金
触媒の大部分がCOによって覆われて、水素が近付けな
くなっていて、アノードとしての活性が著しく低下して
いると推定される。一方、アノード触媒に触媒Bを単体
で用いた場合の電流電圧特性3では、低電流密度での特
性低下は白金黒の場合よりも改善されているが、500
mA/cm2ではかなり低下し、400mVになってい
る。さらに、アノード触媒に触媒Cを単体で用いた電流
電圧特性4では、低電流密度での特性は低いが、その後
500mA/cm2まで低下が少なく、500mA/c
2では触媒Bの場合よりも高い450mVが得られ
た。
【0034】一方、触媒A、触Bおよび触媒C媒の3種
類の触媒を混合した場合の電流電圧特性1では、他のい
ずれの電流電圧特性よりも高く、500mA/cm2
おいて600mVが得られた。純水素を用いた場合の5
00mA/cm2でのセル電圧が640mVであったの
で、水素分圧の電圧低下分(ネルンストロス)とCO被
毒による電圧低下分(COロス)を合わせても40mV
程度と小さく、純水素の場合と同様に高出力密度が得ら
れる。なお、500mA/cm2において600mVの
セル電圧は、試験後、昼夜連続で運転し、2週間安定に
維持され、セル電圧が低下しないことを確認した。
【0035】次に、3種類の触媒A、BおよびCを混合
した場合にこのような高い特性が得られる理由について
説明する。金属種や合金種が異なると、吸着したCOの
酸化に要する電位が異なり、CO吸着によって影響を受
ける電流域にも差異があることから、3種類のアノード
触媒の異種触媒間に局部電池が形成されて、特定の金属
表面の吸着COが常に酸化除去されていると考えられ
る。このメカニズムを図を用いて説明する。
【0036】図2は、各触媒のCO酸化電位を知るため
に、アノード電極を作用極、水素電極を参照電極として
サイクリックボルタンメトリーを用いて調べた結果であ
る。5はPt黒、6はPt−Ru、7はPt−Moのサ
イクリックボルタモグラムである。酸化電位のピークと
しては、白金が1V近くで最も高く、他の触媒は、0.
5V〜0.7V付近と低くなっている。このように、金
属種によって、COを酸化するために必要な電位がかな
り異なっていることが分かる。これは、各金属へのCO
の吸着エネルギーが異なっており、COをCO2に酸化
して脱着するエネルギーも異なることを示している。従
って、これらの状態の異なる金属にCOが吸着すると、
吸着エネルギーの差異から局部電池が形成され、CO酸
化電位の低い(水素発生電位に近い)側の金属に吸着し
たCOが優先的に酸化されると考えられる。このメカニ
ズムをさらに図3を用いて説明する。
【0037】図3は、本発明の固体高分子型燃料電池用
アノード電極の触媒層内のPt黒触媒粒子とPt−Mo
カーボン担持触媒粒子の一実施例を示す拡大模式図であ
る。図において、9は、白金黒の1次粒子で、粒子径は
100オングストローム程度である。10は、Pt−M
o合金粒子で、粒子径は50オングストローム程度であ
る。11は、担持カーボン粒子で、大きさは0.05μ
m程度である。12は、固体高分子電解質である。ま
た、図4は白金触媒とPt−Moカーボン担持触媒の電
気化学電位図であり、(a)は、COの吸着した白金黒
の電気化学電位を示す電位図、(b)はCOの吸着した
Pt−Mo合金粒子の電気化学電位を示す電位図であ
る。担持カーボン粒子11は、実際にはストラクチャー
と呼ばれるサンゴのような複雑な構造しているが、図3
では単純化して球で描いている。COを含む燃料ガスが
来ると、COは、白金黒粒子9とPt−Mo合金粒子1
0の両方に吸着するが、特に白金黒粒子9にびっしりと
強く吸着し、水素分子が近づけなくなり、白金黒粒子9
上での水素分子の酸化がほとんど行われなくなる。する
と、白金黒粒子9は図4(a)の電位図のように、電気
化学的には高い電位(酸素発生電位に近い電位)にシフ
トする。すなわち酸素発生電位に近づく。一方、Pt−
Mo合金粒子10にもCOの吸着による電気化学的電位
のシフトが起こるが、COの吸着力が弱く、一部では水
素の酸化も起こるので、図4(b)の電位図のように電
位はそれほど高い電位にはシフトせずに、水素発生電位
に近い位置にある。すなわち、白金黒粒子9とPt−M
o合金粒子10はCOが吸着すると電気化学的には異な
った電位に置かれる。白金黒粒子9とPt−Mo合金粒
子10は担持カーボン粒子11によって電子的に短絡さ
れており、近傍の固体高分子電解質12を介してイオン
的にも連絡しているので、電気化学的な電位差を起電力
として局部電池を形成し、局部電流が流れる。これは、
異種金属が電子的にもイオン的にも短絡された場合に局
部電池を形成して腐食反応が加速度的に起こる現象に似
ている。局部電池によって、Pt−Mo合金粒子10で
は、COとH2O(水)の反応で、CO2(二酸化炭素)
と電子とプロトンとに分かれ、電子は担持カーボン粒子
11を介して、プロトンは固体高分子電解質12を介し
て白金黒粒子9から空気極側へ流れる。Pt−Mo合金
粒子10では、COが酸化除去されたので、水素分子が
近づいて水素酸化が起こる。すなわち、白金黒粒子9が
高い電位を保つことで、Pt−Mo合金粒子10では常
にCOが酸化除去され、水素の酸化反応が可能になるの
で、CO被毒の影響が大幅に軽減され、高いセル電圧が
保たれると考えられる。
【0038】比較例1.実施例1に使用した金属全てを
含んだ合金触媒であれば、同様にCO被毒に対する効果
があるのかどうかを調べるために、PtとRuとMoの
金属塩をカーボン(キャボット社、バルカンXC72
R)に担持した触媒を作製し、この触媒をアノード触媒
として、実施例1と同様、単セルを作製して試験した。
このときのアノードおよびカソード電極の白金担持量、
単セルの有効面積などは、実施例1の場合と同じにし
た。
【0039】しかし、単セルでのセル特性は低く、特性
改善の効果は全く得られなかった。従って、本発明の効
果は、異なる金属種や合金種の触媒を物理的に混合する
ことで始めて得られる効果であることが分かる。その理
由は、異種金属間の距離が近すぎると、電子もプロトン
もすぐに移動できるので、図3で説明した電気化学的な
電位差がすぐにキャンセルされてしまうためと考えられ
る。すなわち、異種金属を同一カーボンに担持しても、
本発明の効果は得られにくく、電子やプロトンが、ある
程度の距離を保って移動するように、異種金属間の距離
をとる必要がある。
【0040】参考例1. 実施例1に用いた3種類の触媒A、触媒Bおよび触媒C
を用いて、重量比率で、触媒A:触媒B=1:1、触媒
A:触媒C=1:1、触媒B:触媒C=1:1の割合で
2種類の触媒を混合した3通りの組み合わせの場合につ
いてアノード電極を作製し、このアノード電極を用いて
実施例1と同様に単セルを作製し、電流−電圧特性を調
べた。各アノード電極の白金担持量は0.5mg/cm
2で一定になるように触媒層厚さをコントロールした。
重量分析の結果0.5〜0.6mg/cm2の範囲に入
っていることを確認した。図5は、3種類の触媒の混合
比(重量比)に対する、500mA/cm2におけるセ
ル電圧を等高線にして示す図であり、実施例1の結果と
合わせて示している。
【0041】図5に示されているように、セル電圧の等
高線のピークは、3種類の触媒を1:1:1で混合した
場合の近傍にあり、最も効果が高いことが分かる。しか
し、2種類の触媒を1:1で混合した場合も、各触媒の
単独の場合と比べてセル電圧が高くなっており、CO被
毒を低減する効果が得られることは明らかである。
【0042】参考例2参考例1 の白金黒(Pt)の代わりに、カーボンに白金
を50重量%になるように担持した触媒D(NEケムキ
ャット社製)を用い、その他は参考例1と同様にして、
媒B、CおよびDの2種類および3種類の混合に対す
る、500mA/cm2でのセル電圧を調べた。図6
は、その結果を示すセル電圧の等高線である。セル電圧
のピークは、参考例1の結果(図5)に比べて少しずれ
ているが、やはり、各触媒単独よりも2種類あるいは3
種類の触媒を混合することによってセル電圧が高くなっ
ていることが明らかである。
【0043】参考例3. 白金とタングステンの合金触媒(Pt−W/C)、白金
とスズの合金触媒(Pt−Sn/C)、白金とガリウム
の合金触媒(Pt−Ga/C)、白金と鉄の合金触媒
(Pt−Fe/C)について、実施例1に示したPt−
Ru/C(触媒B)およびPt−Mo/C(触媒C)の
場合と同様に、各金属塩の混合物からの合成でアセレン
ブラックに担持して触媒を作製し、実施例1と同様に、
白金黒(触媒A)との2種類を重量比で1:1に混合し
てアノード触媒とした場合と、それぞれの触媒の単独を
アノード触媒とした場合の単セルを作製し、電流−電圧
特性を調べ、アノード性能を比較した。その結果を表1
に示す。
【0044】
【表1】
【0045】上記表1のように、500mA/cm2
おいて、いずれの場合も、2種類の触媒の混合系の方が
CO被毒の影響が少なくセル電圧が高くなっており、本
発明の異種金属の触媒を混合する効果が確認された。
【0046】実施例. 白金黒、タングステンの合金触媒(Pt−W/C)、お
よび白金とスズの合金触媒(Pt−Sn/C)の3種類
を混合したアノード触媒を作製し、このアノード触媒を
用いて実施例1と同様に単セルを作製し、500mA/
cm2でのセル電圧を測定したところ、それぞれ2種類
を混合した場合(表1参照)よりも高い500mVが得
られ、3種類の触媒を混合することで、2種類を混合し
た場合よりもさらに高い効果が得られることが分かっ
た。
【0047】なお、上記実施例において、各種金属をカ
ーボンに担持した触媒を調整する過程で作製した数多く
の試作サンプルの中には、X線回折によって、回折ピー
クが2つに分離していることから合金化が進んでいない
ことが確認された触媒がいくつか含まれており、そのう
ちPt−Ru触媒について白金黒との混合系でのアノー
ド電極としての性能を調べたところ、合金化したPt−
Ru触媒の場合よりもセル特性が低かった。従って、合
金化された触媒の方が、本発明の効果が高いと考えられ
る。
【0048】また、各種担持カーボンを用いて、Pt−
Mo/C触媒およびPt−Sn/C触媒を作製したが、
いずれもファーネスブラック系やアセチレンブラックを
担持カーボンとして用いた場合に比べて、2種類の触媒
の混合系でのセル特性が低かった。この違いは、担持カ
ーボンの大きさやストラクチャーの形状が関係している
と思われ、担持カーボンとしては本発明の実施例で用い
たファーネスブラック系やアセチレンブラック系の担持
カーボンを用いることが望ましい。
【0049】以上の結果から、いずれの合金触媒でも、
混合することで、CO被毒の影響が混合する前の触媒よ
りも軽減され、セル電圧が上昇する効果があることが分
った。今回の実施例で使用した合金種以外の場合や、3
元系、4元系など多元系触媒の場合でも同様の効果が期
待できることは明らかである。また、さらに4種類、5
種類と混合する触媒の種類を増やしても同様の効果が得
られることは明らかである。
【0050】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、一酸化炭
素の酸化電位が異なり、かつ少なくとも2種類は別々の
電子伝導性物質に担持された、少なくとも3種類の触媒
を混合し、上記各触媒の間を電子移動可能とする電子移
動手段と、上記各触媒の間をイオン移動可能とする固体
高分子電解質とを備えたので、低いCO酸化電位を有す
る多元系触媒の表面で優先的にCOの酸化が起こり、水
素の反応が容易になり、CO被毒の影響が大幅に軽減さ
れる効果がある。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例になる固体高分子型燃料電
池用アノード触媒の単セルでの電流−電圧特性を示す図
である。
【図2】 白金触媒および各種合金触媒のサイクリック
ボルタモグラムである。
【図3】 本発明の一実施例になるアノード触媒の構成
を示す拡大模式図である。
【図4】 白金触媒とPt−Mo/C触媒の電気化学電
位図である。
【図5】 本発明の実施例1および実施例2のアノード
触媒の構成による3種類の触媒の組み合わせ比率とセル
電圧の等高線三角図である。
【図6】 本発明の実施例3のアノード触媒の構成によ
る3種類の触媒の組み合わせ比率とセル電圧の等高線三
角図である。
【符号の説明】
9 白金黒の1次粒子、10 Pt−Mo合金粒子 、
11 担持カーボン粒子、12 固体高分子電解質
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−203537(JP,A) 特開 平10−270050(JP,A) 特開 平7−299359(JP,A) 特開 平6−295729(JP,A) 特開 平2−139865(JP,A) 特開 平9−27326(JP,A) 米国特許3506494(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/90 H01M 4/92 H01M 8/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一酸化炭素の酸化電位が異なり、かつ少
    なくとも2種類は別々の電子伝導性物質に担持された、
    少なくとも3種類の触媒を混合し、上記各触媒の間を電
    子移動可能とする電子移動手段と、上記各触媒の間をイ
    オン移動可能とする固体高分子電解質とを備えたことを
    特徴とする固体高分子型燃料電池用アノード触媒。
  2. 【請求項2】 電子伝導性物質はカーボンであることを
    特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池用アノ
    ード触媒。
  3. 【請求項3】 一酸化炭素の酸化電位が異なる少なくと
    も3種類の触媒のうち、1種類は白金黒または白金であ
    って一酸化炭素の酸化電位が最も高い電位にあり、別の
    1種類は白金とルテニウムの多元系触媒であって一酸化
    炭素の酸化電位が最も低い電位にあり、残りは白金とモ
    リブデンの多元系触媒であって、一酸化炭素の酸化電位
    が上記白金黒または白金と、上記白金とルテニウムの多
    元系触媒との間にあることを特徴とする請求項1または
    2記載の固体高分子型燃料電池用アノード触媒。
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