JP3349036B2 - 測温用抵抗体、その製法および該測温用抵抗体を用いる赤外線検知素子 - Google Patents

測温用抵抗体、その製法および該測温用抵抗体を用いる赤外線検知素子

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JP3349036B2 JP08382396A JP8382396A JP3349036B2 JP 3349036 B2 JP3349036 B2 JP 3349036B2 JP 08382396 A JP08382396 A JP 08382396A JP 8382396 A JP8382396 A JP 8382396A JP 3349036 B2 JP3349036 B2 JP 3349036B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高集積化しえ、そ
して高精度であり高感度の感知レベルを有する測温用電
気抵抗体(以下、電気抵抗体のことを単に抵抗体という
こともある)、その製法および該測温用抵抗体を用いた
各種の素子に関する。
【0002】さらに詳しくは、本発明は、従来の測温用
抵抗体に比べ、室温付近の温度において、低い体積抵抗
率を示すために、これを薄膜化または高集積化したばあ
いでも、室温付近の温度下での通電により大きく自己発
熱することがなく、また自己発熱しにくいという特性、
温度変化にしたがう体積抵抗率の変化が大きいという特
性などのために高精度の感知レベルを有する測温用抵抗
体およびその製法に関する。
【0003】また、本発明は、前記測温用抵抗体を用い
る赤外線検知素子に関する。
【0004】
【従来の技術】電子機器の小型化および高性能化にとも
ない、測温デバイスも超小型化、高感度化、高精度化ま
たは高集積化されることが要求されている。従来より、
これらの性能をうるべく種々の方法が試みられており、
その1つとして、温度センサ材料である測温用抵抗体を
薄膜化して、測温デバイスを構成する方法が知られてい
る。
【0005】この方法にしたがって、測温デバイスを作
製するばあい、測温デバイスとその外部回路との整合性
を高めるために、室温付近の温度下で所望の低い体積抵
抗率を示し、かつ温度変化にしたがって、その体積抵抗
率が大きく変化しうる測温用抵抗体が必要である。ま
た、このような測温用抵抗体が、容易に製造しうるもの
である必要がある。
【0006】しかしながら、従来の測温用抵抗体には、
前記の要求特性をすべて満足しうるものはなかった。
【0007】たとえば、金属系材料の測温用抵抗体は充
分に低い体積抵抗率を示すが、一方体積抵抗率の変化率
が最大でも0.7%/K未満と小さいという点で充分な
ものではない。
【0008】比較的低い体積抵抗率を示し、かつ温度変
化にしたがい体積抵抗率が大きく変化しうる抵抗体とし
て、主として下記の2種類のものをあげることができ
る。
【0009】その1つは測温用として広く用いられてい
るNTCサーミスタと呼ばれる一群の酸化物半導体であ
り、このものは広い温度範囲で温度変化にしたがって比
較的大きく体積抵抗率が変化しうる。しかしながら、こ
れらの測温用抵抗体においても、セラミック工学ハンド
ブック第1版(1989年、社団法人日本セラミックス
協会編、技報堂出版)、1834頁に記載のように、通
常用途の抵抗体と同じく、一般的な傾向として、体積抵
抗率が高い抵抗体では、比較的大きな抵抗変化率を示す
が、体積抵抗率の低い抵抗体となるにつれて抵抗変化率
は低下する。たとえば27℃(300K)で体積抵抗率
が200〜300mΩ・cm程度またはそれ以下の抵抗
体では、抵抗変化率は0.2〜0.3%/K程度と低
く、金属系抵抗体と同等の抵抗変化率である。
【0010】すなわち、前記従来のNTCサーミスタで
は、体積抵抗率が小さく、抵抗変化率が大きいものをえ
がたい。
【0011】ほかの1つとしては、これも測温用として
広く用いられているCTRサーミスタおよびPTCサー
ミスタと呼ばれる酸化物半導体があげられる。これらC
TRサーミスタおよびPTCサーミスタは良導電状態の
温度域と高体積抵抗率状態の温度域とを有し、特定温度
を境として体積抵抗率が大きく変化する転移点(以下、
単に転移点ということもある)を有する。
【0012】これらCTRサーミスタおよびPTCサー
ミスタについては、たとえば米国特許第3899407
号明細書(Eastwoodら)や電子通信学会技術研究報告書
CPM86−28(芳野ら)に記載されている。前記特
許明細書には、バナジウム金属に原子の数の比で0.0
5〜10%の特定の金属を含有させた蒸着源を用いて、
酸素ガス雰囲気下で反応性スパッタ法によりえたバナジ
ウム系の複合金属酸化物に関して記載されており、この
複合金属酸化物によれば前記の転移点を50〜100℃
の範囲内の適宜の温度に制御しうることも記載されてい
る。また、前記研究報告書では、(V,Cr)23にS
n酸化物またはFe酸化物などを混合して、これを焼結
することによりえたバナジウム系の複合金属酸化物に関
して記載されており、この複合金属酸化物は良導電状態
の温度域での体積抵抗率が低いことも記載されている。
【0013】しかしながら、これらCTRサーミスタお
よびPTCサーミスタであっても、体積抵抗率または抵
抗変化率の点で充分なものではない。前記従来のPTC
サーミスタの代表としてチタン酸バリウム系のサーミス
タがあげられるが、このサーミスタは薄膜化または小型
化したばあい良導電状態の温度域においても体積抵抗率
が大きいものであるため、高精度の感知レベルを有する
測温素子または測温デバイスに用いることが困難であっ
た。
【0014】また、前記の特許明細書に記載されている
CTRサーミスタは、CTRサーミスタの代表である酸
化バナジウム薄膜の焼結体と同等の体積抵抗率を示し、
体積抵抗変化率が温度変化にしたがい指数的に変化し
え、蒸着源の配合割合の調節などにより、体積抵抗率の
転移点を適宜の温度に制御することを可能とするもので
あるが、室温付近の温度下では高体積抵抗率であるとい
う不具合を有する。また、前記の研究報告書は、PTC
型特性を有する酸化バナジウム系薄膜であるサーミスタ
に関するものであり、室温付近の温度下では金属に近い
低い体積抵抗率を示すものの、抵抗変化率が小さく、ま
た、室温付近に体積抵抗率の転移点を有するために、測
温用抵抗体およびその製法として適用しにくいという不
具合を有する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、測温素子の
小型化、高集積化、高精度化および高感度化を可能とす
る測温用抵抗体およびその製法を提供することを目的と
する。詳しくは、本発明は、室温で20mΩ・m以下の
体積抵抗率を示し、通常の金属系抵抗体の抵抗変化率以
上の抵抗変化率、すなわち、絶対値で0.7%/K程度
以上の抵抗変化率を示し、−20〜80℃の温度範囲に
おいて大きな体積抵抗率の転移点をもたない測温用抵抗
体およびその製法を提供することを目的とする。
【0016】また、本発明は、測温部に前記測温用抵抗
体を用いる測温素子および測温デバイスを提供すること
を目的とする。
【0017】また、本発明は、赤外線検知部に前記測温
用抵抗体を用いる赤外線検知素子および赤外線検知デバ
イスを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、バナジウム酸
化物を母材料とし、該母材料中に該バナジウム酸化物よ
りも高い導電性を有する金属チッ化物の1種または2種
以上からなる導電性材料を含む測温用抵抗体に関する。
【0019】また、白金、イリジウムまたはロジウムの
1種または2種以上からなる金属を含むことが好まし
い。
【0020】また、ルテニウム酸化物、白金酸化物、イ
リジウム酸化物またはロジウム酸化物の1種または2種
以上からなる金属酸化物を含むことが好ましい。
【0021】また、前記金属チッ化物がチタンチッ化
物、ニオブチッ化物またはタンタルチッ化物の1種また
は2種以上からなることが好ましい。
【0022】また、前記導電性材料由来の金属原子の数
が、前記測温用抵抗体中の全金属原子の数の5〜70%
の範囲内にあることが好ましい。
【0023】また、前記金属チッ化物がバナジウムチッ
化物からなることが好ましい。
【0024】また、前記金属チッ化物を含む前記バナジ
ウム酸化物中のチッ素原子の数と酸素原子の数との合計
数に対するチッ素原子の数の比率をXとするとき、X
が、式: 0<X≦0.67 で表わされる範囲内にあることが好ましい。
【0025】また、本発明は、前記バナジウム酸化物を
生成するための第1の原料と、前記バナジウム酸化物よ
りも高い導電性を有する金属、金属酸化物または金属チ
ッ化物の1種または2種以上を生成するための第2の原
料とを複合蒸着源とし、ガス雰囲気下で蒸着法により形
成する、バナジウム酸化物を母材料とし、該母材料中に
該バナジウム酸化物よりも高い導電性を有する金属、金
属酸化物または金属チッ化物の1種または2種以上から
なる導電性材料を含む測温用抵抗体の製法に関する。
【0026】また、前記製法において、前記第1の原料
がバナジウム酸化物であり、前記第2の原料が金属およ
び/または金属酸化物であり、前記ガス雰囲気が不活性
ガス雰囲気であり、前記蒸着法が物理蒸着法であること
が好ましい。
【0027】また、前記製法において、前記第1の原料
がバナジウム酸化物であり、前記第2の原料が金属およ
び/または金属チッ化物であり、前記ガス雰囲気がチッ
化性ガスを含むガス雰囲気であり、前記蒸着法が反応性
物理蒸着法であることが好ましい。
【0028】また、本発明は、バナジウム、酸素および
チッ素を含むバナジウム化合物からなる測温用抵抗体に
関する。
【0029】また、前記バナジウム化合物中のチッ素原
子の数と酸素原子の数との合計数に対するチッ素原子の
数の比率をYとするとき、Yが、式: 0<Y≦0.52 で表わされる範囲内にあることが好ましい。
【0030】また、前記バナジウム化合物中のバナジウ
ム原子の平均価数が、4.2〜4.9の範囲内にあるこ
とが好ましい。
【0031】また、前記バナジウム化合物中に、前記バ
ナジウム化合物よりも高い導電性を有する金属、金属酸
化物または金属チッ化物の1種または2種以上からなる
導電性材料を含むことが好ましい。
【0032】また、本発明はバナジウムまたはバナジウ
ム酸化物の少なくとも1種を含む原料を蒸着源とし、チ
ッ化性ガスを含み酸化性ガスを含んでよいガス雰囲気下
にて、反応性物理蒸着法により形成する、バナジウム、
酸素およびチッ素を含むバナジウム化合物からなる測温
用抵抗体の製法に関する。
【0033】また、前記製法において、バナジウム、酸
素およびチッ素を含む前記バナジウム化合物をさらに酸
化性ガス雰囲気下でアニールすることが好ましい。
【0034】また、本発明は絶縁性の支持膜と、該支持
膜上に形成された一対の電極と、該電極に接続された測
温用抵抗体とからなり、該測温用抵抗体がバナジウム酸
化物を母材料とし、該母材料中に該バナジウム酸化物よ
りも高い導電性を有する金属チッ化物の1種または2種
以上からなる導電性材料を含む赤外線検知素子に関す
る。
【0035】また、絶縁性の支持膜と、該支持膜上に形
成された一対の電極と、該一対の電極に接続された測温
用抵抗体とからなり、該測温用抵抗体がバナジウム酸化
物を母材料とし、該母材料中に該バナジウム酸化物より
も高い導電性を有する金属、金属酸化物または金属チッ
化物の1種または2種以上からなる導電性材料を含み、
前記一対の電極が測温用抵抗体からなり、該測温用抵抗
体がバナジウム酸化物を母材料とし、該母材料中に該バ
ナジウム酸化物よりも高い導電性を有する金属、金属酸
化物または金属チッ化物の1種または2種以上からなる
導電性材料を含む赤外線検知素子に関する
【0036】また、本発明は、絶縁性の支持膜と、該支
持膜上に形成された一対の電極と、該電極に接続された
測温用抵抗体とからなり、該測温用抵抗体がバナジウ
ム、酸素およびチッ素を含むバナジウム化合物からなる
赤外線検知素子に関する。
【0037】また、前記一対の電極がバナジウム、酸素
およびチッ素を含むバナジウム化合物からなる測温用抵
抗体からなることが好ましい。
【0038】また、前記バナジウム化合物中のチッ素原
子の数と酸素原子の数との合計数に対するチッ素原子の
数の比率をYとするとき、Yが、式: 0<Y≦0.52 で表わされる範囲内にあることが好ましい。
【0039】また、前記バナジウム化合物中のバナジウ
ム原子の平均価数が4.2〜4.9の範囲内にあること
が好ましい。
【0040】
【発明の実施の形態】本発明の測温用抵抗体は、従来の
測温用抵抗体に比べ室温のもとで低い体積抵抗率を示し
ながら、温度変化にしたがって大きく体積抵抗率が変化
するという特徴を有する。
【0041】このような測温用抵抗体には2つのタイプ
があり、その一方は、(1)バナジウム酸化物を母材料
とし、該母材料中に該バナジウム酸化物よりも高い導電
性を有する金属チッ化物の1種または2種以上からなる
導電性材料を含むもの(以下、測温用抵抗体(1)とい
うこともある)であり、ほかの一方は、(2)バナジウ
ム、酸素およびチッ素を含むバナジウム化合物からなる
もの(以下、測温用抵抗体(2)ということもある)で
ある。
【0042】一般に、測温用抵抗体は半導性の電気伝導
機構を有する。このような測温用抵抗体が、この測温用
抵抗体の、相転移などのために生じる体積抵抗率の変化
の転移点をもたないものであるばあい、この測温用抵抗
体の体積抵抗率の対数(log ρ)とこの測温用抵抗
体の絶対温度の逆数(1/T)との関係は、ほぼ直線関
係にあり、この関係は式: ρ=ρexp(B/T) (I) により表わすことができる。また、体積抵抗率の変化の
転移点を有する測温用抵抗体のばあい、前記式(I)か
らえられた関係式から大きくそして急激にはずれる温度
域を有する。ここで、Tは絶対温度であり、ρは温度T
のときの体積抵抗率であり、ρは温度を無限大とした
ばあいの体積抵抗率である。また、Bはサーミスタ定数
と呼ばれるものであり、それぞれの測温用抵抗体に固有
の値である。
【0043】なお、温度Tのときの、温度変化にしたが
う体積抵抗率の変化率(本発明において、「抵抗変化
率」ということもある)は、式:−B/T2×100
(%/K)によりえられる。
【0044】測温用抵抗体において、測温用抵抗体の温
度の実測値と体積抵抗率の実測値とを、その温度を絶対
温度の逆数(1/T)とし、その体積抵抗率を対数(l
ogρ)として、プロットしたときに、−10〜50℃
の温度範囲内、さらには−20〜80℃の温度範囲内
で、その温度とその体積抵抗率との関係が、前記式
(I)により表わされる関係から大きくそして急激には
ずれる温度域(以下に定義する「体積抵抗率の急変温度
域」である)をもたないものが好ましく、より広い温度
域の中に体積抵抗率の急変温度域をもたないものがとく
に好ましい。
【0045】図4に、後述する実施例6における実験例
番号6−(4)の測温用抵抗体の−20〜80℃の温度
範囲における体積抵抗率と温度との関係を例示する。
【0046】ここで、「体積抵抗率の急変温度域」と
は、つぎのような温度域をいう。すなわち、体積抵抗率
ρと温度の逆数1/Tの関係を近似する式:ρ=ρ
xP(B/T)におけるサーミスタ定数Bと温度∞のと
きの体積抵抗率ρを、実測した測温用抵抗体の温度と
体積抵抗率から求める。このようにしてえられたBとρ
を代入した式(I)に従って温度T1のときの体積抵
抗率ρT1、温度T1より1℃高い温度T1+1のときの体積
抵抗率ρT1+1および温度T1より1℃低い温度T1-1のと
きの体積抵抗率ρT1-1を求める。このとき体積抵抗率の
変化量ρT1−ρT1+1またはρT1−ρT1-1がT1における
体積抵抗率ρT1に対して±20%の範囲内よりはずれる
温度域のことをいう。
【0047】前記の体積抵抗率の変化量が±20%の範
囲内よりはずれるばあい、体積抵抗率の変化量が大きす
ぎるので、そのような測温用抵抗体を用いて測温デバイ
スを量産すると、測温素子の抵抗にばらつきが生じ、歩
留まりが低下し、コスト上昇につながる傾向がある。
【0048】本発明において、−10〜50℃の温度範
囲内、さらには−20〜80℃の温度範囲内に、体積抵
抗率の急変温度域をもたない測温用抵抗体をもちいるこ
とにより、高精度に測温しえ、高感度である測温素子お
よび測温デバイスをうることができる。
【0049】また、定数Bは前記の温度範囲において一
定であるため、異なる温度では抵抗変化率自体が違って
くるが、27℃(300K)程度の室温において、この
抵抗変化率の絶対値が0.7〜20%/Kを示し、体積
抵抗率が20mΩ・m以下であることが好ましい。
【0050】前記抵抗変化率の絶対値が0.7%/K未
満である測温用抵抗体を測温素子に用いるばあい、測温
用抵抗体の温度変化にしたがう抵抗変化が少ないので、
測温素子の測定感度が低下する。また、前記抵抗変化率
の絶対値が20%/Kをこえる測温用抵抗体を測温素子
に用いるばあい、抵抗率の合わせ込みが難しくなり、素
子製造時の歩留りが低下する。また、体積抵抗率が20
mΩ・mより高い測温用抵抗体を用いるばあい、これを
薄膜化して測温素子に用いるとき、体積抵抗率がとくに
高くなるため、測温時の通電により大きく自己発熱し、
正確な測定信号をえにくくなる。
【0051】前記測温用抵抗体(1)のばあい、前記導
電性材料が白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム酸
化物、白金酸化物、イリジウム酸化物、またはロジウム
酸化物の1種または2種以上を含むことが、これら金属
または金属酸化物が化学的に安定なものであるので、こ
れら金属または金属酸化物が母材料であるバナジウム酸
化物中に含有された状態で変質しにくいものであり、測
温用抵抗体の体積抵抗率および抵抗変化率などの特性が
経時的に安定するという点で有利である。なかでも、前
記導電性材料がルテニウム酸化物であるばあい、測温用
抵抗体の体積抵抗率および抵抗変化率などの特性が経時
的にとくに安定するという点で有利である。
【0052】また、前記導電性材料がチタンチッ化物、
ニオブチッ化物またはタンタルチッ化物の1種または2
種以上からなるばあい、これら金属チッ化物が好適な高
い導電性を有するものであり、測温用抵抗体の体積抵抗
率をより低くしうるという点、およびこれら金属チッ化
物が化学的に安定なものであるので、これら金属チッ化
物が母材料であるバナジウム酸化物中に含有された状態
で変質しにくいものであり、測温用抵抗体の体積抵抗率
および抵抗変化率などの特性が経時的に安定するという
点で有利である。
【0053】また、前記導電性材料由来の金属原子の数
が、前記測温用抵抗体中の金属原子の数に対して5〜7
0%の範囲内、さらには5〜50%の範囲内にあること
が好ましい。
【0054】前記導電性材料由来の金属原子の数が、前
記の範囲より少ないばあい、測温用抵抗体の体積抵抗率
が好適な範囲に低くならない傾向があり、一方前記の範
囲より多いばあい、測温用抵抗体の抵抗変化率が好適な
範囲に大きくならない傾向がある。
【0055】また、前記導電性材料がバナジウムチッ化
物(VN)などからなるばあい、このバナジウムチッ化
物が母材料であるバナジウム酸化物中へ含有されやす
く、また含有された状態で極めて安定であるので、測温
素子の製法や構造設計において自由度が増すという点、
およびそのために製造工程を簡略化しうるという点で有
利である。また、バナジウムチッ化物を母材料であるバ
ナジウム酸化物中に、含有させることによって好適に体
積抵抗率を低下させた測温用抵抗体をうることができ
る。
【0056】前記導電性材料がバナジウムチッ化物から
なるばあい、チッ素原子の数と酸素原子の数との合計数
に対するチッ素原子の数の比率をXとするとき、Xが、
式: 0<X≦0.67 で表わされる範囲内、さらにはXが、式: 0<X≦0.3 で表わされる範囲内にあることが好ましい。前記の比率
Xが0のばあい、27℃(300K)程度の室温におけ
る測温用抵抗体の体積抵抗率が20mΩ・mより大きく
なるので好ましくなく、一方、前記の比率Xが0.67
より大きくなると、測温用抵抗体形成時に母材料である
バナジウム酸化物と導電性材料であるバナジウムチッ化
物とが反応しやすくなり、そのためこれら母材料および
/または導電性材料の変質がおこりやすくなるので、2
7℃(300K)程度の室温における抵抗変化率の絶対
値が0.7%/Kよりも小さくなる傾向があり好ましく
ない。母材料であるバナジウム酸化物および/または導
電性材料であるバナジウムチッ化物のこのような変質を
充分に抑制するためには、前記の比率Xが、0.3以下
であることがさらに好ましい。
【0057】前記チッ素原子の数および前記酸素原子の
数は、X線電子分光法(XPS)におけるバナジウムチ
ッ化物由来のチッ素原子に基づくピークの積分値(面
積)とバナジウム酸化物由来の酸素原子に基づくピーク
の積分値(面積)とをそれぞれの原子の数に対応するも
のとして見積ることにより測定できる。
【0058】前記測温用抵抗体(2)のばあい、バナジ
ウム、酸素およびチッ素を含むバナジウム化合物中のチ
ッ素原子の数と酸素原子の数との合計数に対するチッ素
原子の数の比率をYとするとき、Yが、式: 0<Y≦0.52 で表わされる範囲内、さらにはYが、式: 0.05≦Y≦0.52 で表わされる範囲内、とくにYが、式: 0.16≦Y≦0.52 で表わされる範囲内にあることが好ましい。前記の比率
Yが前記の範囲より小さいばあい、目的とする測温用抵
抗体の体積抵抗率が好適な値まで低くならない傾向があ
り、一方前記の範囲より大きいばあい、目的とする測温
用抵抗体の抵抗変化率の絶対値が好適な値まで大きくな
らない傾向がある。
【0059】また、バナジウム、酸素およびチッ素を含
む前記バナジウム化合物中のバナジウム原子の平均価数
が4.2〜4.9の範囲内、なかんずく4.2〜4.8
の範囲内にあることが好ましい。
【0060】前記バナジウム原子の平均価数が、前記の
範囲より低いばあい、測温用抵抗体の抵抗変化率の絶対
値が20%/Kより大きくなる転移点が生じやすい傾向
があり、一方、前記の範囲より高いばあい、目的とする
測温用抵抗体の体積抵抗率が好適な範囲に低くならない
傾向がある。
【0061】前記測温用抵抗体(1)は、バナジウム酸
化物を生成するための第1の原料と、バナジウム酸化物
よりも高い導電性を有する金属、金属酸化物または金属
チッ化物の1種または2種以上を生成するための第2の
原料とを複合蒸着源とし、ガス雰囲気下で蒸着法により
測温用抵抗体を形成する製法により製造しうる。
【0062】(1a):前記の測温用抵抗体(1)の製
法の一例として、より具体的には、バナジウム酸化物で
ある第1の原料と、金属および/または金属酸化物であ
る第2の原料とを複合蒸着源とし、不活性ガス雰囲気下
で物理蒸着法により測温用抵抗体を形成する製法(1
a)があげられる。
【0063】前記物理蒸着法によれば、蒸着源の原料組
成とえられる薄膜の組成とがほぼ同一になる。また、蒸
着源を複数にするばあい、えられる薄膜の組成は複数の
蒸着源の原料を混合した組成になる。このような物理蒸
着法の具体的な例として、RFスパッタ法、DCスパッ
タ法、コンベンショナルスパッタ法、マグネトロンスパ
ッタ法、ECRスパッタ法、イオンビームスパッタ法な
どのスパッタ法、電子ビーム蒸着法、レーザーアブレー
ジョン法などがあげられる(本発明の測温用抵抗体のほ
かの製法においても、物理蒸着法を用いるばあいはこれ
と同じ)。
【0064】前記バナジウム酸化物としては、結晶質の
ものとしてVO、V23 、V25またはVO2が主とし
て知られており、そのほかにも多くの形態のものがあげ
られ、また非晶質のものもあげられる。これらのうち薄
膜形成用の蒸着源(以下、ターゲットということもあ
る)として用いるばあいは、ターゲットの作りやすさの
点から、5酸化2バナジウムが好ましい(本発明におい
て、バナジウム酸化物を用いるばあいはこれを同じ)。
【0065】前記バナジウム酸化物より高い導電性を有
する金属酸化物としては、たとえば、ルテニウム酸化物
(RuO2など)、レニウム酸化物(ReO3など)、オ
スミウム酸化物(OsO2など)、イリジウム酸化物
(IrO2など)、ロジウム酸化物(RhO2など)、白
金酸化物(PtO2など)、クロム酸化物(CrO2
ど)、タングステン酸化物(WO2など)、モリブデン
酸化物(MoO2またはMo411など)、バナジウム系
酸化物(Li224など)、錫酸化物(SnO2
ど)、錫系酸化物((In,Sn)O2など)、チタン
系酸化物(LiTi24など)などがあげられ、なかで
も化学的安定性の点から、RuO2 、IrO2 、RhO
2またはPtO2などが好ましい(本発明において、導電
性材料が金属酸化物からなるばあいはこれと同じ)。
【0066】前記バナジウム酸化物より高い導電性を有
する金属としては、たとえば白金、ロジウム、イリジウ
ムまたは金などがあげられる(本発明において、導電性
材料が金属からなるばあいはこれと同じ)。これらの金
属は測温用抵抗体を製造するときの酸化物を含む蒸着源
などによる酸化環境に対し、充分な耐酸化性を有すると
いう点で好ましい。
【0067】前記複合蒸着源の構成は以下の2種類の方
法から選択しうる。すなわち、(A):前記第1の原料
を1つのターゲットととし、前記第2の原料を別の1つ
のターゲットとする方法(以下、この方法のばあいの複
合蒸着源のことを「複数ターゲット」ということもあ
る)、および(B):前記第1の原料と前記第2の原料
とを混合物とし、1つのターゲットとする方法(以下、
この方法のばあいの複合蒸着源のことを「混合ターゲッ
ト」ということもある)の2方法から選択しうる(本発
明の製法において、複合蒸着源を用いるばあいはこれと
同じ)。
【0068】複合蒸着源として、前記複数ターゲットを
用いる製法のばあい、測温用抵抗体中の全金属原子の数
に対する導電性材料由来の金属原子の数の比率、または
測温用抵抗体中のチッ素原子の数と酸素原子の数との合
計数に対するチッ素原子の数の比率の調節は、複数ター
ゲットにおけるそれぞれのターゲットに入力するパワー
を各々独立に制御して、それぞれのターゲットから発生
する前記第1の原料由来の粒子量と前記第2の原料由来
の粒子量とを調節する方法により行なうことができる。
【0069】複合蒸着源として、混合ターゲットを用い
る製法のばあい、通常、混合ターゲットは前記第1の原
料に含まれる金属原子の数と前記第2の原料に含まれる
金属原子の数との比率を目的とする測温用抵抗体中の母
材料であるバナジウム酸化物由来の金属原子の数と導電
性材料由来の金属原子の数との比率と同一にして作製さ
れるか、または前記第1の原料および前記第2の原料に
含まれるチッ素原子の数と酸素原子の数との比率を、目
的とする測温用抵抗体中のチッ素原子の数と酸素原子の
数との比率と同一にして作製される。
【0070】しかしながら、混合ターゲットを用い、物
理蒸着法の代表的手法の1つであるスパッタ法を用いる
ばあい、混合する第1の原料と第2の原料との比率が同
じ混合ターゲットであっても、混合する第1の原料と第
2の原料との被スパッタ率が異なれば、この混合ターゲ
ットから発生する前記第1の原料由来の粒子の量と前記
第2の原料由来の粒子の量が異なる。そのため、このば
あい、混合ターゲットに混合する前記第1の原料に含ま
れる金属原子の数と前記第2の原料に含まれる金属原子
の数との比率、または前記第1の原料および前記第2の
原料に含まれるチッ素原子の数と酸素原子の数との比率
は、用いる第1の原料および第2の原料のそれぞれの被
スパッタ率を考慮し、測温用抵抗体中の全金属原子の数
に対する導電性材料由来の金属原子の数の比率、または
測温用抵抗体中のチッ素原子の数と酸素原子の数との合
計数に対するチッ素原子の数の比率が所望の比率になる
ようにして決められる。
【0071】また、物理蒸着法のほかの代表的方法の1
つである電子ビーム蒸着法を用いるばあい、この混合タ
ーゲット中に混合する第1の原料と第2の原料との融点
によって、この混合ターゲットから発生する前記第1の
原料由来の粒子量と前記第2の原料由来の粒子の量とが
異なる。そのため、このばあい、混合ターゲットとして
混合する前記第1の原料に含む金属原子の数と前記第2
の原料に含む金属原子の数との比率は、用いる第1の原
料および第2の原料のそれぞれの融点を考慮し、目的と
する測温用抵抗体中の全金属原子の数に対する導電性材
料由来の金属原子の数の比率、または目的とする測温用
抵抗体中のチッ素原子の数と酸素原子の数との合計数に
対するチッ素原子の数の比率が所望の比率になるように
して決められる。
【0072】本発明の製法において、前記混合ターゲッ
トは、一般に、導電性材料が金属酸化物からなる、すな
わち前記母材料と導電性材料とが、ともに金属酸化物か
らなるばあい、または、導電性材料にバナジウムが含ま
れる、すなわち前記母材料と導電性材料とに、ともにバ
ナジウムが含まれるばあいに好適に用いられる。このよ
うなばあい、混合ターゲットを作製するプロセスにおけ
るそれぞれの原料の変質またはそれぞれの原料の相互の
反応が最小限に抑制できる。
【0073】前記混合ターゲットの作製方法としては、
第1の原料の粉末と第2の原料の粉末とを混合したのち
に焼結する方法、第1の原料の粉末と第2の原料の粉末
とを混合したのち加圧してペレットとする方法、第1の
原料と第2の原料とを溶解し合金化する方法などが主と
して用いられる。
【0074】また、前記不活性ガスとしては、一般に極
めて化学的不活性であるという点からアルゴンガスが好
適に用いられる(本発明において、不活性ガスを用いる
ばあいはこれと同じ)。
【0075】前記の複合蒸着源を用いて、前記物理蒸着
法により、本発明の測温用抵抗体を製造しうる。前記物
理蒸着法のうち、スパッタ法または電子ビーム蒸着法に
よる製法が、測温用抵抗体を均質にし、かつ導電性材料
を母材料であるバナジウム酸化物中に原子オーダーの微
細なレベルまで充分に含有させた状態にできる点から好
ましい。
【0076】この製法における、前記スパッタ法または
電子ビーム蒸着法の好適な条件としては、ガス圧、蒸着
源への入力パワー、基板温度など種々の条件の組合せに
より、それぞれ広い範囲をとりうる。
【0077】これらのうち代表的な条件の例としては、
スパッタ法のばあい、成膜時のガス圧が10-4〜10-2
Torr程度であり、基板温度が200〜600℃程度
であり、蒸着源への入力パワーが、たとえば3インチタ
ーゲットを用いるときは、50〜150W程度である条
件が適当な条件としてあげられ、電子ビーム蒸着法のば
あい、成膜時のガス圧が10-4Torr程度であり、基
板温度が200〜600℃程度であり、蒸着源への入力
パワーが毎秒10オングストローム前後の成膜速度をう
る程度が適当な条件としてあげられる。
【0078】前記(1a)の製法を用いて、たとえば前
記の代表的な蒸着条件により、前記導電性材料由来の金
属原子の数が、前記測温用抵抗体中の全金属原子の数の
5〜70%の範囲内にある測温用抵抗体を製造しうる。
【0079】また、前記(1a)の製法を用いて、たと
えば、前記の代表的な蒸着条件により、前記バナジウム
チッ化物を含む前記バナジウム酸化物中のチッ素原子の
数と酸素原子の数の合計数に対するチッ素原子の数の比
率をXとするとき、Xが式:0<X≦0.67である測
温用抵抗体を製造しうる。
【0080】(1b):前記の測温用抵抗体(1)の製
法のほかの例として、より具体的には、バナジウム酸化
物である第1の原料と、金属および/または金属チッ化
物である第2の原料とを複合蒸着源とし、チッ化性ガス
を含むガス雰囲気下で反応性物理蒸着法により測温用抵
抗体を形成する製法(1b)があげられる。
【0081】前記バナジウム酸化物および前記金属とし
ては、前記(1a)の製法と同じものがあげられる。
【0082】前記バナジウム酸化物より高い導電性を有
する金属チッ化物としては、たとえば、バナジウムチッ
化物(VNなど)、チタンチッ化物(TiNなど)、タ
ンタルチッ化物(TaNなど)、ニオブチッ化物(Nb
Nなど)、ジルコニウムチッ化物(ZrNなど)があげ
られ、なかでもバナジウムチッ化物が母材料であるバナ
ジウム酸化物に好適に含有されやすく、導電性材料と母
材料とに同一の金属元素を含むために測温用抵抗体が構
造的に安定になる点で有利である。また、チタンチッ化
物、ニオブチッ化物またはタンタルチッ化物が比較的容
易にえられ、また耐酸化性が高いという点で有利であ
る。
【0083】前記複合蒸着源の構成は前記複合ターゲッ
トまたは混合ターゲットのいずれかより選択しうる。ま
た、測温用抵抗体中の母材料であるバナジウム酸化物と
導電性材料との比率は、前記(1a)の方法と同様にし
て複合蒸着源を作製し、同様の方法で複数ターゲットか
ら発生する第1の原料由来の粒子の数と第2の原料由来
の粒子の数を制御することによって調節しうる。
【0084】前記チッ化性ガスとは、測温用抵抗体の薄
膜の形成時に、蒸着粒子と反応することにより、この蒸
着粒子にチッ素原子を供給しうるガスのことをいい、た
とえば、チッ素ガス、アンモニアガスなどをあげること
ができ、なかでも扱いやすさの点からチッ素ガスが好ま
しい(本発明の測温用抵抗体のほかの製法においても、
チッ化性ガスを用いるばあいはこれと同じ)。また、こ
の製法(1b)におけるガス雰囲気にはチッ化性ガスの
ほかにアルゴンガスなどの不活性ガスを含んでいてもよ
い。
【0085】前記複合蒸着源を用いて、チッ化性ガスを
含むガス雰囲気下で、反応性物理蒸着法により、本発明
の測温用抵抗体を製造しうる。前記反応性物理蒸着法の
うち、反応性スパッタ法または反応性電子ビーム蒸着法
を用いる製法が、前記(1a)の製法に記載の理由(ス
パッタ法または反応性電子ビーム蒸着法を用いる好まし
い理由)と同様の理由から好ましい。
【0086】この製法において、前記反応性スパッタ法
または反応性電子ビーム蒸着法の好適な条件としては、
ガス圧、蒸着源への入力パワーまたは基板温度など種々
の形成条件の組み合わせにより、それぞれ広い条件範囲
をとりうる。
【0087】これらのうち代表的な条件の例として、前
記(1a)の製法に記載の代表的な条件の例と同様の条
件があげられる。
【0088】前記反応性蒸着法によれば、蒸着源の原料
(物質)が測温用抵抗体の薄膜の形成時に雰囲気ガスと
反応するので、えられる前記薄膜が蒸着源の原料物質と
雰囲気ガスとの反応成生物になる。このような反応性物
理蒸着法の具体的な例として、RFスパッタ法、DCス
パッタ法、コンベンショナルスパッタ法、マグネトロン
スパッタ法、ECRスパッタ法、イオンビームスパッタ
法を用いる反応性スパッタ法、電子ビーム蒸着法を用い
る反応性蒸着法、反応性レーザーアブレージョン法など
があげられる(本発明の測温用抵抗体のほかの製法にお
いても、反応性物理蒸着法を用いるばあいはこれと同
じ)。
【0089】前記(1b)の製法を用いて、たとえば前
記の(1a)と同様の代表的な蒸着条件により、前記導
電性材料由来の金属原子の数が、前記測温用抵抗体中の
全金属原子の数の5〜70%の範囲内にある測温用抵抗
体を製造しうる。
【0090】また、前記(1b)の製法を用いて、たと
えば、前記の(1a)と同様の代表的な蒸着条件によ
り、前記バナジウムチッ化物を含む前記バナジウム酸化
物中のチッ素原子の数と酸素原子の数との合計数に対す
るチッ素原子の数の比率をXとするとき、Xが式:0<
X≦0.67である測温用抵抗体を製造しうる。
【0091】前記の測温用抵抗体(2)はつぎの製法な
どにより製造しうる。
【0092】(2a);前記測温用抵抗体(2)の製法
の一例として、バナジウムまたはバナジウム酸化物の少
なくとも1種を含む原料を蒸着源とし、チッ化性ガスを
含み酸化性ガスを含んでよいガス雰囲気下にて、反応性
物理蒸着法により測温用抵抗体を形成する製法があげら
れる。
【0093】前記蒸着源の原料がバナジウム酸化物から
なるばあい、前記ガス雰囲気をチッ化性ガスを含むガス
雰囲気下にすることにより、目的とする測温用抵抗体を
形成しうる。
【0094】前記チッ化性ガスを含むガス雰囲気として
は、前記(1b)の製法と同様のものがあげられる。
【0095】また、蒸着源の原料がバナジウムからなる
ばあい、前記ガス雰囲気をチッ化性ガスと酸化性ガスと
の混合ガス雰囲気にすることにより、目的とする測温用
抵抗体を形成しうる。
【0096】また、前記酸化性ガスとは、測温用抵抗体
の薄膜の形成時に、蒸着粒子と反応することにより、こ
の蒸着粒子に酸素原子を供給しうるガスのことをいい、
たとえば酸素ガス、亜酸化チッ素(N2O)ガス、オゾ
ンガスなどをあげることができる。これらのうち、酸素
ガスが安価であるという点で有利であり、亜酸化チッ素
ガスおよびオゾンガスが酸化性(反応性)が高いという
点で有利である。
【0097】また、前記チッ化性ガスとしては、前記
(1b)の製法においてあげたものと同じものがあげら
れる。
【0098】前記酸化性ガスとチッ化性ガスとの混合ガ
スの好適な組み合わせとしては、酸素ガスとチッ素ガ
ス、酸素ガスとアンモニアガスなどの組み合わせがコス
トの面で有利であるが、そのほかの組み合わせでもとく
に問題はない。
【0099】前記混合ガス中の酸化性ガスとチッ化性ガ
スとの好適な混合比は、反応性物理蒸着法の種類、使用
する装置、ガス導入方法、そのほかの反応性物理蒸着条
件など種々の組み合わせにより、広い範囲をとりうる。
【0100】これらのうち、代表的な混合比としては、
たとえばRFコンベンショナルスパッタ法を用い、基板
温度を400℃とし、スパッタパワー(入力パワー)を
100Wとし、成膜時の混合ガス圧力を7.5mTor
rとし、チッ化性ガスとしてチッ素ガスを、酸化性ガス
として酸素ガスを用いるばあいを例とすると、チッ素ガ
スの量対酸素ガスの量の比は体積比で20対1〜20対
8の範囲内にあるものがあげられる。
【0101】また、前記混合ガスには、スパッタ法を用
いるばあいは、測温用抵抗体の成膜速度を速めることお
よび酸化力およびチッ化力をコントロールすることを目
的とし、また、反応性電子ビーム蒸着法を用いるばあい
は、酸化力および窒化力をコントロールすることを目的
とし、ほかにアルゴンガスなどの不活性ガスが追加され
てもよい。
【0102】前記の蒸着源を用いて前記のガス雰囲気下
で反応性物理蒸着法により、本発明の測温用抵抗体を製
造しうる。
【0103】この製法における、前記反応性物理蒸着法
の好適な条件としては、蒸着源の種類、ガス雰囲気の種
類、ガス圧、蒸着源への入力パワー、基板温度など種々
の条件の組み合わせにより、それぞれ広い範囲をとりう
る。
【0104】また、前記反応性物理蒸着法としては、反
応性スパッタ法または電子ビーム蒸着法が、前記(1
b)の製法と同様の理由で好ましい。
【0105】また、これらのうち代表的な条件の例とし
て、前記(1a)の製法に記載の代表的な条件の例と同
様の条件があげられる。
【0106】前記(2a)の製法を用いて、たとえば前
記(2a)の代表的な混合ガスの混合比および蒸着条件
により、前記バナジウム化合物中のチッ素原子の数と酸
素原子の数との合計数に対するチッ素原子の数の比率を
Yとするとき、Yが式:0<Y≦0.52で表わされる
範囲内にある測温用抵抗体を製造しうる。
【0107】また、前記(2a)の製法を用いて、たと
えば前記(2a)の代表的な混合ガスの混合比および蒸
着条件により、前記バナジウム化合物中のバナジウム原
子の平均価数が4.2〜4.9の範囲内にある測温用抵
抗体を製造しうる。
【0108】(2b);前記測温用抵抗体(2)の製法
のほかの例として、バナジウムまたはバナジウム酸化物
の少なくとも1種を含む原料を蒸着源とし、チッ化性ガ
スを含み酸化性ガスを含んでよいガス雰囲気下にて、反
応性物理蒸着法により、バナジウム、酸素およびチッ素
を含むバナジウム化合物を形成し、このバナジウム化合
物をさらに酸化性ガス雰囲気下でアニールすることによ
る測温用抵抗体の製法があげられる。
【0109】前記バナジウム化合物は、前記(2a)の
測温用抵抗体の製法と同様にして製造しうる。
【0110】しかしながら、この製法においては、この
バナジウム化合物を形成したのち酸化性ガス雰囲気下で
アニールするので、前記ガス雰囲気の酸化力は低い、ま
たはないものであってもよい。
【0111】前記バナジウム化合物の製造工程におい
て、チッ化性ガスを含み酸化性ガスを含んでよいガス雰
囲気の代表的な例として、たとえば蒸着源の原料がバナ
ジウムであり、RFコンベンショナルスパッタ法を用
い、基板温度が400℃であり、、スパッタパワーが1
00Wであり、成膜時のガス圧力が7.5mTorrで
あり、チッ化性ガスとしてチッ素ガスを、酸化性ガスと
して酸素ガスを用いるばあい(酸化性ガスが用いられな
いばあいもある)、チッ素ガスの導入量対酸素ガスの導
入量の比が体積比でチッ素ガス20に対して酸素ガスが
1以下、なかんづくチッ素ガス20に対して酸素ガスが
0.2〜1の範囲内にあるチッ素ガスを含み酸素ガスを
含んでよいガス雰囲気であることがさらに好ましい。
【0112】前記反応性物理蒸着法の条件としては、前
記(2a)における測温用抵抗体をうるための反応性物
理蒸着法の条件と同様の条件をあげることができる。
【0113】前述のようにしてえられるバナジウム化合
物を酸化性ガス雰囲気下でアニールすることにより、目
的とする測温用抵抗体がえられる。
【0114】前記アニール時の雰囲気ガスである酸化性
ガスとしては、酸素ガス、チッ素ガスと酸素ガスとの混
合ガス、またはアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスな
どがあげられる。たとえばアニール温度などのアニール
条件を調節することで酸化力を制御することができるの
で、これらのガスまたは混合ガスのうち、いずれも好適
に用いることができる。また前記の混合ガスによれば、
そのガスの混合比を調節することによって、酸化力を制
御することが可能である。しかし、ガスの混合状態が均
質にならないなど不安定な状態になることがないという
点からは、酸素ガス100%のものを用いることが有利
である。このように酸素ガス100%のものを用いるこ
とにより、一定品質の製品を再現性よく製造しうるとい
う点で有利であり、また混合ガスを作成する必要がない
ので製造工程がより単純化できるという点で有利であ
る。
【0115】前記アニールは、たとえば雰囲気ガスが酸
素ガス100%のばあい、300℃にて2〜4時間保持
する方法などにより行ないうる。
【0116】前記(2b)の製法を用いて、たとえば、
前記(2b)の代表的な混合ガスの混合比および蒸着条
件ならびにアニール条件により、前記バナジウム化合物
中のチッ素原子の数と酸素原子の数との合計数に対する
チッ素原子の数の比率をYとするとき、Yが式:0<Y
≦0.52で表わされる範囲内にある測温用抵抗体を製
造しうる。
【0117】また、前記(2b)の製法を用いて、たと
えば、前記(2b)の代表的な混合ガスの混合比および
蒸着条件ならびにアニール条件により、前記バナジウム
化合物中のバナジウム原子の平均価数が4.2〜4.9
の範囲内にある測温用抵抗体を製造しうる。
【0118】また、前記(2a)または(2b)の方法
により製造されるバナジウム化合物に、該バナジウム化
合物よりも高い導電性を有する金属、金属酸化物または
金属チッ化物の1種または2種以上からなる導電性材料
を含有させることにより、さらに室温で低い体積抵抗率
を示し、さらに大きい抵抗変化率を示す測温用抵抗体を
うることができる。前記の金属、金属酸化物または金属
チッ化物は、前記(1a)または(1b)の製法にてあ
げたもののうち、前記バナジウム化合物よりも高い導電
性を有するものであればよい。また、このような測温用
抵抗体は、たとえば、第1の原料がバナジウムであり、
第2の原料が前記の金属、金属酸化物または金属チッ化
物である複合蒸着源を用い、チッ化性ガスと酸化性ガス
との混合ガス雰囲気下で反応性物理蒸着法によりうるこ
とができる。
【0119】前記のそれぞれの製法によりえられる本発
明の測温用抵抗体は、従来の測温用抵抗体に比べ、27
℃(300K)程度の室温で低い体積抵抗率を示すの
で、室温付近の温度のもとでの通電により、大きく自己
発熱をおこすことがないという点、および大きく自己発
熱しにくく、かつ抵抗変化率が大きいので、この測温用
抵抗体を用い、高い精度で温度測定または温度検知しう
るという点で有利である。
【0120】本発明における測温用抵抗体の厚さが、2
00〜20000オングストロームの範囲内にあるもの
が、さらに高精度に温度測定または温度検知しうるとい
う点で有利である。
【0121】このような本発明の測温用抵抗体は測温素
子の測温部に好適に用いられる。
【0122】一般に、測温素子は、一対の電極と測温用
抵抗体とからなり、この測温用抵抗体が測温部となる。
また、通常、絶縁膜が設けられたシリコン基板の絶縁膜
上にこの測温素子が形成され、この測温素子の一対の電
極が信号処理系回路に接続されることにより測温デバイ
スが構成される。
【0123】このような測温デバイスの測温素子として
は、従来の測温用抵抗体を小面積の薄膜形状に成形し、
これを平面対向電極構成に形成したばあい、高体積抵抗
率化によるインピーダンスの増加および応答性の低下を
生じる。そのため、この現象を避けるために、挟み込み
電極型などの構成にする必要があった。
【0124】従来の測温デバイスの一例として挟み込み
電極型の測温デバイスの構成の例を図7(a)および図
7(b)に示す。図7(a)は前記挟み込み電極型の測
温デバイスの平面図を示し、図7(b)はこの測温デバ
イスの図7(a)におけるD−D線断面図を示す。また
図7(a)および7(b)において、30はシリコン基
板、31は絶縁膜、32は電極、33は測温用抵抗体、
34は電極を示す。このような構成の従来の測温用抵抗
体を用いる測温デバイスによれば、この測温デバイスの
作製時にマスクの枚数を多くする必要、すなわち工程数
を多くする必要があるので、安価なものになりえなかっ
た。測温デバイスは極めて安価に製造する必要があり、
前記従来の測温用抵抗体は、コストの面で満足のいくも
のではなかった。
【0125】しかしながら、本発明の測温用抵抗体を用
いて測温素子を製造するばあい、薄膜化しても、測温部
の体積抵抗率を低くすることができるので、測温素子を
単純な平面型の電極構成にすることができる。このよう
な平面型の電極構成にすることにより、測温素子および
測温デバイスを薄層化することが可能になる。また、こ
の測温素子の製造工程によれば、一対の電極を1枚のマ
スクを用いて形成することができるので、前記の従来の
挟み込み電極型の測温素子を製造する工程のばあいに比
べ、必要なマスク枚数を1枚分省くことができる。ま
た、本発明の測温デバイスによれば、欠陥(傷などを含
む)に対する許容度が大きく、製造において不良数を減
らせる傾向があり、歩留りが少なくなり、コスト低減が
可能である。
【0126】また、もちろん、本発明の測温用抵抗体
を、従来の挟み込み電極型の測温素子の測温用抵抗体と
して用いた測温デバイスにおいても、測温の高精度化、
高速応答性などの効果を奏するということは明らかであ
る。
【0127】また、本発明の測温用抵抗体を用いた測温
素子を、信号処理系回路と同一基板上で接続して一体化
することにより、すなわち、単一の基板上に信号処理系
回路および一対の電極と本発明の測温用抵抗体とからな
る測温素子を設け、この一対の電極とこの信号処理系回
路とを電気的に接続することにより、測温素子と信号処
理系回路とが一体になった型の測温デバイスをうること
ができる。このような測温デバイスによれば、測温部と
信号処理系回路との間に抵抗変化率が低い配線を用いる
従来の測温デバイスにおける、配線などの奇生抵抗およ
び配線から侵入するノイズなどの問題点を解消すること
ができる。すなわち、本発明における測温素子と信号処
理回路とが一体になった型の測温デバイスによれば前記
奇生抵抗を小さくでき、前記ノイズを低減でき、そのた
めさらなる高感度化を実現できる。
【0128】また、前記測温素子を被測温部または被測
温部の近傍に設けた構成の測温デバイスにすることによ
り、被測温部を高精度に測温することができる。このよ
うな構成の一例として、基板上に被測温部を組み込み、
測温素子を同一基板上で、この被測温部に隣接させる
か、重ね合わせるか、または部分的に重ね合わせるかし
て設けた構成の測温デバイスがあげられる。また、被測
温部と測温素子とが重ね合わせられるばあい、被測温部
と測温素子とが電気的に接触してはならないときは、被
測温部と測温素子との間に、所望の熱伝導率を有する所
望の厚さの絶縁膜を設ければよい。
【0129】このような被測温部と測温素子とを同一基
板上で隣接させた、重ね合わせた、または部分的に重ね
合わせた構成の測温デバイスは、たとえば、電子装置、
トランジスタ回路などの各種の回路部モニタ、過熱防止
センサなど、極めて精密に測温することが必要な装置
に、特に有利に使用できる。
【0130】また、本発明の測温用抵抗体からなる測温
デバイスは測温スイッチとして用いることもでき、この
ばあい、被測温部の過熱時などには早期に、かつ高精度
に保護作動を起こすことができる。
【0131】図1(a)および図1(b)に、平面型の
電極構成の測温素子を用い、測温素子を信号処理系回路
と同一基板上で接続して一体化し、かつ測温素子を被測
温部の近傍に設けた構成の測温デバイスの一実施態様を
示す。なお、この測温デバイスは、被測温部がトランジ
スタ回路のものである。図1(a)は、この測温デバイ
スの平面図を示し、図1(b)は、この測温デバイスの
図1(a)におけるA−A線断面図を示す。図1(a)
および図1(b)において、1はシリコン基板、2は絶
縁膜、3および4は電極、5は測温用抵抗体、6は信号
処理系回路、7は被測温部であるトランジスタ回路を示
す。
【0132】このような測温デバイスは、シリコン基板
1上に、被測温部であるトランジスタ回路7を組み込
み、さらに信号処理系回路6を設け、これらの回路6お
よび7のうえに絶縁膜2を被覆して設け、この絶縁膜に
たとえばイオンビームエッチングなどによりコンタクト
ホールを形成し、そののち、この絶縁膜2のうえに電極
3および4を設け、前記電極3および4と信号処理系回
路6とを電気的に接続させる方法などにより製造しう
る。
【0133】この測温デバイスによれば、被測温部であ
るトランジスタ回路の温度を極めて高精度にモニタする
ことができる。
【0134】また、本発明の測温用抵抗体は、赤外線検
知素子の赤外線検知部に好適に用いることができる。
【0135】一般に、抵抗体を用いる赤外線検知素子
は、一対の電極と測温用抵抗体とからなり、この測温用
抵抗体が赤外線検知部を構成する。また、この赤外線検
知素子が、たとえば支持膜が設けられたエッチングホー
ルを有するシリコン基板の支持膜上に形成され、赤外線
検知素子の一対の電極が信号処理系回路に接続されるこ
とにより赤外線検知デバイスが形成される。
【0136】このような赤外線検知デバイスを、大きな
抵抗変化率を有する従来の測温用抵抗体を薄膜化して用
いて製造するばあい、検知部の体積抵抗率が極めて大き
いものになる。従来より、信号処理系回路に対するイン
ピーダンス整合をとるため、または応答速度を高めるた
めには、検知部の体積抵抗率を低くする必要があり、そ
のためには電極の面積を広くとる必要があった。
【0137】そのような従来の赤外線検知デバイスの構
成の一例を図8に示す。図8は、前記の従来の赤外線検
知デバイスの平面図を示す。また、図8において、40
は支持膜、41および42は電極、43はエッチングホ
ール、44は測温用抵抗体を示す。
【0138】図8に示されるように、従来の赤外線検知
素子においては、前述ように、電極の面積を広くとる必
要があった。しかしながら、このように電極の面積を広
くとることによって、測温用抵抗体を透過して入射した
赤外線が電極部で反射され、そのため赤外線検知デバイ
スの空洞(図8においては図示していない)上に設けら
れる検知部(支持膜、電極および測温用抵抗体により構
成された部分)が、赤外線により適切な温度に加温され
ず、この測温用抵抗体も適切な温度まで加温されないの
で赤外線を充分に検知できない傾向がある。そのため
に、このような従来の赤外線検知素子を用いる赤外線検
知デバイスでは、赤外線を効率よく検知することが困難
であった。
【0139】しかしながら、本発明の測温用抵抗体を用
いる赤外線検知素子によれば、この測温用抵抗体の体積
抵抗率が低いものであり、そのために薄膜化したばあい
でも、検知部抵抗が小さいので、前述の信号処理系回路
に対するインピーダンス整合および応答速度に関する問
題点を解消しうるため、電極の面積を狭くすることがで
きる。
【0140】また、本発明の測温用抵抗体を前記赤外線
検知素子の電極および電極から信号処理系回路までの配
線材として用いることが可能であり、この方法により、
赤外線を反射する部分の面積を低減することができるの
で、そのために赤外線吸収率を向上させることができ、
赤外線検知素子の感度向上を図ることができる。
【0141】また、本発明の測温用抵抗体を赤外線検知
材料として用いた赤外線検知素子を、信号処理系回路と
同一基板上で接続して一体化することにより、すなわ
ち、単一の基板上に信号処理系回路と、一対の電極およ
び本発明の測温用抵抗体からなる赤外線検知素子とを設
け、この一対の電極とこの信号処理系回路とを電気的に
接続することにより、赤外線検知素子と信号処理系回路
とが一体となった型の赤外線検知デバイスをうることが
できる。このような赤外線検知デバイスは、赤外線検知
素子と信号処理系回路との接続が極めて短い距離で行な
われるため、不要な奇生抵抗を除去することができる。
また、一体化構成にすることにより、機械的接続部分が
なくなる。そのために、感度面および赤外線検知素子の
信頼性の面で有利である。
【0142】図2(a)および図2(b)に、本発明に
おける赤外線検知デバイスの一実施態様を示す。図2
(a)は、この赤外線検知デバイスの平面図を示し、図
2(b)は、この赤外線検知デバイスの図2(a)にお
けるB−B線断面図を示す。
【0143】図2(a)および図2(b)において、8
はシリコン基板、9は支持膜、10はエッチングホー
ル、11および12は電極、13は測温用抵抗体、14
は空洞、15は保護膜である。
【0144】このような赤外線検知デバイスによれば、
保護膜15の形成により、測温用抵抗体および電極など
からなる検知部が、外部環境より保護されるため、長期
間にわたり好適な物性が安定して発揮され、また赤外線
を精度よく検知することが可能であり、赤外線検知素子
の信頼性を高めることができる。
【0145】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はかかる実施例により制限されるもので
はない。
【0146】[実施例1]バナジウム酸化物を生成する
ための第1の原料(以下、単に「第1の原料」というこ
ともある)である5酸化2バナジウムと導電性材料を生
成するための第2の原料(以下、単に「第2の原料」と
いうこともある)である酸化ルテニウムとの複数ターゲ
ット(表1にRuO2/V25と記載)、第1の原料で
ある5酸化2バナジウムと第2の原料である白金との複
数ターゲット(表1にPt/V25と記載)、第1の原
料である5酸化2バナジウムと第2の原料であるイリジ
ウムとの複数ターゲット(表1にIr/V25と記
載)、および第1の原料である5酸化2バナジウムと第
2の原料であるロジウムとの複数ターゲット(表1にR
h/V25と記載)をそれぞれ用い、酸素ガスを1%含
むアルゴンガス雰囲気下にてRFスパッタ法により、表
面に熱酸化皮膜(絶縁膜)を有するシリコン基板の熱酸
化皮膜のうえに測温用抵抗体の薄膜を形成した。
【0147】ここで、この測温用抵抗体の成膜時の前記
シリコン基板温度を250℃とし、スパッタガス圧を1
Paとした。また、スパッタパワーを表1に記載のとお
り調節した。前記の条件により、約20分間で厚さ約1
000オングストロームの測温用抵抗体の薄膜が形成さ
れた。なお、前記測温用抵抗体の薄膜の厚さは、スロー
ンテクノロジー社製接触式膜厚計(DEKTAK303
0)により測定した(以下、測温用抵抗体の厚さの測定
方法はこれと同じ)。
【0148】また、比較の実施例として、5酸化2バナ
ジウム、酸化ルテニウム、白金、イリジウムおよびロジ
ウムをそれぞれ単独にターゲットとして用い、アルゴン
ガス雰囲気下にて、RFスパッタ法により、表面に熱酸
化皮膜を有するシリコン基板の熱酸化皮膜のうえに測温
用抵抗体の薄膜を形成した。ここで、この測温用抵抗体
の成膜時の前記シリコン基板の温度を250℃とし、ス
パッタパワーを100Wとし、スパッタガス圧を1Pa
とした。
【0149】前記測温用抵抗体の薄膜中の全金属原子の
数に対する導電性材料由来の金属原子の数の比率(%)
を日本電子(株)製の電子プロープ微少部分析装置(E
PMA)(JXA−8621MX)により測定した。そ
の結果を表1に示す。
【0150】前記表面に熱酸化皮膜を有するシリコン基
板の熱酸化皮膜のうえに形成された測温用抵抗体の薄膜
のうえに金により電極を設けることにより、図3(a)
および図3(b)にその構成を示すような測温用抵抗体
の体積抵抗率および抵抗変化率の測定用の装置を作製し
た。図3(a)は前記装置の平面図を示し、図3(b)
は図3(a)におけるC−C線断面図を示す。図3
(a)および図3(b)において、16はシリコン基
板、17は絶縁膜、18は測温用抵抗体、19は測定用
金電極を示す。
【0151】つぎに、シリコン基板、測温用抵抗体およ
び電極からなる前記の測定用装置(図3にその構成を示
す)を用いて、4端子法により、−20〜80℃の温度
範囲内における前記測温用抵抗体の体積抵抗率を測定
し、絶対温度の逆数(1/T)と体積抵抗率の対数(l
og ρ)とをプロットし、式:ρ=ρexp(B/
T)よりサーミスタ定数Bを算出し、その測定結果によ
り、27℃における抵抗変化率を求めた。その結果を表
1に示す。
【0152】
【表1】
【0153】[実施例2]表2に記載の第1の原料に該
第1の原料に対して25モル%の表2に記載の第2の原
料を混合した混合ターゲットを蒸着源として用い、アル
ゴンガス雰囲気下にて、RFスパッタ法により、表面に
熱酸化皮膜を有するシリコン基板の熱酸化皮膜のうえに
測温用抵抗体の薄膜を形成した。
【0154】ここで、前記測温用抵抗体の成膜時の前記
シリコン基板温度を200℃とし、スパッタパワーを1
00Wとし、スパッタガス圧を1Paとした。前記の条
件により、約20分間で厚さ約1000オングストロー
ムの測温用抵抗体の薄膜が形成された。これらの測温用
抵抗体の薄膜は5価および4価のバナジウムが混合した
酸化物に表2に記載の金属酸化物(酸化ルテニウム、白
金酸化物、イリジウム酸化物またはロジウム酸化物)が
含有されたものである。
【0155】前記測温用抵抗体の薄膜中の全金属原子の
数に対する導電性材料由来の金属原子の数の比率(%)
を実施例1と同様の装置により測定した。その結果を表
2に示す。
【0156】つぎに、前記表面に熱酸化皮膜を有するシ
リコン基板の熱酸化皮膜のうえに形成された測温用抵抗
体の薄膜のうえに実施例1と同様の測定用金電極を設
け、実施例1と同様の方法で、27℃における体積抵抗
率および27℃における抵抗変化率を測定した。その結
果を表2に示す。
【0157】
【表2】
【0158】[実施例3]表3に記載の第1の原料と表
3に記載の第2の原料との複数ターゲットを用いチッ素
ガス雰囲気下にて、RFスパッタ法により、表面に熱酸
化皮膜(絶縁膜)を有するシリコン基板の熱酸化皮膜の
うえに測温用抵抗体の薄膜を形成した。
【0159】ここで、前記測温用抵抗体の成膜時のシリ
コン基板温度を表3に示す基板温度にし、スパッタパワ
ーを複数ターゲットのそれぞれのターゲットとも100
Wとし、スパッタガス圧を1Paとした。前記の条件に
より、約15分間で厚さ約1000オングストロームの
測温用抵抗体の薄膜が形成された。これらの測温用抵抗
体の薄膜はバナジウム酸化物に表3記載の金属およびこ
の金属のチッ化物(チタンおよびチタンのチッ化物、タ
ンタルおよびタンタルのチッ化物、ニオブおよびニオブ
のチッ化物)が含有されたものである。
【0160】前記測温用抵抗体中の全金属原子の数に対
する導電性材料由来の金属原子の数の比率(%)を実施
例1と同様の方法により測定した。その結果を表3に示
す。
【0161】また、前記測温用抵抗体の薄膜中のチッ素
原子の数と酸素原子の数との合計数に対するチッ素原子
の数の比率(%)を、アルバックファイ社製のオージェ
電子分光装置(AES)(Model 650)により
測定した。その結果を表3に示す。
【0162】つぎに、前記表面に熱酸化物を有するシリ
コン基板の熱酸化皮膜のうえに形成された測温用抵抗体
の薄膜のうえに実施例1と同様の測定用金電極を設け、
実施例1と同様に4端子法により、27℃における体積
抵抗率および27℃における抵抗変化率を測定した。そ
の結果を表3に示す。
【0163】
【表3】
【0164】前記チッ素原子の数と酸素原子の数との合
計数に対するチッ素原子の数の比率(%)が5〜52%
の範囲内であることが好ましい。前記の比率が前記の範
囲内にあるばあい、体積抵抗率が20mΩ・m以下であ
り、かつ抵抗変化率の絶対値が0.7%/Kより大きい
測温用抵抗体が安定してえられる。前記の比率が52%
より大きいばあい、測温用抵抗体の体積抵抗率は20m
Ω・m以下を維持するが、抵抗変化率の絶対値が0.7
%/K以下に低下して、同体積抵抗率を示すほかの材料
に対する抵抗変化率に関する優位性が失なわれる。一
方、前記の比率が1%以下のばあい、測温用抵抗体の体
積抵抗率が20mΩ・mをこえるため好ましくなく、前
記の比率が1%より大きく5%より小さいばあい、製造
バッチごとの特性のバラツキが大きくなり、製造におけ
る歩留りが低下するため好ましくない。
【0165】[実施例4]第1の原料である5酸化2バ
ナジウム(V25)と第2の原料であるバナジウムチッ
化物(VN)との複数ターゲットを用い、アルゴンガス
とチッ素ガスとの混合ガス雰囲気下にて、RFマグネト
ロンスパッタ法により、表面に熱酸化皮膜(絶縁膜)を
有するシリコン基板の熱酸化皮膜のうえに測温用抵抗体
の薄膜を形成した。
【0166】ここで、前記測温用抵抗体の成膜時の前記
シリコン基板温度を300℃とし、各ターゲットに対す
るスパッタパワーを表4に記載のとおり調節した。ま
た、前記アルゴンガスとチッ素ガスとの混合ガスを、表
4に示す混合比とし、スパッタガス圧を1Paとした。
前記の条件により、25分間で厚さ約1000オングス
トロームのチッ素を含んだバナジウム酸化物である測温
用抵抗体の薄膜が形成された。得られた測温用抵抗体中
のチッ素原子の数と酸素原子の数との合計数に対するチ
ッ素原子の数の比率(%)および実施例1と同様の方法
で測定した27℃における体積抵抗率および27℃にお
ける抵抗変化率を表4に示す。
【0167】
【表4】
【0168】[実施例5]第1の原料である5酸化2バ
ナジウムと第2の原料であるチッ化チタンとの複数ター
ゲットを用い、チッ素ガス雰囲気下にて、RFスパッタ
法により、表面に熱酸化皮膜(絶縁膜)を有するシリコ
ン基板の熱酸化皮膜の上に測温用抵抗体の薄膜を形成し
た。
【0169】ここで、前記測温用抵抗体の成膜時のシリ
コン基板の温度を400℃とし、スパッタパワーを複数
ターゲットのそれぞれのターゲットともに100Wと
し、スパッタガス圧1Paとした。前記の条件により、
約15分間で厚さ約800オングストロームの測温用抵
抗体の薄膜が形成された。
【0170】つぎに、前記表面に熱酸化皮膜を有するシ
リコン基板の熱酸化皮膜のうえに形成された測温用抵抗
体の薄膜のうえに実施例1と同様の測定用金電極を設
け、実施例1と同様に4端子法により、体積抵抗率およ
び抵抗変化率を見積った。この測温用抵抗体はバナジウ
ム酸化物にチタン窒化物が含有されたものである。この
測温用抵抗体の薄膜においてはチタン窒化物が導電性材
料である。
【0171】前記測温用抵抗体の薄膜中の全金属原子の
数に対する導電性材料由来の金属原子の数の比率(%)
を実施例1と同様の方法により測定したところ、その比
率は7%であった。
【0172】また、前記測温用抵抗体の薄膜中のチッ素
原子の数と酸素原子の数との合計数に対するチッ素原子
の比率(%)を実施例3と同様にして測定したところ、
その比率は3.3%であった。また、実施例1と同様に
して測定した27℃における体積抵抗率は15mΩ・m
であり、抵抗変化率は−1.6%/Kであった。
【0173】[実施例6]バナジウムをターゲットとし
て用いて、チッ素ガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気下
にて、RF反応性スパッタ法により、表面に熱酸化皮膜
(絶縁膜)を有するシリコン基板の熱酸化皮膜のうえに
測温用抵抗体の薄膜を形成した。
【0174】ここで、前記測温用抵抗体の成膜時の前記
シリコン基板温度を400℃とし、スパッタパワーを1
00Wとした。また、チッ素ガスと酸素ガスとの混合ガ
スを表5に示す混合比とし、スパッタガス圧を1Paと
した。前記の条件により、約20分間で厚さ約1000
オングストロームのバナジウム、酸素およびチッ素を含
むバナジウム化合物である測温用抵抗体の薄膜が形成さ
れた。
【0175】前記測温用抵抗体中のバナジウム原子の平
均価数を、ブイジー(VG)社製エックス線光電子分光
装置(XPS)(HB50A)にて評価した。なお、こ
の平均価数はえられた各結合ピークの面積比より見積も
った。その結果を表5に示す。
【0176】また、測温用抵抗体中のチッ素原子の数と
酸素原子の数との合計数に対するチッ素原子の数の比率
を、実施例3と同様の方法により測定した。その結果を
表5に示す。
【0177】つぎに、前記シリコン基板に形成された測
温用抵抗体の薄膜のうえに実施例1と同様の測定用金電
極を設け、実施例1と同様にして、27℃における体積
抵抗率および27℃における抵抗変化率を測定した。そ
の結果を表5に示す。
【0178】
【表5】
【0179】[実施例7]成膜雰囲気のチッ素ガスと酸
素ガスとの混合比を体積比で20対0.5にしたほかは
実施例6と同じ方法により、実施例6と同様の基板上
に、27℃における体積抵抗率が2×10-6Ω・mであ
り、抵抗変化率が−0.5%/Kである、厚さが約10
00オングストロームのバナジウム、酸素およびチッ素
を含むバナジウム化合物を形成した。このバナジウム化
合物を100%酸素ガス雰囲気下で、300℃にて2時
間アニールすることにより、測温用抵抗体をえた。
【0180】前記測温用抵抗体中のバナジウム原子の平
均価数を実施例6と同様の方法により測定したところ、
4.8であった。また、チッ素原子の数と酸素原子の数
との合計数に対するチッ素原子の数の比率(%)を実施
例3と同様の方法により測定したところ15%であっ
た。
【0181】つぎに、前記シリコン基板の熱酸化皮膜の
うえに形成された薄膜のうえに実施例1と同様の測定用
金電極を設け、実施例1と同様にして27℃における体
積抵抗率および27℃における抵抗変化率を測定した。
その結果、27℃における体積抵抗率が2mΩ・mであ
り、抵抗変化率が−1.9%/Kであった。
【0182】[実施例8]バナジウムをターゲットとし
て、表6に示すチッ素ガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲
気下にて、RF反応性マグネトロンスパッタ法により、
表面に熱酸化皮膜を有するシリコン基板の熱酸化皮膜の
うえに測温用抵抗体の薄膜を形成した。
【0183】ここで、前記測温用抵抗体の成膜時の前記
シリコン基板温度を350℃とし、スパッタパワーを1
00Wとした。また、前記チッ素ガスと酸素ガスとの混
合ガスを、表6に示す混合比とし、スパッタガス圧を1
Paとした。前記の条件により、30分間で厚さ約10
00オングストロームのバナジウム、酸素およびチッ素
を含むバナジウム化合物である測温用抵抗体の薄膜が形
成された。えられた測温用抵抗体中のバナジウム原子の
平均価数を、実施例6と同様の方法で測定した。また、
えられた測温用抵抗体中のチッ素原子の数と酸素原子の
数との合計数に対するチッ素原子の数の比率(%)を、
実施例3と同様の方法で測定した。それぞれの結果を表
6に示す。
【0184】つぎに、前記シリコン基板に形成された測
温用抵抗体の薄膜のうえに実施例1と同様の測定用金電
極を設け実施例1と同様にして、27℃における体積抵
抗率および27℃における抵抗変化率を測定した。その
結果を表6に示す。
【0185】
【表6】
【0186】[実施例9]バナジウムと白金との複数タ
ーゲットを用い、チッ素ガスと酸素ガスとの混合ガス雰
囲気下にて、RF反応性スパッタ法により、表面に熱酸
化皮膜(絶縁膜)を有するシリコン基板の熱酸化皮膜の
うえに、測温用抵抗体の薄膜を形成した。なお、この測
温用抵抗体は、バナジウム、酸素およびチッ素を含むバ
ナジウム化合物に、このバナジウム化合物よりも高い導
電性を有する金属、金属酸化物または金属チッ化物の1
種または2種以上からなる導電性材料を含む測温用抵抗
体に相当する。
【0187】ここで、前記測温用抵抗体の成膜時の前記
シリコン基板温度を400℃とし、スパッタパワーをバ
ナジウムのターゲットが100W、白金のターゲットが
50Wとし、スパッタガス圧を1Paとし、混合ガス雰
囲気のチッ素ガスと酸素ガスとの混合比を20:7とし
た。前記の条件により、約30分間で厚さ約900Åの
測温用抵抗体の薄膜が形成された。
【0188】前記測温用抵抗体薄膜中の全金属原子の数
に対する導電性材料由来の金属(白金)原子の数の比率
(%)を実施例1と同様の方法で測定したところ、18
%であった。
【0189】つぎに、前記シリコン基板の熱酸化皮膜の
うえに形成された薄膜のうえに実施例1と同様の測定用
金電極を設け、実施例1と同様にして27℃における体
積抵抗率および27℃における抵抗変化率を見積った。
その結果、27℃における体積抵抗率が11mΩ・mで
あり、27℃における抵抗変化率が−1.2%/Kであ
った。
【0190】[実施例10]図1(a)の平面図およ
び、図1(b)の断面図1(a)におけるA−A線断面
図により表わされるような構成の測温デバイスを作製し
た。すなわち、シリコン基板の片面にトランジスタ回路
7と測温素子用の信号処理回路6とを設けたシリコン基
板1における前記のそれぞれの回路と同一の面上に、化
学蒸着法(CVD)法により酸化シリコン(SiO2
の絶縁膜2(膜厚2000オングストローム)を形成し
た。この絶縁膜にイオンビームエッチングによりコンタ
クトホールを形成した。つぎに、リフトオフ法により白
金製の一対の電極3および4を形成した。つぎに、前記
電極と信号処理系回路6とを電気的に接続させた。その
のち、実施例6の実験例番号6−(4)と同様の方法に
より、27℃における体積抵抗率が7.6mΩ・m、2
7℃における抵抗変化率が−1.9%/Kである測温用
抵抗体(膜厚が1000オングストローム)を、前記絶
縁膜および電極を被覆するようにして設けた。前記測温
用抵抗体を1規定塩酸によりパターニング(図1中の測
温用抵抗体5はパターニングしたのちの測温用抵抗体を
示す)することにより測温デバイスを作製した。
【0191】前記測温デバイスは、測温素子と信号処理
系回路とが一体になっており、さらに被測温部であるト
ランジスタ回路が同一の基板上に設けられているため、
被測温部であるトランジスタ回路を高精度に測温するこ
とができる。これを測温スイッチとして用いることも可
能であり、このばあいには過熱時などには早期に高精度
に保護作動を起こすことが可能である。
【0192】[実施例11]図2(a)の平面図および
図2(b)の断面図(図2(a)におけるB−B線断面
図)により表わされるような構成の赤外線検知デバイス
を作製した。すなわち、シリコン基板8の片面に、CV
D法によりチッ化シリコン(SiN)支持膜9(膜厚2
000オングストローム)を形成した。この支持膜のう
えにリフトオフ法により白金製の一対の電極11および
12を形成した。そののち、実施例6の実験例番号6−
(4)と同様の方法により、27℃における体積抵抗率
が7.6mΩ・m、27℃における抵抗変化率が−1.
9%/Kである測温用抵抗体(膜厚が1000オングス
トローム)を、前記支持膜および電極を被覆するように
して設けた。前記測温用抵抗体を1規定塩酸によりパタ
ーニングしたのち(図2中の測温用抵抗体13はパター
ニングしたのちの測温用抵抗体を示す)、CVD法によ
り、チッ化シリコン(SiN)の保護膜15(図2
(a)の平面図においては、この保護膜は図示していな
いが、この保護膜はエッチングホール部以外の全面を被
覆している)(膜厚が2000オングストローム)を前
記の支持膜、電極および測温用抵抗体を被覆するように
して設けた。そののち、イオンビームエッチングにより
エッチングホール10を形成し、70℃の30重量%水
酸化カリウム水溶液によりエッチングを行なうことによ
り、測温用抵抗体の下部にエッチングホール10と連通
する空洞14を形成して、赤外線検知デバイスを作製し
た。
【0193】前記赤外線検知デバイスは、本発明の測温
用抵抗体を赤外線検知部に用いているため、この測温用
抵抗体は低い体積抵抗率を有するものであり、小さい熱
量でも充分に温度変化しうる検知部をうるために、この
測温用抵抗体を薄膜化したばあいでも、検知部抵抗を低
くすることができるので、赤外線検知素子の電極の面積
を狭くすることができる。
【0194】また、入射赤外線は電極部で反射されるた
め、電極面積の低減は入射赤外線の高効率検知に極めて
有効であり、本実施例では電極面積を従来のものと比較
して約1/4にすることが可能となった。つまり電極部
での赤外線の反射損失を約1/4にすることができた。
【0195】[実施例12]図5(a)の平面図および
図5(b)の断面図(図5(a)におけるE−E線断面
図)により表わされるような構成の赤外線検知デバイス
を作製した。すなわち、片面に赤外線検知デバイス用信
号処理回路56を設けたシリコン基板54の前記信号処
理回路と同一の面上に、CVD法によりチッ化シリコン
(SiN)の支持(絶縁)膜50(膜厚2000オング
ストローム)を形成した。つぎに、イオンビームエッチ
ングにより前記支持膜にコンタクトホールを形成した
(図5(b)において、コンタクトホールは電極および
配線により埋められた状態になっている)。つぎに、リ
フトオフ法により、前記コンタクトホールを埋めるよう
にしつつ白金により一対の電極および配線52を形成
し、電極および配線52と信号処理回路56との電気的
接続を行なった。そののち、実施例6の実施例番号6−
(4)と同様の方法により、27℃における体積抵抗率
7.6mΩ・m、27℃における抵抗変化率が−1.9
%/Kである測温用抵抗体(膜厚が1000オングスト
ローム)を、支持膜50ならびに電極および配線52を
被覆するようにして設けた。そののち、前記測温用抵抗
体を1規定塩酸でパターンニングを行なった。さらに、
チッ化シリコン絶縁膜にイオンビームエッチングにより
エッチングホール51を形成し、70℃の30重量%水
酸化カリウム水溶液によりエッチングを行なうことによ
り、測温用抵抗体53と支持膜50と電極および配線5
2とからなる検知部の下にエッチングホール51と連通
する空洞55を形成して信号処理回路と一体化した赤外
線検知デバイスを作製した。
【0196】この赤外線検知デバイスによれば、従来材
料よりも低体積抵抗率であるため薄い膜厚で従来と同じ
素子抵抗を実現することができる。このことにより、検
知部分の低熱容量化が実現され、同一熱量の入射(赤外
線量)により、より大きな検知部温度の上昇がえられ、
感度の向上が達成された。
【0197】[実施例13]図6(a)の平面図、図6
(b)の断面図(図6(a)におけるF−F線断面図)
および図6(c)の断面図(図6(a)におけるG−G
線断面図)により表わされるような構成の赤外線検知デ
バイスを作製した。すなわち、シリコン基板61の片面
にCVD法によりチッ化シリコン(SiN)支持膜60
(膜厚2000オングストローム)を形成した。この支
持膜60のうえに実施例6の実験例番号6−(3)と同
様の方法により、27℃における体積抵抗率が0.15
mΩ・m、27℃における抵抗変化率が−2.3%/K
である測温用抵抗体(膜厚が1000オングストロー
ム)を形成した。前記測温用抵抗体を1規定塩酸により
パターニングした。そののち、チッ化シリコン支持膜に
イオンビームエッチングによりエッチングホール63を
形成し、70℃の30重量%水酸化カリウム水溶液によ
りエッチングを行なうことにより、測温用抵抗体62と
支持膜60とからなる検知部の下にエッチングホール6
3と連通する空洞64を形成して赤外線検知デバイスを
作製した。このような構成の赤外線検知デバイスは、電
極を用いた素子(たとえば図5に示す)からなる赤外線
検知デバイスに比べ、赤外線吸収効率を5%向上させる
ことが出来た。
【0198】
【発明の効果】測温用抵抗体が、バナジウム酸化物を母
材料とし、該母材料中に該バナジウム酸化物よりも高い
導電性を有する金属、金属酸化物または金属チッ化物の
1種または2種以上からなる導電性材料を含む測温用抵
抗体であることにより、従来の測温用抵抗体に比べ、室
温で低い体積抵抗率でありながら温度変化にしたがって
大きく体積抵抗率が変化するという特徴を実現しうる。
【0199】前記金属または金属酸化物が白金、イリジ
ウム、ロジウム、白金酸化物、イリジウム酸化物、ロジ
ウム酸化物またはルテニウム酸化物の1種または2種以
上からなることにより、母材料であるバナジウム酸化物
に酸化しにくい金属または導電性の金属酸化物が含有さ
れることになり、これら金属および金属酸化物は含有さ
れた状態で変質しにくいものであるために、所期の特性
が安定して発揮されうる。
【0200】前記金属チッ化物がチタンチッ化物、ニオ
ブチッ化物またはタンタルチッ化物の1種または2種以
上からことにより、これらチッ化物が導電性が高いもの
であるという点、および化学的に安定であるので含有さ
れた状態でも変質しにくいものとなりうる。
【0201】前記の導電性材料由来の金属原子の数が、
測温用抵抗体中の金属原子の数に対して5〜70%の範
囲内にあることにより、従来の測温用抵抗体にく比べ室
温で低体積抵抗率でありながら温度変化にしたがってさ
らに大きく体積抵抗率が変化するという特徴を実現しう
る。
【0202】前記金属チッ化物がバナジウムチッ化物か
らなることにより、バナジウム系酸化物またはバナジウ
ム系酸化物が母材料へ含有されやすく、そして含有され
た状態で安定に存在することが可能であり、感温素子の
構造設計において自由度が増すという点、製造工程の簡
略化しうる。また、この含有により測温用抵抗体が低抵
抗化される。
【0203】前記バナジウムチッ化物を含む前記バナジ
ウム酸化物中のチッ素原子の数と酸素原子の数との合計
数に対するチッ素原子の数の比率をXとするとき、X
が、式: 0<X≦0.67 で表される範囲内にあることにより、室温における体積
抵抗変化率が好適に低くなり、また、母材料であるバナ
ジウム酸化物と導電性材料が反応しにくいという点で有
利である。
【0204】また、本発明の測温用抵抗体は、バナジウ
ム酸化物を生成するための第1の原料と、バナジウム酸
化物より高い導電性を有する金属、金属酸化物または金
属チッ化物の1種または2種以上を生成するための第2
の原料とを複合蒸着源とし、ガス雰囲気下で蒸着法によ
り形成する、バナジウム酸化物を母材料とし、該母材料
中に該バナジウム酸化物よりも高い導電性を有する金
属、金属酸化物または金属チッ化物の1種または2種以
上からなる導電性材料を含む測温用抵抗体の製法により
製造しうる。
【0205】また、前記第1の原料がバナジウム酸化物
であり、前記第2の原料が金属および/または金属酸化
物であり、前記ガス雰囲気が不活性ガス雰囲気であり、
前記蒸着法が物理蒸着法である製法により前記測温用抵
抗体を製造しうる。
【0206】また、前記第1の原料がバナジウム酸化物
であり、前記第2の原料が金属および/または金属チッ
化物であり、前記ガス雰囲気がチッ化性ガスを含むガス
雰囲気であり、前記蒸着法が反応性物理蒸着法である製
法により前記測温用抵抗体を製造しうる。
【0207】また、測温用抵抗体がバナジウム、酸素お
よびチッ素を含むバナジウム化合物からなることによ
り、従来の測温用抵抗体に比べ、室温で低い体積抵抗率
でありながら温度変化にしたがって大きく体積抵抗率が
変化するという特徴を実現しうる。
【0208】前記バナジウム化合物中のチッ素原子の数
と酸素原子の数の合計数に対するチッ素原子の数の比率
をYとするとき、Yが、式: 0<Y≦0.52 で表される範囲内にあることにより、従来の測温用抵抗
体に比べ、室温で低い体積抵抗率でありながら温度変化
にしたがってさらに大きく体積抵抗率が変化するという
特徴を実現しうる。
【0209】前記バナジウム、酸素およびチッ素を含む
バナジウム化合物である測温用抵抗体において、チッ素
を含有するバナジウム酸化物のバナジウム原子の平均価
数が4.2〜4.9の範囲内にあることにより、従来の
測温用抵抗体に比べ室温で低体積抵抗率でありながら温
度変化にしたがってさらに大きく体積抵抗率が変化する
という特徴を実現しうる。
【0210】また、前記バナジウム化合物中に、前記バ
ナジウム酸化物よりも高い導電性を有する金属、金属酸
化物または金属チッ化物の1種または2種以上からなる
導電性材料を含む測温用抵抗体によれば、従来の測温用
抵抗体に比べ、室温で低い体積抵抗率でありながら温度
変化にしたがってさらに大きく体積抵抗率が変化すると
いう特徴を実現しうる。
【0211】バナジウムまたはバナジウム酸化物の少な
くとも1種を含む原料を蒸着源とし、チッ化性ガスを含
み酸化性ガスを含んでよいガス雰囲気下にて、反応性物
理蒸着法により形成することにより、バナジウム、酸素
およびチッ素を含むバナジウム化合物からなる測温用抵
抗体を製造しうる。
【0212】バナジウム、酸素およびチッ素を含む前記
バナジウム化合物をさらに酸化性ガス雰囲気でアニール
することにより、バナジウム、酸素およびチッ素を含む
バナジウム化合物からなる測温用抵抗体を製造しうる。
【0213】本発明の前記それぞれの測温用抵抗体を赤
外線検知素子に用いることにより、従来材料を用いる赤
外線検知素子に比べて、赤外線検知素子の電極の面積を
低減することができる。このことにより、入射赤外線は
電極部で反射されるため、電極面積の低減は入射赤外線
の高効率検知に極めて有効であり、電極部での赤外線の
反射損失を大幅に減少することができる。
【0214】本発明の測温用抵抗体を用いることによ
り、測温素子が単純な平面型の電極構成のものにしえ、
測温デバイスも小型化しうる。そのために、測温素子作
製時に必要なマスク枚数も低減できる。さらに、従来の
挟み込み電極型に比べ、測温用抵抗体の欠陥(傷などを
含む)に対しても許容度が大きく、製造における不良の
低減、コストの低減にも有利である。
【0215】また、本発明の測温デバイスは、検知部回
路部一体型測温デバイスとしうる。検知部回路部一体型
測温デバイスは被測定部と同一の基板上に設けられてお
り、半導体回路を高精度にモニターできる。これを測温
スイッチをして用いることも可能であり、このばあいに
は加熱時などには早期に高精度に保護作動を起こすこと
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1における測温素子の形状を説明する
ための平面図(a)およびこの平面図(a)のA−A線
断面図(b)である。
【図2】 本発明における赤外線検知素子の一実施例の
態様を説明するための平面図(a)およびB−B線断面
図(b)である。
【図3】 本発明における測温用抵抗体の体積抵抗率お
よび抵抗変化率の測定用の装置を説明するための平面図
(a)およびC−C線断面図(b)である。
【図4】 実施例6におけるチッ素ガス対酸素ガスの比
が体積比で20対7のばあいの試料の体積抵抗率と温度
との関係を表わす関係図である。
【図5】 実施例12における赤外線検知素子を説明す
るための平面図(a)およびE−E線断面図(b)であ
る。
【図6】 実施例13における赤外線検知素子を説明す
るための平面図(a)、F−F線断面図(b)およびG
−G線断面図(c)である。
【図7】 従来の測温素子を説明するための平面図
(a)およびD−D線断面図(b)である。
【図8】 従来の赤外線検知素子を説明するための平面
図である。
【符号の説明】
2 絶縁膜、3、4、11、12 電極、5、13、5
3、62 測温用抵抗体、7 トランジスタ回路、6、
56 信号処理系回路、9、50、60 支持膜、52
電極および配線。
フロントページの続き (72)発明者 梅村 敏夫 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (72)発明者 内川 英興 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−76901(JP,A) 特開 昭61−119003(JP,A) 特開 昭61−220402(JP,A) 特開 昭57−95601(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01K 7/16 - 7/18 G01K 7/22 H01C 7/00 - 7/04 G01J 5/02

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バナジウム酸化物を母材料とし、該母材
    料中に該バナジウム酸化物よりも高い導電性を有する金
    属チッ化物の1種または2種以上からなる導電性材料を
    含む測温用抵抗体。
  2. 【請求項2】 前記金属チッ化物がチタンチッ化物、ニ
    オブチッ化物またはタンタルチッ化物の1種または2種
    以上からなる請求項1記載の測温用抵抗体。
  3. 【請求項3】 前記導電性材料由来の金属原子の数が、
    前記測温用抵抗体中の全金属原子の数の5〜70%の範
    囲内にある請求項1記載の測温用抵抗体。
  4. 【請求項4】 前記金属チッ化物がバナジウムチッ化物
    からなる請求項1記載の測温用抵抗体。
  5. 【請求項5】 前記バナジウムチッ化物を含む前記バナ
    ジウム酸化物中のチッ素原子の数と酸素原子の数との合
    計数に対するチッ素原子の数の比率をXとす るとき、Xが、式: 0<X≦0.67 で表される範囲内にある請求項記載の測温用抵抗体。
  6. 【請求項6】 バナジウム酸化物を生成するための第1
    の原料と、バナジウム酸化物より高い導電性を有する金
    属、金属酸化物または金属チッ化物の1種または2種以
    上を生成するための第2の原料とを複合蒸着源とし、ガ
    ス雰囲気下で蒸着法により形成する、バナジウム酸化物
    を母材料とし、該母材料中に該バナジウム酸化物よりも
    高い導電性を有する金属、金属酸化物または金属チッ化
    物の1種または2種以上からなる導電性材料を含む測温
    用抵抗体の製法。
  7. 【請求項7】 前記第1の原料がバナジウム酸化物であ
    り、前記第2の原料が金属および/または金属酸化物で
    あり、前記ガス雰囲気が不活性ガス雰囲気であり、前記
    蒸着法が物理蒸着法である請求項記載の測温用抵抗体
    の製法。
  8. 【請求項8】 前記第1の原料がバナジウム酸化物であ
    り、前記第2の原料が金属および/または金属チッ化物
    であり、前記ガス雰囲気がチッ化性ガスを含むガス雰囲
    気であり、前記蒸着法が反応性物理蒸着法である請求項
    記載の測温用抵抗体の製法。
  9. 【請求項9】 バナジウム、酸素およびチッ素を含むバ
    ナジウム化合物からなる測温用抵抗体。
  10. 【請求項10】前記バナジウム化合物中のチッ素原子の
    数と酸素原子の数の合計数に対するチッ素原子の数の比
    率をYとするとき、Yが、式: 0<Y≦0.52 で表される範囲内にある請求項記載の測温用抵抗体。
  11. 【請求項11】 前記バナジウム化合物中のバナジウム
    原子の平均価数が、4.2〜4.9の範囲内にある請求
    記載の測温用抵抗体。
  12. 【請求項12】 前記バナジウム化合物中に、前記バナ
    ジウム化合物よりも高い導電性を有する金属、金属酸化
    物または金属チッ化物の1種または2種以上からなる導
    電性材料を含む請求項記載の測温用抵抗体。
  13. 【請求項13】 バナジウムまたはバナジウム酸化物の
    少なくとも1種を含む原料を蒸着源とし、チッ化性ガス
    を含み酸化性ガスを含んでよいガス雰囲気下にて、反応
    性物理蒸着法により形成する、バナジウム、酸素および
    チッ素を含むバナジウム化合物からなる測温用抵抗体の
    製法。
  14. 【請求項14】 バナジウム、酸素およびチッ素を含む
    前記バナジウム化合物をさらに酸化性ガス雰囲気でアニ
    ールする請求項13記載の測温用抵抗体の製法。
  15. 【請求項15】 絶縁性の支持膜と、該支持膜上に形成
    された一対の電極と、該一対の電極に接続された測温用
    抵抗体とからなり、該測温用抵抗体がバナジウム酸化物
    を母材料とし、該母材料中に該バナジウム酸化物よりも
    高い導電性を有する金属チッ化物の1種または2種以上
    からなる導電性材料を含む赤外線検知素子。
  16. 【請求項16】 絶縁性の支持膜と、該支持膜上に形成
    された一対の電極と、該一対の電極に接続された測温用
    抵抗体とからなり、該測温用抵抗体がバナジウム酸化物
    を母材料とし、該母材料中に該バナジウム酸化物よりも
    高い導電性を有する金属、金属酸化物または金属チッ化
    物の1種または2種以上からなる導電性材料を含み、
    記一対の電極が前記測温用抵抗体を構成する導電性材料
    と同じ導電性材料を含む材料からなる赤外線検知素子。
  17. 【請求項17】 絶縁性の支持膜と、該支持膜上に形成
    された一対の電極と、該一対の電極に接続された測温用
    抵抗体とからなり、該測温用抵抗体がバナジウム、酸素
    およびチッ素を含むバナジウム化合物からなる赤外線検
    知素子。
  18. 【請求項18】 前記一対の電極がバナジウム、酸素お
    よびチッ素を含むバナジウム化合物からなる請求項17
    記載の赤外線検知素子。
  19. 【請求項19】 前記バナジウム化合物中のチッ素原子
    の数と酸素原子の数の合計数に対するチッ素原子の数の
    比率をYとするとき、Yが、式: 0<Y≦0.52 で表される範囲内にある請求項17記載の赤外線検知素
    子。
  20. 【請求項20】 前記バナジウム化合物中のバナジウム
    原子の平均価数が、4.2〜4.9の範囲内にある請求
    17記載の赤外線検知素子。
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