JP3347174B2 - 変色作用の少ない抗菌性ゼオライトの製造法 - Google Patents
変色作用の少ない抗菌性ゼオライトの製造法Info
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Description
む有機ポリマーを熱又は日光などの影響下に置いた時に
該ポリマーを変色させる作用が少ない抗菌性ゼオライト
を製造する方法に関する。
菌性を有することは古くより知られており、例えば銀イ
オンは硝酸銀の溶液の形態で消毒剤や抗菌剤として広く
利用されてきた。しかしながら溶液状では取扱いの点で
不便があり、また用途の点でも限定される。こうした欠
点を取り除くために、金属イオンをゼオライト等の固体
に保持させた製品が開発されてきた。例えばフランス国
特許出願第1061158号には、銅、亜鉛、銀等で飽
和されたゼオライトを20〜30重量%含む船舶用塗料
が記載されている。また、日本国特公昭63−5401
3、特開昭63−260810号及び特開昭63−27
0764号には、抗菌性のさらに改善されたゼオライト
組成物が記載されている。
い抗菌性ゼオライトが提案されている(特開昭63−2
65809)。これはゼオライト中のイオン交換可能な
イオンの一部又は全部をアンモニウムイオン及び抗菌性
金属イオンで置換した抗菌性ゼオライト及び抗菌性ポリ
マー組成物に関するものである。しかし、この抗菌性ゼ
オライトは、抗菌性金属として銀イオンだけを保持した
ときは熱安定性に欠け、A型ゼオライトを用いた場合と
くに、これ自体が300℃の加熱ですでに黄土色に変色
し、ポリプロピレン樹脂(練り込み温度240℃)に練
り込むと薄茶色に変色するという不具合があり、著しく
商品価値を損なうという問題点があった。
性ゼオライト粒子を処理することによって、シリコーン
系コーティング被覆を有する抗菌性ゼオライト粒子を作
ることが知られている(特公平3−80814号公
報)。これは、吸湿能を必要な程度に抑えられ、疎水性
又は撥水性を有し、これと有機ポリマーとを配合して成
形する際に水分を放出しないので成形が有利に行える利
点がある。
ー等に配合した場合、加工時の熱の影響下で、または日
光等紫外線下でポリマー等を変色させる作用が少ない抗
菌性ゼオライトの製造方法及びそうして作られた抗菌性
ゼオライトを提供することを目的とする。
担持するゼオライトの変色作用を抑制する方法におい
て、水性媒体に上記ゼオライトを分散し、かつ該ゼオラ
イトに対して0.5〜30重量%のヒドロキシまたはア
ルコキシシランの低縮合物を添加し、該水性媒体のpH
を7未満に保持して、上記シランの低縮合物により上記
ゼオライトを処理する方法である。
知であり、ゼオライトへの抗菌性金属のイオン交換によ
って作ることができる。抗菌性金属としては、銀、銅、
亜鉛、水銀、錫、鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、
コバルト、ニッケル、またはこれらの2種以上の組合せ
が挙げられる。好ましくは、銀、銅、亜鉛、またはこれ
らの組合せが用いられ、特に銀単独又は銀と銅又は亜鉛
の組合せが抗菌性に優れている。銀を担持する抗菌性ゼ
オライトの場合に特に、熱、光の作用下での有機ポリマ
ーの変色が比較的大きいので、本発明の効果が顕著であ
る。抗菌性ゼオライトを作る方法は、たとえば特公昭6
3−54013号及び特公平3−80814号に記載さ
れている。
格構造を有するアルミノシリケートであって、一般には
Al2 O3 を基準にしてxM2/n O・Al2 O3 ・yS
iO2 ・zH2 Oで表わされる。Mはイオン交換可能な
金属イオンを表わし、通常は1価〜2価の金属であり、
nはこの原子価に対応する。一方x及びyはそれぞれ金
属酸化物、シリカの係数、zは結晶水の数を表わしてい
る。ゼオライトは、その組成比及び細孔径、比表面積な
どの異なる多くの種類のものが知られている。
天然または合成品の何れのゼオライトも使用可能であ
る。
ン、チャバサイト、クリノプチロライト、エリオナイ
ト、フォジャサイト、モルデナイト、フィリップサイト
等が挙げられる。一方合成ゼオライトの典型的なものと
してはA‐型ゼオライト、X‐型ゼオライト、Y‐型ゼ
オライト、モルデナイト等が挙げられるが、これらの合
成ゼオライトは本発明のゼオライト素材として好適であ
る。特に好ましいものは、合成のA‐型ゼオライトであ
り、これは変色作用が大きいので本発明の効果が顕著に
表われる。
く、粒子径は用途に応じて適宜選べばよい。厚みのある
成形体、例えば各種容器、パイプ、粒状体あるいは太デ
ニールの繊維等に本発明の殺菌性ゼオライトを混入して
使用する場合には粒子径は数ミクロン〜数10ミクロン
あるいは数100ミクロン以上でよく、一方細デニール
の繊維やフィルムに成形する場合は粒子径が小さい方が
好ましく、例えば衣料用繊維の場合は5ミクロン以下、
特に2ミクロン以下であることが望ましい。
応により担持されていることが好ましい。イオン交換に
よらず単に金属化合物を吸着あるいは付着した場合に
は、最終製品の抗菌効果の持続性が不十分となるおそれ
がある。ゼオライト固体粒子のイオン交換容量未満、特
にその約90%以下の量の金属イオンでイオン交換する
のが好ましい。飽和以上にイオン交換したものでは、抗
菌効果及びその持続性の劣ることがある。
ゼオライトをAg‐ゼオライトに転換する場合を例にと
り説明する。通常Ag‐ゼオライト転換に際しては硝酸
銀のような水溶性銀塩の溶液が使用されるが、これの濃
度及びpHに十分留意する必要がある。例えばA‐型又は
X‐型ゼオライト(ナトリウム‐型)をイオン交換反応
を利用して銀イオンを担持させる際、銀イオン濃度が大
であると(例えば1〜2M AgNO3 使用時は)イオ
ン交換により銀イオンが固相のナトリウムイオンと置換
すると同時にゼオライト固相中に銀の酸化物等として沈
殿析出することがある。銀酸化物が析出すると抗菌力は
低下することが知られている。かかる沈澱の生成を防止
するために、銀溶液の濃度を希釈状態例えば0.3M以
下に保つか、又はイオン交換時に酸を添加して、溶液の
pHを酸性側に調節するのが好ましい。かかる濃度の硝酸
銀溶液を使用するか又は溶液のpHを酸性側に保つと、抗
菌力の効果が最適条件で発揮できる。
る際には、上述の濃度、又は酸性側のpHを有する塩類溶
液を用いてゼオライト素材を浸漬処理すればよい。ゼオ
ライト素材中への金属含有量を高めるためにはバッチ処
理の回数を増大すればよい。一方、上述の濃度、pHを有
する塩類溶液を用いてカラム法によりゼオライト素材を
処理する場合には、吸着塔にゼオライト素材を充填し、
これに塩類溶液を通過させれば容易に目的とする金属‐
ゼオライトが得られる。
基準)中に占める金属の量は、銀については好ましくは
20重量%以下であり、特に0.001〜5重量%であ
る。銅及び亜鉛については、金属‐ゼオライト(無水ゼ
オライト基準)中に占める銅又は亜鉛の量は好ましくは
25重量%以下特に0.01〜15重量%である。銀、
銅、亜鉛及び他の金属イオンを併用することも出来る。
この場合、金属イオンの合計量は金属イオンの構成比に
より左右されるが、好ましくは金属‐ゼオライト(無水
ゼオライト基準)に対し25重量%以下、特に0.00
1〜15重量%程度である。
ばナトリウム、カリウム、カルシウムあるいは他の金属
イオンが共存していても殺菌効果をさまたげることはな
いので、これらのイオンの残存又は共存は何らさしつか
えない。
ら分離し、洗浄する。分離は瀘過、デカンテーション等
任意の方法で行うことができる。洗浄処理法は任意であ
り、例えば少量の蒸留水により洗浄しても良い。洗浄後
のゼオライトに任意的に乾燥処理を施しても良い。乾燥
条件は常圧又は減圧下100〜500℃の温度で行うの
が好ましい。特に好ましい乾燥条件は減圧下100〜3
50℃である。乾燥を行わずに、次の工程に移してもよ
い。
(以下では簡単のために抗菌性ゼオライトと言う)は、
次にヒドロキシまたはアルコキシシランの低縮合物によ
り処理される。処理は好ましくは、抗菌性ゼオライトを
水性媒体(好ましくは水)に分散した状態で行われる。
一般の合成ゼオライト(及び従って抗菌性ゼオライト)
の水性分散物は強いアルカリ性を示し、酸を加えても中
和しても数時間又は一日後にはまた強いアルカリ性を示
す。その場合、本発明に従うシランの低縮合物による処
理はpH7未満、好ましくはpH6.5以下で行われるの
で、処理中に酸を加えてpHを維持する必要がある。
る前、後又は同時に、ゼオライトを特開平3−1973
13号、同3−131513号、同3−164423号
及び同3−242317号公報ならびに特願昭2−29
7841号明細書に記載された方法に準じて酸浸漬する
ことが好ましい。これは、基本的には合成ゼオライトを
酸性水性液に浸漬し、浸漬液のpHを約7以下の所定の値
(好ましくは4.5〜7.0、特に5.0〜6.5)に
保つように酸を追加し、もはや酸を追加しなくてもほぼ
一定のpHを少なくとも0.5時間持続するまで浸漬を持
続するものである。つぎに合成ゼオライトを洗浄し、ま
たは洗浄することなく、また乾燥しあるいは乾燥するこ
となく次の工程に用いる。
機酸及び/又は有機酸の水性液である。例えば、塩酸、
硫酸、硝酸、燐酸などの無機酸、及び蟻酸、酢酸、シュ
ウ酸、酒石酸などの有機酸を用いることが出来る。中で
も弱酸、例えば、酢酸、蟻酸、酒石酸、アジピン酸、ホ
ウ酸等が好ましい。更に、緩衝剤を酸水溶液に加えるこ
とが好ましい。緩衝剤は酸水性液に緩衝作用を付与する
ものであれば良く、典型的には種々の弱酸とその塩の組
み合せ、例えば酢酸と酢酸ナトリウム、酢酸カリウムま
たは酢酸アンモニウム、シュウ酸とシュウ酸ナトリウ
ム、シュウ酸カリウムまたはシュウ酸アンモニウム、酒
石酸と酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウムまたは酒石酸
アンモニウム、リン酸とリン酸ナトリウム、リン酸カリ
ウムまたはリン酸アンモニウム等の組み合わせが挙げら
れるが、これらに限定されない。2種類以上の酸及び/
または緩衝剤を混合使用しても良い。
一定の効果が得られるが、効果の程度は小さい。なお、
天然ゼオライトの場合には、これが元々、アルカリ性を
呈さないので、上記の浸漬又は洗浄の効果はあまりな
い。
はアルコキシシランの低縮合物は、好ましくは下記式で
示されるものである。
リール基またはアラルキル基であって、アミノ変性され
ていてもよく;R2はC1〜C5のアルキル基または水素
原子であり;XはC1〜C18のアルキル基、アリール基
又はアラルキル基(これらはアミノ変性されていてもよ
い)、またはC1〜C5のアルコキシ基であり;nは2〜
18の整数を示す)。
にC1 〜C3 のアルキル基又は水素原子、R2 はC1 〜
C5 、特にC1 〜C2 のアルキル基又は水素原子、Xは
C1〜C10、特にC5 〜C8 のアルキル基又はC1 〜C
5 、特にC1 〜C2 のアルコキシ基、nは2〜11、特
に2〜6である。
えば特開平3−191145号、及び同3−40976
号公報に記載されており、たとえば下記が挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキ
シシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブ
トキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピル
トリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、
プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラ
ン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシ
シラン、ブチルトリブトキシシラン、ヘキシルトリメト
キシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルト
リプロポキシシラン、ヘキシルトリブトキシシラン、オ
クチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラ
ン、オクチルトリプロポキシシラン、オクチルトリブト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フ
ェニルトリブトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシ
シラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ステアリル
トリメトキシシラン、ステアリルトリエトキシシランな
どのオルガノトリアルコキシシラン類およびこれの低縮
合物、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシ
シラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブト
キシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエ
トキシシラン、ジエチルジプロポキキシシラン、ジエチ
ルジブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジ
プロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシ
ラン、ジプロピルジブトキシシラン、ジブチルジメトキ
シシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロ
ポキシシラン、ジブチルジブトキシシラン、ジヘキシル
ジメトキシシラン、ジヘキシルジエトキシシラン、ジヘ
キシルジプロポキシシラン、ジヘキシルジブトキシシラ
ン、ジオクチルジメトキシシラン、ジオクチルジエトキ
シシラン、ジオクチルジプロポキシシラン、ジオクチル
ジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフ
ェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラ
ン、ジヘキサデシルジメトキシシラン、ジヘキサデシル
ジエトキシシラン、ジステアリルジメトキシシラン、ジ
ステアリルジエトキシシランなどのジオルガノジアルコ
キシシラン類およびこれの低縮合物、末端シラノールジ
メチルポリシロキサン、末端シラノールジエチルポリシ
ロキサン、末端シラノールジプロピルポリシロキサン、
末端シラノールジブチルポリシロキサン、末端シラノー
ルジヘキシルポリシロキサン、末端シラノールジオクチ
ルポリシロキサン、末端シラノールジフェニルポリシロ
キサンなどの、末端にシラノール基を有するジオルガノ
ポリシロキサン類。
キサンが少なくとも一つのアミノ基を有する。即ち、R
1 及びX(但し、アルコキシ基でないもの)の少なくと
も一つがアミノ変性されていることが好ましい。アミノ
基の種類としては、アミノプロピル基、N‐(β‐アミ
ノエチル)イミノプロピル基、アミノフェノキシメチル
基などの公知の基が挙げられる。また、これらのアミノ
基を二級、三級又は四級アンモニウム塩としたものも、
本発明で好ましい。アミノプロピル基及びその有機酸
(たとえば酢酸)との塩が、特に好ましい。R1 又はX
のうちの一部(たとえば1〜40%)がアミノ変性され
ている混合物であってもよい。アミノ変性されている
と、シランまたはシロキサンは水に容易に乳化されう
る。乳化を容易にするために、乳化剤を用いてもよい。
また、少なくとも一部がアミノ変性されたシラン、特に
シロキサンを用いた場合に、本発明による効果が特に顕
著である。
化膜(酸性条件下、120℃で6時間)が耐熱性であ
り、かつ比較的柔軟であるものが好ましい。すなわち、
硬化膜を、250℃、2時間ホールドするTG‐DTA
曲線において、TGの減量率が15重量%以下であり、
DTA曲線において顕著な発熱又は吸熱ピークを示さ
ず、かつその鉛筆硬度が2Bより柔らかいことが好まし
い。
1100、アクアシール 1100N、アクアシール
1100W及びアクアシール 295S(いずれも住友
精化株式会社)として知られるアルキルアルコキシシロ
キサンオリゴマーがあり、前三者はアミノ変性されたも
のとの混合物である。
3であり、アミノ変性されていないシロキサン(上記ア
クアシール 295Sに対応)は、上記のTG‐DTA
曲線において、約20%の減量及び発熱を示し、鉛筆硬
度が7Hである。これを用いて本発明に従い処理された
抗菌性ゼオライトは、未処理のものに比べて、有機ポリ
マーに混練されたとき変色作用が相当に少ないが、本発
明中で最良の結果を与えるものではない。一方、前記化
学式においてR1 及びR2 が水素原子、メチルまたはエ
チル基であり、Xがプロピルアミノ基酢酸塩を含む全炭
素数3〜8の基であり、n=3のアミノ変性シロキサン
約10〜30重量%を上記アミノ未変性シロキサンに混
合したもの(アクアシール 1100、1100W及び
1100Nに対応し、これらはアミノ変性の程度、乳化
剤の有無、アルコキシ基の鎖長などが異なる)は、その
硬化膜がTG‐DTA曲線において、顕著な減量、発熱
又は吸熱を示さず、鉛筆硬度が5〜6Bであり、これを
用いて処理した抗菌性ゼオライトを有機ポリマーに混練
したとき最良の結果を与える。
シラン又はシロキサンで処理する好ましい態様では、水
性媒体(好ましくは水)に抗菌性ゼオライトを分散さ
せ、撹拌下にシラン又はシロキサンを添加してゆく。上
記したアミノ基を有するシラン又はシロキサンは、水に
容易に乳化される。シラン又はシロキサンが水に容易に
溶解又は乳化されない場合には、水と水混和性有機溶剤
(たとえばメタノール、エタノール、イソプロピルアル
コール、ノルマルプロピルアルコールなどのアルコー
ル;エチレングリコール低級アルキルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;ア
セトン、メチルエチルケトンなどのケトン)との混合媒
体を用いることができる。水の量は極少しでもかまわな
い。水をより多く用いた方が、発明の効果が顕著であ
る。シラン又はシロキサンの好ましい量は、抗菌性ゼオ
ライトに対して0.5〜30重量%、より好ましくは1
〜20重量%、特に3〜10重量%である。水性媒体の
量は、抗菌性ゼオライトを分散させるに足りる量であ
り、たとえば抗菌性ゼオライト重量の2倍以上、特に3
倍以上である。
イトの処理は、pH7未満、好ましくはpH4.5〜6.
5、特にpH5.0〜6で、常温又は高められた温度、好
ましくは30〜90℃、特に50〜80℃で、10分間
以上、好ましくは0.5〜40時間、特に1〜24時間
行われる。
カリの存在下で加水分解を受け、縮合反応を繰返して高
分子量のシロキサンポリマーになることが知られてい
る。ところが、抗菌性ゼオライトのシラン又はシロキサ
ンによる処理をpH7未満で行って得た物の方が、アルカ
リ条件下で得た物に比べ、有機ポリマーに配合した場合
の熱又は光による変色が著しく少ないことが見い出され
た。これは、酸性の場合の方がポリシロキサンの膜がゼ
オライトに密着して生じ、有機ポリマーとの混練の際に
剥離しずらいためであると考えられる。従って、前記の
ように予め酸水溶液で浸漬して、ゼオライト自体から滲
出してくるアルカリ成分を除去しておくことが好ましい
ことが理解される。pH調節のためには、公知の任意の
酸、たとえば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの
無機酸及び蟻酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、アジピン酸
などを用いることができる。また更に、緩衝剤或は各種
乳化剤、界面活性剤などが含まれていても良い。なお、
前記したように抗菌性ゼオライト自体のアルカリ性を除
去するために酸水溶液で浸漬した場合、次にpHが7未満
である浸漬液からゼオライトを分離せずにシラン又はシ
ロキサンを添加してゆくことによって本発明の処理を行
うこともできる。上記のシラン又はシロキサンによる処
理の後、通常、抗菌性ゼオライトを液から分離し、洗
浄、乾燥する。分離は瀘過、デカンテーション等任意の
方法で行うことができる。洗浄処理は任意であり、例え
ば抗菌性ゼオライトを撹拌下で蒸留水中に分散させて洗
浄しても良く、瀘過装置上から蒸留水を注加して洗浄し
ても良い。乾燥処理は常圧又は減圧下100〜500℃
の温度で行うのが好ましい。特に好ましい乾燥条件は減
圧下100〜350℃である。
された抗菌性ゼオライトは、該処理を施されなかった抗
菌性ゼオライトと同等の抗菌性を示す。処理により抗菌
性ゼオライト表面にポリシロキサンの膜が生じている
が、抗菌性は阻害されない。特公平3−80814号公
報記載のように既製のポリシロキサンを溶媒に溶解し、
これを抗菌性ゼオライトに含浸させた場合には、多孔性
ゼオライトの比較的外側の表面にポリシロキサンが単に
沈着してコーティングすると考えられる。しかし、本発
明に従い分子量の低いシラン又はその低縮合物シロキサ
ンを用い水性媒体中で、抗菌性ゼオライト(親水性であ
る)を処理すると、低分子量のシラン又はシロキサンは
浸透性が良いので多孔性ゼオライトのマクロポアに浸透
し、従って凹凸表面に忠実に沿ってポリシロキサン膜が
形成されて完全にゼオライトを被覆して有機ポリマー変
色を防止し、また従って該被覆は、単なる沈着による表
面コートに比べて、有機ポリマーとの混練により剥離し
ないのであると考えられる。
来の抗菌性ゼオライトと同じ分野で用いられることがで
き、特に任意の低分子量又は高分子量有機ポリマーに配
合されて、抗菌性を発揮すると共に、有機ポリマー配合
物を変色させない。有機ポリマーとしては、たとえばポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリエステルエラストマー、ポリビニルアルコー
ル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ABS樹脂、
アクリル樹脂、弗素樹脂、ポリウレタンなどの熱可塑性
合成高分子、フェノール樹脂、ユリヤ樹脂、メラミン樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン
樹脂などの熱硬化性合成高分子、レーヨン、キュプラ、
アセテート、トリアセテートなどの再生または半合成高
分子などが例示される。また、製紙などにおいて紙原料
に配合することができる。特に、残留触媒、反応性末端
基を有するポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオ
レフィンの場合、従来の抗菌性ゼオライト、特に銀担持
ゼオライトを配合すると、加工時の熱又は使用時の日光
などの紫外線によって経時的に変色しやすかったとこ
ろ、本発明に従い処理された抗菌性ゼオライトを用いる
と、変色が顕著に抑制される。
自体も白色度が高く、かつ合成高分子樹脂に良好に分散
されるので、食品、医療及び環境分野で、たとえば繊
維、フィルムその他の成形物品の形で用いるのに適して
いる。また、該抗菌性ゼオライト自体が安定であるの
で、塗装剤、接着剤などを包含する幅広い分野のポリマ
ー体に適用できる。なお、他の抗菌剤、特に有機系抗菌
剤と併用することもできる。
する。
業株式会社)を用いて測定したハンター白度である。ゼ
オライト自体について測定する場合には、内径40mmの
プラスチック製リングに各ゼオライトを充填し、プレス
装置で10トンの圧力をかけて固めることにより測定試
料を作った。
a coli)、緑膿菌(Pseudomonas a
eruginosa)、又はクロカビ(Aspergi
llus niger)に対する各ゼオライトの最小阻
止濃度(MIC)を測定して評価した。
交換水1.0リットル中に分散させ、1時間煮沸処理し
た後、充分に洗浄及び瀘過を行った。このA型ゼオライ
トを出発原料とした。
のA型ゼオライトを入れ、イオン交換水に分散させて
1.0リットルのスラリーとし、撹拌速度500rpm で
撹拌を継続した(当初pH11)。次いで、10%硝酸水
溶液を徐々に添加して、ゼオライトスラリーのpHを5.
5に調整した。30分間撹拌後、硝酸銀(AgNO3 )
12.0g、硝酸亜鉛(Zn(NO3 )2 ・6H2 O)
70.0gをイオン交換水0.5リットルに溶解させた
液を30分間かけて徐々に添加し、次に温度を65℃に
昇温して更に5時間撹拌を行って抗菌性イオンのイオン
交換反応を終えた。続いて、ブッフナー瀘過装置を用い
て固液分離しイオン交換水で洗浄した後、130℃で4
時間乾燥し、固りを砕いた。白色度の高い抗菌性ゼオラ
イトを得た。
交換水400gに分散し、500rpm で撹拌した。10
分間後のpHは9.8であった。この時の温度30℃を保
ちながら、このゼオライトスラリー中に10%硝酸水溶
液を徐々に添加してpHを5.3±0.2に調整し続け
た。そして酸を加えなくともpHがこの領域に留まること
を1時間確認してから、この酸処理を終了した。
処理 次にこの抗菌性ゼオライト酸処理液中に、アミノ変性ア
ルキルアルコキシシラン低縮合物(商標アクアシール
1100N、住友精化株式会社)9gをイオン交換水で
希釈したエマルジョン50g(アクアシール 1100
Nが界面活性剤と酢酸約3%を含むのでpH約5.5)を
10分間かけて徐々に添加し、温度65℃に昇温し、5
00rpm の撹拌を更に2時間続けた。この間、pHは
5.3〜5.5であった。次にブッフナー瀘過装置を用
いて固液分離し、イオン交換水で洗浄した後、130℃
で4時間乾燥し、固りを砕いた。
較例1)、及びシロキサン処理後に得た抗菌性ゼオライ
ト製品(実施例1)の白色度及び抗菌性を下記に示す。
だけの抗菌性ゼオライトに比べて、白色度、抗菌性共に
同等である。
系合成樹脂へ配合した。ポリオレフィン系樹脂の代表例
としてポリエチレンチップ(LDPE−67P:三井石
油化学株式会社)及びポリプロピレンチップ(KJ−2
09:エースポリマー株式会社)を使用した。抗菌性ゼ
オライト及びポリオレフィン系樹脂は、いずれも105
℃で2時間予備乾燥を行った上で使用した。又、抗菌性
ゼオライトの樹脂への配合量は2.0重量%とした。
型、東芝機械株式会社)を用い、200℃の射出温度
で、50mm×90mm×5mmのプレートを作った。
ライトを用いて同様にしてプレートを作った。また、い
ずれの抗菌性ゼオライトも用いずに、ポリオレフィンの
みを射出成形してプレートを作った(ブランク)。得た
各プレートの白色度を測定した結果を下に示す。
しているのに対し、実施例ではブランクよりもむしろ白
色度が改善されている。このことは、ポリプロピレンに
おいて特に顕著である。
室内窓ぎわに3カ月間置き、観察を続けた。本発明のプ
レートの白色度はほとんど変わらず、成型初期の白色度
を維持していた。一方、比較例のプレートのいずれも次
第に白色度が低下して茶褐色に変色し、ほぼ1カ月後に
は相当着色が目立つ状態となり、その後は変らなかっ
た。
オライトを液から分離し、該液と同量のイオン交換水に
分散させ、以後同様にシラン低縮合物(アクアシール
1100N)による処理を行った。なお、アクアシール
1100Nに含まれる酸の故に、処理系のpHは5.5
〜6.0であった。処理した抗菌性ゼオライトを、以下
同様にしてポリエチレン及びポリプロピレンと配合して
プレートを作った。いずれも、ブランクよりも向上され
た白色度を示した。
乾燥せずに、そのまま酸水性液による浸漬に付し、以下
同様に行った場合にも、上記実施例1と同等の結果にな
った。
02 B(商標、鐘紡株式会社、ゼオライトに対して
3.5重量%の銀イオン及び6.0重量%の亜鉛イオン
がイオン交換によって担持されたA型ゼオライト、平均
粒子径約2μ)を使用した。
水400mlに分散させ、約3000rpm に調節されたホ
モミキサーにて高速分散させた(pH9.7)。続いて、
0.5N硝酸水溶液を徐々に添加して、スラリーのpHを
6.0±0.2に調整した。次いでミキサーの回転数を
約500rpm に落としもはや酸を添加しなくてもこのpH
領域に2時間留まることを確認してから、この酸水性液
浸漬処理を終了した。
処理 次にこの浸漬処理液を分離することなくこの中に、アミ
ノ変性アルキルアルコキシシラン低縮合物(商標アクア
シール 1100、住友精化株式会社)12gをイオン
交換水で希釈したエマルジョン(pH約5.0)100ml
を30分間かけて徐々に添加し、室温、500rpm で2
0時間撹拌した。この間、pHは5.9〜6.4であっ
た。次に、ブッフナー瀘過装置を用いて固液分離し、イ
オン交換水で洗浄し、130℃で4時間乾燥し、固りを
砕いた(実施例2−1)。
イトを分離した上で、同量の水にこのゼオライトを再分
散させ、以後同様に処理した(実施例2−2)。
は、いずれも、出発のバクテキラーBM−102 Bと
同等の高い白色度並びに抗菌性を有していた。
及び2−2)、出発のバクテキラーBM−102 B
を、実施例1と同様にしてポリオレフィンに配合し、プ
レートを作った(比較例2)。但し、ここでは各抗菌性
ゼオライトの配合量を1重量%とした。また、いかなる
ゼオライトも含まないブランクのプレートを作った。
ち、JIS L−0842に定められた方法を参考とし
て、フェードメーターにてカーボンアーク灯光照射に各
プレートを200時間曝露した。各プレートについて測
色し、ブランクを対照に色差(ΔE、NBS単位)を求
めた。結果を表3に示す。
内窓際に約1カ月間置き続けたが、変色は見られなかっ
た。
ターチップを作った。すなわち、ポリエチレン及びポリ
プロピレンに、実施例2の様に処理した抗菌性ゼオライ
トを配合量10.0重量%の量で配合し、二軸エクスト
ルーダーで200℃でマスターチップを作った。
又はポリプロピレンを用いて、抗菌性ゼオライトの配合
量1.0重量%のプレートを実施例1と同様にして作っ
た。比較例では、実施例2に於いてバクテキラーBM−
102 Bを酸水溶液による浸漬処理に付さずに、直
接、アクアシール 1100による処理に付した。この
際、処理中のpHは当初約9.5であり、1時間後にも
9.5であった。この抗菌性ゼオライトを用いて上記と
同様にマスターチップを作った。
ていなかった。プレートは、比較例のうちポリプロピレ
ンのプレートが作成後に少し着色しており、他三種には
着色は認められなかった。プレートの耐光性試験におい
ては、比較例の二種共に着色し、特にポリプロピレンの
プレートの着色が著しかった。実施例の二種では着色は
認められなかった。
合成ゼオライトは、水と接触すると強いアルカリ性を示
し、この状態で本発明に従うシラン又はシラン低縮合物
による処理をしても、着色防止の効果がないことが上記
より判る。
ドロジェンポリシロキサン(KF99、信越化学工業株
式会社)又はメチルフェニルシリコーンオイル(KF5
4、同上)を用いて、実施例2の手順を繰返した。但
し、該シロキサンは液体であり、予め希釈せずに、その
まま添加した。
かに茶色味を帯びた黄色であった。これを、実施例2と
同様にポリプロピレンに配合してプレートを作成したと
ころ、いずれも濃い褐色を示した。
トを有機ポリマーに配合して成形品を作ると、成形品の
不都合な着色が極めて少ない。該処理による抗菌性の低
下はない。
Claims (5)
- 【請求項1】 抗菌性金属を担持するゼオライトの変色
作用を抑制する方法において、水性媒体に上記ゼオライ
トを分散し、かつ該ゼオライトに対して0.5〜30重
量%のヒドロキシまたはアルコキシシランの低縮合物を
添加し、該水性媒体のpHを7未満に保持して、上記シ
ランの低縮合物により上記ゼオライトを処理する方法。 - 【請求項2】 ヒドロキシまたはアルコキシシランの低
縮合物が、アミノ基(又はその塩)を有するものである
請求項1の方法。 - 【請求項3】 抗菌性金属を担持するゼオライトが、酸
水性液で予め浸漬され又は洗浄されたものである請求項
1又は2記載の方法。 - 【請求項4】 ヒドロキシまたはアルコキシシランの低
縮合物が、下記式で示されるものである請求項1〜3の
いずれか一つに記載の方法 【化1】 (ここで、R1は水素原子、C1〜C18のアルキル基、ア
リール基またはアラルキル基であって、アミノ変性され
ていてもよく;R2はC1〜C5のアルキル基または水素
原子であり;XはC1〜C18のアルキル基、アリール基
又はアラルキル基(これらはアミノ変性されていてもよ
い)、またはC1〜C5のアルコキシ基であり;nは2〜
18の整数を示す)。 - 【請求項5】 R1及びXの少なくとも一つの少なくと
も一部がアミノ変性されており、nが2〜10である請
求項4の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05311993A JP3347174B2 (ja) | 1993-02-19 | 1993-02-19 | 変色作用の少ない抗菌性ゼオライトの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05311993A JP3347174B2 (ja) | 1993-02-19 | 1993-02-19 | 変色作用の少ない抗菌性ゼオライトの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH06247816A JPH06247816A (ja) | 1994-09-06 |
JP3347174B2 true JP3347174B2 (ja) | 2002-11-20 |
Family
ID=12933920
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05311993A Expired - Lifetime JP3347174B2 (ja) | 1993-02-19 | 1993-02-19 | 変色作用の少ない抗菌性ゼオライトの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3347174B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2889836B2 (ja) * | 1995-03-16 | 1999-05-10 | 鐘紡株式会社 | 変色作用の少ない抗菌性ゼオライト及びその製造法 |
AU2001232295A1 (en) * | 2000-02-21 | 2001-08-27 | Daikin Industries Ltd. | Resin composition for preventing attachment of aquatic organism or physiologicalsubstance |
JP5720508B2 (ja) * | 2011-09-15 | 2015-05-20 | 三菱化学株式会社 | シリル化されたcha型構造を有するh型ゼオライトの製造方法 |
-
1993
- 1993-02-19 JP JP05311993A patent/JP3347174B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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