JP3346888B2 - オーステナイトステンレス鋼用ガスメタルアーク溶接ワイヤ - Google Patents
オーステナイトステンレス鋼用ガスメタルアーク溶接ワイヤInfo
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- JP3346888B2 JP3346888B2 JP11342594A JP11342594A JP3346888B2 JP 3346888 B2 JP3346888 B2 JP 3346888B2 JP 11342594 A JP11342594 A JP 11342594A JP 11342594 A JP11342594 A JP 11342594A JP 3346888 B2 JP3346888 B2 JP 3346888B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オーステナイトステン
レス鋼のガスシールドアーク溶接において酸素含有量の
少ないシールドガスを使用しても溶接作業性が良好なガ
スメタルアーク溶接ワイヤに関するものである。
レス鋼のガスシールドアーク溶接において酸素含有量の
少ないシールドガスを使用しても溶接作業性が良好なガ
スメタルアーク溶接ワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼のガスメタルアーク溶接に
は、そのシールドガスとしてアークの安定性を確保する
理由から、Arガスに1〜5%の酸素を添加したガスを
使用している。実際の使用状況として5%添加では、溶
接ビード上の酸化スケールの発生が著しく、多層盛り溶
接では、グラインダなどで酸化スケールを削除しながら
溶接しなければならず作業効率が著しく低下する。さら
に、酸素はブローホールを発生させ溶接欠陥の原因とな
る。
は、そのシールドガスとしてアークの安定性を確保する
理由から、Arガスに1〜5%の酸素を添加したガスを
使用している。実際の使用状況として5%添加では、溶
接ビード上の酸化スケールの発生が著しく、多層盛り溶
接では、グラインダなどで酸化スケールを削除しながら
溶接しなければならず作業効率が著しく低下する。さら
に、酸素はブローホールを発生させ溶接欠陥の原因とな
る。
【0003】また1%程度の酸素ではアークを安定させ
るのは難しく、スパッタを発生しやすくするので、2%
程度を含有したものを使用する場合が多かった。しか
し、この2%酸素含有Arガスも5%と同様な溶接ビー
ド上の酸化スケールの発生、ブローホールの発生などの
問題があった。現在の状況をまとめると、高品質ガスシ
ールドアーク溶接をおこなうには酸素含有量が少ない方
が良く、アーク安定性を確保するには酸素含有量が多い
方が良いということになる。
るのは難しく、スパッタを発生しやすくするので、2%
程度を含有したものを使用する場合が多かった。しか
し、この2%酸素含有Arガスも5%と同様な溶接ビー
ド上の酸化スケールの発生、ブローホールの発生などの
問題があった。現在の状況をまとめると、高品質ガスシ
ールドアーク溶接をおこなうには酸素含有量が少ない方
が良く、アーク安定性を確保するには酸素含有量が多い
方が良いということになる。
【0004】しかしながら、酸素含有量が多いシールド
ガスを使用してもアーク安定性が劣るワイヤもあり、単
に酸素含有量だけがアーク安定性を決める要素ではな
い。現在では、同一条件で溶接を行った時にほぼ同様な
主要成分のワイヤ間でアーク安定性に差が出る理由とし
て、ワイヤの微量成分、特にAlの添加量が多いほどア
ーク安定性が悪化することが公知である。つまり、溶接
材料メーカー各社のステンレス鋼用溶接ワイヤの特許出
願の中で、Alの添加量を規制することで、アーク安定
性が向上することが記載されている。Alはワイヤの素
材を溶解して作るときに脱酸剤として使用するため、量
の差はあれどのようなワイヤでも含まれる。
ガスを使用してもアーク安定性が劣るワイヤもあり、単
に酸素含有量だけがアーク安定性を決める要素ではな
い。現在では、同一条件で溶接を行った時にほぼ同様な
主要成分のワイヤ間でアーク安定性に差が出る理由とし
て、ワイヤの微量成分、特にAlの添加量が多いほどア
ーク安定性が悪化することが公知である。つまり、溶接
材料メーカー各社のステンレス鋼用溶接ワイヤの特許出
願の中で、Alの添加量を規制することで、アーク安定
性が向上することが記載されている。Alはワイヤの素
材を溶解して作るときに脱酸剤として使用するため、量
の差はあれどのようなワイヤでも含まれる。
【0005】Al添加量の変化はアーク安定性、特に溶
滴の移行特性に大きな影響を及ぼす。図1は溶接ワイヤ
先端の溶滴移行状態を示す図で、Alの添加量が多くア
ーク安定性が劣るワイヤの場合である。図1のように溶
滴2が涙滴状になり、母材側のプール4に対して途切れ
途切れに移行することになり、溶滴が移行した時、その
勢いでスパッタを発生させる。この時の溶接ビードは、
蛇行が見られ均一性が失われる。なお図中1は溶接ワイ
ヤ、3はアークである。
滴の移行特性に大きな影響を及ぼす。図1は溶接ワイヤ
先端の溶滴移行状態を示す図で、Alの添加量が多くア
ーク安定性が劣るワイヤの場合である。図1のように溶
滴2が涙滴状になり、母材側のプール4に対して途切れ
途切れに移行することになり、溶滴が移行した時、その
勢いでスパッタを発生させる。この時の溶接ビードは、
蛇行が見られ均一性が失われる。なお図中1は溶接ワイ
ヤ、3はアークである。
【0006】図2は図1と同様の図であるが、Alの添
加量が少なくアーク安定性が良好なワイヤの場合であ
る。溶滴5は涙滴状にはならず、溶けるそばから母材の
プール4に流れ落ち安定した移行を行う。連続した移行
であるので、スパッタの発生は無く、溶接ビードは安定
する。
加量が少なくアーク安定性が良好なワイヤの場合であ
る。溶滴5は涙滴状にはならず、溶けるそばから母材の
プール4に流れ落ち安定した移行を行う。連続した移行
であるので、スパッタの発生は無く、溶接ビードは安定
する。
【0007】これら違いが生じる理由を以下に述べる。
ステンレス鋼の場合、安定なCr酸化被膜が材料表面に
形成され、これが保護被膜の役割をはたし、高い耐腐食
性を発揮している。溶接時においてこのCr酸化被膜
は、酸素を含有したシールドガスによって、アークによ
って溶かされた溶融ワイヤ最表面にすでに発生してお
り、溶融ワイヤの表面に表面張力を発生させる。しか
し、溶融ワイヤの表面を覆うように完全に形成されてい
ないので涙滴状にはならず流動性は確保される。しかし
Alの微量添加により保護皮膜はさらに短時間で強固な
皮膜を形成させる。このため、溶滴の表面の表面張力は
増大するため、涙滴状になりやすくなる。Alの添加量
が多いほどこの傾向は強い。
ステンレス鋼の場合、安定なCr酸化被膜が材料表面に
形成され、これが保護被膜の役割をはたし、高い耐腐食
性を発揮している。溶接時においてこのCr酸化被膜
は、酸素を含有したシールドガスによって、アークによ
って溶かされた溶融ワイヤ最表面にすでに発生してお
り、溶融ワイヤの表面に表面張力を発生させる。しか
し、溶融ワイヤの表面を覆うように完全に形成されてい
ないので涙滴状にはならず流動性は確保される。しかし
Alの微量添加により保護皮膜はさらに短時間で強固な
皮膜を形成させる。このため、溶滴の表面の表面張力は
増大するため、涙滴状になりやすくなる。Alの添加量
が多いほどこの傾向は強い。
【0008】このような違いは薄板(板厚2mm以下)
の溶接で使用する、短絡移行域での溶接で大きな影響を
およぼす。薄板の場合、高電流で溶接すると板が溶け落
ちてしまうため、電流を下げ(少なくとも150A以
下)、さらに電圧を下げてアーク長を短くし、溶滴を細
かいピッチで母材に付けながら短絡移行溶接をおこな
う。この時、溶滴表面にCrの酸化被膜が形成されると
酸化被膜による電気伝導性の悪化により、アークが発生
しにくくなりアーク状態を不安定にし、溶滴先端(アー
クが発生していなければワイヤ先端)が母材と接触した
ときにスパークを発生しこの時大粒のスパッタを発生す
る。短絡移行の場合、この状態は特に深刻で、溶滴を主
とした溶融部分が瞬時に吹き飛んでしまうために、アー
クが途切れてしまう場合がある。
の溶接で使用する、短絡移行域での溶接で大きな影響を
およぼす。薄板の場合、高電流で溶接すると板が溶け落
ちてしまうため、電流を下げ(少なくとも150A以
下)、さらに電圧を下げてアーク長を短くし、溶滴を細
かいピッチで母材に付けながら短絡移行溶接をおこな
う。この時、溶滴表面にCrの酸化被膜が形成されると
酸化被膜による電気伝導性の悪化により、アークが発生
しにくくなりアーク状態を不安定にし、溶滴先端(アー
クが発生していなければワイヤ先端)が母材と接触した
ときにスパークを発生しこの時大粒のスパッタを発生す
る。短絡移行の場合、この状態は特に深刻で、溶滴を主
とした溶融部分が瞬時に吹き飛んでしまうために、アー
クが途切れてしまう場合がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
事情に鑑み、2%以下の低酸素量含有Arガスによる溶
接時のアーク安定性を改善し、酸化スケールやブローホ
ール、スパッタの発生を抑えることを目的とする。
事情に鑑み、2%以下の低酸素量含有Arガスによる溶
接時のアーク安定性を改善し、酸化スケールやブローホ
ール、スパッタの発生を抑えることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、重量%で、C:0.015〜0.1
5%、Si:0.2〜1.0%、、Mn:1.0〜3.
0%、S:0.004〜0.015%、Al:0.00
2〜0.01%、Cr:11〜32%、Ni:3.0〜
22.5%、Mo:0.001〜4%、Li:0.00
1〜0.01%、必要に応じ、Ti:0.01〜0.1
%を含有し、O:0.01%以下、Ca:0.005%
以下、Mg:0.005%以下に規制し、残部がFeお
よび不可避的不純物からなることを特徴とするオーステ
ナイトステンレス鋼用ガスメタルアーク溶接ワイヤであ
る。
するものであって、重量%で、C:0.015〜0.1
5%、Si:0.2〜1.0%、、Mn:1.0〜3.
0%、S:0.004〜0.015%、Al:0.00
2〜0.01%、Cr:11〜32%、Ni:3.0〜
22.5%、Mo:0.001〜4%、Li:0.00
1〜0.01%、必要に応じ、Ti:0.01〜0.1
%を含有し、O:0.01%以下、Ca:0.005%
以下、Mg:0.005%以下に規制し、残部がFeお
よび不可避的不純物からなることを特徴とするオーステ
ナイトステンレス鋼用ガスメタルアーク溶接ワイヤであ
る。
【0011】
【作用】本発明は、Alを規制しLiを添加することで
表面張力と電気伝導度を制御し溶滴の流動性を向上させ
ることを特徴とする。すなわちLi元素を添加すること
で、ワイヤ溶融時に溶滴に生ずるCr酸化被膜の発生速
度を制御し、溶滴の流動性を確保し、優れた作業性を実
現した。
表面張力と電気伝導度を制御し溶滴の流動性を向上させ
ることを特徴とする。すなわちLi元素を添加すること
で、ワイヤ溶融時に溶滴に生ずるCr酸化被膜の発生速
度を制御し、溶滴の流動性を確保し、優れた作業性を実
現した。
【0012】ワイヤが溶かされ溶滴になると、はじめに
初期酸化が起こる。これは、溶滴最表面に発生するごく
薄い酸化膜で外気と溶滴内部を遮断する。この時、表面
張力は溶滴の移行状態を左右するほど発生してはいな
い。これ以後の酸化は、イオンの形で侵入する酸素によ
って行われる。したがって、酸素分圧は低くなり、この
後は低い酸素分圧で酸化する元素が優位的に酸化され
る。主要成分のなかではCrが選択的に酸化される。こ
こにLiが添加されると、Crより低い酸素分圧で酸化
するため微量添加であっても酸素との結合力が大きい。
初期酸化が起こる。これは、溶滴最表面に発生するごく
薄い酸化膜で外気と溶滴内部を遮断する。この時、表面
張力は溶滴の移行状態を左右するほど発生してはいな
い。これ以後の酸化は、イオンの形で侵入する酸素によ
って行われる。したがって、酸素分圧は低くなり、この
後は低い酸素分圧で酸化する元素が優位的に酸化され
る。主要成分のなかではCrが選択的に酸化される。こ
こにLiが添加されると、Crより低い酸素分圧で酸化
するため微量添加であっても酸素との結合力が大きい。
【0013】図3は、Cr2 O3 の酸化被膜を模式的に
示した図である。また、図4はLiが添加された場合の
Cr2 O3 の酸化被膜を模式的に示した図である。Li
無添加の場合、図3のような密で電気的バランスのとれ
たCr2 O3 が発生し強固な酸化被膜を形成しこれ以上
の酸化は止まる。これに対しLiが添加されるとLiが
Cr2 O3 に固溶した形で酸化被膜を形成するため電気
的バランスが崩れ、密な酸化被膜の形成は遅れる。Cr
の酸化速度は減じられ、また溶滴全体を被膜が覆うよう
な完全な形成は遅れる。この結果、溶滴の流動性は確保
され、またCr酸化被膜形成による電気伝導度の悪化か
ら逃れることができる。
示した図である。また、図4はLiが添加された場合の
Cr2 O3 の酸化被膜を模式的に示した図である。Li
無添加の場合、図3のような密で電気的バランスのとれ
たCr2 O3 が発生し強固な酸化被膜を形成しこれ以上
の酸化は止まる。これに対しLiが添加されるとLiが
Cr2 O3 に固溶した形で酸化被膜を形成するため電気
的バランスが崩れ、密な酸化被膜の形成は遅れる。Cr
の酸化速度は減じられ、また溶滴全体を被膜が覆うよう
な完全な形成は遅れる。この結果、溶滴の流動性は確保
され、またCr酸化被膜形成による電気伝導度の悪化か
ら逃れることができる。
【0014】以上のような効果は、さらに酸素分圧の低
い、したがってシールドガス内の酸素含有量が少ない場
合には、強調されることになる。酸素含有量が少ないシ
ールドガスを使用することができれば、金属光沢のある
ブローホールの少ない溶接が可能になる。以下に本発明
ワイヤの各成分の作用を示す。
い、したがってシールドガス内の酸素含有量が少ない場
合には、強調されることになる。酸素含有量が少ないシ
ールドガスを使用することができれば、金属光沢のある
ブローホールの少ない溶接が可能になる。以下に本発明
ワイヤの各成分の作用を示す。
【0015】C:Cは強度を高めるために0.015%
以上添加するが、添加しすぎると炭化物を発生させ靱性
を低下させる。よって0.15%以下とする。
以上添加するが、添加しすぎると炭化物を発生させ靱性
を低下させる。よって0.15%以下とする。
【0016】Si:溶滴の表面張力を抑える効果がある
ので0.2%以上添加するが、溶接金属の強度低下を招
きやすく1.0%以下とする。
ので0.2%以上添加するが、溶接金属の強度低下を招
きやすく1.0%以下とする。
【0017】Mn:脱酸、脱硫剤として1.0%以上添
加するが、多すぎると耐食性、耐酸化性が劣化するので
3.0%以下とする。
加するが、多すぎると耐食性、耐酸化性が劣化するので
3.0%以下とする。
【0018】S:溶滴の表面張力を下げる効果がある
が、0.004%未満ではその効果が小さく、また0.
015%超では粒界などに硫化物を生成する可能性があ
るので、0.004%〜0.015%とする。
が、0.004%未満ではその効果が小さく、また0.
015%超では粒界などに硫化物を生成する可能性があ
るので、0.004%〜0.015%とする。
【0019】Al:脱酸剤として添加されるが溶滴の移
行特性に最も影響が大きく、脱酸剤として最低量の0.
002%程度でも溶滴の酸化被膜を強化して玉状の溶滴
にする。過剰な添加は溶滴移行を害するので0.01%
以下とする。
行特性に最も影響が大きく、脱酸剤として最低量の0.
002%程度でも溶滴の酸化被膜を強化して玉状の溶滴
にする。過剰な添加は溶滴移行を害するので0.01%
以下とする。
【0020】Cr:ステンレス鋼の必須成分で、不動態
皮膜を形成し、耐酸化性、耐食性を向上させるが、11
%未満では、その特性が十分に保持できず、32%を超
えるとシグマ相の晶出が起こりやすく、ワイヤ製造工程
において加工性が劣化するので、11%〜32%とす
る。
皮膜を形成し、耐酸化性、耐食性を向上させるが、11
%未満では、その特性が十分に保持できず、32%を超
えるとシグマ相の晶出が起こりやすく、ワイヤ製造工程
において加工性が劣化するので、11%〜32%とす
る。
【0021】Ni:オーステナイト生成元素でオーステ
ナイトを安定化させ、耐食性、靱性を向上させるため
3.0%以上添加するが、加工性が劣化するので、2
2.5%以下とする。
ナイトを安定化させ、耐食性、靱性を向上させるため
3.0%以上添加するが、加工性が劣化するので、2
2.5%以下とする。
【0022】Mo:組織を強化し、耐食性およびクリー
プ強度を向上させるため0.001%以上添加するが、
4%を超えるとシグマ相の生成を助長させ、延性が低下
し、ワイヤ製造工程において加工性が劣化するので、4
%以下とする。
プ強度を向上させるため0.001%以上添加するが、
4%を超えるとシグマ相の生成を助長させ、延性が低下
し、ワイヤ製造工程において加工性が劣化するので、4
%以下とする。
【0023】Li:LiはCrの酸化被膜の間に入り、
酸化速度を減少させるため酸化被膜による溶滴移行の阻
害が抑えられ、またCrの酸化被膜を未完成とすること
により電気伝導性が向上する。しかし、添加量が多すぎ
るとCr酸化被膜による耐食性を劣化させるため添加量
に限界があり0.001〜0.01%とする。
酸化速度を減少させるため酸化被膜による溶滴移行の阻
害が抑えられ、またCrの酸化被膜を未完成とすること
により電気伝導性が向上する。しかし、添加量が多すぎ
るとCr酸化被膜による耐食性を劣化させるため添加量
に限界があり0.001〜0.01%とする。
【0024】O:Oは介在物の生成や粒界に酸化物を発
生させ粒界を弱くするため0.01%以下とする。
生させ粒界を弱くするため0.01%以下とする。
【0025】Ca、Mg:Ca、Mgは強酸化性であ
り、溶滴の最も早い時点で酸化してスラグとなり溶滴に
おける電気伝導性を不安定にするため、できる限り少な
い方がよい。よってそれぞれ0.005%以下とする。
り、溶滴の最も早い時点で酸化してスラグとなり溶滴に
おける電気伝導性を不安定にするため、できる限り少な
い方がよい。よってそれぞれ0.005%以下とする。
【0026】Ti:必要に応じて添加する元素である。
TiO2 は半導体酸化物としてよく知られているが、こ
れは酸化したときに電気伝導性が良いことを示す。ゆえ
にTiは0.01%以上添加すればこの効果が得られ、
アーク安定性、スパッタ発生、ビード外観共に改善され
る。しかしあまりに多いと溶接金属の組織に影響がでる
ため0.1%以下とする。
TiO2 は半導体酸化物としてよく知られているが、こ
れは酸化したときに電気伝導性が良いことを示す。ゆえ
にTiは0.01%以上添加すればこの効果が得られ、
アーク安定性、スパッタ発生、ビード外観共に改善され
る。しかしあまりに多いと溶接金属の組織に影響がでる
ため0.1%以下とする。
【0027】
【実施例】本発明による成分のワイヤと、比較例として
用意したワイヤを、ビードオンプレートにより、溶接作
業性の比較をおこなった。この時の溶接条件を表1に示
す。なお、シールドガスはアークを不安定にしやすくす
るため、酸素含有量が少ない、Ar+0.5%O2 を使
用した。また、電流・電圧条件は、通常の条件のほか、
短絡特性を調査するため短絡移行条件も同時に実施し
た。
用意したワイヤを、ビードオンプレートにより、溶接作
業性の比較をおこなった。この時の溶接条件を表1に示
す。なお、シールドガスはアークを不安定にしやすくす
るため、酸素含有量が少ない、Ar+0.5%O2 を使
用した。また、電流・電圧条件は、通常の条件のほか、
短絡特性を調査するため短絡移行条件も同時に実施し
た。
【0028】
【表1】
【0029】各ワイヤの化学成分を表2に、前述の溶接
条件による溶接作業性の評価を表3に示す。A1〜A6
は、本発明によるワイヤである。
条件による溶接作業性の評価を表3に示す。A1〜A6
は、本発明によるワイヤである。
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】ワイヤ記号A1は、基本成分がステンレス
鋼の代表的な汎用銘柄の成分であり、これにLiを添加
したものである。アークの安定性は良く、スパッタの発
生はまったく無い。短絡特性も溶滴の移行状態が安定し
ている。溶接後のビード外観も金属光沢があり非常に良
好である。
鋼の代表的な汎用銘柄の成分であり、これにLiを添加
したものである。アークの安定性は良く、スパッタの発
生はまったく無い。短絡特性も溶滴の移行状態が安定し
ている。溶接後のビード外観も金属光沢があり非常に良
好である。
【0033】A2は、Al成分にさらにTiを添加した
ものである。アーク安定性、スパッタ発生、ビード外観
共に良好である。この成分の場合、短絡特性が非常に良
く、Alよりもさらにスパッタの発生が少なくなる。
ものである。アーク安定性、スパッタ発生、ビード外観
共に良好である。この成分の場合、短絡特性が非常に良
く、Alよりもさらにスパッタの発生が少なくなる。
【0034】A3〜A6は、主要成分範囲が違うもので
あり、それぞれにLiを添加したもので、アーク安定性
は良好で、スパッタ発生はまったく無く、短絡時の移行
状態も安定している。ビード外観も金属光沢であった。
あり、それぞれにLiを添加したもので、アーク安定性
は良好で、スパッタ発生はまったく無く、短絡時の移行
状態も安定している。ビード外観も金属光沢であった。
【0035】これに対し比較例B1は、汎用銘柄の成分
でAlを制限したものである。本発明に比べ、アーク安
定性が悪くなり、それにともないスパッタが発生する。
短絡特性は移行状態が不安定になり、スパッタが大粒に
なる。ビード外観は、金属光沢がある。
でAlを制限したものである。本発明に比べ、アーク安
定性が悪くなり、それにともないスパッタが発生する。
短絡特性は移行状態が不安定になり、スパッタが大粒に
なる。ビード外観は、金属光沢がある。
【0036】B2は、汎用銘柄の成分にAlの含有量が
多いものである。アークは非常に不安定で上下動が大き
く、また大粒のスパッタを発生する。短絡特性も移行状
態が非常に不安定でスパッタも大粒で大量に発生する。
総じて、B1よりも悪い。ビード外観は金属光沢であ
る。
多いものである。アークは非常に不安定で上下動が大き
く、また大粒のスパッタを発生する。短絡特性も移行状
態が非常に不安定でスパッタも大粒で大量に発生する。
総じて、B1よりも悪い。ビード外観は金属光沢であ
る。
【0037】B3は、Liを本発明よりも多く添加した
もので、アーク安定性、スパッタ発生、短絡特性共に非
常によい。ただし、ビード外観は、灰色に酸化される。
これはCr酸化被膜の形成が遅れ、保護効果が劣ってい
ると思われる。
もので、アーク安定性、スパッタ発生、短絡特性共に非
常によい。ただし、ビード外観は、灰色に酸化される。
これはCr酸化被膜の形成が遅れ、保護効果が劣ってい
ると思われる。
【0038】
【発明の効果】本発明の成分構成によるワイヤにするこ
とで、酸素含有量の少ないシールドガスを使用しても良
好なアーク安定性が得られ、またスパッタの少ない短絡
移行溶接ができ、効果的に酸化スケールの少ないビード
が得られ、ガスメタルアーク溶接を高品質で行うことが
できる。
とで、酸素含有量の少ないシールドガスを使用しても良
好なアーク安定性が得られ、またスパッタの少ない短絡
移行溶接ができ、効果的に酸化スケールの少ないビード
が得られ、ガスメタルアーク溶接を高品質で行うことが
できる。
【図1】Al添加量が多い場合の溶滴移行状態を示す図
【図2】Al添加量が少ない場合の溶滴移行状態を示す
図
図
【図3】Cr2 O3 の酸化被膜を模式的に示す図
【図4】Liが添加された場合のCr2 O3 の酸化被膜
を模式的に示す図
を模式的に示す図
1 溶接ワイヤ 2,5 溶滴 3 アーク 4 プール
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.015〜0.15% Si:0.2〜1.0% Mn:1.0〜3.0% S :0.004〜0.015% Al:0.002〜0.01% Cr:11〜32% Ni:3.0〜22.5% Mo:0.001〜4% Li:0.001〜0.01%を含有し、 O :0.01%以下 Ca:0.005%以下 Mg:0.005%以下に規制し、残部がFeおよび不
可避的不純物からなることを特徴とするオーステナイト
ステンレス鋼用ガスメタルアーク溶接ワイヤ。 - 【請求項2】 さらに重量%で、 Ti:0.01〜0.1%を含有することを特徴とする
請求項1記載のオーステナイトステンレス鋼用ガスメタ
ルアーク溶接ワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11342594A JP3346888B2 (ja) | 1994-05-02 | 1994-05-02 | オーステナイトステンレス鋼用ガスメタルアーク溶接ワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11342594A JP3346888B2 (ja) | 1994-05-02 | 1994-05-02 | オーステナイトステンレス鋼用ガスメタルアーク溶接ワイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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