JP3345353B2 - 撮影レンズ - Google Patents

撮影レンズ

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JP3345353B2
JP3345353B2 JP20763998A JP20763998A JP3345353B2 JP 3345353 B2 JP3345353 B2 JP 3345353B2 JP 20763998 A JP20763998 A JP 20763998A JP 20763998 A JP20763998 A JP 20763998A JP 3345353 B2 JP3345353 B2 JP 3345353B2
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修二 米山
延孝 峯藤
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旭光学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、2群6枚のガウ
スオルソタイプの撮影レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の撮影レンズは、例えば特開昭4
8−25528号公報、あるいは特開昭58−9117
号公報等に記載されている。これらの公報に開示される
撮影レンズは、いずれも2群構成で、前群は正メニスカ
スで凸面を物体側に向けた第1、第2レンズと、凸面を
物体側に向けた負メニスカスの第3レンズとから構成さ
れ、第2、第3レンズは貼り合わされている。後群は、
凸面を像側に向けた正、または負メニスカスの第4レン
ズと、両凹の第5レンズ、両凸の第6レンズから構成さ
れ、第5、第6レンズは貼り合わされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た公報に開示される従来の撮影レンズでは、被写体距離
の変化に合わせてフォーカシングした際の倍率変化に伴
う収差変動が比較的大きく、遠距離の被写体から近距離
の被写体へのフォーカシング時、換言すると被写体距離
が遠距離から近距離に向かうほど、コマ収差が増加し、
かつ、像面湾曲の変化量も大きいという問題がある。特
に、倍率0.5倍程度の近接撮影時においては結像性能
の劣化が大きい。
【0004】この発明は、上述した従来技術の課題に鑑
みてなされたものであり、倍率0.5倍程度の近接撮影
時にも十分に良好な結像性能が得られる撮影レンズを提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる撮影レ
ンズは、物体側から順に配列された前群と後群とから構
成され、前群は、物体側から順に、物体側に凸面を向け
た正メニスカスの第1レンズと、物体側に凸面を向けた
正メニスカスの第2レンズと、この第2レンズに貼り合
わされた物体側に凸面を向けた負メニスカスの第3レン
ズとが配列されて構成され、後群は、物体側から順に、
像側に凸面を向けた正メニスカスの第4レンズと、物体
側が凹面である負の第5レンズと、この第5レンズに貼
り合わされた像側が凸面である正の第6レンズとが順に
配列されて構成され、該第4レンズの厚さをd6、全系
の焦点距離をfとして、以下の条件、 0.01<d6/f<0.05 を満たし、遠距離の被写体から近距離の被写体へのフォ
ーカシング時に、前群と後群との間隔が大きくなるよう
各群が物体側に移動することを特徴とする。
【0006】フォーカシング時の各群の移動は、前群の
移動量をΔx1、後群の移動量をΔx2として、その割
合Δx2/Δx1が無限遠合焦時から最近接合焦時まで
の範囲内で一定となるよう設定してもよく、変化するよ
う設定してもよい。
【0007】割合Δx2/Δx1を一定となるように設
定した場合も、変化するように設定した場合も、割合Δ
x2/Δx1が以下の条件を満たすことが望ましい。 0.80<Δx2/Δx1<0.99
【0008】特に、上記の割合Δx2/Δx1が変化す
るように設定した場合には、無限遠合焦時におけるΔx
2/Δx1の割合XF、最近接合焦時におけるΔx2/
Δx1の割合XNとして、以下の条件を満たすことが望
ましい。 0.0<XN−XF<0.1
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る撮影レンズ
の実施形態を説明する。実施形態の撮影レンズは、例え
ば図1に示されるように、図中左側となる物体側から順
に、前群GI、開口絞りS、後群GIIが配列されて構
成されている。
【0010】前群GIは、物体側から順に、物体側に凸
面を向けた正メニスカスの第1レンズL1と、物体側に
凸面を向けた正メニスカスの第2レンズL2と、物体側
に凸面を向けた負メニスカスの第3レンズL3とが配列
されて構成され、第2レンズL2と第3レンズL3とは
貼り合わされている。一方、後群GIIは、物体側から
順に、像側に凸面を向けた正メニスカスの第4レンズL
4と、物体側が凹面である負の第5レンズL5と、像側
が凸面である正の第6レンズL5とが順に配列されて構
成され、第5レンズL5と第6レンズL6とは貼り合わ
されている。
【0011】実施形態の撮影レンズは、全てのレンズが
絞りに対して凹面を向けるメニスカス形状であり、アプ
ラナティックに近い形状のレンズを対称的に配置するこ
とにより、諸収差の発生量を小さく抑えている。また、
近接撮影時の結像性能を良好にするため、近距離の被写
体へのフォーカシング時に前群と後群との間隔が大きく
なるように設定している。これにより、特に最近接撮影
時の外向性コマ収差を抑えると共に、像面湾曲がオーバ
ーとならないよう補正している。
【0012】フォーカシングは、遠距離の被写体から近
距離の被写体へのフォーカシング時に、前群GIと後群
GIIとが共に物体側に移動する。ただし、前群GIの
移動量が後群GIIの移動量よりも大きく、群間隔が次
第に大きくなるよう移動量が定められる。移動量の割合
は、前群の移動量を△x1、後群の移動量を△x2とし
て、以下の条件(1)を満たすように設定される。 0.80<△x2/△x1<0.99 ・・・(1)
【0013】条件(1)は、前群の移動量より後群の移
動量の方が一定の割合で小さいことを規定している。こ
の条件を満たすことにより、最近接撮影時においてもコ
マ収差や像面湾曲の発生を抑えて良好な結像性能が得ら
れる。△x2/△x1が条件(1)の下限を下回ると、
最近接撮影時に群間隔が大きくなりすぎ、内向性のコマ
収差が発生すると共に、像面湾曲がアンダーになる。上
限を越える場合には、最近接撮影時の群間隔が無限遠撮
影時と変わらず大きくならないため、外向性のコマ収差
が発生すると共に、像面湾曲がオーバーとなる。
【0014】上記の前群、後群の移動量の割合△x2/
△x1は、無限遠合焦時から最近接合焦時までの範囲内
で一定となるよう設定してもよいが、上記の条件(1)
の範囲内で変化するよう設定してもよい。割合△x2/
△x1を一定にする場合、無限遠合焦時と最近接合焦時
との2点における結像性能を最適にするよう割合△x2
/△x1を決定すると、中間距離の被写体に合焦させた
際に良好な性能が得られず、コマ収差が発生し、像面湾
曲がややオーバーとなる。このため、無限遠合焦時、中
間距離合焦時、最近接合焦時の3点でのバランスをみな
がら割合を決定する必要がある。
【0015】一方、割合△x2/△x1を変化させる場
合には、無限遠合焦時における割合△x2/△x1の値
をXF、最近接合焦時における割合△x2/△x1の値
をXNとして、以下の条件(2)を満たすよう設定す
る。 0.0<XN−XF<0.1 ・・・(2)
【0016】条件(2)は、最近接合焦時の近傍でのフ
ォーカシングによる前後群間隔の広がり方が、無限遠合
焦時の近傍での広がり方より一定の割合で小さいことを
規定している。この条件を満たすことにより、割合Δx
2/Δx1を一定とする場合と比較して、遠距離、中間
距離、近距離のそれぞれの被写体距離において、コマ収
差、像面湾曲を良好に補正でき、良好な結像性能を得る
ことができる。条件(2)を満たさない場合には、全て
の被写体距離での結像性能を良好に保つことが困難とな
る。
【0017】図7は、撮像面を基準とした前群GI、後
群GIIの移動軌跡を示す図である。前群GIの移動軌
跡を直線とした場合、割合Δx2/Δx1が一定であれ
ば、後群GIIの移動軌跡も破線で示したような直線と
なる。様々な被写体距離でどのくらい諸収差を小さくす
るかバランスを考えて割合Δx2/Δx1を変化させる
場合には、実線で示されるように後群GIIの移動軌跡
が曲線となり、各被写体距離で最良の性能が得られる位
置P1、P2、P3に後群GIIを位置させることがで
きる。
【0018】なお、第4レンズL4の厚さd6は、全系
の焦点距離fに対して以下の条件(3)を満たすよう定
められている。 0.01<d6/f<0.05 ・・・(3)
【0019】条件(3)の上限を越えて第4レンズL4
が厚くなると、第4レンズL4での非点収差補正作用が
小さくなり、全系の非点収差が大きくなる。下限を下回
る場合には、第4レンズL4の加工が困難となる。
【0020】
【実施例】図1は、実施例の撮影レンズの無限遠合焦時
におけるレンズ図であり、具体的な数値構成は表1に示
されている。図中、および表中、FNo.はFナンバ
ー、f、Wはそれぞれ無限遠合焦時における焦点距離
[単位:mm]および半画角[単位:degree]、fBはバ
ックフォーカス、Mは結像倍率、yは像高、rはレンズ
各面の曲率半径[単位:mm]、dはレンズ厚またはレン
ズ間隔[単位:mm]、ndは各レンズのd線(588n
m)での屈折率、νは各レンズのアッベ数である。
【0021】表1では、第1、第2面が第1レンズL
1、第3、第4面が第2レンズL2、第4、第5面が第
3レンズL3、第6、第7面が第4レンズL4、第8、
第9面が第5レンズL5、第9、第10面が第6レンズ
L6である。開口絞りSは、第4レンズL4の物体側面
から物体側に4.00mmの位置にあってフォーカシング
時には後群と一体に移動する。なお、第4レンズL4の
厚さd6の焦点距離fに対する比は、 d6/f=0.025 となり、条件(3)を満たしている。
【0022】
【表1】
【0023】図2(A)〜(E)は実施例1の撮影レン
ズの無限遠合焦時における諸収差を示し、(A)はd線
の球面収差SAおよび正弦条件SC、(B)はd線、g
線(436nm)、C線(656nm)における球面収差に
よって示される色収差、(C)はd線を基準にしたg
線、C線における倍率色収差、(D)は非点収差(S:
サジタル、M:メリディオナル)、(E)は歪曲収差を
示している。歪曲収差量を示す横軸の単位はパーセント
(%)、他の収差量を示す横軸の単位はmmである。
【0024】上述の表1の構成に対して、前群、後群の
移動量の割合△x2/△x1を一定にした移動方法a
と、変化させる移動方法bの2つの方法を説明する。移
動方法aで割合を一定とする場合、フォーカシングに伴
って変化するFナンバー、群間隔d5、バックフォーカ
スfB、結像倍率Mの値は、表2に示される通りとな
る。
【0025】
【表2】
【0026】移動方法aの場合、割合△x2/△x1=
0.95で一定であり、条件(1)を満足している。図
3、図4は、移動方法aに従う場合のそれぞれ中間距離
合焦時、最近接合焦時における諸収差図である。
【0027】移動方法bで割合を変化させる場合、フォ
ーカシングに伴って変化するFナンバー、群間隔d5、
バックフォーカスfB、結像倍率Mの値は、表3に示さ
れる通りとなる。無限遠における値は表2と共通であ
り、中間、最近接における群間隔d5とバックフォーカ
スfBの値が表2と異なる。
【0028】
【表3】
【0029】移動方法bの場合、無限遠合焦時における
割合△x2/△x1の値は、 XF=0.907 であり、最近接合焦時における割合△x2/△x1の値
は XN=0.958 であり、いずれも条件(1)を満たす。さらに、その差
は XN−XF=0.051 となり、条件(2)を満たしている。図5、図6は、移
動方法bに従う場合のそれぞれ中間距離合焦時、最近接
合焦時における諸収差図である。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、倍率0.5倍程度の近接撮影時にも十分に良好な結
像性能を有する撮影レンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の撮影レンズのレンズ図である。
【図2】実施例の撮影レンズの無限遠合焦時の諸収差図
であり、(A)は球面収差、(B)は色収差、(C)は
倍率色収差、(D)は非点収差、(E)は歪曲収差を示
す。
【図3】実施例の撮影レンズを割合△x2/△x1が一
定となるよう移動させた場合の中間距離合焦時の諸収差
図であり、(A)は球面収差、(B)は色収差、(C)
は倍率色収差、(D)は非点収差、(E)は歪曲収差を
示す。
【図4】実施例の撮影レンズを割合△x2/△x1が一
定となるよう移動させた場合の最近接合焦時の諸収差図
であり、(A)は球面収差、(B)は色収差、(C)は
倍率色収差、(D)は非点収差、(E)は歪曲収差を示
す。
【図5】実施例の撮影レンズを割合△x2/△x1が変
化するよう移動させた場合の中間距離合焦時の諸収差図
であり、(A)は球面収差、(B)は色収差、(C)は
倍率色収差、(D)は非点収差、(E)は歪曲収差を示
す。
【図6】実施例の撮影レンズを割合△x2/△x1が変
化するよう移動させた場合の最近接合焦時の諸収差図で
あり、(A)は球面収差、(B)は色収差、(C)は倍
率色収差、(D)は非点収差、(E)は歪曲収差を示
す。
【図7】実施形態の撮影レンズのフォーカシング時の各
レンズ群の移動軌跡を示す説明図である。
【符号の説明】
GI 前群 GII 後群 S 開口絞り L1 第1レンズ L2 第2レンズ L3 第3レンズ L4 第4レンズ L5 第5レンズ L6 第6レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 9/00 G02B 13/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側から順に配列された前群と後群と
    から構成され、前記前群は、物体側から順に、物体側に
    凸面を向けた正メニスカスの第1レンズと、物体側に凸
    面を向けた正メニスカスの第2レンズと、該第2レンズ
    に貼り合わされた物体側に凸面を向けた負メニスカスの
    第3レンズとが配列されて構成され、 前記後群は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正メ
    ニスカスの第4レンズと、物体側が凹面である負の第5
    レンズと、該第5レンズに貼り合わされた像側が凸面で
    ある正の第6レンズとが順に配列されて構成され、 前記第4レンズの厚さをd6、全系の焦点距離をfとし
    て、以下の条件、 0.01<d6/f<0.05 を満たし、 遠距離の被写体から近距離の被写体へのフォーカシング
    時に、前記前群と前記後群との間隔が大きくなるよう各
    群が物体側に移動することを特徴とする撮影レンズ。
  2. 【請求項2】 撮像面を基準として、フォーカシング時
    の前記前群の移動量をΔx1、前記後群の移動量をΔx
    2として、その割合Δx2/Δx1が、無限遠合焦時か
    ら最近接合焦時までの範囲内で一定であることを特徴と
    する請求項1に記載の撮影レンズ。
  3. 【請求項3】 前記割合Δx2/Δx1が以下の条件、 0.80<Δx2/Δx1<0.99 を満たすことを特徴とする請求項2に記載の撮影レン
    ズ。
  4. 【請求項4】 撮像面を基準として、フォーカシング時
    の前記前群の移動量をΔx1、前記後群の移動量をΔx
    2として、その割合Δx2/Δx1が無限遠合焦時から
    最近接合焦時までの範囲内で変化することを特徴とする
    請求項1に記載の撮影レンズ。
  5. 【請求項5】 無限遠合焦時におけるΔx2/Δx1の
    割合XF、最近接合焦時におけるΔx2/Δx1の割合
    XNとして、以下の条件 0.80<Δx2/Δx1<0.99 0.0<XN−XF<0.1 を満たすことを特徴とする請求項4に記載の撮影レン
    ズ。
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JP6541197B1 (ja) * 2018-01-23 2019-07-10 エーエーシー テクノロジーズ ピーティーイー リミテッド 撮像光学レンズ
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