JP3343063B2 - エルゴステロール配糖体誘導体及び用途 - Google Patents

エルゴステロール配糖体誘導体及び用途

Info

Publication number
JP3343063B2
JP3343063B2 JP28440597A JP28440597A JP3343063B2 JP 3343063 B2 JP3343063 B2 JP 3343063B2 JP 28440597 A JP28440597 A JP 28440597A JP 28440597 A JP28440597 A JP 28440597A JP 3343063 B2 JP3343063 B2 JP 3343063B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hyaluronic acid
degradation
ergosterol
glycoside derivative
inhibitor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28440597A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11106396A (ja
Inventor
進吾 酒井
哲也 佐用
紳太郎 井上
美智子 神尾
洋和 河岸
聡 細川
Original Assignee
カネボウ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by カネボウ株式会社 filed Critical カネボウ株式会社
Priority to JP28440597A priority Critical patent/JP3343063B2/ja
Publication of JPH11106396A publication Critical patent/JPH11106396A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3343063B2 publication Critical patent/JP3343063B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Steroid Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒアルロン酸の異
常分解が伴う疾患及びヒアルロン酸分解が生理的に正常
時より亢進している歯肉炎,乾皮症,あれ肌,乾燥肌等
に対し予防・治療効果が期待でき、しかも直接線維芽細
胞に作用する医薬組成物、ヒアルロン酸分解阻害剤、及
びあれ肌又は乾燥肌防止剤並びに化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒアルロン酸は、細胞間隙への水分の保
持、組織内にジェリー状のマトリクスを形成することに
基づく細胞の保持、臓器組織の潤滑性と柔軟性の保持、
機械的障害などの外力への抵抗、及び細菌感染の防止等
多くの機能を有している(BIO INDUSTRY、
8巻、346頁、1991年)。
【0003】さらに、近年ヒアルロン酸はその分子量に
よってさまざまな生理作用を持つことがわかってきた。
例えば、生体内で合成されていると考えられている高分
子ヒアルロン酸(分子量100万以上)はプロテオグリ
カン遊離抑制作用,ブラジキニン関節疼痛抑制作用,損
傷軟骨修復作用,関節炎抑制作用を持つことから炎症抑
制効果を持ち(BIO INDUSTRY、11巻、6
32頁、1991年)、その分解(低分子化)産物であ
る低分子化ヒアルロン酸は、血管新生促進作用(Sci
ence,228巻,1324頁,1985年)、白血
球走化性促進作用(特公平6─8323号公報)を持つ
ことから炎症促進作用を持つと考えられている。
【0004】以上のことからヒアルロン酸の低分子化は
肝炎,歯肉炎(炎症、4巻、437頁、1984年),
関節リウマチ,変形性関節症(結合組織、25巻、24
3頁、1994年),悪性腫瘍(J.Cellar Physiolog
y,160巻,275頁,1994 年)の症状悪化に密接に関連する
と考えられ、従って、ヒアルロン酸の低分子化を予防・
防止するヒアルロン酸の分解阻害剤が望まれている。
【0005】実際、結合組織中のヒアルロン酸を低分子
化するヒアルロニダーゼが炎症促進作用を持つ酵素とし
て想定され、その阻害剤が薬理効果があることが期待さ
れた(炎症、4巻、437頁、1984年)。しかし、
ヒト結合組織を形成する線維芽細胞からヒアルロニダー
ゼが単離された報告はいまだなく、そのためヒト線維芽
細胞の酵素が牛精巣由来のヒアルロニダーゼと同様な性
質を持っていると仮定し、牛精巣由来のヒアルロニダー
ゼを用いた種々の阻害剤が報告されている(特公平6─
29271号公報、特公平6─4584号公報、特開平
5─178876号公報、特開平6─80553号公
報、特開平6─80576号公報、特開平6─9415
号公報、特開平6─9416号公報、特開平3─685
15号公報)のが現状である。
【0006】しかし、近年、関節に存在するヒト滑膜細
胞(結合組織、25巻、243頁、1994年),ヒト
子宮けい管細胞(FEBS Letters,347巻, 95頁、 1994
年),ヒト皮膚線維芽細胞(B.B.A.,172巻, 70頁、 1
990 年),ヒト肺線維芽細胞(J.Clin.Invest.90巻、
1492頁、1992年)において、エンド型でありヒ
アルロン酸を4糖、6糖にまで分解する牛精巣由来のヒ
アルロニダーゼとは明らかに異なるヒアルロン酸分解機
構の存在が報告されている。これらのことから精巣由来
のヒアルロニダーゼの阻害剤ではヒトのヒアルロン酸分
解を効果的に阻害することは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的と
するところは、ヒアルロン酸の異常分解が伴う疾患及び
ヒアルロン酸分解が生理的に正常時より亢進している歯
肉炎,乾皮症,あれ肌,乾燥肌等に対し予防・治療効果
が期待でき、しかも直接線維芽細胞に作用する医薬組成
物、ヒアルロン酸分解阻害剤及びあれ肌又は乾燥肌防止
剤並びに化粧料を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、エルゴス
テロール配糖体誘導体、又はこれをを含有することを特
徴とする、医薬組成物、ヒアルロン酸分解阻害剤,あれ
肌又は乾燥肌防止剤並びに化粧料によって達成できる。
即ち、本発明はエルゴステロール配糖体誘導体を含有す
ることを特徴とするあれ肌又は乾燥肌防止剤及び化粧
料、エルゴステロール配糖体誘導体を含有することを特
徴とする医薬組成物、ヒアルロン酸分解阻害剤にある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について詳説
する。本発明において用いられるエルゴステロール配糖
体誘導体は、例えば、モエギタケ科由来きのこであるク
リタケ(Naemaroloma sublateritium )の抽出エキス
又はその乾燥エキス末から得ることができる。
【0010】クリタケ抽出エキスを製造する方法として
は、例えばクリタケ子実体の凍結乾燥物に対し重量比で
5〜30倍の抽出溶剤を加え、通常15〜50℃で24
時間〜1週間浸漬して各キノコの抽出液を得る方法等が
挙げられる。また、抽出液をろ過又は遠心分離して不溶
物を除去し、次いで通常の濃縮手段、例えば減圧濃縮等
して濃縮抽出エキスとして得ることもできる。
【0011】クリタケ抽出エキスを製造する際に用いる
抽出溶剤としては、例えば、水や、メタノール、エタノ
ール、1,3ブチレングリコール等の水溶性有機溶剤、
又はこれらの混合溶剤が挙げられる。更に酢酸エチル等
の極性有機溶媒によって再抽出してもよい。
【0012】クリタケの乾燥エキス末を製造する方法と
しては、前記抽出エキスを通常の乾燥手段、例えば減圧
乾燥、噴霧乾燥又は凍結乾燥等により乾燥エキス末とし
て得る方法等が挙げられる。
【0013】本発明に係るエルゴステロール配糖体誘導
体を単離する方法としては、前記抽出エキス又は乾燥エ
キス末を酢酸エチル等の有機溶剤で再抽出し、シリカゲ
ルカラム等の分離手段で精製してエルゴステロール配糖
体画分として得る、又は更にシリカゲルカラム等の分離
手段を繰り返したり、HPLCを用いてエルゴステロー
ル配糖体誘導体を単離する方法等が挙げられる。
【0014】本発明のヒアルロン酸分解阻害剤は、ヒア
ルロン酸の異常分解が亢進している疾患の改善・治療
剤、またはヒアルロン酸分解が生理的に正常時より亢進
している疾患に対して、優れた歯肉炎防止剤、乾燥肌又
はあれ肌防止剤として用いられる。更には、通常の医薬
品、化粧品の有効成分として、その他、培養細胞系に添
加して研究・試験用試薬等として用いることもできる。
化粧料として用いる場合は、特に皮膚に適用する皮膚化
粧料が望ましい。尚、本発明において化粧料とは入浴剤
をも包含するものである。
【0015】本発明において疾患とは、ヒアルロン酸分
解が生理的に正常時より亢進しているか、又はヒアルロ
ン酸が異常に分解している症状を言う。
【0016】本発明においてヒアルロン酸の異常分解が
伴う疾患とは、ヒアルロン酸の分解が患部で異常亢進し
ている、肝炎,歯肉炎,リウマチ,変形関節炎及び悪性
腫瘍、また血清中でヒアルロン酸量が増大していること
から患部でヒアルロン酸の分解が異常に亢進していると
考えられる肝硬変,移植拒否,強皮症、並びに疾患によ
って臓器が硬化する肝硬変,動脈硬化等の線維症、さら
にはヒアルロン酸分解の結果として患部で水分保持能力
が低下している乾皮症,乾燥肌,あれ肌,その他動脈硬
化,腎炎,ケロイド,過修復,敗血症等の疾患を言う。
【0017】本発明におけるヒアルロン酸異常分解疾患
改善・治療剤とは、ヒアルロン酸の分解が異常に亢進し
た疾患を伴った患者に適用する薬剤を言う。
【0018】ヒスタミンは線維芽細胞のヒアルロン酸分
解を促進することが知られていることから(特開平8─
225447号公報)、前記ヒアルロン酸の異常分解が
伴う疾患の内、特に患者の血清中においてヒスタミン量
が増大しているリウマチ,強皮症,ケロイド,悪性腫
瘍,移植拒否に対しては、抗ヒスタミン剤との併用によ
って本発明の医薬組成物、ヒアルロン酸分解阻害剤は更
に優れた効果が期待できる。
【0019】本発明における防止剤とは、ヒアルロン酸
の分解が生理的に正常時より亢進している症状者に適用
するものを言い、あれ肌及び乾燥肌等が挙げられる。
尚、予防として該防止剤を正常人が使用することもでき
るが、ヒアルロン酸の分解が生理的に正常時より亢進し
ている症状者が適用するのが特に好ましい。
【0020】本発明のヒアルロン酸分解阻害剤および防
止剤の形態としては、適当な賦形剤,担体,希釈剤を用
いて、錠剤,液剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,軟膏
剤,貼付剤,注射剤,坐剤,入浴剤等の剤形とすること
ができ、またゲル,クリーム,スプレー剤,貼付剤,ロ
ーション,パック類,乳液,パウダー等の剤形が挙げら
れる。
【0021】係る製剤の調製は常法によって行われ、例
えば、固形製剤については用途によって通常の医薬添加
物,医薬部外品添加物,食品添加物,化粧品添加物等適
宜選択でき、例えば、乳糖,でんぷん,結晶セルロー
ス,タルク等を用いて製剤化することができる。カプセ
ル剤はそのようにして調製された細粒剤,散剤等を適当
なカプセルに充填して得ることができる。液剤は白糖,
カルボキシメチルセルロース等を含む水溶液に本発明の
薬剤を溶解、又は懸濁することにより調製することがで
きる。
【0022】また本発明のヒアルロン酸分解阻害剤及び
防止剤に使用される賦形剤又は補助剤としては、通常、
化粧品や医薬品,医薬部外品,食品等に使用されるもの
で良く、用途、剤形に応じて適宜選択され、特に限定さ
れるものではない。例えばワセリン,スクワラン等の炭
化水素、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ミ
リスチン酸イソプロピル等の高級脂肪酸低級アルキルエ
ステル、ラノリン酸等の動物性油脂、グリセリン,プロ
ピレングリコール等の多価アルコール、グリセリン脂肪
酸エステル,モノステアリン酸ポリエチレングリコー
ル,ポリエチレンアルキルエーテルリン酸等の界面活性
剤、パラオキシ安息香酸メチル,パラオキシ安息香酸ブ
チル等の防腐剤、蝋、樹脂、各種香料、各種色素、クエ
ン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、乳酸等の各種有機酸
や無機酸及びそれらの塩、水、及びエタノール等が挙げ
られる。
【0023】本発明のヒアルロン酸分解阻害剤を培養細
胞系において研究・試験用試薬として用いる場合、配合
量としては、培養細胞により高分子ヒアルロン酸を産生
させるときは、培養液中に1μM以上含有されるのが好
ましく、更に好ましくは10μM〜10mMが望まし
い。
【0024】また、本発明のヒアルロン酸分解阻害剤、
あれ肌又は乾燥肌防止剤、及び化粧料におけるエルゴス
テロール配糖体誘導体の配合量としては、対象とする疾
患の種類、程度、患者の年齢、体重、及び性別等種々の
要因により異なり一概には規定できないが、適用する組
成物の総量を100g基準として、0.001g〜15
gが好ましく、特に0.01g〜10gが好ましい。
0.001g未満では本発明の効果が得られない場合が
あり、15gを超えて配合しても配合量に見合った効果
が得られない場合がある。
【0025】本発明のヒアルロン酸分解阻害剤、及びあ
れ肌又は乾燥肌防止剤の投与方法としては、経口又は非
経口投与が可能である。
【0026】通常1日当たり投与量としては、経口投与
では、エルゴステロール配糖体誘導体の量として10μ
g〜10gが好ましく、特に50μg〜1gが好まし
い。非経口投与では、500μg〜1gが好ましい。し
かしながら、投与量は、目的、対象とする疾患の種類、
程度、患者の年齢、体重、及び性別等により適宜変更さ
れうるものであり、一概には規定できない。
【0027】本発明において、ヒスタミンが結合組織に
存在する線維芽細胞にも作用し、その細胞間マトリクス
の成分であるヒアルロン酸を分解する作用があり、これ
をエルゴステロール配糖体誘導体が抑制することが明ら
かになった。
【0028】その結果、本発明に係るエルゴステロール
配糖体誘導体を含有するヒアルロン酸分解阻害剤、及び
あれ肌又は乾燥肌防止剤によってアレルギー性疾患はも
とより、結合組織においてヒアルロン酸の異常分解が伴
う疾患に対する治療が十分期待できる。
【0029】
【実施例】以下、実施例、比較例により本発明を更に詳
しく説明する。尚、実施例に先立ちヒアルロン酸分解阻
害剤の効果を調べるための評価系について説明する。以
下、ポリオキシエチレンをPOEと略記する。
【0030】(1)MEM培地の調製法 Minimum Essential Medium
(大日本製薬社製、10−101) 10.6gにそれぞ
れ終濃度として1%(V/V)Non Essenti
al Amino Acid(大日本製薬社製、16−
810) 、1mMピルビン酸ナトリウム(大日本製薬社
製、16−820)、1.2%(W/V)炭酸水素ナト
リウム、蒸留水を加えて1lとした後、炭酸ガスを吹き
込んでpHを約7にした(以下、MEM培地と略記す
る)。
【0031】(2)ウシ胎仔血清(FBS)の非働化 FBS(Irvine Scientific社製) を
56℃で30分間加熱処理した。
【0032】(3)細胞添加用高分子トリチウムヒアル
ロン酸の調製方法 正常ヒト線維芽細胞株〔デトロイト551株(ATCC
CCL 110)〕の細胞数を10%(V/V)の非
働化FBSを含むMEM培地にて2×105 個/mlに
調整し、225cm2 のフラスコに50ml入れ、3日
間培養しコンフルエント状態にした。その後、ヒアルロ
ン酸の前駆体であるトリチウムグルコサミン(American
Radiolabeled Chemicals Inc.社製)を培養系に添加し
(10μCi/ml)、さらに3日間培養したのち、培
養液からトリチウムラベルされたヒアルロン酸をUnderh
ill らの方法(J.Cell Biology,82巻,475頁,1
979年)によって精製し、さらにゲルろ過カラムによ
り分子量100万以上の高分子トリチウムヒアルロン酸
(比放射活性0.1μCi/μg)を調製した。これを
細胞培養系への添加用高分子トリチウムヒアルロン酸と
した。
【0033】(4)高分子トリチウムヒアルロン酸の添
加培養 正常ヒト線維芽細胞株〔デトロイト551株(ATCC
CCL 110)〕の細胞数を10%(V/V)の非
働化FBSを含むMEM培地にて1.5×105 個/m
lに調整し、12穴プレート(ファルコン社製)に0.
8mlずつ播種し、95%(V/V)空気−5%(V/
V)炭酸ガスの雰囲気下、37℃で3日間静置培養し、
さらに、MEM培地のみに培地交換し、1日間培養し
た。その後、高分子トリチウムヒアルロン酸を含む(1
4000DPM/ml)MEM培地を調製し、培地交換
をし、3日間培養を行った。尚、培地交換時にヒスタミ
ン(10μMとなるように)と各種評価を行う薬剤を添
加した。
【0034】(5)細胞による高分子トリチウムヒアル
ロン酸の分解評価 培養終了後、培養液を回収し、100℃で5分間加熱処
理を行った後、培地1mlをセファロースCL─2Bカ
ラム(内径1cm,長さ60cm)にアプライし、以下
の条件でゲルろ過を行った。 流速:0.6ml/min 分画:4ml/画分 分画総数:25 更に分子量10万以下のヒアルロン酸が溶出する画分1
0〜25の16本を集め、[3 H]放射活性を測定し,
分解したヒアルロン酸の量を求めた。さらに、ヒアルロ
ン酸分解率および分解阻害率は以下の数1および数2に
よって求めた。
【0035】
【数1】ヒアルロン酸分解率(%)=B/A×100 A=ヒスタミン添加によるヒアルロン酸分解量 B=ヒスタミン+薬剤添加によるヒアルロン酸分解量
【0036】
【数2】ヒアルロン酸分解阻害率(%)=(1−B/
A)×100 A=ヒスタミン添加によるヒアルロン酸分解量 B=ヒスタミン+薬剤添加によるヒアルロン酸分解量
【0037】実施例1(クリタケ抽出エキスの調製) クリタケの子実体8.7kgをメタノールで抽出後、減
圧乾燥し、さらに酢酸エチルにて可溶化し、酢酸エチル
可溶性画分(46.4g)を得た。
【0038】実施例2 上記酢酸エチル画分44.8gをシリカゲル(sili
ca gel 60N1.1kg)カラムに供与し、展
開溶媒としてヘキサン/酢酸エチル(1/1,3/7,
0/10)、メタノール/水(10/0,9/1)で展
開し、10画分を得、第8画分を減圧濃縮し15.7g
を得た。
【0039】実施例3 上記実施例2(15.7g)をシリカゲルカラムに供与
し、展開溶媒としてクロロフォルム/メタノール(9/
1,0/10)で展開し、14画分を得、第9画分を減
圧濃縮し569.8mgのエルゴステロール配糖体誘導
体含有画分を得た。
【0040】実施例4 上記エルゴステロール配糖体誘導体含有画分569.8
mgをHPLC(Wakosil−II5C18HG)
に供与し、メタノールで分画し、12画分を得、第11
画分を減圧濃縮し5mgのエルゴステロール配糖体誘導
体を得、以下に示すNMRシグナル(日本電子製、JE
OL−LAMBDA)とマススペクトル(日本電子製、
JEOL−DX303HF)によりエルゴステロール配
糖体誘導体化1であることを確認した。また、化1の式
中、Xはアルキル基、もしくは水酸基、アミノ基又はこ
れらを含むアルキル基であると予想される。尚、第8画
分から得た化合物は、下記化2で表されるものであり、
ヒアルロン酸分解阻害作用はなかった。
【0041】
【化2】
【0042】1H−NMR(C5 5 N) δ;2.16
(m),1.85(m),4.03(m),2.51(t,21.6),2.87(d,16.6),5.61
(m),5.43(m),1.88(m),0.63(s),0.90(s),0.85(d,3.95),
5.23(dd,15.3,7.6),5.26(dd,15.3,7.0),0.86(d,3.95),
1.06(d,6.7),0.95(d,6.7),5.05(d,22.6),4.03(m),3.96
(m),4.24(m),4.28(m),4.39(t,11.9),4.54(d,9.45)
【0043】13C−NMR(C5 5 N)δ;37.9, 3
0.5, 76.9, 39.2, 141.0, 120.1, 117.0, 140.1, 46.4,
37.4, 23.3, 38.5, 43.0, 54.7, 28.6, 29.9, 55.8, 1
2.1,16.3, 40.7, 19.8, 132.1, 136.0, 43.0, 33.3, 2
0.1, 21.3, 17.8, 102.6, 75.3, 78.4, 71.7, 78.5, 6
2.8, 70.7, 79.8 FAB−MS(Pos.):m/z 619 IR(KBr)νmax.cm-1 3392,2924,1604,1385,1074
【0044】実施例1〜4、比較例3 実施例1〜4をそれぞれ50mgをDMSO1mlに溶
解し、それぞれのDMSO溶液を調整した。また、比較
例3として従来知られている牛精巣由来ヒアルロニダー
ゼの阻害剤であるグリチルリチン(炎症、4巻、NO
4、437(1984))0.18gを水10gに溶解
し、水溶液を調整した。
【0045】試験例 実施例1〜4、比較例1(水溶液)、比較例2(DMS
Oのみ)並びに比較例3を用いて、前述した(5)の方
法により、高分子トリチウムヒアルロン酸の分解を調
べ、ヒアルロン酸分解率およびヒアルロン酸分解阻害率
を前記数1、数2より算出した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】その結果、ヒスタミン添加によって無添加
時よりヒアルロン酸の分解は促進された状態において、
実施例1〜4のエルゴステロール配糖体誘導体を含むク
リタケ抽出エキス、エルゴステロール配糖体画分、エル
ゴステロール配糖体誘導体、いずれの薬剤においてもヒ
アルロン酸分解の阻害効果が認められた。また比較例3
に示した牛精巣由来ヒアルロニダーゼの阻害剤であるグ
リチルリチンの添加は、ヒトの細胞培養系である本評価
系において全く効果がないことがわかった。
【0048】この結果からエルゴステロール配糖体誘導
体は、ヒトのヒアルロン酸分解抑制剤として有効であ
る。また本発明のヒアルロン酸分解抑制剤はヒアルロン
酸分解が異常に亢進している疾患に有効であると考えら
れる。
【0049】実施例5〜7(錠剤)
【0050】
【表2】
【0051】上記の各成分を均一に混合し、常法に従っ
て、1錠170mgとなるように打錠し、錠剤を調製し
た。
【0052】実施例8〜10(カプセル剤)
【0053】
【表3】
【0054】上記の各成分を均一に混合し、常法に従っ
て、混合物の150mgを3号硬カプセルに充填した。
【0055】実施例11〜13(液剤)
【0056】
【表4】
【0057】精製水に上記の各成分を溶解し、攪拌均一
化してシロップ剤とした。
【0058】実施例14〜17(クリーム)
【0059】
【表5】
【0060】成分(A)を80℃で均一に混合溶解した
後、それに成分(B)を混合溶解した(混合液I)。こ
れとは別に、成分(D)を80℃で均一に混合溶解した
後、それに成分(C)を混合溶解した(混合液II)。
つぎに、混合液Iに、徐々に混合液IIを加えて、充分
攪拌しながら30℃まで冷却し、クリームを得た。
【0061】実施例18〜21(ローション)
【0062】
【表6】
【0063】各成分を混合溶解して、ローションを調製
した。
【0064】実施例22〜23(入浴剤)
【0065】
【表7】
【0066】各成分を混合し、入浴剤を調製した。な
お、この入浴剤は使用時に約3000倍に希釈される。
【0067】実施例24〜26(練歯磨)
【0068】
【表8】
【0069】常法に従い、水、グリセリン,カラギナ
ン,サッカリン,パラオキシ安息香酸ブチル,クロルヘ
キシジンジグリコネート,香料及びエルゴステロール配
糖体誘導体を計量し、混合して粘結剤を膨潤させたの
ち、第2リン酸カルシウム,ラウリル硫酸ナトリウムを
加え、更によく混合し脱泡したのち、チューブに充填し
て練歯磨を得た。
【0070】実施例27〜29(洗口剤)
【0071】
【表9】
【0072】常法に従い、上記組成からなる洗口剤を調
製した。
【0073】実施例30〜32(関節注入剤)
【0074】
【表10】
【0075】記載された成分の水溶液を加熱または濾過
滅菌し、注射シリンジに2.5mlずつ分注し、関節注
入剤を調製した。
【0076】
【発明の効果】以上の様に、本発明により、ヒト結合組
織に存在する細胞に作用し、ヒアルロン酸分解を阻害す
るヒアルロン酸分解阻害剤、ヒアルロン酸分解が生理的
に正常時より亢進している疾患に優れた医薬品組成物、
あれ肌又は乾燥肌防止剤及び化粧料を提供できることは
明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例4で得られたエルゴステロール
配糖体誘導体化1の 1H−NMRスペクトルを示す図で
ある。
【図2】本発明の実施例4で得られたエルゴステロール
配糖体誘導体化1の13C−NMRスペクトルを示す図で
ある。
【図3】本発明の実施例4で得られたエルゴステロール
配糖体誘導体化1のHMBCスペクトルを示す図であ
る。
【図4】本発明の実施例4で得られたエルゴステロール
配糖体誘導体化1のHMQCスペクトルを示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河岸 洋和 静岡県静岡市大谷836番地 静岡大学宿 舎213号 (72)発明者 細川 聡 静岡県静岡市大谷1418−1 カーサマイ ヤガワIII 207号 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07J 17/00 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式で示され、下記に示す理化学
    的性質を有するエルゴステロール配糖体誘導体。 【化1】 (但し、式中Xはメチレン基を少なくとも2個含む基で
    ある) a)分子量 [Fab−MS(Pos.):m/z 6
    19] b)IR吸収スペクトル(KBr) νmax.cm-1 3392,2924,1604,1385,1074 c)1H−NMR(C55N) δ; 2.16(m),1.85(m),4.03(m),2.51(t,21.6),2.87(d,16.6),
    5.61(m),5.43(m),1.88(m),0.63(s),0.90(s),0.85(d,3.9
    5),5.23(dd,15.3,7.6),5.26(dd,15.3,7.0),0.86(d,3.9
    5),1.06(d,6.7),0.95(d,6.7),5.05(d,22.6),4.03(m),3.
    96(m),4.24(m),4.28(m),4.39(t,11.9),4.54(d,9.45) d)13C−NMR(C55N) δ; 37.9, 30.5, 76.9, 39.2, 141.0, 120.1, 117.0, 140.
    1, 46.4, 37.4, 23.3, 38.5, 43.0, 54.7, 28.6, 29.9,
    55.8, 12.1, 16.3, 40.7, 19.8, 132.1, 136.0,43.0,
    33.3, 20.1, 21.3, 17.8, 102.6, 75.3, 78.4, 71.7, 7
    8.5, 62.8, 70.7,79.8
  2. 【請求項2】 請求項1記載のエルゴステロール配糖体
    誘導体を含有することを特徴とする医薬組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のエルゴステロール配糖体
    誘導体を有効成分とするヒアルロン酸分解阻害剤。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のエルゴステロール配糖体
    誘導体を含有することを特徴とする化粧料。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のエルゴステロール配糖体
    誘導体を含有することを特徴とするあれ肌又は乾燥肌防
    止剤。
JP28440597A 1997-09-30 1997-09-30 エルゴステロール配糖体誘導体及び用途 Expired - Fee Related JP3343063B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28440597A JP3343063B2 (ja) 1997-09-30 1997-09-30 エルゴステロール配糖体誘導体及び用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28440597A JP3343063B2 (ja) 1997-09-30 1997-09-30 エルゴステロール配糖体誘導体及び用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11106396A JPH11106396A (ja) 1999-04-20
JP3343063B2 true JP3343063B2 (ja) 2002-11-11

Family

ID=17678151

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28440597A Expired - Fee Related JP3343063B2 (ja) 1997-09-30 1997-09-30 エルゴステロール配糖体誘導体及び用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3343063B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4824181B2 (ja) * 2001-02-13 2011-11-30 日本メナード化粧品株式会社 皮膚外用剤
JP2016098191A (ja) * 2014-11-19 2016-05-30 味の素株式会社 抗アレルギー剤

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11106396A (ja) 1999-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5843911A (en) Hyaluronidase inhibitor containing god-type ellagitannin as active ingredient
JP4231559B2 (ja) リポキシゲナーゼ阻害剤
JPH10130162A (ja) ヒアルロン酸分解阻害剤、ヒアルロン酸異常分解疾患治療剤および化粧料
KR101154616B1 (ko) 캄페롤 및 퀘르세틴을 함유하는 히알루론산 생성 촉진용조성물
JP2003238432A (ja) ヒアルロン酸蓄積促進剤
KR20110067796A (ko) 잠사 추출물 또는 누에 추출물을 이용한 피부 미백제 조성물
US6894034B1 (en) Sebum production inhibitors
KR102348776B1 (ko) 토란 생물전환 추출물을 포함하는 화장료 조성물 및 이의 제조방법
JP3343063B2 (ja) エルゴステロール配糖体誘導体及び用途
JP3604554B2 (ja) テルフェニル誘導体及び用途
US20060014709A1 (en) Drug or cosmetic
JPH1029924A (ja) 抗老化剤
JPH069422A (ja) 生体ヒアルロン酸合成促進剤
JP3822187B2 (ja) テルフェニル誘導体及び用途
JP4321805B2 (ja) ケショウシメジ抽出物を含有する医薬組成物、ヒアルロン酸分解阻害剤、化粧料、及び荒れ肌又は乾燥肌防止剤、並びにケショウシメジに含まれる新規化合物及びその用途
US20230355646A1 (en) Autophagy activator
JPH1180004A (ja) ヒアルロン酸分解阻害剤、ヒアルロン酸異常分解疾患改善・治療剤、及び歯肉炎防止剤、並びに乾燥肌又は荒れ肌防止剤
JP5052561B2 (ja) ケショウシメジ抽出物を含有する医薬組成物、ヒアルロン酸分解阻害剤、化粧料、及び荒れ肌又は乾燥肌防止剤、並びにケショウシメジに含まれる新規化合物及びその用途
JP3010017B2 (ja) ヒアルロン酸分解阻害剤、化粧料、食品、医薬組成物およびヒアルロン酸異常分解疾患治療剤
JPH09124497A (ja) Godタイプのエラジタンニンを有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害剤並びにこれを配合した医薬品及び化粧品
JP3566043B2 (ja) ヒアルロン酸分解促進剤、ヒアルロン酸合成異常亢進疾患治療剤及びヒアルロン酸分解異常抑制疾患治療剤
JPH10330218A (ja) メラニン産生促進剤並びにこれを含有する皮膚及び毛髪用外用剤
CH690816A5 (de) Verwendung eines Teil- oder Vollextrates aus nicht fermentierter Camellia sinensis L. zur Herstellung eines Medikamentes, eines Medizinproduktes, eines kosmetischen Präparates oder eines Nahrungsergänzungsproduktes.
JP4388444B2 (ja) 新規カルニチン誘導体及びその用途
JP5167042B2 (ja) セラミド産生促進剤、保湿剤及び皮膚外用剤

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090823

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100823

Year of fee payment: 8

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100823

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110823

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110823

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120823

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120823

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130823

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees