JP3342372B2 - インクジェットプリントシステムに用いられる大容量インク補充容器 - Google Patents

インクジェットプリントシステムに用いられる大容量インク補充容器

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JP3342372B2 JP29100097A JP29100097A JP3342372B2 JP 3342372 B2 JP3342372 B2 JP 3342372B2 JP 29100097 A JP29100097 A JP 29100097A JP 29100097 A JP29100097 A JP 29100097A JP 3342372 B2 JP3342372 B2 JP 3342372B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リントシステムに用いられる大容量インク補充容器に関
し、より具体的には可撓性を有する大容量インク補充容
器に関する。
【0002】
【従来の技術】大容量インク補充容器は、インク取り出
し口をその容器の中心に対して下方から取り出した場
合、何らかの事故によりインクがすべて流出してしまう
危険性があることから、相対的にこの中心部に対して上
方にインク取り出し口を設定することで使用されてい
る。このような容器では、容器からの液体の蒸発を防ぐ
ために、取り出し口以外を密閉とすることが望ましい。
【0003】一般に取り出し口を有する容器に関して、
そのインク取り出しの際に容器が潰れてインク供給が阻
害される課題を解決するための発明が知られている。
【0004】例えば、特開昭56-131169号公報では、記
録液が貯蔵される密閉構造の可撓性記録液容器と、周上
に複数の穴部を有し前記記録液容器に装着され外部へ前
記記録液を導出する導出管とよりなることを特徴とする
記録液容器を開示している。
【0005】また、特開昭63-35346号公報では、インク
取り出し口に設けられた栓部材の内面の両側に、可撓性
のインク袋が密着するまでつぶれるのを防止するよう内
部へ張り出した一対のリブを備えた構成を開示する。
【0006】しかし、大容量インク補充容器の場合、具
体的には容器内容積が200cc以上、望ましくは50
0cc以上と大きいために、容器の大型化による特有の
問題があった。
【0007】すなわち、特開昭56-131169号公報の構成
を上方取り出し系大容量インク補充容器にそのまま適用
しようとする場合、導出管が長くなるために、最悪の場
合、インクが残存することが予想される。
【0008】また、特開昭56-131169号公報、特開昭63-
35346号公報のいずれも可撓性のインク収容袋の形状は
偏平であるため、大容量のインクを収容するには容器の
形状に制限が生じるだけでなく、インクが収容されてい
る初期の状態での筐体とインク収容袋との隙間(デッド
スペース)が増大してしまうという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上方取り出
し系大容量インク補充容器における、インク残量の大幅
減少と供給部近傍の容器潰れの大幅な遅延を達成し、イ
ンクの安定供給性と、インクの無駄を防止できる新規な
大容量インク補充容器の提供を行うことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、内部にインクを収容する可撓性のイン
ク袋と、該インク袋に収容されたインクをインク取り出
し口から外部へ導出するためのインク導出管と、前記イ
ンク袋を収容する筐体と、を有するインクジェットプリ
ントシステムに用いられる大容量インク補充容器におい
て、前記インク導出管は、その端部が前記インク袋の底
部に存在するとともに前記インク袋内に偏倚して設けら
れ、前記インク袋の前記インク導出管近傍の厚みが他の
部分の厚みに比べて厚く、前記インク袋の内部に、連通
孔を有するとともに該インク袋内のインク収容空間を複
数の空間に分割するための仕切りリブを設けることを特
徴とする。
【0011】上述の構成によれば、上方取り出し系の大
容量インク補充容器において、外部への液体の導出に伴
って、液体を外部に導出するインク導出管から離れたと
ころから可撓性袋を変形させることが出来るので、供給
部近傍の容器潰れの大幅な遅延を達成することができる
とともに、インク残量の大幅に減少させることができる
ものである。
【0012】特に、インク袋の内部に該インク袋内のイ
ンク収容空間を相互に連通可能な複数の空間に分割する
ための仕切りリブを設けると、インク袋の変形により閉
ざされた空間内にインクが残ることがなくなるので、よ
り好ましい。この場合、分割された空間のうち少なくと
も一つはインク導出管を備えた空間より大きくすると、
インクの安定供給性と、インクの無駄を防止する効果を
より一層高めることができる。
【0013】また、インク取り出し口に、逆止弁を設け
てもよい。逆止弁を設けることで、一時的に液体を保有
し大気を導入することで前記液体を下流側に供給するサ
ブタンクと、該サブタンクを密閉空間にするための手段
と、前記サブタンクに前記大容量インク補充容器から液
体を補充するために前記サブタンク内を減圧する負圧発
生手段と、前記サブタンクに補充された液体を前記サブ
タンクから下流側に供給可能な状態とする手段と、を有
するインクジェットプリントシステムに対して効果的に
適用可能である。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】なお、本発明においてインクとは、インク
ジェット記録装置で吐出可能な処理液などの液体をも含
むものとする。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。
【0019】(第1実施例)図1は、本発明の第1実施
例の大容量インク補充容器を説明するための説明図であ
り、(a)は断面図、(b)は側面図、(c)は斜視図
を示している。図1(c)を見ると分かるように、図1
のタンクの筐体を構成する面のうち、最大面積となって
いる面は、図1(a)の断面図のように間接的に表示さ
れている面となる。
【0020】図1において、大容量インク補充容器(イ
ンクタンク)100は、外壁101と蓋部材120とに
より構成される筐体と、筐体の内面とほぼ等しい外面を
有するインク収容部を構成するインク袋(内壁)102
とを備えている。外壁101は内壁102に比べて十分
厚く、インクの流出により内壁102が変形しても殆ど
変形することはない。また、外壁は大気連通口105を
有している。内壁は溶着部(ピンチオフ部)104を有
し、この溶着部で内壁は外壁に係合する形で支持されて
いる。
【0021】蓋部材120には、インク供給口(インク
取り出し口)108にチェック弁30が設けられるとと
もに、チェック弁30を介してインク導出管5が設けら
れている。インク導出管5は、インク袋の中に液没さ
せ、インクを吸いあげるためのものであり、弾性のチュ
ーブ、あるいは金属、樹脂などのパイプからなり、イン
クの導出に伴いパイプとしての状態を維持できる程度の
強度を有している。蓋部材とインク導出管との接続は、
接着剤などを使用してもよいが、収容するインクの種類
の選択性を増やすために、嵌合により嵌め込むことがよ
り望ましい。
【0022】蓋部材120には、図2に示すように母材
となるベース21に、前述のインク供給口8のほか、イ
ンク導出管5を接続するための接続口22、インク供給
口を外部から遮断するとともに、不図示のインクジェッ
トプリントシステムへインクを供給する中空針6を挿入
可能な弾性体27、内部にチェック弁(逆止弁)30を
有するハウジング28が組み付けられている。中空針6
にはインクを吸引するための吸引孔6aが設けられてお
り、中空針6は、不図示のインクジェットプリントシス
テムへインクを供給するためのインク導出チューブ7と
接続されている。
【0023】ハウジング28内には、チェック弁30の
構成要素として、インクの逆流を防止するシール材2
3、シール材23を取り付けるピストン24、インクを
インク袋1から導くためにピストン24に形成された導
出口25、ピストン24を介し、シール材23を押圧し
て接続口22を閉じるためのスプリング26が設けられ
ている。インク袋1内のインクは、導出チューブの外部
に設けられるポンプなどの吸引手段(不図示)により吸
引される。吸引手段が作動すると、ピストン24が図2
のA方向にひき動かされることで、シール材23と接続
口22との間に隙間が形成される。その結果、インク導
出管5→接続口22→導出口25→吸引孔6a→導出チ
ューブ7とインク流路が形成されて、インクタンクから
外部にインクが導出される。一方、仮にインクが導出チ
ューブ7を逆流するようなことがあっても、ピストン2
4は図2に示すような状態にはならないため、インク流
路は形成されず、逆流したインクが再びインクタンク内
に戻ることはない。
【0024】ここで、図1の大容量インク補充容器につ
いて詳述すると、蓋部材を含め6つの平面から構成され
たものである。この6つの面のうち、インク供給口10
8の両側にある内・外壁それぞれにおける最大面積の面
は、4つの角部(α1、β1、β1、α1)、(α2、
β2、β2、α2)で区分されている。ここで、角部と
は、略多面体により構成されるインクタンクにおいて、
少なくとも3つの面、より好ましくは3つの平面の交差
する交差部分、あるいはその延長面の交差部に対応する
部分を含む意味である。角部の符号の意味は、αが蓋部
材により形成される角部、βはそれ以外の角部であり、
添字1が外壁であること、添字2が内壁であることを表
している。
【0025】ここで、図1(a)に明らかなように、最
大面積面に隣接する一組の内壁面(図1(a)において
断面で表示される面)は、インク導出管に近い方が厚
く、インク導出管から遠い方が薄く形成されている。ま
た、最大面積をなす内壁面は、その厚さが、インク導出
管5に近い方が厚く、インク導出管から遠くなるにつれ
薄くなるように形成されている。
【0026】尚、図1は模式的概略図であるため、イン
クタンクの外壁101とインクタンク内壁102との位
置関係は空間を隔てたように描かれているが、実際は分
離可能な状態になっていればよく、内壁と外壁が接触し
ていても、微少な空間を隔てて配置されるように構成さ
れていてもよい。したがって、いずれの場合においても
初期状態において、インクタンクは、外壁101の内面
の形状に沿って、少なくとも外壁101の角部α1、β
1に対応した位置に内壁102の角部α2、β2がくる
ように成形されている。
【0027】本発明のインクタンクのインク収容部にイ
ンクを収容し、インク供給部からインクを導出させる
と、最大面積の面から変形をはじめるが、最大面積の面
のうち、厚さの薄いところから優先的に変形を行ない、
変形の順番がインク導出管から遠い方から優先的に変形
するように規定されている。更に、内壁の厚さ分布によ
っては、インクの導出に伴い溶着部104が外壁から離
れることが起こりうるが、その場合、溶着部104は長
さ成分を持っているため、変形する方向は限定される。
そのため、溶着部が外壁から外れる場合でも、その変形
は不規則ではなく、バランスをとりながら変形を行うこ
とになる。
【0028】従って、インク残量の大幅減少と供給部近
傍の容器潰れの大幅な遅延を達成し、インクの安定供給
性と、インクの無駄を防止できる新規な大容量インク補
充容器とすることができる。
【0029】次に、本実施例の大容量インク補充容器の
製造方法について、図3、図4を用いて説明する。
【0030】図3は、本実施例の大容量インク補充容器
の製造工程を示す説明図であり、図3の(a1)、(b
1)、(c1)は型の割り方向から見た図であり、(a
2)、(b2)、(c2)は、型割りの直角方向から見
た図である。また、図4は、大容量インク補充容器の製
造手順を示すフローチャートである。
【0031】まず、インジェクションノズルを多層ノズ
ルとして、内側の樹脂と外側の樹脂を型内に同時に射出
して(S201,S202)第1、第2パリソンが一体
化したものを用意する。この場合、樹脂の供給は内側の
樹脂と外側の樹脂が接触していてもよく、また全部が接
触していなくても良い、また樹脂の一部が接触する様な
構造でも良い。なお、この場合には、内側の樹脂と外側
の樹脂の接触する面は樹脂同士が溶着しない材質をそれ
ぞれ選択するか、型に供給する際にどちらか一方の樹脂
に化合物を加えることで分離可能に成形することが必要
である。また、インクに対する接液性や形状により同系
統の材質が必要となる場合には、内側の材質あるいは外
側の材質を多層構成として接触面に異種材料が位置する
ように樹脂を供給してもよい。
【0032】これらにより供給される外壁樹脂および内
壁樹脂により、第1及び第2のパリソンが一体となった
図3に示すパリソン217が形成される(ステップS2
03)。次に一体となったパリソン217に対して、こ
れを挟むように配置された金型218が図3(a1)、
(a2)に示す状態から図3(b1)、(b2)に示す
状態となるように移動してパリソン207を挟み込む
(ステップS204)。この時、図に示すようにパリソ
ンの供給方向と直交する切断面において、型の中心部と
パリソンの中心部とを偏倚させてパリソンを型内に供給
することで、インク導出管を有するインク収容空間を構
成する内壁面を厚くし、図1に示す厚み分布を有する容
器を容易に製造することができる。
【0033】続いて、図3(c1)、(c2)に示すよ
うにエアノズル(不図示)よりエアの注入がなされて金
型218に合った形状にブロー成形される(ステップS
205)。図3において、(a1)、(a2)はパリソ
ンが型に挟まれる前の状態であり、(b1)、(b2)
はパリソンが型に挟まれた状態を示している。この時、
型に挟まれた部分は円形のパリソンが潰れて扁平にな
り、他の部分より広がっている。この挟まれた部分がピ
ンチオフ部となり残る。この時、内壁と外壁とは隙間な
く密着されたものとなっている。また、型の中心部と、
パリソンの中心軸とを偏倚させたことで、インク袋に図
1(a)に示した厚みの分布が生じる。図1(a)では
省略されているが、この時、筐体もインク袋と同様の厚
み分布を有している。
【0034】次に、インク供給部以外の内外壁の剥離
(分離)を行う(ステップS206)。内壁と外壁の剥
離の方法としては、真空引きを行う以外に、内壁と外壁
を構成する成形樹脂に熱膨張率(収縮率)の異なる材料
を用いる方法が挙げられる。この場合は、ブロー成形
後、成形物の温度が下がることにより自動的に剥離させ
ることが可能となり、工程数を減少させることができ
る。また、同様にブロー成型時にパリソンを型によって
挟んだ部分に成形後外力をかけて内壁と外壁を剥離さ
せ、その隙間を空気に連通させることにより大気連通口
として用いることができ、これはインクジェット用のイ
ンク収容容器としては工程数を少なくできることからよ
り好ましい。
【0035】このように内壁と外壁を剥離させた後、型
から取り出し、蓋部材を取り付ける部分を切断する(S
207)。切断後、インク供給口108、チェック弁3
0、インク導出管5を有する蓋部材を取り付けることで
大容量インク補充容器は完成する(S208)。蓋部材
の取り付けは、熱、あるいは超音波溶着などにより行う
ことができる。蓋部材とインク袋との取り付けは、S2
07でインク袋上部を切断した場合、全周にわたって溶
着を行ない、確実に密閉空間を形成する必要がある。一
方、S207の切断する工程の際にインク袋を切断しな
いようにすると、袋はエアノズルによるエアの注入口以
外は密閉されているので、エアの注入口をインク供給口
として利用することで、蓋部材との取り付けについて
は、落下時の衝撃に対して外れることがないように考慮
するだけで良い。
【0036】上記のブロー成形では、パリソン217は
粘性がある状態で加工されるため、内壁樹脂、外壁樹脂
ともに配向性を持たないものとなる。また、ブロー成形
前の内壁樹脂、外壁樹脂の厚さをt,Tとすると、ブロ
ー成形後の厚さt1,T1は厚さt,Tよりも薄く加工
される。外壁樹脂および内壁樹脂の厚さにおける関係
は、本発明の趣旨からT>tとなり、T1>t1となる
ように形成した。
【0037】本実施例では、図1に示すインクタンク
を、外壁の材質をノリル樹脂(GE社登録商品)とし、
内壁の樹脂をノリル樹脂よりも弾性率の低いポリプロピ
レン樹脂として成形した。ブロー成形を用いることによ
り、製造時の工程数の減少と、部品点数を少なくしたこ
と等による歩留まりの向上だけでなく、図1に示したよ
うに、大容量インク補充容器の外壁101の形状に沿っ
て、外壁101の隅部に対応した位置に内壁102の隅
部がくるように内壁102の形状を作ることができる。
すなわち、インクを充填した初期状態で、インクタンク
外壁101に対してインクタンク内壁102が相似形と
なり、インクタンク内壁102を筐体となるインクタン
ク外壁101の形状に所定範囲の間隔で沿わせることが
できるため、従来の筐体内部に袋状容器を収容した場合
にみられたデッドスペースをなくすことができ、インク
タンク外壁内の単位体積あたりのインク収容量を多くす
る(インク収容効率を高くすることができる。
【0038】さらに、本実施例の構造をとることによ
り、インクの付着している内壁は外壁から剥離している
とともに薄層であるため、容易に外壁から取出して分別
廃棄もしくは分別リサイクルが可能である。
【0039】次に、本発明のインクタンクを構成する成
形樹脂について説明する。
【0040】本発明のインクタンクは、インクを収容す
る内壁と、該内壁を覆う外壁との2重構造により構成さ
れている。従って、内壁には、薄くしたときに可撓性の
あるもの、接液性に優れるもの、ガスに対する透過性の
低いものが、また外壁には、内壁を守るために強度の強
いものがそれぞれ望まれる。
【0041】そこで、本実施例と同様の形状を持つイン
クタンクを、成形樹脂としてポリプロピレン樹脂、ポリ
エチレン樹脂、ノリル樹脂を用いて成形した。ここで、
ノリル樹脂はほとんど結晶構造を持たない非晶質であ
り、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂は結晶性を
有する。
【0042】非結晶性を有する樹脂は一般に熱収縮率が
小さく、結晶性の樹脂は一般に熱収縮率が大きい。非晶
質のものとして、プラスチックではポリスチレン、ポリ
カーボネート、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。ま
た、結晶性のものとしては、結晶化に所定の環境下にお
いて、ある割合で結晶部分を形成するもので、ポリアセ
タール、ポリアミドなどが挙げられる。
【0043】そして、結晶性プラスチックは、ガラス転
移温度(Tg:分子がミクロブラウン運動を開始し、性
状がガラス状からゴム状に移行する温度)と比較的明確
な融点が存在する。一方、非晶質プラスチックの場合
は、ガラス転移温度は存在するが明確な融点は示さな
い。
【0044】プラスチックは、このガラス転移温度や融
点において機械的強度、比容積、比熱、熱膨張係数等が
急変するため、この性質を利用した材料の組み合わせを
選択することで、内側と外側の樹脂の剥離性を向上させ
ることができる。この一例は、前述した第1実施例のよ
うに、外側に非晶質であるノリル樹脂を用い、内側に結
晶性樹脂であるポリプロピレン樹脂を用いることで、外
側に機械的強度を有するもの、内側に熱収縮の大きく柔
らかいものが選択できる。
【0045】また、ポリマー分子がC−C結合及びC−
H結合のみからなる炭化水素構造の場合には無極性ポリ
マーと呼ばれる。それに対してO、S、N、ハロゲンな
どの極性原子を多く含むものを極性ポリマーと呼ぶが極
性ポリマーは分子内凝縮力が大きくなり、樹脂に結合力
が大きくなる。
【0046】この性質を利用して無極性どうしの樹脂、
無極性樹脂と極性樹脂の組み合わせをすることで樹脂の
剥離性を向上させることが可能となる。
【0047】一方、蓋部材に関しては、外壁及び内壁に
対して溶着可能なもので、内壁により構成されるインク
袋を密閉空間とするものであれば任意の材料でよい。リ
サイクル性の観点からは、インク袋と同種の材料である
ことが望ましい。
【0048】また、本発明の液体収納容器に使用される
材料としては、前述したようにポリエチレン樹脂、ポリ
プロピレン樹脂などが適用可能だが、内壁として使用さ
れる引張弾性率が150〜3000(kgf/cm2)程度の
条件を満たしていることが好ましい。この数値内におい
て、容器の形状、厚み、望まれる負圧性能等の条件によ
り目的にあった範囲の材料を選択可能である。
【0049】(第2実施例)図5は、本発明の第2の実
施例の大容量インク補充容器を説明するための説明図で
あり、(a)は部分断面図、(b)は側断面図、(c)
は分解斜視図を示している。図1(b)は図1(c)の
X−X方向から見た断面図である。なお、図5(c)で
は、蓋部材は取り外して描かれている。
【0050】本実施例の大容量インク補充容器(インク
タンク)10は、可撓性を有するインク袋1、仕切りリ
ブ2、ケース4、インク導出管5、蓋20により構成さ
れる。本実施例では、仕切りリブを有する点が第1実施
例と異なっている。
【0051】インク袋1は、図5に示すように上部が開
口した袋となっており、内部にインクを収容可能なイン
ク収容部を形成する。インク袋の材質としては、ポリプ
ロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル等の軟質樹脂シー
ト、又は、アルミ箔などの金属箔、又は、インクと接す
る部分を前記軟質樹脂のシートでラミネートした耐水
(撥水)紙、等が挙げられる。インク袋は柔軟であり、
内部に収容したインクの導出に伴い変形する。
【0052】仕切りリブ2は、インク袋1の内側に設け
られ、複数の連通孔3が形成されている。仕切りリブ2
は、インク袋を2つの空間に仕切っており、連通孔3に
よって、仕切りリブによって分割されたインク収容空間
内をインクは自由に移動することができる。なお、仕切
りリブ2の底部には、インク袋1の底部にインクが溜ま
らないように、複数のスリット3aが形成されている。
【0053】ケース(筐体)4は、インク袋1を収容し
てインク袋を保護し、落下などの耐衝撃性に耐えうるた
めの強度を有している。ケースの材質としては、内部に
収容されるインクの量に応じて、樹脂や厚紙などから選
択することができる。
【0054】蓋20は、結合部21aでインク袋1の開
口部を塞ぎ、インク供給口8を除いて密閉空間を形成す
るための蓋であり、蓋20が結合部21bにより筐体4
に取り付けられることで、インク袋はこの蓋により筐体
と一体となっている。蓋とインク袋、及び蓋とケースと
の結合部は、熱、あるいは超音波溶着、もしくは振動に
よる溶着により一体化されている。なお、蓋及び筐体4
によって囲まれた内部にインク袋が存在するが、インク
袋と筐体との隙間は、大気に対して開放され、インクの
使用に伴うインク袋の変形を阻害しないようになってい
る。
【0055】上述のインクタンク10は、仕切りリブ2
をインク袋1内部に挿入し、蓋20にインク導出管5を
接続した状態でインク袋の開口部の全周を結合部21a
と溶着し、その後、ケース4と結合部21bで溶着する
ことで製造される。ここで、ケース20と蓋4とは完全
な密閉にせずに、インク袋を保護し得る程度に結合され
ていればよい。強度などの観点から、完全に密閉する必
要がある場合には、インクの使用に伴うインク袋の変形
を阻害しないように、インク袋とケースの間に大気を導
入するための連通孔を設ける必要がある。
【0056】次に、インク導出時のインク袋の変化につ
いて説明する。
【0057】インク袋1は、仕切りリブ2によりインク
袋の小容積を占める空間Pと、大容積を占める空間Qと
に仕切られている。インク導出管5は、空間P側に設け
られている。そして、本実施例のインク袋は、空間P側
のインク袋のシート厚さが、空間Q側のシート厚さより
厚くなっている。
【0058】このように、袋の厚さが異なるため、イン
クが消費され、インク袋が変形する際に、空間Q側を構
成するインク袋が、空間P側を構成するインク袋より積
極的に変形し、インクは連通孔3を矢印Bに示す方向に
移動する。この時、仕切りリブ2には連通孔が多数設け
られているので、インクの消費に伴う袋の変形により、
全ての連通孔が塞がれてしまうことはない。その結果、
空間Q側のインクは、インク袋及び仕切りリブにより閉
空間を作られることなく、空間P側へ移動することがで
きる。
【0059】一方、空間Pは、空間を構成するインク袋
が変形規制部材となり、空間Qに比べて変形を規制する
ので、空間Qが変形した後、変形する。
【0060】このように、インク袋を仕切りリブで仕切
り、その仕切られたインク収容空間の容積の大小にあわ
せてインク袋の厚さを偏厚とすることで、インク袋内の
インク消費をインク導出管を持たない特定のインク収容
空間から行なわせることができる。その結果、インク袋
内のインク残りを大幅に減少することができる。
【0061】本実施例では、容器の製造方法について、
第1実施例と異なる方法を採用したが、第1実施例の製
造方法により製造した容器内に、本実施例の仕切りリブ
を設けても、本実施例と同様の効果を得られることは言
うまでもない。
【0062】(第3実施例)図6は、本発明の第2実施
例の大容量インク補充容器の内部を示す概略斜視図であ
り、図7(a)及び(b)は、大容量インク補充容器使
用時の図6のY−Y方向の断面図である。本実施例で
は、仕切りリブの構造、及びインク袋の厚み分布が前述
の第2実施例と異なっている。
【0063】本実施例では、図6及び図7に示すよう
に、2a,2b,2c,2d,の4つの仕切りリブによ
りX字型にリブが形成され、インク袋内のインク収容部
をP1,P2,P3,Qの4つのインク収容空間に仕切
っている。そして、インク収容空間P1には、インク導
出管が設けられている。
【0064】本実施例のX字リブは、図7(a)及び
(b)に示すように、その交点部を中心に対向するリブ
との距離を自在に変化(開脚及び閉脚)させることがで
きる。これらのリブには、第1実施例と同様、連通孔3
及びスリット3aが設けられている。
【0065】本実施例でも、第1実施例同様、インク袋
の厚みに差を設け、インク収容空間Qを形成するインク
袋の厚みを他に比べて薄くすることで、インクの導出時
に一番容積の大きいインク収容空間Qから積極的に変形
を行なわせることができる。そして、インク導出管5を
有するインク収容空間P1を形成するインク袋の厚みを
他に比べて厚く設定することで、最後までインク導出管
近傍のインク収容空間の形状を他に比べて保たせ、安定
したインクの導出を実現することができる。
【0066】(その他の実施例)以上、本発明の要部の
実施形態について説明したが、以下に、これらの実施形
態に好ましく適用できる適用例について説明を行なう。
【0067】なお、以下の説明においては、特に断りの
ない限り、上述の各実施例に適用可能である。
【0068】(筐体の構造)上述した各実施例の筐体に
ついて、金属材料などで構成し、蓋部材に対し、着脱自
在に構成されるものとしてもよい。このように筐体と、
インク袋及び蓋部材とを分離可能にすることで、インク
袋内のインクが使用された後は、インク袋及びインク袋
と一体化された蓋部材とを筐体から分離することで、筐
体を再利用することができる。
【0069】特に、第1実施例のように、ブロー成形を
用いて大容量インク補充容器を製造する場合、前述した
外壁の1つの機能として内壁の角部の変形を規制するこ
とをあげたが、この機能を発揮する構造としては、内壁
の変形に対しては形状を維持でき、かつ角部の周囲を覆
う構造(角部包囲部材)を有するものであればよい。
【0070】従って、プラスチック、金属あるいは、厚
紙等の材質で、上述した外壁または内壁を覆う構造にし
てもよい。この外壁としては、全面でもよく、角部のみ
面構造で、この面構造を金属等の棒で結合するようなも
のでも良い。さらに外壁は、メッシュ構造でも良い。な
お、上述の角部包囲部材を用いる場合には、外壁と内壁
を同時に成形した後、外壁を取り外すか、あるいは内壁
単層で成形することで、容易に製造することができる。
【0071】なお、上述の各実施例では、いずれもチェ
ック弁を有する構成を開示しているが、インクの逆流を
許容するインクジェットプリントシステムに本発明の大
容量インク補充容器を適用する場合には、チェック弁は
なくてもよい。
【0072】(インクジェットプリントシステム)次
に、インクジェットプリントシステムの一例である、カ
ラー対応のインクジェット記録装置について図8〜図1
0を用いて説明する。図8は、インクジェット記録装置
の概観を示す斜視図である。
【0073】図8に示すように、互いに平行に配設され
た2本の主走査レール57には、ヘッドキャリッジ54
及び供給キャリッジ55が矢印A方向に摺動自在に嵌合
されている。ヘッドキャリッジ54には、記録信号に基
づいてインクを吐出するインク吐出部51が搭載されて
いる。
【0074】インク吐出部51は、シアン、マゼンタ、
イエロー及びブラックの4色のインクに対応して、それ
ぞれの色ごとに複数個ずつ配列されたノズルを有する。
各ノズルにはそれぞれインク吐出用の熱エネルギーを発
生する電気熱変換体が設けられている。インク吐出部5
1内には、ノズルでの毛管現象によりインクが供給さ
れ、インクはインク吐出部51のノズルが開口した面
(以下、「ノズル面」という)でメニスカスを形成して
ノズルを満たした状態を保つ。この状態で電気熱変換体
に通電することにより、電気熱変換体上のインクが加熱
されて発泡現象が発生し、その発泡のエネルギーにより
ノズルからインク液滴が吐出する構成となっている。ま
た、吐出ヘッド部51は、吐出ヘッド部51を駆動する
ための駆動基板とともに、ヘッドカバー56で覆われて
いる。吐出ヘッド部51の駆動基板は、フラットケーブ
ル63を介して、この記録装置全体の動作を制御する制
御基板等を収納する基板ボックス64と接続されてい
る。
【0075】一方、供給キャリッジ55には、吐出ヘッ
ド部51にインクを供給するためのサブタンク53が搭
載されている。サブタンク53の内部は各色インクに対
応して4つの室に分けられており、それぞれの室が、対
応する吐出ヘッド部51にゴム製のチューブで接続され
ている。さらに、サブタンク53の下方には、サブタン
クに供給するインクを収容する4つのメインタンク(イ
ンク補充容器)52が配置されている。
【0076】メインタンク52は本発明の大容量インク
補充容器が使用され、サブタンク3よりも大きな容量を
有するものであり、本例の場合、500〜1000cm
3のインクを収容することができる。各メインタンク5
2も、各色インクに対応するもので、それぞれゴム製の
チューブによってサブタンク53の各室に接続されてい
る。これにより、メインタンク52に収容されたインク
はサブタンク53に供給されてサブタンク53内に保持
され、さらにサブタンク53から吐出ヘッド部51に供
給される。メインタンク52と吐出ヘッド部51との間
のインクの経路及びその経路中の詳細な構成については
後述する。なお、サブタンク53とメインタンク52と
を接続するチューブは、フラットケーブル63とともに
保護部材62で一括して覆われ、保護されている。
【0077】ヘッドキャリッジ54及び供給キャリッジ
55は、それぞれタイミングベルトに結合され、主走査
モータ58によってタイミングベルトを回転させること
で、矢印A方向に往復走査される。吐出ヘッド部51の
ノズルに対向する位置には、プラテン59が設けられ
る。記録紙65は、プラテン59上を矢印B方向に搬送
される。記録紙65の搬送は吐出ヘッド部の一走査ごと
に所定のピッチで間欠的に行われ、この間に吐出ヘッド
部51からインクを吐出して記録が行われる。
【0078】また、吐出ヘッド部51の走査領域内で、
かつ、記録紙65への記録領域外には、吐出ヘッド部5
1のインクの吐出特性を良好に維持するためのヘッド回
復系60が、吐出ヘッド部51と対向して配置されてい
る。ヘッド回復系60は、吐出ヘッド部51をキャッピ
ングするキャップ67と、吐出ヘッド51のノズル面を
清浄にするためのブレード61とを有する。吐出ヘッド
部51がキャップ67と対向するときの吐出ヘッド部5
1の位置を、ホームポジションという。
【0079】次に、本発明の液体吐出記録装置に用いら
れる液体補充システムについて、図9〜図10を用いて
説明する。
【0080】図9は、本発明の液体供給装置を適用した
液体吐出記録装置のインクの経路の一例を示す図であ
る。上述したように、本実施形態のインクジェット記録
装置は複数色のインクを使用するものであり、インク経
路も各色ごとに設けられているが、それぞれのインク経
路はいずれも同じであるので、図9には1色のインクに
ついての経路を示している。
【0081】図9に示すように、メインタンク52とサ
ブタンク53とは、メインチューブ76で接続される。
メインチューブ76のメインタンク52と接続される側
の端には、注射針のような中空の針(不図示)が取り付
けられており、これをインクタンクのインク取り出し口
に差し込むことで、メインチューブ76とメインタンク
52とが接続される。メインチューブ76の他端部はサ
ブタンク53内に挿入されており、その先端には、サブ
タンク53内への異物の流入を防止するフィルタ75が
取り付けられている。サブタンク53に挿入された側の
メインチューブ76の先端は、(E)で示す高さよりも
低い位置に位置している。また、メインチューブ76に
は、インクがメインタンク52からサブタンク53に流
れるときにのみ開く一方向弁77が設けられており、こ
れによりサブタンク53からメインタンク52へのイン
クの逆流が防止される。
【0082】サブタンク53には、サブタンク53内の
インク残量を検知するために、それぞれサブタンク53
の上端から挿入された3本の電極針a,b,cで構成さ
れるインク残量検知センサ73が設けられている。各電
極針a,b,cのうち2本の電極針a,bは、それぞれ
先端が(E)で示す高さまで挿入されており、残りの電
極針cは先端が(F)で示す高さまで挿入されている。
そして、各電極針a,b,cに低電圧の電流を流し、イ
ンクを介しての各電極針a,b,c間の導通を検知する
ことで、サブタンク3内のインク量が検出される。具体
的には、インクの液面の高さが(E)の高さよりも低け
れば、電極針aと電極針bとの間は不導通となり、これ
を検知したら、後述するようにしてメインタンク52か
らサブタンク53へインクが供給される。インクの液面
の高さが(F)の高さよりも高ければ、電極針aと電極
針cとの間は導通し、これを検知したらサブタンク53
へのインク供給が停止される。
【0083】また、サブタンク53の上部の(F)で示
す高さよりも高い位置には、不図示の駆動源で開閉され
る大気開放弁74が設けられる。
【0084】サブタンク53の底部と吐出ヘッド部51
とは、サブチューブ84によって接続されている。この
ため、サブタンク53から吐出ヘッド部51へのインク
の供給は、吐出ヘッド部51のノズルでの毛管現象によ
ってなされる。ここで、サブタンク53内のインクの液
面に対して吐出ヘッド部51が低い位置にあるとノズル
からのインク漏れが生じ、逆に吐出ヘッド部51の位置
が高すぎると吐出ヘッド部51にインクが供給されなく
なるので、吐出ヘッド部51は、インクがノズル面でメ
ニスカスを形成してノズルを満たした状態を保つような
位置に設置する必要がある。本実施形態では、吐出ヘッ
ド部51を、(E)で示す位置から吐出ヘッド部51の
ノズル面までの高さaが50mm、(F)で示す位置から吐
出ヘッド部51のノズル面までの高さbが10mmとなる位
置に配置した。
【0085】一方、サブチューブ84には、サブチュー
ブ84を押し潰すことでサブタンク53と吐出ヘッド部
51との間のインク経路を閉鎖するサブチューブ密閉弁
80が設けられている。サブチューブ84は、(E)で
示す高さよりも低い位置でサブタンク53と吐出ヘッド
部51とに接続されている。
【0086】吐出ヘッド部51をキャッピングするキャ
ップ67は、吸引チューブ86で廃インクタンク71に
接続されている。吸引チューブ86には吸引用ポンプ6
8が設けられており、キャップ67で吐出ヘッド部51
をキャッピングした状態で吸引用ポンプ68を駆動する
ことで、吐出ヘッド部51内のインクはキャップ67に
吸引され、吸引チューブ86を介して廃インクタンク7
1に収容される。
【0087】さらに、廃インクタンク71とサブタンク
53とは、負圧チューブ87で接続されている。負圧チ
ューブ87は、(F)で示す高さよりも高い位置でサブ
タンク3と接続される。また、負圧チューブ87には、
負圧チューブ密閉弁81と負圧発生用ポンプ69とが設
けられており、負圧チューブ密閉弁31を開いた状態で
負圧発生用ポンプ19を駆動することで、サブタンク3
内の気体(空気)が吸引される。吸引された空気は廃イ
ンクタンクの開口部71aから外部に排出される。後述
するように、負圧チューブ内はサブタンク内の気体を排
出するものであるため、その端部が外部に対して開放さ
れていれば、必ずしも廃インクタンクに接続されていな
くても良い。
【0088】なお、吸引用ポンプ68及び負圧発生用ポ
ンプ69はチューブポンプであり、それぞれポンプモー
タ70で駆動される。
【0089】以上説明した構成に基づく、本発明の液体
補充動作について、図10のフローチャートを参照して
説明する。
【0090】液体補充動作は記録動作とともに行われ
る。まず、吐出ヘッド部51を往復走査と記録紙のピッ
チ送りとを繰り返しながら、記録信号に基づき吐出ヘッ
ド部からインクを吐出して記録紙に印字(記録)を行う
(S301)。このとき、サブチューブ密閉弁80及び大気
開放弁74は開いておく。また、吸引用ポンプ68及び
負圧発生用ポンプ69は停止している。
【0091】記録紙への記録に伴って、サブタンクのイ
ンクは消費される。
【0092】ここで、メインチューブ76の先端はサブ
タンク53内のインク中に浸されており、メインタンク
からメインチューブまではチューブ端部を除き大気に対
して密閉系であることから、インクの消費によりサブタ
ンク内の液面が低下しても、このままではメインタンク
からサブタンクへはインクは供給されない。
【0093】サブタンク53内のインクが消費され、サ
ブタンク53内のインクの液面の高さが(E)で示す高
さよりも低くなると、インク残量検知センサ73の電極
針aと電極針bとの間が不導通となり、サブタンク内の
インク残量が少なくなったことが検出される(S302)。
【0094】このことが検出されると、その時点で記録
を行っている記録紙への記録を一時的に終了(S303)し
た後、吐出ヘッド部51はホームポジションに戻され、
キャップ67により吐出ヘッド部をキャッピングする
(S304)。次いで、サブチューブ密閉弁80を閉じ(S3
05)、大気開放弁74を閉じることで、インク供給経路
中においてサブタンクを密閉空間とする(S306)。
【0095】その後、負圧チューブ密閉弁81を開く
(S307)。この状態で負圧発生用ポンプ69を駆動させ
る(S308)と、負圧チューブ87を介してサブタンク5
3内の空気が排出され、サブタンク53内に負圧が発生
する。すなわち、サブタンク53は密閉減圧空間とされ
る。これにより、サブタンク53にはメインタンク52
のインクが補充される(S309)。
【0096】この時、サブチューブ密閉弁80が閉じら
れているので、吐出ヘッド部51からサブタンク53へ
インクが戻ることはない。また、メインタンク52内の
インクがサブタンク53に供給される際、メインチュー
ブ76の先端に取り付けられたフィルタ75により異物
が漉過される。
【0097】さらに、本実施例では、メインチューブの
サブタンク内における端部が、液体の補充を許可するた
めの検出位置より下方に存在するため、メインチューブ
の端部は常時サブタンクに収容されたインク中に存在す
る。このため、インク補充動作によるサブタンク内での
インクの泡立ちがない、安定したインク補充を実現でき
る。また、より一層安定したインク補充を実現するため
に、本実施例では負圧チューブ密閉弁を開いた後に、負
圧発生ポンプを駆動している。このため、補充動作の定
常状態での吸引力がかなり高いものである場合でも、補
充動作初期にはサブタンク内に急激な変化を与えること
なく負圧チューブから空気を外部に排出することが出来
る。
【0098】このように、サブタンクへのインクの補充
はインク残量検知センサ73などの残量検知手段の検出
結果に基づいて行われ、必要なときのみ補充されるの
で、サブタンクへのインクの補充による記録動作の停止
時間は最小ですむ。
【0099】補充動作中は、補充動作を開始してからの
時間(S310)と、液面の高さの検出(S311)が行われ
る。後述する所定の時間内に、サブタンク53内のイン
クの液面が(F)で示す高さに達すると、インク残量検
知センサ73の電極針aと電極針cとが導通となり、サ
ブタンク内に所定量のインクが充填されたことが検出さ
れる。
【0100】この時点で負圧チューブ密閉弁81を閉じ
(S312)、負圧発生用ポンプ69を停止する(S313)。
そして、大気開放弁74を開くことで、確実にサブタン
クの減圧状態を解除し(S314)、サブチューブ密閉弁8
0を開放する(S315)。
【0101】このように負圧チューブにインクが流入す
る前に負圧発生手段を停止させることで、負圧チューブ
内にインクと空気が混在して負圧チューブ内の流抵抗を
増加させることを防止し、負圧発生用ポンプを小型化す
ることが出来る。
【0102】また、負圧チューブ密閉弁を閉じた後、負
圧発生用ポンプを停止させることで、万一負圧チューブ
にインクが流入した場合、流入したインクの逆流を防ぐ
ことができる。
【0103】なお、サブタンク53へのインク供給時の
負圧発生用ポンプ69の駆動時間はサブタンクに所定量
のインクを充分注入できるだけの所定の時間に予め決め
られている。そして、この時間だけ負圧発生用ポンプ6
9を駆動してもインク残量検知センサ73の電極針aと
電極針cとの導通が検出されない場合には、メインタン
ク52内のインクが無いと判断して、記録装置本体の表
示部(不図示)にその旨の表示を行う(S316)。メイン
タンク52内のインクがなくなった場合には、メインタ
ンク52をジョイントキャップ78から取り外し、新た
なメインタンクと交換する。
【0104】以上説明したように、メインタンクから吐
出ヘッド部へはサブタンクを介してインクが供給される
ようにするとともに、サブタンク内の空気を排出する負
圧発生用ポンプを設け、この負圧発生用ポンプによりサ
ブタンク内に負圧を発生させてメインタンクからインク
を供給することで、メインタンクを大容量のタンクとし
ながらも、メインタンクとサブタンクとの間にインクを
送り出すための機構を設ける必要がなくなる。その結
果、インク供給経路の構成が簡単になり、インク供給経
路で発生するゴミや油成分等の異物も少なくなるので、
安定したインク供給が実現され、吐出ヘッド部のノズル
の目詰まりも発生しにくくなる。また、負圧発生用ポン
プがインク供給経路とは別の経路に設けられているの
で、インク供給経路における接続部も少なくなるので、
チューブの外れ等によるインク漏れのトラブルも少なく
なる。
【0105】また、本発明の実施形態を上述のインクジ
ェットプリントシステムに適用することで、インクの逆
流の恐れのなく、かつ、インク残量の大幅に減少させる
ことができる。
【0106】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
可撓性のインク袋の潰れかたを規制し、インク導出管部
に確実にインクを供給すると共に、かつ、つぶれ残りを
少なくすることが出来るので、インク残量の大幅減少と
供給部近傍の容器潰れの大幅な遅延を達成し、インクの
安定供給性と、インクの無駄を防止できる新規な大容量
インク補充容器の提供を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)は本発明の第1実施例
の大容量インク補充容器の模式的概略断面図であり、
(a)は断面図、(b)は側面図、(c)は斜視図であ
る。
【図2】本発明の第1実施例の大容量インク補充容器の
インク供給口近傍の拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施例の大容量インクタンクの製
造方法を示す説明図である。
【図4】本発明の第1実施例の大容量インクタンクの製
造手順を示すフローチャートである。
【図5】(a)、(b)、(c)は本発明の第2実施例
の大容量インク補充容器の模式的概略断面図であり、
(a)は部分断面図、(b)は側断面図、(c)は分解
斜視図である。
【図6】本発明の第3実施例の大容量インク補充容器の
概略斜視図である。
【図7】(a)、(b)はそれぞれ本発明の第3実施例
の大容量インク補充容器のインク導出に伴うインク袋の
変化を示す説明図である。
【図8】本発明の大容量インク補充容器を適用可能なイ
ンクジェットプリントシステムの一例の概略図である。
【図9】図8に示すインクジェットプリントシステムに
用いられる液体供給システムを示す説明図である。
【図10】図9に示す液体供給システムの動作を説明す
るフローチャートである。
【符号の説明】
1 インク袋 2 仕切りリブ 3,3a 連通孔 4 ケース(筐体) 5 吸引管(インク導出管) 6 中空針 6a 吸引孔 7 導出チューブ 8 インク供給口 10 インクタンク(大容量補充タンク) 20 蓋部材 30 チェック弁
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−34990(JP,A) 特開 平9−267483(JP,A) 特開 平4−10944(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/175

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部にインクを収容する可撓性のインク
    袋と、該インク袋に収容されたインクをインク取り出し
    口から外部へ導出するためのインク導出管と、前記イン
    ク袋を収容する筐体と、を有するインクジェットプリン
    トシステムに用いられる大容量インク補充容器におい
    て、 前記インク導出管は、その端部が前記インク袋の底部に
    存在するとともに前記インク袋内に偏倚して設けられ、 前記インク袋の前記インク導出管近傍の厚みが他の部分
    の厚みに比べて厚く、 前記インク袋の内部に、連通孔を有するとともに該イン
    ク袋内のインク収容空間を複数の空間に分割するための
    仕切りリブを設ける ことを特徴とする大容量インク補充
    容器。
  2. 【請求項2】 前記インク取り出し口に、前記インク袋
    へのインクの導入を阻止する逆止弁を設けたことを特徴
    とする請求項1に記載の大容量インク補充容器。
  3. 【請求項3】 前記インクジェットプリントシステム
    は、 一時的に液体を保有し大気を導入することで前記液体を
    下流側に供給するサブタンクと、 該サブタンクを密閉空間にするための手段と、 前記サブタンクに前記大容量インク補充容器から液体を
    補充するために前記サブタンク内を減圧する負圧発生手
    段と、 前記サブタンクに補充された液体を前記サブタンクから
    下流側に供給可能な状態とする手段と、 を有することを特徴とする請求項1に記載の大容量イン
    ク補充容器。
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