JP3340225B2 - 耐銹性に優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼およびドリリングタッピンねじ - Google Patents

耐銹性に優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼およびドリリングタッピンねじ

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JP3340225B2 JP00161194A JP161194A JP3340225B2 JP 3340225 B2 JP3340225 B2 JP 3340225B2 JP 00161194 A JP00161194 A JP 00161194A JP 161194 A JP161194 A JP 161194A JP 3340225 B2 JP3340225 B2 JP 3340225B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐銹性を必要とする用途
に使用される高強度マルテンサイト系ステンレス鋼に関
わり、更に詳しくは例えばねじ込み性および耐銹性に優
れたねじ、打ち抜き性および耐銹性に優れた釘、耐銹性
に優れた刃物および耐銹性に優れた高強度ばねに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、炭素鋼製品および表面処理鋼板の
ねじ止め加工においては、炭素鋼製の図1に示すような
ドリリングタッピンねじと呼ばれる特殊ねじが使用され
ている。そして、作業効率向上やコスト低減のため、下
穴や中穴加工を実施せずに図2に示すように鋼板表面か
ら直接ねじ込み加工する工法が実施されている。すなわ
ち、ねじの先端がドリル状に刃先加工され、鋼板および
鉄板の下部構造物をドリリングすると同時にねじ部でタ
ッピングする工法が採られている。しかし、近年、酸性
雨等の地球環境の悪化に伴い、炭素鋼ドリリングタッピ
ンねじの高耐銹化すなわちステンレス化が要求されるよ
うになってきた。
【0003】又、近年、感性・耐銹性の観点からステン
レス鋼製品が建築・建材や車両等に幅広く使用されるよ
うになってきた。この種のステンレス鋼製品は主に構造
物の表面にスポット溶接やねじ止め加工により張り付け
られて使用されてきた。ねじ止め加工に際し、ステンレ
ス鋼ねじが使用されてきたが、硬さ不足のため、ドリリ
ングタッピンねじ化ができなかった。そのため、従来は
図3に示すようにねじが挿入できるように下穴加工され
た鉄鋼構造物と穴開け(中穴)加工されたステンレス鋼
製品の両穴部を整合させ、ステンレス鋼ねじをその両方
の穴部を通して止めていた。しかし、作業効率向上やコ
スト低減のためステンレス鋼ねじのドリリングタッピン
ねじ化が要求されるようになってきた。
【0004】このようなステンレス製のドリリングタッ
ピンねじ用材料に対し、5mm以上の鉄板にねじ込むため
に、ねじの刃先部はビッカース硬さで500以上が、ね
じ部では400以上が要求される。又、ねじの頭部は鋼
板の表面に露出するためSUS304と同等の耐銹性が
要求される。又、ねじの頭部および軸部はねじ込み時に
損傷しないように衝撃値で60J/cm2 以上の高靭性が要
求される。更にねじ用素材には刃先加工やねじ切り加工
およびヘッディング加工が容易であることが要求され
る。このように製品加工前の素材は、高冷間加工性を有
し、かつ使用時に、強度がビッカース硬さで500以
上、耐銹性がSUS304並および高靭性の特性を持つ
材料が要求される。
【0005】従来、このような材料として、高加工硬化
特性を有するオーステナイト系ステンレス鋼の適用が試
みられているが、従来材は冷間加工性および工具寿命に
劣っている。
【0006】又、オーステナイト系ステンレス鋼のSU
S305やSUSXM7等を冷間加工後、窒化処理によ
り硬化させた製品がある。しかし、これら表面窒化処理
材の耐銹性はSUS304より劣っている。又、マルテ
ンサイト系ステンレス鋼のSUS410を冷間加工後、
窒化焼入れした製品が提案されているが、耐銹性がSU
S304より劣っている。又、近年、高強度、高靭性、
高耐銹性の材料としてC:0.15%、Si:0.2
%、Mn:0.68%、Ni:6.2%、Cr:11.
3%、Mo:2.1%、N:0.051%、Zr:0.
15%系でδフェライトを含有せず、高焼入れ性のマル
テンサイト系ステンレス鋼が提案されている。しかしな
がら、Ac1点が560℃と低いことから焼鈍時の軟化
抵抗が高く、ヘッディング加工等の高冷間加工ができな
いばかりか、焼入れ硬さがHvで500以下(480程
度)であり、ねじ込み性に劣り目標特性を達成できない
現状にある。
【0007】このように、現状では前記の必要特性全て
を兼備する材料は現出しておらず、ねじ止め加工は、S
US305やSUSXM7系ステンレス鋼を冷間加工に
より強化したねじの先端にドリル形状の工具鋼を接合し
たドリリングタッピンねじが使用されている。又、炭素
鋼製のドリリングタッピンねじのねじ頭にプラスチック
製のキャップを被せてねじ頭のみに耐銹性を付与したド
リリングタッピンねじが使用されている。しかし、これ
らの工法は高価なため、一体物による開発が試みられて
いるが、上述のように目標特性を達成できる材料は現出
していない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はマルテンサイ
ト系ステンレス鋼において、前記問題の全てを解決した
鋼を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、
高硬度、高耐銹性のねじ、釘、ばね等を製造する素材で
あって冷間加工性が特に優れた線材を安価に提供するこ
とを目的とする。本発明の他の目的は耐銹性とねじ込み
性に優れたドリリングタッピンねじを安価に提供するこ
とを目的とする。本発明者らは以上の目的を達成するた
めに、以下に述べる技術を開発したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はマル
テンサイト系ステンレス鋼の成分について種々究明した
ところ、重量%で、Siを0.1〜0.5%、Mnを
0.1〜2%、Crを12.0〜16.0%、Moを
1.3〜3.5%含有し、かつ、下記の(1),(2)
式で表されるARIの値が16〜21(%)、DIの値
が0(%)未満で、マルテンサイト組織、又は、焼戻し
マルテンサイト組織を有し、0.2μm以上のCr炭化
物がない場合に、マルテンサイト系ステンレス鋼で耐銹
性がSUS304並、すなわち、孔食発生電位が200
mV以上になることを見出した。 ARI=Cr+2.4 Mo ………(1)式 DI =Cr+1.21Mo+0.48Si+2.48Al −(24.5C+18.4N+Ni+0.11Mn)−10.0 ………(2)式
【0010】更に、本発明者らは前記ステンレス鋼にお
いて、Niを1.0〜2.5%、Cを0.13〜0.2
%、Nを0.06〜0.13%添加し、かつ、(3)式
で表されるマルテンサイト量指標であるMIの値が0
(%)未満の場合、焼入れ後又、焼入れ・焼戻し後のマ
ルテンサイト硬さがHv≧500になることを見出し
た。 MI =Ni+30C+0.12Mn+18N+0.83(Cr+1.5 Si+1.4 Mo) −25.0 ………(3)式
【0011】更に、又、本発明者らは上記ステンレス鋼
の成分において、Niを1.0〜2.5%とし、Ac1
を650℃以上にして、(4)式で表される冷間加工性
指標であるW1の値を260(%)未満にすると、焼鈍
時に軟化抵抗が低いため冷間加工性に優れ、割れなくね
じ頭等の高冷間加工ができることを見出した。 W1 =24Mo+13.3Cr+6Mn+6Si+Ni ………(4)式 すなわち、前記諸成分と(1)〜(4)式を満足し、か
つマルテンサイト組織(焼戻し組織を含む)を有するス
テンレス鋼はSUS304並の優れた耐銹性とHv≧5
00のマルテンサイト硬さを有し、更に、前記諸成分と
(1)〜(4)式を満足する鋼は熱間圧延材を焼鈍後、
冷間加工する際に、著しく向上した冷間加工性を示す。
そのため、熱延後焼鈍処理された線材は引張強度が95
0N/mm2以下であって、極めて冷間加工性に優れてい
る。なお、前記の線材圧延後の焼鈍は、処理時間を短縮
するために2段焼鈍、すなわち、1回目の焼鈍では70
0〜800℃で0.5時間以上保定し、その後、100
℃以下まで冷却し、続いて2回目の焼鈍では600〜7
50℃で0.5時間以上保定する。
【0012】前記の鋼成分に加えて、Bを0.001〜
0.010%添加すると焼鈍後の線材引張強度が930
N/mm2 以下になって、更に冷間加工性を向上できる。
又、その後の焼入れ後のマルテンサイトの硬さがHv≧
520になり、かつ、靭性を向上することができる。又
Tiを0.05〜1.0%、Nbを0.05〜1.0%
添加すると耐銹性を更に向上することができる。又、下
記(5)式で表される冷間加工性指標であるW2の値を
260(%)未満にすると、焼鈍時に軟化抵抗が低いた
め冷間加工性に優れ、割れなくねじ頭等の高冷間加工が
できる。 W2=24Mo+13.3Cr+6Mn+6Si+Ni+10Ti+10Nb…(5)式
【0013】前述したマルテンサイト系ステンレス鋼は
ねじ込み性と耐銹性を必要とするドリリングタッピンね
じを製造するのに極めて適している。すなわち、熱延線
材を焼鈍した後、容易にねじを成形することができ、更
にこれを例えば好ましい範囲として1050〜1300
℃の温度範囲から0.5℃/s以上の冷却速度で焼入れ
し、続いて100〜400℃の温度範囲で焼戻しするこ
とにより、刃先硬さがHvで500以上で、厚さが5.
5mmのSS400の鋼板にねじ込み可能なドリリングタ
ッピンねじを製造することができる。
【0014】
【作用】先ず、本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼
の成分範囲の限定理由について具体的に述べる。
【0015】Cはマルテンサイト系ステンレス鋼のビッ
カース硬さ500以上を確保するために0.13%以上
(以下全て重量%)添加する。しかし、0.20%を超
えて添加すると粗大炭化物を析出させて耐銹性や冷間加
工性を低下させるばかりか、MIの値が大きくなって残
留オーステナイト組織が存在して焼入れ硬さを低下させ
ることから、上限を0.20%に限定した。
【0016】Siは脱酸のために必要な元素であるが、
0.5%を超えて添加すると冷間加工性を著しく低下さ
せることから、上限を0.5%に限定した。又、0.1
%未満では脱酸効果を得ることができないので下限を
0.1%とした。Mnは脱酸のため、オーステナイトの
生成のためおよびN固溶のため添加するが、2.0%を
超えて添加すると耐銹性を低下させるばかりか、MIの
値が大きくなって残留オーステナイト組織が存在し、焼
入れ硬さを低下させることから、上限を2.0%に限定
した。又、0.1%未満では上記の効果が得られないの
で下限を0.1%とした。
【0017】CrはMIの値を低下させて残留オーステ
ナイト組織を減少して、マルテンサイト組織を有効に得
るためと、(1)式のARIの値を大きくして耐銹性を
付与するために12.0%以上添加する。しかし、1
6.0%を超えて添加すると(2)式のDIの値が過大
となってδフェライト組織が存在し、焼入れ硬さおよび
耐銹性を著しく低下させるため上限を16.0%に限定
した。MoはARIの値を増大して耐銹性を付与するた
めと靭性を改善するために1.3%以上添加する。しか
し、3.5%を超えて添加するとその効果は飽和するば
かりか、DIの値が過大となってδフェライト組織が存
在し、焼入れ硬さおよび耐銹性を著しく低下させるため
上限を3.5%に限定した。
【0018】Niはマルテンサイト組織の靭性を高める
ために1.0%以上添加する。しかし、2.5%を超え
て添加してもその効果は飽和し、経済的でない。又、A
1温度を低下させるため焼鈍温度が低くなり、軟化し
難く、冷間加工性に劣る。又、2.5%を超えると応力
腐食割れ感受性が高くなるばかりか、(3)式のMIの
値が増大して残留オーステナイト組織が存在し、焼入れ
硬さを低下させるため上限を2.5%に限定した。Nは
焼入れ硬度を上昇、母材の耐銹性のためと、DIの値を
低下させてδフェライト組織を抑え耐銹性を付与するた
めに0.06%以上添加する。しかし、0.13%を超
えて添加すると鋼中への固溶量を超えて気泡やCr炭窒
化物を生成して耐銹性を低下させるため上限を0.13
%に限定した。
【0019】Bは焼鈍後の強度を下げ冷間加工性を向上
させる。又、最終製品の強化に当たって、焼入れ硬さと
靭性を向上させる。更に、製造性の面から熱間加工性を
改善する。従って、上記効果が本発明鋼にとって更に必
要なとき、0.001〜0.010%の範囲内で添加す
る。0.010%を超えるとホウ化物を析出し、逆に靭
性および熱間加工性を悪くするばかりか耐銹性を劣化さ
せることから、上限を0.010%に限定した。又、
0.001%未満では上記効果が得られないので下限を
0.001%とした。Tiは冷却中にCr炭窒化物を抑
え耐銹性を向上させる有効な元素であり、必要によって
添加する。1.0%超添加すると上記効果は飽和し、経
済的でないことから上限を1.0%とし、その効果が得
られる下限値を0.05%とした。Nbは冷却中にCr
炭窒化物を抑え耐銹性を向上させる有効な元素であり、
必要によって添加する。1.0%超添加するとその効果
は飽和し、0.05%未満ではその効果が得られないの
で0.05〜1.0%の範囲とした。
【0020】次に本発明で特定した(1)〜(4)の各
式について説明する。ARIの式は母材の耐銹性に対す
る各種元素の影響を調査した結果得られたもので、耐銹
性に対し効果のある元素とその影響度を示すものであ
る。耐銹性に対しては、CrとMoが最も影響を与え
る。ARIは母材の耐銹性向上のために16(%)以上
にするが、21(%)を超えると製造性を悪くするため
上限を21(%)に限定した。
【0021】DIの式は母材中のδフェライト量に対す
る各種元素の影響を調査した結果得られたもので、δフ
ェライト量に対し効果のある元素とその影響度を示すも
のである。Cr,Mo,Si,C,N,Ni,Mnが影
響を与える。DIの値が0(%)を超えるとδフェライ
トが存在し、焼入れ硬さおよび靭性を低下させるばかり
か、焼入れ時にδフェライト界面に炭窒化物を析出さ
せ、耐銹性を著しく低下させるため0(%)未満に限定
した。
【0022】MIの式は母材中のマルテンサイト組織量
に対する各種元素の影響を調査した結果得られたもの
で、マルテンサイト組織量に対し効果のある元素とその
影響度を示すものである。MIの値が0(%)を超える
と焼入れ組織中にオーステナイト組織が散在し、ビッカ
ース硬さで500以下になるため0(%)未満に限定し
た。
【0023】W1の式は母材の焼鈍時の軟化抵抗に対す
る各元素の影響を調査した結果得られたもので、焼鈍時
の軟化抵抗に対し効果のある元素とその影響度を示すも
のである。W1の値が260(%)を超えると軟化抵抗
が高くなり、焼鈍後の硬さがビッカース硬さで300以
上となり、製品の成形性が悪くなるため260(%)に
限定した。W2の式は母材の焼鈍時の軟化抵抗に対し効
果のある元素とその影響度を示すものである。W2の値
が260(%)を超えると軟化抵抗が高くなり、焼鈍後
の硬さがビッカース硬さで300以上となり、製品の成
形性が悪くなるため260(%)に限定した。
【0024】本発明は以上の成分と以下の組織から構成
される。本発明鋼はマルテンサイト組織又は焼戻しマル
テンサイト組織からなる。Cr炭化物、特に旧オーステ
ナイト粒界のCr炭化物は耐銹性を劣化せしめるので鋼
組織中に析出せしめない方がよい。図4はCr:13.
0%、Ni:2.4%、Mo:2.0%、C:0.15
%、N:0.1%、残部Feからなるマルテンサイト系
ステンレス鋼を本発明の工程で処理する際、焼入れ時の
冷却速度を変えて得られたCr炭化物の平均粒径と孔食
発生電位(耐銹性を表す)の関係を示したもので、Cr
炭化物が零(粒径:零)の場合が最も耐銹性が良好であ
る。しかし、Cr炭化物の粒径が0.2μm超になると
急激に孔食発生電位が低くなり、耐銹性が著しく劣化す
る。従って、本発明鋼ではCr炭化物の平均粒径の上限
を0.2μmとする。以上の成分と組織を有するマルテ
ンサイト系ステンレス鋼はSUS304並以上(孔食発
生電位:200mV以上)の耐銹性とHvが500以上の
マルテンサイト硬さを示す高硬度特性を具備するのであ
る。
【0025】次に上記ステンレス鋼を製造する方法につ
いて説明する。本発明の上記成分を有する鋼を溶製し、
溶鋼を鋳造によってビレットを形成し、該ビレットを加
熱後熱間圧延を施し、熱延線材を製造する。前記熱間圧
延材は高焼入れ性を示すため、熱間の終了温度にも関わ
らず、熱間圧延終了後に熱延線材に焼きが入り、150
0N/mm2 以上の引張強度を示す。従って、該線材を後工
程で高冷間加工を施すため、該線材に焼鈍を施して線材
の引張強度を950N/mm2 以下にする。
【0026】上記線材はAc1 温度が750℃未満と低
いため、通常の焼鈍(焼鈍温度:600〜800℃)で
950N/mm2 以下の引張強度を得るためには500〜1
000時間程度の焼鈍時間が必要である。このため1回
目の焼鈍(Ac1 以上)を700〜800℃の温度範囲
で0.5〜50時間保定し、100℃以下まで冷却した
後、続いて2回目の焼鈍(Ac1 以下)を600〜75
0℃の温度範囲で0.5〜50時間保定して冷却する2
段焼鈍を行うことが好ましい。
【0027】このように焼鈍を行って引張強度を950
N/mm2 以下にした後、伸線加工(減面率:1〜95%)
を行い、その後、必要により通常の焼鈍、例えば600
〜800℃の温度範囲で1〜20分間の保持の焼鈍を施
し、該線材に切削、鍛造等の冷間加工を行い製品とす
る。いずれにせよ、冷間加工前の線材の引張強度を95
0N/mm2 以下にすることが重要である。
【0028】線材に冷間加工を施して、製品にした後、
1050〜1300℃の温度範囲で1〜200分の加熱
保持を施し、続いて0.5〜20℃/sの冷却速度で室温
まで急冷して焼入れを行う。本発明の成分を有する鋼に
からみ焼入れを施す(特に冷却速度の制御)ことによっ
てCr炭化物の粒径を0.2μm以下に制御することが
できると共に、マルテンサイト組織を得ることができ
る。
【0029】かかる鋼組織は、孔食発生電位が200mV
以上の高耐銹性とHvが500以上の高硬度を有するこ
とができる。この特性は、靭性を付与するために焼入れ
後、100〜400℃×3〜200分の焼戻し処理を施
しても同様に得られる。以上のように、本発明のマルテ
ンサイト系ステンレス鋼は高冷間加工性と高強度・高耐
銹性を有することができるので図1に示すドリリングタ
ッピンねじを製造するのに好適である。
【0030】次に該ドリリングタッピンねじの製造工程
を説明する。本発明鋼ビレットを熱間圧延した後、該熱
延線材に焼鈍、例えば前述の2段焼鈍を施し、続いて伸
線加工を行って所望の線径にした後、通常の焼鈍を施
し、ドリリングタッピンねじを成形する。線材は950
N/mm2 以下の引張強度になっているのでヘッディング等
の加工は容易である。
【0031】ドリリングタッピンねじを成形した後、該
ねじを1050〜1300℃の温度に加熱し、1〜20
0分保持した後、0.5〜20℃/sの冷却速度で冷却し
て、焼入れ処理を施す。焼入れ温度が1050℃未満で
あると、Cr炭化物が析出して耐銹性および靭性が劣化
するばかりか、固溶C量が減り焼入れ強度が得られずね
じ込み性を劣化させるため、焼入れ温度を1050℃以
上にする。しかし、1300℃を超えると残留オーステ
ナイトおよびδフェライトが存在し、逆に焼入れ強度、
ねじ込み性が低下するばかりか、耐銹性、靭性が劣化す
るため焼入れ温度の上限を1300℃とする。又、焼入
れ時の冷却速度が0.5℃/s未満であると、粒界にCr
炭化物が析出して耐銹性が劣化するため、冷却速度を
0.5℃/s以上にする。しかし、20℃/sを超えると焼
入れ時に焼割れが起こるため冷却速度の上限を20℃/s
とする。
【0032】以上の焼入れ処理を施した後、100〜4
00℃の温度範囲に3〜200分保持する焼戻し処理を
施し、靭性を付与する。100℃未満では靭性を付与す
ることができず、400℃超では硬さがHvで500未
満となりねじ込み性が低下する。以上のように本発明に
よれば所望の特性を有するドリリングタッピンねじを一
体に形成することが可能となる。
【0033】
【実施例】表1(1)に本発明鋼No.1〜24の成分
を、表1(2)に比較鋼No.25〜41の成分をそれぞ
れ示す。
【0034】本発明鋼No.1〜5と比較鋼No.25〜2
7は13.0Cr−2.0Mo−0.15C−0.10
Nを基本成分としてオーステナイト生成元素であるNi
量(%)およびMn量(%)を変化させたものである。
本発明鋼No.6〜10と比較鋼No.28〜31は14.
0Cr−2.0Ni−2.0Mo−0.5Mnを基本成
分としてC量(%)およびN量(%)を変化させたもの
である。本発明鋼No.11〜15と比較鋼No.32〜3
7は2.0Ni−0.2Mn−0.15C−0.10N
を基本成分としてCr量(%)およびMo量(%)を変
化させたものである。本発明鋼No.16〜18と比較鋼
No.38は13Cr−2Ni−2Mo−0.2Mn−
0.15C−0.10Nを基本成分としてB量(%)を
変化させたものである。本発明鋼No.19〜24と比較
鋼No.39〜41は13.5Cr−2.0Ni−2.0
Mo−1.2Mn−0.15C−0.10Nを基本成分
としてTi量(%)およびNb量(%)を変化させたも
のである。
【0035】以上の本発明鋼および比較鋼を通常のステ
ンレス鋼線の製造工程で、溶製し、熱間線材圧延を行
い、1000℃で熱延を終了した。得られた熱延線材を
第1回目の焼鈍として、740℃まで加熱し、この温度
で4時間保持した後、50℃まで冷却し、続いて第2回
目の焼鈍として、650℃まで加熱し、この温度で4時
間保持した後、室温まで冷却した。この焼鈍で得られた
線材の引張強度は800〜1200N/mm2 の範囲にあっ
た。上記線材を約25%伸線加工を行った後、700℃
×10分間の焼鈍を施し、その後、鍛造により6角頭に
ヘッディング加工を行い、この加工材1100℃に加熱
した後、10分間保持した後、該温度から5℃/sの冷却
速度で焼入れを行い、更に200℃に加熱し、30分間
保持の焼戻し処理を施した。この結果、Cr炭化物が微
細に析出した焼戻しマルテンサイト組織のものが得られ
た。
【0036】次に、該加工熱処理材の硬さ、耐銹性およ
び靭性を得るための試験を行った。硬さはJIS Z2
244により線材の縦断面の中心硬さを測定した。本発
明例の硬さのランクはビッカース硬さ500以上とし
た。耐銹性評価試験はJIS Z2371により線材圧
延後の線材を平板に熱延、冷間圧延、研磨後、100×
50×1mmの板にて500時間試験実施後評価した。本
発明例の耐銹性ランクはJIS評点の9.5以上とし
た。靭性はJIS Z2202よりサイズφ7.5mm×
55mm、深さ1mmのUノッチで室温で試験を行い、その
時のシャルピー値にて評価した。本発明例のシャルピー
値のランクは60J/cm2 以上とした。冷間加工性はコー
ルドダブルヘッダーにてつば付き六角頭のヘッディング
加工時に割れの有無で判断した。割れなく加工できた場
合は冷間加工性を良好、割れた場合は冷間加工性を不良
として評価した。
【0037】以上の試験結果を表2(1)(本発明
例)、表2(2)(比較例)に示す。各表で明らかなよ
うに、本発明例は全て上記の特性ランクを満足している
のに対し、比較例No.25はNi量(%)が低いためD
Iの値が高く焼入れ硬さ、耐銹性および靭性に劣ってい
た。比較例No.26はNi量(%)が高いため冷間加工
性が悪く、MIの値が0(%)以上で焼入れ硬さに劣っ
ていた。比較例No.15はMn量が高いため耐銹性に劣
っていた。
【0038】比較例No.28はC量(%)が低いため硬
さに劣っていた。比較例No.29はC量(%)が高く粗
大炭化物が析出し、耐銹性、靭性に劣るばかりか冷間加
工性に劣っていた。比較例No.30はN量(%)が高い
ためオーステナイトの存在をCr炭窒化物の生成によ
り、硬さおよび耐銹性に劣っているばかりか、ブローホ
ールを生成し製造性が悪かった。比較例No.31はN量
(%)が低いため硬さに劣っていた。
【0039】比較例No.32はCr量(%)およびMo
量(%)が低いためARIの値が低く耐銹性に劣ってい
た。比較例No.33はMo量(%)が低いためARIの
値が低く耐銹性に劣っていた。比較例No.34はCr量
(%)が低いためARIの値が0(%)以上でδフェラ
イト組織が存在し耐銹性に劣っているばかりか、W1の
値が高く素材硬さが高いため冷間加工性に劣っていた。
比較例No.35はCr量(%)が高いためDIの値が0
(%)以上でδフェライト組織が存在し耐銹性に劣って
いるばかりか、W1の値が高く素材硬さが高いため冷間
加工性に劣っていた。比較例No.36はMo量(%)が
高いためDIの値が0(%)以上でδフェライト組織が
存在し耐銹性に劣っているばかりか、W1の値が高く素
材硬さが高いため冷間加工性に劣っていた。比較例No.
37はDIの値が0(%)以上でδフェライト組織が存
在し耐銹性に劣っているばかりかW1の値が高く素材硬
さが高いため冷間加工性に劣っていた。
【0040】本発明例No.16〜18はB量(%)を添
加したことで本発明例No.13に比べ硬さおよび靭性が
向上した。比較例No.38はB量(%)が高いため耐銹
性および靭性に劣っていた。本発明例No.20,21は
Tiを添加したことで、本発明例No.19に比べ耐銹性
が向上した。本発明例No.22はTiとNbの両方を添
加したことで、本発明例No.19に比べ耐銹性が向上し
た。本発明例No.23,24はNbを添加したことで、
本発明例No.19に比べ耐銹性が向上した。しかし、比
較例No.39〜41はTi,Nb量(%)が高すぎるた
めW2の値が高く冷間加工性に劣っていた。以上の実施
例から分かるように本発明鋼の優位性が明らかである。
【0041】表2(1)および(2)に冷間加工性につ
いて本発明例および比較例を比較した実施例を示す。こ
れらの実施例は表1記載の本発明鋼No.3の成分の鋼を
表3に示すように熱間線材圧延材を焼鈍なし(No.4
4)と1段目を750℃で1時間、2段目を650℃で
1時間の2段焼鈍(No.43)又は700℃で1000
時間の焼鈍(No.42)で軟化し、続いて伸線加工、通
常焼鈍を施し、その後、冷間鍛造によりヘッディング加
工を行った。
【0042】これらの実施例はヘッディング加工前の素
材の強度とヘッディング時の冷間加工性で評価した。素
材の強度はJIS Z2201により引張試験により測
定した。本発明例No.42は引張強さが930N/mm2
本発明例No.43は910N/mm2 であり、冷間加工性は
良好である。それに対し比較例No.44は引張強さが1
600N/mm2 であり、伸線加工ができず、冷間加工性は
不良であった。以上の実施例から分かるように本発明線
材の優位性が明らかである。
【0043】表4(1)および(2)にドリリングタッ
ピンねじを製造する場合の本発明例と比較例を示す。本
発明例No.45は表1記載のNo.3の鋼を通常のステン
レス鋼線の製造工程で溶製し、熱間線材圧延した。その
後、該熱延線材を1段目を760℃で1時間、2段目を
670℃で1時間の2段焼鈍を施し、減面率25%で伸
線加工し、700℃で10分の焼鈍を施し、ドリリング
タッピンねじ成形前の素線とした。その後、冷間鍛造、
圧造、転造によりドリリングタッピンねじを成形し、そ
の後、1150℃×10分保持の温度域から5℃/sの冷
却速度で焼入れし、引き続き200℃×30分保持の温
度域で焼戻しを施した。
【0044】比較例No.46〜51は従来のドリリング
タッピンねじの例を示す。これらの実施例のねじ成形加
工は、通常のステンレス製ドリリングタッピンねじの製
造工程でねじ成形した。成形後、SUS410製の比較
例No.46は窒化焼入れ・焼戻しを行い、その後、表層
にNi−Crめっきを施した。SUS304製の比較例
No.47は表面硬化のため窒化処理を施し、比較例No.
48は、耐銹性付与のため更にその上にダクロ処理を施
した。SUS305製の比較例No.49は表層硬化のた
めの窒化処理後、耐銹性付与のためねじ頭部のみショッ
ト・酸洗で表層の窒化層を落とした。高強度高Mnオー
ステナイト系ステンレス鋼の比較例No.50は時効処理
を施した。高強度オーステナイト系ステンレス鋼の比較
例No.51は時効硬化処理を施し、その後、ねじ込み時
の潤滑性付与のためZnめっきを施した。
【0045】これらの実施例の製造性はねじ成形時の冷
間加工性、工具寿命で評価した。製品特性は最終製品の
刃先硬さ、ねじ込み性、耐銹性で評価した。これら特性
値を表4(2)に示す。なお、工具寿命はヘッディング
加工時にパンチが破損することなく、10000本以上
ヘッディング加工できた場合を良好、10000本未満
の場合を不良とした。又、硬さはJIS Z2244に
よりねじの刃先表面下0.1mmの位置を測定した。ねじ
込み性はJIS B1125に基づき5.5mm板厚のS
S400鉄板にねじ込み試験し、損傷なくねじ込み可能
か否かで判断した。損傷なくねじ込み可能な場合はねじ
込み性を良好、不可な場合はねじ込み性を不良として評
価した。耐銹性評価試験はドリリングタッピンねじを発
泡スチロールに20°傾けて差し込みJIS Z237
1により500時間試験実施後評価した。評価はねじ頭
が無発銹の場合を良好、点錆発銹および全面発銹の場合
を不良とした。
【0046】表4(2)から明らかなように、本発明例
は製造性および製品特性とも全て良好であった。一方、
比較例No.46のSUS410の窒化焼入れ材は耐銹性
に劣っていた。又、比較例No.47のSUS304の表
面窒化処理材は耐銹性に劣っていた。比較例No.48の
SUS304の表面窒化処理およびダクロ処理材はコス
トが高いばかりか耐銹性に劣っていた。比較例No.49
のSUS305の表面窒化処理および頭部ショット、酸
洗処理材はコストが高いばかりか表面窒化処理層が完全
に除去できないため耐銹性に劣っていた。比較例No.5
0の高Mn高強度オーステナイト系ステンレス鋼の時効
処理材は、高加工硬化・高強度のため冷間加工性および
工具寿命に劣っているばかりか、加工割れ部から発銹し
耐銹性に劣っていた。比較例No.51の高強度オーステ
ナイト系ステンレス鋼の時効処理およびZnめっき材は
高加工硬化・高強度のため冷間加工性および工具寿命に
劣っているばかりか、Znめっきが全面発銹し、耐銹性
に劣っていた。以上の実施例から分かるように本発明の
ドリリングタッピンねじの優位性が明らかである。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
【発明の効果】以上の各実施例から明らかなように本発
明によりねじ込み性および耐銹性に優れたねじ、打ち抜
き性および耐銹性に優れた釘、耐銹性に優れた刃物およ
び耐銹性に優れた高強度ばね等を安価に提供することが
可能で、産業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドリリングタッピンねじを示す正面図。
【図2】炭素鋼製ドリリングタッピンねじの使用状態を
示す斜視図。
【図3】ステンレス製ねじのねじ止め状態を示す斜視
図。
【図4】孔食発生電位とCr炭化物の平均粒径との関係
を示す図表。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 孝至 光市大字島田3434番地 新日本製鐵株式 会社 光製鐵所内 (72)発明者 吉村 公一 光市大字島田3434番地 新日本製鐵株式 会社 光製鐵所内 (72)発明者 村田 亘 光市大字島田3434番地 新日本製鐵株式 会社 光製鐵所内 (56)参考文献 特開 平5−287456(JP,A) 特開 昭49−1423(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.13〜0.20%、 Si:0.1〜0.5%以下、 Mn:0.1〜2.0%以下、 Ni:1.0〜2.5%、 Cr:12.0〜16.0%、 Mo:1.3〜3.5%、 N :0.06〜0.13% を含有し、かつ(1)式で表されるARIの値が16〜
    21(%)、(2)式で表されるDIの値が0(%)未
    満、(3)式で表されるMIの値が0(%)未満、
    (4)式のW1の値が260(%)未満で、残部が実質
    的にFeおよび不可避的不純物からなり、かつ粒径0.
    2μm以下(零も含む)のCr炭化物が析出しているマ
    ルテンサイト組織、又は、焼戻しマルテンサイト組織を
    有することを特徴とする耐銹性に優れた高強度マルテン
    サイト系ステンレス鋼。 ARI=Cr+2.4 Mo ………(1)式 DI =Cr+1.21Mo+0.48Si+2.48Al −(24.5C+18.4N+Ni+0.11Mn)−10.0 ………(2)式 MI =Ni+30C+0.12Mn+18N+0.83(Cr+1.5 Si+1.4 Mo) −25.0 ………(3)式 W1 =24Mo+13.3Cr+6Mn+6Si+Ni ………(4)式
  2. 【請求項2】 重量%で、 B:0.001〜0.010%、 を含有することを特徴とする請求項1記載の耐銹性に優
    れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で、 Ti:0.05〜1.0%、 Nb:0.05〜1.0% を含有し、かつ(5)式で表されるW2の値が260
    (%)未満で残部が実質的にFeおよび不可避的不純物
    からなることを特徴とする請求項1又は2記載の耐銹性
    に優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼。 W2=24Mo+13.3Cr+6Mn+6Si+Ni+10Ti+10Nb…(5)式
  4. 【請求項4】 重量%で、 C :0.13〜0.20%、 Si:0.1〜0.5%以下、 Mn:0.1〜2.0%以下、 Ni:1.0〜2.5%、 Cr:12.0〜16.0%、 Mo:1.3〜3.5%、 N :0.06〜0.13% を含有し、かつ(1)式で表されるARIの値が16〜
    21(%)、(2)式で表されるDIの値が0(%)未
    満、(3)式で表されるMIの値が0(%)未満、
    (4)式で表されるW1の値が260(%)未満で、残
    部が実質的にFeおよび不可避的不純物からなる鋼で、
    熱間圧延によって製造された熱延線材を焼鈍して得られ
    た線材の引張強度が950N/mm2 以下であることを特徴
    とする耐銹性に優れた高強度マルテンサイト系ステンレ
    ス鋼およびマルテンサイト系ステンレス鋼線材。 ARI=Cr+2.4 Mo ………(1)式 DI =Cr+1.21Mo+0.48Si+2.48Al −(24.5C+18.4N+Ni+0.11Mn)−10.0 ………(2)式 MI =Ni+30C+0.12Mn+18N+0.83(Cr+1.5 Si+1.4 Mo) −25.0 ………(3)式 W1 =24Mo+13.3Cr+6Mn+6Si+Ni ………(4)式
  5. 【請求項5】 重量%で、 B:0.001〜0.010%、 を含有することを特徴とする請求項4記載の耐銹性に優
    れた高強度マルテンサイト系ステンレス線材。
  6. 【請求項6】 重量%で、 Ti:0.05〜1.0%、 Nb:0.05〜1.0% を含有し、かつ(5)式で表されるW2の値が260
    (%)未満で残部が実質的にFeおよび不可避的不純物
    からなることを特徴とする請求項4又は5記載の耐銹性
    に優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼線材。 W2=24Mo+13.3Cr+6Mn+6Si+Ni+10Ti+10Nb…(5)式
  7. 【請求項7】 前記焼鈍が、700〜800℃で0.5
    〜50時間保定し、100℃以下まで冷却する1回目の
    焼鈍と、600〜750℃で0.5〜50時間保定後冷
    却する2回目の焼鈍を施す2段焼鈍であることを特徴と
    する請求項4〜6のいずれかに記載の耐銹性に優れた高
    強度マルテンサイト系ステンレス鋼線材。
  8. 【請求項8】 重量%で、 C :0.13〜0.20%、 Si:0.1〜0.5%以下、 Mn:0.1〜2.0%以下、 Ni:1.0〜2.5%、 Cr:12.0〜16.0%、 Mo:1.3〜3.5%、 N :0.06〜0.13% を含有し、かつ(1)式で表されるARIの値が16〜
    21(%)、(2)式で表されるDIの値が0(%)未
    満、(3)式で表されるMIの値が0(%)未満、
    (4)式で表されるW1の値が260(%)未満で、残
    部が実質的にFeおよび不可避的不純物からなり、刃先
    硬さがHvで500以上であることを特徴とする耐銹性
    に優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼ドリリン
    グタッピンねじ。 ARI=Cr+2.4 Mo ………(1)式 DI =Cr+1.21Mo+0.48Si+2.48Al −(24.5C+18.4N+Ni+0.11Mn)−10.0 ………(2)式 MI =Ni+30C+0.12Mn+18N+0.83(Cr+1.5 Si+1.4 Mo) −25.0 ………(3)式 W1 =24Mo+13.3Cr+6Mn+6Si+Ni ………(4)式
  9. 【請求項9】 重量%で、 C :0.13〜0.20%、 Si:0.1〜0.5%以下、 Mn:0.1〜2.0%以下、 Ni:1.0〜2.5%、 Cr:12.0〜16.0%、 Mo:1.3〜3.5%、 N :0.06〜0.13% を含有し、かつ(1)式で表されるARIの値が16〜
    21(%)、(2)式で表されるDIの値が0(%)未
    満、(3)式で表されるMIの値が0(%)未満、
    (4)式で表されるW1の値が260(%)未満で、残
    部が実質的にFeおよび不可避的不純物からなり、熱間
    圧延によって得られた熱延線材を焼鈍し、伸線加工し、
    焼鈍した後、ドリリングタッピンねじを冷間成形し、そ
    の後1050〜1300℃の温度範囲で加熱してから
    0.5〜20℃/secの冷却速度で焼入れし、焼戻し処理
    を施して得られた刃先の硬さがHvで500以上である
    ことを特徴とする耐銹性に優れた高強度マルテンサイト
    系ステンレス鋼ドリリングタッピンねじ。 ARI=Cr+2.4 Mo ………(1)式 DI =Cr+1.21Mo+0.48Si+2.48Al −(24.5C+18.4N+Ni+0.11Mn)−10.0 ………(2)式 MI =Ni+30C+0.12Mn+18N+0.83(Cr+1.5 Si+1.4 Mo) −25.0 ………(3)式 W1 =24Mo+13.3Cr+6Mn+6Si+Ni ………(4)式
  10. 【請求項10】 重量%で、 B:0.001〜0.010%、 を含有することを特徴とする請求項8記載の耐銹性に優
    れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼ドリリングタ
    ッピンねじ。
  11. 【請求項11】 重量%で、 Ti:0.05〜1.0%、 Nb:0.05〜1.0% を含有し、かつ(5)式で表されるW2の値が260
    (%)未満で残部が実質的にFeおよび不可避的不純物
    からなることを特徴とする請求項8〜10記載の耐銹性
    に優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼ドリリン
    グタッピンねじ。 W2=24Mo+13.3Cr+6Mn+6Si+Ni+10Ti+10Nb…(5)式
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