JP3338282B2 - データ通信機器の使用方法 - Google Patents

データ通信機器の使用方法

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  • Dc Digital Transmission (AREA)
  • Communication Control (AREA)
  • Analogue/Digital Conversion (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モデム等のデータ
通信装置に関し、特に、網に同期するモデムに関する。
【0002】
【従来の技術】非常に多くのユーザに対して、電話市内
ループは、ユーザのデータ通信装置、即ちモデムと、及
び公衆電話交換網(PSTN)の一部である市内電話交
換局との間においていまだ主要な伝送媒体である。電話
市内ループはアナログ伝送媒体であり、ここでは、モデ
ム伝送信号は公称帯域幅3.5kHzで音声帯域に制限
され、プロディジー(Prodigy)(登録商標)のような
データ指向サービスの数や種類が増え、周知のインター
ネット経由での情報の簡単なアクセスが可能になったの
で、既成のモデムで現在得られるデータ通信速度以上の
ものを電話市内ループ上で得ることが、ユーザの願望と
なった。
【0003】アヤノグル(Ayanoglu)他の米国特許出願
「遠隔の符復号器と同期する高速モデム(A High-Speed
Modem Synchronized for a Remote Codec)」(199
2年10月20日受理、第07/963539号)、N.
R.ダグデビレン(N.R. Dagdeviren)の「受信信号及び伝
送信号が信号セットからなるモデム(A Modem with Rec
eived Signals and Transmitted Signals Comprising S
ignal Sets)」(1993年6月21日受理、第08/
080161号)、及びアヤノグル他の「等化回路を配
置した高速量子化レベルサンプリングモデム(High-Spe
ed Quantization-Level-Sampling Modem with Equaliza
tion Arrangement)」(1994年1月3日受理、第0
8/176742号)において、電話市内ループ上で相
当にデータ通信速度を増している高速モデム技術が開示
してある。具体的には、これらの特許出願には、モデム
が、PSTNのアナログからディジタル(A/D)、及
びディジタルからアナログ(D/A)の変換器(即ち、
量子化デバイス)と時間及び量子化レベルの両方で同期
するような、高速モデム技術が記述してある。この同期
は、量子化レベルのサブセットに信号アルファベットと
して効果的に用いることができるようにし、それによっ
ていかなる伝送データ信号上にもPSTNによって導入
される量子化雑音を大いに減少させる。結果として、デ
ータ通信速度は大いに増加する。例えば、この同期によ
るアプローチは、PSTNクロック速度でモデムが動作
することを可能にし、電話市内ループにおいて帯域制限
なしであるような仮定の下では、理論的には毎秒64キ
ロビット(kb/秒)のデータ速度が電話市内ループ上
で達成できる。この高速モデム技術を使うモデムは、
「量子化レベルサンプリング」(QLS)モデムとして
ここで参照し、QLSデータ通信システムで伝達する信
号は、「パルス」信号としてここで参照する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、上述の
QLSモデムの変調がうまく動作するため、PSTNに
おいてQLSモデム及び網サンプリングクロックの間に
送信及び受信方向の両方に対してタイミング同期がされ
ていなければならない。この同期は、PSTNの中で位
置するいかなる量子化デバイスのサンプリング時点をも
網サンプリングクロックが制御するから必要である。例
えば、QLSモデムからその市内電話交換局まで送信さ
れるデータ符号は、A/D変換器が各サンプルに読む瞬
間ちょうどにその市内電話交換局のそのA/D変換器に
届かなくてはならない。同様に、受信QLSモデムは、
その市内電話交換局の網サンプリングクロックと同期す
る。残念ながら、タイミングジッタとして測定されるい
かなるタイミングの狂いは、対応する受信データ信号に
符号間干渉を導入してしまう。これらの高いデータ速度
では、QLSデータ通信システムにおける最大許容タイ
ミングジッタは典型的には非常に小さい。例えば、42
キロビット/秒(kb/秒)より大きいデータ伝送速度
の最大許容タイミングジッタは、70ナノ秒(n秒)以
下である。本発明の目的は、これらの問題を解決して、
アナログ伝送媒体である電話市内ループで高速なモデム
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】我々は、QLSモデムを
PSTNの網サンプリングクロックに同期させるタイミ
ングシステムを開示し、ここで特に、タイミング信号
は、PSTNから受信QLSモデムへと送信されるパル
ス信号上に重ね合わせられる(スーパーインポーズされ
る)。この受信タイミング信号に応答し、受信QLSモ
デムは網サンプリングクロックに同期する。
【0006】本発明の実施例では、パルス信号は、遠端
QLSモデム又は網内の供給源により供給されるデータ
担持サンプルと、少なくとも1つの非ユーザデータ担持
(NUDB:non-user-data-bearing)サンプルとを含
む。ここで、このNUDBサンプルのレベルは、周期的
に交替、即ち変化する。受信QLSモデムは、網サンプ
リングクロックにQLSモデムを同期させるために、こ
の周期的に交替する信号レベルからタイミング情報を抽
出する。さらに、受信QLSモデムは、抽出タイミング
情報を用いて、受信QLS信号のデータ担持サンプル上
に対するNUDBサンプルのいかなるひずみ作用をも消
去(キャンセル)する。
【0007】本発明により、我々は、PSTNのA/D
及びD/A変換器両方が同じ網サンプリングクロックに
よって動作するので、下流側サンプリング周波数にQL
Sモデムを同期することは、上流側サンプリング周波数
にQLSモデムを同期することに等しいことを認識し
た。この原理を利用すると、我々のタイミングシステム
は、下流側パルス信号のみにタイミング情報の全てを入
れ、受信QLSモデムは双方向の同期を得る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の概念を記述する前に、Q
LSデータ通信システムの全体的な動作を背景情報を提
供するために記述する。所望するなら、さらなる情報
は、前述の米国特許出願から得られる。図1は、QLS
モデム203、PSTN309及びQLSモデム205
を含むQLSデータ通信システムのブロック図である。
単純のため、ただQLSモデム203からQLSモデム
205への伝送方向のみを図1で示し、下に述べる。Q
LSモデム205からQLSモデム203への反対方向
の伝送は、類似の方法で実現できる。発呼や呼接続等の
既に存在するQLSモデム205及びQLSモデム20
3の間のデータ接続は、完了され、データがQLSモデ
ム205及びQLSモデム203の間で伝達しているこ
とを想定できる。
【0009】PSTN網309が8000サンプル/秒
のサンプリング速度で動作し、電話市内ループ217及
び219の応答を300Hz〜3.3kHzの公称周波
数範囲に制限する帯域制限フィルタを有するμ則(μ−
law)符復号器301及び315を採用しているもの
と仮定する。従って、市内ループ217及び219は、
6kHzの2方向帯域幅が得られると考えられる。μ則
符復号器301及び315は、符号器-復号器であり、
μ則符号化を利用し、アナログ信号からディジタル表現
への変換及びその逆を行う。データ伝送は、網レベルQ
LSモデム305(下に記述)を通ってPSTN309
に渡ってディジタル形式でされる。μ則符復号器301
及び315がA則(A−law)符号器-復号器に代わ
ること以外は、類似する設定が、欧州の電話網で存在す
る。欧州のA則符号化は、完全に対応する米国のμ則に
類似しているので、この特許で記述される全てのプロセ
スは両方にも同様に適用できる。
【0010】QLSモデムの基礎となる概念は、QLS
モデムが時間及び量子化レベルの両方で、PSTNのA
/D及びD/A変換器(即ち、量子化デバイス)に同期
させられることただ1つである。この同期は、いかなる
伝送データ信号上にでもPSTNによって導入される量
子化雑音を大いに減少させ、結果として、大いにデータ
通信速度を増加させる。
【0011】量子化レベルでの同期は、各QLSモデム
でμ則量子化レベルそれ自身を信号アルファベットとし
て利用することによって達せられる。結果として、各デ
ータ符号は、255のμ則量子化レベル(サンプルレベ
ル)のうちの1つと等しく、従って、約8ビットのユー
ザデータを表す。このようにして、伝送データ符号シー
ケンスは、明確にディジタル形式で網に渡って輸送され
る。
【0012】基本ナイキスト(Nyquist)理論から、W H
zの2方向帯域幅のチャネルは、W符号/秒以下の速度
で低ひずみ信号伝送を行う能力があることはわかってい
る。従って、得られる2方向市内ループ帯域幅が約6k
Hzであれば、最大符号速度は約6000符号/秒であ
る。μ則サンプルレベルが信号アルファベットとして用
いられるので、この最大符号速度は同じく、6000サ
ンプル/秒とされる。
【0013】対照的に、PSTN309は、8000サ
ンプル/秒でサンプリングする能力があると想定され
る。結果として、PSTN309によって受信された8
つのサンプルのうち高々6つは、任意に選択できる。換
言すれば、モデムの出力が6000サンプル/秒に帯域
制限されているときに、毎秒独立な8000サンプルを
選択し、これらをモデムを通してを渡すことはできな
い。このため、この例では、これら6000サンプル/
秒のそれぞれが8ビットを表すので、48kbpsまで
の伝送速度が、実際の帯域幅を考えたとしても、電話市
内ループ上で実行可能である。
【0014】一般に述べると、結果するQLSモデム2
03からのアナログ信号は、「パルス信号」としてここ
で参照し、ここで、アナログサンプルは、フレームのシ
ーケンスとしてM個の符号(即ちサンプル)の群で送ら
れる。各フレームは、Nクロック周期からなり、ここ
で、各クロック周期は、PSTN309の網サンリング
クロックTSの周期に等しい。フレームの周期Tpは、従
って、NTSに等しい。パルス信号の各フレームでは、
M個のサンプルの群は、「ユーザデータ担持」(UD
B)サンプルとし、 (N−M)サンプルの群は、「非
ユーザデータ担持」(NUDB)サンプルとする。 こ
の例では、M=6のサンプルは、N=8のクロック周期
からなるフレームで送られる。ここで、8000サンプ
ル/秒に対しては、網サンプリングクロックTの周期
は、125μ秒に等しく、従って、Tp=1m秒であ
る。従って、出力サンプルの8つのうち6つは、送信量
子化レベルにされ、即ちUDBサンプルであり、残って
いる2つのサンプルは、NUDBサンプルである。ナイ
キスト理論の下では、NUDBサンプルは、任意には選
択できないので、QLSモデム203及び網レベルQL
Sモデム305(下に記述する)によってゼロにセット
される。
【0015】QLSモデム203が市内ループ217上
で6000サンプル/秒のデータ速度を提供するため
に、設計上のさらなる考察をしなくてはならない。前述
のアヤノグル他著の「等化回路を配置した高速量子化レ
ベルサンプリングモデム(High-Speed Quantization-Le
vel-Sampling Modem with Equalization Arrangemen
t)」と題する米国特許出願で記述したように、もし信
号h(t)が、2方向非消失スペクトル支持集合(two
sided non-vanishing spectral support)を、少なくと
もM個のナイキスト周波数翻訳、|f|≦ 1/(2
T)の全てのfに対して、(f+(l/T)),l=
0,±1,±2,...、において有するなら、送信器
及び受信器フィルタを特定し、MユーザからのMデータ
ストリームのそれぞれが他のデータストリームからの干
渉無しで回復させることは可能である。この状況を実現
する送信器及び受信器フィルタのセットは、既知の一般
化ゼロ強制(GZF:generalized zero-forcing)判定
基準を満たすとされる。前述のアヤノグル他の米国特許
出願で指摘されるように、この分析は拡張でき、もし送
信器フィルタのセット又は受信器フィルタのセットのい
ずれかが固定してあると、この固定されたセットが特定
のスペクトル要求事項を満足するなら、他のセットを選
択する柔軟性を有することになる。特に、もし固定フィ
ルタセットの要素が純粋に遅延素子であり、いかなる遅
延値の組が同一でなければ、これらのスペクトルの要求
事項はほとんど常に満足し、GZF判定基準を実現する
ように他のフィルタセットを選択することが可能であ
る。この考えはQLSモデムの設計の基礎を形成する。
ここで、単一ユーザは、速度M/Tの符号シーケンスで
あるが、符号の間には非同一な時間間隔で送信する。
【0016】図1には、線217上にパルス信号を提供
するQLSモデム203の送信器部分の説明のブロック
図を示す。ユーザデータ229は、もし量子化の使用に
おいて制約が課されないなら、約48kbpsの速度で
送信QLSモデム203に与えられる。符号化器233
は、6つの並列な1000符号/秒のチャネル符号スト
リーム235〜240へとユーザデータ229を符号化
する。即ち、符号化器233は、実際にM=6、1/T
=1kHzである速度M/Tのサンプルストリームを提
供する。上述のように、符号化器233は、μ則量子化
レベル自身を信号アルファベットとして利用する。送信
器構成部分221は、6つの送信器フィルタ251〜2
56を含み、これらのフィルタ(又は送信器等化器)の
それぞれは、チャネル符号ストリームの1つとして動作
する。送信器フィルタ出力261〜266は、送信器加
算器270で加えられ、加算器出力信号272は、D/
A変換器279によってアナログ形式に変換され、ろ波
される。このD/A変換器279は、加入者回線(市内
ループ)217を渡ってPSTN309の市内電話交換
局(図示せず)へと伝送するためのパルス信号を提供す
る。
【0017】PSTN309の電話交換局(図示せず)
において、符復号器301は、8000サンプル/秒の
速度でパルス信号をろ波、サンプリングして、これらの
サンプルの電圧をDS0ディジタルシーケンスへと量子
化、符号化する。これは、網レベルモデム305(下述
する)を通って符復号器315へと渡し、PSTN30
9を通って輸送される。図2には、この変更したDS0
ディジタルシーケンスの説明が示してある。DS0の部
分302は、フレーム303及びフレーム307にまた
がる線217上のパルス信号のディジタル表現である。
UDBサンプルは、di(i=1から12)によって表
され、NUDBサンプルはゼロにセットされる。
【0018】送信QLSモデム203からの信号伝送を
完了するために、符復号器315は、受信QLSモデム
205へと加入者回線219上で伝送される、別のパル
ス信号へとDS0シーケンスを変換する。このパルス信
号は、QLSモデム205の受信器構成部分223によ
って受信される。受信パルス信号は、8000サンプル
/秒の速度でサンプリングするA/D変換器281によ
ってディジタル形式に変換される。結果するディジタル
信号283は、6つの並列な受信器フィルタ291〜2
96により動作し続ける。k番目の受信器フィルタ(又
は受信器等化器)RXk294は、1000サンプル/
秒の速度でディジタルサンプル454のストリームを作
る。ここで、これらのサンプルは、QLSモデム203
のk番目の送信器等化器Txk254への入力である対
応する送信サンプルストリーム238の評価結果であ
る。サンプルストリーム451〜456は、255の可
能なμ則サンプルレベルの最近隣の1つに対応する8ビ
ット語に各サンプルをマッピングするスライサ461〜
466によって動作し続けられる。6つのスライサ出力
符号ストリーム471〜476は、6つの1000符号
/秒のチャネル符号ストリームを48kbpsまでの速
度で単一ユーザデータ出力ストリーム230の中へとマ
ッピングする復号器480によって動作し続ける。
【0019】QLSデータ通信システムの動作を大まか
に記述したが、網レベルQLSモデム305をこれから
記述する。網レベルQLSモデム305は、PSTN3
09によって提供される高速データサービス提供の一部
である、このような網レベルQLSモデムのプールを象
徴する。このプールは、例えば、この高速データサービ
スと関係づけられた所定の電話番号による方法のよう
な、いかなる数の方法でもアクセスできる。1度このプ
ールがアクセスされると、次のデータ接続は網レベルQ
LSモデム305を通して交換される。後者は、前述の
N.R.ダグデビレンの「受信信号及び伝送信号が信号セッ
トからなるモデム(A Modem with Received Signals an
d Transmitted Signals Comprising Signal Sets)」と
題する米国特許出願で記述されるように符号変換プロセ
スを導入する。この符号変換プロセスは、PSTN30
9の中で起こる混成漏えいを補償し、NUDBサンプル
がゼロにセットされることを保証する。この例のため、
各網レベルQLSモデムは、パルス信号のディジタル表
現を単に受信し、送信すると想定できる。
【0020】図3には、網レベルQLSモデムの実施例
の説明が示してある。網レベルQLSモデム305は、
ディジタル信号プロセッサ(DSP)及び関連する回路
とからなり、エコー消去及び符号変換の仕事を処理す
る。線304及び306は、既に、ディジタルDS0形
式であり、ろ波されていて、市内交換電話局のA/D変
換器で量子化されていると想定できる。網レベルQLS
モデム305は、線304及び306経由でQLSデー
タ接続へと結合する。特に、ディジタル信号301は、
線302のエコーを評価するためにエコーキャンセラ7
0によって使われる。 符号変換器60は、線303上
のデータ担持サンプルを受信配置から送信配置へと変換
し、 これらを市内回線業者への線306へと送る。こ
の記載のため、符号変換器60及び65によって行われ
る符号変換は重要ではない。
【0021】QLS網レベルモデム305等のいかなる
網QLSデータ通信装置のタイミングの回復は、いかな
る網におけるデバイスも網の中で必ずクリアなタイミン
グ信号を受信するので心配とはならない。しかしなが
ら、上記の通り、上述のQLSモデムの変調スキームが
うまくいくために、QLSモデム及びPSTNの網サン
プリングクロックの間の送信及び受信の両方の方向のタ
イミング同期がなければならない。この同期は、網サン
プリングクロックがPSTNの中で位置するいかなる量
子化デバイスのサンプリング時点においても制御するか
ら、必要である。例えば、QLSモデムからその市内電
話交換局まで送信されたデータ符号は、A/D変換器が
各サンプルを読む正確な瞬間において市内電話交換局の
そのA/D変換器に到達しなくてはならない。同様に、
受信QLSモデムは、その市内電話交換局の網サンプリ
ングクロックに同期させられなくてはならない。残念な
がら、タイミングのいかなる狂いは、タイミングジッタ
として測定し、量子化デバイスが他のパルスのゼロの信
号をもうサンプリングしていないので、対応する受信デ
ータ信号に符号間干渉を導入してしまう。これらの高い
データ速度において、QLSデータ通信システムでの最
大許容タイミングジッタは非常に小さい。例えば、42
キロビット/秒(kb/s)より大きいデータ伝送速度
の最大許容タイミングジッタは、70n秒(ns)以下
である。
【0022】前述のアヤノグル他著の「遠隔の符復号器
に同期する高速モデム」と題する米国特許出願で記述さ
れるように、多くの同期方法が提案されている。これら
全ての技術は、QLSデータ接続の開始部分の間に訓練
信号を等化する受信QLSモデムに一般に焦点を合わせ
ている。この等化から、タイミング遅延は、既知の方法
で調節できる。その後、従来の適応等化のアプローチが
タイミングの保持に利用できる。QLSモデムでの同期
が送信及び受信の両方の方向で必要とされるので、この
等化は送信路及び受信路の両方で行われる。
【0023】上述の等化アプローチは、QLSモデムを
網サンプルクロックに同期させることに用いられるの
で、我々は代替のタイミングシステムを提示する。本発
明に従うと、タイミング信号は、PSTNから受信QL
Sモデムまで送信されるパルス信号上に重ね合わせられ
る。この受信タイミング信号に応答して、受信QLSモ
デムは網サンプリングクロック周波数に同期する。
【0024】以下の記載では、いかなる内部の網タイミ
ングジッタは、サンプル間の相違が激しくないように
(例えば10乃至20nsのオーダー)、非常に小さい
高周波ジッタであるか、又はこのジッタは長期であっ
て、位相同期ループ(PLL)によってトラックでき、
PSTN309から受信QLSモデムまでの路及びその
帰路で蓄積されたラウンドクリップ遅れによって起こさ
れる小さい劣化だけが起きることかのいずれかを厳密に
想定する。
【0025】上述のように、パルス信号において、NU
DBサンプルは、電話市内ループ上で使用可能な帯域幅
6kHzに対する6000サンプル/sのナイキスト制
限を破るので、任意のデータを輸送するのに使えない。
特に、M=6及びN=8に対して、任意のデータを送信
するのに2つのNUDBサンプルを用いようとすること
は、いかなる線形受信等化器によっても和らげることが
できない符号間干渉の導入をもたらしてしまう。しかし
ながら我々は、受信器での緩和不能な干渉を誘発しない
で受信モデムを網サンプリングクロックに同期させるた
めに、非ゼロ級のNUDBサンプルが使えることを認識
した。特に、我々が提案する方法は、純音(及び随伴す
る調波)を、網から受信QLSモデムへの下流側伝送ス
トリーム上へと重ね合わせる(ありのまま加算する)。
この音は、情報を運搬するデータサンプルのいずれの数
値をも変えないように、各フレームでの未使用サンプル
の1つの操作によってのみ挿入される。
【0026】上の実施例を続けると、8のうちの6つの
(6-out-of-8)パルス信号のスキーム(方法)を使うも
のとする。これにより、6つのサンプル(UDBサンプ
ル)がデータを送り、2つの未使用の時間帯が続く。連
続的であるとして記述したが、フレーム中のNUDBサ
ンプル又はUDBサンプルが連続的であることは要求さ
れない。本発明の実施例では、通常ゼロに保たれる各8
サンプルフレームの最後のサンプルは、代わりに連続す
るフレームで+A及び−Aのレベルにセットされる。即
ち、フレーム周期Tpで、パルス信号はデータ担持サン
プルを含む。これは、遠端QLSモデムにより提供さ
れ、レベルが交替する少なくとも1つの非ユーザデータ
担持(NUDB)サンプルによって提供される。このこ
とは、図4に、フレーム11及び12によって示され、
ここでは、受信QLSモデムに送信されるパルス信号に
重ね合わせられるタイミングパターンを表す。一般に、
全2重伝送では、Aは、モデムにおける強い受信音、及
び混成を通っての低い漏話との間の妥協で選択される。
例えばPSTN網304から受信QLSモデムへの、下
流側方向では、Aは、レベル64、即ち最大4015.
5のユニットのうちの247.5のユニットであるよう
に選ばれる。これらのユニットは、図5に示される周知
のμ則符号化に従う。
【0027】この重ね合わせられたパターン「・・・−
A0000000A0000000−A・・・」は、個
別音の集団を作るが、帯域内音(≦4kHz)は、50
0、1500、2500、及び3500Hzである。こ
の例では、1500Hz音がタイミング参照として用い
られる。他の音は余分であるが、ただ1つの音だけを作
るのに、6つのUDBサンプルに信号を加えることを必
要とする。これはすることはできるが、2つの理由によ
り望ましくない。即ち、第1に、下流側信号サンプル
は、離散値のアルファベットから選択されるので(μ則
レベル)、完ぺきな音を作ることは不可能であり、第2
に、データ担持サンプルがタイミング情報とダイナミッ
クレンジを「共有する」ことを必要とすることは、実際
のデータに用いることができるダイナミックレンジを実
効的に減らすことである。
【0028】実際は、より一般的な周期パターン「・・
・−A0000000B0000000 −A・・・」
もまた使える。この例に対して、1000Hzの倍数の
音もまた、もしA≠Bであるなら、作られる 。
【0029】下流側伝送は、電話交換局のD/A変換器
によって完全に刻時されるので、4つの重ね合わせられ
た帯域内音は、網デバイスの周波数によって正確に決め
られた周波数を有して受信QLSモデムに到着する。受
信QLSモデムは、この周期的に交替する信号レベルか
らタイミング情報を抽出して、網サンプリングクロック
にQLSモデムの同期させ、かつ、受信QLS信号のデ
ータ担持サンプル上のNUDBサンプルのいかなるひず
み作用をキャンセルする。
【0030】この例では、タイミング信号は、網レベル
QLSモデムによって送信パルス信号に重ね合わせられ
ると想定できる。図6は、本発明の原理を具体化する網
レベルQLSモデムのブロック図である。図6の網レベ
ルQLSモデム405は、図1及び図3の網レベルQL
Sモデム305を置き換わる。網レベルQLSモデム4
05は、タイミング手続き80、85、90、及び95
の付加以外は、網レベルQLSモデム305に類似して
いる。図3のように、線304及び306は、市内交換
電話局とディジタルDS0情報を交換し合うと考えられ
る。エコーキャンセラ70及び75は、混成を横断する
エコーに対して相対的な免疫を与え、符号変換器60及
び65は、受信配置及び送信配置との間をとりなす。
さらに、プロセス90及び95は、符号間干渉及び近混
成エコーの集合によって起こされたNUDBサンプルの
エネルギーを完全にゼロにする。プロセス80及び85
は、信号304及び306が市内交換電話局に送り返さ
れる前に、完全にゼロにされたばかりのNUDBサンプ
ルに挿入されるタイミングサンプルを生成する。
【0031】図7は、本発明のQLSモデムの一部のブ
ロック図である。単純化のため、QLSモデム505の
受信器部分だけが記述される。上述のように、網レベル
QLSモデム405は、タイミング音(±A)で交互に
挟まれたデータストリーム(di)を、データ構
成[...d123456 0 A d78910
111 2 0 −A...]のように送る。このデータスト
リームは、符復号器フィルタ、電話市内ループ、そして
受信フィルタを通る。このデータストリームの縦続は、
素子500によって表されるように、チャネル応答関数
C(ω)によって表され、線501経由で受信QLSモ
デム505において到来する。ここで、A/D変換器5
75により、ディジタル形式に変換される。
【0032】受信信号は、QLSモデム505の音キャ
ンセラ580に課される。このQLSモデム505は、
タイミング応答フィルタ565及び加算器510を含
む。タイミング応答フィルタ565は、受信タイミング
信号それ自身にサンプリングされた評価を表す信号を提
供する。タイミング信号へのチャネル応答の評価は、下
述する開始位相で決められるC 2によってここで表
す。加算器510は、受信パルス信号からタイミング応
答フィルタ565の出力信号を引き、これにより、受信
パルス信号からタイミング信号を除去又は消去する。結
果的に、線511経由で加算器510によって供給され
た信号は、理想的に、データのみの信号になる。このデ
ータのみの信号は、線546に供給されるデータ信号の
回復のため、エコーキャンセラ560、等化器550及
びスライサ545に課される。
【0033】回復データ信号はまた、データキャンセラ
585に課される。このデータキャンセラ585は、再
フレーム素子570、チャネルモデルフィルタ530、
遅延素子520及び加算器525を含む。データ信号
は、回復した後、再フレーム素子570によって、8つ
のブロック(6つのデータ符号、2つのゼロと続く)へ
と再フレーム化され、チャネルモデルフィルタ530を
通って戻される。このチャネルモデルフィルタ530
は、データ信号にチャネル応答の評価を提供する。この
評価はここで、下述する開始段階で決められるC
(ω)で表す。最後に、加算器525は、遅延素子5
20(下述する)によって供給される原始到来信号の遅
延されたバージョンから、チャネルモデルフィルタ53
0の出力信号を引き、これにより、データ信号を消去
し、線526経由でタイミング信号の評価を提供する。
タイミング回復は、位相同期ループ(PLL)535に
よって行われる。これは、受信1500Hz音にロック
し、タイミング参照555を制御して、線556にこの
音を作ったものと同じ8000Hzサンプルクロックを
表す参照タイミング信号T Sを提供する。特に、タイ
ミング参照555は、線556上に参照タイミング信号
Sを提供し、また、線554上に供給されるT S
ら1500Hz信号を得る。PLL535は、受信15
00Hz音にタイミング参照555によって生成された
1500Hz信号を比較し、タイミング参照555を調
節して、2つの1500Hz信号を同期させる。これに
より、T Sを網クロックに同期させている。実験で
は、帯域幅0.1HzのPLLを用いた。さらに、参照
タイミング信号T Sは次に、再フレーム素子570のよ
うにタイミングパターンを再生する変換器540に課さ
れる。このタイミングパターンは、タイミング応答フィ
ルタ565に線541経由で課される。この再生タイミ
ングパターンに応答して、タイミング応答フィルタ56
5は、上述のタイミング信号にチャネル応答の評価を提
供する。
【0034】この技術の利点の1つとして、音の周期性
によるタイミング応答フィルタ565の単純な性質があ
る。即ち、タップの数は、フレームの中のサンプルの数
のちょうど2倍である。この例では、8の中の6のパル
ス信号スキームが使われるので、タイミング応答フィル
タ565は16タップの長さだけあればよい。さらに、
最後の8タップは、最初の8タップに、単純な関係、C
2(i)=−C 2(i−8)(ここで、8≦i≦1
5)によって関連づけられるので、メモリの8つの位置
だけを、タイミング応答フィルタ565で記憶する必要
がある。
【0035】例えば、+Aのシーケンスは、T=16T
Sにて配置される。音の周波数スペクトルが、
【数1】 (ここで、f0=1/Tである)で表せることは、基本
的な性質である。この状況では、f0=500Hzであ
る。−Aのパルスに対して、類似の表現があり、T/2
で置き換えている。特に、
【数2】 である。数式(1)及び(2)を加えることにより、
【数3】 を得る。(ここで、奇数(odd)のmに対して和が求め
られる。)従って、数式(3)から、生成タイミング信
号(tones(t)とする)の時間変域式は、
【数4】 である。
【0036】上述のチャネル応答関数C2(ω)によっ
て表されるように線形チャネルを通りすぎた後、QLS
モデムは、
【数5】 と等しい音信号(received tones(t))を受信する。こ
こで、am及びφmは、周波数mf0のC2(ω)の減衰及
び位相ずれ構成部分を表す。おそらく、m>7に対し
て、amは、チャネル及びフィルタ減衰のために無視で
きる。
【0037】数式(5)に戻って、周波数mf0の個々
の成分の音のそれぞれは、Tの約数である周期を有し、
各音はT/2の時間の置き換えの符号を変える。それ
故、
【数6】
【数7】 である。
【0038】従って、帯域外音を無視できると想定する
と、帯域内音は、値が音信号の16TSの間隔を置かれ
た値である、刻時された16タップ遅延線の出力を減算
することによって、キャンセルされる。これは図7の音
キャンセラ580の機能である。下述するように、これ
らの値を、データが送られていない時に、初期訓練ステ
ップの間に覚える。さらに、数式(7)から、8つの連
続値だけを覚える必要がある。他の8つはこれらの逆の
符号の値である。
【0039】上述により、それを想定した。対応するチ
ャネル応答関数C 2及びC(ω)は、それぞれタイ
ミング応答フィルタ565及びチャネルモデルフィルタ
530によって使われ、開始(訓練)段階で決められ
る。開始段階の説明が図8で示される。データ速度折衝
等の訓練段階の他の要素は図示していない。
【0040】図8のステップ605では、網レベルQL
Sモデム405は、図4に示すようにただタイミング信
号だけをQLSモデム505に送信する。この参照クロ
ックから、QLSモデム505は、ステップ610で線
541上にタイミング信号を生成する。特に、遅延素子
520は、Nタップの大きな遅延をもたらし、等化器5
50による伝搬遅延を表す。Nの値は、等化器の半分の
長さであるべきである。等化器は、100タップ程度で
あり得るので、Nは50タップの遅延に等しくする。デ
ータ信号は、現在送信されていないので、加算器525
は、直接PLL535に遅延素子520からの出力信号
を提供する。このPLL535は、1500Hz音にロ
ックし、8000HzのサンプリングクロックTSの評
価を得る。この評価は、タイミング応答フィルタ565
に課される。
【0041】PLL535がロックし、TSが評価され
た後、ステップ615では、QLSモデム505は、タ
イミング信号を考慮してチャネル応答を評価する。即
ち、QLSモデム505はC 2を決める。このステッ
プでは、タイミング応答フィルタ565は、T S秒ご
とにサンプリングし、ただのタイミング信号だけである
受信信号を平均化して、タイミング信号への16サンプ
ルのチャネル応答を正確に覚える。(前に述べたよう
に、ただ16タップだけがチャネル応答をタイミング信
号にするために必要とされる。)これらの学習したサン
プルは次に、タイミング応答フィルタ565の16タッ
プとして、タイミング応答フィルタ565のメモリ(図
示せず)に記憶される。
【0042】ステップ615の後に、網レベルQLSモ
デム405は、ステップ620でタイミング信号をオフ
にし、ステップ625で所定の訓練信号を送信し始め
る。この訓練信号は、2進数であってもよい所定の疑似
ランダムシーケンスakである。これは、速度1/T
Sで、全ての時間帯を使って網レベルQLSモデム40
5から送られる。ステップ630では、チャネル評価C
(ω)は、QLSモデム505によって形成される。
(C(ω)を実際には知らないので、これは、帯域幅全
体に渡るチャネル応答の近似であるC(ω)で評価さ
れる。)受信訓練信号は、遅延素子520によって遅延
され、加算器525に課される。さらに、プロセッサ5
90は、再フォーマッタ570経由でチャネルモデル5
30に同じシーケンスakのNで遅延されたバージョン
を課する。チャネルモデル530は、チャネル及びチャ
ネルモデル出力の間の誤りを適応的にゼロに調節する適
応フィルタである。この誤り信号は加算器出力526に
よって供給される。ステップ630は、PLL535が
ドリフトし始めないように、十分に速く行われる。即
ち、PLL535は、このステップの間に自由に動く。
結果として生じるC(ω)はチャネル遅延を含む。
【0043】チャネルモデル適応が完了すると、網レベ
ルQLSモデム405は、ステップ635で疑似ランダ
ムデータ信号をオフにし、QLSモデム505のPLL
535を再度ロックするために、ステップ640でタイ
ミング信号上に戻す。さらに、評価されたチャネルモデ
ルC(ω)は、ステップ635で速く等化器550に
訓練するため、QLSモデム505によってオフライン
で用いる。より多くの情報には、前述のアヤノグル他著
の「等化配置の高速量子化レベルサンプリングモデム」
と題する米国特許出願を参照するとよい。代りに、等化
器550は、別の訓練信号から直接訓練できるが、実時
間の遅さ及びわずかな瞬間のタイミング調整誤りから起
こる不可避な雑音は、望ましい選択肢とはしない。
【0044】最後に、ステップ645で定常状態動作が
始まる。音キャンセルが導入され、等化器550はオン
ラインにされ、それらの出力データ評価はチャネルモデ
ル530を通ってデータバックグラウンドを減算する。
ここで、比較的クリーンな(高い信号対雑音比(SN
R))タイミング信号を最終的なロックのために、PL
L535へと供給する。
【0045】上記のセットアップ段階では、全体的なチ
ャネル応答C(ω)及びタイミング信号へのチャネル
応答C 2は、変化しないと想定され、又は、もし変化
するなら、それらはそれぞれ非常にゆっくりと変化す
る。もしデータ通信の間であるなら、誤り率は所定の限
界を越えて増加する。これらのチャネル応答を新たに評
価するために再訓練される。
【0046】本発明に従って、我々は、PSTNでのA
/D及びD/A両方の変換器が同じ網サンプリングクロ
ックから動作するので、下流側サンプリング周波数にQ
LSモデムを同期させることは、上流側サンプリング周
波数にQLSモデムを同期させることに等しいことを認
識した。即ち、送信QLSモデムによって「見られた」
網のA/D変換器が同じ網クロックを使うので、送信Q
LSモデムは、同様に、網A/Dサンプリング周波数を
知っている。網及び送信QLSモデムの間のいかなる固
定した相対的な位相ずれをも、上流側方向でそれをチャ
ネル特性の一部として包含することによって考えられ
る。実例として、網レベルQLSモデムは、最初に上述
の開始段階で「チャネルを覚える」。この開始段階で、
網レベルQLSモデムは、疑似ランダムデータシーケン
スを受信し、これは、QLSモデムによって供給され、
チャネル応答を計算する。このチャネル応答は、いかな
る時間遅れをも含む。網レベルQLSモデムは次に、計
算されたチャネル応答をQLSモデムに送り返す。この
原理を利用して、我々のタイミングシステムは、もっぱ
ら下流側のパルス信号のみにタイミング情報の全てを投
入し、QLSモデムの受信部分は双方の方向に対して同
期を得る。
【0047】上流側方向の半2重伝送に対してさえ、タ
イミング信号がQLSモデムに下流側に送られる。しか
しながら、PSTNの電話交換局の混成のために、この
タイミング信号は上流側方向のアナログ部分に漏話を起
こす。即ち、このタイミング信号のエコーが上流側伝送
に現われる。このエコーは、全2重伝送で遭遇する混成
によって誘発されたよくある漏話のように扱える。例え
ば、このエコーは上述の網レベルQLSモデムのエコー
キャンセラで排除できる。しかしながら、このタイミン
グ信号のエコーを上流側伝送の間に送信QLSモデムに
おいて適当なアナログサンプルを加えることによって消
去できることを認識した。他の方法として、送信QLS
モデムは網の混成によって起こる送信タイミング信号の
エコーを消去するために、ここで付加アナログ信号を加
える。このことは、エコー信号の対応する増加には関係
なく、送信タイミング信号がパワーを増加することを許
す。これは、エコーがその後に付加アナログ信号の伝送
によって消去されることによる。タイミング信号の送信
パワーが高ければ高いほど、受信QLSモデムトラック
する能力は良くなる。
【0048】図9には、PSTNから受信QLSモデム
までのタイミング信号の伝送によって生成するエコー信
号を消去する方法の説明を示す。この方法は、ステップ
805、810及び815の付加以外は、図8と同じで
ある。ステップ805では、網レベルQLSモデム40
5は、セットアップ段階の間のタイミング信号からQL
Sモデム505への伝送の結果として受信するエコー信
号の量を測定する。この測定は、いろんな方法でも行え
る。例えば、データ信号が送信されていないので、上流
側方向でのフレームでのいかなるサンプルも、理想的に
はゼロである。従って、いかなる測定信号レベルも送信
タイミング信号のエコーに等しい。セットアップ段階で
の後半では、ステップ815で、測定エコー信号の逆
(符号)の値がQLSモデム505に送信される。QL
Sモデム815は次にステップ820で、この逆の値に
等しい付加アナログ信号を、いずれの送信パルス信号に
も加える。結果として本発明に従って、続く、PSTN
の混成による送信信号へのエコー信号の加算は、エコー
信号の消去をもたらす。
【0049】図10には、QLSモデム505の送信器
の一部が示してある。これは、プロセッサ905の付加
以外は、図1の送信器221に類似している。この図1
0では、加算器270による送信パルス信号への加算の
ため、逆の値のアナログ信号を生成する。この逆の値の
アナログ信号は、全てのフレームのサンプルに渡って加
えられる。結果的に、ここでの内在するデータ信号のダ
イナミックレンジは相応して減らされる。
【0050】概念少なくとも1つの交替するNUDBサ
ンプルの使用を通してパルス信号上にタイミング信号を
重ね合わせる方法により、本発明を記述したが、いかな
るタイミング信号もまた、少なくとも1つのUDBサン
プルに重ね合わせられる。この場合、タイミング信号は
網レベルデバイスから生成されなくてもよい。実際、タ
イミング信号の供給源はどこでもよい。例えば、送信Q
LSモデムをする。しかしながら、前述のように、UD
Bサンプルの使用は、このUDBサンプルが内在するデ
ータ信号及びタイミング信号の付加を表すので、内在す
るデータ信号のダイナミックレンジを制限する。さら
に、もし対応する市内電話交換局の中に位置する量子化
デバイスがあまりにも低品質であれば、タイミング信号
のいくらかはデータと解釈され、又はデータ信号のいく
らかはタイミング信号と解釈される。同様に、NUDB
及びUDBのサンプルの組合せは、タイミング信号を輸
送できる。
【0051】本発明は、位相同期ループ等の離散的な機
能のブロックで作られているが、これらはいずれも単独
又は複数で、ディジタル信号プロセッサ等のより適当な
プログラムドプロセッサによって機能させることができ
る。さらに、パルス信号が、各フレームで8つのサンプ
ルのうち6つ(8つの中の6つスキーム)のUDBサン
プルを有しているものとして述べたが、他の組合せは可
能である。例えば、各フレームでの5つのサンプルのう
ち4つのUDBサンプル、各フレームでの7つのサンプ
ルのうち6つのUDBサンプル等が考えられる。パルス
信号の形式を変えることは、生成された対応する音を変
えることになる。例えば、5つの中の4つスキーム、又
は7つの中の6つスキームでは、基本周波数f0はそれぞ
れ、8000/10=800Hz、及び8000/14=
571.4286Hzになる。これら後者のサンプルの
場合には、これらの周波数の両方は、4000Hzで奇
数の倍数を有し、この周波数成分のキャンセルは難しく
なる。しかしながら、4000Hzでのチャネル減衰
は、この周波数成分を抑圧するために効果的になる。
【0052】最後に、本発明は、2つのユーザのQLS
モデムの間の接続の例を用いて記述したが、これは必要
ではない。例えば、データ接続の1つの端点は、ディジ
タル対アナログであるデータサーバーアプリケーション
であってもよい。このデータサーバーアプリケーション
は、ディジタル設備や網レベルQLSモデムによってユ
ーザのQLS互換データ通信装置と通信する。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明のモデム装置及び
その同期方法により、公衆電話交換網(PSTN)から
QLSモデムまで送信される下流側パルス信号にタイミ
ング情報を入れる量子化レベルサンプリング(QLS)
モデムのタイミングを回復することができ、このタイミ
ング情報に応答して、QLSモデムはPSTNの網サン
プリングクロックに同期する。特に、パルス信号は、遠
端QLSモデムにより供給されたデータ担持サンプル
(UDB)と、及びレベルが周期的に交替する少なくと
も1つの非ユーザデータ担持(NUDB)サンプルを含
む。QLSモデムは、網サンプリングクロックにQLS
モデムを同期させるために、この周期的に交替する信号
レベルからタイミング情報を抽出する。このようにし
て、アナログ伝送媒体である電話市内ループで高速なモ
デムが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】量子化レベルサンプリング(QLS)データ通
信システムの部分のブロック図である。
【図2】QLSモデムからのパルス信号のDS0表現の
説明図である。
【図3】網レベルQLSモデムのブロック図である。
【図4】QLSデータ通信システムで用いる本発明のタ
イミングパターンの説明図である。
【図5】代表的なμ則符号化図表である。
【図6】本発明の網レベルQLSモデムの部分のブロッ
ク図である。
【図7】本発明のQLSモデムの部分のブロック図であ
る。
【図8】本発明の開始段階の説明の流れ図である。
【図9】タイミング信号のエコー信号を消去する方法の
説明の流れ図である。
【図10】図9の方法で用いるQLSモデムの送信器の
部分のブロック図である。
【符号の説明】
60 符号変換 65 符号変換 70、75、80 エコーキャンセラ 85 タイミングサンプル生成 90、95 NUDBサンプルをゼロにする 203 QLSモデム 217、219 市内ループ 221 送信器構成部分 223 受信器構成部分 229 ユーザ1データ入力 230 ユーザ2データ出力 233 符号化器 235、236、238、240 チャネル符号ストリ
ーム 251、252、254、256 送信器フィルタ 261、262、264、266 送信器フィルタ出力 270 送信器加算器 272 加算器出力信号 279 D/A変換器 281 A/D変換器 283 変換器出力ディジタル信号 291、292、294、296 受信器フィルタ 301 符復号器1 302(図2) DS0の部分 302(図3)、303、304、306 線 303、307 フレーム 305 網レベルQLSモデム 309 ディジタル電話網(PSTN) 315 符復号器2 405 網レベルQLSモデム 451、452、454、456 サンプルストリーム 461、462、464、466 スライサ 471、472、473、476 スライサ出力符号ス
トリーム 480 復号器 499 di及びタイミング信号 500 C(ω) 501、511、526、541、546、554(図
7)、556 線 505 QLSモデム 510、525 加算器 520 遅延素子 530 チャネルモデルフィルタ 533 符号化器 535 PLL 540 変換器 545 スライサ 550 等化器 555 タイミング参照 560 エコーキャンセラ 565 タイミング応答フィルタ 570 再フレーム 580 音キャンセラ 585 データキャンセラ 590 プロセッサ 605 網レベルQLSモデムがタイミング信号のみを
送信 610 受信QLSモデムが受信タイミング信号から参
照タイミング信号を生成する 615 受信QLSモデムがタイミング信号からチャネ
ル応答を評価 620 網レベルQLSモデムがタイミング信号をオフ
にする 625 網レベルQLSモデムが所定の疑似ランダムデ
ータ信号をオンにする 630 受信QLSモデムが疑似ランダムデータ信号か
らチャネル応答を評価 635 網レベルQLSモデムが所定の疑似ランダムデ
ータ信号をオフにする 640 網レベルQLSモデムがタイミング信号をオン
にする 645 定常状態動作が開始する 605 網レベルQLSモデムがタイミング信号のみを
送信 610 受信QLSモデムが受信タイミング信号から参
照タイミング信号を生成する 615 受信QLSモデムがタイミング信号からチャネ
ル応答を評価 620 網レベルQLSモデムがタイミング信号をオフ
にする 625 網レベルQLSモデムが所定の疑似ランダムデ
ータ信号をオンにする 630 受信QLSモデムが疑似ランダムデータ信号か
らチャネル応答を評価 635 網レベルQLSモデムが所定の疑似ランダムデ
ータ信号をオフにする 805 網レベルQLSモデムが送信タイミング信号に
より起こるエコーの量を測定する 810 網レベルQLSモデムがQLSモデムへ測定タ
イミング信号エコーの逆の値を送信 640 網レベルQLSモデムがタイミング信号をオン
にする 645 定常状態動作が開始する 815 QLSモデムが等化の前に付加アナログ信号を
送信パルス信号に加える。ここで、この付加アナログ信
号のレベルは、網レベルA/D変換の前に正確にキャン
セルされるように、ステップ810で受信した値と等し
くされる 905 プロセッサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジェームス エメリー マゾー アメリカ合衆国,07704 ニュージャー ジー,フェア ハーヴェン,ピー.オ ー.ボックス 261 (56)参考文献 特開 昭59−246(JP,A) 特開 昭61−278219(JP,A) 特開 昭62−140526(JP,A) 特開 平4−259111(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 3/10 H03H 21/00 H04L 7/10 H04L 25/03 H04L 27/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 データ通信装置に用いられる方法におい
    て、該方法は、 第1のトレーニング信号を受信する段階と、 該第1のトレーニング信号に応答するチャネルを予測す
    るタップ係数の第1セットを生成する段階と、 第2のトレーニング信号を受信する段階と、 該第2のトレーニング信号に応答するチャネルを予測す
    るタップ係数の第2セットを生成する段階と、 トレーニングフェーズの間、該トレーニング信号の少な
    くとも1つのエコー信号のレベルを表す測定値信号を受
    信する段階と、そして、 安定状態フェーズにおいて、データ信号とアナログ信号
    を含む結合信号を送信する段階とからなり、該アナログ
    信号のレベルは、該受信した測定値信号により表される
    レベルと反対特性にあることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、該第1
    のトレーニング信号はシーケンスのトーンを表すタイミ
    ング信号であることを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の方法において、該第1
    のトレーニング信号はフレームのシーケンスを表し、該
    フレームの各々はいくらかのサンプルを含み、そして、
    該タイミング信号が、該いくらかのサンプルのうちの少
    なくとも1つの周期的な交番信号レベルで送信されるこ
    とを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の方法において、該第2
    のトレーニング信号はフレームのシーケンスを表し、該
    フレームの各々はいくらかのサンプルを含み、そして、
    各フレーム内のそれぞれのサンプルレベルによって疑似
    ランダムデータシーケンスを表すことを特徴とする方
    法。
  5. 【請求項5】 データ通信装置で用いられる方法におい
    て、該方法は、 第1の時間間隔において、受信データ通信装置へ第1の
    トレーニング信号を送信する段階からなり、該第1のト
    レーニング信号はタイミング信号を表すものであり、該
    方法はさらに、 該第1の時間間隔とは異なる時間間隔において、該受信
    データ通信装置へ第2のトレーニング信号を送信する段
    階からなり、該第2のトレーニング信号は予め規定され
    たデータ信号を表すものであり、該方法はさらに、該第
    1のトレーニング信号のエコー信号を測定するととも
    に、該第1のトレーニング信号を該受信データ通信装置
    へ送信する段階からなることを特徴とする方法。
  6. 【請求項6】 請求項に記載の方法において、該タイ
    ミング信号はトーンの連続であることを特徴とする方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項に記載の方法において、該第1
    のトレーニング信号はフレームのシーケンスを表すもの
    であり、各フレームはいくらかのサンプルを含み、そし
    て該タイミング信号が、該いくらかのサンプルのうちの
    少なくとも1つにある周期的な交番信号レベルで送信さ
    れることを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 請求項に記載の方法において、該第2
    のトレーニング信号はフレームのシーケンスを表すもの
    であり、各フレームはいくらかのサンプルを含み、そし
    て、予め規定されたデータシーケンスは、各フレームの
    それぞれのサンプルレベルで表された疑似ランダムデー
    タシーケンスであることを特徴とする方法。
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